少額の依頼

マスター:びなっす

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2018/09/19 09:00
完成日
2018/09/27 10:25

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●母の容態
「ごほっ……ごほっ……うっ……うぅ」
「お母さん、大丈夫!?」
 床に臥せっていた病気の母親の容態が、突然急変した。
 母親の看病をしていた少女『エトナ』は、すぐに掛かり付けの医者を呼ぶ。
 駆け付けた医者は、母親の容態を診て難しい顔をしながらエトナに告げた。
「このままでは非常に危険だ。薬さえあれば、症状も治まるんだが……もう薬の在庫が切れていて、薬を作る材料も足りない」
「そんな! どうにかならないんですか!?」
「いつもの薬があれば……いや、薬の材料さえ取りに行くことが出来れば、すぐに調合が出来るんだが……」
 薬を作る材料である薬草は、ここから少し離れた山の中にある。
 いつもなら、エトナ一人でも取りに行けるぐらいの場所。
 今までも、材料が足りず緊急の場合に、エトナが山へ取りにいくこともあった。
 しかし……

 エトナは部屋の窓から外の様子を見る。
 そこには地面に打ち付けるように降り注ぐ雨。
 もうかれこれ5日は降り続けている。
 こんな状態で山へ向かうのは危険極まりなかった。
 雨はこの先も止まることなく降り続け、最低でもあと3日はこの状態が続くとのこと。
 3日の間も母をこのままにはしておけない。
 そう思ったエトナは、医者に母の事を任せ、山を登る準備を始める。
 薬の材料である薬草の場所は、何度も取りに行ったことがあるので覚えている。
 その道順を頭の中に何度も描きつつ、準備を進めた。
 
 そこでエトナは、ふとあることを思いだした。
 雨が降る前の日に、山に雑魔が出たという噂を聞いていたのだ。
 それが退治されたという話は聞いていない。
 雑魔は、今も山の中にいるのかもしれない。
 そうなると、エトナ一人で行くには、さすがに心許なかった。
 かといって、このまま雨が止み、雑魔が退治されるのを悠長に待っていたら母は助からないだろう。
 こうなったら、ハンターに力を貸してもらうしか無い。
 少し遠回りになるが、山のある場所の近くにハンターズソサエティの支部があったはずだ。
 エトナはそう思い立ち、家にあるお金をかき集めて、それを手にハンターズソサエティへと向かった。

●ハンターオフィスにて
 受付には、ずぶ濡れのレインコートを来ているエトナの姿と、申し訳ない表情をした女性職員の姿があった。
「すみませんが……その依頼は承れません」
「え!? どうしてですか!? ハンターの方は護衛もやっていると聞きました。薬草の場所まで付いてきてくれればいいんです」
 そこまで言って、エトナはあることに気が付いた。
「依頼料が……足りないからですか?」
 エトナは、自らが持ってきて受付に置いたお金を見て、力無くそう呟く。
 今までハンターの依頼などに無縁だった彼女は、依頼料の相場など知らなかった。
 とにかく家にあるお金を集めて来たのだが……それでも高額とは言えないほどの額だ。
 やはり、これでは依頼は受けてもらえないのか……
 事実、エトナの集めたお金は、相場の半分も満たないぐらいだった。
「それもありますが、依頼料のことだけではありません。この大雨で、山はとても危険な状態になっています。地面はぬかるみ、視界も悪く、山に慣れた方でも進むのは困難な状況なんです。ハンターの皆さんだけなら、なんとかなるかもしれません。ですが……貴女もとなると、とても危険です。貴女の身に何かがあれば、依頼を引き受けたハンターの皆さんにも危険が及んでしまうんです」
 本来なら、どんな危険な依頼でも引き受けるスタンスだが……
 一般人であるエトナを危険に晒してしまう今回の依頼は、簡単には受けられなかった。
「さらに先日雑魔の姿も確認されているんです。いつ襲われるかも分かりません。この依頼は貴女が思っているよりも難しいものなんです」
 エトナは母親の事で頭がいっぱいで、他のところに考えがいっていなかった。
 自分のわがままで、他の人も危険に晒してしまうかもしれない。
 でも……
「あと三日経てば雨も止むそうです。その後にハンターの皆さんに、山にいる雑魔の捜索をしてもらう予定です。それまで待つことは出来ませんか?」
「そんなに時間が掛かったら、お母さんが死んじゃう!」
 今更な事を言われ、エトナはつい過剰な大声を出してしまう。
 すぐに我に返ったエトナは、おずおずと頭を下げた。
「……無茶を言ってしまって、すみませんでした。失礼しました」
 エトナは謝罪をして、すぐさまオフィスを出て行ってしまった。
 女性職員はなんとかしてあげたいと思いつつも、状況を考えるとあまり軽率な行動をするわけにもいかず苦り切る。

