ゲスト
(ka0000)
迎えに行くよ、オートマトン
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 7日
- 締切
- 2018/09/11 19:00
- 完成日
- 2018/09/19 01:07
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●危ないものはもとから絶とう
ここは南方大陸に程近い海。
一帯に岩礁があり、水深にムラがある。深いところは濃い青、浅いところは薄い青。
潜ってみれば浅瀬から深みに至る箇所が絶壁状態になっているのを見ることが出来る。
英霊マゴイは岩礁海域の浅瀬に横たわる巨大な建造物を見上げ、呟いた。
『……見つけた……これは確かに……エバーグリーンのもの……』
建造物の元の形はカマボコ型だったようだが、強い衝撃によってひしゃげ砕け、半分ほど原型を失っている。おまけに全体が斜めに傾ぎ、海水に没している。
『……この建造物は……建築資源としてユニオンのためにとても役立ちそう……でも……』
うさん臭げにマゴイは、まだ形が残っている建造物の中を覗いた。傾いた廊下は浸水している。奥は暗い。歪み半開きのままで固まっている自動扉の隙間から、天井まである格納棚や、それに連動し張り巡らされたチューブ式のコンベアがおぼろに見える。
この前島に漂着してきたオートマトン。あれと同じものがまだここにたくさんあるのだろうかと彼女は考え、眉間にしわを寄せた。
『……オートマトンは……実に……問題……早くここから移動させないと……』
ぶつぶつ言いながら考え込むその背後から、先端に目玉がついた巨大なタコの足が現れた。
それは彼女にすすと近寄り一気に搦め捕ろうと――したのだが、出来なかった。
何度か同じことを試み彼女に実体が無いことを了解した足は、腹を立てたように水面を大きく叩き没して行く。
しばらくしてマゴイは振り向いた。
『……ン?……今何か……いた……?』
●ワタシはユニ、オートマトン。
セミロングの赤い髪、それと同じ色の瞳。男の子とも女の子とも言えそうな顔立ちをしたオートマトンの少女は、つい最近海流に乗ってユニゾン島に漂着し、その後ハンターオフィスに回収され目覚めたという経歴の持ち主。
エバーグリーンの世界で何をしていたのか、本人には全く記憶がない(発見された時衣服を身につけていなかったところから、あるいは未使用状態だったのではないだろうかと推測されている)。
そんなわけだから本人も新しい世界で何をどうしたらいいものか、よく分からない。
だが、『人間の役に立ちたい』という気持ちは強くある。
だからハンターオフィスによるハンターへの勧誘をすんなり受けた。なんでも今この世界はとても大変な事態に陥っており、ハンターになれる人間を1人でも多く確保したい状況なのだそうだ。
しかしそうなるとひとつ問題が。
「名前、どうしましょうか」
そう、名前に関する記憶も彼女にはない。だが名前がないと、ハンター登録をすることが出来ない。
考えた末に彼女は、ハンターオフィス職員へ、以下のように言った。
「ワタシが見つかった場所がユニゾンという島だったそうですから……そこから2文字取って、ユニにします。ワタシの名前」
●朗報?
現在ハンターズソサエティは、設立以来と言ってもいいほどの超多忙。
エバーグリーンの始末がついたかと思いきや、今度はリアルブルーで強化人間が実は歪虚との契約者だという事実が発覚し、その衝撃も覚めやらぬところへイクシードアプリなる全自動契約者製造契約書が巷にばらまかれまくり、また新たな契約者大発生という事態が起きた。
ハンターの人手が欲しい。喉から手が出るほど欲しい。その素養がありそうな人間を1人でもいいから多く確保したい。
そんな切実にして悲壮な空気が漲っているさなか、魔術師協会が人材の鉱脈を掘り当てたかも知れないという連絡がハンターオフィスに入ってきた。
職員は真相を確かめるべく、すぐさま魔術師協会へ調査員を派遣した。
「即戦力になる高度な人材が大量発見されたとのことですが!」
「あ、いや、そこまでは言ってないのですが……でも、恐らく多くいることは確実です」
魔術師協会職員タモンは、ハンターオフィス職員に席を勧めた。それから改めて言った。
「英霊マゴイの事はご存じですね?」
「ああはい、もとリアルブルーのマイナー全体主義国家出身で、死後こちらに流れてきて、今は孤島開発に勤しんでいるという……確かオートマトン嫌いだとか」
「はい。最近そんな彼女の島に身元不明のオートマトンが一体流れ着きました件についてもご存じですね?」
「ええ。なにしろうちで起動させましたから」
「あの後マゴイさんは、そのオートマトンが一体どこから流れてきたのか調べていたそうです。ユニゾンに大量漂流されてはたまらないと思ったみたいで。で、それらしいものを発見したと……ユニゾンに対する潜在的脅威を見過ごすわけにはいかないので即刻回収して欲しいと言ってこられまして」
