ゲスト
(ka0000)
【東幕】難事は常に起こるもの
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/10/19 22:00
- 完成日
- 2018/10/22 15:06
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
帝スメラギ(kz0158)は、ある計画を準備していた。
それは――。
『西方に習い、幕府も朝廷も廃して共和制にする』
この計画が成功すれば、既存の価値観は破壊する。
権威の象徴であった幕府と朝廷を潰して新たに議会政治を導入。これまで政は権力者が握っていたものの、これからは議会に集った代表者が政を執り行っていく。
しかし、この計画は劇薬だ。
今までの価値観が破壊される事で、存在意義を否定される者も現れる。
不安はやがて義憤へと替わる。人々を『行動』させるには十分過ぎる理由だ。
●
夜の帳もすっかり落ち、若峰の街に闇が訪れる。
手にした提灯と店先の蝋燭が明かりを放っている。
「これは運が向いてきたな」
軍鶏鍋屋『六方』の暖簾を潜り抜けた三条家軍師、水野 武徳(kz0196)。
その脳裏では、既に様々な試算が繰り返されていた。
「殿、やりましたな。隠忍倭衆を放っていたおかげで思わぬ計画を掴みました」
「うむ。この計画が露見すれば公家の連中も大騒ぎ。じゃが、これも世の常。連中との縁の切れ目じゃわい」
以前より武徳にとって幕府は邪魔な存在であった。
三条 真美(kz0198)の入内話を始め、幕府の権力によって詩天は事実上支配されている。
幕府の気分を害せば、詩天は取り潰し。そうした綱渡りの中で詩天は小国として生きてきた。
この生き方では詩天に未来はない。そう考えた武徳は詩天の独立を画策もしていた。
そこへもたらされた共和制への移行計画。
多数派工作などを仕掛ければ、詩天にとって有利になる展開も起こしやすい。
何より、このような場は下手な公家よりも武徳の方が上手だ。
「しかし……朝廷や幕府の信奉者は黙っておらぬでしょうな」
不安そうな言葉を口にする家臣。
スメラギの計画は、現時点で権力を持つ者にとってあまりに危険
だ。特に公家や武家は今まで手にしていた権力が一夜にして消え去る事になる。現体制を是が非でも維持したいのは当然だろう。
「おるじゃろうな。まったく、時代の流れを考えんか」
愚痴る武徳だが、ほんの数週間前までは幕府を牽制しようと朝廷にすり寄っていたのだ。変わり身の早さは真似できるものではない。
「ところで殿。幕府へ対抗する為に朝廷と手を結んでおりましたが、大丈夫でしょうか」
「臆するな。何か言ってきてもボケたフリでもして誤魔化すわ。わしらは条件の良い方につく。それが詩天の生き方じゃ」
武徳の朝令暮改は、その筋では有名だ。
風見鶏のように方針を変えて周囲を振り回す。本人は特定の考えに縛られていては成長がない、と考えている。
だが、端から見ればそれは……。
「水野武徳っ! 天誅!」
突如物陰から現れる覆面の男。
上段から振り下ろされた刀。その太刀筋は日頃の丹念を欠かさない実直さが感じられる。
武徳は、体を引いて刃から逃れる。
手は自然と腰の刀へと伸びる。
「刺客か」
武徳の呟きを男は聞き流す。
その背後からは数名の男。中には刀を手にしていない者も見受けられる。
「大方、共和制を反対する者達か」
「返答は無用。周辺は同志が包囲している。己の愚行をあの世で恥じるがいい」
帯刀していた男達は一斉に抜刀。
既の男は拳を作り、甲を前に向けて腰を落とす。何らかの武術を修めているようだ。
「む……その構えは」
「覚悟っ!」
武徳の言葉を遮って一斉に斬り掛かる。
武徳は、刀を鞘から抜き放つと右足を強く踏み出した。
「包囲網を突破するぞ。わしは、まだ死ねん。詩天の立場を盤石にするまで……わしは生きねばならんのじゃ」
それは――。
『西方に習い、幕府も朝廷も廃して共和制にする』
この計画が成功すれば、既存の価値観は破壊する。
権威の象徴であった幕府と朝廷を潰して新たに議会政治を導入。これまで政は権力者が握っていたものの、これからは議会に集った代表者が政を執り行っていく。
しかし、この計画は劇薬だ。
今までの価値観が破壊される事で、存在意義を否定される者も現れる。
不安はやがて義憤へと替わる。人々を『行動』させるには十分過ぎる理由だ。
●
夜の帳もすっかり落ち、若峰の街に闇が訪れる。
手にした提灯と店先の蝋燭が明かりを放っている。
「これは運が向いてきたな」
