ゲスト
(ka0000)
村の食糧を守れ!
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/12/31 19:00
- 完成日
- 2015/01/07 23:47
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●宴会と食糧事情
夜の山村に、たいまつとたき火の明るい炎が高々と上がる。
村人が総出で村の中心に集まり、料理を用意し、飲み、踊っていた。
それは、宴会であった。
小さな村ではある。山に囲まれた、へんぴと言ってもいい場所だ。
それでも、今宵は無理をしてでも、というように、たくさんの食べ物や酒が振る舞われていた。
理由は単純だ。
外に鍋を持ち出してせっせと料理をしていた村の奥さんが、村人とは違う格好をした人間たち――ハンターに、改めて礼を言った。
「このたびは本当に、ありがとうございました。おかげで私たちも安心できます」
そう言って頭を下げる彼女に、ハンターたちは思い思いの反応を示す。
この昼。ハンターたちはこの村からの依頼で、山にいる雑魔を倒した。
そのお礼にと、村人が開いてくれたのがこの宴会なのだった。
村人は、飲めや歌えやの大盛り上がりである。
それにしても、米にパン、肉や野菜の料理、チーズなどの付け合わせに、酒など……ハンターたちの方が村の食糧事情を心配してしまう程の量が饗されていた。
それには、村人を楽しげに眺める、村長が答えた。
「最近、食糧庫にきちんと備蓄するようにしましてな」
村長の話では、元々ここは豊かな村ではないのだが、最近になって近隣の村が雑魔のせいで廃村になったりして……外から食べ物を仕入れるのも以前より難しくなったという。
そこで村の食糧不足を少しでもなくそう、と大きな食糧庫を造ったらしい。
保存できるものは徹底的に保存し、各家庭で作った保存食の余りも、廃棄せず、村共通のその食糧庫に貯める。
これで実際、食糧事情は改善したらしい――客であるハンターたちに、とりあえず豪華な食事を出せる程度には。
「ですから、お礼くらいはさせていただきたいですな。……どれ、ロアナよ。男衆に、もう少し酒を運び出させたらどうじゃ」
「それくらいなら、私が行ってきますよ」
ロアナと呼ばれたその奥さんは、村の北にそそくさと歩いて行った。
ハンターたちは、女性一人にまかせるのは、と、自然と自分たちもついていく。
客にまかせるのはよくない、と言いながらついてくる村長と一緒に。
●ゴブゴブ
「キャアーーーーーーッ!?」
食糧庫に着くと、率先して扉を開けたロアナが……のけぞって驚いた。
食糧庫は、大きな建物だ。二つの建物が隣接していて、地下室もあるらしい。
そんな立派な建物の中を、ロアナはぷるぷると指さしていた。
「な、中に! 気持ち悪い、人みたいな! アレが! ご、ゴブ、ゴブゴブ……」
ゴブゴブ言っているロアナをよけてハンターたちが中をのぞくと……
もっちゃもっちゃと食糧を漁っているゴブリンの集団がいた。
「ファーーーッ!?」
村長も愕然として、思わず扉を蹴り飛ばして閉めた。
中にいるゴブリンたちは……食糧を漁る手をとめていた。
顔を突き合わせて、もぞもぞと話し出す。
もちろん、このゴブリンは食糧目当てに侵入してきたものたちである。
最悪村人に見つかってもこっちの方が強いから、こんな大胆なことができたのだが……一瞬外に見えた人間の中に、明らかに村人とは違う強そうな人間がいたことが話題に上った。
やばくないか、という結論になった。
まさか、村人以外がこんな場所にいるとは思わなかったのだ。
さりとて、食糧も惜しい。
そうしてゴブリンは、ただ慌てて逃げ出すものや、米俵や大壺、小さい瓶詰めに至るまでをしっかりと抱えて出るもの……そして、諦めきれず暴食を続けるものに分かれ、散った。
●依頼
外でも、食糧庫にいるのは間違いなくゴブリンの集団だという結論になっていた。
ハンターたちはそれだけじゃなく……その存在を聞いたことがあった。
このあたりで、夜中などに小さい村に入っては、食糧に甚大な被害をもたらして去っていく、ゴブリン集団がいることを。
そして、その直後――食糧庫の西側の扉が開き、数匹のゴブリンが一斉に、食糧を抱えて飛び出した。同時に、北側の扉が開く音と、足音も聞こえる。
山まで逃げる腹づもりのようだ。
それに、ハンターたちは身構え――村長は、切羽詰まった様子で頭を下げた。
「昼のことがあったばかりなのに申し訳ない……! ハンター殿。村の食糧を、守ってくださらぬか」
夜の山村に、たいまつとたき火の明るい炎が高々と上がる。
村人が総出で村の中心に集まり、料理を用意し、飲み、踊っていた。
それは、宴会であった。
