ゲスト
(ka0000)
レッツワーキン!
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/01/02 12:00
- 完成日
- 2015/01/08 06:20
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
その日、ハンターオフィスを訪れると、見慣れぬ受付嬢が一人、増えていた。
長く真っ直ぐに伸びた銀の髪に菫の瞳。輪郭は丸っこく、美人というよりは愛らしさのある顔立ちである。
しゃんと背筋を伸ばし座る姿、溌剌とした目の輝きはやる気に満ち溢れているのが良く分かる。
そんな少女にふと目を留めると、少女もそれに気がついたのか、こちらに向かって声を上げる。
「ハンターの先生様方、おひけえなすって!」
…………。
「ん? 先生様方、どうしなすったんでえ?
……はっ! これは失礼、手前どもとしたことが、ご挨拶が遅れていやした。
手前ども、ここより北方、辺境と称される地に住まうズヴォー族が一人、アン・ズヴォーと申しやす。
――忘れもしない6年前。部族の移動よりはぐれた折、雑魔に襲われ命を落とすあわやその時!
通りすがったハンターの先生様方に救われたこのご恩、返さぬとあっちゃあわが部族の誇りたる『ジンギ』に反する。
手前ども自身は覚醒者になれねぇ半端者ですが、ならばせめてハンターの先生様方のお役に立ちたいとソサエティの門をたたくこと七たび!
とうとう許可をいただきこうして受付嬢の任を賜ることとなりやした。
精一杯務めさしていただきますんで、手前どもに出来ることでしたらなんでも申し付けてくだせえ!」
澱みなく一気にそう言って少女は、どん、と拳で己の胸を叩く。
間違いなく、聴きなれない言葉はこの目の前の少女から発せられていた。
「……そんで今日は? はあはあ。任務をお探しで。そりゃ、先生方がこちらに来る理由っちゃあ、大体任務をお探しか任務の報告かどっちかですな。
ちょうどいい、ぜひとも先生方にお願えしたい件がありますんでえ」
そうしてその調子のまま、少女が扇子片手にぱちりと机をたたきながら語るには。
「――事の起こりは二年前。
はるばると北の地へと出入りする商人の、その奉公人が、彼の地に住まう部族の少女に恋をした!
以来、縁のあるたび町の品と噂話を手土産に、少女に愛を語る奉公人。
所詮、遊びなれた町の男の戯言よと、初めは相手にもしなかった少女だが。
次はいつになるかも知れぬその逢瀬のその度に、己を訪ねくる男の熱心さをついには認め。
やがては会える日を互いに心待ちにすることになったああ、そんな頃合のこと。
取引を終えた商人の帰り路、そこに雑魔の影が襲い来る!
命あってのものだねと、連れ立っていた護衛の活躍もありからくも難を逃れ、一件落着、と。
町に住まう商人にとってはひとまずそれで終わりでも、愛する女をこの地に残す男にとっちゃあそうもいかねえ。
奉公人は取り急ぎ、この件を伝えねばと主にそう願い出て、商隊を離れ一人ソサエティへと馬を走らせる!
かくして、ノアーラ・クンタウのソサエティに、辺境の地に雑魔現るとの報がもたらされたのが、今朝方のことってわけでさあ。
雑魔が出たのは、いま少女の部族が住む地のそのすぐ傍ではないとはいえ。
愛するものに万が一のことがあっちゃあならんと、寝る間も惜しみ、一人になる危険も顧みず危機を伝えに来た男の心意気、
こいつを無にして新たに被害者を出したとあっちゃあソサエティの名が廃る。
ってなわけで先生方、出番ですぜ!
北の地に現れた卑劣な雑魔どもを、先生達のお力でとっちめちまってくだせえ!」
長く真っ直ぐに伸びた銀の髪に菫の瞳。輪郭は丸っこく、美人というよりは愛らしさのある顔立ちである。
しゃんと背筋を伸ばし座る姿、溌剌とした目の輝きはやる気に満ち溢れているのが良く分かる。
そんな少女にふと目を留めると、少女もそれに気がついたのか、こちらに向かって声を上げる。
「ハンターの先生様方、おひけえなすって!」
…………。
「ん? 先生様方、どうしなすったんでえ?
