ゲスト
(ka0000)
【空蒼】魔術師の弟子とキノコとVOID
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/28 12:00
- 完成日
- 2018/09/04 21:00
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●リアルブルーへ
グラズヘイム王国在住の魔術師の弟子ルゥルは荷物を詰める。
「リアルブルーのキノコが楽しみなのです。ポルムは連れて行ってもいいそうなので、こっそり入っておけばよいのです。フレオは飲食店に入れないそうなので、お留守番です。キソシロよろしくお願いします」
「にゃああ」
ユグディラのキソシロがうなずきながら、窓辺でまどろむ。フレオはフェレットで小屋の中でハンモックではなく床で寝ている。
パルムのポルムは楽しそうに自分のリュックサックに色々荷物を詰めている。
「リアルブルーのオフィスでキノコ焼いて食べていいと言ってくれました!」
ルゥルが喜びに満ちているのは、リアルブルーに行ける上、キノコを見て食べらるためである。リアルブルーでのキノコ調査は危険や滞在費の高さを考えると断念せざるを得なかったため、今回のイベントは嬉しい限りだ。
オフィスの人がくれたイベント情報は次である。
秋を前に、キノコの予習? 夏のキノコ、展示即売会
自由研究にいかが? 会場は屋内なため、涼しいですよー。
食べ比べ、シイタケ採取体験、マッシュルーム時間内取り放題、作家さんによるキノコグッズの即売会など内容盛りだくさん!
キノコは買うことはできそうだが、持って帰れない。そのため、オフィスで食べていいという許可をもらったのだ。
「楽しみなのです、行き方もきちんと聞きましたし、移動の順序も切符の買い方も聞きました。駅員さんを見つけて聞けと言うことです」
そして、しっかり前日は寝て、当日を迎え、護衛というかお守りのハンターとともに、秋葉原から電車に乗り、何とか現地に到着した。
「み、みぎゃああああああ」
感激の声をあげる。
会場内、キノコは少しだけでも存在はするし、リアルブルーにいること、リアルブルーの少しでもキノコを見たことは嬉しい。
「た、食べたいのです」
試食のキノコ炒めをもらって小躍りする。
「みぎゃあああ」
ルゥルは大興奮だった、店員がドン引きするほど。
「リアルブルーのキノコ、美味しいのです」
「ひょっとして、ハンターなの?」
お守りのハンターも一般人に混じることを想定した格好なため、ハンターだと気づきづらいようだった。
「一応そうです」
「こんな子もいるのね。異文化交流ね! もっと、食べたい?」
店員は純粋に嬉しそうに応対する。
「はいですー。あと、違うキノコもたくさん買って、食べるのです」
「そう? ぜひ、楽しんでね。うちの商品も気に入ったら買ってね!」
店員はしっかりとセールスをした。
「VOIDと戦っていると聞いているし、わいろみたいについつい優遇しそう」
冗談か本気かわからないことを述べた店員に別れを告げ、別のスペースを見にルゥルは移動した。
●ぽんこつ
ぽんこつ守護者だと南雲 芙蓉はわかっているが、改めて言われると落ち込まないこともなかった。
どうしていいのか、何を目指すのか?
「役立たず……」
唇をかむ。
何もやっていないわけではないが、クリムゾンウェストのハンターに比べてどうなのだろうか? やる気だけでは空回りしていく。
大精霊には生きてほしい。
守護者とは何をすればいいのか、もっと役に立ちたい――などと悩んでいる余裕は徐々になくなる。イクシード・アプリやら使徒とか知らないことばかりが起こっているからだ。
芙蓉は大きく息を吐き、椅子から立ち上がった。
「一度、頭を冷やしたほうがいいのですよね」
外出することにした。街に出て、ただ日常を送る人を見ることも重要だと考えた。
そのため、秋葉原から近い百貨店などがある地域にやってきた。
オフィス街でもあるため、平日ならば大人が多い地域だが、休みの日ということもあり、子ども連れも見られる。
平穏、そのものだった。
VOIDが存在していても、襲撃がなければ笑顔で街を闊歩できるのだ。
ガラス越しに催しがやっているのが見えた。
キノコをほおばっている子供が見え、その肩にこっそりパルムがいる。
「……ハンターですね」
頼りすぎてはいけないけれど、頼りになる存在。そこにあるのは日常を送る子供の姿。
「……自分の世界のことは自分で……」
シュレディンガーがばらまいたと思われるアプリは問題はある。ただし、VOIDに対抗しよう、自分で守ろうという考えを満たす内容だった。
「……え?」
負のマテリアルを感じる。
「どこ、ですか?」
周囲を見渡すと何かいるのが見えた。
芙蓉は走り出すと何かいた場所の座標をおぼえ、一旦オフィスに戻った。そして、結局、ハンターを頼る。一瞬、自分の情けなさに顔を伏せた。
