ゲスト
(ka0000)
コボルドたちの集落を救え
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/09/19 15:00
- 完成日
- 2018/09/20 10:35
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●友好的なコボルドたち
とある森にコボルドたちが住んでいた。
その森に住んでいるコボルドたちは、他のコボルドたちのように人間に敵対的ではなかった。
もちろん、のこのこと人里まで降りてきたり人間すべてが善人だと信じて警戒心なく付き合おうとするようなお花畑でもなかったが、森の中で怪我人がいれば助けたり、迷って彷徨っているような人間がいればそれとなく森の外へと案内したりする程度には、温厚な集団だった。
森のコボルドたちは、皆家族だ。
両親に、子どもに、祖父母。従兄妹などの親族も合わせて、血の繋がりで纏まっている。
故に結束も強く、全員が一つの氏族を形成している。
彼らは片言ではあるが人間の言葉も理解し、必要あれば人間たちと交渉を行っていた。
コボルドの例に漏れず、この森のコボルドたちも運動神経は一般人を上回り、訓練を積んだ正規兵でなければ対応できないほどであったが、温厚な彼らはその力を単純な暴力手段として人間に向けることはなかった。
●森の異変
そんなある日、コボルドたちが住む森に普段とは違う異変があった。
まず、獲物が見つからない。
木の実や果物などはいつも通りなのだが、動物たちが著しく数を減らしている。
三日間狩りに出て、遭遇したのがたった三匹という有様だ。しかもどれもが小動物。
成果がないよりマシなのは確かだが、全体に行き渡らせるには遥かに足りない。
森ではコボルドたちが集まって話し合いをしていた。
「ドウスル、ベキカ」
「キノミ、クダモノデシノグカ」
「ダガ、ニクガナケレバチカラ、デナイ」
コボルドたちは栄養素やそれらの欠乏によって起こる身体の変化の仕組みを理解しているわけではなかったが、経験としてずっと同じものを食べていれば身体の調子が悪くなることを知っていた。
特に肉は強い身体を作るためには必須だという認識がこのコボルドたちにはあり、基本的に弱肉強食の世界で生きているコボルドという種族において、より強靭な肉体を得ることは必須といってよかった。
「ニンゲンノカチク、ネラウカ」
「ダメダ」
一匹のコボルドが案を出すが、即座に却下される。
確かに、人間たちの村を襲えば家畜の一匹や二匹、容易く手に入るだろう。
しかし、その対価はあまりにも高過ぎる。
村を襲ったコボルドたちは人間に危険視され、討伐されることとなるだろう。
ハンターが来れば、全滅もあり得る。
その時、コボルドたちの一人が遠くに立つ何かに気が付く。
「オイ、アレハナンダ?」
振り向いたコボルドたちが見たのは、巨大な肉の塊に手足が生えたような数体の何かだった。
首はなく、胴と頭は繋がっていて、頭に当たる箇所には髪も眉も目も鼻もない。
ただ、口のような横一線の切れ込みだけがあった。
「ワカラン。ダガ、ニクノヨウニミエル」
コボルドたちが困惑している中、その肉のような何かが一斉に跳躍し、コボルドたち目掛け飛び掛かってきた。
「ミンナ、サケロ!」
種族して持ち前の敏捷さを生かし、コボルドたちは散らばる。
しかし、一人だけが逃げ遅れた。
「ア……ガ……」
一人だけ、その場を動くことが出来ずに、肉の下敷きになっている。
肉のような何かの口が開く。
大きな口はが真っ二つになるのではないかと思うくらお大きく開き、開いた口からは鋭い牙がずらりと並んでいる。
「アギャアアアアアアアア!」
喰いつかれたコボルドが絶叫し、血しぶきが上がる。
「イクゾ! タスケルンダ!」
我に返ったコボルドたちが、肉のような何かに襲い掛かろうとする。
だが、コボルドたちをものともせず、肉のような何かたちは暴れ回り、一人また一人とコボルドたちが倒されていく。
「ニゲロ!」
何匹も仲間を殺され、勝てないと悟ったコボルドたちが散り散りになる。
肉のような何かが生き残りのコボルドたちを追いかけて走り出す。