……はっ! これは失礼、手前どもとしたことが、ご挨拶が遅れていやした。
手前ども、ここより北方、辺境と称される地に住まうズヴォー族が一人、アン・ズヴォーと申しやす。
――忘れもしない6年前。部族の移動よりはぐれた折、雑魔に襲われ命を落とすあわやその時!
通りすがったハンターの先生様方に救われたこのご恩、返さぬとあっちゃあわが部族の誇りたる『ジンギ』に反する。
手前ども自身は覚醒者になれねぇ半端者ですが、ならばせめてハンターの先生様方のお役に立ちたいとソサエティの門をたたくこと七たび!
とうとう許可をいただきこうして受付嬢の任を賜ることとなりやした。
精一杯務めさしていただきますんで、手前どもに出来ることでしたらなんでも申し付けてくだせえ!」
澱みなく一気にそう言って少女は、どん、と拳で己の胸を叩く。
間違いなく、聴きなれない言葉はこの目の前の少女から発せられていた。
「……そんで今日は? はあはあ。任務をお探しで。そりゃ、先生方がこちらに来る理由っちゃあ、大体任務をお探しか任務の報告かどっちかですな。
ちょうどいい、ぜひとも先生方にお願えしたい件がありますんでえ」
そうしてその調子のまま、少女が扇子片手にぱちりと机をたたきながら語るには。
「――事の起こりは二年前。
はるばると北の地へと出入りする商人の、その奉公人が、彼の地に住まう部族の少女に恋をした!
以来、縁のあるたび町の品と噂話を手土産に、少女に愛を語る奉公人。
所詮、遊びなれた町の男の戯言よと、初めは相手にもしなかった少女だが。
次はいつになるかも知れぬその逢瀬のその度に、己を訪ねくる男の熱心さをついには認め。
やがては会える日を互いに心待ちにすることになったああ、そんな頃合のこと。
取引を終えた商人の帰り路、そこに雑魔の影が襲い来る!
命あってのものだねと、連れ立っていた護衛の活躍もありからくも難を逃れ、一件落着、と。
町に住まう商人にとってはひとまずそれで終わりでも、愛する女をこの地に残す男にとっちゃあそうもいかねえ。
奉公人は取り急ぎ、この件を伝えねばと主にそう願い出て、商隊を離れ一人ソサエティへと馬を走らせる!
かくして、ノアーラ・クンタウのソサエティに、辺境の地に雑魔現るとの報がもたらされたのが、今朝方のことってわけでさあ。
雑魔が出たのは、いま少女の部族が住む地のそのすぐ傍ではないとはいえ。
愛するものに万が一のことがあっちゃあならんと、寝る間も惜しみ、一人になる危険も顧みず危機を伝えに来た男の心意気、
こいつを無にして新たに被害者を出したとあっちゃあソサエティの名が廃る。
ってなわけで先生方、出番ですぜ!
北の地に現れた卑劣な雑魔どもを、先生達のお力でとっちめちまってくだせえ!」
リプレイ本文
(デデン♪)
……………………………。
……………………………。
「わあぁあぁあぁぁぁ~~~!!!!」
見渡す限りの荒野に、勇ましき少女の雄たけびが響く。
腹の底まで空気を溜めて放たれるその轟きは、風を渡りさえぎるものなき荒野の地平のはてへと響き渡る。
「イヤさぁ、待つのもアレなんで、手っ取り早く雜魔の方にこっちを発見させようかなーって」
年相応の少女らしく、てへっと誤魔化すように言っちゃあいるが、それでも消せぬハンターとしての使命感がそこにある。
その存在、その意志は、確かに地を駆け巡ったか。
谺するかのような叫びが地平線の向こうへと消え、荒涼とする地に再び静寂が訪れたその時!
