ゲスト
(ka0000)
ロック・ペーパー・シザーズ
マスター:びなっす

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~5人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/10/11 15:00
- 完成日
- 2018/10/19 10:45
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●3体の雑魔
地元の警備隊は、ある通報を受けて森へと来ていた。
その通報というのは、ここを拠点としている狩人からのもので、なんでも森の木々が何者かに切り倒されているのだという。
現場に到着した警備隊はその光景に目を疑った。
まるで森の木々の間に無理矢理道を作ったかのように、切株が一方向に綺麗に並び、その両脇には木々が倒れていた。
切断面は綺麗で、鋭利な巨大な刃物を使って切られていたようだった。
警備隊はその原因を探るべく、連なる切株を辿っていった。
……すると、行き着いた先には、3体のおかしな生物がいた。
巨大な亀のような姿に、これまた巨大な星形のヒトデのような姿。そして2本のハサミを持っている、やはり巨大な蟹の姿。
その3体は、それぞれ統一性もなく自由に動き回っている。
後ろに控えている、亀型と、ヒトデ型は、動いているものの特に何かをするわけでもない。
問題はハサミを持っている蟹型の方だ。2つのハサミを使い、木を少しずつ切り刻んでいる。
最初から根っこを切るわけでは無く、上から徐々に枝を切っていき、最終的に根っこを両断しているようだった。
根っこを切られ地面の支えを失った木は、バランスを崩し傾くが……このまま木が倒れるであろう場所には、運悪くヒトデ型の姿があった。
このままでは木の下敷きになるだろう……見ていた警備隊がそう思ったとき、突如ヒトデ型の前に、亀型が現れ、ヒトデ型を守るように倒れ来る木を甲羅で受け止める。
そしてそのまま、倒れてきた木を別の場所へと弾いた。
木が直撃したにも拘わらず、亀型は甲羅に少し傷が付いた程度しか被害を受けていない。その甲羅は、かなりの硬度を持っていることが伺えた。
木を伐採した蟹型は、ヒトデ型の方に見向きもせずに自身のハサミを見つめていた。
蟹型が持つハサミはボロボロになっていて、切られた木の断面も最初に警備隊が目撃した綺麗な切断面の切株とくらべ、荒いものになっている。
その時、ヒトデ型が淡く光を放ち、その光がハサミを持つ蟹型を包む。
先程までボロボロだったハサミは、まるで新しいものに取り替えたかのように綺麗に直っていた。
どうやらヒトデ型は、相手の損傷を回復させる能力を持っているようだ。
しかし、ヒトデ型は自身を守ってくれた亀型には一切回復をしない。傷の度合いの問題だろうか?
そう警備隊が疑問に思っている中、切れ味を取り戻したハサミを使い、再び目の前の木の枝を切り始める蟹型。
蟹型の行動の意図は分からないが……そのハサミが、この騒動の原因だという事は一目瞭然だ。
しかし、その気になれば木を一瞬で両断できる程の切れ味をもつハサミに加え、亀型の硬度と、ヒトデ型の回復による支援は厄介だ。
自分たちでは手に負えないと判断した警備隊の面々は、急いで応援を呼ぶことにした。
●ハンターオフィスにて
「大変です! 森に3体の雑魔が現れました。今回の雑魔は少し手強いようです」
女性職員のリュゼ=ミシュレンは、こういった依頼には慣れていないのか、辿々しく資料とにらみ合いハンター達に告げる。
「え……と、相手はそれぞれ、亀型の雑魔、ヒトデ型の雑魔、2つのハサミを持つ蟹型の雑魔の3体です。3体とも海の生き物のようですが……おそらく森の近くにある海からやってきたものだと思われます。森の木々を次々に切り倒しているらしいですが……たぶん、陸に上がったばかりの雑魔達は、生命力を持つ大きな木々に興味を示しているのかも知れません」
そこまで言い、職員は手に持っているいくつかの資料を睨み、その内の一枚をハンター達に見せる。
「え~と……実際に交戦した地元の警備隊の方々の話では……この3体は連携力が高く、それぞれが『防御』『回復』『攻撃』と役割を担っているようです。ただ、雑魔達の知能が高いというわけでは無く、それぞれの役割を忠実に行っているだけ……という印象が強いそうです。えと……雑魔達をかき乱すことが出来れば、陣形が崩れるかもしれません。ハンター以外の戦闘職の皆さんでは、崩すことは出来なかったそうですが……ハンターの皆さんなら、きっとどうにか対応できると思います。頑張ってください!」
