ゲスト
(ka0000)
【空蒼】魔術師の弟子、キノコ狩りと滑落者
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/09/18 22:00
- 完成日
- 2018/09/26 05:30
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●できること
月基地で大精霊の前を辞してから南雲 芙蓉は、リアルブルーのとある地域に出向いた。
VOIDから自分たちの世界を守るためにはどうすればいいのか考えた結果、まずは自分が戦えることが重要だと思ったのだった。
戦えないことはない、けれども、慣れていない。
「理論と実践は別なのです」
様々な戦術や戦略、武術のことなど学んだことはある。その知識だけで自分が戦えるわけではないことは理解している。
さらに、ハンターたちを見続けるだけで戦いができるわけではないが、どうすればいいのかという意識にはつながってはいった。
結論からすれば、実践をすればいい。
「動くだけです、もう、こうなったら」
まずは戦うというイメージを浮かべようと、やってきたのがここ、山の中。人里は近いが、人が頻繁に出入りするところでもない。
早速、森の中で意識を研ぎ澄ませる。生き物が色々いるというのはわかる。
草木が生え、動物に鳥の息遣いなどが皮膚を通して感じる。
「建物が多いところ、空気がないところではない感覚です」
ふと、負のマテリアルを感じた。
数や強さから、戦えるとは思うが、無理はしないつもりだ。依頼として出すにしても、何がいるのかは確認しておくことにする。
そこにいたのは、虫の姿をしたモノだった。
木があるため遮蔽物もある。
「ならば……」
箒のような大砲のような蒼機を構え、狙う。距離があれば倒せるはずだ。接敵されるまでの時間も稼げる。
だから、戦ってみることにした。
一発目は命中し、敵を倒すことができた。
「わ、私だって!」
できた。
すごくうれしかった。
しかし、まだ敵はいる。それは芙蓉に気づいて移動してくる。地面を移動してくれば次の攻撃まで耐えられるはずだ。
それは空を飛んだ。直線でやってくる。
芙蓉は回避をし、そのまま、再度攻撃をする。命中したか確認する前に、崖から足を滑らせた。
●リアルブルーでキノコ狩り!
リアルブルーにまた来られるとは思ってもいなかった。
先日、キノコのイベントで知り合い、VOIDの襲撃により話もそこそこで、キノコ売りの人達とは別れた。そのあと、キノコについてあれこれ語り合った店員からハンターオフィスを通じて連絡が来たのだ。助けてくれたお礼を兼ね、キノコ狩りに招待してくれるとのことだった。礼はこじつけ、ただのキノコ好きのやり取りだった。
行きたいルゥルと止めたい保護者代理の代理ともめたが、保護者代理の魔術師の師匠により、許可が下りた。
「王国にいても、どこにいても歪虚に遭う可能性は変わらないだろう?」
ルゥルは住んでいる町の近辺でかっこいい動物だと思ったら歪虚だったり、メフィストらしいものに遭ったりしているのだ。
説得力がありすぎて保護者代理の代理のエクラ教司祭は折れた。結局、お守り……ではなく、護衛にハンターを付けることで合意している。
そして、ルゥルたちはリアルブルーに来ていた。平穏な空気が流れる中、ルゥルはオフィスでキノコ屋のお兄さんと再会し、長々と挨拶をした。
キノコ屋のお兄さんこと木野 岳郎はマイクロバスにルゥルたちを乗せ、現地に向かった。バスの中でルゥルと岳郎はキノコの話で盛り上がる。共通するキノコ、知らないキノコのことで盛り上がる。
リアルブルーの景色を楽しんで到着した山の中。木々が茂る森でルゥルは深呼吸をした。
「みぎゃああああああああああああああ」
山の頂上ではないため、ルゥルの感激の声は木や土に吸収される。
「お兄さん、早速キノコを狩るのです」
「その前に、クマよけの鈴だよ」
大きな鈴をリュックにつける。ルゥルは音を確かめるように体をゆする。
「食べられるキノコか否かはキノコ博士のルゥルちゃんでも難しいかもしれないけどね」
「そうですね……リアルブルーのキノコも似ているので大丈夫だと思うのです。毒は怖いので、慎重さは捨ててはいけません」
「そちらのキノコも見てみたいな」
「……そうですね」
ルゥルはこくんとうなずいておいた。
「探すのです!」
森に入っていく一行。そして、キノコを探す。ルゥルは真剣なまなざしで木の陰や草の陰を見る。
何か銃声のような物を耳にした。
「お兄さんを守るのですうう」
ルゥルは岳郎を背にかばった、ほぼ隠れていないが。
警戒する中、ここより標高の高い部分の道から、滑落する人が見えた。
「助けに行くのです」
ルゥルが走り出そうとした。
月基地で大精霊の前を辞してから南雲 芙蓉は、リアルブルーのとある地域に出向いた。