小さな村ではある。山に囲まれた、へんぴと言ってもいい場所だ。
それでも、今宵は無理をしてでも、というように、たくさんの食べ物や酒が振る舞われていた。
理由は単純だ。
外に鍋を持ち出してせっせと料理をしていた村の奥さんが、村人とは違う格好をした人間たち――ハンターに、改めて礼を言った。
「このたびは本当に、ありがとうございました。おかげで私たちも安心できます」
そう言って頭を下げる彼女に、ハンターたちは思い思いの反応を示す。
この昼。ハンターたちはこの村からの依頼で、山にいる雑魔を倒した。
そのお礼にと、村人が開いてくれたのがこの宴会なのだった。
村人は、飲めや歌えやの大盛り上がりである。
それにしても、米にパン、肉や野菜の料理、チーズなどの付け合わせに、酒など……ハンターたちの方が村の食糧事情を心配してしまう程の量が饗されていた。
それには、村人を楽しげに眺める、村長が答えた。
「最近、食糧庫にきちんと備蓄するようにしましてな」
村長の話では、元々ここは豊かな村ではないのだが、最近になって近隣の村が雑魔のせいで廃村になったりして……外から食べ物を仕入れるのも以前より難しくなったという。
そこで村の食糧不足を少しでもなくそう、と大きな食糧庫を造ったらしい。
保存できるものは徹底的に保存し、各家庭で作った保存食の余りも、廃棄せず、村共通のその食糧庫に貯める。
これで実際、食糧事情は改善したらしい――客であるハンターたちに、とりあえず豪華な食事を出せる程度には。
「ですから、お礼くらいはさせていただきたいですな。……どれ、ロアナよ。男衆に、もう少し酒を運び出させたらどうじゃ」
「それくらいなら、私が行ってきますよ」
ロアナと呼ばれたその奥さんは、村の北にそそくさと歩いて行った。
ハンターたちは、女性一人にまかせるのは、と、自然と自分たちもついていく。
客にまかせるのはよくない、と言いながらついてくる村長と一緒に。
●ゴブゴブ
「キャアーーーーーーッ!?」
食糧庫に着くと、率先して扉を開けたロアナが……のけぞって驚いた。
食糧庫は、大きな建物だ。二つの建物が隣接していて、地下室もあるらしい。
そんな立派な建物の中を、ロアナはぷるぷると指さしていた。
「な、中に! 気持ち悪い、人みたいな! アレが! ご、ゴブ、ゴブゴブ……」
ゴブゴブ言っているロアナをよけてハンターたちが中をのぞくと……
もっちゃもっちゃと食糧を漁っているゴブリンの集団がいた。
「ファーーーッ!?」
村長も愕然として、思わず扉を蹴り飛ばして閉めた。
中にいるゴブリンたちは……食糧を漁る手をとめていた。
顔を突き合わせて、もぞもぞと話し出す。
もちろん、このゴブリンは食糧目当てに侵入してきたものたちである。
最悪村人に見つかってもこっちの方が強いから、こんな大胆なことができたのだが……一瞬外に見えた人間の中に、明らかに村人とは違う強そうな人間がいたことが話題に上った。
やばくないか、という結論になった。
まさか、村人以外がこんな場所にいるとは思わなかったのだ。
さりとて、食糧も惜しい。
そうしてゴブリンは、ただ慌てて逃げ出すものや、米俵や大壺、小さい瓶詰めに至るまでをしっかりと抱えて出るもの……そして、諦めきれず暴食を続けるものに分かれ、散った。
●依頼
外でも、食糧庫にいるのは間違いなくゴブリンの集団だという結論になっていた。
ハンターたちはそれだけじゃなく……その存在を聞いたことがあった。
このあたりで、夜中などに小さい村に入っては、食糧に甚大な被害をもたらして去っていく、ゴブリン集団がいることを。
そして、その直後――食糧庫の西側の扉が開き、数匹のゴブリンが一斉に、食糧を抱えて飛び出した。同時に、北側の扉が開く音と、足音も聞こえる。
山まで逃げる腹づもりのようだ。
それに、ハンターたちは身構え――村長は、切羽詰まった様子で頭を下げた。
「昼のことがあったばかりなのに申し訳ない……! ハンター殿。村の食糧を、守ってくださらぬか」
リプレイ本文
●闘争へ
ハンターたちはすぐにゴブリンの対処にあたると決断した。
メリエ・フリョーシカ(ka1991)は握り拳で怒りをあらわにしている。
「冬を越す為の備蓄に手を出すとは……許されざる暴挙! 亜人め、死でもってあがなわせてやるっ」
腰の盾と剣を引き抜く。その肩甲骨の辺りから、陽炎のような揺らぎが立ち昇っていた。
青峰 らずり(ka3616)はそれにちょっとだけビビりつつも、意見は同じようだ。
「そうですよ、貴重な食料を奪っていくだなんて、許せません! その食べ物は……私たちのお腹に収まるべく存在するというのに!」
「いや、それは違うだろ。……ま、敵を殲滅するってのは同意見だが」
