ゲスト
(ka0000)
【幻痛】怠惰の膝元へ
マスター:猫又ものと

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2018/08/20 19:00
- 完成日
- 2018/09/04 05:43
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――その日。部族会議に激震が走った。
始祖たる七が一であり、怠惰の王であるビックマー・ザ・ヘカトンケイル。
彼が愛でる謎の少女、オーロラの根城が判明したという報せが入ったからだ。
「……ダメです。許可出来ません」
「……しかし、これはまたとない好機だ。怠惰の軍勢を退ける一手となり得るかもしれん……」
「ええ、ええ。そうでしょうとも。今まで何の手掛かりもなかった歪虚の情報が入るかもしれませんしね。うまくいけば戦略も広がるでしょう」
「……ならば……」
「ですから、そんな危険な場所にはいそうですかと送り出せないと言っているんです。バタルトゥさん、貴方ご自分が部族会議の大首長という自覚はおありですか?」
食い下がるバタルトゥ・オイマト(kz0023)に嫌味を返すヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)。
――この2人、今日は幾度となくこんなやり取りをしている。
オーロラの根城の場所についての情報を受け取ったバタルトゥとヴェルナー。
2人は即時に打ち合わせに入り、今後の作戦を有利にする為、偵察を送ろう……そこまで、双方の意見は一致した。
だが、問題はこの先。
誰がそのオーロラの根城に潜入するか……である。
何が起こるか分からない、大変危険な任務になる為、ハンター達だけに任せる訳にはいかない。
そこまではいい。
バタルトゥ自らが行くと言いだした為、ヴェルナーが難色を示した。
――バタルトゥは兎角オイマト族や辺境部族のことになると熱くなる節がある。
それだけ、故郷を大事に思っているということなのだろうが……。
潜入場所は怠惰王のお膝元ともいえる場所だ。
それこそ命がけの任務となる。そんな所へ、おいそれと大首長を送り込むことは出来ない。
ヴェルナーの主張は最もだったが……バタルトゥも今回ばかりはなかなか引き下がらず、話は平行線辿っていた。
「……あの。俺が行って来ましょうか」
そこに聞こえて来た声。振り返るとイェルズ・オイマト(kz0143)が立っていた。
「……イェルズ? 戻ってきていたのか……」
「おや。お久しぶりですね。リアルブルーに出向中と伺っていたのですが」
「族長もヴェルナーさんもお久しぶりです! ……はい。リアルブルーにいたんですけど、ビックマーが現れたと聞いて慌てて戻って来たんです」
「……そうか。心配をかけてすまなかった」
「いえ! こちらこそ! 辺境の一大事って時に不在ですみませんでした!」
バタルトゥに頭を下げるイェルズ。赤毛の青年に、ヴェルナーは紫色の瞳を向ける。
「イェルズさん、先ほど潜入調査に行くつもりがあるようなことを仰っていましたが……」
「ハイ。……族長が行きたい気持ちも分かるんですけど、立場がありますし。その点俺は補佐役で、最悪死んでも替えが利きますから」
「最後の発言は聞き流しておきますが……そうですね。バタルトゥさんの代理という点においても適任ではあります。バタルトゥさん、どう思われます?」
「……個人的には行かせたくはないのだが……他に任せられる者もいないのは事実だな」
「では、決定ということでよろしいですね?」
ヴェルナーの確認するような声に頷くバタルトゥ。彼は補佐役の顔を覗き込む。
「……今回の任務は何が起こるか分からない。非常に危険なものだ……。くれぐれも無理はするな。……危機を感じたら撤退しろ」
「分かりました!」
●
「オーロラの根城が分かったって!?」
緊急の招集を受け、ハンターズソサエティに駆け込んで来たハンター達。
その報せは、彼らを驚かせるには十分過ぎるものだった。
「今まで分からなかったのにどうしてかしら……」
「この間、皆さんがビックマーを撃退して下さった時に、退却する時濡れていたそうで……割とハッキリ、足跡が残っていたそうです」
「ああ、なるほど。そういうことか……」
イェルズの説明に頷くハンター達。彼はそのまま説明を続ける。
「……オーロラの根城があると言われている場所は、ビャスラグ山のさらに北にある山だそうです。多分寒いと思うんで、暖かい恰好してきてくださいね」
「分かった。しかし、怠惰陣営のお膝元だろう? 怠惰の感染があるんじゃないのか?」
「そうね。侵入して動けなくなった……なんて言ったら困るわね」
「それなんですけど、辺境ドワーフさん達が頑張って『対怠惰の感染用結界』を持ち歩けるようにしてくれました。とはいえ、急な話だったので数が用意できなかったのと、時間は精々持って30分だそうですが……」
「……根城に潜入して30分以内に戻ってこないとヤバいってことか」
「結構厳しいわね……」
「はい。怠惰陣営の真っただ中に行くので、何と遭遇するかも分かりません」
「……文字通り、命がけの任務だな。十分注意して行こう」
人類未踏の地に踏み込む任務。何が起きるか分からないが、やりがいは十分だ。
ハンターの言葉に、イェルズと仲間達は頷き――準備を開始した。
始祖たる七が一であり、怠惰の王であるビックマー・ザ・ヘカトンケイル。
彼が愛でる謎の少女、オーロラの根城が判明したという報せが入ったからだ。
「……ダメです。許可出来ません」
「……しかし、これはまたとない好機だ。怠惰の軍勢を退ける一手となり得るかもしれん……」
「ええ、ええ。そうでしょうとも。今まで何の手掛かりもなかった歪虚の情報が入るかもしれませんしね。うまくいけば戦略も広がるでしょう」
「……ならば……」
「ですから、そんな危険な場所にはいそうですかと送り出せないと言っているんです。バタルトゥさん、貴方ご自分が部族会議の大首長という自覚はおありですか?」
食い下がるバタルトゥ・オイマト(kz0023)に嫌味を返すヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)。
――この2人、今日は幾度となくこんなやり取りをしている。
オーロラの根城の場所についての情報を受け取ったバタルトゥとヴェルナー。
2人は即時に打ち合わせに入り、今後の作戦を有利にする為、偵察を送ろう……そこまで、双方の意見は一致した。
だが、問題はこの先。
誰がそのオーロラの根城に潜入するか……である。
何が起こるか分からない、大変危険な任務になる為、ハンター達だけに任せる訳にはいかない。
そこまではいい。
バタルトゥ自らが行くと言いだした為、ヴェルナーが難色を示した。
――バタルトゥは兎角オイマト族や辺境部族のことになると熱くなる節がある。
それだけ、故郷を大事に思っているということなのだろうが……。
潜入場所は怠惰王のお膝元ともいえる場所だ。
それこそ命がけの任務となる。そんな所へ、おいそれと大首長を送り込むことは出来ない。
ヴェルナーの主張は最もだったが……バタルトゥも今回ばかりはなかなか引き下がらず、話は平行線辿っていた。
「……あの。俺が行って来ましょうか」