殺戮が始まった。
●ハンターズソサエティへ
群れの中でも若いメスのコボルドは、仲間のオスたちに庇われて必死に逃げ続けた。
彼女は身重のコボルドだった。
他のコボルドのように、俊敏には動けない。
それでもオスたちは彼女を見捨てずに一人、また一人と、追いかけてくる肉のような何かたちから彼女を守るため、足止めに残った。
もはや彼女は一人だけ。
周りには誰もいない。
背後からは何かよくないものの気配がずっと追いかけてきているような気がして、彼女は恐怖に縛られて走り続けた。
それでも、彼女は己が氏族の一員であることを忘れてはいなかった。
助けなければならない。戻らなければならない。
彼女は本能的に悟っていた。森の動物はきっと、あのバケモノたちに喰らわれたのだ。
「ハンターズ、ソサエティ……!」
コボルドでも知っている、有名な人間たちの組織。
超人が集まる場所。
辿り着く前にあのバケモノたちに追い付かれて殺されるかもしれない。
人間たちに人間を襲いに来た悪いコボルドだと思われて殺されるかもしれない。
それでも、彼女は走った。
皆を助けるには、それしか方法がなかったのだ。
結論をいえば、彼女はハンターズソサエティに辿り着けた。
街は白昼堂々押し入った彼女によって騒ぎが起きているが、彼女はそれに気を払っている余裕はない。
「タスケテ……! タスケテ!」
片言で、彼女は人間に助けを求めた。
とある森にコボルドたちが住んでいた。
その森に住んでいるコボルドたちは、他のコボルドたちのように人間に敵対的ではなかった。
もちろん、のこのこと人里まで降りてきたり人間すべてが善人だと信じて警戒心なく付き合おうとするようなお花畑でもなかったが、森の中で怪我人がいれば助けたり、迷って彷徨っているような人間がいればそれとなく森の外へと案内したりする程度には、温厚な集団だった。
森のコボルドたちは、皆家族だ。
両親に、子どもに、祖父母。従兄妹などの親族も合わせて、血の繋がりで纏まっている。
故に結束も強く、全員が一つの氏族を形成している。
彼らは片言ではあるが人間の言葉も理解し、必要あれば人間たちと交渉を行っていた。
コボルドの例に漏れず、この森のコボルドたちも運動神経は一般人を上回り、訓練を積んだ正規兵でなければ対応できないほどであったが、温厚な彼らはその力を単純な暴力手段として人間に向けることはなかった。
●森の異変
そんなある日、コボルドたちが住む森に普段とは違う異変があった。
まず、獲物が見つからない。
木の実や果物などはいつも通りなのだが、動物たちが著しく数を減らしている。
三日間狩りに出て、遭遇したのがたった三匹という有様だ。しかもどれもが小動物。
成果がないよりマシなのは確かだが、全体に行き渡らせるには遥かに足りない。
森ではコボルドたちが集まって話し合いをしていた。
「ドウスル、ベキカ」
「キノミ、クダモノデシノグカ」
「ダガ、ニクガナケレバチカラ、デナイ」
コボルドたちは栄養素やそれらの欠乏によって起こる身体の変化の仕組みを理解しているわけではなかったが、経験としてずっと同じものを食べていれば身体の調子が悪くなることを知っていた。
特に肉は強い身体を作るためには必須だという認識がこのコボルドたちにはあり、基本的に弱肉強食の世界で生きているコボルドという種族において、より強靭な肉体を得ることは必須といってよかった。
「ニンゲンノカチク、ネラウカ」
「ダメダ」
一匹のコボルドが案を出すが、即座に却下される。
確かに、人間たちの村を襲えば家畜の一匹や二匹、容易く手に入るだろう。
しかし、その対価はあまりにも高過ぎる。
村を襲ったコボルドたちは人間に危険視され、討伐されることとなるだろう。
ハンターが来れば、全滅もあり得る。
その時、コボルドたちの一人が遠くに立つ何かに気が付く。
「オイ、アレハナンダ?」
振り向いたコボルドたちが見たのは、巨大な肉の塊に手足が生えたような数体の何かだった。
首はなく、胴と頭は繋がっていて、頭に当たる箇所には髪も眉も目も鼻もない。
ただ、口のような横一線の切れ込みだけがあった。
「ワカラン。ダガ、ニクノヨウニミエル」