「えらい言いようですなあ。まあそれはとにかく、場所はどこなのですか場所は」
●ハンターたちは至急、現場に向かった
岩礁海域の中に大きな船は入ることが出来ない。岩に船底を破られる恐れがある。
というわけでハンターたちは、小船に乗り換え海域に入った。
テーブル状の平たい岩が飛び石のようにぽこぽこ突き出ている様は、なんとなくユーモラスだ。
とりあえずあれも陸地である。というわけで全般的に船が苦手なカチャは、岩に飛び移って一息ついた。
彼女に続いて他のハンターたちも飛び移る。
岩の大きさは直径1メートル~20メートルまでと様々。
一つの岩と岩の間の距離は大体2メートル~10メートルと言ったところ。身体能力に優れたハンターであれば、移動するのもそんなに苦ではない。もちろん深みには注意せねばなるまいが。
「そういえばカチャ、マゴイも後からここに合流して来るんだって?」
「はい、あの建物は資源として利用したいんだそうで。そのための分解工作機械を持ってくるとか言ってたそうです」
「廃品回収業者みたいだな」
今回ハンターとして初めて任務に就いたユニも、皆に遅れぬよう岩の上を跳ね回る。
そして皆と一緒に、巨大な建造物の元へたどり着く。
「おっきいですねー」
この中に自分と同じオートマトンがたくさんいるのかな、と思ってユニは中に入ろうとする。そこで、先輩のハンターに止められた。
「待て、うかつにすぐ足を踏み入れるのは危険だぞ。こういうときはまず様子を見――」
直後そのハンターが水没した。背後から出てきたタコの足に引っ張られて。
「がぼっ!?」
近くにいたカチャも水没した。同じくタコの足に絡まれて。
他のハンターらも続々引きずり込まれて行く。
しかしユニだけは――足でちょっと触られただけで――完全にスルーされた。
タコは知っていた。
何カ月も前にこの建造物が落ちてきた際、内部を探り見つけたオートマトンを食べようとしてみた結果、『この人間に似た何かは全く食えたもんじゃない代物』だということを。
ここは南方大陸に程近い海。
一帯に岩礁があり、水深にムラがある。深いところは濃い青、浅いところは薄い青。
潜ってみれば浅瀬から深みに至る箇所が絶壁状態になっているのを見ることが出来る。
英霊マゴイは岩礁海域の浅瀬に横たわる巨大な建造物を見上げ、呟いた。
『……見つけた……これは確かに……エバーグリーンのもの……』
建造物の元の形はカマボコ型だったようだが、強い衝撃によってひしゃげ砕け、半分ほど原型を失っている。おまけに全体が斜めに傾ぎ、海水に没している。
『……この建造物は……建築資源としてユニオンのためにとても役立ちそう……でも……』
うさん臭げにマゴイは、まだ形が残っている建造物の中を覗いた。傾いた廊下は浸水している。奥は暗い。歪み半開きのままで固まっている自動扉の隙間から、天井まである格納棚や、それに連動し張り巡らされたチューブ式のコンベアがおぼろに見える。
この前島に漂着してきたオートマトン。あれと同じものがまだここにたくさんあるのだろうかと彼女は考え、眉間にしわを寄せた。
『……オートマトンは……実に……問題……早くここから移動させないと……』
ぶつぶつ言いながら考え込むその背後から、先端に目玉がついた巨大なタコの足が現れた。
それは彼女にすすと近寄り一気に搦め捕ろうと――したのだが、出来なかった。
何度か同じことを試み彼女に実体が無いことを了解した足は、腹を立てたように水面を大きく叩き没して行く。
しばらくしてマゴイは振り向いた。
『……ン?……今何か……いた……?』
●ワタシはユニ、オートマトン。
セミロングの赤い髪、それと同じ色の瞳。男の子とも女の子とも言えそうな顔立ちをしたオートマトンの少女は、つい最近海流に乗ってユニゾン島に漂着し、その後ハンターオフィスに回収され目覚めたという経歴の持ち主。
エバーグリーンの世界で何をしていたのか、本人には全く記憶がない(発見された時衣服を身につけていなかったところから、あるいは未使用状態だったのではないだろうかと推測されている)。
そんなわけだから本人も新しい世界で何をどうしたらいいものか、よく分からない。
だが、『人間の役に立ちたい』という気持ちは強くある。
だからハンターオフィスによるハンターへの勧誘をすんなり受けた。なんでも今この世界はとても大変な事態に陥っており、ハンターになれる人間を1人でも多く確保したい状況なのだそうだ。
しかしそうなるとひとつ問題が。
「名前、どうしましょうか」
そう、名前に関する記憶も彼女にはない。だが名前がないと、ハンター登録をすることが出来ない。
考えた末に彼女は、ハンターオフィス職員へ、以下のように言った。
「ワタシが見つかった場所がユニゾンという島だったそうですから……そこから2文字取って、ユニにします。ワタシの名前」
●朗報?