「……ほらほら、来たっぽいよ」
彼方より姿を現す黒き影、一つ、二つ、そこからぞろぞろと姿を現し始めた!
黒き犬の姿をとっちゃあ居るが、ぎろりと輝く異様な瞳に異形の牙と爪、そして隠しきれねえ禍々しき気配、間違いねえ、雑魔の群れだ!
人類の希望、ハンターと、にっくき歪虚の手先どもが、北の大地に激突する!
(デデン♪)
お目汚し失礼いたしやす。
此度報告書にしたためいたしますは、辺境と呼ばれし地に現れし雑魔と、その退治へと向かったハンターの先生方の大活躍。
しかしここより先、先生方よりお聞き及びした大活劇をお知らせする前に、此度お世話になりやした先生方のお人となりも残させてくだせえ。
冒頭に書き記しました勇ましき少女、超級まりお(ka0824)先生を初めとして、いずれも劣らぬ傑物ぞろい。
その話をするためにゃあ、時間は先生方が戦いを始めるよりもちょいとさかのぼりやす。
「ふむふむ。要は、人の恋路を邪魔する雑魔を馬の代わりに蹴ってくればいいんだねー」
てなわけで、時はさかのぼり所はソサエティ、手前どもからの説明が終わった折、一声あげなすったのはコリーヌ・エヴァンズ(ka0828)先生でさぁ。
手前どものつたねぇ話でそこまで分るたぁ理解が早い。
「うんうん、分かるよー。そういうのってすっごく心配になるもんねー!」
おまけに心優しきこの言葉。顔もしらねえ恋人同士のためにそこまでお考えになるたあ、手前ども感動でさあ。
「ということで、一匹残らず叩き潰してくるんだよー」
ちょいと剣呑さも見え隠れしますが、なに、この小柄な身体で悪鬼羅刹どもと闘ってくるんでさあ、敵に対してはそのぐらいじゃなきゃいけねえ。
「うむ、リアルブルーでは義を通す者のことを……確かエドッコ……ベランメー……と呼ぶんだったな……?」
手前どもとコリーヌ先生の話を聞いて、静かにうなづくのがグライブ・エルケイル(ka1080)先生。
困っているものが居れば助けるのがハンターの道理と、こちらも負けず劣らぬ高潔な志をお持ちであります。
ふむ。エドッコとやらはわからねえが、手前どもの文化は遊牧の中訪れた客人より流行り残ったものもあると聞いてやす。もしかしたら、どっかでつながってるかも知れねえですなあ。
おっと。手前どもとしたことが忙しいときについつまらねえ話を。ですがグライブ先生、そんな手前どもの話も黙って聞いてくれやした。納得げに頷いていたグライブ先生、どうやらご友人の伝手で蒼の世界に深い造詣がある模様。手前どもの下らねぇ話がその理解の一助になれたら光栄でさあ。
「ええと……まずは、あけましておめでとうございます」
なんと! クオン・サガラ(ka0018)先生からは、丁寧な年始のご挨拶からいただいちまいました。
先生方におかれましては、年始早々ご苦労様です。
何? 信用が第一だから、それに相応しい仕事をしたい?
手前どもは、ハンターの先生様方のことは心から信頼していやすけど、先生方のことを疑うような不埒者がまだ居るってんですかい?
そいつぁ手前どもとしちゃあ黙ってるわけにはいかねえですな。せめて手前どもが、ここに先生のご活躍をしっかり書きとめいたしやしょう。
クオン先生は!
手前どもの事前調査に胡坐をかかず地形、気象について改めてお尋ねになる丁寧な仕事を見せ!
おまけに手前共らや支部、地元の人たちにも年始の挨拶を欠かさない好青年でありましたでさあ!
かくして先生のご尽力により、入念な準備を経て、先生様方は決戦の地へと向かったのであります。
(デデン♪)
はてさてかくして姿を現した雑魔どもに、ハンター達はいかなる戦いを見せるのか?
