ゲスト
(ka0000)
ねこ! ねこ! ねこ!
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/09/28 15:00
- 完成日
- 2018/10/01 14:32
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●帝都に開店、にゃんこカフェ
「と、いうわけなのです。にゃんこカフェ。可愛いにゃんこと戯れながら軽食を頂くひと時。きっと流行ること間違いなしです! にゃ~ん♪」
「はあ……そうですか。何ですかその鳴き真似は」
鼻息荒く売り込みをかけてくる女性は、新しく帝都に動物カフェを出そうとしている商人の女性だ。
カフェの名前はにゃんこカフェ。形態としては、リアルブルーの猫カフェをイメージしてもらえばいいだろう。
ただし、ここはクリムゾンウエストなので様々なところがクリムゾンウエスト流にアレンジされているが。
「さらには開店同時イベントとして、ハンターの皆様をご招待! 今ならハンターと触れ合える特典付き! いいと思いませんか?」
「ハンターを動物か何かのようにいわないでください」
普段はうさんくさい笑顔で他人をからかうジェーンが、珍しく突っ込み役に終始させられている。
「とにかく! ハンターズソサエティの受付嬢であるジェーン・ドゥさんに協力を仰ぎたいのです! 私の店にハンターを連れてきてください!」
「依頼なら私に頼まずとも普通に出せばいいじゃありませんか」
「手続きめんどくさいので嫌です」
この後めちゃくちゃ説教した。
●殺人毛玉の襲撃
「なーう」
「うーなー」
「なにゃ」
「にゃおーん」
「なーお」
「ふにゃー」
「にゃん」
「ふすっ」
でかい。
それが、実物を見たジェーンの第一印象だった。
「ほら、可愛いでしょう? 自慢のにゃんこたちですよ」
「にゃん……こ……?」
「ええ、にゃんこです」
思わずジェーンは頭を抱えた。
店主の女性があまりにも自信満々なので、ジェーンですら一瞬そうなのかと釣られて納得してしまいそうになる。
「にゃんこって、あれですよね。つまり早い話が、リアルブルーの猫」
「それは猫でしょう? うちのはにゃんこですよ」
「……」
もはやジェーンは二の句が告げなかった。
にゃんこの正体。それは、ライオンサイズの猫のような何かであった。
姿形は完全に猫である。しかし大きさが猫の範疇を超えており、猫科猛獣の域に達している。
育ち過ぎだ。一体何を食べてそうなった。
「もちろん普通サイズもいますよっ! ほらっ」
「完全に本来の猫がインパクト負けしている気がするのですが……」
改めて見せられた普通の猫たちも可愛かったが、やはり最初の衝撃には霞む。
「さすがにこのまま一般公開しちゃうとお客様に怪我させてしまうかもしれないので、ハンターさんに体験してもらって意見を伺いたいんですよ」
「あの、私も一応ハンターなのですけれども」
「もちろん、当日はジェーンさんも無料で参加していただいて構いませんよ」
「ハンターの皆様を集めるのは私に任せてくださいませ。ご希望はいつまででございますか? 来週まで? はい確かに承りました」
無料で猫をもふれると聞いて、ウッキウキに手続きの約束をするジェーンだった。
「と、いうわけなのです。にゃんこカフェ。可愛いにゃんこと戯れながら軽食を頂くひと時。きっと流行ること間違いなしです! にゃ~ん♪」
「はあ……そうですか。何ですかその鳴き真似は」
鼻息荒く売り込みをかけてくる女性は、新しく帝都に動物カフェを出そうとしている商人の女性だ。
カフェの名前はにゃんこカフェ。形態としては、リアルブルーの猫カフェをイメージしてもらえばいいだろう。
ただし、ここはクリムゾンウエストなので様々なところがクリムゾンウエスト流にアレンジされているが。
