ゲスト
(ka0000)
収穫作業の邪魔モノよ!
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/09/11 22:00
- 完成日
- 2018/09/17 20:59
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●収穫
グラズヘイム王国のある地域の村のある家で、収穫作業が行われていた。
「今日はここの畑でトウモロコシ取り」
農家のファーマ家、じいさま筆頭に一家全員で畑に向かった。トウモロコシの出来を考えると楽しみで仕方がない。
収穫できるものをせっせととる。身がしまってなかなか良い出来だ。
隣の区画には南瓜が植わっている。こちらの手入れもしていかないとならない。
突然、大きなアリに襲われが現れた。ファーマ家のとうさんが逃げようとしたが、足元に何かが絡まって転んでしまった。今度は畑から大きな南瓜のような物が出てきた。足に絡まっているのはその蔦だと分かった。
そもそも、アリはここまで大きくないし、南瓜は動かない。
「うわあああ」
「おとうさん」
子どもたちは頑張って石を投げつける。かあさんは持っている鍬で南瓜を殴りつけた。
とうさんの足に絡まっていた南瓜の蔓がほどけたので、全員一目散に逃げた。
「どうしよう」
「ああ、畑に巣を作ろうとしているみたいだよ!」
アリの雑魔は地面を掘っている。南瓜はふらふら浮かびながら、トウモロコシ畑のどこかに消えた。
一家はおろおろするばかりだった。
通りかかった近所の人が声をかけた。かくかくしかじかと事情を話す。
「それは……どう考えてもそのままじゃいけないだろう?」
「そうだよな」
「退治しないと、雑魔は怖い。人的被害もだが、トウモロコシも南瓜も全滅するんじゃないか?」
その指摘にファーマ家ははっとした。
そして、ハンターに依頼を出すべく、とうさんが出かけた。
●依頼
ハンターオフィスの依頼として、雑魔退治が掲示される。
「現れたのは二体だと思われるよ。アリと南瓜……南瓜の方はいわゆるジャック・オ・ランタンだよ」
職員は依頼を見ているハンターに告げる。
「二体ということはあくまで依頼人の推測で、実際はわからないから、注意はしてよね」
砕けた口調で淡々としゃべっていく。
「なんでトウモロコシ畑に南瓜? まあ、隣が南瓜畑だからたまたまかな。ともかく、種類が違うのが出ているから、戦いには気を付けてね。普段から気を付けていると思うけれどね」
職員は微笑んだ。
グラズヘイム王国のある地域の村のある家で、収穫作業が行われていた。
「今日はここの畑でトウモロコシ取り」
農家のファーマ家、じいさま筆頭に一家全員で畑に向かった。トウモロコシの出来を考えると楽しみで仕方がない。
収穫できるものをせっせととる。身がしまってなかなか良い出来だ。
隣の区画には南瓜が植わっている。こちらの手入れもしていかないとならない。
突然、大きなアリに襲われが現れた。ファーマ家のとうさんが逃げようとしたが、足元に何かが絡まって転んでしまった。今度は畑から大きな南瓜のような物が出てきた。足に絡まっているのはその蔦だと分かった。
そもそも、アリはここまで大きくないし、南瓜は動かない。
「うわあああ」
「おとうさん」
子どもたちは頑張って石を投げつける。かあさんは持っている鍬で南瓜を殴りつけた。
とうさんの足に絡まっていた南瓜の蔓がほどけたので、全員一目散に逃げた。
「どうしよう」
「ああ、畑に巣を作ろうとしているみたいだよ!」
アリの雑魔は地面を掘っている。南瓜はふらふら浮かびながら、トウモロコシ畑のどこかに消えた。
一家はおろおろするばかりだった。
通りかかった近所の人が声をかけた。かくかくしかじかと事情を話す。
「それは……どう考えてもそのままじゃいけないだろう?」