そこに聞こえて来た声。振り返るとイェルズ・オイマト(kz0143)が立っていた。
「……イェルズ? 戻ってきていたのか……」
「おや。お久しぶりですね。リアルブルーに出向中と伺っていたのですが」
「族長もヴェルナーさんもお久しぶりです! ……はい。リアルブルーにいたんですけど、ビックマーが現れたと聞いて慌てて戻って来たんです」
「……そうか。心配をかけてすまなかった」
「いえ! こちらこそ! 辺境の一大事って時に不在ですみませんでした!」
バタルトゥに頭を下げるイェルズ。赤毛の青年に、ヴェルナーは紫色の瞳を向ける。
「イェルズさん、先ほど潜入調査に行くつもりがあるようなことを仰っていましたが……」
「ハイ。……族長が行きたい気持ちも分かるんですけど、立場がありますし。その点俺は補佐役で、最悪死んでも替えが利きますから」
「最後の発言は聞き流しておきますが……そうですね。バタルトゥさんの代理という点においても適任ではあります。バタルトゥさん、どう思われます?」
「……個人的には行かせたくはないのだが……他に任せられる者もいないのは事実だな」
「では、決定ということでよろしいですね?」
ヴェルナーの確認するような声に頷くバタルトゥ。彼は補佐役の顔を覗き込む。
「……今回の任務は何が起こるか分からない。非常に危険なものだ……。くれぐれも無理はするな。……危機を感じたら撤退しろ」
「分かりました!」
●
「オーロラの根城が分かったって!?」
緊急の招集を受け、ハンターズソサエティに駆け込んで来たハンター達。
その報せは、彼らを驚かせるには十分過ぎるものだった。
「今まで分からなかったのにどうしてかしら……」
「この間、皆さんがビックマーを撃退して下さった時に、退却する時濡れていたそうで……割とハッキリ、足跡が残っていたそうです」
「ああ、なるほど。そういうことか……」
イェルズの説明に頷くハンター達。彼はそのまま説明を続ける。
「……オーロラの根城があると言われている場所は、ビャスラグ山のさらに北にある山だそうです。多分寒いと思うんで、暖かい恰好してきてくださいね」
「分かった。しかし、怠惰陣営のお膝元だろう? 怠惰の感染があるんじゃないのか?」
「そうね。侵入して動けなくなった……なんて言ったら困るわね」
「それなんですけど、辺境ドワーフさん達が頑張って『対怠惰の感染用結界』を持ち歩けるようにしてくれました。とはいえ、急な話だったので数が用意できなかったのと、時間は精々持って30分だそうですが……」
「……根城に潜入して30分以内に戻ってこないとヤバいってことか」
「結構厳しいわね……」
「はい。怠惰陣営の真っただ中に行くので、何と遭遇するかも分かりません」
「……文字通り、命がけの任務だな。十分注意して行こう」
人類未踏の地に踏み込む任務。何が起きるか分からないが、やりがいは十分だ。
ハンターの言葉に、イェルズと仲間達は頷き――準備を開始した。
リプレイ本文
「うえええ。寒い上に歩きにくいっす……!」
「人を近づけぬようにするにはうってつけじゃな」
寒さを何とかしようとスパイスたっぷりの紅茶を飲む神楽(ka2032)に頷くフラメディア・イリジア(ka2604)。
ハンター達から漏れる息の白さが、周囲の気温の低さを物語っている。
周囲には白い雪や氷が見える。
――気温は低く、土地が痩せている。
これも標高が高い故なのだろうか。
どちらにせよ命ある者は住めぬ土地だ。
まあ、歪虚は元より『生きていない』。こういう環境でも然したる問題にはならないのだろう。
顔を上げた羊谷 めい(ka0669)。急勾配の道なき道を見上げてため息をついた彼女に、ラミア・マクトゥーム(ka1720)は声をかける。
「めい。疲れたかい? 少し休憩しようか」
「いえ、まだ大丈夫です。怠惰の根城はあの先でしょうか……。ずっと見つからなかったのも頷けますね……」
「見つかったのは怪我の功名っすけど……。あいつら良くこんなとこ住んでるっすね? ここからだとノアーラ・クンタウを目指すのにどうしたって平原突っ切らないといけないし、攻め込むのも面倒っすよね」
「……あやつらのことじゃ。不便だとしても『拠点を移すのが面倒』なんじゃろう。怠惰じゃからの」
淡々というフラメディアにあぁーーーと呟き、頷く神楽とめい。
口数が少ないラミアを、イェルズ・オイマト(kz0143)が覗き込む。
「……あの。ラミアさん、何か怒ってます?」
「別に。怒ってなんてないさ。最悪死んでも替えが利くなんて馬鹿なこと言ったやつを張り倒そうとは思ってるけど」
「……!!? ええと……。部族会議も組織として大きくなりましたし。組織の経営としてはその方が……痛っ」
最後まで続かないイェルズの言葉。ラミアが拳で彼をぶん殴る。
「……そういうことじゃないよ。イェルズが契約者になったあの時、どれだけの人間が動いたと思ってるのさ。義手を作った時だってそう。皆あんたを助けたいからやったんだろ!?」
「そうですよ。バタルトゥさんだってあの時大怪我して……大変だったんですよ? ちゃんと無事に戻らないと、バタルトゥさんもみなさんも悲しみます。わたしもです。イェルズさんの代わりはいないのですから……」
「……もうあんな思いはしたくないよ。無茶しないでよ、イェルズ」
「すみません。考えなしでしたね、俺」
めいの心配そうな声。絞り出すようなラミアの声に肩を落とすイェルズ。神楽が肘でぐりぐりと彼をつつく。
「可愛い女の子に心配してもらっていいっすねー! ここまで来たら一連托生っすよ。戻る時は皆一緒っす」
神楽のおちゃらけた声に和む場。フラメディアも首を縦に振る。
「さて。敵の本拠地への潜入となれば、努々気をつけねばならん。敵の情報を道々おさらいするとしようかの」
「そういえば、オーロラってどんな娘なんだろ? 何か情報ってあったっけ。イェルズ何か聞いてる?」
「ビックマーが大事にしてる少女型歪虚ってことしか部族会議には情報がないですね」
「んーっと。ここに来る前報告書読み漁って来たんすけど……夢幻城がまだ墜落してなかった頃っすかね。ファリフ達が潜入調査した時に女の子に会ってるっす」
ラミアの問いに答えるイェルズ。思い出すように、神楽が言葉を紡ぐ。
――そう。確か、報告書にはこう書いてあった。
朱金と思われるような髪はとても長く、少女の身長を優に超えるほど。
着ているドレスは豪奢なのだが、だらしなく着崩している。
異様に伸びた爪。抱えられたくまのぬいぐるみ。そして瞳は薔薇色の赤目で――。
「名乗った訳じゃないからハッキリとは分かってないっすけど、遭遇した時に怠惰の感染っぽい症状が報告されてたんでその子がオーロラじゃないかなって思うっす」
「赤っぽい金髪に赤い目ですか……。聞くだに豪華な外見ですよねえ……」
いいなー……と、ぽつりと呟くめい。
髪も目も真っ黒でちんくしゃなタヌキみたいな外見(※本人認識)をしている身としては、そういう華やかな外見に少しだけ憧れてしまう。
よく見たらフラメディアの髪も燃えるような赤でとても綺麗だ。
――私の髪もこんな色だったら、あの人も女の子扱いしてくれるんだろうか。
脱線した思考を振り払うめい。フラメディアが制止するように手を伸ばす。
「フラメディアさん、どうかしました?」
「……あれは何じゃろうか」
彼女が指さす先を見つめるめい。山の岩肌にぽっかりと口を開けている空洞があった。