VOIDから自分たちの世界を守るためにはどうすればいいのか考えた結果、まずは自分が戦えることが重要だと思ったのだった。
戦えないことはない、けれども、慣れていない。
「理論と実践は別なのです」
様々な戦術や戦略、武術のことなど学んだことはある。その知識だけで自分が戦えるわけではないことは理解している。
さらに、ハンターたちを見続けるだけで戦いができるわけではないが、どうすればいいのかという意識にはつながってはいった。
結論からすれば、実践をすればいい。
「動くだけです、もう、こうなったら」
まずは戦うというイメージを浮かべようと、やってきたのがここ、山の中。人里は近いが、人が頻繁に出入りするところでもない。
早速、森の中で意識を研ぎ澄ませる。生き物が色々いるというのはわかる。
草木が生え、動物に鳥の息遣いなどが皮膚を通して感じる。
「建物が多いところ、空気がないところではない感覚です」
ふと、負のマテリアルを感じた。
数や強さから、戦えるとは思うが、無理はしないつもりだ。依頼として出すにしても、何がいるのかは確認しておくことにする。
そこにいたのは、虫の姿をしたモノだった。
木があるため遮蔽物もある。
「ならば……」
箒のような大砲のような蒼機を構え、狙う。距離があれば倒せるはずだ。接敵されるまでの時間も稼げる。
だから、戦ってみることにした。
一発目は命中し、敵を倒すことができた。
「わ、私だって!」
できた。
すごくうれしかった。
しかし、まだ敵はいる。それは芙蓉に気づいて移動してくる。地面を移動してくれば次の攻撃まで耐えられるはずだ。
それは空を飛んだ。直線でやってくる。
芙蓉は回避をし、そのまま、再度攻撃をする。命中したか確認する前に、崖から足を滑らせた。
●リアルブルーでキノコ狩り!
リアルブルーにまた来られるとは思ってもいなかった。
先日、キノコのイベントで知り合い、VOIDの襲撃により話もそこそこで、キノコ売りの人達とは別れた。そのあと、キノコについてあれこれ語り合った店員からハンターオフィスを通じて連絡が来たのだ。助けてくれたお礼を兼ね、キノコ狩りに招待してくれるとのことだった。礼はこじつけ、ただのキノコ好きのやり取りだった。
行きたいルゥルと止めたい保護者代理の代理ともめたが、保護者代理の魔術師の師匠により、許可が下りた。
「王国にいても、どこにいても歪虚に遭う可能性は変わらないだろう?」
ルゥルは住んでいる町の近辺でかっこいい動物だと思ったら歪虚だったり、メフィストらしいものに遭ったりしているのだ。
説得力がありすぎて保護者代理の代理のエクラ教司祭は折れた。結局、お守り……ではなく、護衛にハンターを付けることで合意している。
そして、ルゥルたちはリアルブルーに来ていた。平穏な空気が流れる中、ルゥルはオフィスでキノコ屋のお兄さんと再会し、長々と挨拶をした。
キノコ屋のお兄さんこと木野 岳郎はマイクロバスにルゥルたちを乗せ、現地に向かった。バスの中でルゥルと岳郎はキノコの話で盛り上がる。共通するキノコ、知らないキノコのことで盛り上がる。
リアルブルーの景色を楽しんで到着した山の中。木々が茂る森でルゥルは深呼吸をした。
「みぎゃああああああああああああああ」
山の頂上ではないため、ルゥルの感激の声は木や土に吸収される。
「お兄さん、早速キノコを狩るのです」
「その前に、クマよけの鈴だよ」
大きな鈴をリュックにつける。ルゥルは音を確かめるように体をゆする。
「食べられるキノコか否かはキノコ博士のルゥルちゃんでも難しいかもしれないけどね」
「そうですね……リアルブルーのキノコも似ているので大丈夫だと思うのです。毒は怖いので、慎重さは捨ててはいけません」
「そちらのキノコも見てみたいな」
「……そうですね」
ルゥルはこくんとうなずいておいた。
「探すのです!」
森に入っていく一行。そして、キノコを探す。ルゥルは真剣なまなざしで木の陰や草の陰を見る。
何か銃声のような物を耳にした。
「お兄さんを守るのですうう」
ルゥルは岳郎を背にかばった、ほぼ隠れていないが。
警戒する中、ここより標高の高い部分の道から、滑落する人が見えた。
「助けに行くのです」
ルゥルが走り出そうとした。
リプレイ本文
●まず、ストップ
「だ、誰か落ちています!? 魔箒のスキルでルゥルさんと一緒に飛んで確認にいくのです」
「ちょっと待ったあ!」
エステル・ソル(ka3983)が荷物から魔箒を取り出しルゥル(kz0210)を促すのと、カーミン・S・フィールズ(ka1559)が荷物ではない方に走り出すルゥルの首根っこを掴むのは同時だった。
「ルゥル、走るんじゃなくてみんなと一緒に飛んでいきなさい、二次遭難するわよ! 私は木野さんを護衛しながら滑落現場に向かうから」
マリィア・バルデス(ka5848)はルゥルに言って聞かせた。
