絶望の彼岸

マスター:後醍醐

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2014/06/25 07:30
完成日
2014/06/29 22:46

みんなの思い出

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オープニング


 辺境――それは歪虚と人類との最前線。
 力なき者は歪虚によって滅ぼされる。
 
 また一つ――チュー(zhu)族が滅ぼされようとしていた。
 
 前線で戦う多くの部族のうちの一つであるチュー族。
 マギア砦の近くを通るケリド河上流付近で小競り合いをしていたチュー族は歪虚の襲撃を受け、100名以下へと人数を減らしていた。
 襲撃が終わったすぐに、周囲の部族へ襲撃を知らせると共に庇護を求め辺境の野を往く。
 
 決して平坦でない道を往く。
 襲撃により負傷した者には厳しい道程が彼等を落伍させる。
 力尽きへたり込む者、疲労より病にかかり倒れこむ者、骸に縋り付き泣く子供。
 櫛の歯が欠けるが如く脱落者は増えていく。
 死の行進とも言える歪虚からの逃避行。
 あるのは僅かな希望――只それに縋り、必死に疲労の溜まった体を動かす。
 そうでなければ――動けなくなって落伍してしまうから。
 即ちそれは――死。
 
 陰鬱とした雰囲気が漂う一団が往く。
 体力のある者達――其のほとんどが少しの大人に少年少女といった集団だった。
 多くの大人達は獣や歪虚から子を守るように傷付き、それが原因で落伍していった。
「あと少し……あと少しで……」
 疲労が濃く出た表情で少女は太陽からの方角と記憶の風景を頼りに庇護を受ける部族へと向かっていく。
 それが彼女達の希望であり、こうして疲労困憊になりながら荒野を往く理由だ。
「みん、な……」
 振り向いてみれば、自分以外の人間も既に限界がきていて、気力のみで歩いてる様子が見える。
 倒れそうになりながらも倒れるぬようにゆっくりと歩く者、棒を杖のように支えながら歩く者等様々だ。
「あ、ああ……!」
 前を向いた時、目のいい少女が遠くに見えたのは――ブルゲド族の特徴的なゲルとゲルから立ち上る煙。
 そう、ブルゲド族の居住地を目指してここまでやってきたのだ。
「も、もう少しだから……! 後、少しで……!」
 希望が見えた喜びを枯れた喉から声を出し、少女はゲルの方向を指差して皆に知らせる。
「……やった……」
 誰ともしれない歓喜の声――それは、希望の光が差したことによるものだ。
 少女や他の者達の目からは涙が自然と溢れ落ちてきた。
 部族ともう呼べないチュー族の集団を託された少女は目的地を目指す――希望を胸に。
 あと少しだ、少女がそう感じた時――。
 だが、世界は優しくはなかった。
 
 突然、唐突に遠くから粉塵を上げて向かってくる存在が居た。
 よく見れば狂ったように不自然な方向に首を振りかざして爆走する羊。
 否――羊型のヴォイドだ。
 枯れ木をなぎ倒し、野生の馬を弾き飛ばしながら一直線と向かってくる。
 恐ろしいほどの突進力――まるで大型の牛や猪のようだ。
 刹那、一部の足を石にとられたヴォイドはバランスを崩して転倒し動かなくなっていた。
 見事までの自爆――猛スピードで駆けるが故に足元のバランスを崩すと脆いようだ。
「そ、そんな……」
 その光景を見た少女は、迫りくるヴォイドによって希望が満ちた表情から絶望へと変わろうとした。
 まだ距離は有るがヴォイドがこっちに向かって来ているのは火を見るよりも明らかだ。
 少女がうろたえる様子を見た他の者達もヴォイドの接近に気が付き、表情を強ばらせて絶望の表情へと変わっていった。
 
 だが――。
 
 奇跡は起こる。
「おい、あれは――」
「歪虚……それに人が!」
 地響きでヴォイドに気がついたハンターたち。
 付近の歪虚の討伐依頼を受けていたハンター達が羊型ヴォイドと襲撃を受けようとしている集団を見つけていたのだから。
「あの遅さじゃ、歪虚にやられてしまう!」
「急げっ!」
 焦りの表情を浮かべたハンター達は襲撃を受けようとしてる集団を助けるべく。

