ゲスト
(ka0000)
精霊対ユグディラ、南瓜ピンチ!
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/10/23 15:00
- 完成日
- 2018/10/29 01:16
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●精霊との邂逅
ラカ・ベルフは龍園からグラズヘイム王国のある地域を訪れた。ルゥル(kz0210)経由で情報を得て、大きめな南瓜を得るために来たのだった。
王国に来たことはあったが、オフィスを出たところで呆然とした。
「町が違いますわ」
石畳、石造りの建物は変わらないが、雰囲気が大きく違う。
道の幅や通り過ぎる人の様子など変わる些事で多岐にわたる違いがある。
「……えっと、領主の屋敷はこちらですね」
地図を逆さに見て彼女は進んだ。
その結果、川に出た。
「地図が違います? いえ、川って書いてありますから」
逆に見たということがようやく分かった。
川をちらっと見た後、立ち去らず、川辺に寄った。
大きな川を眺めていると、対岸にも町があるのが分かった。
「あああああ、どろぼーねこおおおおお」
少女ぽい甲高い声が響き、勢いよく水が飛んできた。ラカはかぶる。
ラカの横を猫が走り去った、後ろ足で立って。
「……ごめん」
ラカの前に、髪も肌も、洋服もすべて水色の少女ぽい存在があり、頭を下げた後、ラカの横を通り過ぎた生き物を追いかけ始めた。
「……な、なんですのおおおおおおおおおおおお」
ラカはずぶぬれで絶叫をしたのだった。
龍園を出るからこのような目に合うんだと思うと悲しくなり、南瓜をあきらめて帰ろうと思い始める。青龍さまの側が一番いいと思ったりする。
「お嬢さん、大丈夫かね?」
「精霊さまを見るのは始めたかね」
老人が数人、タオルを手に寄ってくる。
「ほれ、これで拭きなされ」
「……ありがとうございます、うう」
龍園の外はひどいと思った自分にも悲しくなる。それに加え、この老人たちの優しさに涙がこぼれる。
「そんな泣きなさんな。最近、あのユグディラが悪さするから困っているんじゃ。精霊さまも被害に遭われてのう」
ラカはきょとんとなる。精霊とかユグディラとか言っているからだ。
「精霊? ユグディラ?」
「ここの川に住んでいる精霊さまだよ、さっきの子は」
「それに、後ろ足で立っていた猫がおっただろう? あれがユグディラだよ」
老人たちは口々に説明をしてくれる。そして、説明する老人たちはどこか誇らしげでもあった。
「タオルありがとうございました」
「なんの、そのくらい。この辺りの人でないお嬢さんが、嫌な思い出を作って帰ると考えるのもいやなものだよ?」
老人たちはにこにことしている。
「それより、どこに行こうとしていたのかね?」
「領主の屋敷です」
「……あっちだよ?」
指さされた方に進んでいった。地図を今度はきちんと読みながら。
●南瓜を入手するには
無事、領主の屋敷に到着した。一階のところで要件を伝えると、執務室に案内された。
イノア・クリシスは、ラカがどこか疲れている様子だったためどうかしたのか問うた。
町であったことを聞くとイノアはすぐに謝罪する。
「申し訳ありませんでした。川の精霊が……」
「あなたが謝ることではありませんわ。精霊がしたことであり、あなたのしたことではないのですわ」
ラカはきっぱりと言う。
「で、南瓜収穫の件で来てくださったのですよね?」
「そうですわ」
その時、使用人が慌てて入ってきた。
「リオさまと野良ユグディラが南瓜畑で一騎打ちをしようとしています」
イノアはバッと椅子から立ちあがる。
「は、早く止めないと! リオさん、なんでそこまで行けたのですか!?」
「用水路があります」
使用人の言葉は、川につながる水という通路があるという明快な回答。
「ハンターの方に依頼を! 至急、止めて下さいと」
「は」
使用人は急いで部屋を後にした。
イノアの前でラカが呆然としている。
「つまりですね……当家がイベントに役立つよう作った南瓜が植わっている畑があるのですが、そこに、精霊とユグディラが入り込みました。その上、これまでの問題が積み重なり、一騎打ちというか、けんかしようとしています」
ラカはピンとこないようで、目を瞬く。
「精霊は水を操れます。ユグディラは南瓜をどうするかわかりません」
イノアの説明に、ラカは立ち上がる。
「と、止めに行きます。止められるのですか?」
「止めてもらわないと、南瓜がどうなるかわかりません」
「行ってきますわ!」
「待ってください! あなた一人で行かせるわけにはいきません! あ、ちょ……」
ラカは出て行った。
イノアは呼び鈴を振る。
「どうかしましたか?」
青年が入ってくる。
「ハンターへの依頼を追加です。ラカ・ベルクさんが迷子になる可能性があるので……ジョージ、あなたは先ほどの方の人相を覚えました?」
「ええ、すれ違いましたし。全体的に青いですし」
「探してくださる? 今すぐ!」
近くにいるはずだから、イノアは護衛の任務を担うジョージ・モースに依頼をしたのだった。
●南瓜畑
太陽は穏やかに地面を照らしている。