冷静に突っ込むのはエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。
ただ、エヴァンスも敵を目の前にして、どう猛な笑みを浮かべていた。
屋外(ka3530)は抜け目なく、逃げたゴブリンと食糧庫に目を走らせる。
「まずは、ゴブリンを追うものと庫内に突入するものに分かれましょう。自分は、北に行きます」
「わたしは中の亜人共を相手します! 周辺はよろしくです!」
メリエはすぐに保存食棟へ突入する。エヴァンスも、隣の土蔵に続いた。
ザレム・アズール(ka0878)も庫内を見た。ただすぐに突入はせず、村長から手早く庫内の構造を聞き取る。
「村人で、大声で騒いで魔物を怖がらせてくれないか」
最後にそう言うと、自分も食糧庫へ向かった。
屋外は馬に飛び乗り、村長とロアナを向いた。
「他の皆様と一緒に、距離はとっておいて頂きたいです。敵が食糧庫より出たら、その旨を叫んで欲しいです」
ザレムの作戦を補足するように告げると、馬を駆った。
途中、東側に通気口があるが――屋外はその木組みの部分を銃撃、地面に出ている部分を破壊した。
らずりは西へと走った。
「それじゃあ、私はこっちに! 食べ物の恨みは恐ろしいっていうことを、是非ともゴブリンたちの歪んだ魂に刻み付けてやりましょう!」
メリエが保存食棟に入ると、中は暗かった。
ゴブリンの使っているろうそくが薄く照らすばかり。だが、それでもゴブリンがひしめいているのはわかる。
メリエに迷いはない。間近の敵に狙いを定めると――即座に盾を突きだし、力と勢いによる、強撃を見舞った。
どっ、とその一匹は後方に倒れ込み、ギギッ、と声をあげる。
情けも容赦も要らぬとばかり、メリエは敵が起き上がる前に距離を詰めた。
「卑しい亜人がっ! 越冬の厳しさ、暴挙の代価。命で払え!」
藻掻くような敵の攻撃などには構わず、渾身撃をたたき込んだ。急所に喰らったゴブリンは間もなく息絶えた。
そこで、LEDライトの明かりが庫内を照らす。ザレムだ。その真紅になった瞳と、黒い幻翼が浮かび上がっている。
ザレムは窓や出入口を全て閉じてから保存食棟に入っていた。そして出入口の鍵も、内側から破壊する。
メリエは明るくなった庫内に、ゴブリンの姿をしっかりと捉えた。
「ザレムさん、ありがとうございます!」
「ああ。しかし……なるほど。想像以上に数が多いな」
「こんぐらいじゃなきゃ――面白くねえぜ!」
通路の向こう、土蔵から声が響く。エヴァンスである。
エヴァンスは土蔵に入るなり、多数のゴブリンに囲まれていた。慌てて逃げるゴブリンもあったが、数匹はやけになって襲いかかってきた。
そんな状況を楽しむかのように、エヴァンスの口元には笑みが広がるばかりだ。
「いいぜ。やってるよ。その代わり……俺を楽しませてみろよ!」
ひと息にゴブリンたちの中に踏み込むと、渾身撃で一匹を絶命させる。
穀物には細心の注意を払いながらも、すぐに次の獲物を探した。
ザレムは、エヴァンスの様子を確認すると――明かりと銃をゴブリンたちに向けた。
「お前たちは包囲されている。食糧を放棄しろ。食べ物を持ってたら今すぐ殺す」
人と会話のできないゴブリンたちであるが、この状況で、ザレムの意図は読めるだろう。
だがゴブリンたちは……食べ物は惜しい、というように、ギギッと叫んで躍りかかってきた。
どうっ! と、即座にその頭をザレムの銃弾がつらぬいた。交渉、決裂だ。
ザレムは伝話を取り出す。
「こっちは、とりあえずは敵を庫内に押し込めた状態で、交戦できている。そちらはどうだ」
●野原の戦い
屋外は北方へと馬を駆っていた。
北へ逃げたゴブリンを追い越す形で森の近くまで駆け抜ける。周囲の状況はライトと、鋭敏視覚、立体感覚でつぶさに把握していた。
闇に浮かぶ敵影が見える。先頭は、我先にと逃げているゴブリンだ。
その進路、そして狙いやすい場所を確実に推測。そこへと飛び降り、服の裾へとライトを隠すと……屋外は、アサルトライフルを握りしめる。視線は、逃亡を図るゴブリン。
「今宵の自分は我慢弱い。ゴブリン共よ――覚悟しろ」
屋外は脚にマテリアルを集中、俊敏な移動で先頭のゴブリンに接近した。
ギッ! と驚くゴブリンは、とっさにその爪でひっかこうとする。
が、屋外の立体的な動きを捉えられず、その攻撃は空を切る。逆に、適切な距離を取った屋外の銃口が、ゴブリンを狙っていた。
ばんっ、という重い音。ゴブリンは強烈な銃弾に、一発で倒れた。
屋外は伝話に応答する。
「ザレム殿。こちらも、問題ありません。おそらく……いや、確実に、全員、仕留めます」
再び銃を持つ。大きな壺や麻袋を抱えたゴブリンがようやく現れた。残りは三匹……いや、後ろから遅れてさらに一匹。
屋外は再び脚にマテリアルを込め、素速く移動。有効射程ぎりぎりの距離にまで近づいた。