半ば丸投げに近い形でそう言う職員に、ハンター達は不安を覚えながらも、僅かな情報を得ることに集中した。
「一般人の被害の報告は受けていませんが……警備隊の何人かに負傷者、重傷者が出ています。雑魔達は今も森の木々を次々に伐採しているそうです。このままでは森が無くなってしまいます。迅速に対応をお願いします」
地元の警備隊は、ある通報を受けて森へと来ていた。
その通報というのは、ここを拠点としている狩人からのもので、なんでも森の木々が何者かに切り倒されているのだという。
現場に到着した警備隊はその光景に目を疑った。
まるで森の木々の間に無理矢理道を作ったかのように、切株が一方向に綺麗に並び、その両脇には木々が倒れていた。
切断面は綺麗で、鋭利な巨大な刃物を使って切られていたようだった。
警備隊はその原因を探るべく、連なる切株を辿っていった。
……すると、行き着いた先には、3体のおかしな生物がいた。
巨大な亀のような姿に、これまた巨大な星形のヒトデのような姿。そして2本のハサミを持っている、やはり巨大な蟹の姿。
その3体は、それぞれ統一性もなく自由に動き回っている。
後ろに控えている、亀型と、ヒトデ型は、動いているものの特に何かをするわけでもない。
問題はハサミを持っている蟹型の方だ。2つのハサミを使い、木を少しずつ切り刻んでいる。
最初から根っこを切るわけでは無く、上から徐々に枝を切っていき、最終的に根っこを両断しているようだった。
根っこを切られ地面の支えを失った木は、バランスを崩し傾くが……このまま木が倒れるであろう場所には、運悪くヒトデ型の姿があった。
このままでは木の下敷きになるだろう……見ていた警備隊がそう思ったとき、突如ヒトデ型の前に、亀型が現れ、ヒトデ型を守るように倒れ来る木を甲羅で受け止める。
そしてそのまま、倒れてきた木を別の場所へと弾いた。
木が直撃したにも拘わらず、亀型は甲羅に少し傷が付いた程度しか被害を受けていない。その甲羅は、かなりの硬度を持っていることが伺えた。
木を伐採した蟹型は、ヒトデ型の方に見向きもせずに自身のハサミを見つめていた。
蟹型が持つハサミはボロボロになっていて、切られた木の断面も最初に警備隊が目撃した綺麗な切断面の切株とくらべ、荒いものになっている。
その時、ヒトデ型が淡く光を放ち、その光がハサミを持つ蟹型を包む。
先程までボロボロだったハサミは、まるで新しいものに取り替えたかのように綺麗に直っていた。
どうやらヒトデ型は、相手の損傷を回復させる能力を持っているようだ。
しかし、ヒトデ型は自身を守ってくれた亀型には一切回復をしない。傷の度合いの問題だろうか?
そう警備隊が疑問に思っている中、切れ味を取り戻したハサミを使い、再び目の前の木の枝を切り始める蟹型。
蟹型の行動の意図は分からないが……そのハサミが、この騒動の原因だという事は一目瞭然だ。
しかし、その気になれば木を一瞬で両断できる程の切れ味をもつハサミに加え、亀型の硬度と、ヒトデ型の回復による支援は厄介だ。
自分たちでは手に負えないと判断した警備隊の面々は、急いで応援を呼ぶことにした。
●ハンターオフィスにて
「大変です! 森に3体の雑魔が現れました。今回の雑魔は少し手強いようです」
女性職員のリュゼ=ミシュレンは、こういった依頼には慣れていないのか、辿々しく資料とにらみ合いハンター達に告げる。
「え……と、相手はそれぞれ、亀型の雑魔、ヒトデ型の雑魔、2つのハサミを持つ蟹型の雑魔の3体です。3体とも海の生き物のようですが……おそらく森の近くにある海からやってきたものだと思われます。森の木々を次々に切り倒しているらしいですが……たぶん、陸に上がったばかりの雑魔達は、生命力を持つ大きな木々に興味を示しているのかも知れません」
そこまで言い、職員は手に持っているいくつかの資料を睨み、その内の一枚をハンター達に見せる。