(ぽんこつでもいいのです……ぽんこつでも)
顔をあげて、唇を一文字に結ぶ。
(あの子たちに頼めばよかった? いえ、装備も必要です……そのためには、別途に依頼したほうがいいのです)
芙蓉は緊急という文字を記載し、依頼を出した。
オフィス街かつ商業施設がある場所を指し示し、VOIDがいる可能性が高いため、早急の排除を頼んだ。
●阿鼻叫喚
ルゥルはシイタケを取った後、キノコ売りの店の売り子を質問攻めにした。質問攻めにされた店員はクリムゾンウェストのキノコ事情を逆に質問し、互いに楽しんでいた。
ルゥルはかたっぱしから、お金が許す限り買う。
マッシュルーム取りの行われる時間まで、お守りのハンターと昼食やおやつを取ることになった。ルゥルは後でキノコ尽くしが待っているため、パンとクッキーという軽いおやつだ。
「楽しいのです。他もお店がたくさんあるのです?」
イベント会場がどこかの施設の一部だということに意識が行ったらしい。
「見てみたいのです」
ルゥルは吹き抜けを見上げた。
このとき、ガラスが割れる音と悲鳴が響き渡った。
「み、みぎゃあああああああああ」
ヒトデのような、甲殻の生物のような謎の物体がわらわらと現れたのだった。
「歪虚なのです? こ、怖いですけれど……頑張らないといけないのですっ!」
ルゥルはキノコ満載の荷物からワンドを取り出し握りしめた。
「ここは俺たちがやってやるぜ」
「そうだ! そのための力だもの!」
吹き抜けのどこからか声が上がる。ルゥルの魔導スマートフォンみたいなものを操作する彼らから負のマテリアルを感じた。
「……みぎゃ?」
そちらに意識が行っている間に、VOIDとともに入ってきたリアルブルーの人らしい人物がいた。ギラギラと輝く目で、ルゥルたちにナイフを振り上げ向かってくる。
「ハンターは死ねえええ、お前らがVOIDを連れてくるんだろぉおお」
「み、みぎゃああああああ」
ルゥルの悲鳴が響いた。
グラズヘイム王国在住の魔術師の弟子ルゥルは荷物を詰める。
「リアルブルーのキノコが楽しみなのです。ポルムは連れて行ってもいいそうなので、こっそり入っておけばよいのです。フレオは飲食店に入れないそうなので、お留守番です。キソシロよろしくお願いします」
「にゃああ」
ユグディラのキソシロがうなずきながら、窓辺でまどろむ。フレオはフェレットで小屋の中でハンモックではなく床で寝ている。
パルムのポルムは楽しそうに自分のリュックサックに色々荷物を詰めている。
「リアルブルーのオフィスでキノコ焼いて食べていいと言ってくれました!」
ルゥルが喜びに満ちているのは、リアルブルーに行ける上、キノコを見て食べらるためである。リアルブルーでのキノコ調査は危険や滞在費の高さを考えると断念せざるを得なかったため、今回のイベントは嬉しい限りだ。
オフィスの人がくれたイベント情報は次である。
秋を前に、キノコの予習? 夏のキノコ、展示即売会
自由研究にいかが? 会場は屋内なため、涼しいですよー。
食べ比べ、シイタケ採取体験、マッシュルーム時間内取り放題、作家さんによるキノコグッズの即売会など内容盛りだくさん!
キノコは買うことはできそうだが、持って帰れない。そのため、オフィスで食べていいという許可をもらったのだ。
「楽しみなのです、行き方もきちんと聞きましたし、移動の順序も切符の買い方も聞きました。駅員さんを見つけて聞けと言うことです」
そして、しっかり前日は寝て、当日を迎え、護衛というかお守りのハンターとともに、秋葉原から電車に乗り、何とか現地に到着した。
「み、みぎゃああああああ」
感激の声をあげる。
会場内、キノコは少しだけでも存在はするし、リアルブルーにいること、リアルブルーの少しでもキノコを見たことは嬉しい。
「た、食べたいのです」
試食のキノコ炒めをもらって小躍りする。
「みぎゃあああ」
ルゥルは大興奮だった、店員がドン引きするほど。
「リアルブルーのキノコ、美味しいのです」
「ひょっとして、ハンターなの?」
お守りのハンターも一般人に混じることを想定した格好なため、ハンターだと気づきづらいようだった。
「一応そうです」
「こんな子もいるのね。異文化交流ね! もっと、食べたい?」
店員は純粋に嬉しそうに応対する。
「はいですー。あと、違うキノコもたくさん買って、食べるのです」
「そう? ぜひ、楽しんでね。うちの商品も気に入ったら買ってね!」
店員はしっかりとセールスをした。
「VOIDと戦っていると聞いているし、わいろみたいについつい優遇しそう」
冗談か本気かわからないことを述べた店員に別れを告げ、別のスペースを見にルゥルは移動した。
●ぽんこつ
ぽんこつ守護者だと南雲 芙蓉はわかっているが、改めて言われると落ち込まないこともなかった。
どうしていいのか、何を目指すのか?