「ギギッ!」
ゴブリンは警戒色を浮かべる……しかし、大量の食糧を捨てることまでは、しなかった。
「その浅ましい心がどういう結果を生むか……身をもって知るがいい」
先頭の一匹は、荷を抱えつつも、頭部が丸出しの状態だった。
屋外は正面からアサルトライフルを向けると、躊躇せず引き金を引いた。
鈍い音と一緒に、ゴブリンは食糧を抱きながら息絶えた。
その銃口は、次のゴブリンへと向く。
らずりは西へと走っていた。
ひらひらとした魔法少女風のドレスをひるがえしつつ、少し寂しそうに見つめるのは、手の中のくず鉄である。アイテム強化のなれの果てだ。
「私の愛用していた太刀が、こんな残念なことになってしまって……」
そこでぐっと手を握り込む。
「今日はその弔い合戦です! あなたの仇は必ず私が討ってみせますっ!」
ゴブリンめ! とらずりは意気をみなぎらせる。
ゴブリン的には割ととばっちりだったが、らずりのやる気の表れではあった。もちろん、食べ物の恨みもある。
「待ちなさーい! ゴブリン!」
食糧を持ったゴブリンを追い抜かし、手ぶらで逃げている一匹の前に立った。
ギギ、とゴブリンが敵意を浮かべると――らずりは剣を構える。
「じゃーん! おニューですよ! 今度の相棒は、ひと味もふた味も違います! なんと、刀身の形を色々変えられるのです!」
カチャカチャといじくってみせるらずり。
「なんか、こういうのって魔法少女っぽくないですか!? っぽいですよね! せっかくですから、使い慣れた刀の形に――って!」
言っている間にゴブリンが殴りかかってきた。
らずりはひらりとかわすと剣を突きつける。
「こういうときは攻撃しないのがお約束じゃないんですかっ」
『そんなこと言われても……』的な反応を示すゴブリンだった。
「まったく……もういいです。あなたたちはこの武器の実験台になるために出てきたに違いありません!」
らずりは攻めの構えをとると――ゴブリンにだっ、と踏み込む。
「とっておきの睡眠魔法をかけてあげます!」
ぱっ、ぱっ、と、あたりに魔法陣のような模様が煌めく。らずりは呪文を詠唱し――
「欲深き邪悪に永遠の眠りをっ……エターナル・スリープ!!」
ぐしゃ!!
武器を脳天にたたき込む物理攻撃だった。
●食糧庫
屋外がうまくやっていると確認すると、三人は庫内の敵を一掃しにかかっていた。
エヴァンスは土蔵内を、メリエとザレムは保存食棟内で引き続き敵の相手をする。
保存食棟内は数が多いが、メリエは獅子奮迅の奮闘を見せた。
最初のゴブリンを倒した後、さらに複数のゴブリンの中に突撃し、引かない。
食糧は村の生命線であり、その簒奪者に慈悲はない……それがメリエの考えだ。
複数のゴブリンから攻撃を喰らうも、渾身撃の連打でそれらを蹴散らす。逃げようとする臆病者を捕まえ、剣でつらぬいた。
「貴様等の血で汚すのも惜しい、が! 貴様等の胃に入った命の代価だ! 絶対に置いていって貰うぞ! その命をだ!」
残るゴブリンにも剣を向ける。
そのメリエを後ろの闇から襲おうとしてるゴブリンがいる、が――そのゴブリンは突如魔力を帯びた雷撃に強襲された。ザレムのエレクトリックショック。
ザレムは食糧を守るよう上手く立ち位置を動き、サポートをしながらゴブリンを相手にしていた。
メリエが麻痺に陥ったゴブリンを倒すと、ザレムは壁に近い遠くの一匹を狙撃。
五匹、六匹と倒していくと、保存食棟内に動く影がいなくなっていった。
「エヴァンス、火に気をつけてくれ」
ザレムは、土蔵の方にあるろうそくや、火にかけられている簡易の石鍋を見つけて言った。
ご丁寧に、ゴブリンたちは乾燥状態の穀物も煮たり焼いたりして食べようとしていたらしい。
「了解、っと」
土蔵でゴブリン相手に剣技を振るうエヴァンスは、その合間に鍋の火を踏みつぶして消す。
まだ生き残っているゴブリンが、それを見てギーッ! と悲鳴を上げる。
「文句があるなら――真正面からかかってこいよ!」
エヴァンスは血に濡れた剣を掲げる。
半ば恐慌状態に陥ったゴブリンは、エヴァンスにがむしゃらに突っ込んできた。
そんな相手など、敵ではない。懐に飛び込むように、エヴァンスは、ゴブリンに剣を突き刺していた。
「さて……これで、全部だろうか」
ザレムが庫内を見回していると……物陰でかた、と音がする。
見つからないように潜んでいたらしきゴブリンが、ザレムの照らす明かりの死角を縫って、出口に走ったのだった。
だがゴブリンは扉に張り付くだけで、出られない。ザレムが鍵を壊していたからだ。
ゴブリンの背後に立ったのは――メリエ。
「――逃げるな! せめて戦え! それだけの事をしたと、自覚も出来んかっ!」
ずる賢いゴブリンの背中を襲ったのは、メリエの剣撃による鉄槌だった。