「わんこな姿の雑魔が1,2の……10匹。うん、情報通りだねー」
大人もすくみ上がる雑魔の異形の迫力に、しかし涼しげなコリーヌ先生の声の頼もしきこと。
「ヒアウィーゴー!!」
高らかに声をあげ、まず飛び出しましたるは超級先生。マテリアルをその脚に集め、矢のごとく飛び出すと、あっという間に距離を詰め。
予想外の接近に、体勢もままならねえ雑魔の鼻面めがけ、手にした刃をせい、と振り下ろす!
神速の刃が、雑魔の首元から深々と沈み込んでいまいります。
さあ超級先生のこの一撃で、戦いの火蓋は切られました! 雪崩れ群れ来る敵集団に、数に劣る先生方はどう立ち向かうのか!
大きな動きを見せたのはコリーヌ先生、乱戦になる前にと雑魔の群れどもの横に回ると、即座に一体、迷わず拳を振り下ろす!
「後ろには絶対に行かせないんだぬ」
狙うは一つ、先頭を突出していた一匹。なるほど横に回ったのはこのためか。後衛の仲間に向かおうとする敵を的確に見定めて、邪魔されずに叩くためってわけですな!
「頭一つ、もーらい!」
拳に宿るは霊闘士に受け継がれし祖霊の力。脳天めがけて打ち下ろされるその様まさに、拳に与えられし名の流星の如し!
しかしその痛烈な一撃が、逆に敵の注意を引く。最初は横を取れたとしても、敵がそれにあわせて動きを変えりゃあそうもいかねえ……と思うのが素人の浅はかさ。
これがそう簡単にいく話じゃねえ。なぜかって?
「……行かせん」
コリーヌ先生が横に居る、その正面にゃあ、グライブ先生が立ちふさがる。
身の丈100と94の偉丈夫に、盾を掲げて立ちはだかれりゃあ、雑魔もおいそれと無視するわけにゃあいかねえわけよ。
静かな声。静かな構え。
落ち着いたその立ち振る舞いにこそ、余人にゃ醸し出せねえ決意と迫力があります。
恐れをなしたか雑魔ども、まとめて先生に襲い掛かる。
猛烈に突進する一体を盾で受け止め、しかし続く二匹目の牙が、三匹目の振りかぶる爪が、次々とクライブ先生に叩き込まれる!
……次の瞬間、間抜け面をさらしたのは雑魔でさあ。頑丈な防具にくわえて錬金術で守られたその身体、そんじょそこらの牙にゃあ砕けねえ。
「ありがとっ」
声を返すコリーヌ先生に、確りと頷くグライブ先生。二人の連携はばっちりでさあ。
しっかし、こうしてクライブ先生が大立ち回り出来るのも理由がありやす。
クオン先生、後方からの射撃にて敵を翻弄しますが、これがコリーヌ先生やグライブ先生に守られただ安全な場所から敵を撃ってるかってえとそうじゃねえ。
「……右っ!」
銃弾が、超級先生の後ろに回り込もうとした雑魔の足を止めさせます。
味方の傍につきながらも、位置取りはやや後方。
目の前の敵に専心しねえですむその立ち回りだからこそ、やらねばならねえことがあるとその瞳は語ってきます。
コリーヌ先生が敵の横を突き、成果を出しているからこそ。
味方の側面を取られてはならねえと、クオン先生の絶妙な牽制射撃。
ハンターの先生様方全員が、不意を突かれず、動きやすい空間を確保できてるのは、このお陰ってわけでさあ。
「まあ……特殊能力は未知ですがそこまで苦戦は……しないとは思いますが」
呟きながら、戦況を見定めるクオン先生。戦場において、敵の過大評価も過小評価も禁物ってわけですな。勉強になりやすね。
舞台は遮るもののねえ荒野、集団と集団がぶつかり合い、敵味方入り乱れる大乱闘。此度の戦い、ぱっと見こんな状態でさあ。
だがしかし。そうじゃねえ。
間違いねえ、この空間を支配してるのはハンターの先生様方!