リプレイ本文

 ●迫る悪意
 
 付近の歪虚の討伐依頼を受けていたハンター達が見つけたのは集団に向かって駆けてくる羊型ヴォイドの群れ。
 
「追いかけているのは、あれは紛れもなくヴォイドっ♪ ヴォイドはぜーんぶ殲滅しないといけないよねっ」
 フレアティラミス(ka0011)は純粋な目で迫ってくる羊型ヴォイドを見る。
「勿論、追われてる人達もちゃんと助けるよっ」
 ヴォイド殲滅主義かつ、楽しいことを求める刹那主義なフレアティラミスだが、助けることも忘れず、行動を始める。
「ヴォイド、か……」
 迫りくるヴォイド、それはカイ(ka0104)にとって心から望んでいた闘争なのかもしれない。
 ヴォイドと集団を見て阻止出来そうな場所を探す。
「おいおい、別枠の歪虚かよ。面倒事は嫌いなんだが……まあ、女子供が襲われるのを見たら仕方ねえか」
 ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139)は少し、面倒臭そうな素振りだが迫ってくるヴォイドに対してアクションを始める。
「どうにかしなきゃね」
 天竜寺 舞(ka0377)は一刻の猶予のない状況で、どうにかすべく考えて動く。
「……このまま見殺し、というのは紳士的では無いな。そうだろう?」
 この状況を冷静に見たクラウス・エンディミオン(ka0680)も動き始める。
 (数は相手の方が上、残された時間も僅か……まぁ、出会った以上は無視する訳にもいくまい。する気もさらさら無いがね)
「初の依頼。覚悟はしていたし、緊張もしてるかな」
(けどまさか、人命のかかった戦いになるなんて……怖いよ、正直)
 フラヴィ・ボー(ka0698)は初めて参加した依頼がこんな事になるとは思ってなく、緊張していたが助ける為に行動する。
「希望の光を守る為に戦う事こそが僕の本懐なんだ。必ず、この絶望の群れを根絶しにしてみせる」
 (皆が抱いた希望を、絶対に守り抜くよ。こんな自分でも明るい未来を切り開けるって、信じたいから)
 紺野 璃人(ka1825)は迫る歪虚から集団を護る為にアクションをおこす。
「もう、大切な者を死なせない……そのために俺は、ハンターになったのだから……!!」
 結城綾斗(ka2092)は集団に迫る歪虚を見て誓うように集団を助ける為に行動し始める。
 各々が自身の能力や装備からどうすればよいか判断して行動を開始する。
 
「ともかくあたし達は前に出て出来るだけヴォイドを叩くから!」
 直ぐ様、動いたのは舞だった。
(正直まだ武器を持って戦うのは怖いけど、今目の前にいるあの人達を守れないで、どうして可愛い妹を守れるんだ。あたしはその為にハンターになったんだから!)
 集団を庇うように前に出て、覚醒を始める――舞の瞳の色が青から真紅に変わる。
「お願いします」
 続いて紺野がフラヴィにロープを渡して、舞の近くに移動する。
「後ろは任せる。頼んだぞ」
「おっけ~」
 結城はフレアティラミスにロープを渡すと紺野の隣についた。
 
 続いて、舞達の後方に移動するハンター達もいた。
 フレアティラミスは舞達の後方であたりを見渡し枯れ木を探す。
「あった♪」
 幾つかの枯れ木に10mあるロープを二本、括りつけていく。
 その様子はどこか楽しそうでもあった。
 此方に向かってくる羊型ヴォイドに対しての罠とし、設置後、後退した。
「単純な物だが……奴等にはお似合いだ」
 クラウスもまたヴォイドの侵攻ルート上にロープを使ったスネアトラップを作成し、すぐに後退した。
「俺は、後衛で前衛が取りこぼしたのを始末だな」
 エーヴァルトは後退したクラウス達の近くに移動することにした。
「自分は最後尾にて最後の線を――さて、抜けられなければそれが一番いいことだが」
 カイは後衛の3人の後方、最後衛に移動した。
 