「洞窟……? 随分と大きいね」
「ああ、あそこですよ。怠惰の根城」
離れた場所に見えるそれを眺めて首を傾げるラミア。
あっけらかんと続けたイェルズに神楽がぎょっとする。
「えっ。怠惰の根城ってお城じゃないっすか?」
「ん? 根城って『本拠地』って意味ですよ」
「何だい。紛らわしい」
「まあ、本拠地の形状がどうあれやることは変わらない……ですよね?」
「そうじゃな」
2人のやり取りに眉根を寄せるラミア。宥めるように言うめいに、フラメディアは頷いて――顔を顰める。
歩みを進め、洞窟に近づくにつれて重くなっていく身体。微かに頭痛と眩暈がする。
――これは漏れ出ている『怠惰』の影響だろうか。
さすがに本拠地とあって、その濃さは伊達ではないらしい。
彼女は仲間達に向き直ると、呼吸を整える。
「……怠惰の感染を防ぐ結界を節約するというのは難しそうじゃのう。入口でこれでは、中に入れば動くのもままならぬぞえ」
「そうですね。無理して動けなくなったら困りますし……。そうなると、やっぱり探索時間は15分から20分、というところでしょうか」
「うむ。引き返す時間も考慮に入れた方がいいじゃろう。さて。神楽、ラミアよ。偵察を頼めるかえ?」
「了解っす!」
「あいよ。……って、―――っ!!」
状況を確認するめいとフラメディアの声に応え、準備を始める神楽とラミア。
本拠地に潜入するにあたり、『ファミリアズアイ』を使って潜入出来る場所を捜索する手筈だったのだが……ラミアの声にならない悲鳴に、仲間達が首を傾げる。
「どうしたっすか?」
「ごめん。スキル活性化するの忘れてきた……」
「あちゃー。しゃーないっすね。じゃあ俺がやるっす。パルム、頼んだっすよ」
ぐっと親指を立てる神楽。連れて来ていたペットのパルムは、彼の命令にこくこくと頷くと、トコトコと歩いて行って……。
ぴょこんと岩を乗り越えて、薄暗い洞窟内に侵入しようとしたそれは、突然ぐらぐらしたかと思ったらその場にぱたりと倒れた。
「あっ。パルムちゃんが……!」
「怠惰の感染にやられたようじゃな」
「ああああ。そうっすよねーーーー」
目を丸くするめい。フラメディアの指摘に、神楽が頭を抱える。
入口の段階でハンター達の気分が悪くなる程の『怠惰』だ。
身を守る術を持たぬペットが怠惰の影響であっさりやられてしまうのは仕方のないことと言えた。
――さて、どうする。ペットに結界を持たせて侵入させるか?
怠惰の感染を防ぐ結界は人数分持たされているが、急ごしらえであった為、時間も短く効果範囲も狭い。
万が一ペットに何かあって結界が回収できなかったとなると、探索や撤退に影響が出る可能性がある。
そして何より、パルムは背が低く、視野はさほど広い訳ではない。
モフロウなどであれば話は違ったかもしれないが――偵察の効果はさほど期待出来ないだろうと思われた。
「うーん。どう考えてもリスクの方が高いっすね。偵察作戦は中止した方が良さそうっす」
「仕方あるまいな……。ここは慎重さを取るべきじゃろう」
「分かりました。皆で一緒に侵入ですね」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、だね。行くとしようか」
頷き合う仲間達。結界を始動させると、洞窟の中に足を踏み入れる。
――洞窟は思いの他横幅があり、天井が高い。
怠惰に属する歪虚は巨人が多い。あれが通るのであれば、このくらいの広さと高さは必要か……。
薄暗い中、ごつごつとした岩肌を乗り越える。
侵入を覚られぬようにする為、誰しもが無言で……身が切れるような寒さの中、物音を立てぬように慎重に進む。
あれから5分ほど進んだだろうか。景色に変化がない。
帰りは一気に箒に乗って脱出するにしても、時間はきちんと計算しないといけない。
こんなところで怠惰に感染して動けなくなれば――命も危うい。
少しでも早く進みたい気持ちを抑え、歩み続けるハンター達。
前方に、光が漏れている場所があることに気が付いた。
――ちょっと上行って見て来るっす。ここで待ってて欲しいっす。
仲間達に手を振って合図する神楽。仲間達がこくこくと頷くのを確認すると、箒に跨り一気に上昇する。
周囲を見渡す彼。
光が漏れていたのは、どうやら洞窟の天井に穴が開いているらしい。
そしてその下に、どこかで見たようなモノが落ちていることに気が付いた。
「……あれ、リアルブルーの宇宙船っすかね……?」
呟く神楽。
さして大きくはない船だが……旅客船だろうか。
何であんなものがこんなところに……?
洞窟の天井は、あの宇宙船がぶつかって開いたものか。さてまた元々開いていた穴にたまたま入り込んだのかは分からなかったけれど。
洞窟の中で光を浴びる朽ちた宇宙船というのは――何とも不思議な光景だった。
光が差しているお陰で、宇宙船が良く見えて……あちこちに浮かぶ錆や剥げた塗装からして、古いものだということが伺える。
ところどころ修理されているような様子も見て取れた。
――そして宇宙船より更に奥の洞窟には、巨人達がいて……すわ見張りかと隠れかけたが、すぐにやめた。
何故って、巨人達はすやすやと気持ちよさそうに眠っていたので――。
……本拠地だというのに警戒する素振りが見られないっす。見張りとか立てなくていいんすかね……?
神楽はそこまで考えて、すぐに気づいた。
――入口の時点で猛烈な『怠惰』が漏れ出していた。
ハンターですら結界がなければ動けぬ程のそれだ。そもそも生物が、動ける状態でここにたどり着くことが出来ない。
わざわざ見張りを立てる必要もないということなのだろう。
戻ってきた神楽に、めいは極力声を抑えて話しかける。
「おかえりなさい。どうでした……?」
「あっちにリアルブルーの宇宙船があったっす。大分古いんすけど、修理されてるみたいっすし、誰か使ってるのかもしれないっす」
報告に顔を見合わせるフラメディアとラミア、イェルズ。
こんなところに宇宙船。しかも修理されて使われているとなると……怠惰の歪虚のうちの誰かが寝泊まりしている可能性が高い。
ラミアは動物霊の力を身に宿し、聴覚を大幅に上昇させると、耳を澄ます。
……聞こえるのは風の音。水の滴る音。カチャリという陶器がぶつかるような音。
そして微かに聞こえるのは――。
「……あの中から人の声がする」
「誰の声か分かるかえ?」
「そこまではちょっと分かんないな……低い声と高い声は聞こえた」
「ふむ……」
ラミアの言葉に考え込むフラメディア。
正体は分からぬが、『話し声がする』ということは……何かしらの高位歪虚がいるのだろう。確かめる価値はありそうだ。
「……ひとまず、あの宇宙船の中を調べてみるとするかの」
「賛成っす。中入れるとこがあるか探ってみるっす」
朽ちた宇宙船に近づいたハンター達は、空気が異様に重いことに気が付いた。
――これは『怠惰』のせいだけではない。恐らく膨大な負のマテリアルの影響だ。
勿論、敵の本拠地である為、当然と言えば当然なのだが……。
怠惰の高位歪虚である青木やトーチカと言えどもここまでのマテリアルは撒き散らさない。
この中に『膨大な負のマテリアルを抱える何かがいる』というのを示す根拠であるようにも思える。
――リアルブルーの船に間違いなさそうですね。
――軍のマークがないから民間のものでしょうか……?