「さらには開店同時イベントとして、ハンターの皆様をご招待! 今ならハンターと触れ合える特典付き! いいと思いませんか?」
「ハンターを動物か何かのようにいわないでください」
普段はうさんくさい笑顔で他人をからかうジェーンが、珍しく突っ込み役に終始させられている。
「とにかく! ハンターズソサエティの受付嬢であるジェーン・ドゥさんに協力を仰ぎたいのです! 私の店にハンターを連れてきてください!」
「依頼なら私に頼まずとも普通に出せばいいじゃありませんか」
「手続きめんどくさいので嫌です」
この後めちゃくちゃ説教した。
●殺人毛玉の襲撃
「なーう」
「うーなー」
「なにゃ」
「にゃおーん」
「なーお」
「ふにゃー」
「にゃん」
「ふすっ」
でかい。
それが、実物を見たジェーンの第一印象だった。
「ほら、可愛いでしょう? 自慢のにゃんこたちですよ」
「にゃん……こ……?」
「ええ、にゃんこです」
思わずジェーンは頭を抱えた。
店主の女性があまりにも自信満々なので、ジェーンですら一瞬そうなのかと釣られて納得してしまいそうになる。
「にゃんこって、あれですよね。つまり早い話が、リアルブルーの猫」
「それは猫でしょう? うちのはにゃんこですよ」
「……」
もはやジェーンは二の句が告げなかった。
にゃんこの正体。それは、ライオンサイズの猫のような何かであった。
姿形は完全に猫である。しかし大きさが猫の範疇を超えており、猫科猛獣の域に達している。
育ち過ぎだ。一体何を食べてそうなった。
「もちろん普通サイズもいますよっ! ほらっ」
「完全に本来の猫がインパクト負けしている気がするのですが……」
改めて見せられた普通の猫たちも可愛かったが、やはり最初の衝撃には霞む。
「さすがにこのまま一般公開しちゃうとお客様に怪我させてしまうかもしれないので、ハンターさんに体験してもらって意見を伺いたいんですよ」
「あの、私も一応ハンターなのですけれども」
「もちろん、当日はジェーンさんも無料で参加していただいて構いませんよ」
「ハンターの皆様を集めるのは私に任せてくださいませ。ご希望はいつまででございますか? 来週まで? はい確かに承りました」
無料で猫をもふれると聞いて、ウッキウキに手続きの約束をするジェーンだった。
リプレイ本文
●ようこそ、にゃんこ喫茶へ
普通サイズとビッグサイズの両方を堪能する気満々なロニ・カルディス(ka0551)は、猫のために身だしなみに気をつけ、あらかじめ手を消毒しておく念の入れようだ。
店に入ったら時点でビッグサイズにゃんこに出迎えられる。
「偶には、俺が癒される側に回っても良いと思うんだ。……別に良いだろう、俺は猫が好きなんだ」
「王国でも猫カフェの設立の手伝いをしたことあるけど、ここにも猫カフェができるんだね! 王国のほうのカフェで全長三メートルの猫とか見たこともあるけど、一匹だけだったし……」
夢路 まよい(ka1328)は、大きなにゃんこと聞いて、戯れるのを楽しみにやってきた一人だ。
入るなりあちこちで目に入る、大きなにゃんこたちは壮観ですらある。
可愛い猫をもふもふ出来ると聞いて参加したサクラ・エルフリード(ka2598)は、店内で想像より大きい猫を見て驚く。
(もふもふはしやすそうですし、これはこれでよし、です)
真面目な顔をしているが、もふもふにはとても弱い。
「とても大きく育ったのですね……。あ、でも大きい分、もふもふのし甲斐はあるかもしれません……」
「どんな子がいるんですか?」
巨大にゃんこと戯れるため依頼を受けたOrtlinde(ka3131)は、まず店主にどんなにゃんこがいるか尋ねた。
店主の説明によると、モフモフされるのが好きな子、ブラッシングが好きな子、狩りが好きな子、寝るのが好きな子、食べるのが好きな子、個性に溢れた子など、色々いるらしい。