「そうだよな」
「退治しないと、雑魔は怖い。人的被害もだが、トウモロコシも南瓜も全滅するんじゃないか?」
その指摘にファーマ家ははっとした。
そして、ハンターに依頼を出すべく、とうさんが出かけた。
●依頼
ハンターオフィスの依頼として、雑魔退治が掲示される。
「現れたのは二体だと思われるよ。アリと南瓜……南瓜の方はいわゆるジャック・オ・ランタンだよ」
職員は依頼を見ているハンターに告げる。
「二体ということはあくまで依頼人の推測で、実際はわからないから、注意はしてよね」
砕けた口調で淡々としゃべっていく。
「なんでトウモロコシ畑に南瓜? まあ、隣が南瓜畑だからたまたまかな。ともかく、種類が違うのが出ているから、戦いには気を付けてね。普段から気を付けていると思うけれどね」
職員は微笑んだ。
リプレイ本文
●お願いします
ハンターたちは三々五々集まる。不安そうなファーマ一家はハンターたちがきてひとまずほっとする。
レイア・アローネ(ka4082)が状況を確認のために聞く。依頼が出された後に変化がある可能性があるからだ。
「畑荒らしか……ハロウィンはまだ先だぞ……」
南瓜の雑魔と聞くとそこにつながる昨今。
夢路 まよい(ka1328)がこくこくとうなずく。
「そうそう、南瓜はあれ、万節の奴みたいだけど、ちょっと気が早いんじゃないかな?」
星野 ハナ(ka5852)は首を傾げた。何か考えているようである。
「まあ、出てきたならば倒してしまうのですぅ」
狐中・小鳥(ka5484)は神妙にうなずく。
「せっかく育ててる作物を傷付けちゃだめだよね。被害出さないように気を付けるんだよ!」
「そうなんだよね。だから【集束魔】使わないと被害が出ちゃうんだよね」
まよいが溜息を洩らす。範囲で区切って効果が出る魔術は、味方の位置を注意しないと問題になる。
その横でハナが胸を張る。
「符術は敵のみという環境に優しい術なのですぅ」
「それは……頼もしいな。まずは行ってみよう」
レイアが現場に行くことを促す。
「そうだね。運がいいと、攻撃しやすいところにいるかもしれないね!」
小鳥が歩み始めようとした。
「あの、アリは移動が早いのか、見たところからすぐに違うところにいるんです」
ファーマ父が告げる。
一行は顔を見合わせる。実際見てみないと分からない。アリの習性が残っており穴を掘った結果、トンネルを最短距離移動して足が速く見えるのか、実際高速移動しているのか、もしくは別の原因が有るのかもしれない。
●まずは現場拝見
ハンターたちは収穫前の畑を見渡せる農道に立った。そこから見ただけでは、荒れているか否か程度しかわからない。アリが掘ったらしい部分は土が表に出ているが、トウモロコシが生えているところではわからない。
レイアは農道から見て回る。それにまよいがついていく。
ジャック・オ・ランタンの方は宙を浮いている移動のためかさほど被害を出していないように見える。ただ、何か引きずった跡がある。一方でアリは巣か通り道を作っており、畑のあちこちが荒れていた。
「これは、アリの方はどこにいるかわからないね」
まよいは杖を握りしめいつでも魔法を使えるよう警戒はしている。
「そうだな……できるだけ畑は荒らしたくはないし」
レイアはじっと盛り上がっている土を見つめる。そこを剣の先で突いてみると盛り土は崩れた。中は空洞であり、アリの通路である可能性が非常に高い。
「壊していけばアリな雑魔が出てくるよね」
「そういうことだな」
畑を歩いているだけでは雑魔は出てこないかもしれない。
レイアとまよいは一旦、農道に戻っていった。
ハナは農道から畑を見渡す。
「うーん、ちょっとでも高いところから見ればわかると思ったんですけどぉ」
その横で小鳥が背伸びして畑を見渡す。
「確かにわからないね」