――怠惰の王の根城、というにはちょっとお粗末な感じだけどね。
――まあ、あやつらのことじゃ。ここにあったから使ってみているだけかもしれんがの……。
――あった! ここから入れるっすよ!!
声を発さずに身振り手振りで意思の疎通を図るイェルズとめい、ラミアとフラメディア。
神楽の合図に、一気に緊張が高まる。
彼が指さす先には出入口の扉。神楽も動物霊の力を宿らせ、聴覚を上昇させて聞き耳を立てる。
確かに船の中から微かに話し声は聞こえるが……扉からは離れているような気がする。
神楽は扉に手をかけ、そーっと引き開けて……。
キイィイィイィ……。
軋む扉の蝶番の音がやたら大きく聞こえる。
音で気づかれたかとヒヤリとしたが、内部が騒がしくなった様子はない。
ハンター達は急いで船の中にその身を滑らせる。
この時点で既に7分経過している。
残りの時間であとどれだけ探索出来るか――。
船の中の廊下は狭く、扉がずらりと並んでいて……めいと神楽にとっては見慣れた、普通の旅客船の光景。
通路が1つしかない為、ここを塞がれると逃げようがない。
最悪は壁をぶち抜くしかないか――。
そんな算段を立てていたフラメディア。
物音がする部屋を見つけたらしい。神楽とラミアが仲間達に合図を送る。
そっと忍び寄るめいとフラメディア。
話し声はしなくなっていたが、扉の向こうから確かにガサゴソという音は聞こえて来る。
仲間達は頷き合うと、そっと扉を引き開けた。
「……お邪魔するっすー」
「……んー? 何だい? お前達出掛けたんじゃなかったのかい?」
恐る恐る部屋に入る神楽に応える声。
決して広くはない室内に、ちょこまかとパペットマンが歩き回っている。
どうやら飲み物を運んでいるらしい。
「入るなら早くお入りよ。報告があるんだろ?」
こちらを見ずに続ける声の主。
……この声には聞き覚えがある。めいには分かる。トーチカのものだ。
でも、肝心のトーチカがいない。
いや、正確には目の前にヒトが横たわっていて、パペットマンから飲み物を受け取ってぐびぐびと飲んでいる。
くたびれたスウエットの上下を着た、地味な人物。
いつまでも動こうとしないハンター達を不思議に思ったのか振り返る。
見るとそばかすだらけで、細い目は一重で眉毛はなく、髪はブロンドだがショートヘアで……やっぱり見覚えがない。
ラミアは困惑した様子で仲間達を振り返る。
「……えっと……。こいつがオーロラ……じゃないよね?」
「オーロラにしては育ち過ぎなんじゃないですかね……」
「はて。怠惰にこんな魔人いたかの……?」
「トーチカさんの声はするんですけど……」
三人三様の反応を返すイェルズとフラメディア、めい。
突然のハンターの出現に固まっていた人物は我に返ったのか思い切り飛びずさった。
「ぎゃああああ!? お、お前達なんd」
「しーーっ! 声が大きいっす!!」
慌てて謎の人物の口を手で塞ぐ神楽。聞こえた声に、めいが目を丸くする。
「……その人からトーチカさんの声がします」
「へっ? トーチカってもっとこう、ばいんばいんで派手な美人じゃなかったっすか……?」
「すっぴん見られたあああああ! もうお嫁に行けないーーーー!!!」
顔を覆ってわんわんと泣き出す人物。
――その瞬間、ハンター達は覚った。
……この正体不明の人物は、すっぴんのトーチカだ……!!
「……化粧とウィッグで盛ってたんだね」
「時々いらっしゃいますよね、こういう方……」
「ちょ、ちょっと外見変わりすぎじゃないです!?」
「女って怖いっす……」
しみじみというラミアとめいに、ガクブルと震えるイェルズと神楽。
いいことを思いついたのか、フラメディアはにんまりと笑うと、トーチカを覗き込む。
「突然入って来て乙女の秘密を暴いてしまってすまなんだのう。ちょっと急いでおったゆえ」
「御免で済んだらおしおきは要らないんだよ! せっかくグラマラスクイーンで通ってたのにどうしてくれるんだい! っていうかお前達どうやってここまで来たんだよ!!」
「あ、私、この間ビックマーさんの親衛隊に任命されたんですよ。そんな栄誉を賜ったので、改めてご挨拶に来たんですけど、道に迷ってしまって……」
「そうそう。そうなんすよ」
「ビックマー様親衛隊だって……!? あたしだってまだ任命されてないってのに……!!」
めいの言葉にうんうんと頷く神楽。そう、嘘は全く言っていない。彼女が親衛隊に任命されたのも本当だ。挨拶も出来ることならしたいというのも事実。
わなわなと震えるトーチカに、フラメディアが畳みかける。
「妾達も忙しうてな。そろそろ戻らねばならぬゆえ、改めて手土産を持って来たい。……ビックマーとオーロラについて知っておることを話してはくれんかの?」
「……あんた達、ハンターの癖にビックマー様の傘下に下るっていうのかい?」
「傘下になるも何も、もう親衛隊ですし!」
「うむ。それにタダでとは言わぬ。……お前の秘密を、守ってやってもよいぞえ? お前とて苦労して築きあげたイメージをここで崩したくはなかろう?」
めいとフラメディアのにこやかな笑顔にぐぬぬと唸るトーチカ。がっくりと肩を落とすとハンター達を見る。
「……一体何が知りたいのさ」
「えっと、オーロラってどんな子なんだい? 外見とか、性格とか……」
「ん? そうだね。赤っぽい金髪の、13~4歳くらいの子だよ。性格は良く分からないねえ。寝てばかりだし。あの子の世話はセルトポとモルッキーが良く焼いてるから、あいつらに聞いた方が分かるかもしれないよ」
ラミアの問いに考えながら答えるトーチカ。神楽はしきりに頷きながら続ける。
「トーチカさん。セルトポさんとモルッキーさんは今日はどこにいるんすか?」
「あいつらはちょっとおつかいに行っちまっててねえ。何だい? あいつらに会いたかったのかい?」
「そうっす! 俺、トーチカ一味のファンなんす!! サイン貰いたかったっすよ!」
「おやおや。あたし達のファンだなんて嬉しいねえ……! でもすっぴん見て失望したんじゃないのかい?」
「そんなことないっすよ! トーチカさんカッコいいっs」
「結婚して」
「ちょ、ちょっとトーチカさん落ち着きましょう?」
神楽に食い気味に迫るトーチカをどうどう、と宥めるめい。残り時間を気にしながら問いかける。
「えっと、ビックマーさんとオーロラさんはいつどこで出会ったのか聞いたことあります?」
「さてねえ。あたしが歪虚になった時からもうあんな感じだったし。ビックマー様はあまりオーロラについて話したがらないんだよねえ」
「そうですか。あのお2人はいつも一緒なんですか?」
「そういう訳じゃないさね。オーロラをここに残してビックマー様だけ出掛けて行くことがあるよ」