「役立たず……」
唇をかむ。
何もやっていないわけではないが、クリムゾンウェストのハンターに比べてどうなのだろうか? やる気だけでは空回りしていく。
大精霊には生きてほしい。
守護者とは何をすればいいのか、もっと役に立ちたい――などと悩んでいる余裕は徐々になくなる。イクシード・アプリやら使徒とか知らないことばかりが起こっているからだ。
芙蓉は大きく息を吐き、椅子から立ち上がった。
「一度、頭を冷やしたほうがいいのですよね」
外出することにした。街に出て、ただ日常を送る人を見ることも重要だと考えた。
そのため、秋葉原から近い百貨店などがある地域にやってきた。
オフィス街でもあるため、平日ならば大人が多い地域だが、休みの日ということもあり、子ども連れも見られる。
平穏、そのものだった。
VOIDが存在していても、襲撃がなければ笑顔で街を闊歩できるのだ。
ガラス越しに催しがやっているのが見えた。
キノコをほおばっている子供が見え、その肩にこっそりパルムがいる。
「……ハンターですね」
頼りすぎてはいけないけれど、頼りになる存在。そこにあるのは日常を送る子供の姿。
「……自分の世界のことは自分で……」
シュレディンガーがばらまいたと思われるアプリは問題はある。ただし、VOIDに対抗しよう、自分で守ろうという考えを満たす内容だった。
「……え?」
負のマテリアルを感じる。
「どこ、ですか?」
周囲を見渡すと何かいるのが見えた。
芙蓉は走り出すと何かいた場所の座標をおぼえ、一旦オフィスに戻った。そして、結局、ハンターを頼る。一瞬、自分の情けなさに顔を伏せた。
(ぽんこつでもいいのです……ぽんこつでも)
顔をあげて、唇を一文字に結ぶ。
(あの子たちに頼めばよかった? いえ、装備も必要です……そのためには、別途に依頼したほうがいいのです)
芙蓉は緊急という文字を記載し、依頼を出した。
オフィス街かつ商業施設がある場所を指し示し、VOIDがいる可能性が高いため、早急の排除を頼んだ。
●阿鼻叫喚
ルゥルはシイタケを取った後、キノコ売りの店の売り子を質問攻めにした。質問攻めにされた店員はクリムゾンウェストのキノコ事情を逆に質問し、互いに楽しんでいた。
ルゥルはかたっぱしから、お金が許す限り買う。
マッシュルーム取りの行われる時間まで、お守りのハンターと昼食やおやつを取ることになった。ルゥルは後でキノコ尽くしが待っているため、パンとクッキーという軽いおやつだ。
「楽しいのです。他もお店がたくさんあるのです?」
イベント会場がどこかの施設の一部だということに意識が行ったらしい。
「見てみたいのです」
ルゥルは吹き抜けを見上げた。
このとき、ガラスが割れる音と悲鳴が響き渡った。
「み、みぎゃあああああああああ」
ヒトデのような、甲殻の生物のような謎の物体がわらわらと現れたのだった。
「歪虚なのです? こ、怖いですけれど……頑張らないといけないのですっ!」
ルゥルはキノコ満載の荷物からワンドを取り出し握りしめた。
「ここは俺たちがやってやるぜ」
「そうだ! そのための力だもの!」
吹き抜けのどこからか声が上がる。ルゥルの魔導スマートフォンみたいなものを操作する彼らから負のマテリアルを感じた。
「……みぎゃ?」
そちらに意識が行っている間に、VOIDとともに入ってきたリアルブルーの人らしい人物がいた。ギラギラと輝く目で、ルゥルたちにナイフを振り上げ向かってくる。
「ハンターは死ねえええ、お前らがVOIDを連れてくるんだろぉおお」
「み、みぎゃああああああ」
ルゥルの悲鳴が響いた。
リプレイ本文
●少し前
秋葉原のハンターオフィスでアシェ-ル(ka2983)は依頼人の南雲 芙蓉がいるのに気づいた。
「あっ、南雲 芙蓉さんですよね! ビックネームの方から依頼だなんて! よろしくお願いします!」
「そんな、たいそうな者ではないです。依頼を受けてくださってありがとうございます」
どこか暗い表情の芙蓉にアシェ-ルは内心首をかしげる。
「依頼には同行されないんですよね」
「……足手まといになりますから」
「うーん……小難しいことは私も苦手です。手と足があるんです! がむしゃらにやるだけです」
芙蓉は驚いたように目を見開いたあと、うなずいた。
「そうです、サインもらって行ってもいいですか」
アシェ-ルに言われて芙蓉はきょとんとなった。
マリィア・バルデス(ka5848)はルゥル(kz0210)が人にぶつかったり、転んで踏まれたりしないか行動を注意して見ていた。ルゥルが店員とキノコ談義を店員と始めたときは、別のキノコ屋と話をして情報を仕入れおく。
エステル・ソル(ka3983)はルゥルと一緒に楽しんでいた。
「キノコさんおいしいのです。グッズもこんなにあるのですね!」
レイア・アローネ(ka4082)はリアルブルーのキノコを興味深そうに見つつ、ふと、エステルとルゥルのはしゃぎ方が重なっていく。
「エステルもみぎゃとか……可愛いが……ああ、いや……」
ルゥルの言葉が頭に残っているようだ。
VOID等により、この平穏が打ち破られるのだった。
メイム(ka2290)は芙蓉の示した周囲を探したが何も見つからないため、溜息を洩らした。痕跡を見つけるが、その先にはビルが多いうえ、人も多い。そもそも地域への規制が入っているわけではない。
「こんなに大きな建物が多いと探すのが大変だよね」
ガラスが割れる音と悲鳴が届く。
ユウ(ka6891)はどの建物か目で追う。
「あちらですね。歪虚の痕跡の方向ですね。急ぎましょう」
一行が急ぐ、VOIDの移動した可能性がある方向に。
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は大きな通りの反対側から見ると、建物のガラスが砕けていた。
「あそこだな……イベント会場か? ちっ、敵の移動先がこんな人が多い場所かよ」
一行は覚醒状態になり、車の状況を見て、走るまたはスキルで飛ぶなど方法を用いて急いだ。
●避難開始せよ