軍鶏鍋屋『六方』の暖簾を潜り抜けた三条家軍師、水野 武徳(kz0196)。
その脳裏では、既に様々な試算が繰り返されていた。
「殿、やりましたな。隠忍倭衆を放っていたおかげで思わぬ計画を掴みました」
「うむ。この計画が露見すれば公家の連中も大騒ぎ。じゃが、これも世の常。連中との縁の切れ目じゃわい」
以前より武徳にとって幕府は邪魔な存在であった。
三条 真美(kz0198)の入内話を始め、幕府の権力によって詩天は事実上支配されている。
幕府の気分を害せば、詩天は取り潰し。そうした綱渡りの中で詩天は小国として生きてきた。
この生き方では詩天に未来はない。そう考えた武徳は詩天の独立を画策もしていた。
そこへもたらされた共和制への移行計画。
多数派工作などを仕掛ければ、詩天にとって有利になる展開も起こしやすい。
何より、このような場は下手な公家よりも武徳の方が上手だ。
「しかし……朝廷や幕府の信奉者は黙っておらぬでしょうな」
不安そうな言葉を口にする家臣。
スメラギの計画は、現時点で権力を持つ者にとってあまりに危険
だ。特に公家や武家は今まで手にしていた権力が一夜にして消え去る事になる。現体制を是が非でも維持したいのは当然だろう。
「おるじゃろうな。まったく、時代の流れを考えんか」
愚痴る武徳だが、ほんの数週間前までは幕府を牽制しようと朝廷にすり寄っていたのだ。変わり身の早さは真似できるものではない。
「ところで殿。幕府へ対抗する為に朝廷と手を結んでおりましたが、大丈夫でしょうか」
「臆するな。何か言ってきてもボケたフリでもして誤魔化すわ。わしらは条件の良い方につく。それが詩天の生き方じゃ」
武徳の朝令暮改は、その筋では有名だ。
風見鶏のように方針を変えて周囲を振り回す。本人は特定の考えに縛られていては成長がない、と考えている。
だが、端から見ればそれは……。
「水野武徳っ! 天誅!」
突如物陰から現れる覆面の男。
上段から振り下ろされた刀。その太刀筋は日頃の丹念を欠かさない実直さが感じられる。
武徳は、体を引いて刃から逃れる。
手は自然と腰の刀へと伸びる。
「刺客か」
武徳の呟きを男は聞き流す。
その背後からは数名の男。中には刀を手にしていない者も見受けられる。
「大方、共和制を反対する者達か」
「返答は無用。周辺は同志が包囲している。己の愚行をあの世で恥じるがいい」
帯刀していた男達は一斉に抜刀。
既の男は拳を作り、甲を前に向けて腰を落とす。何らかの武術を修めているようだ。
「む……その構えは」
「覚悟っ!」
武徳の言葉を遮って一斉に斬り掛かる。
武徳は、刀を鞘から抜き放つと右足を強く踏み出した。
「包囲網を突破するぞ。わしは、まだ死ねん。詩天の立場を盤石にするまで……わしは生きねばならんのじゃ」
リプレイ本文
東方亭スメラギ(kz0158)が、密かに進めている計画。
現在もとある宿場にて会合を進めている事を、三条家軍師水野 武徳(kz0196)は知っている。
何故なら、その計画を掴んだ隠忍倭衆より聞き及んでいたからだ。
――共和制の導入。
それは朝廷と幕府というエトファリカ連邦国内における二大権力を終焉させる事を意味している。
この計画が公になれば、国が乱れんばかりの大騒ぎになる事は間違いない。
「水野様。是非お聞きしたい話がございます」
ハンス・ラインフェルト(ka6750)は、背後にいる武徳へ語りかけた。
久しぶりに武徳との出会い。
軍鶏鍋屋『六方』なる店で舌鼓を打ったのだが、聞かなければいけない話をできないでいた。せめて帰路の途中で聞こうと考えていたのだが――。
「ああ、聞いてやる。この窮地を脱してからな」
武徳からの声。
同時に武徳の手にしていた日本刀が、空を斬る音が響く。
眼前にいた覆面の男は、一歩下がって間合いを取る。
武徳達は囲まれていた。
目的は、武徳の命。
「水野武徳! 東方の地に仇為す不貞行為……見逃せぬ」
覆面の男の一人が武徳へ斬り掛かろうとする。
しかし、武徳と男の間にハンスは体を滑り込ませる。
鋭い眼光。
言葉を口にせず、佇まいだけで男を躊躇させたのだ。
「私は水野様のような面白い方が大好きでして。貴方達のような人に踊らされているばかりの素浪人に大事な水野様をくれてやる気にはなれないのですよ」
ハンスは、聖罰刃「ターミナー・レイ」の柄を握り締める。
正眼の構え。
眼前に突き付けられた切っ先は、覆面の男へと向けられる。
「天誅!」
覆面の男は一気に間合いを詰める。
早い――が、戦闘経験がハンスとは異なり過ぎる。
この程度の早さならあしらう事は容易くない。