「オーロラさんが1人の時って何されてるんです?」
「大体寝てるねえ。あたしもそうだけど、あの子も全然動かないし。ビックマー様がお戻りになられたら抱き枕にしてるみたいだけど」
「ふむ? あの巨体を抱き枕にしておるのかえ?」
「まさか。ビックマー様はぬいぐるみサイズにもなれるんだよ。あたし達の前では大抵フルサイズだけど、あの子と一緒にいる小さくなってることが多いね」
トーチカの言葉に顔を見合わせるハンター達。
オーロラの情報は予想の範囲内だったけれど――ビックマーのサイズが変化可能であるとは知らなかった。
時計をちらりと見たフラメディア。そろそろ戻らねばいけない時間だ。
彼女はすっぴんの歪虚を見つめる。
「最後にもう1つだけ聞きたい。ビックマーとオーロラは、一体どういう関係なんじゃ?」
「……怠惰王とそのおまけってとこじゃないのかい。ビックマー様はやたらとオーロラを気にかけてはいるけどねえ」
フン、と鼻を鳴らすトーチカ。
オーロラは、敬愛するビックマーに贔屓されているとでも感じているのだろう。
面白くなさそうな彼女からそれが伺えて……フラメディアはふむ、と考え込む。
「そうかえ。色々教えて貰って助かった。感謝するぞえ」
「皆、そろそろ時間だよ」
「はーい。じゃあ、失礼しますね」
「あ、もう帰るのかい? あたしの秘密、ちゃんと守ってくれるんだろうね?!」
「大丈夫っす! 約束は守るっs」
「結婚して」
ラミアの声に頷き、ぺこりとお辞儀をするめい。
ぐっと親指をあげた神楽に、やっぱりトーチカは食い気味に迫っていた。
「……青木? ビックマーは……? どこ……?」
「今外している。どうかしたか?」
「……誰か来たみたい。知らない子達」
「……それは確かか?」
「うん……。今まで知らない子なんて来たことないし……ビックマーのお友達かな……」
「ふむ。俺が調べておこう。お前は心配しないで良い」
「そう……? 青木はいいこね……」
黒衣の歪虚に蕩けた笑みを向ける少女。ふぁ……と欠伸をすると、再び微睡の中に沈んで行く。
――ネズミが数匹入り込んだか? 思ったより早かったじゃないか。
あいつらには精々働いて貰って、あのクマの喉元に刃を突きつけて貰わなくては……。
ニヤリと笑う黒い歪虚。
――そうだ。早くあの邪魔なクマを吸収しなければ。
そうすれば、俺は―――を守れる。
……守る? 何を? 誰を……?
微かに痛む頭を押さえる黒衣の男。
――その背後を、ふわりと銀色の蝶が舞った。
「……イェルズ。良く無事で戻ったな」
「はい! 皆さんがいてくれたんで……!」
「お父さんに心配かけるといけないと思ったんで頑張ったんですよ。ね? ラミアさん」
「ホントだよ。イェルズすーぐ無茶するからね。ちょっとバタルトゥからも言ってやって」
「えっ。ちょっ。俺ちゃんと謝りましたよね!?」
「「行動を改めないと意味がない」んですよ」
イェルズの姿を見て安堵のため息を漏らしたバタルトゥ・オイマト(kz0023)。
続いたラミアとめいのツッコミに、彼はアワアワと慌てる。
怠惰の本陣を無事に脱出したハンター達は、早速部族会議に報告にやってきていた。
「……これが怠惰の本拠地の見取り図じゃ」
「時間が足りなくて、全部は見て回れなかったっすけどね」
「いいえ。これも十分な情報ですよ。ありがとうございます」
フラメディアと神楽から見取り図を受け取るヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)。
それを見つめながら口を開く。
「オーロラについては何かわかりましたか?」
「以前、夢幻城でファリフさん達が会った少女がオーロラであることは間違いなさそうでした」
「ビックマーは100mの巨体からぬいぐるみサイズに変化出来る、という情報くらいしか目新しいものはないかの……」
「あー。あと、怠惰の本陣に、何でかリアルブルーの宇宙船があったっす。旅客船だと思うんすけど……」
「リアルブルーの船、ですか?」
「ああ。ただ単に落ちているものを利用しただけかもしれないけど。何か因縁がある可能性も捨てきれないね」
「……そうですか。分かりました。オーロラについてはまた追って調査をお願いするかもしれません。皆さんお疲れでしょう。良く休まれてくださいね」
ヴェルナーの言葉に頷くハンター達。
結界があったとはいえ、強烈な負のマテリアルの影響は確実にあって……疲れた身体を引きずりつつ、帰路についたのだった。
「人を近づけぬようにするにはうってつけじゃな」
寒さを何とかしようとスパイスたっぷりの紅茶を飲む神楽(ka2032)に頷くフラメディア・イリジア(ka2604)。
ハンター達から漏れる息の白さが、周囲の気温の低さを物語っている。
周囲には白い雪や氷が見える。
――気温は低く、土地が痩せている。
これも標高が高い故なのだろうか。
どちらにせよ命ある者は住めぬ土地だ。
まあ、歪虚は元より『生きていない』。こういう環境でも然したる問題にはならないのだろう。
顔を上げた羊谷 めい(ka0669)。急勾配の道なき道を見上げてため息をついた彼女に、ラミア・マクトゥーム(ka1720)は声をかける。
「めい。疲れたかい? 少し休憩しようか」
「いえ、まだ大丈夫です。怠惰の根城はあの先でしょうか……。ずっと見つからなかったのも頷けますね……」
「見つかったのは怪我の功名っすけど……。あいつら良くこんなとこ住んでるっすね? ここからだとノアーラ・クンタウを目指すのにどうしたって平原突っ切らないといけないし、攻め込むのも面倒っすよね」
「……あやつらのことじゃ。不便だとしても『拠点を移すのが面倒』なんじゃろう。怠惰じゃからの」
淡々というフラメディアにあぁーーーと呟き、頷く神楽とめい。
口数が少ないラミアを、イェルズ・オイマト(kz0143)が覗き込む。
「……あの。ラミアさん、何か怒ってます?」
「別に。怒ってなんてないさ。最悪死んでも替えが利くなんて馬鹿なこと言ったやつを張り倒そうとは思ってるけど」
「……!!? ええと……。部族会議も組織として大きくなりましたし。組織の経営としてはその方が……痛っ」
最後まで続かないイェルズの言葉。ラミアが拳で彼をぶん殴る。
「……そういうことじゃないよ。イェルズが契約者になったあの時、どれだけの人間が動いたと思ってるのさ。義手を作った時だってそう。皆あんたを助けたいからやったんだろ!?」
「そうですよ。バタルトゥさんだってあの時大怪我して……大変だったんですよ? ちゃんと無事に戻らないと、バタルトゥさんもみなさんも悲しみます。わたしもです。イェルズさんの代わりはいないのですから……」