「銃声があって滑落者があったんだ。撮影でもない限り事件だろうよ。敵が歪虚かクマか人間かは行ってみなければわからん。飛ぶぞ」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)はキノコ屋の木野 岳郎に状況を告げてから、覚醒状態となりスキルをを用い急いだ。
「誰が、何が、落ちているかはさすがに見えない。細かいことは近寄りゃわかるか。とりあえず急行しよう」
ルナリリル・フェルフューズ(ka4108)はスキルを用いてルベーノに続く。
山ということで念のためトランシーバーを持ち寄っていることは護衛開始時に確認してはあった。もしもの連絡は取れるということである。必要なら発煙手榴弾を持っていることも聞いている。
「岳郎さん、私たちは徒歩で合流しましょう」
アシェ-ル(ka2983)は一応落ち着いてはいる岳郎に声をかけ、様子を見た。
「すみません、木野さん。滑落者を発見した以上、私たちは救助に向かわないとなりません。滑落の原因が不明である以上、あなたを独りここに残すわけにも行きません。それに地上から行くなら、あなたの土地勘が頼りです。申し訳ありませんが、現場まで一緒に来ていただけますか?」
「連絡は取れる状況にあったとしても、あっちがここに戻ってくることは意外と難しいかもしれないわね」
マリィアが丁寧に告げ、カーミンも現状の先の予定を考えて提案した。
「ええ、救助は必要ですし、何があったのかは知る必要があります。行きましょう……それより、空を飛べるって……すごいですね、ハンターって」
岳郎がどこに驚いていたかがよくわかった。
「行きましょう。ルゥルさんも楽しみにしていたせっかくのキノコ狩りです。きちんと助けることは助け、楽しむことも重要です」
アシェ-ルは表情を引き締めた。
●移動
ルベーノとルナリリルが若干早く現場に着く。
滑落してればのり面にそばにいるだろうが、木があるため空からは見えづらい。そのため、スキルを切り、下りる。
「おい、誰かいるか? 大丈夫か!」
「返事してほしい、滑落したのが見え助けに来た」
ルベーノとルナリリルは声をかけつつ近づくと、和装の少女がうずくまっているのが見えた。
ルゥルとエステルは魔箒で空を飛ぶ。エステルが注意を促そうとしたが、すでに事件は起こっていた。
「みぎゃあああ」
「ルゥルさん!」
ルゥルは悲鳴を残して上の方を飛んでいた。エステルはルゥルの進む方向があっているのを確認し、とりあえず信じて進むことにした。
ルゥルの悲鳴を聞いた地上組は「きっと大丈夫」と信じることにした。
「やっぱり道を知らないと危険だわ」
カーミンは道と道ではないもの、それに加えて方向が瞬間に判断付かない。
「先ほども説明がありましたが、事件の可能性が高いと思います。危険生物かVOIDか不明です。来ていただく以上、守ります」
マリィアは一方的に話しかけることで説明する。岳郎は急いで道を行くのに意識を使っているため、しゃべる余裕はない。それでも理解したという視線を送ってはくれる。
「クマやイノシシならそのままお肉になっていただくのもありですよね」
アシェ-ルの言葉に緊張感はほどよく緩む。
「あと、半分です」
案内をする岳郎に少し心の余裕が見えた。
ルベーノとルナリリルの気配に、少女は一瞬驚いた顔をしたが安堵した表情になる。
「大丈夫か? しゃべれるか?」
「応急手当なら、すぐにするぞ」
ルベーノとルナリリルは彼女の側に大きな武器のような物があるのに気づいた。彼女がハンターに準じるものであると感じ取る。
「ありがとうございます。大丈夫です。このくらいは」
「で、何があったんだ?」
ルベーノが問い、彼女が口を開こうとしたところに、ルゥルが突っ込んできた。
「みぎゃああああ」
「ルゥルさん、気を付け……手遅れですね……けがはしませんでしたか?」
エステルは普通に到着したが、ルゥルは近くの地面に転げている。
「みぎゃああ。大きな虫なのですぅ」
ルゥルが飛び起きると空を指さす。
「打ち漏らしていたのですね」
少女は立ち上がると武器を手にする。
「なるほど、状況は分かった。あっちに連絡をしたほうがいいな」
「それは頼むぞ。念のため持ってきた武器が活躍するとは……やれやれ」
ルナリリルは苦笑しつつ、距離を見て魔導銃を構えた。
「これは私が……」
「初めましてなのです」
少女とエステルがほぼ同時で口を開いた。エステルが自己紹介をしたため、彼女は南雲 芙蓉と名乗った。そのため、昨今のリアルブルーとのかかわりを知っているハンターには一定の理解はできた。
「けがはしていませんか? 軽い捻挫も甘く見てはいけません」
「本当、かすり傷だけです」
「それなら良いのです。歪虚はもっといるのです?」
「いえ、あれと一体なはずです」
ルベーノがカーミンたちに連絡を取り伝える。
「来るぞ」