 前衛を舞・紺野・フラヴィ・結城と展開し。
 後衛をフレアティラミス・クラウス・エーヴァルト・カイと展開した。
 
 ●接敵
 
 展開が終えた頃、前衛と羊型ヴォイドの距離が大分近くなってきた。
 フラヴィは先ず、紺野と自分に攻性強化を掛ける。
 
 まだ、距離は有る――だが、粉塵を上げて迫ってくる羊型ヴォイドの様子は鮮明にそして圧力を感じさせる。
 そのすべての行動を移動に振り向けたヴォイドの突撃とも言える突進は圧巻だ。
「意外と速いな」
 結城は突っ込んで攻撃を掛けようと思ったが、敵の移動が速いことにより一度の攻撃の後に追いつくのは難しいと感じて定位置での迎撃をすることにした。
 
 迫る敵に対して射程に入ったのは紺野のホーリーライトとフラヴィの機導砲だった。
 二名による迎撃が始まろうとする。
「通しはしない、そのつもりで来たんだ」
 フラヴィの機導砲のエネルギーの攻撃が迫る羊型ヴォイドを襲う。
 初弾は先頭の敵の手前に当たり、地面を抉る事となった。
 続けて、接近されるまでに数発撃ちこんだ。
 それぞれ、羊型ヴォイドの脚に当たり、それぞれ転倒させることが出来た。
 突破阻止に向けた攻撃としては上々の戦果をあげた。
「跪いて。僕なんかにじゃなくて、希望の光の御前にね」
 ホーリーライトの輝く光の弾が羊型ヴォイドの足元に向かって飛んでいく。
 残念ながら初弾は地面を抉る事になったが、続けて放った光の矢は羊型ヴォイドの脚へ当たり幾つも転倒させることが出来た。
 紺野の希望の光は――迫る闇を払っていた。
 紺野とフラヴィ合わせて8匹を転倒させることが出来た――だが、まだ向かってくる敵は残っている。
 
 至近とも言える距離――ここまで来れば迫る敵に恐怖を覚えそうになる。
 だが、護らねばならぬものがある――故に引くことなどできようか。 
 舞のダーツの射程距離に入り、迎撃するメンバーは三名……どこまで出来るか。

「行かせはしない!」
 スローイングのスキルを乗せてダーツで攻撃をする舞。
「まだ、通るとでも言うのかい?」
 紺野もホーリーライトを迫る敵に撃ちこむ。
「数を減らさないとね」
 フラヴィの機導砲が敵の前脚を狙い発射される。
 舞のダーツは勢い良く前脚に命中し、紺野のホーリーライト、フラフィの機導砲も命中。
 それぞれの攻撃により、敵は転倒し突進してくる敵を阻止する事ができた。

 こちらへ向かってくる敵のスピードは速い。
 舞はダーツから近接武器のショートソードへ切り替え、フラヴィはぶつからない様に位置を移動。
 紺野は敵突破に備え、止めるようなルート上へと位置どる。
 
 羊の息づかいまで聞こえ始めた距離。
 ほぼ敵は真正面、半端ない圧力が全ての前衛メンバーに襲い、手が緊張で否が応にでも汗ばむ。
 
 近接武器を装備した結城と舞が直接攻撃にあたる。
「大切な者とはなにか……? そんなの、決まってる……大切じゃない人なんて、どの世界にもいるわけないんだ……!!」
 結城は敵に向って走り、すれ違いざまに右斜め前にスライディングし、ロングソードで脚の関節を斬りつけたヴォイドは前に勢いつけて倒れた。
 結城は直ぐ様、ナイフで突き刺しトドメを刺した。
「えいっ!」
 舞はランアウトを使い、スラッシュエッジで足を狙って斬りつけた。
 ヴォイドの前両脚をスラッシュエッジで切り飛ばし、前に転がっていった。
「あのさ……僕、お前に、通行許可なんて出した覚え、無いんだけど?」
 紺野は突破しようとする1匹に身を挺して止めることに成功したが、紺野もダメージを受けてしまった。
 直ぐにマテリアルヒーリングを使い、自身の傷を回復させる。
 14匹――残り6匹
 前衛を抜けた6匹の羊型ヴォイドの群れが後衛の方へと猛烈な勢いで向かっていく。

「6匹! そっちへ行った!」
 紺野が後方へ向けて大声で伝え、後衛のメンバーは向かってくる敵を迎え撃つべく各自調整しながら移動を開始する。
 
●後方の戦い
 
 突破した残りの6匹は猛然と後衛へ向かっていく。
 愚直にも進む敵はロープによる罠に接触――6匹のうち2匹がロープに引掛り砂埃をあげて激しく転倒していく。
 残りの4匹が後衛の方へ向かって走って行き、迎え撃つメンバーもそれぞれ位置を調整する。