現在ハンターズソサエティは、設立以来と言ってもいいほどの超多忙。
エバーグリーンの始末がついたかと思いきや、今度はリアルブルーで強化人間が実は歪虚との契約者だという事実が発覚し、その衝撃も覚めやらぬところへイクシードアプリなる全自動契約者製造契約書が巷にばらまかれまくり、また新たな契約者大発生という事態が起きた。
ハンターの人手が欲しい。喉から手が出るほど欲しい。その素養がありそうな人間を1人でもいいから多く確保したい。
そんな切実にして悲壮な空気が漲っているさなか、魔術師協会が人材の鉱脈を掘り当てたかも知れないという連絡がハンターオフィスに入ってきた。
職員は真相を確かめるべく、すぐさま魔術師協会へ調査員を派遣した。
「即戦力になる高度な人材が大量発見されたとのことですが!」
「あ、いや、そこまでは言ってないのですが……でも、恐らく多くいることは確実です」
魔術師協会職員タモンは、ハンターオフィス職員に席を勧めた。それから改めて言った。
「英霊マゴイの事はご存じですね?」
「ああはい、もとリアルブルーのマイナー全体主義国家出身で、死後こちらに流れてきて、今は孤島開発に勤しんでいるという……確かオートマトン嫌いだとか」
「はい。最近そんな彼女の島に身元不明のオートマトンが一体流れ着きました件についてもご存じですね?」
「ええ。なにしろうちで起動させましたから」
「あの後マゴイさんは、そのオートマトンが一体どこから流れてきたのか調べていたそうです。ユニゾンに大量漂流されてはたまらないと思ったみたいで。で、それらしいものを発見したと……ユニゾンに対する潜在的脅威を見過ごすわけにはいかないので即刻回収して欲しいと言ってこられまして」
「えらい言いようですなあ。まあそれはとにかく、場所はどこなのですか場所は」
●ハンターたちは至急、現場に向かった
岩礁海域の中に大きな船は入ることが出来ない。岩に船底を破られる恐れがある。
というわけでハンターたちは、小船に乗り換え海域に入った。
テーブル状の平たい岩が飛び石のようにぽこぽこ突き出ている様は、なんとなくユーモラスだ。
とりあえずあれも陸地である。というわけで全般的に船が苦手なカチャは、岩に飛び移って一息ついた。
彼女に続いて他のハンターたちも飛び移る。
岩の大きさは直径1メートル~20メートルまでと様々。
一つの岩と岩の間の距離は大体2メートル~10メートルと言ったところ。身体能力に優れたハンターであれば、移動するのもそんなに苦ではない。もちろん深みには注意せねばなるまいが。
「そういえばカチャ、マゴイも後からここに合流して来るんだって?」
「はい、あの建物は資源として利用したいんだそうで。そのための分解工作機械を持ってくるとか言ってたそうです」
「廃品回収業者みたいだな」
今回ハンターとして初めて任務に就いたユニも、皆に遅れぬよう岩の上を跳ね回る。
そして皆と一緒に、巨大な建造物の元へたどり着く。
「おっきいですねー」
この中に自分と同じオートマトンがたくさんいるのかな、と思ってユニは中に入ろうとする。そこで、先輩のハンターに止められた。
「待て、うかつにすぐ足を踏み入れるのは危険だぞ。こういうときはまず様子を見――」
直後そのハンターが水没した。背後から出てきたタコの足に引っ張られて。
「がぼっ!?」
近くにいたカチャも水没した。同じくタコの足に絡まれて。
他のハンターらも続々引きずり込まれて行く。
しかしユニだけは――足でちょっと触られただけで――完全にスルーされた。
タコは知っていた。
何カ月も前にこの建造物が落ちてきた際、内部を探り見つけたオートマトンを食べようとしてみた結果、『この人間に似た何かは全く食えたもんじゃない代物』だということを。
リプレイ本文
●緒戦
レイア・アローネ(ka4082)は、自分の足を掴んでいるものを見定め、魔導剣「カオスウィース」を抜いた。
(まずは触手を解かなければ……!)