ルナリリルは忠告すると同時に引き金を絞っていた。
VOIDがいるという情報と滑落者の名前がマリィアたちに伝わる。
「リアルブルーには空から降ってくる美少女の物語があるそうですけど……まさか、芙蓉さんが?」
「月から? ってぼけている場合ではないわよ!」
アシェ-ルにマリィアはツッコミを入れるが、すぐに二人の表情は引き締まる。
「そんな物語が……って、あとどのくらいでつくのかな」
カーミンが苦笑した後、まじめな顔で問う。
「目前です。後は道を関係なとくともここから突っ切ってもつけます」
岳郎の答えにカーミンは行動を決めた。
「遮蔽物もあるということで、私は先に行って偵察にいくってことでいいかな?」
カーミンはクマよけ鈴を鳴らないようにポケットにしまう。もう一体がどこにいるのかがわからない状況ならば隠密は重要だ。
「そうですね。カーミンさんお願いします。岳郎さんはきちんと守ります」
アシェ-ルは敵に備えた。
ルゥルの声やら戦闘のような音が聞こえる為、すぐに合流できる距離までは来ている。カーミンはスキル【グラジオラス】を用いて、隠密行動を開始した。
●戦闘
ルナリリルの射撃をそれは回避した。
避けたところ狙うようにエステルの【マジックアロー】が向かう。ふらふら飛ぶそれは力なく落ちていく。
ルベーノの【青龍翔咬波】がそれにあたり、塵に返る。
「やったのですー」
ルゥルはとりあえず喜んだ。
芙蓉は戦いを見てひとりではできないことを実感する。それに、己に足りないものも感じ取る。
「まだ、安心はできんぞ。もう一体いるのだろう?」
ルベーノの確認に芙蓉は曖昧にうなずくが、確証はない。
「迷惑かけるなんて考えないで、口にしたほうがいいぞ」
ルナリリルは周囲を警戒しつつ告げる。
「そうなのです。もし、これだけだったかもとなっても、周囲の調査をして安全の確保をしておくのです。ルゥルさん、まだ、戦闘中なのです」
エステルは魔箒で木を突いているルゥルに注意を促した。
カーミンは木々の間からのり面の脇に出た。登れそうなので【空渡】も駆使し見てくることにした。登り切ると林道となっている。
「歪虚が長い間いたとか、強くないと形跡って残らないというか……わからないわよね」
警戒して見るしかない。
「ん? あれは、VOID、森の上? マリィア、アシェ-ル、上空見て!」
トランシーバーで連絡しつつ叫んだ。
合流まで一歩というところで、連絡を受け、マリィアとアシェ-ルは上空を見る。木で見えづらいが、何かいる。
アシェ-ルが岳郎を木の裏に隠し、魔箒の準備をする。必要ならば飛び、戦うか誘導するつもりだ。
マリィアが銃を構える。
「木が邪魔、だけど、この程度、どういうことはない。むしろ落とす」
引き金を絞る際マテリアルを込め【リトリビューション】を用いた。
敵に命中し、高度が落ちる。アシェ-ルがすかさず【マジックアロー】放つ。命中して歪虚は霧散した。
カーミンの声の指示から位置を知り、エステルたちがやってくる。互いに状況を確認すると、しばらく警戒して待った。カーミンが戻ってきたところで、敵の姿はないと確証を得た。
それぞれ自己紹介後、あっさりとキノコ狩りに戻ろうとするルゥルを一旦引き留め、芙蓉の状況を尋ねる。
「そ、それは……」
「噂ではお前は守護者なのだろう? 大精霊のお守りはどうした」
ルベーノの言葉に芙蓉は何とも言えない表情となるが、重い口を開いき、実戦を積もうと考えていたことを告げた。
「役に立てるようになりたかったからです。力があっても何もできない、救いたいと思っても力ない……堂々巡りです。でも、文句を言っても仕方がないと動いてみたのです」
芙蓉はうつむいた。
「自分に何ができるのか確かめることは良いことです。でも、無茶はいけません」
エステルがきっぱりと言う。
「思い付きで戦場に出る。十代前半の子供のような無理・無茶・無策な行動をするな。守護者だろうが、ハンターだろうが、正体のわからぬ雑魔に雲霞のように集まれれば死ぬのだぞ? けがや毒やマヒで動けなくなって殺されるかもしれない――」
ルベーノの言葉が続くところだが、カーミンが止めた。
「その通りだけど、説教は後にしよう。ここで立ち話もなんだし、予定がまだだし、昼食食べてゆっくり話そう。キノコ探しはまだ途中、その上、昼食まで時間はわずか。こうなると、腹の虫は落ち着きをなくし、ルゥルは泣き始める。フヨウは空腹とともに落ち込みすぎて大精霊に悪影響……これ、良くないことよ」
「いや、そこまでは……」
「……ないです」
カーミンにルベーノと芙蓉が異議を唱え、ルゥルはうなずいている。
「そういうことだな。怪我もなく無事終わった。戻ってキノコ狩りだ。聞いた話じゃ、触るだけでも危険なキノコがあるらしいが……」
ルナリリルが岳郎に質問を始めるとルゥルは自然と近寄る。