 ふと、窓の外を見た彼女は、エトナの姿を視界に収めた。
 この雨の中にも拘わらず、走っているようだった。
「……え?」
 女性職員はあることに気づく。
 エトナの向かっている場所は、町の方ではなく、山のある方向だ。
 まさか、一人で山へ行くつもりなのだろうか?
 いくらなんでもそれは、自殺行為にしかならない。
 このままではエトナを見殺しにしてしまうことにもなるだろう。
 女性職員は少し悩んだ末、オフィスにいるハンター達に懇願する。

「皆さん聞いて下さい。たった今、女の子が一人で山へ向かってしまいました。山の状態は大雨のせいで非常に危険で、山に慣れた方でも進むのは困難な状況にあります。さらに現在、あの山には、低級ではありますが雑魔も潜んでいると思われます」
 女性職員は、何人かのハンターが反応したのを確認しながら話を進める。
「彼女の目的は、山にある薬草の採取です。出来ることなら、彼女を守りつつ薬草の採取も手伝ってほしいです。もし無理だと判断したら、そのまま彼女を連れて帰ってきて下さい。ただ依頼料は相場の3割ぐらいの値になってしまい、しかも難しい依頼となってしまいます。それでも引き受けてくれる方がいらっしゃいましたら、すぐに少女の後を追って下さい。くれぐれも無茶はしないように、お願いします」

リプレイ本文

 激しい雨が打ち付ける山中、よたよたと入口を進むエトナの姿があった。
 山の状態は思ったよりも酷かった。
 雨により溜まった水が滝のように上から流れ、足下に深い水嵩を作っている。
 濁った雨水のせいで足元が確認出来ない中、焦る気持ちが先行しエトナはがむしゃらに歩を進める。
 その時、足元で何かに引っ掛かり、水に埋まった地面にへ倒れ込んでしまう。
 着ていたレインコートのおかげで、全身がずぶ濡れになる事は避けられたが、問題は心の方だった。
 入り口でこれだ。目当ての薬草の場所までは、まだまだ距離がある。
 この先のことを考えると、不安で押しつぶされそうになった。
 それでも、先へ進まなくては母を救うことが出来ない。
 エトナは襲いかかる様々な不安を噛み潰し、足を前に出す。
 だが、見えない足元で、またも何かに引っ掛かり体勢を崩してしまう。
 再び地面に倒れ込みそうになったところで、駆け付けたヴァイス(ka0364)がエトナを支えた。
「大丈夫か?」
「え?」
 エトナは、いきなり現れたヴァイスを前にきょとんとした顔をする。
 ヴァイスに続き、次々と駆け寄るハンター達。
「良かった……すごく……心配、したんだ……よ」
 心配そうにエトナに声を掛ける浅緋 零(ka4710)。
「私達は、君の依頼を引き受けたハンターだ」
 戸惑っているエトナに向かって、依頼で来たことを伝えるアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)。
「え? 私の依頼? でも、私……お金をあまり持ってなくて……それに、私のせいで皆さんを危険な目に遭わせてしまうかも……」
 エトナがそこまで言ったところで、レイオス・アクアウォーカー(ka1990)が言葉を遮った。
「今は急に山登りがしたくてしょうがない気分なんだ。少々雨が降ってるくらいじゃ物足りないと思ってたんだ」
 レイオスは軽口を叩き、暗鬱とした空気を薄める。
 戸惑いながらも、安堵の表情を浮かべるエトナ。
 するとヴァイスは、険しい顔をしながらエトナに向かって口を開く。
「全く、こんな雨の中を一人で山に登ろうだなんて、無茶にも程がある」
 ヴァイスはエトナの必死さは分かっていたが、無茶をしたことは確りと叱った。
「うぅ……ごめんなさい。でも……こうしないと、お母さんが」
「そっか。お母さんの……為に、頑張ってるんだ……ね」
 零は撫でるように優しくエトナに言う。
 無茶を責められ、それでも母のことを強く想うエトナに対し、ヴァイスは言葉を続ける。
 腰を落とし、エトナに目線を合わせ、真剣な表情で口を開いた。
「エトナ、君だけが薬草の場所を知っている。体調に異変を感じたら直ぐに知らせてくれ」
「……無茶は、だめ……だよ」
 ヴァイスと零のそれに、エトナはコクンと頷いた。