カーミン・S・フィールズ(ka1559)はルゥルの護衛として来ていたが、キノコの話には飽きが来ていた。仕事はしつつも緊張感が薄くなっていたが、VOIDが出たことで一気に緊張する。仲間の行動を見て、カーミンは動く。
リアルブルーでイクシード・アプリや強化人間絡みで天使の話も聞いているため、嫌な予感も働いていた。
持ち物の巾着からマイクを取り出すと「はいはーい! 噂のハンターでーす」と明るい声を出しながら、吹き抜けの真ん中に出た。敵の意識が自分に集中し、一般人の心に余裕ができることを願った。
ルゥルは目の前のナイフに悲鳴を上げる。
「駄目です! 目をつむってはいけません。ルゥルさんは一歩下がってくださいです!」
エステルが盾を持って割って入る。
「狙うなら子供より大人を狙いなさい、臆病者!」
マリィアからの銃弾がナイフの持ち主に向かった。
盾にはじかれナイフは届かない。銃弾が迫る中、その人物は後方に飛び避けた。
「ちっ」
男から声が漏れる。ギラギラと輝く目はハンターに向けられている。
「お前の相手は私だ。できれば、歪虚の方を頼む」
レイアは覚醒状態でスキルを使い、暴走者との間合いを詰めた。彼の武器を落とさせ、無力化したい。
「任せる。歪虚の数は多いから、うまく動かないとならない」
マリィアはちらりとルゥルを見て前にでて二丁の銃を構えた。
「ルゥルさんは一歩下がってくださいです! 覚えていますか? 魔術師は一歩下がって全体を見て、前衛さんの助けになるのです」
「わ、わかりますです」
「あと、歪虚以外にアイスボルトは禁止です」
「はいです」
エステルはルゥルがマリィアの後方にいるのを見て、カーミンを援護するため位置を変える。吹き抜けのスペースがはっきり見える場所だ。
「数が多いのです」
指輪の力を使い【マジックアロー】を目視したVOIDに対して放った。
カーミンは一階のエスカレーターの運転を止めると、スキルを用い素早く二階に上がる。
「自動運転は止めるよー。安心して下りてね」
カーミンはアプリを使っている者たちに声をかける。彼らはうまく攻撃できず、VOIDではなく物を壊してしまっている。
「使ったお兄さんたちは仕方がない。ねえ、協力しよう! そっちの奥に逃げる人を手伝って、お願いねー」
「なんでだよー」
「こっちはこっちでするしー」
「あ、えっと……」
反応は芳しくはないが、一人は従ってくれる可能性は高かった。
建物の外から来たハンターたちは出入り口や中の様子が分かった。
「人がたくさんいるし、歪虚も結構いますね。壊れた窓から入るほうがいいみたいですね」
ユウは人が殺到している出入り口は避け、壊れている窓から入っていった。
「あれはルゥルと見知った人だよね。ピンチだ。行くよ」
メイムはそのままスキル【天駆けるもの】を使い、まさに飛び入った。
「建築なんたら法というので、出入り口が上にもあると聞いたことがあります」
「なら、あれだろう。簡単に壊せて入れるし、現場近くに入れるはずだ」
レイオスが指さしたところ目指してアシェ-ルは【マジックフライト】で飛ぶ。一方でレイオスはユウとメイムが入った後に続き中に入った。
敵の数と守るべきものが多いため、ルゥルのお守りのハンターたちは劣勢気味だ。壊れた窓から飛び込んできたモノが何か、緊張が走った。
「歪虚ですね……皆さん、ハンターの援軍です」
ユウは敵から精神的な圧力を感じたし、近くにいる人が怯えているのが分かった。
「ルゥルー、無事ぃ!」
メイムはレイアたちがいる方に下りると臨戦態勢になる。
「オレたち以外のハンターだな。どうやら最悪な事態にならないですんだか」
レイオスは内心つぶやくと、そのまま中心を鎧の力で飛び移動する。
三階で音がして、アシェ-ルが入ってくる。
「お待たせしましたー。ひょっとして、マリィアさんやカーミンさんがいたりして」
「いるわよー」
「ここからが本番」
カーミンとマリィアから安堵した声が上がった。
「手早く倒す。犠牲者は独りも出さないっ!」
「もちろんです!」
レイアとエステルが力を振るう体勢になった。
「みぎゃあ」
ルゥルも歓喜の声をあげ、頑張る。
●避難と戦い
メイムが【祓いしもの】を用いた。ただのリアルブルー人か強化人間かわからない状況なため、負のマテリアルの排除を試した。
そこにレイアが男に対し攻撃を叩き込み、武器を落とさせる。そのあと、組み伏せる。近接するあっさり相手は抑え込まれていた。
「はい、これで縛ってね」
「どうも」
メイムが縛れそうなものを手渡した。レイアが相手を動けなくしたところで、状況を聞く。
「上の方で噂のアプリとやらを使った奴がいる。あとは歪虚だな」
「この人、アプリを使った上暴走した感じじゃないね」
メイムはスキルでの手ごたえから推測する。
「思想的なことか?」
叩き込まれた攻撃で意識がもうろうとしているらしい彼を尋問はできないし、今はそれどころではない。
「私はあちらに向かおう」
「じゃ、こっちに行くよ」
レイアとメイムはそれぞれ敵がいる方に向かった。
「み、みぎゃああ」
「無理しなくていいのよ」
ルゥルが【アイスボルト】を放って敵が当たってくれたのはいいのだが、気勢が気力をそぐし心配したくなる。マリィアは的確にルゥルに近いVOIDに向かってスキルを用いて攻撃はしている。そうすることで避難する人の道確保にもつながる。
同じ一階でユウが【龍唱~破邪~】を用いたうえで、避難誘導を行っている。
「私たちがいます! こちらを通るならば、素早く入り口まで!」
盾を持ち、近づいてくるVOIDから一般人を守る。VOIDの外見はヒトデのようで、非常に大きい。その上、口から触手のような物が伸びる異形である。スーと音もなく近づいてこられるため、危険が大きかった。
(必要に応じてかばいます……硬直されている人がいた場合は……)
ユウは周囲に目を走らせる。二階から下りてくる人もいる。
「ここも自動停止。ほら、アプリ使ったお兄さんたち! 力使うには訓練もいるんだって! でも、その心意気はすごくいいから、誘導手伝って。すごく重要よ」
二階でカーミンは一般人の避難誘導とアプリ使用者の行動誘導を行う。
(天使みたいなのって、こいつらがVOIDを倒すとくるんじゃないかな?)