レイアとまよいがトウモロコシ畑に入ると見えにくくなる。
「分からないならわからないで、やることはあるのですぅ」
「どうをするのかな?」
小鳥は興味津々という目をハナに向けた。
「生餌役を置けばいいのですぅ」
「え? いきえ? 生きている餌ってことだよね? わたしたちが行けばいいってことかな? かな?」
戦闘になったら舞刀士である小鳥は前に出る。
「そうですぅ……けど、そういう意味でもないですぅ。回復魔法も必要ですぅ。私が行って、雑魔がいたとなれば符術を放てばいいのです」
ハナはにこりと笑う。剛毅で頼もしいことを言った。
「なるほど……あ、いや、それは最終手段だよ。生餌を置かなくても来るかもしれないし」
小鳥は生餌作戦は良いようだが、本当にいいのかわからないということで畑を見に行った人たちを待つ。
レイアとまよいは泰然自若と構えるハナと、困惑気味の小鳥という対照的な様子にきょとんとなる。
「必要なら生餌を置けばいいのですぅという話です」
ハナが解説をした。
「まあ、【ソウルトーチ】を使えばそのような状況になるかとは思うぞ?」
「……あ」
レイアの言葉にハナは手をポンとたたく。
「でも、基本、全員で当たるんだよね?」
「そうですよぉ」
まよいにハナはうなずいた。
「アリを見つけるなら巣というか通路をどうにかすると反応がすぐに出てくるだろう」
レイアが見てきたものを説明する。農道からわからない部分はそれである。
「南瓜は魔法使ってくるのがいるから、私は優先するよ? 【カウンターマジック】があるし、打ち消せるか試すよ」
まよいの提案に反論は出ない。敵の攻撃を避けられるかだってわからないのだから、多段的に対策はあるほうがいい。
「直接戦うのは任せてなの」
小鳥はまよいを守るしぐさをした。
「アリの方が出てきやすいだろうということですねぇ。ジャック・オ・ランタンの方は、きっと、つられてでてくるでしょう」
ハナが楽観に告げるが、ありえないことではないだろう。ファーマたちが出会ったとき両方いただのだから。
一行は戦いやすそうな、農作物への被害がこれ以上出にくいところを選ぶ。
●挑発
農道のところでまよいとハナが注意する間、レイアと小鳥が下りていく。まずは適度にアリが作ったらしい道を壊しにかかった。
「最終的にはここは平らにしたほうがいんだよね?」
「道具はないからつぶすだけでひとまずいいだろう」
「そうだね」
小鳥とレイアは盛り上がっている土をつぶす際、細心の注意を払う。雑魔が中にいる場合つぶした瞬間に襲われることもあるだろうから。
「結構、頑張ったね……雑魔だけど」
小鳥は通路の長さを見てふと思う。
「普通のアリがすることを習性が残ってやっていたとして、大きさ考えると……」
「そっか……でも、大きい穴は崩れやすいよね?」
「となると、やはり、雑魔は頑張ったということになるか」
二人は苦笑した。
レイアは足を止めた。何かいる気配を感じたのだ。
「そろそろ、お出ましか?」
レイアが試しに【ソウルトーチ】を用い、小鳥は武器を構えた。農道側に下がるにしても、何がいるのか確認したいところだった。
ハナとまよいは周囲への警戒をしつつ、待機していた。
「南瓜はトウモロコシのところにいた……んだよね。見えないなー」
「宙に浮くとはいえ、地面すれすれにいたらみえませんよぉ」
「そうだよね」
下りてみて探すのが一番だが、むやみに互いに動きハンター同士の位置を把握していない状態で襲われり、敵の攻撃が意外と強かった場合、危険かもしれない。時間的な余裕が有るのだから、段階的に行動をとる方が安全かつ確実だ。
「おやぁ? あちらの方で何か動き合ったみたいですぅ?」
「本当だ……あれ? トウモロコシ畑の方になんか赤黒いものが見えたような」
「ろくなものではないですぅ」
「だよね」
二人は一瞬考えた。
「とりあえず、報告ですぅ」