覆面の男は突きを繰り出す。それに合わせる様にハンスはターミナー・レイの刃で受け流す。
覆面の男の突きは誰もいない虚空へ向かう。
同時にハンスは円を意識した体捌きで男の背中へと回り込む。
そして、一刀。
「ぐはっ!」
背中より受けた一太刀が男に致命傷を負わせた。
血が噴き出し、男の体が地面へと倒れ込む。
「水野様を襲うなら、容赦はしませんよ」
「……く、くそ。このままじゃ、この国が……」
男は悔やみながら絶命する。
男の発言が真実であれば、本当に国の行く末を案じて襲撃したようにも聞こえる。
「マウジー。水野様の御側へ」
「は、はい!」
ハンスは残る覆面の男に切っ先を向けながらゆっくりと下がる。
その間に穂積 智里(ka6819)は、武徳の傍らへと急ぐ。
「水野様」
「うむ。何とかなりそうか?」
「分かりません。既に敵の仲間が集結しつつあるようです」
智里は武徳へ辿り着くと背後に回って堕杖「エグリゴリ」を構える。
男達が口走った情報を考えれば、既に若峰周辺に散っていた敵の仲間がここに向かって移動を開始しているようた。この場へ留まっていれば、すべての敵を相手にする事になる。
「殿、如何致しましょう?」
部下が慌てた様子で武徳へ問いかける。
部下も覚醒者ではあるが防戦を強いられているようだ。
「これだけの手勢。計画的な襲撃とみるべきか」
「はい。まずは包囲網を突破しなければなりません」
八重 春亜(ka7018)は、符を取り出して修祓陣を使う。
武徳と部下に結界が張られ、美しい光が地面より立ち上る。
ここより直線で500メートル先に武徳の屋敷がある。そこまで逃げ込めば、覆面の男達も下手に手を出せない。何故なら、三条家軍師となれば多くの家臣が控えている上、無理に強行すれば詩天での活動が困難になるからだ。
言い換えれば、武徳を屋敷まで守り切れば窮地を脱する事ができる。
「水野様、参りましょう」
「そうじゃな。まずはここを離れなければならん」
春亜に促されるように動き出す武徳。
その背後を守るように智里も走り出す。
「ハンスさん!」
未だ覆面の男と対峙するハンスを智里は大声で呼び掛けた。
ハンスはゆっくりと動き出す。
覆面の男達との間合いが広がる。
「待て!」
当然のように、後を追おうとする敵。
しかし、智里はその追跡を阻んだ。
「こんな下らない事を仕掛けてくる貴方達より、水野様の方がこの地に万倍大切です!」
智里はエグリゴリを振るう。
次の瞬間、地面から土の壁がせり上がってくる。
アースウォールが覆面の男達の行く手を遮ったのだ。
その間にハンスも一気に距離を詰めて武徳達の元へと追いついた。
突如発生した武徳襲撃事件は――若峰の夜で始まった。
●
「水野殿。長いものに巻かれるのは賢い選択とは思いますが、時には信用も重要です。努々、お忘れなきよう」
春亜は走りながら武徳へ言葉を投げかけた。
スメラギが正式に計画を宣言すれば、この国は大きく動き出す。
春亜は武徳がこの流れに乗る事は間違っているとは思わないが、今まで築いてきた信用も忘れてはいけない。
そう諭しているのだ。
「長いもの? 違うな。この流れは好機よ」
「好機?」
「詩天は資源は少ない。故に国力は幕府の前へ遠く及ばん。このままでは幕府へ良いように使われるのがオチよ。その証拠が詩天様と帝の婚約騒ぎだ。
詩天を守る為には独立が必要。だからこそ、詩天独自で西方諸国との交易を考えおった。
だが、帝が共和制を唱えたとなれば話は変わる。詩天の発言力は一定に保たれる。その上、他の者を抱き込めば声は大きくなる。発言の裏に武力は必要じゃが、また別の戦いを仕掛ける事もできるという訳だ」
春亜も概要程度であるが、詩天の経緯は知っている。
特に三条家君主にして詩天の最高権力者とされる九代目詩天の三条 真美(kz0198)とスメラギの婚約話を幕府が画策したという話は聞き及んでいる。仮にこの話が成功していれば、三条家の世継ぎはいなくなる。結果的に三条家はお家断絶、詩天も幕府の直轄になっていた可能性がある。
幕府からすればスメラギの世継ぎとして始まったのかもしれないが、詩天側の武徳には許されない話だった。だからこそ、今回スメラギが進めている共和制導入は詩天が生き残る方策として最適と言えるのだろう。
「ですが、水野殿。暗殺されるという事はそれだけ敵を多くお作りになったという事。その事を……」
「分かっておる。説教は後で聞くわい」
春亜の声を遮るように武徳は声を上げた。
共和制の話が出た途端、武徳を狙ったのはそれだけ武徳を邪魔と考えた者達がいた証拠だ。何を画策していたかは知らないが、話では朝廷にまでちょっかいを出していたらしい。