「ジェ、ジェーン……何故お前まで参加してる……いいのか……オフィスの仕事は……?」
「構いません。有休を取りました」
緩んでいる顔を見せたくなくめんどくさい強がりをしたレイア・アローネ(ka4082)に対し、ジェーンは緩み切った表情を隠そうともしない。
というかジェーンだけでなく、他の面々の視線も気になるレイアである。
頬を染めうっとりとにゃんこたちを見つめるディーナ・フェルミ(ka5843)の視線は、がっちりと固定されたまま動かない。
「……ネコ科が猛獣になるか愛玩動物になるかの差は、大きさだけだって良く分かるの~」
にゃんこに全てを貢ぐといわんばかりだ。
「……はぅっ」
突然倒れる。どうやらにゃんこにハートを射ぬかれたらしい。
「にゃんこですよ! しかもこんな大きな! 一度もふもふに埋もれてみるのが夢だったのです! 嬉しいー!」
店内に入るなりにゃんこの出迎えを受けた百鬼 一夏(ka7308)は、思わず抱きつく寸前で我に返る。
「おっと、ここにはお仕事で来たのでした。しっかりと堪能、じゃなくて調査して安心安全のにゃんこカフェにしなくては!」
そして、ハンターたちの調査を名目にしたモフモフタイムが始まる。
さあ、依頼の始まりだ!
●至高のモフモフを堪能せよ
まず、ロニは普通サイズの猫と戯れることにした。
店にあるおもちゃを借り、遊び場も含めて一通り試して猫と遊びながら、気になった点を逐一メモする。
「ふむ。猫が大きい猫の方を気にしているな。スペースはもう少し離した方がいいかもしれない」
次はビッグサイズの猫と遊ぶ。
普通サイズの猫と同じような遊び方をしたところ、両者の違いが体感でよく分かった。
「これむしろ、俺たち人間の方が猫のおもちゃか」
普通の猫では出来ないような、思いっきり抱き着く等の、サイズを生かした堪能の仕方も存分に味わう。
その後、気が付いた点を店主に助言した。
「猫の体格差からくる勢いや重量は一般人には危険だと思われる。ビッグサイズの猫と遊べるスペースでは、床にクッションを敷き詰めたり、クッション材で遊具を覆うなどして、怪我をしないような対策してはどうだろうか。喫茶スペースもビッグサイズの猫にひっくり返されない様、固定するか隔離しておいた方がいい」
そして、猫を満喫しに戻る。
「リアルブルーではこういうのをアニマルセラピーと言うらしいな。確かにこれは効果的だと思う……」
猫に囲まれ、猫を抱き上げ目じりが緩みっぱなしなロニだった。
まよいはさっそく、大きい方のにゃんこを、なんとか乗り回せないか試してみることにした。
「とりあえず、おっきな動物を見たら湧く感情といえば……乗ってみたい、でしょ!」
上に乗った状態で釣り竿タイプの玩具を持って、釣り糸をにゃんこの目の前にぶら下げてみる。
乗った状態では嫌そうに身を捩っていたにゃんこが、眼前に垂れた玩具に目を釘付けにした。
てしてし。
てしてし。
図体の割には、可愛い音が響く。
「か、可愛いけど、思ってたのとちょっと違う……」
玩具を推進力にしてみたりとか、立ち上がられて振り落とされたりするかもしれないとか、色々考えていたのだが。
「先に、にゃんこ用のご飯で機嫌をとったり……仲良くなることが先決かな? 毛並みを撫でてあげるのも、にゃんことのコミュニケーションのひとつだっていうし」
なでなでもふもふしながら、まよいはにゃんことの仲を深めていく。
その結果じゃれつかれたり追い回されたりするようになったが、まよいはハンターなので、そう酷いことにはなったとは感じなかった。
最後に店長に助言する。
「まず実際に体験する前から、一般人よりハンター向けにしたほうが成功しそうなお商売だと思うよ!」
もっともな話である。
巨大猫と戯れるサクラは、大きな腹にダイブしもふもふして抱き心地を堪能していた。