「え~と……実際に交戦した地元の警備隊の方々の話では……この3体は連携力が高く、それぞれが『防御』『回復』『攻撃』と役割を担っているようです。ただ、雑魔達の知能が高いというわけでは無く、それぞれの役割を忠実に行っているだけ……という印象が強いそうです。えと……雑魔達をかき乱すことが出来れば、陣形が崩れるかもしれません。ハンター以外の戦闘職の皆さんでは、崩すことは出来なかったそうですが……ハンターの皆さんなら、きっとどうにか対応できると思います。頑張ってください!」
半ば丸投げに近い形でそう言う職員に、ハンター達は不安を覚えながらも、僅かな情報を得ることに集中した。
「一般人の被害の報告は受けていませんが……警備隊の何人かに負傷者、重傷者が出ています。雑魔達は今も森の木々を次々に伐採しているそうです。このままでは森が無くなってしまいます。迅速に対応をお願いします」
リプレイ本文
一行は問題の森へ入り、奥へと進むとほどなくして切株の行列が見えた。
それは森の更に奥へと、道のように連なっている。
辺りを見回すと、切り倒された大木が無造作に転がっていた。
聞いていた情報の通りだ。これが例の雑魔達の仕業なのは明白だ。
切株の道を辿っていくと、しばらくして三体の影が見えてきた。
それぞれ、亀型、蟹型、ヒトデ型と分かりやすい格好をしている。
「あれが森の木を切り倒している雑魔に間違いないみたいだな」
レイア・アローネ(ka4082)は、森の中であからさまに浮いた、海の生き物の姿をした雑魔達を見てそう言った。
「う~ん、どれから倒そっか」
夢路 まよい(ka1328)は視界に三体の雑魔を捉えながら、周りの仲間にそう問い掛ける。
「雑魔の詳細は、前もって聞いているけど……結局、どれを狙うにしてもめんどくさそうだね」
鞍馬 真(ka5819)は苦い顔をしながら呟いた。そこにロニ・カルディス(ka0551)が提案をする。
「どうやら蟹だけは距離が離れているようだな。ならこの隙にヒトデをなんとかしておきたい」
ロニは状況を分析し、一番に面倒だと思われる、回復役のヒトデ型に狙いを絞る。
「そうだね。回復されるのは厄介だしね」
それに同調するまよい。
方針が決まったところで、各々が行動を開始しようとした時、
「待ってください。一つ試したいことが……」
そう言い、皆を制止した多由羅(ka6167)は、前に出て雑魔達の方へ向く。
「オフィスにて彼の雑魔共を『石』と『紙』と『鋏』に喩えていた方がおりました。成る程言い得て妙です。しかし私、その三つに絶対的に優位に立てる得物を知っているのです。先日近所の童達が言っておりました」
どや顔で、携帯してきたデリンジャーを取り出し、それをおもむろに亀型に向けた。
確かに、ここで銃を使うことに関しては、理にかなっていると言えるかもしれない。
亀型は近くの相手にはカウンターを使用し、魔法に対してはそれを無効化する障壁を発生させるのだという。
ならば、遠くから物理攻撃を放つことの出来る銃は、亀型にとって有効のはずだ。
しかし、多由羅が自信気に撃った銃弾は、亀型の最も硬い甲羅に当たり、あっさりと弾かれる。
「……やはり慣れない得物を使うものではないですね」
不慣れな銃をしまい、何事も無かったかのように愛刀を抜き構えた。
「それじゃ、多由羅さんの気も済んだみたいだし、さくっとやっちゃおうか」
まよいは、ひとまず雑魔に向かって『マジックアロー』を放ってみることにした。
『フォースリング』のアシストにより、本数を増やした『マジックアロー』が、雑魔達へ飛んでいく。
即座に反応したのは亀型だ。
魔力の感知能力が高いのか、まよいが魔法を放つ直前に行動を起こした。
亀型の周辺に薄く黒い膜が広がり、迫ってくる『マジックアロー』を跡形も無く掻き消す。
亀型の近くにいたヒトデ型も同様に、薄く黒い膜により守られているようだ。
「むっ……あの守りは、厄介だな~」
事前に亀の障壁については聞いていたが、不意打ちにも対応できるのは予想外だった。
そこは、亀型の魔力に対する敏感さがあってのことだろう。
一方の蟹型は、いつの間にかまよいの魔法が届かないほど遠く離れているようだが……それはそれで、邪魔が入らず好都合だった。
蟹型を放置してしまえば、多少の木々の被害は許してしまうだろうが、それよりも厄介な後衛を倒す方が先決だとメンバーたちは考えた。
さっそく標的のヒトデ型に向かうも、それをいち早く察知した亀型がハンター達の前に立ちはだかる。
ヒトデ型も隠れるように亀型の背に回った。
「やはり、そう簡単にはいかないか」
「これは、どうにか押し切るしかないかな」
レイアと真は、どうにか亀型を引き剥がそうと攻撃を仕掛ける。