ギッ……とうめき漏らし、最後の一匹は倒れた。
保存食棟と土蔵が片付くと、ザレムは伝話で連絡。
屋外と話し合うと……地下を向いた。
「向こうは、大丈夫そうだ。俺たちは、このまま下へ行こう」
エヴァンスとメリエは剣を握り直し、頷いた。
●名物を
屋外は、北方での戦闘を続けていた。
逃げ腰とはいえ、囲むは三匹。間近で仲間が撃たれたことで、ゴブリンたちはさすがに一挙に反撃に出た。
それでも屋外は慌てない。巧みにマルチステップを駆使し、その攻撃の多くを回避する。
そして、よけるだけに終始せず、隙を見てはライフルで撃ち倒した。
ほどなく全てを退治する。食糧は無事だ。
再び移動して周囲を検分するが、新たに敵が現れる様子はない。そこでザレムからの連絡があった。
「こちらは今、退治したところです。……なるほど。庫内も問題なし、と」
それなら、と、屋外は別の方向を向いた。
「中々、やりますね……!」
らずりは西方で、ゴブリンたちと対峙している。
手ぶらのゴブリン一匹と、食糧を抱えたゴブリン二匹を睡眠魔法(物理)で倒したが、元が多勢に無勢。少々時間がかかってしまうのは否めなかった。
残り二匹のうち一匹が爪を立てて攻撃してくる。きゃっ、とらずりは飛び退いた。
「ドレスに傷をつけたら許しませんよ!」
そうしてまた睡眠魔法(物理)を打ち込む。
それでも敵は倒れず、もう一匹が襲ってこようとしたが……そのゴブリンを、銃弾が撃ち抜いた。馬で駆けてくる屋外だった。
「手助けは、不要でしたか」
ゴブリンの残りを見る屋外に、らずりは首を振った。
「いえ! 助かりました!」
これで後は一匹。らずりは渾身の魔法を使うことにした。
「歪虚に使うものですが、お見舞いしてあげましょう。――この世を汚す歪みをマテリアルの海へと還せ……ストライク・バニッシュ! これでフィナーレですっ!」
ずごっ!!
やっぱり物理攻撃だった。
エヴァンスとメリエ、ザレムの三人は地下室に降りていた。
そこは保存食棟と同等の広さだったが――
むっ、とメリエが眉をひそめる。酒の香りが充満していたからだ。
「なるほど。地下から上がってくる様子がなかったのは、こういうことか」
ザレムの視線の先に――酒を飲んで酔ったゴブリンたちがいた。
ギー、と気持ちよさそうな声をあげるものや、中には足元がおぼつかないものもいた。
「俺より先に酒盛りとはね。やってくれるじゃねえか。――よお、混ぜてくれよ」
エヴァンスが獲物に狙いを定める。
そこでゴブリンはやっと、事態に気付いたようだが……逃げ出そうとする前に、素速く踏み出したエヴァンスに、一匹が切り裂かれる。
メリエも、混乱状態のゴブリンの中に踏み込む。
「卑しい亜人め。逃げるな! その前に死ね! 逃げない? なら、死ね!」
次々に剣を振るい、一匹二匹と絶命させてゆく。
酔ったゴブリンの攻撃はある意味で読みにくかったが……ザレムはそれを、ムーバブルシールドで確実に防ぐ。
「酔っぱらいなんかに、やられはしないさ」
そのゴブリンも、メリエの剣に倒れた。短時間で、その場は静かになる。
と、壁際に一匹が残っており、通気口から逃げだそうとした。
だが地上近くの出口が壊れているらしく、自ら袋小路に迷い込んだだけで終わった。
そのゴブリンの頭が、ザレムの銃弾に貫通された。
「残念だが、自分たちの行いが招いたことだ」
ゴブリンは、全滅した。
食糧を庫内に戻し、整理を終えた後――
ハンターたちのアドバイスで、村人は食糧庫に頑丈な扉や鍵を設置することに決めた。
そして、その夜は改めて宴をすることになった。
村長は、ハンターたちに好きな料理や、酒も振る舞うと言った。
「いいんですか? 食糧の被害は、ゼロじゃないのに」
メリエの言葉に村長は首を振る。
「土蔵や保存食棟の方は損壊も少なく、米俵なども持ち逃げされずにすみました。あなたたちのおかげです。だから、あなたたちにこそ、ごちそうしたい」
そうして、食べたいものを聞かれると……ザレムが、かすかにほほえんで言った。
「そうか。じゃあ、村の名物料理を頼むよ」
その言葉に、ハンターたちも皆、同じものをリクエストするのだった。
ハンターたちはすぐにゴブリンの対処にあたると決断した。
メリエ・フリョーシカ(ka1991)は握り拳で怒りをあらわにしている。
「冬を越す為の備蓄に手を出すとは……許されざる暴挙! 亜人め、死でもってあがなわせてやるっ」
腰の盾と剣を引き抜く。その肩甲骨の辺りから、陽炎のような揺らぎが立ち昇っていた。
青峰 らずり(ka3616)はそれにちょっとだけビビりつつも、意見は同じようだ。
「そうですよ、貴重な食料を奪っていくだなんて、許せません! その食べ物は……私たちのお腹に収まるべく存在するというのに!」