「玩具も猫タワーもにゃんこサイズですね……。自分が小人か何かになった気分になります……」
その後、猫用の玩具や遊具で遊び、一般人でも大丈夫か確認する。
玩具を持って走ったり、猫用のタワーや土管迷路を使い運動させたり、できるだけ色んなにゃんこ、猫と戯れ問題点を洗い出す。
「取り合えず遊んでいるのはわかるのですが、大きなにゃんこが追いかけてくると襲われている感が凄いですね、これ…」
……決して猫をいっぱいもふりたいから遊んでいるわけではない。
あくまで依頼である。
「思い切り猫……や、にゃんこのお腹にもふもふ出来るのはとても幸せです……」
それはそれとして、サクラの結論は、巨大猫という点全てが注意点であるということだった。
「猫とにゃんこは違うということは明記すべきだと思います。猫喫茶だと思ったらライオンのようなにゃんこ喫茶だった、とか普通驚きますしね……」
間違えて入って来たらそれだけで危険そうだ。
普通猫サイズなら可愛い猫パンチ猫キックも、ライオンサイズなら殺人パンチ殺人キックと化すだろう。
大惨事、閉店まっしぐらである。
他の人とは被らないよう、一匹でいるにゃんこに抱き着いてモフモフしたOrtlindeは、まずはにゃんこの緊張と警戒を解くためブラシでブラッシングをしてあげた。
返礼とばかりに、にゃんこがべろんべろんと毛づくろいをしてくれる。どうやら仲良くなれたらしい。
もっとも、Ortlindeに毛皮などないのだが。
一緒に巨大猫用キャットタワーで遊んだり、マタタビを使ってじゃれたり楽しいひと時を過ごした。
途中で遊び疲れたので、巨大クッションでにゃんこと一緒に軽くお昼寝をする。
ブラッシングをさせてくれた最初のにゃんこが、肉球をぷにぷにさせてやるとばかりにOrtlindeの方へ手足を伸ばしたまま横になっているので、肉球のぷにぷに感を楽しむ。
他にも構ってくれるにゃんこが居たので、抱き着いて擦りついたりモフモフするOrtlindeだった。
最後に思ったことや気づいたことを店主に伝えておく。
「巨大にゃんこは、誰かと一緒に、気性が大人しい子を相手にした方が事故を減らせると思うよ。爪とかも危ないから気を付けて。巨大猫用キャットタワーの周りは落下対策がいるよ。クッションや柔らかいマットを引くのはどう?」
「ちっちゃい動物も嫌いじゃないが、大きい動物も好きなのだ……。うん、ちょっと不自然な大きさだが細かい事は気にしない。ちょっとだけツッコミたい気もするが、この可愛さの前には些細な事だからな!」
割とデレデレなレイアは、完全に猫と遊ぶ可愛いお姉さんと化している。
「ほら、遊んでやるぞ。戯れてやるぞ。全力でかかってきていいぞ!」
にゃんこの方は嫌そうに若干本気で肉球パンチをしているのだが、完璧にいなしながら頬ずりしているのはさすがの実力である。
「うむ、問題なく可愛かった……じゃない。対策を考えなければいけないのだな……」
思う存分にゃんこを堪能したレイアは、依頼の目的を思い出し店主に助言を行う。
「ライオンや虎と同じくらいの大きさだし、そのつもりで過度にじゃれつかないことが大事だ。怒らせれば私たちハンターはともかく、一般人は大怪我待ったなしになるだろうからな」
対策としては檻に入れるなどだが、そうしてしまったらにゃんこと戯れることができるというカフェの意味がなくなってしまう。
「客側に注意呼びかけももちろんだが、にゃんこ側にも躾をしておくのがいいと思うぞ。躾の手伝いなら喜んで協力しよう」
「フッ、無問題なの。にゃんこ様はハンター専用と銘打って、強化ガラスで区切って過激なスキンシップを一般人に見せればそれで充分採算とれるのコロシアム的ハードプレイなの」
ディーナの脳内は既に幸せにゃんこ菌が回りきって、いつもの彼女とは関係なくあらぬことを口走っている。手遅れだ。