攻めの構え、ソウルエッジ、刺突一閃、リバースエッジ――持てるスキルのほぼ全てをつぎ込み、真下への攻撃を仕掛ける。
迫り来る一撃に付与されたマテリアルの強さを感じ取ったのだろうか、彼女を捕らえていたタコ足が電光石火の早さで退き回避した。偶然近くにいたマルカ・アニチキン(ka2542)に絡んでいたタコ足までも。
マルカはこの好機を逃さず浮上した。
予期せぬ水の流入によって鼻奥がキーンと痛み、大いにむせあがる。
「大丈夫ですか!」
攻撃から完全スルーされていたユニが海に飛び込んだ。マルカを岩礁の上へ連れ戻すために。
●備えは万全
水没したトリプルJ(ka6653)は、いつもと変わらぬ口ぶりでぼやいた。
「いや確かに潜るつもりだったがよ、こんなタコが居るって分かってたなら警告ぐらいしてほしかったぜ……」
彼の全身は潜水鎧「シュヴメイン」で包まれている。だから、呼吸困難に陥る心配はない。
ディーナ・フェルミ(ka5843)もまた、呼吸困難に陥る心配がない。魔導鎧「スキューマ」で身を包んでいるので。
「引揚げ作業で溺れる人もいるかもって思ったけど……これは想定外なのー!?」
両者は大いに焦りを覚えていた。ハンターと言えども人間、呼吸が確保出来なければ8Rで失神、16Rで死亡はまぬかれない。
そして仲間は自分たちのように、水中戦闘に耐えうる装備をしてきていない……。
「えーい放しなさいなのー!」
己に絡まったタコ足に向けディーナは、フォースクラッシュを発動した。
ホーリーメイス「レイバシアー」で殴り、殴り、更に殴った。
破格の威力が上乗せされた一撃が、タコ足を不可視レベルまで粉砕する。
衝撃で海中が揺れた。
うようよ周囲に群れていたタコ足がビクッと動きを止め、素早く深みへ退いていく。Jのファントムハンドも届かない距離へ。
「クッソ、テメェは3枚におろしてやらぁ!」
「待ちなさいなのー!」
2人はそれを追いかけていった。灯火の水晶球による明かりを頼りに。
あの足が逃げて行った先に、恐らく本体があるはずだ。
●作戦会議
天竜寺 舞(ka0377)はヒートソードで、自身と天竜寺 詩(ka0396)の胴を締め上げていたタコ足を切り落とした。
自由になったところで2人揃って急浮上。
ひとまず酸素を確保した後、再度引きずり込まれるリスクを少しでも減らすため岩礁に上がり、岩陰に隠れた。
タコ足は水面上にまでくねり出てきた。目玉をきょろきょろさせ、逃げた獲物を探し始める。
「水中の蛸、厄介だなぁ」
「蛸がいるならいるで、マゴイもっとちゃんと伝えてよ全く」
「……ねえお姉ちゃん、そういえば私たち、ユニちゃんにジュース持ってきてあげてたよね」
「あ、うん」
「あれ、空にしたら……もしかして空気が溜めておけるんじゃないかな? それでさ――」
声を潜めひとしきり話し合った彼女らは、そろってジュースの樽を開け、中身を捨てた。
それをロープで体に結び付け、再度海に飛び込む。
彼女らの存在に気づき迫ってきたタコ足を始末してから。
●だるまさんが転んだ
リナリス・リーカノア(ka5126)は浮輪の空気を吸ったが、思ったほど呼吸の助けにはならなかった。
水中で呼吸を行うには、やはり専用の器具が必要なのだ。
しかし彼女は禍炎剣「レーヴァティン」を使うまでもなく、タコ足から逃れることが出来た。
ルベーノ・バルバライン(ka6752)のお陰だ。
(チッ、泳ぐ前提でなければこんなやつに不覚は取らんのだが)
彼は、テンプテーションを使っている。
それにより彼の前面にいた触手が、全部そちらに向いたのだ。リナリスを捕まえていた物も含めて。
(ありがと)
と手まねで伝えた彼女は、急いで周囲を見回す。
(カチャはどこかな)
そこで後ろから腕を引っ張られた。
振り向けばカチャである。無事だったのだ。どうやら自分でタコの足を始末し逃れてきたらしい。
両者そのまま浮上していく。
その間ルベーノはまだタコ足と睨み合っていた。自分の息が続く限りはこの状態を持続し、足止めを担う所存なのだ。
●飛べマギステル
マルカはおののいた。
タコ足が次から次へ海上に出てくるのだ。一体全部で何本あるのだろうか。
(もしかしてこの海域にはあんな海獣がうようよいるのでは……?)