 鞍馬 真(ka5819)は周りの状況を確認し、エトナを含む仲間全員に『ウォーターウォーク』を使う。
 本来なら、降りつける激しい雨で揺れている水面の上を移動することは難しいが……ワンド『ロイーレ』のサポート効果により、それを可能にさせていた。
「これで、水の上が歩けるはずだよ」
 そう言い、本当に水の上に立つ真を見て、エトナは恐る恐る水の上に足を乗せる。
「えっ!? 凄いっ! 水の上に立ってる!」
 今まで感じたことの無い感覚に、エトナは驚きの声を上げた。
 その様子に、真は微笑しつつ前を向いた。
「さあ、早く行こうか」


●道中
 山の入口を進むと、緩やかな斜面が奥に続いていた。
 ヴァイスとアルトが先行し、ヴァイスが『シャイン』、アルトは『灯火の水晶球』を使い、歩きやすいよう視界を照らした。
 二人はエトナの道案内を聞きながら、歩く場所を見極め進む。
 エトナの隣では、零が『直感視』で進む箇所を誘導。
 真とレイオスは、後ろでエトナを見守った。
「この雨じゃ匂いも消えそうだな。雑魔がいるなら奇襲されると思った方がよさそうだ」
 レイオスは仲間に注意を喚起する。そして、皆も警戒を強めた。

 しばらく進むと、人が通るための道が途切れ、代わりに辺り一面石々が埋め尽くしている。
 ここでは石から石を伝うようにして進まなくてはならないだろう。
「石も大きくて、間隔も狭いし、これならなんとか渡れそうだな」
 そう言い、石から石へと軽快に飛び移るレイオス。
 しかし、石の真ん中を踏み抜いた足は、つるりと滑ってしまう。
「あだっ!」
 盛大に倒れてしまうレイオス。 
 雨のせいで石はとても滑りやすくなっていたようだ。
「大丈夫か、レイオス」
 ヴァイスは、槍を地面に突き刺し、それを支えにして石と石の間を渡り、負傷したレイオスの傷を『ヒール』で癒やした。
「これは慎重に進んだ方が良さそうかな」
 レイオスの姿を見て、真はそう言う。
 すると、アルトがエトナに向かって、ある提案をした。 
「エトナ君さえよければ私が背負って進もうと思うんだけど」
「え? そんな……悪いです」
「遠慮ならしなくていい。急いでいるんだろ?」
「はい……でも、私を背負ったままで、石の上を歩くのは危ないんじゃ……?」
「大丈夫、心配ないよ」
 アルトは心配そうなエトナを背負い、『空渡』を使い空中を歩いて安定して進む。
 これなら石の上を滑ることも、落ちることもない。
「え? 何も無いところを歩いてる?」
「だから言っただろ。心配ないって」

 石々の道を渡った後、目の前には先程とは比べものにならないくらい急な斜面が広がっていた。
 ただでさえ進みにくい場所に加え、雨水が流水のように流れている。
 真はウォーターウォークを試みたが、水の流れの速さでまともに歩くことが出来ない。
 皆と相談した結果、誰かが先行しロープを張り、それを伝って斜面を進む事になった。
 この場で先に進むことが出来るのは、『紅糸』を使えるアルトと『壁渡り』を使える零だけだ。
 まずアルトが『紅糸』を使い、投げた武器を斜面の向こう側に刺さす。武器に引っ張られるようにアルトの身体が勢いよく斜面の上に移動した。
 遅れて零も壁歩きで斜面の先に辿り着く。
 
 ロープを縛り付けられるものを探し、斜面の下へ垂らそうとする。
 一つのロープでは長さが足りなかったので、仲間から預かっていた物を集め、それを結んで一つの長いロープにした。
 アルトと零が協力し、ロープを無事張り終えた後。
 ヴァイス、レイオスが先にロープを伝って上がり、上からロープを引っ張りエトナの負担を軽くする。
 後ろには真が付き、エトナが足を踏み外し転倒しないように注意を払った。
 焦りの気持ちがあるのか、何度か無理に進もうとしてバランスを崩してしまうエトナを支えながら、真は落ち着いた声で諭す。
「焦る気持ちはわかるけど、焦りすぎは良くない。落ち着いて行こう」
「は……はい」