普段からお猫さま用オヤツやマタタビを持ち歩き、逃げられようが噛まれようがミツギちゃんしているお猫さま激ラヴ心に火がついたのである。
「小突かれ血塗れどんと来いなの私なら即瞬間回復なの。本気突撃や本気噛みで瀕死になっても一回だけなら復活させられるから問題ないの。至福なのこの場所こそ理想郷なの」
狭い土管の中、にゃんこ様と一緒にみっちり詰まって酸欠貧血で顔を青白くしながらディーナは幸せそうに笑う。
精霊の力まで借りて背中から幻影の羽を出したディーナは、猫じゃらしや猫用蹴りぐるみの生体代替品ごっこをしてにゃんこ様と力の限り遊んだ。
怪我はすぐ治すので無傷だが、血まみれなままの服から受ける印象は満身創痍である。
「にゃんこさま接待は過激にお猫さまとスキンシップしたい人向けだと思うの一般人は見るだけオンリー推奨なの」
猫好き、ここに極まれり。
迷わずビッグサイズにゃんこの下へ向かった一夏は体を埋めた。
「あぁー。至福です……!」
一夏をにゃんこはびっくりした様子で見ている。
他にもなでてみたり、肉球をぷにぷにしてみたり。
「これは素晴らしい! 絶対人気出ますとも! まさに人を駄目にするにゃんこ!」
続いて猫じゃらしを使おうとして、一夏の頭に電流がビビビッと走った。
使うまでもない。自身が猫じゃらしになれば良いのだ。
「元々武器使うのは得意じゃないし、やっぱり格闘士は自分の体で勝負しないとね!」
ステップを踏んでにゃんこを誘い、一夏はアスレチックに跳び跳ねながらにゃんこから逃げた。
「ふふふ! 私を捕まえてごらんなさーい!」
猫パンチを防御し吹っ飛ばされるも、一夏は空中で体勢を整え着地する。
しかし着地に合わせて別のにゃんこに捕獲されてしまった。
「ごめんねー」
にゃんこに複数で噛まれる状態でも、一夏は見事脱出する。
「猫の口は臭い! ついでに私も臭い!」
涎まみれになった一夏は、躾が必要と考えていた。
そして最後に店主へ助言を行う。
「一般人がビック猫と戯れる時は店員、できればハンターがついた方がいいと思います。興奮しても噛んだら駄目って教えなきゃいけません」
こうして、全員の意見が店主に伝えられた。
●にゃんこカフェのその後
それからしばらくして。たまたま別の依頼でハンターズソサエティにやってきた一行に、ジェーンが話しかけてきた。
「そういえば、この間私がご案内させていただいたにゃんこカフェなんですけど、皆様の助言を受けて巨大にゃんこの方は落下対策をして、さらにハンターを店員に雇って対応することに変更したそうですよ。もしかしたら、後で依頼が出されるかもしれませんね」
その報告に、一行の猫好き精神に再び火が付いたのは、いうまでもなかった。
普通サイズとビッグサイズの両方を堪能する気満々なロニ・カルディス(ka0551)は、猫のために身だしなみに気をつけ、あらかじめ手を消毒しておく念の入れようだ。
店に入ったら時点でビッグサイズにゃんこに出迎えられる。
「偶には、俺が癒される側に回っても良いと思うんだ。……別に良いだろう、俺は猫が好きなんだ」
「王国でも猫カフェの設立の手伝いをしたことあるけど、ここにも猫カフェができるんだね! 王国のほうのカフェで全長三メートルの猫とか見たこともあるけど、一匹だけだったし……」
夢路 まよい(ka1328)は、大きなにゃんこと聞いて、戯れるのを楽しみにやってきた一人だ。
入るなりあちこちで目に入る、大きなにゃんこたちは壮観ですらある。
可愛い猫をもふもふ出来ると聞いて参加したサクラ・エルフリード(ka2598)は、店内で想像より大きい猫を見て驚く。
(もふもふはしやすそうですし、これはこれでよし、です)
真面目な顔をしているが、もふもふにはとても弱い。