「あはっ♪ きみ達ヴォイドはここから先にはいかせないよっ♪」
 明るく、無邪気な言葉ながらも緊張は伝わってくる。
 フレアティラミスは踏込みを使い、意識集中してすれ違いざまにヒッティングを使って抜刀してヴォイドの脚元を一閃する。
 すれ違い様に脚を斬り飛ばされた敵は激しく砂埃を立てて前に滑りこむように転倒した。
「立たれたら、困るんだよねっ♪」
 続けてフレアティラミスは転倒した敵の後ろ脚を容赦なく斬りつけて立ち上がれない様にした。
 次の敵を狙うが――。
 
「面倒だが俺が抜かれる方が面倒なので……此処で狩らせて貰うぜ」
 エーヴァルトは身を深く沈めてこちらに向かってくる敵に対して強打を使い、剣を横に薙いで足を狙うと敵はゴロゴロと前へ転がっていった。
「抜かれる事はないが……トドメだ」
 エーヴァルトの素早く羊型ヴォイドの首を切りつける攻撃によって血しぶきを上げて首が落ちていく。
 
「ふん、マトンチョップになりたい奴からかかってこい」
 クラウスはまず、闘心昂揚と動かざるものを使い自身を強化する。
 向かってくる敵に対してクラッシュブロウを使ってレイピアで敵の前脚を突く攻撃で敵の前脚を貫通、挫く様に激しく転倒する。
「羊が一匹、と」
 サーベルに持ち替えたクラウスは首を切り落とすと辺り一面が血の海となった。
 
 クラウスら3人は後1匹ほど阻止しようとしたが、猛然と進む敵との距離があった為、攻撃が出来なかった。
 身を翻し、全速力でカイの方へ急いで向かう。
 
 後1匹――カイは向かってくる最後の羊型ヴォイドを遮るルート上に移動していた。
「きたか……じゃあいかせてもらうぞ」
 カイが望んだ闘争――それが現実となった。
 こちらへ向かってくるヴォイドとロングソードを構えるカイ。
 勝負は一瞬――ここで失敗すれば後はない。
 近づく粉塵と駆ける音、ロングソードを握る手が汗ばむ。

 接敵。

「……こい」
 刹那、踏込んで強打を使い敵の脚を切り飛ばされ、すれ違いざまに吹き飛ぶ羊型ヴォイド。
 踏み込んだ足は地面にやや沈んでいた。
 
●掃討戦
 
 集団に向けて突破しようとする敵は――もう、いない。
 後は――転倒した敵を倒すだけだ。
 幸いにも殆どの転倒した敵は前脚のどちらかが使い物にならない為に起き上がれたとして、前に進むのは困難だ。
 
 後衛は来た敵を全滅させていたので、前衛の転倒させた敵の攻撃を手伝いに向かった。
 
「後は、後始末だけだ」
 フラヴィは残った2発の機導砲で頭部を狙う。
 至近距離での攻撃のため外すことなく羊型ヴォイドの頭部を砕いて動かぬ骸となる。
 続けて、アルケミストタクトでの攻撃。
 機導砲の様に頭部破壊は出来ないので首の骨を攻撃した。
 流石に近接武器の様な作りでない細い棒のアルケミストタクトなので何度か叩きつける必要があった。
「まだわからないの? お前達ごときの齎す絶望に屈する人間はここには居ないよ!」
 紺野も残ったホーリーライトの2発を頭部に向けて撃つ。
 外れることなくホーリーライトは頭部を爆ぜさせる。
 ロッドでもって頭部を2度、3度と叩きつけて倒していく。
「もう少しで終わりだ!」
 結城は念のため、強打を使いロングソードで敵の首を叩き斬り落とすと面白いように敵の頭部が胴体と離れて行った。
「これで、お終いね」
 スラッシュエッジをのせた舞のショートソードの一撃が敵の首を狩る。
 手際よく、敵の首を狩っていく舞。
 