「いや、それは違うだろ。……ま、敵を殲滅するってのは同意見だが」
冷静に突っ込むのはエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。
ただ、エヴァンスも敵を目の前にして、どう猛な笑みを浮かべていた。
屋外(ka3530)は抜け目なく、逃げたゴブリンと食糧庫に目を走らせる。
「まずは、ゴブリンを追うものと庫内に突入するものに分かれましょう。自分は、北に行きます」
「わたしは中の亜人共を相手します! 周辺はよろしくです!」
メリエはすぐに保存食棟へ突入する。エヴァンスも、隣の土蔵に続いた。
ザレム・アズール(ka0878)も庫内を見た。ただすぐに突入はせず、村長から手早く庫内の構造を聞き取る。
「村人で、大声で騒いで魔物を怖がらせてくれないか」
最後にそう言うと、自分も食糧庫へ向かった。
屋外は馬に飛び乗り、村長とロアナを向いた。
「他の皆様と一緒に、距離はとっておいて頂きたいです。敵が食糧庫より出たら、その旨を叫んで欲しいです」
ザレムの作戦を補足するように告げると、馬を駆った。
途中、東側に通気口があるが――屋外はその木組みの部分を銃撃、地面に出ている部分を破壊した。
らずりは西へと走った。
「それじゃあ、私はこっちに! 食べ物の恨みは恐ろしいっていうことを、是非ともゴブリンたちの歪んだ魂に刻み付けてやりましょう!」
メリエが保存食棟に入ると、中は暗かった。
ゴブリンの使っているろうそくが薄く照らすばかり。だが、それでもゴブリンがひしめいているのはわかる。
メリエに迷いはない。間近の敵に狙いを定めると――即座に盾を突きだし、力と勢いによる、強撃を見舞った。
どっ、とその一匹は後方に倒れ込み、ギギッ、と声をあげる。
情けも容赦も要らぬとばかり、メリエは敵が起き上がる前に距離を詰めた。
「卑しい亜人がっ! 越冬の厳しさ、暴挙の代価。命で払え!」
藻掻くような敵の攻撃などには構わず、渾身撃をたたき込んだ。急所に喰らったゴブリンは間もなく息絶えた。
そこで、LEDライトの明かりが庫内を照らす。ザレムだ。その真紅になった瞳と、黒い幻翼が浮かび上がっている。
ザレムは窓や出入口を全て閉じてから保存食棟に入っていた。そして出入口の鍵も、内側から破壊する。
メリエは明るくなった庫内に、ゴブリンの姿をしっかりと捉えた。
「ザレムさん、ありがとうございます!」
「ああ。しかし……なるほど。想像以上に数が多いな」
「こんぐらいじゃなきゃ――面白くねえぜ!」
通路の向こう、土蔵から声が響く。エヴァンスである。
エヴァンスは土蔵に入るなり、多数のゴブリンに囲まれていた。慌てて逃げるゴブリンもあったが、数匹はやけになって襲いかかってきた。
そんな状況を楽しむかのように、エヴァンスの口元には笑みが広がるばかりだ。
「いいぜ。やってるよ。その代わり……俺を楽しませてみろよ!」
ひと息にゴブリンたちの中に踏み込むと、渾身撃で一匹を絶命させる。
穀物には細心の注意を払いながらも、すぐに次の獲物を探した。
ザレムは、エヴァンスの様子を確認すると――明かりと銃をゴブリンたちに向けた。
「お前たちは包囲されている。食糧を放棄しろ。食べ物を持ってたら今すぐ殺す」
人と会話のできないゴブリンたちであるが、この状況で、ザレムの意図は読めるだろう。
だがゴブリンたちは……食べ物は惜しい、というように、ギギッと叫んで躍りかかってきた。
どうっ! と、即座にその頭をザレムの銃弾がつらぬいた。交渉、決裂だ。
ザレムは伝話を取り出す。
「こっちは、とりあえずは敵を庫内に押し込めた状態で、交戦できている。そちらはどうだ」
●野原の戦い
屋外は北方へと馬を駆っていた。
北へ逃げたゴブリンを追い越す形で森の近くまで駆け抜ける。周囲の状況はライトと、鋭敏視覚、立体感覚でつぶさに把握していた。
闇に浮かぶ敵影が見える。先頭は、我先にと逃げているゴブリンだ。
その進路、そして狙いやすい場所を確実に推測。そこへと飛び降り、服の裾へとライトを隠すと……屋外は、アサルトライフルを握りしめる。視線は、逃亡を図るゴブリン。
「今宵の自分は我慢弱い。ゴブリン共よ――覚悟しろ」
屋外は脚にマテリアルを集中、俊敏な移動で先頭のゴブリンに接近した。
ギッ! と驚くゴブリンは、とっさにその爪でひっかこうとする。
が、屋外の立体的な動きを捉えられず、その攻撃は空を切る。逆に、適切な距離を取った屋外の銃口が、ゴブリンを狙っていた。
ばんっ、という重い音。ゴブリンは強烈な銃弾に、一発で倒れた。
屋外は伝話に応答する。
「ザレム殿。こちらも、問題ありません。おそらく……いや、確実に、全員、仕留めます」
再び銃を持つ。大きな壺や麻袋を抱えたゴブリンがようやく現れた。残りは三匹……いや、後ろから遅れてさらに一匹。