「とても大きく育ったのですね……。あ、でも大きい分、もふもふのし甲斐はあるかもしれません……」
「どんな子がいるんですか?」
巨大にゃんこと戯れるため依頼を受けたOrtlinde(ka3131)は、まず店主にどんなにゃんこがいるか尋ねた。
店主の説明によると、モフモフされるのが好きな子、ブラッシングが好きな子、狩りが好きな子、寝るのが好きな子、食べるのが好きな子、個性に溢れた子など、色々いるらしい。
「ジェ、ジェーン……何故お前まで参加してる……いいのか……オフィスの仕事は……?」
「構いません。有休を取りました」
緩んでいる顔を見せたくなくめんどくさい強がりをしたレイア・アローネ(ka4082)に対し、ジェーンは緩み切った表情を隠そうともしない。
というかジェーンだけでなく、他の面々の視線も気になるレイアである。
頬を染めうっとりとにゃんこたちを見つめるディーナ・フェルミ(ka5843)の視線は、がっちりと固定されたまま動かない。
「……ネコ科が猛獣になるか愛玩動物になるかの差は、大きさだけだって良く分かるの~」
にゃんこに全てを貢ぐといわんばかりだ。
「……はぅっ」
突然倒れる。どうやらにゃんこにハートを射ぬかれたらしい。
「にゃんこですよ! しかもこんな大きな! 一度もふもふに埋もれてみるのが夢だったのです! 嬉しいー!」
店内に入るなりにゃんこの出迎えを受けた百鬼 一夏(ka7308)は、思わず抱きつく寸前で我に返る。
「おっと、ここにはお仕事で来たのでした。しっかりと堪能、じゃなくて調査して安心安全のにゃんこカフェにしなくては!」
そして、ハンターたちの調査を名目にしたモフモフタイムが始まる。
さあ、依頼の始まりだ!
●至高のモフモフを堪能せよ
まず、ロニは普通サイズの猫と戯れることにした。
店にあるおもちゃを借り、遊び場も含めて一通り試して猫と遊びながら、気になった点を逐一メモする。
「ふむ。猫が大きい猫の方を気にしているな。スペースはもう少し離した方がいいかもしれない」
次はビッグサイズの猫と遊ぶ。
普通サイズの猫と同じような遊び方をしたところ、両者の違いが体感でよく分かった。
「これむしろ、俺たち人間の方が猫のおもちゃか」
普通の猫では出来ないような、思いっきり抱き着く等の、サイズを生かした堪能の仕方も存分に味わう。
その後、気が付いた点を店主に助言した。
「猫の体格差からくる勢いや重量は一般人には危険だと思われる。ビッグサイズの猫と遊べるスペースでは、床にクッションを敷き詰めたり、クッション材で遊具を覆うなどして、怪我をしないような対策してはどうだろうか。喫茶スペースもビッグサイズの猫にひっくり返されない様、固定するか隔離しておいた方がいい」
そして、猫を満喫しに戻る。
「リアルブルーではこういうのをアニマルセラピーと言うらしいな。確かにこれは効果的だと思う……」
猫に囲まれ、猫を抱き上げ目じりが緩みっぱなしなロニだった。
まよいはさっそく、大きい方のにゃんこを、なんとか乗り回せないか試してみることにした。
「とりあえず、おっきな動物を見たら湧く感情といえば……乗ってみたい、でしょ!」
上に乗った状態で釣り竿タイプの玩具を持って、釣り糸をにゃんこの目の前にぶら下げてみる。
乗った状態では嫌そうに身を捩っていたにゃんこが、眼前に垂れた玩具に目を釘付けにした。
てしてし。
てしてし。
図体の割には、可愛い音が響く。
「か、可愛いけど、思ってたのとちょっと違う……」
玩具を推進力にしてみたりとか、立ち上がられて振り落とされたりするかもしれないとか、色々考えていたのだが。
「先に、にゃんこ用のご飯で機嫌をとったり……仲良くなることが先決かな? 毛並みを撫でてあげるのも、にゃんことのコミュニケーションのひとつだっていうし」
なでなでもふもふしながら、まよいはにゃんことの仲を深めていく。