その間、ロニと多由羅はヒトデ型を狙い、隙を窺った。
真とレイアの二人掛かりの攻撃は、僅かに亀型を押すことが出来たが……瞬間、二人の攻撃に合わせた甲羅の回転により、カウンターによる反撃を受けてしまう。
深く踏み込む前だったおかげか、そこまでのダメージこそ受けなかったが……カウンターの危険があるとなるとまともに攻撃も出来ない。
二人がそう苦り切った時、光の一閃が亀型の雑魔に突き刺さった。
それは、まよいが放った二度目の『マジックアロー』だ。
初撃は障壁によって掻き消された魔法だが、どういうことか今回はそれがあっさりと亀型にヒットする。
大きくよろめく亀型。それを見たまよいは確信した。
「亀が別の行動を起こしている時には、あの障壁が使えないみたいだね」
「なるほどな、あの亀にカウンターを使わせれば、まよいの魔法が届くんだな」
まよいの言葉にレイアは深く頷き、剣を構える。
気付けば、ヒトデ型にもちゃんと魔法が命中していたようで、衝撃で地面に転がっていた。
攻略の糸口を見つけた一行は、ここで二手に分かれた。
ロニと多由羅はヒトデ型へ、まよいとレイアそして真は亀型の方へ向かう。
真とレイアは、亀型にとにかく攻撃を加え続ける。
カウンターを誘発させることが出来れば、まよいの強力な魔法の一撃で決定的なダメージを与えられるはずだ。
しかし、亀型は一向に反撃をする気配は無い。
おそらく、先程の魔法による攻撃を受け警戒しているのだろう。
いつでも障壁を展開できるように、ただジッと二人の攻撃に耐える亀型。
「意地でも反撃をしない気か……厄介だな」
「まぁ、そういうことなら、根を上げるまで攻めるしかないかな」
二人が猛攻を仕掛けようといった時に、突如三体目の脅威が勢いよく近付いてきた。
放置していた蟹型の雑魔が、亀型の危機を察したのか救援に駆け付けてきたようだ。
蟹型の動きに真っ先に反応したレイアは、『ガウスジェイル』と『鎧受け』を併用し、真の方に向いていた蟹型の攻撃を受け止める。
蟹型のハサミによる重い連撃を受け、レイアはたまらず怯んでしまう。
そんな中、横からの真の攻撃により、蟹型は傷を受け後退する。
しかしその瞬間、蟹型の傷は淡く発する光と共に塞がってしまった。
それはヒトデ型の仕業だろう。どうやらヒトデ型は、回復を行う余裕があるようだった。
更に厄介なことに、二人が蟹型に気を取られている間に亀型がヒトデ型に向かってノソノソと移動し始めた。
このままでは、せっかく引き留めていた亀型を逃がしてしまう。
するとレイアは、スッと『守りの構え』を取り、蟹型へと対峙する。
「……あの蟹は私が止める。真は、亀の相手をしてくれ」
蟹型をレイア一人に任せるのは心配だったが、それが一番の手だと判断し、真はその提案に頷く。
「分かった。蟹の方は任せたよ」
レイアは単独で蟹型を、真は亀型を相手取った。
一方のヒトデ型は、ロニ、多由羅に追われ、ちょこまかと素早く逃げ回っていた。
逃げている最中も、ヒトデ型は亀型から一定の距離以上は離れようとしない。
おそらくその距離が、障壁のギリギリ届く範囲なのだろう。
どうにかして動きを止めたいと思ったロニだったが、ここで『プルガトリオ』を使っても、亀型の障壁により邪魔をされてしまう。
「動きを止めるとことも、攻撃をすることも難しいか……どうしたものかな」
他のメンバーがそれぞれの雑魔を足止めしている内に、どうにかしたかったのだが……ロニはそう苦り切る。
多由羅もヒトデ型を追い掛け攻撃をしようとするが……回避一辺倒のヒトデ型を捉えるのは厳しかった。
「攻撃をしてこないのはいいですが、こうも逃げ回られるとさすがに苛立ちますね」
焦りと苛立ちに剣先を震わせながら、多由羅は逃げ回るヒトデ型を追った。
真は亀型に猛攻を浴びせ続けていた。
対して亀型は、カウンターを使わず真の攻撃を受け続ける。
ここでカウンターを使えば、魔法への対処が出来なくなってしまう……敵はそう直感しているのだろう。
亀型は耐久力にも秀でているようで、カウンターが無くとも、ハンター数人掛かりの攻撃でも耐えることが出来るほどに思えた。
ここでいくら攻め立てても、亀型の根を上げさせるのには、相応の時間が掛かってしまう。
だがしかし、今回は如何せん相手が悪かったようだ。
真の怒濤の攻めに対し、亀型は体力を急激に削られていた。