「わんこ型だからー……その背中の骨、ブチ折ったら良さそうかぬ?」
グライブ先生が引きつける敵の隙を突き、コリーヌ先生の拳が唸る。
そのグライブ先生に攻撃が通じねえのは実証済み、雑魔ども、ならばと超級先生に襲い掛かる。左右から時間差で迫る雑魔!
だが超級先生、慌てず騒がず堂々と対処する。
一匹目の攻撃を軽い足捌きでやり過ごすと、二匹目の突進は頃合を合わせ飛び越えた!
手前どもには想像もつかねえ、大胆な動き! これが蒼の世界の戦い方ってやつですかい!
ヒラリヒラリと鮮やかな動きに、雑魔は翻弄されるばかりでさあ。
ならばならば、数に任せてクオン先生に迫るか? それも甘い! 砂糖菓子より甘すぎる!
無理矢理にも掻い潜りぬけたその末路には、錬金術による電撃ショックが待っている!
「回り込もうとする悪い子は撲殺だよー。回り込まない子も殴殺だよー!」
体勢を立て直すクオン先生に、コリーヌ先生が再びすかさず援護に入りやす。
闇雲に噛み付くだけの雑魔と違い、先生方は互いの動きを補完し己の動きを工夫しながら、仲間が動ける間合いを守ってるってわけでさあ!
かくして戦いは進みます。
超級先生の刀が唸る!
コリーヌ先生の拳が叫ぶ!
クオン先生、グライブ先生の機導砲が、荒野に十字の残像を刻む!
……激闘ながら、地に倒れるは雑魔の身体ばかりなり。いつの間にやらその数は、先生方を下回り。
こうなりゃもはや、雑魔に生き残る術はねえ。
「いやっほぉぉぉぉう!」
超級先生の軽妙な声が、三度荒野にこだまする。今や先生の動きを邪魔するものは何もねえ。
軽やかにしなやかに、その身体が地を跳ねます。
ヴィィィン、唸る振動刀、オートMURAMASA。
人類の英知の刃に超級先生の速さが加わり、無敵の切れ味が、動きの鈍った雑魔の身体に、今、
斬!
犬 真 っ 二 つ!
どうと大地に落ちる雑魔の二つの身体が、黒き泡沫となって風へと溶けてゆきます。
「ふっふっふっ、振動刀の切れ味にビビんないでよねー」
超級先生の、無邪気で明るいその声が、乾いた大地に今は酷薄に響くのでありました。
「んー、これで全部潰しきったかぬ?」
コリーヌ先生の言葉に、荒野に目を凝らしますはグライブ先生。
予め依頼で聞いた雑魔だけじゃねえ、他にも脅威はいねえかとしっかり確認した上で、確信を持ってゆっくりと頷きます。
「うんうん。これで、二人の恋路を邪魔する不埒な存在はいなくなったかな? 良かったね!」
誇らしげにいうコリーヌ先生、それをほほえましく見守りながら頷くグライブ先生。
クオン先生は、この状況にも慢心せず、戦いの中得られたことを記録に残したそうでさあ。
「歪虚に存在する資格無し、なんだよ。早く、この世から一掃しちゃいたいよねー」
全きかな、この世にハンターいる限り、歪虚の栄える道理無し!
終わってみりゃあ今回の戦い、コリーヌ先生がちぃとばかし足に怪我を負っただけの、ほぼ完璧な大勝利でありましたんでさあ。
(デデン♪)
此度の件。
手前どもがハンターの先生様方より見聞きしたお話より再現したご報告は以上になりまさあ。
ご精読、ありがとうごぜえやした。
……………………………。
……………………………。
「わあぁあぁあぁぁぁ~~~!!!!」
見渡す限りの荒野に、勇ましき少女の雄たけびが響く。
腹の底まで空気を溜めて放たれるその轟きは、風を渡りさえぎるものなき荒野の地平のはてへと響き渡る。
「イヤさぁ、待つのもアレなんで、手っ取り早く雜魔の方にこっちを発見させようかなーって」
年相応の少女らしく、てへっと誤魔化すように言っちゃあいるが、それでも消せぬハンターとしての使命感がそこにある。
その存在、その意志は、確かに地を駆け巡ったか。
谺するかのような叫びが地平線の向こうへと消え、荒涼とする地に再び静寂が訪れたその時!