もっと厳しい言葉を言ってやりたい所だが、敢えて話せない事を無理に聞き出すつもりはない。
「ハンスさん、前方に敵です」
智里が道の遠くに灯りを発見する。
灯りは徐々にこちらへと近づいていく。仲間であれば良いが、武徳の屋敷からやってきたにしては早すぎる。
「こちらも灯火の水晶球を使っているとはいえ、来るのが早いですね」
ハンスは前方に向かって走り出す。
前方から攻める敵を蹴散らして突破口を開く為だ。
だが、敵の数は想定よりも多い。
「殿! 背後からも敵が参りますぞ」
「む。もう追いついてきたか」
武徳が振り返れば、素手や刀を手にした者達が後方から駆け寄ってくる。
敵を倒して大立ち回りを演じれば、敵は声のする方に向かって進む。直線に進めば良いだけだが、敵も相応の準備をして計画に望んでいたようだ。
「水野様に手出しはさせません」
智里はデルタレイで敵の侵攻を阻む。
だが、集まってくる敵の方が多く、一人を倒しても残りの敵は容赦なく近づいてくる。
「水野殿、お下がりを」
春亜は刀「鶴丸」を抜いた。
間合いを詰め、手にしていた刀を振りかぶる男達。
そこへ一台の魔導ママチャリ「銀嶺」が滑り込んでくる。
「……お!」
路地裏から飛び出した銀嶺。
銀嶺の主は、すれ違い様に男の喉元へラリアートを叩き込む。
後方へ投げ出され、地面で悶絶する男。
苦しむ男を無視するように銀嶺の主――ゾファル・G・初火(ka4407)は襲撃してきた男達を見据えた。
「多勢に無勢か……。なんか面白い事やってんジャン。俺様も混ぜてくれよな。
ちょうどムシャクシャしてた所なんだよ」
自転車を降りたゾファルは、とある依頼で重傷になって準備していた依頼に行く事ができなかった。
死地大好き、窮地大好きなゾファルにとってそれは鬱憤を溜める事件だ。
詩天に物見遊山で夜のサイクリングを楽しんでいた所でこの襲撃だ。
おまけに多くの人間が少数の人間に攻撃を仕掛けている。
このゾファル好みの状況――放置しておくにはあまりにも勿体ない。
「楽しそうな遊びジャン。ルールを教えてくれよ」
「ハンターか? わしらは狙われておる。この先の屋敷まで逃げ果せれば良いのだが……」
武徳はゾファルへ簡単な経緯を説明する。
その雰囲気から自分へ味方してくれると考えての事だ。
だが、その説明も徒労に終わる。
ゾファルの考え方はもっとシンプルだからだ。
「良く分からないから、早い話全員ぶちのめせばいいジャン」
蒼機拳「ドラセナ」を装備してガウスジェイルを発動するゾファル。
強制的に武徳達への攻撃を自分へとねじ曲げる。
「ゾファルさん、こうしている間にも敵が集まってきます」
「マジで!? 最高ジャン。詩天ってぇところはこんなにエキサイトさせてくれるんだ」
ゾファルは体を震えさせる。
自分に向けられる殺意。その中で繰り広げられる命のやり取り。
混ざり合う感情が、この場に混沌の渦を生じさせる。
「まとめて来るジャン。俺様ちゃんが興奮できるぐらいの死地、用意してくれるんだろうな?」
●
ゾファルの介入で武徳一行は大きく歩みを進める事ができた。
路地から飛び出してくる敵に気を付けてさえ居れば、奇襲を受ける事はない。
周辺の家屋は商家である事から比較的大きい木造の建物だ。屋根に登るにも少々時間がかかる。それよりも行き先で待ち伏せして仕留めるのが敵の作戦なのだろうが、それをいとも簡単に突破するのはハンター達と敵の力量差にある。
「なにこれ? 何の遊びなの?」
「……くっ」
地面に転がる刀を蹴飛ばし、転がった覆面の男を見下ろす。
敵も覚醒者ではあるが、一人当たりの強さは大した事は無い。やはり集団で集まらければ相手としては不足気味だ。
やや不完全燃焼気味のゾファルは、男を放置して先へと進む。
「水野様、全力移動と戦闘しながらの移動。緩急をつけての移動である故、ご無理をさせて申し訳ありません」
ハンスが前面に立って進路を切り開いているが、全力疾走と戦闘を繰り返す形になってしまう。
武徳もハンターと共に進んでいるが、どうしても寄る年波には勝てないようだ。
「大事ない。それより間もなく屋敷じゃな」
「水野殿、前方で敵が待ち伏せています」
春亜が指差す方向には覆面の集団が待ち構えている。
向かう先を予測すれば進路に敵を配置するのは当たり前。
しかし、その中で智里は気になっている事があった。
「水野様、先程から敵の中に格闘士が紛れています。あの者達は……」
「うむ、お主も気付いたか。もし、推測通りであれば少々厄介な事になる」
武徳も智里の意見を察したようだ。