との懸念は、ひとまず口に出さなかった。ユニのバトルハンマーを握る手が、震えているのに気づいたからだ。
ハンター勤めは最初が肝心。自分は先達として後輩の手助けをしなければ。
「ユニさん、まず水面に出ている部分から始末しましょう。私も手伝いますので」
「は――はい!」
マルカはマジックフライトをかけた魔杖「ケイオスノーシス」に跨り、離陸した。
「マルカ、行きまーす!」
タコ足は水面すれすれを飛んでくる人肉に、早速反応を示した。
四方八方から伸び上がり、くねり、海中へ叩き落とそうとする。
その動き――早い。スカートの端を掴まれそうになり、思わずひやりとする。
「ひぃいえっ!」
彼女の後を追ってユニが、岩礁伝いに走る。タコ足への攻撃を試みる。
だがなかなかうまくいかない。
攻撃に集中しようとすると、足元がお留守になる。
岩礁を踏み外し落ちる。泳いではい上がる。
タコ足から全く注目されていないので、その隙に襲われるということはないのだが……苦戦している。
●油断大敵
リナリスとカチャはタコ足の目をかいくぐり、ひとまず岩礁へと避難した。
「知的生物じゃないなら交渉は無理かー」
海にいる「何か」が、「海中遺跡に棲む蛸頭神を崇める半魚人」ではないかと予想していたリナリスは、それが外れて残念顔。
しかし違ったものはしょうがない。
交渉のためにと持ち込んできたこの贈り物――ターキー、チーズ、ワイン――は別のことに使うとしよう。
「どうかなカチャ、これでタコの注意を引けないかな。食べ物で相手の口を開かせて、その中に攻撃をたたき込むの」
「うーん、理屈では出来ないことはないと思いますけど、でも、ひとつ問題が」
「何?」
「私たち、潜水用具持ってませんでしょう? だから、タコの口があるところまで潜っていくのはかなり難しいんじゃないかと」
「あ、そっか。じゃあ、その装備がある人に――」
会話が断ち切れる。
岩の裏から回り込んできた2本のタコ足が襲ってきたのだ。
不意を突かれた形でリナリスが搦め捕られる。
既にあれこれ攻撃を受けたタコ足は、ハンターたちが簡単な獲物ではないということを学んでいた。先程までとは段違いな強さで巻き付き彼女の腹部と足を締め上げる。
バキバキっと骨が折れる音が聞こえた。
リナリスの口から血が噴き出る。
カチャは目の色を変えた。猛然と斧を振るいタコ足を切りつける。
「このっ、クソダコぉ!」
タコ足はそれをかわした。
そこにマルカのホーリーライトが当たった。
足が途中から千切れ海に落ちる。リナリスごと。
カチャは海に飛び込みリナリスを連れ戻す。陸に押し上げ、急いでヒールをかける。
「リナリスさん、リナリスさん!」
リナリスはすぐさま正気づき、舌を出した。
「……あは、ちょっと油断しちゃ」
カチャは彼女の台詞が終わるのを待たず抱きしめた。そして、息を吐いた。
「気をつけてください。今日のあなたは、本当に低装備なんですから」
海がごばっと泡立ち水柱が上がった。ついでルベーノが顔を出す。
肉体的なタイムリミットが来たので、白虎神拳を置き土産に浮上してきたのだ。
彼のテンプテーションがなくなったことで、海中および海上におけるタコ足の動きが活発化する。
●ほの暗い水の底から
Jとディーナはタコ足を追い下って行く。海中の絶壁を蹴って。
「な、なんだかこの足予想以上に長いの……」
「……なあ、これ本当に足だよな? 実はタコの足に似た形した群生歪虚ってオチはないよな?」
「えっ、今更そんなこと言われても困るの」
深みなら自分たちが有利と思ったか、タコ足が束になって襲いかかってきた。上下左右前後から。
「あーもう、本体どっち側にいるんだよ!」
舌打ちしながらJはファントムハンドを発動。
1本の足を捕まえ手繰り寄せ、根元と思える方向を探る。大体の辺りをつけてからワイルドラッシュで粉砕する。
その間にディーナは寄せ来るタコ足を殴りぬき、次々消滅させた。その合間合間に上方を見やる。仲間が無事かどうか確かめるために。
水面のきらめきを背景にして小さな人影――レイアが見えた。
タコ足が体に絡み付いている。
口元から激しく泡が出ている。肺が圧迫されているらしい。
ディーナは急上昇した。レイアに巻き付いている足に組みつき、セイクリッドフラッシュを連打。彼女を海面へと押し上げる。
幸いレイアは気絶するまでには至っていなかった。顔が水面に出た際自力で、大きく息を吸い込み、吐く。
彼女の無事を見届けたディーナは、急いでまた海の中へ戻って行こうとした。
そこを、リナリスたちに呼び止められる。
「あ、待って! 潜るならこれ――」
●毒の一撃
舞は隠の徒を使い、タコ足に気づかれぬまま潜行して行く。
ひとまず接近には成功だ。
暗がりの先み水晶球の明かりが小さくゆらいでいるのが見えた。
Jが鉄爪「インシネレーション」で襲ってくるタコ足を引き裂いている。
岩棚にぶよついた塊がちらり。あれが本体なのだろうか?