「さすがに生えていないわよ……と言えないのが森の現状を知らない私たち素人よね」
マリィアはルゥルが迷子にならないように見ながらついていく。
「さ、行きましょう! 急ぎの用事があるというならば引き留められませんが、これもご縁です、芙蓉さんも一緒にキノコ狩りです」
アシェ-ルに背を押され、芙蓉は一行に混じったのだった。
●キノコ
岳郎の指導の下、キノコを一行は探す。戦闘があったということが嘘のような平時の風景。
芙蓉はこの切り替えがハンターの強みだと肌で感じる。
「キノコ十分足りている?」
カーミンが尋ねるとそれぞれ籠を見せる。あとは岳郎が選別したのを川辺で焼くなり、煮るなりして食べることになる。
「肉は……足りますか。カエルとか虫とか捕まえます? え? どうしました、皆さん?」
アシェ-ルの言葉にカエルの肉や虫を食べる習慣がないメンバーが驚きの視線をに向ける。
料理に必要そうな肉や野菜は適度に用意はされている。河原に移動し、料理を料理を始める。
「きっのこさん、きーのこさん♪」
「きぃぃぃのぉぉぉこぉぉおおお」
エステルの可愛らしい歌声と、ルゥルのシャウトが響く。
「なんで、その歌い方か……とはいえ、楽しそうなことはいいことだ」
ルナリリルは火の番をしながら、二人の歌を聞いていた。
芙蓉は石に座ってこのような時間は何時ぶりか考える。このようなことをしていていいのかとふと焦りがよぎる。
「厳しいことを言ったと思われたなら申し訳ない」
手持無沙汰になったルベーノが芙蓉の隣に来た。
「いえ、事実ですから」
「……ハンターズソサエティに何か含みでもあるのか? 戦闘訓練をしたいだけなら、なぜ、オフィスで人を募って訓練場を使わん」
「助けていただいて、ありがたいと思っています」
「なら?」
「ハンターの訓練場があるのはうかがっていますが、それはクリムゾンウェストです。神の側から離れることになります」
ルベーノは納得した。
キノコの匂いが漂い始めた。
「はいはい、できたわよ。取りに来なさい。ナグモも……あれ? で、どっちが名前だっけ? 名前で呼ぶつもりなんだけど」
カーミンが声をかけ、不意の疑問を呈する。
「芙蓉、です」
「そっか、うんうん。名前の順番って地域によって違うじゃない?」
カーミンは説明しつつ、芙蓉を火のそばまで連れて行った。
キノコ汁と鉄板焼きのキノコがある。
「熱いから気を付けて食べるのよ。まあ、その水、飲めるそうだから、やけどしそうなら頭から突っ込むことになるわよ」
マリィアが注意を促す。
「それは誰への忠告か……」
「まさか、私にでしょうか、あつっ」
ルナリリルの横でアシェールがはふはふ言っていた。
芙蓉は汁物を受け取ると、手のぬくもりが全身を優しく包む気がした。劣等感もなく、ともに行動するということを肌で感じた。汁を飲むと懐かしい味がする気がした。
「守護者ということは、青の大精霊さんとお友達さんです?」
エステルの言葉に、芙蓉はむせた。
「そ、そんな、恐れ多い」
「そうなのです?」
「そうですね……お友達……ですか」
自問自答する。あの人は神なのだ、友という気やすい存在ではない。
「芙蓉さん、できないことばかりを数えていると落ち込んでしまいます。だから、できることを数えると元気が出ます。それに、特別なことができなくても、お友達や信じてくれる人が心に寄り添ってくれるだけでも嬉しいです」
エステルの真っ直ぐな言葉に芙蓉は静かにうなずいた。
●帰路
「ご迷惑をおかけしました」
「そんなことないよ、フヨウ」
「VOIDが一体でもいなくなる方が重要です」
芙蓉にカーミンとアシェ-ルが気にするなと告げる。
「特訓がしたいなら、依頼でも何でも連絡を入れれば手伝ってくれる奴はいくらでもいる」
「そうです。無茶はいけません。一人でできることは限りもあるのです。できることからするのです」
ルベーノとエステルに念を押された。
「自分の至らなさに気づいたなら、成長できるということだ」
ルナリリルは芙蓉の様子を見て言った。
「そろそろ出発するけど、あなたはいいの? 秋葉原まで行くけど」
「岳郎さんは乗れると言っているのです」
マリィアとルゥルが乗るように勧める。
「ありがとうございます。無茶はしませんし帰り道は用意してあります」
芙蓉は微笑み、マイクロバスで出発する一行を見送った。
「だ、誰か落ちています!? 魔箒のスキルでルゥルさんと一緒に飛んで確認にいくのです」
「ちょっと待ったあ!」
エステル・ソル(ka3983)が荷物から魔箒を取り出しルゥル(kz0210)を促すのと、カーミン・S・フィールズ(ka1559)が荷物ではない方に走り出すルゥルの首根っこを掴むのは同時だった。
「ルゥル、走るんじゃなくてみんなと一緒に飛んでいきなさい、二次遭難するわよ! 私は木野さんを護衛しながら滑落現場に向かうから」
マリィア・バルデス(ka5848)はルゥルに言って聞かせた。