こうしている間にも敵集団との間合いが詰まっていく。
前方にいた格闘士の一人が、体を捻り遠心力を乗せた蹴りを放つ。
その蹴りをゾファルはドラセナで受け止める。
「まあまあの蹴りジャン」
腕に伝わる感触。悪くはない。
だが、格闘士の蹴りはここで終わらない。
さらに体を捻って軸にしていた足で二撃目の蹴りを放つ。
一撃目よりも重い蹴りがドラセナに衝撃として加わる。
「おお!? いいジャン。それぐらいの蹴りが出せるなら少しは楽しめるジャン」
先程の侍と相手が違う感覚に、心を躍らせるゾファル。
だが、傍らにいたハンスはその体捌きに見覚えがあった。
「その動き……あなた、泰山の僧侶ですね?」
「…………」
泰山。
春亜には耳慣れない単語であった。
傍らにいた武徳の家臣に問いかける。
「泰山とは何でしょう?」
「泰山は隣国になります。正式には泰山龍鳴寺。自治領であり保守的で外部との関わりを断っていますが、そこは幕府と盟約を結んで庇護されていると噂されています」
家臣によれば泰山龍鳴寺は幕府と盟約を結んで自治を認められている代わりに必要に応じて幕府を救援する関係を結んでいる。
だとすれば、春亜の脳裏にも謎が生まれる。
「泰山は外部と関わりを持たぬのなら、何故ここに? 水野殿を襲撃するのは不可思議です」
「わしもそこが腑に落ちぬのよ。
……おい、そこの僧侶。僧正がわしを狙ったのか?」
武徳は思い切って格闘士達に声をかけた。
まともに答えが返ってこないと予測した上だ。
だが――。
「僧正様は関係ない。泰山の未来を守る為には、国の体を壊さんとする水野武徳を討ち取る他無い」
「そうだ! 朝廷に近づいて帝を誑かしたのだろう!」
「水野を討て! それでこの国は守られる!」
僧侶達は口々に武徳を攻め立てる。
どうやら、僧侶の一部が泰山を守る為に立ち上がった結果のようだ。
「ハンス。ここに来るまでに僧侶らしき者達を斬ったか?」
「ええ。既に手遅れです」
「そうか……」
ハンスの答えに武徳はそう答えた。
ハンスは悪くない。すべて武徳を守る為だ。
だが、状況によっては泰山が詩天に軍師に向けて刺客を放ったも同然だ。泰山も知らなかったでは済まない。
「水野様。戻る事はできません。参りましょう」
事態が焦臭くなってきた事を理解した上で、智里は進言する。
ここにいれば武徳の身が危ういからだ。
「何だか良く分からねぇが、まとめてかかって来るジャン。面倒見てやるからさ」
ゾファルはドラセナをぶつけて気合いを入れる。
結局、ここまで来れば相手をぶちのめして進む他無いのだ。
●
ハンターの活躍もあり、武徳は無事屋敷へ送り届けられた。
敵も屋敷に逃げ込まれた事で追跡を断念。倒された敵は遅れて駆けつけた即疾隊が処理してくれる事になった。
「水野様。お伺いしたい事が」
ハンスと智里が武徳の屋敷を訪れ、改めて話をしにきた。
「なんじゃ?」
「詩天へ住むに辺り、水野様の配下になる義務はあるのでしょうか?」
「義務はない。好きにして構わん。人が住むとはもっと自由なものじゃ」
「でも、税はあるのでしょう? ならば、届け出が必要では?」
「その辺りはわしの家臣にでも聞けば良い。
だが……良いのか?」
武徳は二人に問いかけた。
首を傾げる智里。
「何か心配でも?」
「うむ」
そういって武徳は、立ち上がる。
武徳の表情を、智里は詩天の行く末を案じているように見えた。
「泰山と……戦になるかもしれぬでな」
現在もとある宿場にて会合を進めている事を、三条家軍師水野 武徳(kz0196)は知っている。
何故なら、その計画を掴んだ隠忍倭衆より聞き及んでいたからだ。
――共和制の導入。
それは朝廷と幕府というエトファリカ連邦国内における二大権力を終焉させる事を意味している。
この計画が公になれば、国が乱れんばかりの大騒ぎになる事は間違いない。
「水野様。是非お聞きしたい話がございます」
ハンス・ラインフェルト(ka6750)は、背後にいる武徳へ語りかけた。
久しぶりに武徳との出会い。
軍鶏鍋屋『六方』なる店で舌鼓を打ったのだが、聞かなければいけない話をできないでいた。せめて帰路の途中で聞こうと考えていたのだが――。
「ああ、聞いてやる。この窮地を脱してからな」
武徳からの声。
同時に武徳の手にしていた日本刀が、空を斬る音が響く。
眼前にいた覆面の男は、一歩下がって間合いを取る。
武徳達は囲まれていた。
目的は、武徳の命。
「水野武徳! 東方の地に仇為す不貞行為……見逃せぬ」
覆面の男の一人が武徳へ斬り掛かろうとする。
しかし、武徳と男の間にハンスは体を滑り込ませる。