大きな声でレイアと小鳥に伝えた。そんなに広くない場所であるし、ここで大声を出すことで敵がやってくる可能性もある。本来なら来なくていいが、今回は探す手間を考えて来てくれるほうが非常に良かった。
●戦闘
レイアはアリを目視したところで農道側に移動を始めると、ハナとまよいの呼びかけが聞こえた。
「……ん? もう一体アリ?」
「最初は一体と言っていたよね? つまり、アリは二体いる? それとも超高速移動……」
「いや、私たちが見て、ハナたちが違う畑で見ている……つまり、二体いると考えるのが妥当だろう」
「うん、わかった。でも、農道付近で戦うってことは変わらないね」
小鳥自身は単体に攻撃することが主であるから、畑の中でも戦える。しかし、農作物に被害を出さないかと言えば、踏みつける風圧等で切れるということはないとは言えない。
二人は農道の方に向かった。
ハナはトウモロコシ畑に向かって下りていく。
まよいはひとまず待機する。ジャック・オ・ランタンへの対応を考えるとむやみに動けなかった。それにハナだけでなく、レイアと小鳥もこちらに向かってくる。覚醒状態ということは、敵がいたこと他ならない。
ハナは畑に下りると、目視でアリがいたあたりに立つ。隙間から出てきたモノに対して符を放った。
「【五色光符陣】ですぅ」
結界が張られ、符を介した力が発され、光が飛ぶ。アリは逃げようとしたが間に合わず、粉砕された。
「ふっふっふっ、一体、終わりましたぁ」
まよいは見ていた、そこに、ジャック・オ・ランタンが近寄っていたのを。
「ハナ、南瓜来るよ」
声をかけつつ距離を詰め、【カウンターマジック】を放った。マテリアルが収束しているような雰囲気だったため、魔法が来ると判断した結果だった。
ジャック・オ・ランタンは魔法が使えなかったことをいぶかしむ様子ではあったが、そのまま、蔦でハナを攻撃した。
「ほほーう……痛かったのですぅ」
そのまま南瓜はハナの符術により粉砕されたのだった。
一方、農道までやってきたレイアと小鳥は武器を構え、アリと対峙する。もう一体はハナとまよいが対処しているのは分かっているため、気兼ねなく行動できる。
「さて、ここまで来るがいい」
レイアは再度【ソウルトーチ】を使った。農道に向かうのをためらっていたアリは一気に間合いを詰めてきた。
「それより、わたしのほうが先だよ!」
【疾風剣】で鋭い攻撃を放った。
「雑魔が出てきてくれたのは助かるな」
レイアは【ソウルエッジ】を用い【刺突一閃】を用いる。手ごたえは十分あった。
アリの雑魔はあっさりと霧散した。
「意外とあっけないね」
「とはいえ、南瓜は?」
小鳥とレイアが農道に上がった時、ハナとまよいも上がってきた。
「南瓜とアリの討伐は終わりましたよぉ」
「情報より、アリの数は多いよね?」
ハナの報告と、まよいは疑問を投じる。
そのあと、予定より敵が多かったこともあり、念のための確認を行う。
一方、ハナは【浄龍樹陣】を使う。
「負のマテリアルが残ったせいで、今後作物が育ちにくいとか負のマテリアルに汚染された食物ができたとか言われてもこまりますしぃ?」
アリの通路を見つつ、スキルの回数分、できる限りの場所を浄化する。
残りの三人は邪魔にならないところで見ている。
「そんなこと言わないと思うんだよね」
「まあ、念には念を入れることはいいことだ」
小鳥にレイアが告げる。
「負のマテリアルに汚染された食物って……雑魔化しているってことだよね」
まよいの言葉に、浄化作業を見守っていたレイアと小鳥はそれは一瞬震えた。土の中で負のマテリアルを蓄えた雑魔は、すでに雑魔ではない何かではなかろうからだ。
●おやつ
討伐が完了したということを告げると、ファーマ一家は非常に喜んだ。うれし涙も浮かぶ。
「何かお手伝いする? それとも雑魔がいなくなれば、大丈夫そうではあるのかな? かな?」