現在のところ彼らの攻撃は役に立っていない。ただし、制御できていない力は避難する人を傷つける危険がある。無理に戦わずとも、避難誘導してもらいたいところだ。
先ほどから一人はVOIDと一般人の間に立ち、誘導に移っている。
「ん? ソウルトーチを使うのね……そこが一番巻き込みすくないわね……とはいえ、こっちに下りようとするし……そこの人、売り場の方に逃げて!」
混乱気味の人たちは危ない行動をとるため、スキルを使う方が気を付けても肝を冷やす。そのため、できる限りフォローが必要になっていた。
レイオスは鎧の力で中空に浮かんだ状況で【ソウルトーチ】を用いる。むろん、人がいないことを確認してからだ。
「これから歪虚を引き付ける。危険だからオレの周囲と真下に近づくなよっ!」
VOIDの移動が激しいし、場所が広いため、まとまりがない。少しでも引き留めることは重要だった。
「それと、そこの奴ら。敵をどうにかしたいのはわかる。だがな、その格好で無理をするな。軍人だって装備を使っているんだぞ」
レイオスはアプリ使用者たちに忠告を出した。
「うるさい」
「そ、そうだよな……武器になるのはあっても」
「うっ」
防具はなかった。しぶしぶとした様子で残り二人も人の誘導に行動を変えた。
VOIDの動きが変わったところでエステルは使う魔法を検討する。しかし、場所が限られているため範囲魔法は使い勝手が悪かった。
「一般の人を巻き込まないのが一番重要です。みなさん、こちらを通ってください」
エステルはユウと客、VOIDの位置を見て、場所を決める。一般人とVOIDの間に割って入る入りだ。指輪の力を用い【マジックアロー】を最大限放つ。
敵はマテリアルを求めてうねうねと動き回っていた。
三階にいるアシェ-ルはVOIDと近くて怯えている人たちの間に割って入る。
「皆さん、落ち着いて急いで怪我しないように行ってくださいね。私は結構丈夫なので守りますから」
敵の行動を少しでも阻害するように【ジャッジメント】を放った後【マジックアロー】を出来る限り放った。
ただし、戦いになれていない人たちは、腰を抜かして逃げられないか出口に殺到する状態になっていた。
VOIDたちはそれぞれ思った通りの行動をとる。まとまり行動はしなくとも、気に障るモノは同じだった。
スキルにつられてレイオスや、スキルを使ってマテリアルを守っているユウに向かう。
一方で、目の前にいるモノを狙ったり、ハンター以外を狙おうとしたが、レイアが【ガイスジェイル】を用いたため、そちらに向かう。
分担をしつつハンターたちは攻撃を仕掛けていく。そのためにVOIDは数を減らす。
カーミンは懸念事項があるアプリ使用者の行動を視界に収めつつ、敵と対峙する。
ユウやエステルは動けなくなっている人達をかばうように戦った。怪我よりも腰を抜かしたり精神的に恐怖におののいて動けないようだ。レイアがそれを守るように前に出て行く。一階のVOIDが片付いたところで二階に向かった。メイムはVOIDの状況が落ち着いたと分かると三階に一気に上がる。
ルゥルはみぎゃみぎゃ言いながらも魔法で攻撃をしていた。マリィアはそれを見守りつつ戦う。
三階と二階のVOIDもレイオスやアシェ-ルが地道に倒していく。
反撃を食らいつつも、しばらくすると見える範囲にVOIDはいなくなった。
●キノコ
戦いが終わったところで、被害の状況を見る。けが人がいないわけではない。比較的重い怪我の者には【ヒール】や【アンチボディ】のスキルで少しでも軽くする。
会場はテーブルや売り物が転がっていた。
「キノコ売りのお兄さんやお姉さんは無事なのですか」
ルゥルは売り場でうろうろしていると、店員たちの姿を見つけた。
「せっかくのキノコがもったいないもの、片づけて帰りましょう。もしかしたら、砕けたキノコを格安で譲ってもらえるかも?」
マリィアが大人な発言をしている間、ルゥルは一生懸命キノコを拾っていた。それを見て、マリィアは口元を緩め、手伝う。
カーミンはアプリ使用者に対し、天使の噂を伝えると彼らは信じないと言いつつも非常に怯えている。
「もちろん、罪を犯していなければ安全の確保はされるから、安心して」
彼らは良かれとして行ったのに、迷惑になったことは辛かったようで、うなだれていた。
一方で、暴走していたものに話を聞くが、アプリの影響か分かりづらい。ただ、ハンターが憎いとしか言わなかった。
「論点のすり替えよね。でも、恐怖による思考の停止なのかもしれないわね」
彼の人生で何があったかは知る由もないが、保護はしてもらうべきだろう。
なお、会場内の片づけやけが人の救助に当たっていたハンターたちは三々五々一階に集まってくる。
「無事で何よりだが……何のイベントがやっていたんだ?」
レイオスの問いかけにルゥルがキノコを見せる。
「キノコの展示即売会なのです」