その結果じゃれつかれたり追い回されたりするようになったが、まよいはハンターなので、そう酷いことにはなったとは感じなかった。
最後に店長に助言する。
「まず実際に体験する前から、一般人よりハンター向けにしたほうが成功しそうなお商売だと思うよ!」
もっともな話である。
巨大猫と戯れるサクラは、大きな腹にダイブしもふもふして抱き心地を堪能していた。
「玩具も猫タワーもにゃんこサイズですね……。自分が小人か何かになった気分になります……」
その後、猫用の玩具や遊具で遊び、一般人でも大丈夫か確認する。
玩具を持って走ったり、猫用のタワーや土管迷路を使い運動させたり、できるだけ色んなにゃんこ、猫と戯れ問題点を洗い出す。
「取り合えず遊んでいるのはわかるのですが、大きなにゃんこが追いかけてくると襲われている感が凄いですね、これ…」
……決して猫をいっぱいもふりたいから遊んでいるわけではない。
あくまで依頼である。
「思い切り猫……や、にゃんこのお腹にもふもふ出来るのはとても幸せです……」
それはそれとして、サクラの結論は、巨大猫という点全てが注意点であるということだった。
「猫とにゃんこは違うということは明記すべきだと思います。猫喫茶だと思ったらライオンのようなにゃんこ喫茶だった、とか普通驚きますしね……」
間違えて入って来たらそれだけで危険そうだ。
普通猫サイズなら可愛い猫パンチ猫キックも、ライオンサイズなら殺人パンチ殺人キックと化すだろう。
大惨事、閉店まっしぐらである。
他の人とは被らないよう、一匹でいるにゃんこに抱き着いてモフモフしたOrtlindeは、まずはにゃんこの緊張と警戒を解くためブラシでブラッシングをしてあげた。
返礼とばかりに、にゃんこがべろんべろんと毛づくろいをしてくれる。どうやら仲良くなれたらしい。
もっとも、Ortlindeに毛皮などないのだが。
一緒に巨大猫用キャットタワーで遊んだり、マタタビを使ってじゃれたり楽しいひと時を過ごした。
途中で遊び疲れたので、巨大クッションでにゃんこと一緒に軽くお昼寝をする。
ブラッシングをさせてくれた最初のにゃんこが、肉球をぷにぷにさせてやるとばかりにOrtlindeの方へ手足を伸ばしたまま横になっているので、肉球のぷにぷに感を楽しむ。
他にも構ってくれるにゃんこが居たので、抱き着いて擦りついたりモフモフするOrtlindeだった。
最後に思ったことや気づいたことを店主に伝えておく。
「巨大にゃんこは、誰かと一緒に、気性が大人しい子を相手にした方が事故を減らせると思うよ。爪とかも危ないから気を付けて。巨大猫用キャットタワーの周りは落下対策がいるよ。クッションや柔らかいマットを引くのはどう?」
「ちっちゃい動物も嫌いじゃないが、大きい動物も好きなのだ……。うん、ちょっと不自然な大きさだが細かい事は気にしない。ちょっとだけツッコミたい気もするが、この可愛さの前には些細な事だからな!」
割とデレデレなレイアは、完全に猫と遊ぶ可愛いお姉さんと化している。
「ほら、遊んでやるぞ。戯れてやるぞ。全力でかかってきていいぞ!」
にゃんこの方は嫌そうに若干本気で肉球パンチをしているのだが、完璧にいなしながら頬ずりしているのはさすがの実力である。
「うむ、問題なく可愛かった……じゃない。対策を考えなければいけないのだな……」
思う存分にゃんこを堪能したレイアは、依頼の目的を思い出し店主に助言を行う。
「ライオンや虎と同じくらいの大きさだし、そのつもりで過度にじゃれつかないことが大事だ。怒らせれば私たちハンターはともかく、一般人は大怪我待ったなしになるだろうからな」
対策としては檻に入れるなどだが、そうしてしまったらにゃんこと戯れることができるというカフェの意味がなくなってしまう。