鋭い眼光。
言葉を口にせず、佇まいだけで男を躊躇させたのだ。
「私は水野様のような面白い方が大好きでして。貴方達のような人に踊らされているばかりの素浪人に大事な水野様をくれてやる気にはなれないのですよ」
ハンスは、聖罰刃「ターミナー・レイ」の柄を握り締める。
正眼の構え。
眼前に突き付けられた切っ先は、覆面の男へと向けられる。
「天誅!」
覆面の男は一気に間合いを詰める。
早い――が、戦闘経験がハンスとは異なり過ぎる。
この程度の早さならあしらう事は容易くない。
覆面の男は突きを繰り出す。それに合わせる様にハンスはターミナー・レイの刃で受け流す。
覆面の男の突きは誰もいない虚空へ向かう。
同時にハンスは円を意識した体捌きで男の背中へと回り込む。
そして、一刀。
「ぐはっ!」
背中より受けた一太刀が男に致命傷を負わせた。
血が噴き出し、男の体が地面へと倒れ込む。
「水野様を襲うなら、容赦はしませんよ」
「……く、くそ。このままじゃ、この国が……」
男は悔やみながら絶命する。
男の発言が真実であれば、本当に国の行く末を案じて襲撃したようにも聞こえる。
「マウジー。水野様の御側へ」
「は、はい!」
ハンスは残る覆面の男に切っ先を向けながらゆっくりと下がる。
その間に穂積 智里(ka6819)は、武徳の傍らへと急ぐ。
「水野様」
「うむ。何とかなりそうか?」
「分かりません。既に敵の仲間が集結しつつあるようです」
智里は武徳へ辿り着くと背後に回って堕杖「エグリゴリ」を構える。
男達が口走った情報を考えれば、既に若峰周辺に散っていた敵の仲間がここに向かって移動を開始しているようた。この場へ留まっていれば、すべての敵を相手にする事になる。
「殿、如何致しましょう?」
部下が慌てた様子で武徳へ問いかける。
部下も覚醒者ではあるが防戦を強いられているようだ。
「これだけの手勢。計画的な襲撃とみるべきか」
「はい。まずは包囲網を突破しなければなりません」
八重 春亜(ka7018)は、符を取り出して修祓陣を使う。
武徳と部下に結界が張られ、美しい光が地面より立ち上る。
ここより直線で500メートル先に武徳の屋敷がある。そこまで逃げ込めば、覆面の男達も下手に手を出せない。何故なら、三条家軍師となれば多くの家臣が控えている上、無理に強行すれば詩天での活動が困難になるからだ。
言い換えれば、武徳を屋敷まで守り切れば窮地を脱する事ができる。
「水野様、参りましょう」
「そうじゃな。まずはここを離れなければならん」
春亜に促されるように動き出す武徳。
その背後を守るように智里も走り出す。
「ハンスさん!」
未だ覆面の男と対峙するハンスを智里は大声で呼び掛けた。
ハンスはゆっくりと動き出す。
覆面の男達との間合いが広がる。
「待て!」
当然のように、後を追おうとする敵。
しかし、智里はその追跡を阻んだ。
「こんな下らない事を仕掛けてくる貴方達より、水野様の方がこの地に万倍大切です!」
智里はエグリゴリを振るう。
次の瞬間、地面から土の壁がせり上がってくる。
アースウォールが覆面の男達の行く手を遮ったのだ。
その間にハンスも一気に距離を詰めて武徳達の元へと追いついた。
突如発生した武徳襲撃事件は――若峰の夜で始まった。
●
「水野殿。長いものに巻かれるのは賢い選択とは思いますが、時には信用も重要です。努々、お忘れなきよう」
春亜は走りながら武徳へ言葉を投げかけた。
スメラギが正式に計画を宣言すれば、この国は大きく動き出す。
春亜は武徳がこの流れに乗る事は間違っているとは思わないが、今まで築いてきた信用も忘れてはいけない。
そう諭しているのだ。
「長いもの? 違うな。この流れは好機よ」
「好機?」
「詩天は資源は少ない。故に国力は幕府の前へ遠く及ばん。このままでは幕府へ良いように使われるのがオチよ。その証拠が詩天様と帝の婚約騒ぎだ。
詩天を守る為には独立が必要。だからこそ、詩天独自で西方諸国との交易を考えおった。
だが、帝が共和制を唱えたとなれば話は変わる。詩天の発言力は一定に保たれる。その上、他の者を抱き込めば声は大きくなる。発言の裏に武力は必要じゃが、また別の戦いを仕掛ける事もできるという訳だ」
春亜も概要程度であるが、詩天の経緯は知っている。
特に三条家君主にして詩天の最高権力者とされる九代目詩天の三条 真美(kz0198)とスメラギの婚約話を幕府が画策したという話は聞き及んでいる。仮にこの話が成功していれば、三条家の世継ぎはいなくなる。結果的に三条家はお家断絶、詩天も幕府の直轄になっていた可能性がある。