舞と一緒に潜ってきた詩は、口からあぶくを吐き出した――満足な音とはならなかった。しかしレクイエムは、たとえ音が響かずとも効果を発揮することが出来る。
それを受け舞はナイトカーテン、次いでベノムエッジを発動した。タコ足の付け根に近い部分にヒートソードで浅い一撃を入れる。
それを見届けた詩はすぐさま彼女とともに、浮上していく。両者呼吸の限界がきていたのだ――リナリスの浮輪同様空になったジュース樽も、空気の補給にはほとんど役立たなかった。
海面に達する手前で彼女らは、再度潜水してきたレイアとすれ違う。
彼女は斬撃によって、タコ足を次々切り落としていた。
切られた足はうねくりながら沈み、霞のように消えていく。
●ユニの戦果
ユニのバトルハンマーが、タコ足の目玉を叩き潰す。
「やったあ!」
初めての小さな勝利。彼女は喜びの声を上げる。
だがそれは一転、短い悲鳴へと変わった。
先導、並びに引き付け役をしていたマルカがタコ足の直撃を食らい、岩礁上に叩き落とされたのだ。
リナリスはアイスボルトを発動し触手を凍らせ、動きを止めた。
呼吸のため水面近くに戻っていたルベーノが、白虎神拳で凍った触手を砕く。
その間にユニが、マルカの傍に駆け寄った。
「大丈夫ですか!」
「だい、じょうぶ、ですよ」
心配かけまいと笑う唇に、割れた額からの血が伝い落ちてくる。
カチャがユニに呼びかける。タコ足の一撃をギリギリ回避し、斧を打ち込んで。
「マルカさんをこっちに連れてきてください、ヒールをかけますから!」
ユニは頷いた。マルカを背負い岩礁伝いに走る。
その時である。海から突き出ていた触手がすべて引っ込んだ。
海中で何かあったらしい。
●糸の切れたタコ
ディーナはリナリスから預かってきた箱の中身を投下する。
膨れた丸い頭てっぺんが丸く開いた。
ノコギリのような歯が生えた円形状の口が、海水と一緒に餌を吸い込み噛み砕く。
やはり間違いない。あいつが本体。
そう見定めたディーナとJは、猛撃を始める。
岩棚に体を張り付かせていた根が千切れていく。
と同時にタコの体は浮き始めた。
それを阻止しようとしてタコは、延ばしていた足をこぞって引っ込めた。それらを総動員して岩棚に吸い付かんとする。
「……ほー。なるほど、お前支えがなきゃ浮いちまうんだな」
にやりと口の端を吊り上げたJは、鍵爪で足を引き剥がしにかかった。
ディーナはより接近し、本体に向けての直接攻撃を試みる。
「諦め悪いの、離れるの!」
タコの頭にホーリーメイスがめり込む。
本体についていた目玉が吊り上った。どうも怒ったらしい。
複数の足がディーナに殺到し頭部に巻き付く。
しかし鎧に守られた頸部を締め上げることはできなかった。先ほど舞から受けたBSにより、力そのものも弱まってきているのだ。
とうとうタコは場に留まっていられなくなり、上昇し始める。
それを追ってディーナたちもまた、上昇して行く。
●邪魔者は消えた、本題に入ろう
海面が破れ、大きなタコ頭が姿を表す。
「出た!」
マルカは急上昇し、敵の攻撃範囲から離れる。
タコは千切られ短くなった足を使い、手当たり次第岩礁を掴みにかかっている。泳ぐのが上手ではないらしい。
リナリスがアイスボルトを放った。
凍りついた足が粒となって砕け散る。
安定を失い揺れる巨頭。
カチャがそこに飛び乗り斧を突き立てた。
「落とす首がないのが残念ですよ!」
白い肉に大きな切れ込みが入る。中に詰まった内蔵めいたものが、ぶにゃりと飛び出した。
ユニもまたタコの体に飛びつこうとした。
だが触手によって遮られ、海に弾き落とされる。
舞が再度接近し、ベノムウェッジをかける――。
海中という優位性を失った今タコは、文字通りタコ殴りにあうしかなかった。
ハンターたちの猛攻に耐えられず、どす黒い噴霧となって消滅する。存在していた痕跡を何ひとつ残さずに。
それをディーナは非常に悔しがった。
「なんて卑怯な奴ですの! せっかく洗って食材にしようと思ってたのにー!」
Jも相手が消えたことを大層残念に思った。せめて足一本くらい残ってもよかったのではないか。そしたらカルパッチョだって作れたものを。
青い空、青い海、輝かしい日差し。
疲労感がいや増してくる。
「くっそぅ……本命の作業の前にべたべたに疲れるってどういうわけだよ……」
ぼやいたところ水平線上に、羊羹色をしたコンテナぽいものが現れた。
コンテナはのんびりした速度でハンターたちの間際まで寄ってきて、止まる。
上部にぱかりと穴が開く。
マゴイが出てきた。
ゆっくり辺りを見回した彼女は、首をかしげる。
『……何かあったかしら……?』
舞はびしょ濡れの髪を後方になでつけ、半眼になる。
「あったとかいう以上にあったよ」
ルベーノが続ける。
「μ、作業後みんなにユニゾンの施設を使わせてくれ。タコに水面下に引きずり込まれてシャワー位浴びねばやってられん――」
彼からひと通りの事情を聞いたマゴイは、もたもたと答えた。