コボルドたちが困惑している中、その肉のような何かが一斉に跳躍し、コボルドたち目掛け飛び掛かってきた。
「ミンナ、サケロ!」
種族して持ち前の敏捷さを生かし、コボルドたちは散らばる。
しかし、一人だけが逃げ遅れた。
「ア……ガ……」
一人だけ、その場を動くことが出来ずに、肉の下敷きになっている。
肉のような何かの口が開く。
大きな口はが真っ二つになるのではないかと思うくらお大きく開き、開いた口からは鋭い牙がずらりと並んでいる。
「アギャアアアアアアアア!」
喰いつかれたコボルドが絶叫し、血しぶきが上がる。
「イクゾ! タスケルンダ!」
我に返ったコボルドたちが、肉のような何かに襲い掛かろうとする。
だが、コボルドたちをものともせず、肉のような何かたちは暴れ回り、一人また一人とコボルドたちが倒されていく。
「ニゲロ!」
何匹も仲間を殺され、勝てないと悟ったコボルドたちが散り散りになる。
肉のような何かが生き残りのコボルドたちを追いかけて走り出す。
殺戮が始まった。
●ハンターズソサエティへ
群れの中でも若いメスのコボルドは、仲間のオスたちに庇われて必死に逃げ続けた。
彼女は身重のコボルドだった。
他のコボルドのように、俊敏には動けない。
それでもオスたちは彼女を見捨てずに一人、また一人と、追いかけてくる肉のような何かたちから彼女を守るため、足止めに残った。
もはや彼女は一人だけ。
周りには誰もいない。
背後からは何かよくないものの気配がずっと追いかけてきているような気がして、彼女は恐怖に縛られて走り続けた。
それでも、彼女は己が氏族の一員であることを忘れてはいなかった。
助けなければならない。戻らなければならない。
彼女は本能的に悟っていた。森の動物はきっと、あのバケモノたちに喰らわれたのだ。
「ハンターズ、ソサエティ……!」
コボルドでも知っている、有名な人間たちの組織。
超人が集まる場所。
辿り着く前にあのバケモノたちに追い付かれて殺されるかもしれない。
人間たちに人間を襲いに来た悪いコボルドだと思われて殺されるかもしれない。
それでも、彼女は走った。
皆を助けるには、それしか方法がなかったのだ。
結論をいえば、彼女はハンターズソサエティに辿り着けた。
街は白昼堂々押し入った彼女によって騒ぎが起きているが、彼女はそれに気を払っている余裕はない。
「タスケテ……! タスケテ!」
片言で、彼女は人間に助けを求めた。
リプレイ本文
●身重コボルドの事情
その嘆願は緊急的に依頼として扱われることとなった。
依頼を受けたはいいが、まずは詳しい事情を聞きださねばならない。
フィロ(ka6966)は、片言での話を一通り聞いた後、静かに質問を始めた。
「貴女を襲ったのは人ですか、雑魔ですか、それ以外ですか? 何体いて、貴女に何をしたのでしょうか」
「ワカラナイ、バケモノ。デモ、スゴクイヤナカンジ、シタ」
「私達の帰りを待てますか。証明に貴女の持ち物を何か、貸していただけますか」
「ウン。カス」
コボルドから持ち物を借りるフィロを見ながら、夢路 まよい(ka1328)は話に出てきた腐肉を退治する目的意識を明確にしていた。
「私はコボルド退治の依頼を受けたこともあるけど、退治したのは人間に悪さするコボルドだったりしたから、そのあたり気を悪くしないでね?」
人間でも悪人は倒されることが多い以上、仕方ないことだ。
自由に動けない身でありながらここまで逃げてきたコボルドを、レイア・アローネ(ka4082)は労った。
「コボルドの依頼人か……。その身体でよく頑張った。後は我々に任せるといい」
敵の情報をそろえ次第、犠牲者をできるだけ防ぐためにも大急ぎで森に向かう必要がある。
トランシーバーを携帯し、手分けしての探索となるだろう。
話を聞いた星野 ハナ(ka5852)もまた、その敵を殲滅し生存しているコボルドを探すつもりだ。
地図を借りてくると、テーブルに広げる。
「今からダウジングって占いしますぅ。酷い言い方で申し訳ないんですけどぉ、私の手を握ってぇ、今森の中を彷徨ってる仲間のことを一生懸命考えて貰えますぅ?」
反応が大きかった数か所を書き込んだ。
これにて準備は終了。
さあ、依頼の始まりだ!