元から高い攻撃力に加え、『ソウルエッジ』により更に強化された真の連撃が、亀型を追い詰めていく。
「これは、いけそうだね」
押し切れると感じたのか、真は更に『二刀流』、『アスラトゥーリ』と高威力の技を次々と繋げた。
今の亀型に、魔法への対処など考慮している余裕は無かった。蟹型の時とは違い、亀型にはヒトデ型からの援護は一切無い。
このままただ攻撃を受け続けていたら、近いうちに限界が来てしまうだろう。
亀型はたまらず甲羅によるカウンターを使う。すると深く踏み込んでいた真も相応のダメージを受け、大きく後退してしまった。
その瞬間、好機を待ちながら『集中』をしていたまよいの『アブソリュートゼロ』が、亀型を貫いた。
水と地の超威力の魔法が連続で放たれ、亀型はその巨体を大きくのけぞらせる。
「一気に行くよ!」
更にまよいから放たれた二度目の『アブソリュートゼロ』による凄烈な追撃。
過剰ともいえるその魔法は、亀型の姿を完全に覆い隠し、あまりの威力に遂には体の破片さえも残さず消し去った。
亀型が消滅したことにより、一定の距離を保ち逃げ回っていたヒトデ型は、一目散にこの場を離脱しようとしていた。
だが、好機を伺っていたロニは、この状況を決して見逃さない。
「悪いが逃がすわけにはいかない」
逃げようとするヒトデに向かって即座に『プルガトリオ』を放った。
それは見事に命中し、ヒトデの動きを止めることに成功する。
更に『集中』で精度を上げた『レクイエム』により、ヒトデ型の行動を阻害した。
「やっと、止まってくれましたね」
ようやくヒトデ型を捉えることの出来た多由羅は、巨大刀の『祢々切丸』を構える。
防御を捨てた攻撃重視の『一之太刀』の構えを作り、そして地面を擦り赤くほとばしる『紅蓮斬』をヒトデ型に繰り出す。
ヒトデ型はその苛烈な猛撃を身に喰らうも、ギリギリ耐えしのぐ。
そんなヒトデ型の目の前にいたのは、流れるような動きで『納刀の構え』をとった多由羅の姿だった。
直感で危険だと判断したのか、すぐさま逃げようとするヒトデ型。
だが動きを制限されたヒトデ型に対し、『納刀の構え』により威力を格段に高めた多由羅の剣撃が煌めいた。
「これで……終わりです」
それはヒトデ型をいとも簡単に両断し、そしてそのままヒトデ型は砂のように消えていった。
「……なんだ?」
蟹型の猛攻をなんとか防いでいたレイアは、突然の状況の変化に戸惑っていた。
気付けば、あれだけ怒濤の攻撃を繰り出していた蟹型は、なにやらぎこちない動きをしている。
そして、レイアの耳に微かに届く旋律。
ロニがヒトデ型の動きを阻害するために使用した広範囲の『レクイエム』が、蟹型の元にまで届いていたのだ。
もちろん偶然などでは無い。ロニは全体を把握し、効果範囲が重なるように調整していた。
好機とみたレイアは、『守りの構え』を解除し、蟹型を攻撃する。
硬い外殻のせいで大したダメージは与えられなかったが、そこは『ソウルエッジ』により魔力を帯びた剣撃で対応する。
ぎこちない動きをしながらも、蟹型は仕返しと言わんばかりに二つの巨大なハサミをレイアに向ける。
急ぎ駆け付けたロニは、『ホーリーヴェール』を使い、レイアに向けられた攻撃を軽減させた。
「大丈夫か、レイア」
ロニは、レイアの傷付いた身体を『フルリカバリー』で癒やす。
「すまない、助かった」
回復したレイアは、万全な状態で蟹型を一気に攻め立てる。
徐々にダメージを受け、傷を増やしていく蟹型。
もうヒトデ型の支援などは頼れず、レイアの獅子のような攻めに加え、ロニの適切な援護を前に為す術もない。
そして真と多由羅、まよいも駆け付け、集中砲火を受けた蟹型は力無く倒れ消え去った。
●討伐後
レイアは一息つき口を開く。
「ふぅ……中々に厄介な相手だったな」
「……3体で協力し合えばもっと強敵だったんだろうね。まあ、雑魔だし、そこまでの知恵が無かったことが幸い、かな」
真は雑魔達が消え去った跡を見ながら言う。
「そうだね、やっぱり一方的な助けよりも、みんなでしっかり助け合うのが一番だよね」
まよいは確信めいた口調でそう言った。
その隣で、少し残念そうにしている多由羅がいた。
「出来ることなら、あの亀の甲羅を斬ってみたかったのですが……それはまたの機会ですね」
「ああいう手合いとは、あまり戦いたくはないがな」
ロニはうんざりとしつつそう呟き、傷付いている仲間の傷を癒した。
ともあれ、三体の奇妙な関係の雑魔達は無事に倒すことが出来た。