「くっ、もっと早く知っていれば参加できたのに」
レイオスが悔しがる。
「それですが、オフィスでキノコさんを焼いて食べてよいと許可をもらっているのです」
エステルがルゥルと来る時に聞いた話を説明した。
「おー。一緒に混ざってもいいよね。途中で、アルミホイルと調味料を仕入れて……玉ねぎとバターもあるといいかな」
メイムがにこにこルゥルを見る。
「そうですね。人数が増えるならば、買えるならキノコも入手していったほうがいいのですよね」
アシェ-ルが話に乗った。
レイアとユウは会場の回りを見て、敵がいないこと、この地の警備にあたる者が来たので戻ってきた。
「リアルブルーにいてもいつもと変わらないな」
レイアは仲間の様子を見てほっと息を吐く。
「そうですね。することは皆を守ることですし、終わればその分、こうして話せるのはよいことです」
ユウは笑顔になる。リアルブルーの人たちを守ることができたからこそ、こうしていられるのだ。
そのあと、秋葉原のオフィスにはキノコや調味料の匂いが漂うのだった。
秋葉原のハンターオフィスでアシェ-ル(ka2983)は依頼人の南雲 芙蓉がいるのに気づいた。
「あっ、南雲 芙蓉さんですよね! ビックネームの方から依頼だなんて! よろしくお願いします!」
「そんな、たいそうな者ではないです。依頼を受けてくださってありがとうございます」
どこか暗い表情の芙蓉にアシェ-ルは内心首をかしげる。
「依頼には同行されないんですよね」
「……足手まといになりますから」
「うーん……小難しいことは私も苦手です。手と足があるんです! がむしゃらにやるだけです」
芙蓉は驚いたように目を見開いたあと、うなずいた。
「そうです、サインもらって行ってもいいですか」
アシェ-ルに言われて芙蓉はきょとんとなった。
マリィア・バルデス(ka5848)はルゥル(kz0210)が人にぶつかったり、転んで踏まれたりしないか行動を注意して見ていた。ルゥルが店員とキノコ談義を店員と始めたときは、別のキノコ屋と話をして情報を仕入れおく。
エステル・ソル(ka3983)はルゥルと一緒に楽しんでいた。
「キノコさんおいしいのです。グッズもこんなにあるのですね!」
レイア・アローネ(ka4082)はリアルブルーのキノコを興味深そうに見つつ、ふと、エステルとルゥルのはしゃぎ方が重なっていく。
「エステルもみぎゃとか……可愛いが……ああ、いや……」
ルゥルの言葉が頭に残っているようだ。
VOID等により、この平穏が打ち破られるのだった。
メイム(ka2290)は芙蓉の示した周囲を探したが何も見つからないため、溜息を洩らした。痕跡を見つけるが、その先にはビルが多いうえ、人も多い。そもそも地域への規制が入っているわけではない。
「こんなに大きな建物が多いと探すのが大変だよね」
ガラスが割れる音と悲鳴が届く。
ユウ(ka6891)はどの建物か目で追う。
「あちらですね。歪虚の痕跡の方向ですね。急ぎましょう」
一行が急ぐ、VOIDの移動した可能性がある方向に。
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は大きな通りの反対側から見ると、建物のガラスが砕けていた。
「あそこだな……イベント会場か? ちっ、敵の移動先がこんな人が多い場所かよ」
一行は覚醒状態になり、車の状況を見て、走るまたはスキルで飛ぶなど方法を用いて急いだ。
●避難開始せよ
カーミン・S・フィールズ(ka1559)はルゥルの護衛として来ていたが、キノコの話には飽きが来ていた。仕事はしつつも緊張感が薄くなっていたが、VOIDが出たことで一気に緊張する。仲間の行動を見て、カーミンは動く。
リアルブルーでイクシード・アプリや強化人間絡みで天使の話も聞いているため、嫌な予感も働いていた。
持ち物の巾着からマイクを取り出すと「はいはーい! 噂のハンターでーす」と明るい声を出しながら、吹き抜けの真ん中に出た。敵の意識が自分に集中し、一般人の心に余裕ができることを願った。
ルゥルは目の前のナイフに悲鳴を上げる。
「駄目です! 目をつむってはいけません。ルゥルさんは一歩下がってくださいです!」
エステルが盾を持って割って入る。
「狙うなら子供より大人を狙いなさい、臆病者!」
マリィアからの銃弾がナイフの持ち主に向かった。
盾にはじかれナイフは届かない。銃弾が迫る中、その人物は後方に飛び避けた。
「ちっ」
男から声が漏れる。ギラギラと輝く目はハンターに向けられている。
「お前の相手は私だ。できれば、歪虚の方を頼む」
レイアは覚醒状態でスキルを使い、暴走者との間合いを詰めた。彼の武器を落とさせ、無力化したい。
「任せる。歪虚の数は多いから、うまく動かないとならない」
マリィアはちらりとルゥルを見て前にでて二丁の銃を構えた。