●生存者を探し、飛び掛かる腐肉を倒せ!
それは突然空中から飛び掛かってきた。
ハンターたちが素早く飛び退くと、空いた場所に着地し、不気味な咆哮を上げる。
話と特徴が一致した。
コボルドたちを襲ったものの一体だ。
覚醒者であるハンターたちにはそれが雑魔だと気配で分かった。
フィロは体内のマテリアルを練り上げ、筋力を爆発的に増加させた。
雑魔を持ち上げたり、下敷きになった仲間を引きずり出したりできるようにするための準備だ。
しかしその準備時間を利用して、雑魔は飛び上がりフィロ目掛けて飛び掛かってきた。
物凄い重量によってオートマトンであるフィロの身体が軋みを上げるが、気迫で堪え、さらにそのダメージを体内を巡る気功へと転化する。
被害を受けてもフィロの身体は壊れることなく、金剛となって一発逆転の時を待つ。
その時は訪れた。
「……今です!」
再びマテリアルを練り上げたフィロが、目にも留まらぬ速さの連撃を放ち、雑魔の身体を殴り焼いた。
「人を襲うコボルドは確かに居ます。しかしジェオルジにもユニゾンにも辺境にも、人と友好を結んだコボルドの個体や氏族が居ます。私はあの方が、同じ存在であると信じます。だからこそ、あの方を保護するよう依頼しておいたのです」
森が安全になって彼女の仲間を見つけたら、必ず迎えに戻ると決めたのだ。
後衛の仲間を庇える位置に立ち、フィロは静かに力強く雑魔を見据えた。
ハナの占術を頼りにしつつ、レイアも体内のマテリアルを燃やし、炎のようなオーラを纏って、雑魔を引き付けるように派手に動いた。
その状態で生き残りのコボルドがいたら誘導しようと大声で呼びかけるが、反応はない。
(……生き残りはもういないのか? いや、決めつけるのは早計か)
いざ襲われそうなコボルドを見つけたら衝撃波で牽制し、注意を自分に向けさせようと思いつつ、雑魔の襲撃を待つ。
確かに襲撃は来た。
ただし、同時に三体。
「ちぃっ! 無事引き寄せられたのはいいが、好かれ過ぎだな、これでは!」
レイアは自身の生体マテリアルを魔導剣に伝達し、強化すると、強化された魔導剣で受け止めるとともに軌道をずらし、下敷きになるのを防ぐ。
同時に星神器である刀を左手で引き抜き、左右の手に持った魔導剣と星神器で、息つく間もなく斬撃を繰り出した。
「まだ終わらんぞ!」
二刀での連続攻撃の後、レイアの身体からマテリアルが迸り、追加でオーラの斬撃が放たれる。
放たれたオーラの刃は、直線状に飛び軌道上にいた雑魔を貫く。
全て纏めて貫ければよかったが、やはりそうそう上手くはいかないようだ。
雑魔はまだ残っている。
(うん。話通りだね)
まよいは冷静に戦況を分析していた。
実はまよいも身重コボルドに、どんな敵が襲ってきたか、何体くらい見かけたか、どんな場所からどんなルートを通って逃げてきたか、あたりのことをあらかじめ聞きだしておいたのだ。
マギサークレットの助けも借りて精神を集中し、マテリアルを感じることで、魔法攻撃の威力を高めると、水と地の力を連続で射出する攻撃魔法を放つ。
それぞれが高い威力と対象の自由を奪う効果を持つその魔法は、別々に放つこともできるが、同一の対象に連続で放つことで真価を発揮する魔法だ。
極寒の氷が雑魔の動きを鈍らせ、岩でできた錐が雑魔の足を貫く。
「大盤振る舞いだよ! 全てを無に帰せ……ブラックホールカノン!」
勇ましく叫んだまよいは、再び魔力を上昇させると禍々しい紫色の球体を放ち、着弾点を中心に、強力な重力波を広域に発生させた。
重力の歪みによる破壊効果が森を破壊しようとした瞬間、まよいのアレンジが発動する。
広い範囲を薙ぎ払うはずだった重力波が、雑魔のうち一体が立つ一点に収束していく。
そこにさらに魔法の矢を複数作り出し、雑魔目掛け全力で叩き込んだ。
ハナはとある計画を立てていた。
『生きて逃げてらっしゃる以上移動はされると思いますけどぉ、この近辺にお仲間さんが居る可能性は高いですぅ。雑魔退治しながら探してきますからぁ。あと良ければ貴女の荷物か何かの匂いぃ、犬に覚えさせていただいてもいいですぅ? 敵は貴女を追ってきている可能性があるのでぇ、逆に追いかければ早く見つけて倒せる可能性がありますぅ』