●休息
 斜面を登り切ったエトナは、見るからに疲れ切っていた。
 ちょうど零が『直感視』で雨よけの出来る場所を探していてくれたので、そこでの休憩を提案する。
「ここで、休憩を……しよっか。エトナも、疲れている……だろうし」
「わ、私は大丈夫です。まだ歩けます」
「無茶、しないって……約束、でしょ?」
「うぅ……」
 零にそう言われ、休憩をするエトナ。
 雨よけになっている木に寄りかかると、糸か切れたように座り込んでしまう。
 そこでエトナは、思いのほか体力に限界が来ていたのを感じた。
「エトナ、これを」
 ヴァイスはそう言うと、持参していたチョコを手渡す。
「少しは栄養が付く、良かったら食べてくれ」
「え……でも」
「遠慮をするな。少しでも何かを口にしておいた方がいい」
「あ、ありがとうございます」
 常にエトナの前を歩き、それでいてエトナに気を払ってくれている。
 そんなヴァイスに対し、エトナはまるで父親のような安心感を覚えていた。
 
 雨による体温の低下で、エトナは寒さに震えていた。
 それを見たレイオスは、水筒を取り出し中のものを蓋に注ぐ。
「ほら、これを飲めば身体が温まるぞ」
 水筒の中に入っていたのは、暖かいスープだった。
 それをエトナに近づけながら、
「子供は遠慮するなよ」
 レイオスは晴れやかな笑顔でそう言い、遠慮がちなエトナの先回りをする。
 それにそれに続き、アルトもエトナに何かを差し出す。
「これはジョークグッズのロザリオだが……これで少しは暖を取れるはずだ」
 アルトが差し出したのは、握力に応じて温度が上がる仕組みのものだった。
 それを手にしたエトナは、軽く握りしめ、僅かな温もりを感じていた。
「寒く……ない? ……くっついてたら、ちょっとは、あったかい……かな?」
 零がエトナに寄り添い、冷えた身体を温めようとする。
 零のその行動で、エトナの小刻みに震えていた身体が落ち着きを取り戻す。
 寒さだけでは無く、不安もあったのだろう。
 張り詰めていたエトナの表情が、少し和らいでいた。
「ありがとうございます。来てくれたのが皆さんで本当に良かったです……」
 感極まってか、目頭を熱くするエトナ。

 その様子を見ていた真は、母親のためにここまで頑張るエトナに対し、素直に感心していた。
 それは真自身に、家族の記憶が無い故の羨望も混じっているのかもしれない。
「今回の依頼は、絶対に成功させたいね」
「ああ、そうだな」
 真の言葉に同意するヴァイス。
 エトナを優しい気持ちで眺める二人。
 この先の事を警戒しつつ、必ず依頼を成功させようと決心した。

●蛇の道
 目の前に続くのは、人がギリギリ3人通れる細い道。
 蛇がとぐろを巻くように、上に向かって螺旋状に道が伸びている。
 下は崖になっていて、落ちればただじゃ済まないだろう。
 その特徴的な場所を見た一行は、ここが雑魔の情報があった場所なのだと察した。
 襲われることを考え、隊列を構成し直す一行。
 ヴァイスと真が前を歩き、間にアルトとエトナ、そして後ろにレイオスと零が付く。
 アルトは何が起こってもいいように、エトナを背負いながら移動することにした。
 この状態では雑魔に対応できないが……そこは仲間達に任せ、エトナを守ることに意識を向ける。
 
 蛇の道をしばらく進んだところで、『直感視』で辺りを警戒していた零が反応する。
「上に……なにかが、いる」
 零の言葉の後に、山の上から3体のゴブリン型の雑魔が一匹ずつ降りてきた。
 ゴブリンは、ヴァイスと真の前に降り立ち、麻痺毒が塗られているであろうナイフをひけらかす。
 突然の敵の出現に、アルトに背負われたエトナは、小刻みに震えながら青い顔をする。
「大丈夫。皆が、一緒……だから。……信じて」
 零は小さく微笑み、エトナを安心させた。
 そして牽制のために放った、零の『弭の氷』が、まだ降りている途中だった1体のゴブリンに見事命中する。
 消滅していく仲間の姿に、わかりやすく動揺するゴブリン達。
 すると、1体のゴブリンが破れかぶれで、前衛に襲いかかる。
「おいおい、それは甘いぜ」
 それをヴァイスの『理』によるカウンターで瞬殺した。
 その時、後衛でレイオスの声が響く。
「な、こいついつの間に!?」
 気付けば、レイオスの側にはゴブリンが出現していた。
 おそらく、崖の下からよじ登ってきたのだろう。
 突然現れたゴブリンが、両手が塞がっているアルトに狙いを付け、ナイフを向け襲いかかった。
「させねーよ!」
 レイオスは『ガウスジェイル』を使い、アルトに向いていた攻撃を自分に引き寄せる。
 そしてそのまま『鎧受け』で受け止め、返し刃でゴブリンを切り伏せた。
 これで3体のゴブリンを倒すことに成功する。
 