屋外は再び脚にマテリアルを込め、素速く移動。有効射程ぎりぎりの距離にまで近づいた。
「ギギッ!」
ゴブリンは警戒色を浮かべる……しかし、大量の食糧を捨てることまでは、しなかった。
「その浅ましい心がどういう結果を生むか……身をもって知るがいい」
先頭の一匹は、荷を抱えつつも、頭部が丸出しの状態だった。
屋外は正面からアサルトライフルを向けると、躊躇せず引き金を引いた。
鈍い音と一緒に、ゴブリンは食糧を抱きながら息絶えた。
その銃口は、次のゴブリンへと向く。
らずりは西へと走っていた。
ひらひらとした魔法少女風のドレスをひるがえしつつ、少し寂しそうに見つめるのは、手の中のくず鉄である。アイテム強化のなれの果てだ。
「私の愛用していた太刀が、こんな残念なことになってしまって……」
そこでぐっと手を握り込む。
「今日はその弔い合戦です! あなたの仇は必ず私が討ってみせますっ!」
ゴブリンめ! とらずりは意気をみなぎらせる。
ゴブリン的には割ととばっちりだったが、らずりのやる気の表れではあった。もちろん、食べ物の恨みもある。
「待ちなさーい! ゴブリン!」
食糧を持ったゴブリンを追い抜かし、手ぶらで逃げている一匹の前に立った。
ギギ、とゴブリンが敵意を浮かべると――らずりは剣を構える。
「じゃーん! おニューですよ! 今度の相棒は、ひと味もふた味も違います! なんと、刀身の形を色々変えられるのです!」
カチャカチャといじくってみせるらずり。
「なんか、こういうのって魔法少女っぽくないですか!? っぽいですよね! せっかくですから、使い慣れた刀の形に――って!」
言っている間にゴブリンが殴りかかってきた。
らずりはひらりとかわすと剣を突きつける。
「こういうときは攻撃しないのがお約束じゃないんですかっ」
『そんなこと言われても……』的な反応を示すゴブリンだった。
「まったく……もういいです。あなたたちはこの武器の実験台になるために出てきたに違いありません!」
らずりは攻めの構えをとると――ゴブリンにだっ、と踏み込む。
「とっておきの睡眠魔法をかけてあげます!」
ぱっ、ぱっ、と、あたりに魔法陣のような模様が煌めく。らずりは呪文を詠唱し――
「欲深き邪悪に永遠の眠りをっ……エターナル・スリープ!!」
ぐしゃ!!
武器を脳天にたたき込む物理攻撃だった。
●食糧庫
屋外がうまくやっていると確認すると、三人は庫内の敵を一掃しにかかっていた。
エヴァンスは土蔵内を、メリエとザレムは保存食棟内で引き続き敵の相手をする。
保存食棟内は数が多いが、メリエは獅子奮迅の奮闘を見せた。
最初のゴブリンを倒した後、さらに複数のゴブリンの中に突撃し、引かない。
食糧は村の生命線であり、その簒奪者に慈悲はない……それがメリエの考えだ。
複数のゴブリンから攻撃を喰らうも、渾身撃の連打でそれらを蹴散らす。逃げようとする臆病者を捕まえ、剣でつらぬいた。
「貴様等の血で汚すのも惜しい、が! 貴様等の胃に入った命の代価だ! 絶対に置いていって貰うぞ! その命をだ!」
残るゴブリンにも剣を向ける。
そのメリエを後ろの闇から襲おうとしてるゴブリンがいる、が――そのゴブリンは突如魔力を帯びた雷撃に強襲された。ザレムのエレクトリックショック。
ザレムは食糧を守るよう上手く立ち位置を動き、サポートをしながらゴブリンを相手にしていた。
メリエが麻痺に陥ったゴブリンを倒すと、ザレムは壁に近い遠くの一匹を狙撃。
五匹、六匹と倒していくと、保存食棟内に動く影がいなくなっていった。
「エヴァンス、火に気をつけてくれ」
ザレムは、土蔵の方にあるろうそくや、火にかけられている簡易の石鍋を見つけて言った。
ご丁寧に、ゴブリンたちは乾燥状態の穀物も煮たり焼いたりして食べようとしていたらしい。
「了解、っと」
土蔵でゴブリン相手に剣技を振るうエヴァンスは、その合間に鍋の火を踏みつぶして消す。
まだ生き残っているゴブリンが、それを見てギーッ! と悲鳴を上げる。
「文句があるなら――真正面からかかってこいよ!」
エヴァンスは血に濡れた剣を掲げる。
半ば恐慌状態に陥ったゴブリンは、エヴァンスにがむしゃらに突っ込んできた。
そんな相手など、敵ではない。懐に飛び込むように、エヴァンスは、ゴブリンに剣を突き刺していた。
「さて……これで、全部だろうか」
ザレムが庫内を見回していると……物陰でかた、と音がする。
見つからないように潜んでいたらしきゴブリンが、ザレムの照らす明かりの死角を縫って、出口に走ったのだった。
だがゴブリンは扉に張り付くだけで、出られない。ザレムが鍵を壊していたからだ。
ゴブリンの背後に立ったのは――メリエ。
「――逃げるな! せめて戦え! それだけの事をしたと、自覚も出来んかっ!」