幕府からすればスメラギの世継ぎとして始まったのかもしれないが、詩天側の武徳には許されない話だった。だからこそ、今回スメラギが進めている共和制導入は詩天が生き残る方策として最適と言えるのだろう。
「ですが、水野殿。暗殺されるという事はそれだけ敵を多くお作りになったという事。その事を……」
「分かっておる。説教は後で聞くわい」
春亜の声を遮るように武徳は声を上げた。
共和制の話が出た途端、武徳を狙ったのはそれだけ武徳を邪魔と考えた者達がいた証拠だ。何を画策していたかは知らないが、話では朝廷にまでちょっかいを出していたらしい。
もっと厳しい言葉を言ってやりたい所だが、敢えて話せない事を無理に聞き出すつもりはない。
「ハンスさん、前方に敵です」
智里が道の遠くに灯りを発見する。
灯りは徐々にこちらへと近づいていく。仲間であれば良いが、武徳の屋敷からやってきたにしては早すぎる。
「こちらも灯火の水晶球を使っているとはいえ、来るのが早いですね」
ハンスは前方に向かって走り出す。
前方から攻める敵を蹴散らして突破口を開く為だ。
だが、敵の数は想定よりも多い。
「殿! 背後からも敵が参りますぞ」
「む。もう追いついてきたか」
武徳が振り返れば、素手や刀を手にした者達が後方から駆け寄ってくる。
敵を倒して大立ち回りを演じれば、敵は声のする方に向かって進む。直線に進めば良いだけだが、敵も相応の準備をして計画に望んでいたようだ。
「水野様に手出しはさせません」
智里はデルタレイで敵の侵攻を阻む。
だが、集まってくる敵の方が多く、一人を倒しても残りの敵は容赦なく近づいてくる。
「水野殿、お下がりを」
春亜は刀「鶴丸」を抜いた。
間合いを詰め、手にしていた刀を振りかぶる男達。
そこへ一台の魔導ママチャリ「銀嶺」が滑り込んでくる。
「……お!」
路地裏から飛び出した銀嶺。
銀嶺の主は、すれ違い様に男の喉元へラリアートを叩き込む。
後方へ投げ出され、地面で悶絶する男。
苦しむ男を無視するように銀嶺の主――ゾファル・G・初火(ka4407)は襲撃してきた男達を見据えた。
「多勢に無勢か……。なんか面白い事やってんジャン。俺様も混ぜてくれよな。
ちょうどムシャクシャしてた所なんだよ」
自転車を降りたゾファルは、とある依頼で重傷になって準備していた依頼に行く事ができなかった。
死地大好き、窮地大好きなゾファルにとってそれは鬱憤を溜める事件だ。
詩天に物見遊山で夜のサイクリングを楽しんでいた所でこの襲撃だ。
おまけに多くの人間が少数の人間に攻撃を仕掛けている。
このゾファル好みの状況――放置しておくにはあまりにも勿体ない。
「楽しそうな遊びジャン。ルールを教えてくれよ」
「ハンターか? わしらは狙われておる。この先の屋敷まで逃げ果せれば良いのだが……」
武徳はゾファルへ簡単な経緯を説明する。
その雰囲気から自分へ味方してくれると考えての事だ。
だが、その説明も徒労に終わる。
ゾファルの考え方はもっとシンプルだからだ。
「良く分からないから、早い話全員ぶちのめせばいいジャン」
蒼機拳「ドラセナ」を装備してガウスジェイルを発動するゾファル。
強制的に武徳達への攻撃を自分へとねじ曲げる。
「ゾファルさん、こうしている間にも敵が集まってきます」
「マジで!? 最高ジャン。詩天ってぇところはこんなにエキサイトさせてくれるんだ」
ゾファルは体を震えさせる。
自分に向けられる殺意。その中で繰り広げられる命のやり取り。
混ざり合う感情が、この場に混沌の渦を生じさせる。
「まとめて来るジャン。俺様ちゃんが興奮できるぐらいの死地、用意してくれるんだろうな?」
●
ゾファルの介入で武徳一行は大きく歩みを進める事ができた。
路地から飛び出してくる敵に気を付けてさえ居れば、奇襲を受ける事はない。
周辺の家屋は商家である事から比較的大きい木造の建物だ。屋根に登るにも少々時間がかかる。それよりも行き先で待ち伏せして仕留めるのが敵の作戦なのだろうが、それをいとも簡単に突破するのはハンター達と敵の力量差にある。
「なにこれ? 何の遊びなの?」
「……くっ」
地面に転がる刀を蹴飛ばし、転がった覆面の男を見下ろす。
敵も覚醒者ではあるが、一人当たりの強さは大した事は無い。やはり集団で集まらければ相手としては不足気味だ。
やや不完全燃焼気味のゾファルは、男を放置して先へと進む。
「水野様、全力移動と戦闘しながらの移動。緩急をつけての移動である故、ご無理をさせて申し訳ありません」
ハンスが前面に立って進路を切り開いているが、全力疾走と戦闘を繰り返す形になってしまう。