『……そういうことなら……ユニゾンの外部者専用施設を使ってかまわない……でも……そこのオートマトンにはユニゾンの施設を使わせられない……オートマトンは……外部者の範疇に入らない……』
またこのパターンかと、ディーナが眉をひそめる。
だがそうではなかった。マゴイはこれまでのパターンにはなかった言葉を続けた。
『……しかし……あなたがたはこのオートマトンを人間と見なしている……ので………自分たちと同じ待遇をしないということに対し了解しないのだと思われる……』
岩礁に向き直り、両手を広げるマゴイ。平たい岩棚の上に四角い燐光の粒が生じ寄り集まり、形をとる――大きさ5m×5m×5m。窓らしき四角い穴と、入り口らしき四角い穴があいた、砂色の立方体へと。
詩が声を上げる。
「あれ、これって簡易住宅?」
マゴイが頷く。
『そう、簡易住宅……私はあなたがたにこれを貸与する……貸与している間その住宅の使用方法については……一時的に借主の裁量に任される……そこにオートマトンを運び込み洗浄するということなら……現行のユニオン法には……かろうじて……抵触しない……』
くどい説明だったが、マゴイの人となりを熟知しているルベーノは、彼女が言わんとしていることをすぐ理解した。
「つまりこの住宅内のシャワー設備なら、俺たち同様ユニも使って差し支えなしということなんだな?」
マゴイは苦手な動物でも見るような目でユニを眺め、さえない調子で言った。
『……そう……』
そのやり取りを見て、レイアはちょっぴり安心した。
マゴイも一応、外部者の気持ちを考慮するようにはなってきたらしい。
(焦る必要はない、か)
無理矢理主義を変えさせても意味はない。ただ、ゆっくり相互理解は促したい。そんなことを思う。
とりあえず話がまとまったようなので、舞は、改めてユニに向き直った。
「あたしは舞だよ。よろしくねユニ」
「はい、よろしくお願いいたします舞さん!」
詩は笑顔で言う。
「良い名前だね、ユニ、ってさ」
ルベーノはマゴイに、改めての確認を取った。
「オートマトンはこちらで引取り、資材はユニゾンへだったか?」
『……そうよ……』
「μ、英霊なら海面下まで潜れるか? お前が水中に来れるなら必要資材はお前に選んで貰った方が早いと思ってな」
『……もちろん潜れるわ……ではそのように……ところで……あなたたちのオートマトン探索と同時進行で……地上部分の解体工事を……行ってもいいかしら……』
「それは別に構わんが……1人で出来るのか? 今日はコボルドたちを連れてきていないのだろう?」
『……ええ……彼らは今日、休日だから……でもこの通り……分解工作機械を持ってきている……』
と言ってマゴイは、コンテナに向き直った。
『■■■ー■■■』
耳慣れない言葉と一緒に手を振る。
コンテナの開口部からにゅうっと管が伸びてきた。
それは建物の屋根に伸び、ローラに似た先端部を張り付かせる。
張り付かれた部分がまるで紙のようにくるくる巻かれ、吸い込まれてしまった。
その要領であっというまに屋根全体がなくなっていく。
建物の建築構造を記録しようと思っていたマルカは、大慌てでマゴイを止めに入った。
「ちょ、待ってください! やっぱり解体は後にしてください! 一応記録するべきこともありますので……っ!」
『……あらそう……では私は先に……海の中の様子を見てきましょうか……』
●家族
建築物は屋根をはがれて青天井。明るい日の光の下、細かいところまでよく見える。
天井近くまで届く金属製の格納棚、隙間なく張り巡らされた走るチューブ式コンベア。
落ちてきた際の衝撃によってか、あちこちで棚が倒れたり曲がったり、切れたコードが飛び出したり。
レイアは、すぐあることに気づいた。
「歩くスペースが作られてないな」
エバーグリーンのことに詳しいマルカは、以下のように推測する。マッピングする手を休めて。
「もともと人間なしで動くこと前提の施設なんだと思います。ネットワークで管理されていたんじゃないでしょうか」
となると、進むためにはいちいち辺りのものをかきわけて行かなければならない。
ややもしてディーナは、行く手に足がぶら下がっているのを見つけた。視線を上げてみれば全裸のオートマトンが、棚の途中に引っかかっている。近くには口の開いた人間大の箱。入れ物が壊れ、出てきてしまったらしい。
「一人目はっけーん! 上に引っかかってますのー!」
ハンターたちは協力して、そのオートマトンを引きおろしてやった。外見年齢30前後の、大柄で頑丈そうな男型。
ユニは感慨を込めて自分と似ても似つかぬその顔を眺める。
それを皮切りに、次々とオートマトンが見つかった。さっきのような男型もいれば女型もいる。年も体格もバラバラで、顔立ちも――数点を除いては、やっぱりユニに似ていない。
だがユニは、その全てに親愛の情を示した。
「この人は、ワタシの仲間ですね。この人も、この人も」
舞は照れ臭そうに言った。
「同じ所にいたなら、家族って事でいいんじゃないかな? 例えオートマトンでも同じ絆で結ばれてるんだから」
詩は姉の言葉に微笑み、言った。