小鳥が尋ねる。
ハナは同意するようにうなずく。心では「収穫手伝ったらお土産に収穫物くれないかな」と思ってはいる。
「いえいえ。そんな、大丈夫ですよ」
ファーマ父が言うと家族がうなずく。
「なら、南瓜……はまだ駄目か? トウモロコシでいいから売ってくれないか?」
レイアがぽつり言う。
「いや、戦っていたらなんか、南瓜が食いたくなってきたんだ」
「えー、そこで南瓜? おなか空いたからということではなく、南瓜、南瓜言っていたからかな?」
「そうだな、結局、私はジャック・オ・ランタンとは出会わなかった。しかし、依頼の当初から南瓜、南瓜言っているから」
まよいの指摘にレイアが困った顔で同意した。
「雑魔に荒らされた当たりの片づけとして収穫を手伝いますぅ」
ハナが提案する。荒らされたところは折れているのも見栄えがよろしくないものもある。
一家は顔を見合わせた。手伝ってもらうのも悪い、おやつ程度ならトウモロコシや収穫可能な南瓜はあげてもかまわないとは思っていた。
「売り物でもあるんだよね?」
小鳥が悩むファーマ一家に現実を念を押す。
「分かりました。その場所の片づけはそこの農作物と引き換えということでお願いしていいでしょうか?」
体力も残っていたハンターに否はなかった。
そして、荒れていた部分の片づけを手早くした。
「トウモロコシパンとかトルティーヤ……南瓜プディングも捨てがたいですよねぇ」
ハナは調理する物を考えるが、南瓜のところはあまり荒れていなかった。そのため、トウモロコシのみとなる。
レイアは手元にあるトウモロコシを眺め、どうやって食べるか考える。
「そのまま、ゆでる、焼く……早く決めないとハナに加工されそうだ」
「どうやって食べてもおいしそうだよね」
荒らされてたとはいえ、立派なトウモロコシを手にまよいが言う。
「お手伝いは終わりだね。おなかすいたし……腹ごしらえして、帰るってことだよね?」
小鳥の問いかけに、一行はうなずく。ファーマ家の台所を借り料理を作る。そして、取れたてのトウモロコシやパンなどを食べ、ほっと一息つくのだった。
ハンターたちは三々五々集まる。不安そうなファーマ一家はハンターたちがきてひとまずほっとする。
レイア・アローネ(ka4082)が状況を確認のために聞く。依頼が出された後に変化がある可能性があるからだ。
「畑荒らしか……ハロウィンはまだ先だぞ……」
南瓜の雑魔と聞くとそこにつながる昨今。
夢路 まよい(ka1328)がこくこくとうなずく。
「そうそう、南瓜はあれ、万節の奴みたいだけど、ちょっと気が早いんじゃないかな?」
星野 ハナ(ka5852)は首を傾げた。何か考えているようである。
「まあ、出てきたならば倒してしまうのですぅ」
狐中・小鳥(ka5484)は神妙にうなずく。
「せっかく育ててる作物を傷付けちゃだめだよね。被害出さないように気を付けるんだよ!」
「そうなんだよね。だから【集束魔】使わないと被害が出ちゃうんだよね」
まよいが溜息を洩らす。範囲で区切って効果が出る魔術は、味方の位置を注意しないと問題になる。
その横でハナが胸を張る。
「符術は敵のみという環境に優しい術なのですぅ」
「それは……頼もしいな。まずは行ってみよう」
レイアが現場に行くことを促す。
「そうだね。運がいいと、攻撃しやすいところにいるかもしれないね!」
小鳥が歩み始めようとした。
「あの、アリは移動が早いのか、見たところからすぐに違うところにいるんです」
ファーマ父が告げる。
一行は顔を見合わせる。実際見てみないと分からない。アリの習性が残っており穴を掘った結果、トンネルを最短距離移動して足が速く見えるのか、実際高速移動しているのか、もしくは別の原因が有るのかもしれない。
●まずは現場拝見