「ルゥルさんは一歩下がってくださいです! 覚えていますか? 魔術師は一歩下がって全体を見て、前衛さんの助けになるのです」
「わ、わかりますです」
「あと、歪虚以外にアイスボルトは禁止です」
「はいです」
エステルはルゥルがマリィアの後方にいるのを見て、カーミンを援護するため位置を変える。吹き抜けのスペースがはっきり見える場所だ。
「数が多いのです」
指輪の力を使い【マジックアロー】を目視したVOIDに対して放った。
カーミンは一階のエスカレーターの運転を止めると、スキルを用い素早く二階に上がる。
「自動運転は止めるよー。安心して下りてね」
カーミンはアプリを使っている者たちに声をかける。彼らはうまく攻撃できず、VOIDではなく物を壊してしまっている。
「使ったお兄さんたちは仕方がない。ねえ、協力しよう! そっちの奥に逃げる人を手伝って、お願いねー」
「なんでだよー」
「こっちはこっちでするしー」
「あ、えっと……」
反応は芳しくはないが、一人は従ってくれる可能性は高かった。
建物の外から来たハンターたちは出入り口や中の様子が分かった。
「人がたくさんいるし、歪虚も結構いますね。壊れた窓から入るほうがいいみたいですね」
ユウは人が殺到している出入り口は避け、壊れている窓から入っていった。
「あれはルゥルと見知った人だよね。ピンチだ。行くよ」
メイムはそのままスキル【天駆けるもの】を使い、まさに飛び入った。
「建築なんたら法というので、出入り口が上にもあると聞いたことがあります」
「なら、あれだろう。簡単に壊せて入れるし、現場近くに入れるはずだ」
レイオスが指さしたところ目指してアシェ-ルは【マジックフライト】で飛ぶ。一方でレイオスはユウとメイムが入った後に続き中に入った。
敵の数と守るべきものが多いため、ルゥルのお守りのハンターたちは劣勢気味だ。壊れた窓から飛び込んできたモノが何か、緊張が走った。
「歪虚ですね……皆さん、ハンターの援軍です」
ユウは敵から精神的な圧力を感じたし、近くにいる人が怯えているのが分かった。
「ルゥルー、無事ぃ!」
メイムはレイアたちがいる方に下りると臨戦態勢になる。
「オレたち以外のハンターだな。どうやら最悪な事態にならないですんだか」
レイオスは内心つぶやくと、そのまま中心を鎧の力で飛び移動する。
三階で音がして、アシェ-ルが入ってくる。
「お待たせしましたー。ひょっとして、マリィアさんやカーミンさんがいたりして」
「いるわよー」
「ここからが本番」
カーミンとマリィアから安堵した声が上がった。
「手早く倒す。犠牲者は独りも出さないっ!」
「もちろんです!」
レイアとエステルが力を振るう体勢になった。
「みぎゃあ」
ルゥルも歓喜の声をあげ、頑張る。
●避難と戦い
メイムが【祓いしもの】を用いた。ただのリアルブルー人か強化人間かわからない状況なため、負のマテリアルの排除を試した。
そこにレイアが男に対し攻撃を叩き込み、武器を落とさせる。そのあと、組み伏せる。近接するあっさり相手は抑え込まれていた。
「はい、これで縛ってね」
「どうも」
メイムが縛れそうなものを手渡した。レイアが相手を動けなくしたところで、状況を聞く。
「上の方で噂のアプリとやらを使った奴がいる。あとは歪虚だな」
「この人、アプリを使った上暴走した感じじゃないね」
メイムはスキルでの手ごたえから推測する。
「思想的なことか?」
叩き込まれた攻撃で意識がもうろうとしているらしい彼を尋問はできないし、今はそれどころではない。
「私はあちらに向かおう」
「じゃ、こっちに行くよ」
レイアとメイムはそれぞれ敵がいる方に向かった。
「み、みぎゃああ」
「無理しなくていいのよ」
ルゥルが【アイスボルト】を放って敵が当たってくれたのはいいのだが、気勢が気力をそぐし心配したくなる。マリィアは的確にルゥルに近いVOIDに向かってスキルを用いて攻撃はしている。そうすることで避難する人の道確保にもつながる。
同じ一階でユウが【龍唱~破邪~】を用いたうえで、避難誘導を行っている。
「私たちがいます! こちらを通るならば、素早く入り口まで!」
盾を持ち、近づいてくるVOIDから一般人を守る。VOIDの外見はヒトデのようで、非常に大きい。その上、口から触手のような物が伸びる異形である。スーと音もなく近づいてこられるため、危険が大きかった。
(必要に応じてかばいます……硬直されている人がいた場合は……)
ユウは周囲に目を走らせる。二階から下りてくる人もいる。
「ここも自動停止。ほら、アプリ使ったお兄さんたち! 力使うには訓練もいるんだって! でも、その心意気はすごくいいから、誘導手伝って。すごく重要よ」
二階でカーミンは一般人の避難誘導とアプリ使用者の行動誘導を行う。
(天使みたいなのって、こいつらがVOIDを倒すとくるんじゃないかな?)
