• 無し

少額の依頼

マスター:びなっす

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
プレイング締切
2018/09/19 09:00
リプレイ完成予定
2018/09/28 09:00

オープニング

●母の容態
「ごほっ……ごほっ……うっ……うぅ」
「お母さん、大丈夫!?」
 床に臥せっていた病気の母親の容態が、突然急変した。
 母親の看病をしていた少女『エトナ』は、すぐに掛かり付けの医者を呼ぶ。
 駆け付けた医者は、母親の容態を診て難しい顔をしながらエトナに告げた。
「このままでは非常に危険だ。薬さえあれば、症状も治まるんだが……もう薬の在庫が切れていて、薬を作る材料も足りない」
「そんな! どうにかならないんですか!?」
「いつもの薬があれば……いや、薬の材料さえ取りに行くことが出来れば、すぐに調合が出来るんだが……」
 薬を作る材料である薬草は、ここから少し離れた山の中にある。
 いつもなら、エトナ一人でも取りに行けるぐらいの場所。
 今までも、材料が足りず緊急の場合に、エトナが山へ取りにいくこともあった。
 しかし……

 エトナは部屋の窓から外の様子を見る。
 そこには地面に打ち付けるように降り注ぐ雨。
 もうかれこれ5日は降り続けている。
 こんな状態で山へ向かうのは危険極まりなかった。
 雨はこの先も止まることなく降り続け、最低でもあと3日はこの状態が続くとのこと。
 3日の間も母をこのままにはしておけない。
 そう思ったエトナは、医者に母の事を任せ、山を登る準備を始める。
 薬の材料である薬草の場所は、何度も取りに行ったことがあるので覚えている。
 その道順を頭の中に何度も描きつつ、準備を進めた。
 
 そこでエトナは、ふとあることを思いだした。
 雨が降る前の日に、山に雑魔が出たという噂を聞いていたのだ。
 それが退治されたという話は聞いていない。
 雑魔は、今も山の中にいるのかもしれない。
 そうなると、エトナ一人で行くには、さすがに心許なかった。
 かといって、このまま雨が止み、雑魔が退治されるのを悠長に待っていたら母は助からないだろう。
 こうなったら、ハンターに力を貸してもらうしか無い。
 少し遠回りになるが、山のある場所の近くにハンターズソサエティの支部があったはずだ。
 エトナはそう思い立ち、家にあるお金をかき集めて、それを手にハンターズソサエティへと向かった。

●ハンターオフィスにて
 受付には、ずぶ濡れのレインコートを来ているエトナの姿と、申し訳ない表情をした女性職員の姿があった。
「すみませんが……その依頼は承れません」
「え!? どうしてですか!? ハンターの方は護衛もやっていると聞きました。薬草の場所まで付いてきてくれればいいんです」
 そこまで言って、エトナはあることに気が付いた。
「依頼料が……足りないからですか?」
 エトナは、自らが持ってきて受付に置いたお金を見て、力無くそう呟く。
 今までハンターの依頼などに無縁だった彼女は、依頼料の相場など知らなかった。
 とにかく家にあるお金を集めて来たのだが……それでも高額とは言えないほどの額だ。
 やはり、これでは依頼は受けてもらえないのか……
 事実、エトナの集めたお金は、相場の半分も満たないぐらいだった。
「それもありますが、依頼料のことだけではありません。この大雨で、山はとても危険な状態になっています。地面はぬかるみ、視界も悪く、山に慣れた方でも進むのは困難な状況なんです。ハンターの皆さんだけなら、なんとかなるかもしれません。ですが……貴女もとなると、とても危険です。貴女の身に何かがあれば、依頼を引き受けたハンターの皆さんにも危険が及んでしまうんです」
 本来なら、どんな危険な依頼でも引き受けるスタンスだが……
 一般人であるエトナを危険に晒してしまう今回の依頼は、簡単には受けられなかった。
「さらに先日雑魔の姿も確認されているんです。いつ襲われるかも分かりません。この依頼は貴女が思っているよりも難しいものなんです」
 エトナは母親の事で頭がいっぱいで、他のところに考えがいっていなかった。
 自分のわがままで、他の人も危険に晒してしまうかもしれない。
 でも……
「あと三日経てば雨も止むそうです。その後にハンターの皆さんに、山にいる雑魔の捜索をしてもらう予定です。それまで待つことは出来ませんか?」
「そんなに時間が掛かったら、お母さんが死んじゃう!」
 今更な事を言われ、エトナはつい過剰な大声を出してしまう。
 すぐに我に返ったエトナは、おずおずと頭を下げた。
「……無茶を言ってしまって、すみませんでした。失礼しました」
 エトナは謝罪をして、すぐさまオフィスを出て行ってしまった。
 女性職員はなんとかしてあげたいと思いつつも、状況を考えるとあまり軽率な行動をするわけにもいかず苦り切る。