「……ほらほら、来たっぽいよ」
彼方より姿を現す黒き影、一つ、二つ、そこからぞろぞろと姿を現し始めた!
黒き犬の姿をとっちゃあ居るが、ぎろりと輝く異様な瞳に異形の牙と爪、そして隠しきれねえ禍々しき気配、間違いねえ、雑魔の群れだ!
人類の希望、ハンターと、にっくき歪虚の手先どもが、北の大地に激突する!
(デデン♪)
お目汚し失礼いたしやす。
此度報告書にしたためいたしますは、辺境と呼ばれし地に現れし雑魔と、その退治へと向かったハンターの先生方の大活躍。
しかしここより先、先生方よりお聞き及びした大活劇をお知らせする前に、此度お世話になりやした先生方のお人となりも残させてくだせえ。
冒頭に書き記しました勇ましき少女、超級まりお(ka0824)先生を初めとして、いずれも劣らぬ傑物ぞろい。
その話をするためにゃあ、時間は先生方が戦いを始めるよりもちょいとさかのぼりやす。
「ふむふむ。要は、人の恋路を邪魔する雑魔を馬の代わりに蹴ってくればいいんだねー」
てなわけで、時はさかのぼり所はソサエティ、手前どもからの説明が終わった折、一声あげなすったのはコリーヌ・エヴァンズ(ka0828)先生でさぁ。
手前どものつたねぇ話でそこまで分るたぁ理解が早い。
「うんうん、分かるよー。そういうのってすっごく心配になるもんねー!」
おまけに心優しきこの言葉。顔もしらねえ恋人同士のためにそこまでお考えになるたあ、手前ども感動でさあ。
「ということで、一匹残らず叩き潰してくるんだよー」
ちょいと剣呑さも見え隠れしますが、なに、この小柄な身体で悪鬼羅刹どもと闘ってくるんでさあ、敵に対してはそのぐらいじゃなきゃいけねえ。
「うむ、リアルブルーでは義を通す者のことを……確かエドッコ……ベランメー……と呼ぶんだったな……?」
手前どもとコリーヌ先生の話を聞いて、静かにうなづくのがグライブ・エルケイル(ka1080)先生。
困っているものが居れば助けるのがハンターの道理と、こちらも負けず劣らぬ高潔な志をお持ちであります。
ふむ。エドッコとやらはわからねえが、手前どもの文化は遊牧の中訪れた客人より流行り残ったものもあると聞いてやす。もしかしたら、どっかでつながってるかも知れねえですなあ。
おっと。手前どもとしたことが忙しいときについつまらねえ話を。ですがグライブ先生、そんな手前どもの話も黙って聞いてくれやした。納得げに頷いていたグライブ先生、どうやらご友人の伝手で蒼の世界に深い造詣がある模様。手前どもの下らねぇ話がその理解の一助になれたら光栄でさあ。
「ええと……まずは、あけましておめでとうございます」
なんと! クオン・サガラ(ka0018)先生からは、丁寧な年始のご挨拶からいただいちまいました。
先生方におかれましては、年始早々ご苦労様です。
何? 信用が第一だから、それに相応しい仕事をしたい?
手前どもは、ハンターの先生様方のことは心から信頼していやすけど、先生方のことを疑うような不埒者がまだ居るってんですかい?
そいつぁ手前どもとしちゃあ黙ってるわけにはいかねえですな。せめて手前どもが、ここに先生のご活躍をしっかり書きとめいたしやしょう。
クオン先生は!
手前どもの事前調査に胡坐をかかず地形、気象について改めてお尋ねになる丁寧な仕事を見せ!
おまけに手前共らや支部、地元の人たちにも年始の挨拶を欠かさない好青年でありましたでさあ!