「……もうあんな思いはしたくないよ。無茶しないでよ、イェルズ」
「すみません。考えなしでしたね、俺」
めいの心配そうな声。絞り出すようなラミアの声に肩を落とすイェルズ。神楽が肘でぐりぐりと彼をつつく。
「可愛い女の子に心配してもらっていいっすねー! ここまで来たら一連托生っすよ。戻る時は皆一緒っす」
神楽のおちゃらけた声に和む場。フラメディアも首を縦に振る。
「さて。敵の本拠地への潜入となれば、努々気をつけねばならん。敵の情報を道々おさらいするとしようかの」
「そういえば、オーロラってどんな娘なんだろ? 何か情報ってあったっけ。イェルズ何か聞いてる?」
「ビックマーが大事にしてる少女型歪虚ってことしか部族会議には情報がないですね」
「んーっと。ここに来る前報告書読み漁って来たんすけど……夢幻城がまだ墜落してなかった頃っすかね。ファリフ達が潜入調査した時に女の子に会ってるっす」
ラミアの問いに答えるイェルズ。思い出すように、神楽が言葉を紡ぐ。
――そう。確か、報告書にはこう書いてあった。
朱金と思われるような髪はとても長く、少女の身長を優に超えるほど。
着ているドレスは豪奢なのだが、だらしなく着崩している。
異様に伸びた爪。抱えられたくまのぬいぐるみ。そして瞳は薔薇色の赤目で――。
「名乗った訳じゃないからハッキリとは分かってないっすけど、遭遇した時に怠惰の感染っぽい症状が報告されてたんでその子がオーロラじゃないかなって思うっす」
「赤っぽい金髪に赤い目ですか……。聞くだに豪華な外見ですよねえ……」
いいなー……と、ぽつりと呟くめい。
髪も目も真っ黒でちんくしゃなタヌキみたいな外見(※本人認識)をしている身としては、そういう華やかな外見に少しだけ憧れてしまう。
よく見たらフラメディアの髪も燃えるような赤でとても綺麗だ。
――私の髪もこんな色だったら、あの人も女の子扱いしてくれるんだろうか。
脱線した思考を振り払うめい。フラメディアが制止するように手を伸ばす。
「フラメディアさん、どうかしました?」
「……あれは何じゃろうか」
彼女が指さす先を見つめるめい。山の岩肌にぽっかりと口を開けている空洞があった。
「洞窟……? 随分と大きいね」
「ああ、あそこですよ。怠惰の根城」
離れた場所に見えるそれを眺めて首を傾げるラミア。
あっけらかんと続けたイェルズに神楽がぎょっとする。
「えっ。怠惰の根城ってお城じゃないっすか?」
「ん? 根城って『本拠地』って意味ですよ」
「何だい。紛らわしい」
「まあ、本拠地の形状がどうあれやることは変わらない……ですよね?」
「そうじゃな」
2人のやり取りに眉根を寄せるラミア。宥めるように言うめいに、フラメディアは頷いて――顔を顰める。
歩みを進め、洞窟に近づくにつれて重くなっていく身体。微かに頭痛と眩暈がする。
――これは漏れ出ている『怠惰』の影響だろうか。
さすがに本拠地とあって、その濃さは伊達ではないらしい。
彼女は仲間達に向き直ると、呼吸を整える。
「……怠惰の感染を防ぐ結界を節約するというのは難しそうじゃのう。入口でこれでは、中に入れば動くのもままならぬぞえ」
「そうですね。無理して動けなくなったら困りますし……。そうなると、やっぱり探索時間は15分から20分、というところでしょうか」
「うむ。引き返す時間も考慮に入れた方がいいじゃろう。さて。神楽、ラミアよ。偵察を頼めるかえ?」
「了解っす!」
「あいよ。……って、―――っ!!」
状況を確認するめいとフラメディアの声に応え、準備を始める神楽とラミア。
本拠地に潜入するにあたり、『ファミリアズアイ』を使って潜入出来る場所を捜索する手筈だったのだが……ラミアの声にならない悲鳴に、仲間達が首を傾げる。
「どうしたっすか?」
「ごめん。スキル活性化するの忘れてきた……」
「あちゃー。しゃーないっすね。じゃあ俺がやるっす。パルム、頼んだっすよ」
ぐっと親指を立てる神楽。連れて来ていたペットのパルムは、彼の命令にこくこくと頷くと、トコトコと歩いて行って……。
ぴょこんと岩を乗り越えて、薄暗い洞窟内に侵入しようとしたそれは、突然ぐらぐらしたかと思ったらその場にぱたりと倒れた。
「あっ。パルムちゃんが……!」
「怠惰の感染にやられたようじゃな」
「ああああ。そうっすよねーーーー」
目を丸くするめい。フラメディアの指摘に、神楽が頭を抱える。
入口の段階でハンター達の気分が悪くなる程の『怠惰』だ。
身を守る術を持たぬペットが怠惰の影響であっさりやられてしまうのは仕方のないことと言えた。
――さて、どうする。ペットに結界を持たせて侵入させるか?
怠惰の感染を防ぐ結界は人数分持たされているが、急ごしらえであった為、時間も短く効果範囲も狭い。
万が一ペットに何かあって結界が回収できなかったとなると、探索や撤退に影響が出る可能性がある。
そして何より、パルムは背が低く、視野はさほど広い訳ではない。
モフロウなどであれば話は違ったかもしれないが――偵察の効果はさほど期待出来ないだろうと思われた。
「うーん。どう考えてもリスクの方が高いっすね。偵察作戦は中止した方が良さそうっす」
「仕方あるまいな……。ここは慎重さを取るべきじゃろう」
「分かりました。皆で一緒に侵入ですね」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、だね。行くとしようか」
頷き合う仲間達。結界を始動させると、洞窟の中に足を踏み入れる。
――洞窟は思いの他横幅があり、天井が高い。
怠惰に属する歪虚は巨人が多い。あれが通るのであれば、このくらいの広さと高さは必要か……。
薄暗い中、ごつごつとした岩肌を乗り越える。
侵入を覚られぬようにする為、誰しもが無言で……身が切れるような寒さの中、物音を立てぬように慎重に進む。
あれから5分ほど進んだだろうか。景色に変化がない。
帰りは一気に箒に乗って脱出するにしても、時間はきちんと計算しないといけない。
こんなところで怠惰に感染して動けなくなれば――命も危うい。
少しでも早く進みたい気持ちを抑え、歩み続けるハンター達。
前方に、光が漏れている場所があることに気が付いた。
――ちょっと上行って見て来るっす。ここで待ってて欲しいっす。
仲間達に手を振って合図する神楽。仲間達がこくこくと頷くのを確認すると、箒に跨り一気に上昇する。
周囲を見渡す彼。
光が漏れていたのは、どうやら洞窟の天井に穴が開いているらしい。
そしてその下に、どこかで見たようなモノが落ちていることに気が付いた。
「……あれ、リアルブルーの宇宙船っすかね……?」
呟く神楽。
さして大きくはない船だが……旅客船だろうか。
何であんなものがこんなところに……?