武徳もハンターと共に進んでいるが、どうしても寄る年波には勝てないようだ。
「大事ない。それより間もなく屋敷じゃな」
「水野殿、前方で敵が待ち伏せています」
春亜が指差す方向には覆面の集団が待ち構えている。
向かう先を予測すれば進路に敵を配置するのは当たり前。
しかし、その中で智里は気になっている事があった。
「水野様、先程から敵の中に格闘士が紛れています。あの者達は……」
「うむ、お主も気付いたか。もし、推測通りであれば少々厄介な事になる」
武徳も智里の意見を察したようだ。
こうしている間にも敵集団との間合いが詰まっていく。
前方にいた格闘士の一人が、体を捻り遠心力を乗せた蹴りを放つ。
その蹴りをゾファルはドラセナで受け止める。
「まあまあの蹴りジャン」
腕に伝わる感触。悪くはない。
だが、格闘士の蹴りはここで終わらない。
さらに体を捻って軸にしていた足で二撃目の蹴りを放つ。
一撃目よりも重い蹴りがドラセナに衝撃として加わる。
「おお!? いいジャン。それぐらいの蹴りが出せるなら少しは楽しめるジャン」
先程の侍と相手が違う感覚に、心を躍らせるゾファル。
だが、傍らにいたハンスはその体捌きに見覚えがあった。
「その動き……あなた、泰山の僧侶ですね?」
「…………」
泰山。
春亜には耳慣れない単語であった。
傍らにいた武徳の家臣に問いかける。
「泰山とは何でしょう?」
「泰山は隣国になります。正式には泰山龍鳴寺。自治領であり保守的で外部との関わりを断っていますが、そこは幕府と盟約を結んで庇護されていると噂されています」
家臣によれば泰山龍鳴寺は幕府と盟約を結んで自治を認められている代わりに必要に応じて幕府を救援する関係を結んでいる。
だとすれば、春亜の脳裏にも謎が生まれる。
「泰山は外部と関わりを持たぬのなら、何故ここに? 水野殿を襲撃するのは不可思議です」
「わしもそこが腑に落ちぬのよ。
……おい、そこの僧侶。僧正がわしを狙ったのか?」
武徳は思い切って格闘士達に声をかけた。
まともに答えが返ってこないと予測した上だ。
だが――。
「僧正様は関係ない。泰山の未来を守る為には、国の体を壊さんとする水野武徳を討ち取る他無い」
「そうだ! 朝廷に近づいて帝を誑かしたのだろう!」
「水野を討て! それでこの国は守られる!」
僧侶達は口々に武徳を攻め立てる。
どうやら、僧侶の一部が泰山を守る為に立ち上がった結果のようだ。
「ハンス。ここに来るまでに僧侶らしき者達を斬ったか?」
「ええ。既に手遅れです」
「そうか……」
ハンスの答えに武徳はそう答えた。
ハンスは悪くない。すべて武徳を守る為だ。
だが、状況によっては泰山が詩天に軍師に向けて刺客を放ったも同然だ。泰山も知らなかったでは済まない。
「水野様。戻る事はできません。参りましょう」
事態が焦臭くなってきた事を理解した上で、智里は進言する。
ここにいれば武徳の身が危ういからだ。
「何だか良く分からねぇが、まとめてかかって来るジャン。面倒見てやるからさ」
ゾファルはドラセナをぶつけて気合いを入れる。
結局、ここまで来れば相手をぶちのめして進む他無いのだ。
●
ハンターの活躍もあり、武徳は無事屋敷へ送り届けられた。
敵も屋敷に逃げ込まれた事で追跡を断念。倒された敵は遅れて駆けつけた即疾隊が処理してくれる事になった。
「水野様。お伺いしたい事が」
ハンスと智里が武徳の屋敷を訪れ、改めて話をしにきた。
「なんじゃ?」
「詩天へ住むに辺り、水野様の配下になる義務はあるのでしょうか?」
「義務はない。好きにして構わん。人が住むとはもっと自由なものじゃ」
「でも、税はあるのでしょう? ならば、届け出が必要では?」
「その辺りはわしの家臣にでも聞けば良い。
だが……良いのか?」
武徳は二人に問いかけた。
首を傾げる智里。
「何か心配でも?」
「うむ」
そういって武徳は、立ち上がる。
武徳の表情を、智里は詩天の行く末を案じているように見えた。
「泰山と……戦になるかもしれぬでな」
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/17 23:26:16 |
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変革の刻(相談) 八重 春亜(ka7018) オートマトン|18才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2018/10/19 00:10:05 |