 丁度、クラウス達4人が前衛と合流。
 クラウス達も周囲を警戒しながら残った転倒した敵を攻撃していく。
「ヴォイドだから殲滅するっ。それに理由なんて必要ないでしょ?」
 楽しげに模造刀を振り落とし羊型ヴォイドの首を落としていくフレアティラミス。
「……」
 カイは黙々とロングソードで首を落としていく。
 動かぬ敵――と言うのは少し手応えが無いのかもしれない。
「さてと、後は掃除と――ってな」
 来ないはずではあるが、敵を警戒しながら攻撃するエーヴァルト。
「あと少しで、数え終わるか」
 クラウスはサーベルで首を刎ねていく。
 こうして、敵の反撃もない掃討戦がつつがなく終わりを告げた。
●絶望は払われ、希望が残る

 もう一度、皆で辺りを警戒する。
 ――どうやら、敵はいない様だ。
「やれやれ…こうも煩くては、数え歌の役にも立たないだろうな」
 クラスは安全を確認したので覚醒を解いた。
「あの集団が無事か確認しないとねっ」
 覚醒を解除したフレアティラミスは集団へと向かう。
 ハンター達は西へ移動していた集団を追いかける。
 
「大丈夫だった!? ……よかった」
「あっ……」
 集団の先頭で歩いている少女に妹を重ね思わず抱きしめてしまった舞。
「あ……ごめんなさい。 あたしは天竜寺 舞」
 はっと赤くなって慌てて離れる舞。
「あ……はい。私はチュー族のアラウ・チューといいます」
 チュー(CHU・猪)族と名乗ったアラウは憔悴している様子ではあったものの表情は明るかった。
 アラウ達の事情を聞いて、後の集団を見てみれば大人が少しとほぼ少年少女の集団だった。
「どっちへ向かってんだ?」
 エーヴァルトは聞いた事情から向かっているところをアラウに尋ねる。
「えっと……もうすぐ先に、ブルゲド族という部族があるので……そこへ」
 どうやら、チュー族の一団はブルゲド族に助けを求めるらしい。
 アラウ曰く、ブルゲド族は他の部族――自分達の様な困っている部族を庇護しているらしい。
「ブルゲド族の居留地……あぁ、近いからそこまで送るのは別に吝かじゃないぜ」
「護衛していくよ」
「ヴォイドの殲滅は任せてよ♪」
 エーヴァルト・舞・フレアティラミス、ハンター達はブルゲド族の居留地までの護衛をかって出た。
「あ、ありがとうございます!」
 ハンター達に頭を下げるアラウ。
「怪我は大丈夫ですか? 良ければ治療しますよ」
 紺野は一団に声を掛けて回っていった。
 舞と紺野はけが人にヒールと思ったが、どうやら疲弊しているだけで怪我をしているのはいない様だ。
「あ~……調子の悪い子は背負って行ってもいいぜ」
 そう言って年少の子供を背負うエーヴァルト。
「今までよく頑張ったな……よく、生き残ってくれた……」
「……はい」
 アラウに話しかけるクラウス――アラウは少し間をあけて頷く。
「よくここまで頑張った。生きようとしたから、助かったんだと思う。するべきことは復讐などではない。彼らの分も生きて、幸せになること。それが、死んでいった彼らへの手向けだ。わかったな?」
 結城はアラウに微笑みながら告げる。
「あ……はい」
 アラウは――結城の言葉を繰り返しているようだった。
 チュー族を護衛して進むハンター達。
 無事、ブルゲド族の居留地まで送ることが出来た。
 
 絶望の彼岸 完

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MVP一覧


  • カイka0104
  • 行政営業官
    天竜寺 舞ka0377
  • Self Sacrifice
    紺野 璃人ka1825

重体一覧

参加者一覧

  • ドラゴンモドキスレイヤー
    フレアティラミス(ka0011
    人間(紅)|15才|女性|闘狩人

  • カイ(ka0104
    人間(紅)|21才|男性|闘狩人
  • Stray DOG
    ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士

  • クラウス・エンディミオン(ka0680
    人間(紅)|34才|男性|霊闘士

  • フラヴィ・ボー(ka0698
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • Self Sacrifice
    紺野 璃人(ka1825
    人間(蒼)|18才|男性|聖導士
  • 優しい兄貴?
    結城綾斗(ka2092
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談室
結城綾斗(ka2092
人間(リアルブルー)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/06/25 07:31:48
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/06/22 22:57:51