洞窟の天井は、あの宇宙船がぶつかって開いたものか。さてまた元々開いていた穴にたまたま入り込んだのかは分からなかったけれど。
洞窟の中で光を浴びる朽ちた宇宙船というのは――何とも不思議な光景だった。
光が差しているお陰で、宇宙船が良く見えて……あちこちに浮かぶ錆や剥げた塗装からして、古いものだということが伺える。
ところどころ修理されているような様子も見て取れた。
――そして宇宙船より更に奥の洞窟には、巨人達がいて……すわ見張りかと隠れかけたが、すぐにやめた。
何故って、巨人達はすやすやと気持ちよさそうに眠っていたので――。
……本拠地だというのに警戒する素振りが見られないっす。見張りとか立てなくていいんすかね……?
神楽はそこまで考えて、すぐに気づいた。
――入口の時点で猛烈な『怠惰』が漏れ出していた。
ハンターですら結界がなければ動けぬ程のそれだ。そもそも生物が、動ける状態でここにたどり着くことが出来ない。
わざわざ見張りを立てる必要もないということなのだろう。
戻ってきた神楽に、めいは極力声を抑えて話しかける。
「おかえりなさい。どうでした……?」
「あっちにリアルブルーの宇宙船があったっす。大分古いんすけど、修理されてるみたいっすし、誰か使ってるのかもしれないっす」
報告に顔を見合わせるフラメディアとラミア、イェルズ。
こんなところに宇宙船。しかも修理されて使われているとなると……怠惰の歪虚のうちの誰かが寝泊まりしている可能性が高い。
ラミアは動物霊の力を身に宿し、聴覚を大幅に上昇させると、耳を澄ます。
……聞こえるのは風の音。水の滴る音。カチャリという陶器がぶつかるような音。
そして微かに聞こえるのは――。
「……あの中から人の声がする」
「誰の声か分かるかえ?」
「そこまではちょっと分かんないな……低い声と高い声は聞こえた」
「ふむ……」
ラミアの言葉に考え込むフラメディア。
正体は分からぬが、『話し声がする』ということは……何かしらの高位歪虚がいるのだろう。確かめる価値はありそうだ。
「……ひとまず、あの宇宙船の中を調べてみるとするかの」
「賛成っす。中入れるとこがあるか探ってみるっす」
朽ちた宇宙船に近づいたハンター達は、空気が異様に重いことに気が付いた。
――これは『怠惰』のせいだけではない。恐らく膨大な負のマテリアルの影響だ。
勿論、敵の本拠地である為、当然と言えば当然なのだが……。
怠惰の高位歪虚である青木やトーチカと言えどもここまでのマテリアルは撒き散らさない。
この中に『膨大な負のマテリアルを抱える何かがいる』というのを示す根拠であるようにも思える。
――リアルブルーの船に間違いなさそうですね。
――軍のマークがないから民間のものでしょうか……?
――怠惰の王の根城、というにはちょっとお粗末な感じだけどね。
――まあ、あやつらのことじゃ。ここにあったから使ってみているだけかもしれんがの……。
――あった! ここから入れるっすよ!!
声を発さずに身振り手振りで意思の疎通を図るイェルズとめい、ラミアとフラメディア。
神楽の合図に、一気に緊張が高まる。
彼が指さす先には出入口の扉。神楽も動物霊の力を宿らせ、聴覚を上昇させて聞き耳を立てる。
確かに船の中から微かに話し声は聞こえるが……扉からは離れているような気がする。
神楽は扉に手をかけ、そーっと引き開けて……。
キイィイィイィ……。
軋む扉の蝶番の音がやたら大きく聞こえる。
音で気づかれたかとヒヤリとしたが、内部が騒がしくなった様子はない。
ハンター達は急いで船の中にその身を滑らせる。
この時点で既に7分経過している。
残りの時間であとどれだけ探索出来るか――。
船の中の廊下は狭く、扉がずらりと並んでいて……めいと神楽にとっては見慣れた、普通の旅客船の光景。
通路が1つしかない為、ここを塞がれると逃げようがない。
最悪は壁をぶち抜くしかないか――。
そんな算段を立てていたフラメディア。
物音がする部屋を見つけたらしい。神楽とラミアが仲間達に合図を送る。
そっと忍び寄るめいとフラメディア。
話し声はしなくなっていたが、扉の向こうから確かにガサゴソという音は聞こえて来る。
仲間達は頷き合うと、そっと扉を引き開けた。
「……お邪魔するっすー」
「……んー? 何だい? お前達出掛けたんじゃなかったのかい?」
恐る恐る部屋に入る神楽に応える声。
決して広くはない室内に、ちょこまかとパペットマンが歩き回っている。
どうやら飲み物を運んでいるらしい。
「入るなら早くお入りよ。報告があるんだろ?」
こちらを見ずに続ける声の主。
……この声には聞き覚えがある。めいには分かる。トーチカのものだ。
でも、肝心のトーチカがいない。
いや、正確には目の前にヒトが横たわっていて、パペットマンから飲み物を受け取ってぐびぐびと飲んでいる。
くたびれたスウエットの上下を着た、地味な人物。
いつまでも動こうとしないハンター達を不思議に思ったのか振り返る。
見るとそばかすだらけで、細い目は一重で眉毛はなく、髪はブロンドだがショートヘアで……やっぱり見覚えがない。
ラミアは困惑した様子で仲間達を振り返る。
「……えっと……。こいつがオーロラ……じゃないよね?」
「オーロラにしては育ち過ぎなんじゃないですかね……」
「はて。怠惰にこんな魔人いたかの……?」
「トーチカさんの声はするんですけど……」
三人三様の反応を返すイェルズとフラメディア、めい。
突然のハンターの出現に固まっていた人物は我に返ったのか思い切り飛びずさった。
「ぎゃああああ!? お、お前達なんd」
「しーーっ! 声が大きいっす!!」
慌てて謎の人物の口を手で塞ぐ神楽。聞こえた声に、めいが目を丸くする。
「……その人からトーチカさんの声がします」
「へっ? トーチカってもっとこう、ばいんばいんで派手な美人じゃなかったっすか……?」
「すっぴん見られたあああああ! もうお嫁に行けないーーーー!!!」
顔を覆ってわんわんと泣き出す人物。
――その瞬間、ハンター達は覚った。
……この正体不明の人物は、すっぴんのトーチカだ……!!