「マゴイにとっては島の皆がそうだよね。マゴイは絶対認めないかもしれないけど、コボルド達への態度はどう見てもお母さんだもん」
ちょうどそこにマゴイが戻ってきた。
『……オートマトンは回収出来た……?』
ついでだからと舞は、今しがた妹が言ったことを伝える。するとマゴイは、首筋から耳まで真っ赤にした。髪を波打たせ、声を震わせ、叫ぶ。
『私は お母さんなどという 百害あって一理ない ヒワイきわまる 存在では 断じて な いっ!』
常識の裏側をいく発言に思わず真顔となるレイア、J、ディーナ、マルカ。
一方ルベーノは全然驚かなかった。まあ彼女ならそういう発想になるだろうなと思っただけである。
リナリスがカチャに耳打ちする。
「罵られたに近い感覚なのかな、今の。マゴイ的には」
「まあ、少なくとも褒め言葉とは思っていなさそうですよね。『お母さんみたい』っていう表現」
そんな中ユニだけは、終始きょとんとした顔をしていた。
――かくいう一幕の後、海中に落ちた施設の引き上げ作業が行われた。
沈んでいたのは建築物の残骸だけではなかった。ばらばらになったオートマトンの残骸もまた、大量に発見された。
壊れ具合からするに、例のタコが齧ったものらしい。
岩礁の上に詰まれたそれらを前にディーナは、悔やみの言葉を述べる。
「もうちょっと早く来てあげたらよかったの……」
そこにマゴイが寄ってきて、こう言いだした。
『……よければそのオートマトンの残骸も、貰っていきたいのだけれど……』
「……え? 何に使う気なの?」
『……この建物と同じく分解処理して新たな建設材料に再利用……』
「ダメーッ! ダメダメ、絶対ダメなのー! オートマトン関係は髪の毛一本まで全部こっちが引き取るのっ!」
『……そう……それは残念……』
ひとまずマゴイはある物全部持ち帰る所存だったようで、どんな欠片一つも『これはいらない』とは言わなかった。
●ユニの疑問
作業を終えたハンターたちは、マゴイが転移させてきた簡易住宅で順番にシャワーを浴び、汚れと疲れを洗い流した。
最後にシャワーを終えたJは、タオルで頭を拭きながら、怪訝な顔をする。
「にしても広ぇ部屋だな。どうなってんだ。外の大きさと全然合ってねぇぞ」
それに落ち着きはらって答えるルベーノ。
「ユニオン建築において空間操作はデフォだからな」
リナリス、そしてカチャ。
「だね」
「その技術に特化した文明って感じです」
ユニは窓辺で頬杖をつき何か考え込んでいる。
それに気づいた詩が、声をかけた。
「どうしたの、ユニちゃん」
「いえ、ワタシよく分からないことがあるんですが」
「何」
「マゴイさんが言われてた「ヒワイ」って、一体どういうものなんですか?」
「……ん、んー、どういうものかなあ?」
うまく説明出来る自信が全然なかった詩は、舞に目で助けを求めた。
しかし舞もまた、上手に説明する自信が全然なかった。
「えーと、そうだなあ、そういうことは」
と言いながら回答を代行してくれそうな相手を探す。運良くマルカと目が合った。
「マルカならよく知ってるんじゃないかな?」
いきなり難問を押し付けられたマルカはびっくり仰天し、うろうろ視線をさ迷わせる。
「え? ええ? いや、私もあのその詳しくは……レイアさんならご存知なのでは……」
予期せぬ球を投げられたレイアは、慌ててディーナに流す。
「いやいや、私などその道に関しては赤子同然の若輩者であるからして全く参考になりそうにない。そういうことは徳高きエクラの聖職者のほうが詳しく説明出来るんじゃないかと……」
ディーナはうろたえた。しかしエクラの使徒としてこの試練から逃れるわけにはいかぬと決意した。
「ええっと、それはですの、いわゆる一つの行き過ぎ状態と言うか……やりすぎと言うか……人前で仲良くしすぎることって言うか……」
そこに、どういう流れか知らないが、リナリスが割り込んでくる。
「――ユニ、大好きな気持ちはこうやって表すんだよ♪」
カチャの襟首を捕まえ、顔を寄せる。人前で見せるには少々激し過ぎるキス。
赤面するような場面をユニはじいいっと見つめた。
そして、部屋の隅から疑い深そうに自分を眺めているマゴイに聞いた。
「こういうのがヒワイですか?」
『……全く違う……そんなのは何一つヒワイではない……』
……結局ヒワイってなんなのだろう。
ユニの疑問は深まるばかりである。
今回見つかったオートマトンは総勢20体であった。
修理の際大いに役立つだろうスペア部品もまた、大量に確保された。
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タコ退治とオートマトン レイア・アローネ(ka4082) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/09/11 13:07:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/11 17:33:17 |