これで森が無くなることはないだろう。
ハンター達はホッとしながら、連なる切株の道を戻っていった。
それは森の更に奥へと、道のように連なっている。
辺りを見回すと、切り倒された大木が無造作に転がっていた。
聞いていた情報の通りだ。これが例の雑魔達の仕業なのは明白だ。
切株の道を辿っていくと、しばらくして三体の影が見えてきた。
それぞれ、亀型、蟹型、ヒトデ型と分かりやすい格好をしている。
「あれが森の木を切り倒している雑魔に間違いないみたいだな」
レイア・アローネ(ka4082)は、森の中であからさまに浮いた、海の生き物の姿をした雑魔達を見てそう言った。
「う~ん、どれから倒そっか」
夢路 まよい(ka1328)は視界に三体の雑魔を捉えながら、周りの仲間にそう問い掛ける。
「雑魔の詳細は、前もって聞いているけど……結局、どれを狙うにしてもめんどくさそうだね」
鞍馬 真(ka5819)は苦い顔をしながら呟いた。そこにロニ・カルディス(ka0551)が提案をする。
「どうやら蟹だけは距離が離れているようだな。ならこの隙にヒトデをなんとかしておきたい」
ロニは状況を分析し、一番に面倒だと思われる、回復役のヒトデ型に狙いを絞る。
「そうだね。回復されるのは厄介だしね」
それに同調するまよい。
方針が決まったところで、各々が行動を開始しようとした時、
「待ってください。一つ試したいことが……」
そう言い、皆を制止した多由羅(ka6167)は、前に出て雑魔達の方へ向く。
「オフィスにて彼の雑魔共を『石』と『紙』と『鋏』に喩えていた方がおりました。成る程言い得て妙です。しかし私、その三つに絶対的に優位に立てる得物を知っているのです。先日近所の童達が言っておりました」
どや顔で、携帯してきたデリンジャーを取り出し、それをおもむろに亀型に向けた。
確かに、ここで銃を使うことに関しては、理にかなっていると言えるかもしれない。
亀型は近くの相手にはカウンターを使用し、魔法に対してはそれを無効化する障壁を発生させるのだという。
ならば、遠くから物理攻撃を放つことの出来る銃は、亀型にとって有効のはずだ。
しかし、多由羅が自信気に撃った銃弾は、亀型の最も硬い甲羅に当たり、あっさりと弾かれる。
「……やはり慣れない得物を使うものではないですね」
不慣れな銃をしまい、何事も無かったかのように愛刀を抜き構えた。
「それじゃ、多由羅さんの気も済んだみたいだし、さくっとやっちゃおうか」
まよいは、ひとまず雑魔に向かって『マジックアロー』を放ってみることにした。
『フォースリング』のアシストにより、本数を増やした『マジックアロー』が、雑魔達へ飛んでいく。
即座に反応したのは亀型だ。
魔力の感知能力が高いのか、まよいが魔法を放つ直前に行動を起こした。
亀型の周辺に薄く黒い膜が広がり、迫ってくる『マジックアロー』を跡形も無く掻き消す。
亀型の近くにいたヒトデ型も同様に、薄く黒い膜により守られているようだ。
「むっ……あの守りは、厄介だな~」
事前に亀の障壁については聞いていたが、不意打ちにも対応できるのは予想外だった。
そこは、亀型の魔力に対する敏感さがあってのことだろう。
一方の蟹型は、いつの間にかまよいの魔法が届かないほど遠く離れているようだが……それはそれで、邪魔が入らず好都合だった。
蟹型を放置してしまえば、多少の木々の被害は許してしまうだろうが、それよりも厄介な後衛を倒す方が先決だとメンバーたちは考えた。
さっそく標的のヒトデ型に向かうも、それをいち早く察知した亀型がハンター達の前に立ちはだかる。
ヒトデ型も隠れるように亀型の背に回った。
「やはり、そう簡単にはいかないか」
「これは、どうにか押し切るしかないかな」
レイアと真は、どうにか亀型を引き剥がそうと攻撃を仕掛ける。
その間、ロニと多由羅はヒトデ型を狙い、隙を窺った。
真とレイアの二人掛かりの攻撃は、僅かに亀型を押すことが出来たが……瞬間、二人の攻撃に合わせた甲羅の回転により、カウンターによる反撃を受けてしまう。
深く踏み込む前だったおかげか、そこまでのダメージこそ受けなかったが……カウンターの危険があるとなるとまともに攻撃も出来ない。
二人がそう苦り切った時、光の一閃が亀型の雑魔に突き刺さった。
それは、まよいが放った二度目の『マジックアロー』だ。
初撃は障壁によって掻き消された魔法だが、どういうことか今回はそれがあっさりと亀型にヒットする。