「……化粧とウィッグで盛ってたんだね」
「時々いらっしゃいますよね、こういう方……」
「ちょ、ちょっと外見変わりすぎじゃないです!?」
「女って怖いっす……」
しみじみというラミアとめいに、ガクブルと震えるイェルズと神楽。
いいことを思いついたのか、フラメディアはにんまりと笑うと、トーチカを覗き込む。
「突然入って来て乙女の秘密を暴いてしまってすまなんだのう。ちょっと急いでおったゆえ」
「御免で済んだらおしおきは要らないんだよ! せっかくグラマラスクイーンで通ってたのにどうしてくれるんだい! っていうかお前達どうやってここまで来たんだよ!!」
「あ、私、この間ビックマーさんの親衛隊に任命されたんですよ。そんな栄誉を賜ったので、改めてご挨拶に来たんですけど、道に迷ってしまって……」
「そうそう。そうなんすよ」
「ビックマー様親衛隊だって……!? あたしだってまだ任命されてないってのに……!!」
めいの言葉にうんうんと頷く神楽。そう、嘘は全く言っていない。彼女が親衛隊に任命されたのも本当だ。挨拶も出来ることならしたいというのも事実。
わなわなと震えるトーチカに、フラメディアが畳みかける。
「妾達も忙しうてな。そろそろ戻らねばならぬゆえ、改めて手土産を持って来たい。……ビックマーとオーロラについて知っておることを話してはくれんかの?」
「……あんた達、ハンターの癖にビックマー様の傘下に下るっていうのかい?」
「傘下になるも何も、もう親衛隊ですし!」
「うむ。それにタダでとは言わぬ。……お前の秘密を、守ってやってもよいぞえ? お前とて苦労して築きあげたイメージをここで崩したくはなかろう?」
めいとフラメディアのにこやかな笑顔にぐぬぬと唸るトーチカ。がっくりと肩を落とすとハンター達を見る。
「……一体何が知りたいのさ」
「えっと、オーロラってどんな子なんだい? 外見とか、性格とか……」
「ん? そうだね。赤っぽい金髪の、13~4歳くらいの子だよ。性格は良く分からないねえ。寝てばかりだし。あの子の世話はセルトポとモルッキーが良く焼いてるから、あいつらに聞いた方が分かるかもしれないよ」
ラミアの問いに考えながら答えるトーチカ。神楽はしきりに頷きながら続ける。
「トーチカさん。セルトポさんとモルッキーさんは今日はどこにいるんすか?」
「あいつらはちょっとおつかいに行っちまっててねえ。何だい? あいつらに会いたかったのかい?」
「そうっす! 俺、トーチカ一味のファンなんす!! サイン貰いたかったっすよ!」
「おやおや。あたし達のファンだなんて嬉しいねえ……! でもすっぴん見て失望したんじゃないのかい?」
「そんなことないっすよ! トーチカさんカッコいいっs」
「結婚して」
「ちょ、ちょっとトーチカさん落ち着きましょう?」
神楽に食い気味に迫るトーチカをどうどう、と宥めるめい。残り時間を気にしながら問いかける。
「えっと、ビックマーさんとオーロラさんはいつどこで出会ったのか聞いたことあります?」
「さてねえ。あたしが歪虚になった時からもうあんな感じだったし。ビックマー様はあまりオーロラについて話したがらないんだよねえ」
「そうですか。あのお2人はいつも一緒なんですか?」
「そういう訳じゃないさね。オーロラをここに残してビックマー様だけ出掛けて行くことがあるよ」
「オーロラさんが1人の時って何されてるんです?」
「大体寝てるねえ。あたしもそうだけど、あの子も全然動かないし。ビックマー様がお戻りになられたら抱き枕にしてるみたいだけど」
「ふむ? あの巨体を抱き枕にしておるのかえ?」
「まさか。ビックマー様はぬいぐるみサイズにもなれるんだよ。あたし達の前では大抵フルサイズだけど、あの子と一緒にいる小さくなってることが多いね」
トーチカの言葉に顔を見合わせるハンター達。
オーロラの情報は予想の範囲内だったけれど――ビックマーのサイズが変化可能であるとは知らなかった。
時計をちらりと見たフラメディア。そろそろ戻らねばいけない時間だ。
彼女はすっぴんの歪虚を見つめる。
「最後にもう1つだけ聞きたい。ビックマーとオーロラは、一体どういう関係なんじゃ?」
「……怠惰王とそのおまけってとこじゃないのかい。ビックマー様はやたらとオーロラを気にかけてはいるけどねえ」
フン、と鼻を鳴らすトーチカ。
オーロラは、敬愛するビックマーに贔屓されているとでも感じているのだろう。
面白くなさそうな彼女からそれが伺えて……フラメディアはふむ、と考え込む。
「そうかえ。色々教えて貰って助かった。感謝するぞえ」
「皆、そろそろ時間だよ」
「はーい。じゃあ、失礼しますね」
「あ、もう帰るのかい? あたしの秘密、ちゃんと守ってくれるんだろうね?!」
「大丈夫っす! 約束は守るっs」
「結婚して」
ラミアの声に頷き、ぺこりとお辞儀をするめい。
ぐっと親指をあげた神楽に、やっぱりトーチカは食い気味に迫っていた。
「……青木? ビックマーは……? どこ……?」
「今外している。どうかしたか?」
「……誰か来たみたい。知らない子達」
「……それは確かか?」
「うん……。今まで知らない子なんて来たことないし……ビックマーのお友達かな……」
「ふむ。俺が調べておこう。お前は心配しないで良い」
「そう……? 青木はいいこね……」
黒衣の歪虚に蕩けた笑みを向ける少女。ふぁ……と欠伸をすると、再び微睡の中に沈んで行く。
――ネズミが数匹入り込んだか? 思ったより早かったじゃないか。
あいつらには精々働いて貰って、あのクマの喉元に刃を突きつけて貰わなくては……。
ニヤリと笑う黒い歪虚。
――そうだ。早くあの邪魔なクマを吸収しなければ。
そうすれば、俺は―――を守れる。
……守る? 何を? 誰を……?
微かに痛む頭を押さえる黒衣の男。
――その背後を、ふわりと銀色の蝶が舞った。
「……イェルズ。良く無事で戻ったな」
「はい! 皆さんがいてくれたんで……!」
「お父さんに心配かけるといけないと思ったんで頑張ったんですよ。ね? ラミアさん」
「ホントだよ。イェルズすーぐ無茶するからね。ちょっとバタルトゥからも言ってやって」
「えっ。ちょっ。俺ちゃんと謝りましたよね!?」
「「行動を改めないと意味がない」んですよ」
イェルズの姿を見て安堵のため息を漏らしたバタルトゥ・オイマト(kz0023)。
続いたラミアとめいのツッコミに、彼はアワアワと慌てる。
怠惰の本陣を無事に脱出したハンター達は、早速部族会議に報告にやってきていた。
「……これが怠惰の本拠地の見取り図じゃ」
「時間が足りなくて、全部は見て回れなかったっすけどね」
「いいえ。これも十分な情報ですよ。ありがとうございます」
フラメディアと神楽から見取り図を受け取るヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)。
それを見つめながら口を開く。
「オーロラについては何かわかりましたか?」
「以前、夢幻城でファリフさん達が会った少女がオーロラであることは間違いなさそうでした」
「ビックマーは100mの巨体からぬいぐるみサイズに変化出来る、という情報くらいしか目新しいものはないかの……」
「あー。あと、怠惰の本陣に、何でかリアルブルーの宇宙船があったっす。旅客船だと思うんすけど……」
「リアルブルーの船、ですか?」
「ああ。ただ単に落ちているものを利用しただけかもしれないけど。何か因縁がある可能性も捨てきれないね」
「……そうですか。分かりました。オーロラについてはまた追って調査をお願いするかもしれません。皆さんお疲れでしょう。良く休まれてくださいね」
ヴェルナーの言葉に頷くハンター達。
結界があったとはいえ、強烈な負のマテリアルの影響は確実にあって……疲れた身体を引きずりつつ、帰路についたのだった。
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相談卓 フラメディア・イリジア(ka2604) ドワーフ|14才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/08/19 23:37:41 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/18 09:14:05 |