「客側に注意呼びかけももちろんだが、にゃんこ側にも躾をしておくのがいいと思うぞ。躾の手伝いなら喜んで協力しよう」
「フッ、無問題なの。にゃんこ様はハンター専用と銘打って、強化ガラスで区切って過激なスキンシップを一般人に見せればそれで充分採算とれるのコロシアム的ハードプレイなの」
ディーナの脳内は既に幸せにゃんこ菌が回りきって、いつもの彼女とは関係なくあらぬことを口走っている。手遅れだ。
普段からお猫さま用オヤツやマタタビを持ち歩き、逃げられようが噛まれようがミツギちゃんしているお猫さま激ラヴ心に火がついたのである。
「小突かれ血塗れどんと来いなの私なら即瞬間回復なの。本気突撃や本気噛みで瀕死になっても一回だけなら復活させられるから問題ないの。至福なのこの場所こそ理想郷なの」
狭い土管の中、にゃんこ様と一緒にみっちり詰まって酸欠貧血で顔を青白くしながらディーナは幸せそうに笑う。
精霊の力まで借りて背中から幻影の羽を出したディーナは、猫じゃらしや猫用蹴りぐるみの生体代替品ごっこをしてにゃんこ様と力の限り遊んだ。
怪我はすぐ治すので無傷だが、血まみれなままの服から受ける印象は満身創痍である。
「にゃんこさま接待は過激にお猫さまとスキンシップしたい人向けだと思うの一般人は見るだけオンリー推奨なの」
猫好き、ここに極まれり。
迷わずビッグサイズにゃんこの下へ向かった一夏は体を埋めた。
「あぁー。至福です……!」
一夏をにゃんこはびっくりした様子で見ている。
他にもなでてみたり、肉球をぷにぷにしてみたり。
「これは素晴らしい! 絶対人気出ますとも! まさに人を駄目にするにゃんこ!」
続いて猫じゃらしを使おうとして、一夏の頭に電流がビビビッと走った。
使うまでもない。自身が猫じゃらしになれば良いのだ。
「元々武器使うのは得意じゃないし、やっぱり格闘士は自分の体で勝負しないとね!」
ステップを踏んでにゃんこを誘い、一夏はアスレチックに跳び跳ねながらにゃんこから逃げた。
「ふふふ! 私を捕まえてごらんなさーい!」
猫パンチを防御し吹っ飛ばされるも、一夏は空中で体勢を整え着地する。
しかし着地に合わせて別のにゃんこに捕獲されてしまった。
「ごめんねー」
にゃんこに複数で噛まれる状態でも、一夏は見事脱出する。
「猫の口は臭い! ついでに私も臭い!」
涎まみれになった一夏は、躾が必要と考えていた。
そして最後に店主へ助言を行う。
「一般人がビック猫と戯れる時は店員、できればハンターがついた方がいいと思います。興奮しても噛んだら駄目って教えなきゃいけません」
こうして、全員の意見が店主に伝えられた。
●にゃんこカフェのその後
それからしばらくして。たまたま別の依頼でハンターズソサエティにやってきた一行に、ジェーンが話しかけてきた。
「そういえば、この間私がご案内させていただいたにゃんこカフェなんですけど、皆様の助言を受けて巨大にゃんこの方は落下対策をして、さらにハンターを店員に雇って対応することに変更したそうですよ。もしかしたら、後で依頼が出されるかもしれませんね」
その報告に、一行の猫好き精神に再び火が付いたのは、いうまでもなかった。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 4人 |
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重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/28 08:20:28 |
|
![]() |
相談用 Ortlinde(ka3131) 人間(リアルブルー)|14才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/09/28 12:47:00 |