大きくよろめく亀型。それを見たまよいは確信した。
「亀が別の行動を起こしている時には、あの障壁が使えないみたいだね」
「なるほどな、あの亀にカウンターを使わせれば、まよいの魔法が届くんだな」
まよいの言葉にレイアは深く頷き、剣を構える。
気付けば、ヒトデ型にもちゃんと魔法が命中していたようで、衝撃で地面に転がっていた。
攻略の糸口を見つけた一行は、ここで二手に分かれた。
ロニと多由羅はヒトデ型へ、まよいとレイアそして真は亀型の方へ向かう。
真とレイアは、亀型にとにかく攻撃を加え続ける。
カウンターを誘発させることが出来れば、まよいの強力な魔法の一撃で決定的なダメージを与えられるはずだ。
しかし、亀型は一向に反撃をする気配は無い。
おそらく、先程の魔法による攻撃を受け警戒しているのだろう。
いつでも障壁を展開できるように、ただジッと二人の攻撃に耐える亀型。
「意地でも反撃をしない気か……厄介だな」
「まぁ、そういうことなら、根を上げるまで攻めるしかないかな」
二人が猛攻を仕掛けようといった時に、突如三体目の脅威が勢いよく近付いてきた。
放置していた蟹型の雑魔が、亀型の危機を察したのか救援に駆け付けてきたようだ。
蟹型の動きに真っ先に反応したレイアは、『ガウスジェイル』と『鎧受け』を併用し、真の方に向いていた蟹型の攻撃を受け止める。
蟹型のハサミによる重い連撃を受け、レイアはたまらず怯んでしまう。
そんな中、横からの真の攻撃により、蟹型は傷を受け後退する。
しかしその瞬間、蟹型の傷は淡く発する光と共に塞がってしまった。
それはヒトデ型の仕業だろう。どうやらヒトデ型は、回復を行う余裕があるようだった。
更に厄介なことに、二人が蟹型に気を取られている間に亀型がヒトデ型に向かってノソノソと移動し始めた。
このままでは、せっかく引き留めていた亀型を逃がしてしまう。
するとレイアは、スッと『守りの構え』を取り、蟹型へと対峙する。
「……あの蟹は私が止める。真は、亀の相手をしてくれ」
蟹型をレイア一人に任せるのは心配だったが、それが一番の手だと判断し、真はその提案に頷く。
「分かった。蟹の方は任せたよ」
レイアは単独で蟹型を、真は亀型を相手取った。
一方のヒトデ型は、ロニ、多由羅に追われ、ちょこまかと素早く逃げ回っていた。
逃げている最中も、ヒトデ型は亀型から一定の距離以上は離れようとしない。
おそらくその距離が、障壁のギリギリ届く範囲なのだろう。
どうにかして動きを止めたいと思ったロニだったが、ここで『プルガトリオ』を使っても、亀型の障壁により邪魔をされてしまう。
「動きを止めるとことも、攻撃をすることも難しいか……どうしたものかな」
他のメンバーがそれぞれの雑魔を足止めしている内に、どうにかしたかったのだが……ロニはそう苦り切る。
多由羅もヒトデ型を追い掛け攻撃をしようとするが……回避一辺倒のヒトデ型を捉えるのは厳しかった。
「攻撃をしてこないのはいいですが、こうも逃げ回られるとさすがに苛立ちますね」
焦りと苛立ちに剣先を震わせながら、多由羅は逃げ回るヒトデ型を追った。
真は亀型に猛攻を浴びせ続けていた。
対して亀型は、カウンターを使わず真の攻撃を受け続ける。
ここでカウンターを使えば、魔法への対処が出来なくなってしまう……敵はそう直感しているのだろう。
亀型は耐久力にも秀でているようで、カウンターが無くとも、ハンター数人掛かりの攻撃でも耐えることが出来るほどに思えた。
ここでいくら攻め立てても、亀型の根を上げさせるのには、相応の時間が掛かってしまう。
だがしかし、今回は如何せん相手が悪かったようだ。
真の怒濤の攻めに対し、亀型は体力を急激に削られていた。
元から高い攻撃力に加え、『ソウルエッジ』により更に強化された真の連撃が、亀型を追い詰めていく。
「これは、いけそうだね」
押し切れると感じたのか、真は更に『二刀流』、『アスラトゥーリ』と高威力の技を次々と繋げた。
今の亀型に、魔法への対処など考慮している余裕は無かった。蟹型の時とは違い、亀型にはヒトデ型からの援護は一切無い。
このままただ攻撃を受け続けていたら、近いうちに限界が来てしまうだろう。
亀型はたまらず甲羅によるカウンターを使う。すると深く踏み込んでいた真も相応のダメージを受け、大きく後退してしまった。
その瞬間、好機を待ちながら『集中』をしていたまよいの『アブソリュートゼロ』が、亀型を貫いた。