ずる賢いゴブリンの背中を襲ったのは、メリエの剣撃による鉄槌だった。
ギッ……とうめき漏らし、最後の一匹は倒れた。
保存食棟と土蔵が片付くと、ザレムは伝話で連絡。
屋外と話し合うと……地下を向いた。
「向こうは、大丈夫そうだ。俺たちは、このまま下へ行こう」
エヴァンスとメリエは剣を握り直し、頷いた。
●名物を
屋外は、北方での戦闘を続けていた。
逃げ腰とはいえ、囲むは三匹。間近で仲間が撃たれたことで、ゴブリンたちはさすがに一挙に反撃に出た。
それでも屋外は慌てない。巧みにマルチステップを駆使し、その攻撃の多くを回避する。
そして、よけるだけに終始せず、隙を見てはライフルで撃ち倒した。
ほどなく全てを退治する。食糧は無事だ。
再び移動して周囲を検分するが、新たに敵が現れる様子はない。そこでザレムからの連絡があった。
「こちらは今、退治したところです。……なるほど。庫内も問題なし、と」
それなら、と、屋外は別の方向を向いた。
「中々、やりますね……!」
らずりは西方で、ゴブリンたちと対峙している。
手ぶらのゴブリン一匹と、食糧を抱えたゴブリン二匹を睡眠魔法(物理)で倒したが、元が多勢に無勢。少々時間がかかってしまうのは否めなかった。
残り二匹のうち一匹が爪を立てて攻撃してくる。きゃっ、とらずりは飛び退いた。
「ドレスに傷をつけたら許しませんよ!」
そうしてまた睡眠魔法(物理)を打ち込む。
それでも敵は倒れず、もう一匹が襲ってこようとしたが……そのゴブリンを、銃弾が撃ち抜いた。馬で駆けてくる屋外だった。
「手助けは、不要でしたか」
ゴブリンの残りを見る屋外に、らずりは首を振った。
「いえ! 助かりました!」
これで後は一匹。らずりは渾身の魔法を使うことにした。
「歪虚に使うものですが、お見舞いしてあげましょう。――この世を汚す歪みをマテリアルの海へと還せ……ストライク・バニッシュ! これでフィナーレですっ!」
ずごっ!!
やっぱり物理攻撃だった。
エヴァンスとメリエ、ザレムの三人は地下室に降りていた。
そこは保存食棟と同等の広さだったが――
むっ、とメリエが眉をひそめる。酒の香りが充満していたからだ。
「なるほど。地下から上がってくる様子がなかったのは、こういうことか」
ザレムの視線の先に――酒を飲んで酔ったゴブリンたちがいた。
ギー、と気持ちよさそうな声をあげるものや、中には足元がおぼつかないものもいた。
「俺より先に酒盛りとはね。やってくれるじゃねえか。――よお、混ぜてくれよ」
エヴァンスが獲物に狙いを定める。
そこでゴブリンはやっと、事態に気付いたようだが……逃げ出そうとする前に、素速く踏み出したエヴァンスに、一匹が切り裂かれる。
メリエも、混乱状態のゴブリンの中に踏み込む。
「卑しい亜人め。逃げるな! その前に死ね! 逃げない? なら、死ね!」
次々に剣を振るい、一匹二匹と絶命させてゆく。
酔ったゴブリンの攻撃はある意味で読みにくかったが……ザレムはそれを、ムーバブルシールドで確実に防ぐ。
「酔っぱらいなんかに、やられはしないさ」
そのゴブリンも、メリエの剣に倒れた。短時間で、その場は静かになる。
と、壁際に一匹が残っており、通気口から逃げだそうとした。
だが地上近くの出口が壊れているらしく、自ら袋小路に迷い込んだだけで終わった。
そのゴブリンの頭が、ザレムの銃弾に貫通された。
「残念だが、自分たちの行いが招いたことだ」
ゴブリンは、全滅した。
食糧を庫内に戻し、整理を終えた後――
ハンターたちのアドバイスで、村人は食糧庫に頑丈な扉や鍵を設置することに決めた。
そして、その夜は改めて宴をすることになった。
村長は、ハンターたちに好きな料理や、酒も振る舞うと言った。
「いいんですか? 食糧の被害は、ゼロじゃないのに」
メリエの言葉に村長は首を振る。
「土蔵や保存食棟の方は損壊も少なく、米俵なども持ち逃げされずにすみました。あなたたちのおかげです。だから、あなたたちにこそ、ごちそうしたい」
そうして、食べたいものを聞かれると……ザレムが、かすかにほほえんで言った。
「そうか。じゃあ、村の名物料理を頼むよ」
その言葉に、ハンターたちも皆、同じものをリクエストするのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/27 16:29:51 |
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相談卓―雑魔もゴブリンも討伐隊 屋外(ka3530) 人間(リアルブルー)|25才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/29 11:27:59 |