ハンターたちは収穫前の畑を見渡せる農道に立った。そこから見ただけでは、荒れているか否か程度しかわからない。アリが掘ったらしい部分は土が表に出ているが、トウモロコシが生えているところではわからない。
レイアは農道から見て回る。それにまよいがついていく。
ジャック・オ・ランタンの方は宙を浮いている移動のためかさほど被害を出していないように見える。ただ、何か引きずった跡がある。一方でアリは巣か通り道を作っており、畑のあちこちが荒れていた。
「これは、アリの方はどこにいるかわからないね」
まよいは杖を握りしめいつでも魔法を使えるよう警戒はしている。
「そうだな……できるだけ畑は荒らしたくはないし」
レイアはじっと盛り上がっている土を見つめる。そこを剣の先で突いてみると盛り土は崩れた。中は空洞であり、アリの通路である可能性が非常に高い。
「壊していけばアリな雑魔が出てくるよね」
「そういうことだな」
畑を歩いているだけでは雑魔は出てこないかもしれない。
レイアとまよいは一旦、農道に戻っていった。
ハナは農道から畑を見渡す。
「うーん、ちょっとでも高いところから見ればわかると思ったんですけどぉ」
その横で小鳥が背伸びして畑を見渡す。
「確かにわからないね」
レイアとまよいがトウモロコシ畑に入ると見えにくくなる。
「分からないならわからないで、やることはあるのですぅ」
「どうをするのかな?」
小鳥は興味津々という目をハナに向けた。
「生餌役を置けばいいのですぅ」
「え? いきえ? 生きている餌ってことだよね? わたしたちが行けばいいってことかな? かな?」
戦闘になったら舞刀士である小鳥は前に出る。
「そうですぅ……けど、そういう意味でもないですぅ。回復魔法も必要ですぅ。私が行って、雑魔がいたとなれば符術を放てばいいのです」
ハナはにこりと笑う。剛毅で頼もしいことを言った。
「なるほど……あ、いや、それは最終手段だよ。生餌を置かなくても来るかもしれないし」
小鳥は生餌作戦は良いようだが、本当にいいのかわからないということで畑を見に行った人たちを待つ。
レイアとまよいは泰然自若と構えるハナと、困惑気味の小鳥という対照的な様子にきょとんとなる。
「必要なら生餌を置けばいいのですぅという話です」
ハナが解説をした。
「まあ、【ソウルトーチ】を使えばそのような状況になるかとは思うぞ?」
「……あ」
レイアの言葉にハナは手をポンとたたく。
「でも、基本、全員で当たるんだよね?」
「そうですよぉ」
まよいにハナはうなずいた。
「アリを見つけるなら巣というか通路をどうにかすると反応がすぐに出てくるだろう」
レイアが見てきたものを説明する。農道からわからない部分はそれである。
「南瓜は魔法使ってくるのがいるから、私は優先するよ? 【カウンターマジック】があるし、打ち消せるか試すよ」
まよいの提案に反論は出ない。敵の攻撃を避けられるかだってわからないのだから、多段的に対策はあるほうがいい。
「直接戦うのは任せてなの」
小鳥はまよいを守るしぐさをした。
「アリの方が出てきやすいだろうということですねぇ。ジャック・オ・ランタンの方は、きっと、つられてでてくるでしょう」
ハナが楽観に告げるが、ありえないことではないだろう。ファーマたちが出会ったとき両方いただのだから。
一行は戦いやすそうな、農作物への被害がこれ以上出にくいところを選ぶ。
●挑発
農道のところでまよいとハナが注意する間、レイアと小鳥が下りていく。まずは適度にアリが作ったらしい道を壊しにかかった。
「最終的にはここは平らにしたほうがいんだよね?」
「道具はないからつぶすだけでひとまずいいだろう」
「そうだね」
小鳥とレイアは盛り上がっている土をつぶす際、細心の注意を払う。雑魔が中にいる場合つぶした瞬間に襲われることもあるだろうから。
「結構、頑張ったね……雑魔だけど」