「銃声があって滑落者があったんだ。撮影でもない限り事件だろうよ。敵が歪虚かクマか人間かは行ってみなければわからん。飛ぶぞ」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)はキノコ屋の木野 岳郎に状況を告げてから、覚醒状態となりスキルをを用い急いだ。
「誰が、何が、落ちているかはさすがに見えない。細かいことは近寄りゃわかるか。とりあえず急行しよう」
ルナリリル・フェルフューズ(ka4108)はスキルを用いてルベーノに続く。
山ということで念のためトランシーバーを持ち寄っていることは護衛開始時に確認してはあった。もしもの連絡は取れるということである。必要なら発煙手榴弾を持っていることも聞いている。
「岳郎さん、私たちは徒歩で合流しましょう」
アシェ-ル(ka2983)は一応落ち着いてはいる岳郎に声をかけ、様子を見た。
「すみません、木野さん。滑落者を発見した以上、私たちは救助に向かわないとなりません。滑落の原因が不明である以上、あなたを独りここに残すわけにも行きません。それに地上から行くなら、あなたの土地勘が頼りです。申し訳ありませんが、現場まで一緒に来ていただけますか?」
「連絡は取れる状況にあったとしても、あっちがここに戻ってくることは意外と難しいかもしれないわね」
マリィアが丁寧に告げ、カーミンも現状の先の予定を考えて提案した。
「ええ、救助は必要ですし、何があったのかは知る必要があります。行きましょう……それより、空を飛べるって……すごいですね、ハンターって」
岳郎がどこに驚いていたかがよくわかった。
「行きましょう。ルゥルさんも楽しみにしていたせっかくのキノコ狩りです。きちんと助けることは助け、楽しむことも重要です」
アシェ-ルは表情を引き締めた。
●移動
ルベーノとルナリリルが若干早く現場に着く。
滑落してればのり面にそばにいるだろうが、木があるため空からは見えづらい。そのため、スキルを切り、下りる。
「おい、誰かいるか? 大丈夫か!」
「返事してほしい、滑落したのが見え助けに来た」
ルベーノとルナリリルは声をかけつつ近づくと、和装の少女がうずくまっているのが見えた。
ルゥルとエステルは魔箒で空を飛ぶ。エステルが注意を促そうとしたが、すでに事件は起こっていた。
「みぎゃあああ」
「ルゥルさん!」
ルゥルは悲鳴を残して上の方を飛んでいた。エステルはルゥルの進む方向があっているのを確認し、とりあえず信じて進むことにした。
ルゥルの悲鳴を聞いた地上組は「きっと大丈夫」と信じることにした。
「やっぱり道を知らないと危険だわ」
カーミンは道と道ではないもの、それに加えて方向が瞬間に判断付かない。
「先ほども説明がありましたが、事件の可能性が高いと思います。危険生物かVOIDか不明です。来ていただく以上、守ります」
マリィアは一方的に話しかけることで説明する。岳郎は急いで道を行くのに意識を使っているため、しゃべる余裕はない。それでも理解したという視線を送ってはくれる。
「クマやイノシシならそのままお肉になっていただくのもありですよね」
アシェ-ルの言葉に緊張感はほどよく緩む。
「あと、半分です」
案内をする岳郎に少し心の余裕が見えた。
ルベーノとルナリリルの気配に、少女は一瞬驚いた顔をしたが安堵した表情になる。
「大丈夫か? しゃべれるか?」
「応急手当なら、すぐにするぞ」
ルベーノとルナリリルは彼女の側に大きな武器のような物があるのに気づいた。彼女がハンターに準じるものであると感じ取る。
「ありがとうございます。大丈夫です。このくらいは」
「で、何があったんだ?」
ルベーノが問い、彼女が口を開こうとしたところに、ルゥルが突っ込んできた。
「みぎゃああああ」
「ルゥルさん、気を付け……手遅れですね……けがはしませんでしたか?」
エステルは普通に到着したが、ルゥルは近くの地面に転げている。
「みぎゃああ。大きな虫なのですぅ」
ルゥルが飛び起きると空を指さす。
「打ち漏らしていたのですね」
少女は立ち上がると武器を手にする。
「なるほど、状況は分かった。あっちに連絡をしたほうがいいな」
「それは頼むぞ。念のため持ってきた武器が活躍するとは……やれやれ」
ルナリリルは苦笑しつつ、距離を見て魔導銃を構えた。
「これは私が……」
「初めましてなのです」
少女とエステルがほぼ同時で口を開いた。エステルが自己紹介をしたため、彼女は南雲 芙蓉と名乗った。そのため、昨今のリアルブルーとのかかわりを知っているハンターには一定の理解はできた。
「けがはしていませんか? 軽い捻挫も甘く見てはいけません」
「本当、かすり傷だけです」
「それなら良いのです。歪虚はもっといるのです?」
「いえ、あれと一体なはずです」
ルベーノがカーミンたちに連絡を取り伝える。