こんな感じで許可を得て、狛犬に依頼人の匂いを覚えさせておいたのだ。
意気揚々と馬に水の樽を積んで出発したハナの計画はいきなり頓挫した。
「この匂いを逆に辿って下さいねぇ?」
「クーン?」
狛犬は遊んでもらえるの!? と嬉しそうに尻尾を振りじゃれてくるばかりで、どうもハナの目的を理解していないようだったのだ。
結局ハナは最後の一匹を、符で足止めの結界を張り捕まえると、跳躍して逃げると予測し目算で着地場所を計り、射程内になるよう移動し符をばらまいた。
もちろん、ただばらまいたわけではない。
複数の符がはらはらと舞い散り、結界を形成する。
張られた結界の中で、雑魔が溢れ出した光に飲み込まれ、焼き尽くされた。
●生き残りのコボルドを捜索
全ての雑魔を退治し、本格的に生き残りのコボルド探しが始まった。
案外生きていたようで、一匹、また一匹とちらほらコボルドが見つかっていく。
「あなた方の仲間を保護しています。一緒に迎えに来てもらえないでしょうか?」
フィロはコボルドたちに軽食を振る舞ってから営巣地へ送り届け、本人たちいの許可を取り、可能な範囲で営巣地の片付けや仲間の弔いを手伝った。
身重のコボルドが今後生きていくためにも生き残りを見つけることが不可欠だと考えていたレイアは、無事見つけられたことに安堵していた。
(……別の集落を探すことを提案するのも考えていたが。杞憂だったみたいだな)
人間だって悪人を依頼で倒すことがないわけではない。結局は悪さをするかどうかだとまよいは考える。
「これまで君たちが人に悪さしてこなかったのは正解だよ。じゃないと、悪さしてたら私達がやっつけてたかもしれないからね」
「コボルドさーん、御無事ですぅ?」
地図に反応があった場所を回り、ハナは発見したコボルドに水と干し肉を渡す。
「お仲間さんから救助依頼がありましてぇ。雑魔は倒しましたぁ」
努力の甲斐あり、多くのコボルドを助けられた。
その後、ハンターズソサエティにて。
生き残ったコボルドたちを代表し、身重のコボルドがハンターたちに礼を告げた。
「アリガトウ。ムレノミナガタスカッタノ、アナタタチノオカゲ。キョウノコト、ワタシタチワスレナイ」
コボルドたちからたくさんの物品がハンターズソサエティに報酬として贈られ、後日それらは換金されて報酬として四人に配られたという。
これで、コボルドたちを襲った悲劇に端を発した依頼は終わった。
その嘆願は緊急的に依頼として扱われることとなった。
依頼を受けたはいいが、まずは詳しい事情を聞きださねばならない。
フィロ(ka6966)は、片言での話を一通り聞いた後、静かに質問を始めた。
「貴女を襲ったのは人ですか、雑魔ですか、それ以外ですか? 何体いて、貴女に何をしたのでしょうか」
「ワカラナイ、バケモノ。デモ、スゴクイヤナカンジ、シタ」
「私達の帰りを待てますか。証明に貴女の持ち物を何か、貸していただけますか」
「ウン。カス」
コボルドから持ち物を借りるフィロを見ながら、夢路 まよい(ka1328)は話に出てきた腐肉を退治する目的意識を明確にしていた。
「私はコボルド退治の依頼を受けたこともあるけど、退治したのは人間に悪さするコボルドだったりしたから、そのあたり気を悪くしないでね?」
人間でも悪人は倒されることが多い以上、仕方ないことだ。
自由に動けない身でありながらここまで逃げてきたコボルドを、レイア・アローネ(ka4082)は労った。
「コボルドの依頼人か……。その身体でよく頑張った。後は我々に任せるといい」
敵の情報をそろえ次第、犠牲者をできるだけ防ぐためにも大急ぎで森に向かう必要がある。
トランシーバーを携帯し、手分けしての探索となるだろう。
話を聞いた星野 ハナ(ka5852)もまた、その敵を殲滅し生存しているコボルドを探すつもりだ。
地図を借りてくると、テーブルに広げる。
「今からダウジングって占いしますぅ。酷い言い方で申し訳ないんですけどぉ、私の手を握ってぇ、今森の中を彷徨ってる仲間のことを一生懸命考えて貰えますぅ?」
反応が大きかった数か所を書き込んだ。
これにて準備は終了。
さあ、依頼の始まりだ!