かくして先生のご尽力により、入念な準備を経て、先生様方は決戦の地へと向かったのであります。
(デデン♪)
はてさてかくして姿を現した雑魔どもに、ハンター達はいかなる戦いを見せるのか?
「わんこな姿の雑魔が1,2の……10匹。うん、情報通りだねー」
大人もすくみ上がる雑魔の異形の迫力に、しかし涼しげなコリーヌ先生の声の頼もしきこと。
「ヒアウィーゴー!!」
高らかに声をあげ、まず飛び出しましたるは超級先生。マテリアルをその脚に集め、矢のごとく飛び出すと、あっという間に距離を詰め。
予想外の接近に、体勢もままならねえ雑魔の鼻面めがけ、手にした刃をせい、と振り下ろす!
神速の刃が、雑魔の首元から深々と沈み込んでいまいります。
さあ超級先生のこの一撃で、戦いの火蓋は切られました! 雪崩れ群れ来る敵集団に、数に劣る先生方はどう立ち向かうのか!
大きな動きを見せたのはコリーヌ先生、乱戦になる前にと雑魔の群れどもの横に回ると、即座に一体、迷わず拳を振り下ろす!
「後ろには絶対に行かせないんだぬ」
狙うは一つ、先頭を突出していた一匹。なるほど横に回ったのはこのためか。後衛の仲間に向かおうとする敵を的確に見定めて、邪魔されずに叩くためってわけですな!
「頭一つ、もーらい!」
拳に宿るは霊闘士に受け継がれし祖霊の力。脳天めがけて打ち下ろされるその様まさに、拳に与えられし名の流星の如し!
しかしその痛烈な一撃が、逆に敵の注意を引く。最初は横を取れたとしても、敵がそれにあわせて動きを変えりゃあそうもいかねえ……と思うのが素人の浅はかさ。
これがそう簡単にいく話じゃねえ。なぜかって?
「……行かせん」
コリーヌ先生が横に居る、その正面にゃあ、グライブ先生が立ちふさがる。
身の丈100と94の偉丈夫に、盾を掲げて立ちはだかれりゃあ、雑魔もおいそれと無視するわけにゃあいかねえわけよ。
静かな声。静かな構え。
落ち着いたその立ち振る舞いにこそ、余人にゃ醸し出せねえ決意と迫力があります。
恐れをなしたか雑魔ども、まとめて先生に襲い掛かる。
猛烈に突進する一体を盾で受け止め、しかし続く二匹目の牙が、三匹目の振りかぶる爪が、次々とクライブ先生に叩き込まれる!
……次の瞬間、間抜け面をさらしたのは雑魔でさあ。頑丈な防具にくわえて錬金術で守られたその身体、そんじょそこらの牙にゃあ砕けねえ。
「ありがとっ」
声を返すコリーヌ先生に、確りと頷くグライブ先生。二人の連携はばっちりでさあ。
しっかし、こうしてクライブ先生が大立ち回り出来るのも理由がありやす。
クオン先生、後方からの射撃にて敵を翻弄しますが、これがコリーヌ先生やグライブ先生に守られただ安全な場所から敵を撃ってるかってえとそうじゃねえ。
「……右っ!」
銃弾が、超級先生の後ろに回り込もうとした雑魔の足を止めさせます。
味方の傍につきながらも、位置取りはやや後方。
目の前の敵に専心しねえですむその立ち回りだからこそ、やらねばならねえことがあるとその瞳は語ってきます。
コリーヌ先生が敵の横を突き、成果を出しているからこそ。
味方の側面を取られてはならねえと、クオン先生の絶妙な牽制射撃。
ハンターの先生様方全員が、不意を突かれず、動きやすい空間を確保できてるのは、このお陰ってわけでさあ。
「まあ……特殊能力は未知ですがそこまで苦戦は……しないとは思いますが」
呟きながら、戦況を見定めるクオン先生。戦場において、敵の過大評価も過小評価も禁物ってわけですな。勉強になりやすね。
舞台は遮るもののねえ荒野、集団と集団がぶつかり合い、敵味方入り乱れる大乱闘。此度の戦い、ぱっと見こんな状態でさあ。
だがしかし。そうじゃねえ。
間違いねえ、この空間を支配してるのはハンターの先生様方!