「来るぞ」
ルナリリルは忠告すると同時に引き金を絞っていた。
VOIDがいるという情報と滑落者の名前がマリィアたちに伝わる。
「リアルブルーには空から降ってくる美少女の物語があるそうですけど……まさか、芙蓉さんが?」
「月から? ってぼけている場合ではないわよ!」
アシェ-ルにマリィアはツッコミを入れるが、すぐに二人の表情は引き締まる。
「そんな物語が……って、あとどのくらいでつくのかな」
カーミンが苦笑した後、まじめな顔で問う。
「目前です。後は道を関係なとくともここから突っ切ってもつけます」
岳郎の答えにカーミンは行動を決めた。
「遮蔽物もあるということで、私は先に行って偵察にいくってことでいいかな?」
カーミンはクマよけ鈴を鳴らないようにポケットにしまう。もう一体がどこにいるのかがわからない状況ならば隠密は重要だ。
「そうですね。カーミンさんお願いします。岳郎さんはきちんと守ります」
アシェ-ルは敵に備えた。
ルゥルの声やら戦闘のような音が聞こえる為、すぐに合流できる距離までは来ている。カーミンはスキル【グラジオラス】を用いて、隠密行動を開始した。
●戦闘
ルナリリルの射撃をそれは回避した。
避けたところ狙うようにエステルの【マジックアロー】が向かう。ふらふら飛ぶそれは力なく落ちていく。
ルベーノの【青龍翔咬波】がそれにあたり、塵に返る。
「やったのですー」
ルゥルはとりあえず喜んだ。
芙蓉は戦いを見てひとりではできないことを実感する。それに、己に足りないものも感じ取る。
「まだ、安心はできんぞ。もう一体いるのだろう?」
ルベーノの確認に芙蓉は曖昧にうなずくが、確証はない。
「迷惑かけるなんて考えないで、口にしたほうがいいぞ」
ルナリリルは周囲を警戒しつつ告げる。
「そうなのです。もし、これだけだったかもとなっても、周囲の調査をして安全の確保をしておくのです。ルゥルさん、まだ、戦闘中なのです」
エステルは魔箒で木を突いているルゥルに注意を促した。
カーミンは木々の間からのり面の脇に出た。登れそうなので【空渡】も駆使し見てくることにした。登り切ると林道となっている。
「歪虚が長い間いたとか、強くないと形跡って残らないというか……わからないわよね」
警戒して見るしかない。
「ん? あれは、VOID、森の上? マリィア、アシェ-ル、上空見て!」
トランシーバーで連絡しつつ叫んだ。
合流まで一歩というところで、連絡を受け、マリィアとアシェ-ルは上空を見る。木で見えづらいが、何かいる。
アシェ-ルが岳郎を木の裏に隠し、魔箒の準備をする。必要ならば飛び、戦うか誘導するつもりだ。
マリィアが銃を構える。
「木が邪魔、だけど、この程度、どういうことはない。むしろ落とす」
引き金を絞る際マテリアルを込め【リトリビューション】を用いた。
敵に命中し、高度が落ちる。アシェ-ルがすかさず【マジックアロー】放つ。命中して歪虚は霧散した。
カーミンの声の指示から位置を知り、エステルたちがやってくる。互いに状況を確認すると、しばらく警戒して待った。カーミンが戻ってきたところで、敵の姿はないと確証を得た。
それぞれ自己紹介後、あっさりとキノコ狩りに戻ろうとするルゥルを一旦引き留め、芙蓉の状況を尋ねる。
「そ、それは……」
「噂ではお前は守護者なのだろう? 大精霊のお守りはどうした」
ルベーノの言葉に芙蓉は何とも言えない表情となるが、重い口を開いき、実戦を積もうと考えていたことを告げた。
「役に立てるようになりたかったからです。力があっても何もできない、救いたいと思っても力ない……堂々巡りです。でも、文句を言っても仕方がないと動いてみたのです」
芙蓉はうつむいた。
「自分に何ができるのか確かめることは良いことです。でも、無茶はいけません」
エステルがきっぱりと言う。
「思い付きで戦場に出る。十代前半の子供のような無理・無茶・無策な行動をするな。守護者だろうが、ハンターだろうが、正体のわからぬ雑魔に雲霞のように集まれれば死ぬのだぞ? けがや毒やマヒで動けなくなって殺されるかもしれない――」
ルベーノの言葉が続くところだが、カーミンが止めた。
「その通りだけど、説教は後にしよう。ここで立ち話もなんだし、予定がまだだし、昼食食べてゆっくり話そう。キノコ探しはまだ途中、その上、昼食まで時間はわずか。こうなると、腹の虫は落ち着きをなくし、ルゥルは泣き始める。フヨウは空腹とともに落ち込みすぎて大精霊に悪影響……これ、良くないことよ」
「いや、そこまでは……」
「……ないです」
カーミンにルベーノと芙蓉が異議を唱え、ルゥルはうなずいている。
「そういうことだな。怪我もなく無事終わった。戻ってキノコ狩りだ。聞いた話じゃ、触るだけでも危険なキノコがあるらしいが……」
ルナリリルが岳郎に質問を始めるとルゥルは自然と近寄る。