●生存者を探し、飛び掛かる腐肉を倒せ!
それは突然空中から飛び掛かってきた。
ハンターたちが素早く飛び退くと、空いた場所に着地し、不気味な咆哮を上げる。
話と特徴が一致した。
コボルドたちを襲ったものの一体だ。
覚醒者であるハンターたちにはそれが雑魔だと気配で分かった。
フィロは体内のマテリアルを練り上げ、筋力を爆発的に増加させた。
雑魔を持ち上げたり、下敷きになった仲間を引きずり出したりできるようにするための準備だ。
しかしその準備時間を利用して、雑魔は飛び上がりフィロ目掛けて飛び掛かってきた。
物凄い重量によってオートマトンであるフィロの身体が軋みを上げるが、気迫で堪え、さらにそのダメージを体内を巡る気功へと転化する。
被害を受けてもフィロの身体は壊れることなく、金剛となって一発逆転の時を待つ。
その時は訪れた。
「……今です!」
再びマテリアルを練り上げたフィロが、目にも留まらぬ速さの連撃を放ち、雑魔の身体を殴り焼いた。
「人を襲うコボルドは確かに居ます。しかしジェオルジにもユニゾンにも辺境にも、人と友好を結んだコボルドの個体や氏族が居ます。私はあの方が、同じ存在であると信じます。だからこそ、あの方を保護するよう依頼しておいたのです」
森が安全になって彼女の仲間を見つけたら、必ず迎えに戻ると決めたのだ。
後衛の仲間を庇える位置に立ち、フィロは静かに力強く雑魔を見据えた。
ハナの占術を頼りにしつつ、レイアも体内のマテリアルを燃やし、炎のようなオーラを纏って、雑魔を引き付けるように派手に動いた。
その状態で生き残りのコボルドがいたら誘導しようと大声で呼びかけるが、反応はない。
(……生き残りはもういないのか? いや、決めつけるのは早計か)
いざ襲われそうなコボルドを見つけたら衝撃波で牽制し、注意を自分に向けさせようと思いつつ、雑魔の襲撃を待つ。
確かに襲撃は来た。
ただし、同時に三体。
「ちぃっ! 無事引き寄せられたのはいいが、好かれ過ぎだな、これでは!」
レイアは自身の生体マテリアルを魔導剣に伝達し、強化すると、強化された魔導剣で受け止めるとともに軌道をずらし、下敷きになるのを防ぐ。
同時に星神器である刀を左手で引き抜き、左右の手に持った魔導剣と星神器で、息つく間もなく斬撃を繰り出した。
「まだ終わらんぞ!」
二刀での連続攻撃の後、レイアの身体からマテリアルが迸り、追加でオーラの斬撃が放たれる。
放たれたオーラの刃は、直線状に飛び軌道上にいた雑魔を貫く。
全て纏めて貫ければよかったが、やはりそうそう上手くはいかないようだ。
雑魔はまだ残っている。
(うん。話通りだね)
まよいは冷静に戦況を分析していた。
実はまよいも身重コボルドに、どんな敵が襲ってきたか、何体くらい見かけたか、どんな場所からどんなルートを通って逃げてきたか、あたりのことをあらかじめ聞きだしておいたのだ。
マギサークレットの助けも借りて精神を集中し、マテリアルを感じることで、魔法攻撃の威力を高めると、水と地の力を連続で射出する攻撃魔法を放つ。
それぞれが高い威力と対象の自由を奪う効果を持つその魔法は、別々に放つこともできるが、同一の対象に連続で放つことで真価を発揮する魔法だ。
極寒の氷が雑魔の動きを鈍らせ、岩でできた錐が雑魔の足を貫く。
「大盤振る舞いだよ! 全てを無に帰せ……ブラックホールカノン!」
勇ましく叫んだまよいは、再び魔力を上昇させると禍々しい紫色の球体を放ち、着弾点を中心に、強力な重力波を広域に発生させた。
重力の歪みによる破壊効果が森を破壊しようとした瞬間、まよいのアレンジが発動する。
広い範囲を薙ぎ払うはずだった重力波が、雑魔のうち一体が立つ一点に収束していく。
そこにさらに魔法の矢を複数作り出し、雑魔目掛け全力で叩き込んだ。