 前衛では、まだ1体のゴブリンがいるが、こうなっては勝負にならないだろう。 
 すると、『直感視』で辺りを警戒していた零が、何かに気付き上を見上げた。
 上にはゴブリンがもう1体待機していて、更に側には岩がいくつか置いてある。
 よく見ると、ゴブリンはその岩を押しているようだった。
 岩を下に落とし、こちらを攻撃するつもりなのだろう。
「みんな……危ない!」 
 対処も間に合わず、岩は転がり落ち、そしてそれはあろうことかエトナを背負っているアルトの方へ向かっていった。
 アルトに向かってくる岩を、レイオスが受け止め、弾く。
 しかし、その後に一際大きい岩が転がり落ちてきてしまい、レイオスは止められないと判断し避難を促した。
「まずい、逃げろアルト!」
 そのままレイオスは、身を挺して岩にぶつかり、一瞬だったがアルトが回避をする時間を確保する。
 前後で仲間に挟まれている状況の中、アルトは『空渡』により、エトナを背負ったまま道の外を歩き窮地を脱した。
 その直後、零の『弭の氷』が、上にいたゴブリンを貫く。
 最後に前衛から突っ込んでくるゴブリンを、真が迎え撃つ。
 『ソウルエッジ』で強化した剣で、『刺突一閃』を繰り出した。
 ゴブリンはそれをまともに食らい消滅する。
 こうして、一行はゴブリン達の襲撃を打ち破る事に成功した。

●採取場所
 蛇の道を抜け、少し進むと開けた場所に辿り着く。
 そこには今までの道中では見なかった変わった草木が生えていた。
「ここです! ここに薬の材料になる薬草があるんです!」
 エトナは疲れなど忘れ、すぐにしゃがみ込み薬草を探した。
 他のメンバーも採取を手伝い、零は『直感視』で辺りを警戒。
 ヴァイスは、激しい雨によるエトナの負担を軽くするため、コートを広げ雨よけになった。
 その下で、必死に薬草を探すエトナ。
 それから数分経ち、他の仲間の協力を得られたことで、十分すぎる程の量の薬草を手に入れた。
「これさえあれば、お母さんが助かる」
「まだ安心は出来ないよ。急いでこれを届けないと」
 真はそう言い、まだ気を緩める時で無いことをエトナに告げる。
 既に一度通った道を戻る事など、ハンターである彼らなら朝飯前だった。
 エトナに気を掛けながら、要所要所を確実にかつ急いで降りていく。

●それから……
 山を無事に降りた後、スピードと持久力のあるアルトが先行し、先に薬草を届けに向かった。
 皆が後からエトナの家に着いたときには、既に医者が処置を終えたところだった。
 
 心配そうに母親を見るエトナに、状況を知っているアルトが言う。
「エトナ君のお母さんは、もう心配はないそうだ」
「ほ、本当ですか!?」
 アルトの報告を聞き、エトナは涙を流しながら皆に向き直った。
「皆さん、本当にありがとうございました! 母が助かったのは、皆さんのおかげです!」
 精一杯の感謝の気持ちを込め、お礼を言うエトナ。
「お母さん。早く、よくなると、いい……ね。……エトナも、カゼ、引かない様に……ね?」
「はい! ありがとうございます」
 母親が助かり、すっかり明るくなったエトナを見て、ヴァイスと真はホッと一息つく。
 その横で、レイオスは満面の笑みを浮かべた。
 
 こうして依頼は、心優しきハンター達によって、最高の結末を迎える事が出来た。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧


  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • やさしき作り手
    浅緋 零(ka4710
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/09/19 01:21:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/09/15 19:26:15