小鳥は通路の長さを見てふと思う。
「普通のアリがすることを習性が残ってやっていたとして、大きさ考えると……」
「そっか……でも、大きい穴は崩れやすいよね?」
「となると、やはり、雑魔は頑張ったということになるか」
二人は苦笑した。
レイアは足を止めた。何かいる気配を感じたのだ。
「そろそろ、お出ましか?」
レイアが試しに【ソウルトーチ】を用い、小鳥は武器を構えた。農道側に下がるにしても、何がいるのか確認したいところだった。
ハナとまよいは周囲への警戒をしつつ、待機していた。
「南瓜はトウモロコシのところにいた……んだよね。見えないなー」
「宙に浮くとはいえ、地面すれすれにいたらみえませんよぉ」
「そうだよね」
下りてみて探すのが一番だが、むやみに互いに動きハンター同士の位置を把握していない状態で襲われり、敵の攻撃が意外と強かった場合、危険かもしれない。時間的な余裕が有るのだから、段階的に行動をとる方が安全かつ確実だ。
「おやぁ? あちらの方で何か動き合ったみたいですぅ?」
「本当だ……あれ? トウモロコシ畑の方になんか赤黒いものが見えたような」
「ろくなものではないですぅ」
「だよね」
二人は一瞬考えた。
「とりあえず、報告ですぅ」
大きな声でレイアと小鳥に伝えた。そんなに広くない場所であるし、ここで大声を出すことで敵がやってくる可能性もある。本来なら来なくていいが、今回は探す手間を考えて来てくれるほうが非常に良かった。
●戦闘
レイアはアリを目視したところで農道側に移動を始めると、ハナとまよいの呼びかけが聞こえた。
「……ん? もう一体アリ?」
「最初は一体と言っていたよね? つまり、アリは二体いる? それとも超高速移動……」
「いや、私たちが見て、ハナたちが違う畑で見ている……つまり、二体いると考えるのが妥当だろう」
「うん、わかった。でも、農道付近で戦うってことは変わらないね」
小鳥自身は単体に攻撃することが主であるから、畑の中でも戦える。しかし、農作物に被害を出さないかと言えば、踏みつける風圧等で切れるということはないとは言えない。
二人は農道の方に向かった。
ハナはトウモロコシ畑に向かって下りていく。
まよいはひとまず待機する。ジャック・オ・ランタンへの対応を考えるとむやみに動けなかった。それにハナだけでなく、レイアと小鳥もこちらに向かってくる。覚醒状態ということは、敵がいたこと他ならない。
ハナは畑に下りると、目視でアリがいたあたりに立つ。隙間から出てきたモノに対して符を放った。
「【五色光符陣】ですぅ」
結界が張られ、符を介した力が発され、光が飛ぶ。アリは逃げようとしたが間に合わず、粉砕された。
「ふっふっふっ、一体、終わりましたぁ」
まよいは見ていた、そこに、ジャック・オ・ランタンが近寄っていたのを。
「ハナ、南瓜来るよ」
声をかけつつ距離を詰め、【カウンターマジック】を放った。マテリアルが収束しているような雰囲気だったため、魔法が来ると判断した結果だった。
ジャック・オ・ランタンは魔法が使えなかったことをいぶかしむ様子ではあったが、そのまま、蔦でハナを攻撃した。
「ほほーう……痛かったのですぅ」
そのまま南瓜はハナの符術により粉砕されたのだった。
一方、農道までやってきたレイアと小鳥は武器を構え、アリと対峙する。もう一体はハナとまよいが対処しているのは分かっているため、気兼ねなく行動できる。
「さて、ここまで来るがいい」
レイアは再度【ソウルトーチ】を使った。農道に向かうのをためらっていたアリは一気に間合いを詰めてきた。
「それより、わたしのほうが先だよ!」
【疾風剣】で鋭い攻撃を放った。
「雑魔が出てきてくれたのは助かるな」
レイアは【ソウルエッジ】を用い【刺突一閃】を用いる。手ごたえは十分あった。
アリの雑魔はあっさりと霧散した。
「意外とあっけないね」