「わんこ型だからー……その背中の骨、ブチ折ったら良さそうかぬ?」
グライブ先生が引きつける敵の隙を突き、コリーヌ先生の拳が唸る。
そのグライブ先生に攻撃が通じねえのは実証済み、雑魔ども、ならばと超級先生に襲い掛かる。左右から時間差で迫る雑魔!
だが超級先生、慌てず騒がず堂々と対処する。
一匹目の攻撃を軽い足捌きでやり過ごすと、二匹目の突進は頃合を合わせ飛び越えた!
手前どもには想像もつかねえ、大胆な動き! これが蒼の世界の戦い方ってやつですかい!
ヒラリヒラリと鮮やかな動きに、雑魔は翻弄されるばかりでさあ。
ならばならば、数に任せてクオン先生に迫るか? それも甘い! 砂糖菓子より甘すぎる!
無理矢理にも掻い潜りぬけたその末路には、錬金術による電撃ショックが待っている!
「回り込もうとする悪い子は撲殺だよー。回り込まない子も殴殺だよー!」
体勢を立て直すクオン先生に、コリーヌ先生が再びすかさず援護に入りやす。
闇雲に噛み付くだけの雑魔と違い、先生方は互いの動きを補完し己の動きを工夫しながら、仲間が動ける間合いを守ってるってわけでさあ!
かくして戦いは進みます。
超級先生の刀が唸る!
コリーヌ先生の拳が叫ぶ!
クオン先生、グライブ先生の機導砲が、荒野に十字の残像を刻む!
……激闘ながら、地に倒れるは雑魔の身体ばかりなり。いつの間にやらその数は、先生方を下回り。
こうなりゃもはや、雑魔に生き残る術はねえ。
「いやっほぉぉぉぉう!」
超級先生の軽妙な声が、三度荒野にこだまする。今や先生の動きを邪魔するものは何もねえ。
軽やかにしなやかに、その身体が地を跳ねます。
ヴィィィン、唸る振動刀、オートMURAMASA。
人類の英知の刃に超級先生の速さが加わり、無敵の切れ味が、動きの鈍った雑魔の身体に、今、
斬!
犬 真 っ 二 つ!
どうと大地に落ちる雑魔の二つの身体が、黒き泡沫となって風へと溶けてゆきます。
「ふっふっふっ、振動刀の切れ味にビビんないでよねー」
超級先生の、無邪気で明るいその声が、乾いた大地に今は酷薄に響くのでありました。
「んー、これで全部潰しきったかぬ?」
コリーヌ先生の言葉に、荒野に目を凝らしますはグライブ先生。
予め依頼で聞いた雑魔だけじゃねえ、他にも脅威はいねえかとしっかり確認した上で、確信を持ってゆっくりと頷きます。
「うんうん。これで、二人の恋路を邪魔する不埒な存在はいなくなったかな? 良かったね!」
誇らしげにいうコリーヌ先生、それをほほえましく見守りながら頷くグライブ先生。
クオン先生は、この状況にも慢心せず、戦いの中得られたことを記録に残したそうでさあ。
「歪虚に存在する資格無し、なんだよ。早く、この世から一掃しちゃいたいよねー」
全きかな、この世にハンターいる限り、歪虚の栄える道理無し!
終わってみりゃあ今回の戦い、コリーヌ先生がちぃとばかし足に怪我を負っただけの、ほぼ完璧な大勝利でありましたんでさあ。
(デデン♪)
此度の件。
手前どもがハンターの先生様方より見聞きしたお話より再現したご報告は以上になりまさあ。
ご精読、ありがとうごぜえやした。
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相談卓 グライブ・エルケイル(ka1080) 人間(クリムゾンウェスト)|28才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/12/31 22:46:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/30 18:46:14 |