現在のところ彼らの攻撃は役に立っていない。ただし、制御できていない力は避難する人を傷つける危険がある。無理に戦わずとも、避難誘導してもらいたいところだ。
先ほどから一人はVOIDと一般人の間に立ち、誘導に移っている。
「ん? ソウルトーチを使うのね……そこが一番巻き込みすくないわね……とはいえ、こっちに下りようとするし……そこの人、売り場の方に逃げて!」
混乱気味の人たちは危ない行動をとるため、スキルを使う方が気を付けても肝を冷やす。そのため、できる限りフォローが必要になっていた。
レイオスは鎧の力で中空に浮かんだ状況で【ソウルトーチ】を用いる。むろん、人がいないことを確認してからだ。
「これから歪虚を引き付ける。危険だからオレの周囲と真下に近づくなよっ!」
VOIDの移動が激しいし、場所が広いため、まとまりがない。少しでも引き留めることは重要だった。
「それと、そこの奴ら。敵をどうにかしたいのはわかる。だがな、その格好で無理をするな。軍人だって装備を使っているんだぞ」
レイオスはアプリ使用者たちに忠告を出した。
「うるさい」
「そ、そうだよな……武器になるのはあっても」
「うっ」
防具はなかった。しぶしぶとした様子で残り二人も人の誘導に行動を変えた。
VOIDの動きが変わったところでエステルは使う魔法を検討する。しかし、場所が限られているため範囲魔法は使い勝手が悪かった。
「一般の人を巻き込まないのが一番重要です。みなさん、こちらを通ってください」
エステルはユウと客、VOIDの位置を見て、場所を決める。一般人とVOIDの間に割って入る入りだ。指輪の力を用い【マジックアロー】を最大限放つ。
敵はマテリアルを求めてうねうねと動き回っていた。
三階にいるアシェ-ルはVOIDと近くて怯えている人たちの間に割って入る。
「皆さん、落ち着いて急いで怪我しないように行ってくださいね。私は結構丈夫なので守りますから」
敵の行動を少しでも阻害するように【ジャッジメント】を放った後【マジックアロー】を出来る限り放った。
ただし、戦いになれていない人たちは、腰を抜かして逃げられないか出口に殺到する状態になっていた。
VOIDたちはそれぞれ思った通りの行動をとる。まとまり行動はしなくとも、気に障るモノは同じだった。
スキルにつられてレイオスや、スキルを使ってマテリアルを守っているユウに向かう。
一方で、目の前にいるモノを狙ったり、ハンター以外を狙おうとしたが、レイアが【ガイスジェイル】を用いたため、そちらに向かう。
分担をしつつハンターたちは攻撃を仕掛けていく。そのためにVOIDは数を減らす。
カーミンは懸念事項があるアプリ使用者の行動を視界に収めつつ、敵と対峙する。
ユウやエステルは動けなくなっている人達をかばうように戦った。怪我よりも腰を抜かしたり精神的に恐怖におののいて動けないようだ。レイアがそれを守るように前に出て行く。一階のVOIDが片付いたところで二階に向かった。メイムはVOIDの状況が落ち着いたと分かると三階に一気に上がる。
ルゥルはみぎゃみぎゃ言いながらも魔法で攻撃をしていた。マリィアはそれを見守りつつ戦う。
三階と二階のVOIDもレイオスやアシェ-ルが地道に倒していく。
反撃を食らいつつも、しばらくすると見える範囲にVOIDはいなくなった。
●キノコ
戦いが終わったところで、被害の状況を見る。けが人がいないわけではない。比較的重い怪我の者には【ヒール】や【アンチボディ】のスキルで少しでも軽くする。
会場はテーブルや売り物が転がっていた。
「キノコ売りのお兄さんやお姉さんは無事なのですか」
ルゥルは売り場でうろうろしていると、店員たちの姿を見つけた。
「せっかくのキノコがもったいないもの、片づけて帰りましょう。もしかしたら、砕けたキノコを格安で譲ってもらえるかも?」
マリィアが大人な発言をしている間、ルゥルは一生懸命キノコを拾っていた。それを見て、マリィアは口元を緩め、手伝う。
カーミンはアプリ使用者に対し、天使の噂を伝えると彼らは信じないと言いつつも非常に怯えている。
「もちろん、罪を犯していなければ安全の確保はされるから、安心して」
彼らは良かれとして行ったのに、迷惑になったことは辛かったようで、うなだれていた。
一方で、暴走していたものに話を聞くが、アプリの影響か分かりづらい。ただ、ハンターが憎いとしか言わなかった。
「論点のすり替えよね。でも、恐怖による思考の停止なのかもしれないわね」
彼の人生で何があったかは知る由もないが、保護はしてもらうべきだろう。
なお、会場内の片づけやけが人の救助に当たっていたハンターたちは三々五々一階に集まってくる。
「無事で何よりだが……何のイベントがやっていたんだ?」
レイオスの問いかけにルゥルがキノコを見せる。
「キノコの展示即売会なのです」
「くっ、もっと早く知っていれば参加できたのに」
レイオスが悔しがる。
「それですが、オフィスでキノコさんを焼いて食べてよいと許可をもらっているのです」
エステルがルゥルと来る時に聞いた話を説明した。
「おー。一緒に混ざってもいいよね。途中で、アルミホイルと調味料を仕入れて……玉ねぎとバターもあるといいかな」
メイムがにこにこルゥルを見る。
「そうですね。人数が増えるならば、買えるならキノコも入手していったほうがいいのですよね」
アシェ-ルが話に乗った。
レイアとユウは会場の回りを見て、敵がいないこと、この地の警備にあたる者が来たので戻ってきた。
「リアルブルーにいてもいつもと変わらないな」
レイアは仲間の様子を見てほっと息を吐く。
「そうですね。することは皆を守ることですし、終わればその分、こうして話せるのはよいことです」
ユウは笑顔になる。リアルブルーの人たちを守ることができたからこそ、こうしていられるのだ。
そのあと、秋葉原のオフィスにはキノコや調味料の匂いが漂うのだった。
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【相談】歪虚殲滅&暴走者鎮圧 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/08/28 11:51:05 |
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【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/08/26 19:09:25 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/25 21:09:55 |