水と地の超威力の魔法が連続で放たれ、亀型はその巨体を大きくのけぞらせる。
「一気に行くよ!」
更にまよいから放たれた二度目の『アブソリュートゼロ』による凄烈な追撃。
過剰ともいえるその魔法は、亀型の姿を完全に覆い隠し、あまりの威力に遂には体の破片さえも残さず消し去った。
亀型が消滅したことにより、一定の距離を保ち逃げ回っていたヒトデ型は、一目散にこの場を離脱しようとしていた。
だが、好機を伺っていたロニは、この状況を決して見逃さない。
「悪いが逃がすわけにはいかない」
逃げようとするヒトデに向かって即座に『プルガトリオ』を放った。
それは見事に命中し、ヒトデの動きを止めることに成功する。
更に『集中』で精度を上げた『レクイエム』により、ヒトデ型の行動を阻害した。
「やっと、止まってくれましたね」
ようやくヒトデ型を捉えることの出来た多由羅は、巨大刀の『祢々切丸』を構える。
防御を捨てた攻撃重視の『一之太刀』の構えを作り、そして地面を擦り赤くほとばしる『紅蓮斬』をヒトデ型に繰り出す。
ヒトデ型はその苛烈な猛撃を身に喰らうも、ギリギリ耐えしのぐ。
そんなヒトデ型の目の前にいたのは、流れるような動きで『納刀の構え』をとった多由羅の姿だった。
直感で危険だと判断したのか、すぐさま逃げようとするヒトデ型。
だが動きを制限されたヒトデ型に対し、『納刀の構え』により威力を格段に高めた多由羅の剣撃が煌めいた。
「これで……終わりです」
それはヒトデ型をいとも簡単に両断し、そしてそのままヒトデ型は砂のように消えていった。
「……なんだ?」
蟹型の猛攻をなんとか防いでいたレイアは、突然の状況の変化に戸惑っていた。
気付けば、あれだけ怒濤の攻撃を繰り出していた蟹型は、なにやらぎこちない動きをしている。
そして、レイアの耳に微かに届く旋律。
ロニがヒトデ型の動きを阻害するために使用した広範囲の『レクイエム』が、蟹型の元にまで届いていたのだ。
もちろん偶然などでは無い。ロニは全体を把握し、効果範囲が重なるように調整していた。
好機とみたレイアは、『守りの構え』を解除し、蟹型を攻撃する。
硬い外殻のせいで大したダメージは与えられなかったが、そこは『ソウルエッジ』により魔力を帯びた剣撃で対応する。
ぎこちない動きをしながらも、蟹型は仕返しと言わんばかりに二つの巨大なハサミをレイアに向ける。
急ぎ駆け付けたロニは、『ホーリーヴェール』を使い、レイアに向けられた攻撃を軽減させた。
「大丈夫か、レイア」
ロニは、レイアの傷付いた身体を『フルリカバリー』で癒やす。
「すまない、助かった」
回復したレイアは、万全な状態で蟹型を一気に攻め立てる。
徐々にダメージを受け、傷を増やしていく蟹型。
もうヒトデ型の支援などは頼れず、レイアの獅子のような攻めに加え、ロニの適切な援護を前に為す術もない。
そして真と多由羅、まよいも駆け付け、集中砲火を受けた蟹型は力無く倒れ消え去った。
●討伐後
レイアは一息つき口を開く。
「ふぅ……中々に厄介な相手だったな」
「……3体で協力し合えばもっと強敵だったんだろうね。まあ、雑魔だし、そこまでの知恵が無かったことが幸い、かな」
真は雑魔達が消え去った跡を見ながら言う。
「そうだね、やっぱり一方的な助けよりも、みんなでしっかり助け合うのが一番だよね」
まよいは確信めいた口調でそう言った。
その隣で、少し残念そうにしている多由羅がいた。
「出来ることなら、あの亀の甲羅を斬ってみたかったのですが……それはまたの機会ですね」
「ああいう手合いとは、あまり戦いたくはないがな」
ロニはうんざりとしつつそう呟き、傷付いている仲間の傷を癒した。
ともあれ、三体の奇妙な関係の雑魔達は無事に倒すことが出来た。
これで森が無くなることはないだろう。
ハンター達はホッとしながら、連なる切株の道を戻っていった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/11 09:33:24 |
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相談卓 ロニ・カルディス(ka0551) ドワーフ|20才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/10/11 14:44:41 |