ハナはとある計画を立てていた。
『生きて逃げてらっしゃる以上移動はされると思いますけどぉ、この近辺にお仲間さんが居る可能性は高いですぅ。雑魔退治しながら探してきますからぁ。あと良ければ貴女の荷物か何かの匂いぃ、犬に覚えさせていただいてもいいですぅ? 敵は貴女を追ってきている可能性があるのでぇ、逆に追いかければ早く見つけて倒せる可能性がありますぅ』
こんな感じで許可を得て、狛犬に依頼人の匂いを覚えさせておいたのだ。
意気揚々と馬に水の樽を積んで出発したハナの計画はいきなり頓挫した。
「この匂いを逆に辿って下さいねぇ?」
「クーン?」
狛犬は遊んでもらえるの!? と嬉しそうに尻尾を振りじゃれてくるばかりで、どうもハナの目的を理解していないようだったのだ。
結局ハナは最後の一匹を、符で足止めの結界を張り捕まえると、跳躍して逃げると予測し目算で着地場所を計り、射程内になるよう移動し符をばらまいた。
もちろん、ただばらまいたわけではない。
複数の符がはらはらと舞い散り、結界を形成する。
張られた結界の中で、雑魔が溢れ出した光に飲み込まれ、焼き尽くされた。
●生き残りのコボルドを捜索
全ての雑魔を退治し、本格的に生き残りのコボルド探しが始まった。
案外生きていたようで、一匹、また一匹とちらほらコボルドが見つかっていく。
「あなた方の仲間を保護しています。一緒に迎えに来てもらえないでしょうか?」
フィロはコボルドたちに軽食を振る舞ってから営巣地へ送り届け、本人たちいの許可を取り、可能な範囲で営巣地の片付けや仲間の弔いを手伝った。
身重のコボルドが今後生きていくためにも生き残りを見つけることが不可欠だと考えていたレイアは、無事見つけられたことに安堵していた。
(……別の集落を探すことを提案するのも考えていたが。杞憂だったみたいだな)
人間だって悪人を依頼で倒すことがないわけではない。結局は悪さをするかどうかだとまよいは考える。
「これまで君たちが人に悪さしてこなかったのは正解だよ。じゃないと、悪さしてたら私達がやっつけてたかもしれないからね」
「コボルドさーん、御無事ですぅ?」
地図に反応があった場所を回り、ハナは発見したコボルドに水と干し肉を渡す。
「お仲間さんから救助依頼がありましてぇ。雑魔は倒しましたぁ」
努力の甲斐あり、多くのコボルドを助けられた。
その後、ハンターズソサエティにて。
生き残ったコボルドたちを代表し、身重のコボルドがハンターたちに礼を告げた。
「アリガトウ。ムレノミナガタスカッタノ、アナタタチノオカゲ。キョウノコト、ワタシタチワスレナイ」
コボルドたちからたくさんの物品がハンターズソサエティに報酬として贈られ、後日それらは換金されて報酬として四人に配られたという。
これで、コボルドたちを襲った悲劇に端を発した依頼は終わった。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 4人 |
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ポイントがありませんので、拍手できません
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MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/17 13:42:13 |
|
![]() |
依頼者はコボルド フィロ(ka6966) オートマトン|24才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2018/09/17 17:39:07 |