「とはいえ、南瓜は?」
小鳥とレイアが農道に上がった時、ハナとまよいも上がってきた。
「南瓜とアリの討伐は終わりましたよぉ」
「情報より、アリの数は多いよね?」
ハナの報告と、まよいは疑問を投じる。
そのあと、予定より敵が多かったこともあり、念のための確認を行う。
一方、ハナは【浄龍樹陣】を使う。
「負のマテリアルが残ったせいで、今後作物が育ちにくいとか負のマテリアルに汚染された食物ができたとか言われてもこまりますしぃ?」
アリの通路を見つつ、スキルの回数分、できる限りの場所を浄化する。
残りの三人は邪魔にならないところで見ている。
「そんなこと言わないと思うんだよね」
「まあ、念には念を入れることはいいことだ」
小鳥にレイアが告げる。
「負のマテリアルに汚染された食物って……雑魔化しているってことだよね」
まよいの言葉に、浄化作業を見守っていたレイアと小鳥はそれは一瞬震えた。土の中で負のマテリアルを蓄えた雑魔は、すでに雑魔ではない何かではなかろうからだ。
●おやつ
討伐が完了したということを告げると、ファーマ一家は非常に喜んだ。うれし涙も浮かぶ。
「何かお手伝いする? それとも雑魔がいなくなれば、大丈夫そうではあるのかな? かな?」
小鳥が尋ねる。
ハナは同意するようにうなずく。心では「収穫手伝ったらお土産に収穫物くれないかな」と思ってはいる。
「いえいえ。そんな、大丈夫ですよ」
ファーマ父が言うと家族がうなずく。
「なら、南瓜……はまだ駄目か? トウモロコシでいいから売ってくれないか?」
レイアがぽつり言う。
「いや、戦っていたらなんか、南瓜が食いたくなってきたんだ」
「えー、そこで南瓜? おなか空いたからということではなく、南瓜、南瓜言っていたからかな?」
「そうだな、結局、私はジャック・オ・ランタンとは出会わなかった。しかし、依頼の当初から南瓜、南瓜言っているから」
まよいの指摘にレイアが困った顔で同意した。
「雑魔に荒らされた当たりの片づけとして収穫を手伝いますぅ」
ハナが提案する。荒らされたところは折れているのも見栄えがよろしくないものもある。
一家は顔を見合わせた。手伝ってもらうのも悪い、おやつ程度ならトウモロコシや収穫可能な南瓜はあげてもかまわないとは思っていた。
「売り物でもあるんだよね?」
小鳥が悩むファーマ一家に現実を念を押す。
「分かりました。その場所の片づけはそこの農作物と引き換えということでお願いしていいでしょうか?」
体力も残っていたハンターに否はなかった。
そして、荒れていた部分の片づけを手早くした。
「トウモロコシパンとかトルティーヤ……南瓜プディングも捨てがたいですよねぇ」
ハナは調理する物を考えるが、南瓜のところはあまり荒れていなかった。そのため、トウモロコシのみとなる。
レイアは手元にあるトウモロコシを眺め、どうやって食べるか考える。
「そのまま、ゆでる、焼く……早く決めないとハナに加工されそうだ」
「どうやって食べてもおいしそうだよね」
荒らされてたとはいえ、立派なトウモロコシを手にまよいが言う。
「お手伝いは終わりだね。おなかすいたし……腹ごしらえして、帰るってことだよね?」
小鳥の問いかけに、一行はうなずく。ファーマ家の台所を借り料理を作る。そして、取れたてのトウモロコシやパンなどを食べ、ほっと一息つくのだった。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/10 14:15:40 |
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短時間でもえっさほいさ相談 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/09/11 20:00:11 |