「さすがに生えていないわよ……と言えないのが森の現状を知らない私たち素人よね」
マリィアはルゥルが迷子にならないように見ながらついていく。
「さ、行きましょう! 急ぎの用事があるというならば引き留められませんが、これもご縁です、芙蓉さんも一緒にキノコ狩りです」
アシェ-ルに背を押され、芙蓉は一行に混じったのだった。
●キノコ
岳郎の指導の下、キノコを一行は探す。戦闘があったということが嘘のような平時の風景。
芙蓉はこの切り替えがハンターの強みだと肌で感じる。
「キノコ十分足りている?」
カーミンが尋ねるとそれぞれ籠を見せる。あとは岳郎が選別したのを川辺で焼くなり、煮るなりして食べることになる。
「肉は……足りますか。カエルとか虫とか捕まえます? え? どうしました、皆さん?」
アシェ-ルの言葉にカエルの肉や虫を食べる習慣がないメンバーが驚きの視線をに向ける。
料理に必要そうな肉や野菜は適度に用意はされている。河原に移動し、料理を料理を始める。
「きっのこさん、きーのこさん♪」
「きぃぃぃのぉぉぉこぉぉおおお」
エステルの可愛らしい歌声と、ルゥルのシャウトが響く。
「なんで、その歌い方か……とはいえ、楽しそうなことはいいことだ」
ルナリリルは火の番をしながら、二人の歌を聞いていた。
芙蓉は石に座ってこのような時間は何時ぶりか考える。このようなことをしていていいのかとふと焦りがよぎる。
「厳しいことを言ったと思われたなら申し訳ない」
手持無沙汰になったルベーノが芙蓉の隣に来た。
「いえ、事実ですから」
「……ハンターズソサエティに何か含みでもあるのか? 戦闘訓練をしたいだけなら、なぜ、オフィスで人を募って訓練場を使わん」
「助けていただいて、ありがたいと思っています」
「なら?」
「ハンターの訓練場があるのはうかがっていますが、それはクリムゾンウェストです。神の側から離れることになります」
ルベーノは納得した。
キノコの匂いが漂い始めた。
「はいはい、できたわよ。取りに来なさい。ナグモも……あれ? で、どっちが名前だっけ? 名前で呼ぶつもりなんだけど」
カーミンが声をかけ、不意の疑問を呈する。
「芙蓉、です」
「そっか、うんうん。名前の順番って地域によって違うじゃない?」
カーミンは説明しつつ、芙蓉を火のそばまで連れて行った。
キノコ汁と鉄板焼きのキノコがある。
「熱いから気を付けて食べるのよ。まあ、その水、飲めるそうだから、やけどしそうなら頭から突っ込むことになるわよ」
マリィアが注意を促す。
「それは誰への忠告か……」
「まさか、私にでしょうか、あつっ」
ルナリリルの横でアシェールがはふはふ言っていた。
芙蓉は汁物を受け取ると、手のぬくもりが全身を優しく包む気がした。劣等感もなく、ともに行動するということを肌で感じた。汁を飲むと懐かしい味がする気がした。
「守護者ということは、青の大精霊さんとお友達さんです?」
エステルの言葉に、芙蓉はむせた。
「そ、そんな、恐れ多い」
「そうなのです?」
「そうですね……お友達……ですか」
自問自答する。あの人は神なのだ、友という気やすい存在ではない。
「芙蓉さん、できないことばかりを数えていると落ち込んでしまいます。だから、できることを数えると元気が出ます。それに、特別なことができなくても、お友達や信じてくれる人が心に寄り添ってくれるだけでも嬉しいです」
エステルの真っ直ぐな言葉に芙蓉は静かにうなずいた。
●帰路
「ご迷惑をおかけしました」
「そんなことないよ、フヨウ」
「VOIDが一体でもいなくなる方が重要です」
芙蓉にカーミンとアシェ-ルが気にするなと告げる。
「特訓がしたいなら、依頼でも何でも連絡を入れれば手伝ってくれる奴はいくらでもいる」
「そうです。無茶はいけません。一人でできることは限りもあるのです。できることからするのです」
ルベーノとエステルに念を押された。
「自分の至らなさに気づいたなら、成長できるということだ」
ルナリリルは芙蓉の様子を見て言った。
「そろそろ出発するけど、あなたはいいの? 秋葉原まで行くけど」
「岳郎さんは乗れると言っているのです」
マリィアとルゥルが乗るように勧める。
「ありがとうございます。無茶はしませんし帰り道は用意してあります」
芙蓉は微笑み、マイクロバスで出発する一行を見送った。
依頼結果
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相談しましょ ルナリリル・フェルフューズ(ka4108) エルフ|16才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/09/18 18:50:55 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/16 17:29:53 |