 ふと、窓の外を見た彼女は、エトナの姿を視界に収めた。
 この雨の中にも拘わらず、走っているようだった。
「……え?」
 女性職員はあることに気づく。
 エトナの向かっている場所は、町の方ではなく、山のある方向だ。
 まさか、一人で山へ行くつもりなのだろうか?
 いくらなんでもそれは、自殺行為にしかならない。
 このままではエトナを見殺しにしてしまうことにもなるだろう。
 女性職員は少し悩んだ末、オフィスにいるハンター達に懇願する。

「皆さん聞いて下さい。たった今、女の子が一人で山へ向かってしまいました。山の状態は大雨のせいで非常に危険で、山に慣れた方でも進むのは困難な状況にあります。さらに現在、あの山には、低級ではありますが雑魔も潜んでいると思われます」
 女性職員は、何人かのハンターが反応したのを確認しながら話を進める。
「彼女の目的は、山にある薬草の採取です。出来ることなら、彼女を守りつつ薬草の採取も手伝ってほしいです。もし無理だと判断したら、そのまま彼女を連れて帰ってきて下さい。ただ依頼料は相場の3割ぐらいの値になってしまい、しかも難しい依頼となってしまいます。それでも引き受けてくれる方がいらっしゃいましたら、すぐに少女の後を追って下さい。くれぐれも無茶はしないように、お願いします」

解説

●成功条件
 少女を護衛しつつ、目的の薬草の採取。
 雑魔に遭遇した場合、その討伐。
 
 少女が大怪我、または動けない状況に陥った場合、その時点で依頼失敗です。

●場所と状況。
 強い雨が降っている山の中。
 長い間雨が降っていたことで、地面はぬかるみ、足場が非常に悪くなっています。
 さらに、雨で視界が悪く、物音も掻き消されるため、敵がいても発見しにくい厄介な状況です。

 薬草の採取場所までの道のりは、それぞれ……
『入り口』
 少女と合流する場所。水かさが多めで足を取られやすい。
『緩やかな斜面』
 普段はそこまで角度を感じないが、雨のためよく滑る。
『石々で作られた道』
 石の塊が連なり道のようになっている場所。
 石から石へと渡って進む。当然、雨のため滑りやすい。
『急な斜面』
 普段でも、進むのが一番大変な斜面。
 さらに雨のせいで、簡単には進めない状態になっている。
『蛇の道』
 道幅が狭い場所。
 ギリギリ三人並んで歩ける幅はあるが……下は崖になっていて、落ちたらただでは済まない。
 死角も多く、雑魔の目撃情報もこの辺り。
『採取場所』
 蛇の道を越えた先。ここには危険な場所は無い。
 ……の6ポイントです。


●遭遇の可能性がある敵情報
 ゴブリン型の雑魔×5体。
 力、体力共に低く、まともに戦えば負けることはまず無い相手。
 隠れるのが上手く、不意打ちが得意。
 低威力ながら、麻痺を付与する攻撃をしてくるため、油断していると思わぬ苦戦を強いられる可能性も。

マスターより

こんにちは、駆け出しマスターのびなっすです。
今回は少女の護衛がメインの依頼です。
エトナは母のことが気になり焦っています。
そのため、つい先走ってしまったり、道を間違えたりすることもあるかもしれませんが……その時は怒らず優しく接してやってくれたら嬉しいです。
依頼料も少ないため、うまみが少ない依頼になってしまいましたが……それでも、少女を救いたいという方。
心優しいハンターの皆様のご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/09/27 10:25

参加者一覧


  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • やさしき作り手
    浅緋 零(ka4710
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/09/19 01:21:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/09/15 19:26:15