そこには丸々としたオレンジの南瓜が転がっている。
雑魔が一体紛れ込んでいるかもしれないけれども、それが些末に思える状況に実はなっている。
太陽は見ているだけ。
「ふしゃあああああああああああ」
背中の毛を逆立てるユグディラ、何といっているか不明。
「んもおおおおおおおおおおおお」
怒りをあらわにする精霊リオ、その他通称いっぱいあってなは気迫を込めた声をあげる。
南瓜を挟んでじりじりと対峙していた。
ラカは気付いた、場所がわからないことに。
その上、何も考えないで飛び出したから、ここがどこかわからない。
「青龍さまああああ」
半泣きだった。
ラカ・ベルフは龍園からグラズヘイム王国のある地域を訪れた。ルゥル(kz0210)経由で情報を得て、大きめな南瓜を得るために来たのだった。
王国に来たことはあったが、オフィスを出たところで呆然とした。
「町が違いますわ」
石畳、石造りの建物は変わらないが、雰囲気が大きく違う。
道の幅や通り過ぎる人の様子など変わる些事で多岐にわたる違いがある。
「……えっと、領主の屋敷はこちらですね」
地図を逆さに見て彼女は進んだ。
その結果、川に出た。
「地図が違います? いえ、川って書いてありますから」
逆に見たということがようやく分かった。
川をちらっと見た後、立ち去らず、川辺に寄った。
大きな川を眺めていると、対岸にも町があるのが分かった。
「あああああ、どろぼーねこおおおおお」
少女ぽい甲高い声が響き、勢いよく水が飛んできた。ラカはかぶる。
ラカの横を猫が走り去った、後ろ足で立って。
「……ごめん」
ラカの前に、髪も肌も、洋服もすべて水色の少女ぽい存在があり、頭を下げた後、ラカの横を通り過ぎた生き物を追いかけ始めた。
「……な、なんですのおおおおおおおおおおおお」
ラカはずぶぬれで絶叫をしたのだった。
龍園を出るからこのような目に合うんだと思うと悲しくなり、南瓜をあきらめて帰ろうと思い始める。青龍さまの側が一番いいと思ったりする。
「お嬢さん、大丈夫かね?」
「精霊さまを見るのは始めたかね」
老人が数人、タオルを手に寄ってくる。
「ほれ、これで拭きなされ」
「……ありがとうございます、うう」
龍園の外はひどいと思った自分にも悲しくなる。それに加え、この老人たちの優しさに涙がこぼれる。
「そんな泣きなさんな。最近、あのユグディラが悪さするから困っているんじゃ。精霊さまも被害に遭われてのう」
ラカはきょとんとなる。精霊とかユグディラとか言っているからだ。
「精霊? ユグディラ?」
「ここの川に住んでいる精霊さまだよ、さっきの子は」
「それに、後ろ足で立っていた猫がおっただろう? あれがユグディラだよ」
老人たちは口々に説明をしてくれる。そして、説明する老人たちはどこか誇らしげでもあった。
「タオルありがとうございました」
「なんの、そのくらい。この辺りの人でないお嬢さんが、嫌な思い出を作って帰ると考えるのもいやなものだよ?」
老人たちはにこにことしている。
「それより、どこに行こうとしていたのかね?」
「領主の屋敷です」
「……あっちだよ?」
指さされた方に進んでいった。地図を今度はきちんと読みながら。
●南瓜を入手するには
無事、領主の屋敷に到着した。一階のところで要件を伝えると、執務室に案内された。
イノア・クリシスは、ラカがどこか疲れている様子だったためどうかしたのか問うた。
町であったことを聞くとイノアはすぐに謝罪する。
「申し訳ありませんでした。川の精霊が……」
「あなたが謝ることではありませんわ。精霊がしたことであり、あなたのしたことではないのですわ」
ラカはきっぱりと言う。
「で、南瓜収穫の件で来てくださったのですよね?」
「そうですわ」
その時、使用人が慌てて入ってきた。
「リオさまと野良ユグディラが南瓜畑で一騎打ちをしようとしています」
イノアはバッと椅子から立ちあがる。
「は、早く止めないと! リオさん、なんでそこまで行けたのですか!?」
「用水路があります」
使用人の言葉は、川につながる水という通路があるという明快な回答。
「ハンターの方に依頼を! 至急、止めて下さいと」
「は」
使用人は急いで部屋を後にした。
イノアの前でラカが呆然としている。
「つまりですね……当家がイベントに役立つよう作った南瓜が植わっている畑があるのですが、そこに、精霊とユグディラが入り込みました。その上、これまでの問題が積み重なり、一騎打ちというか、けんかしようとしています」
ラカはピンとこないようで、目を瞬く。
「精霊は水を操れます。ユグディラは南瓜をどうするかわかりません」
イノアの説明に、ラカは立ち上がる。
「と、止めに行きます。止められるのですか?」
「止めてもらわないと、南瓜がどうなるかわかりません」
「行ってきますわ!」
「待ってください! あなた一人で行かせるわけにはいきません! あ、ちょ……」
ラカは出て行った。
イノアは呼び鈴を振る。
「どうかしましたか?」
青年が入ってくる。
「ハンターへの依頼を追加です。ラカ・ベルクさんが迷子になる可能性があるので……ジョージ、あなたは先ほどの方の人相を覚えました?」
「ええ、すれ違いましたし。全体的に青いですし」
「探してくださる? 今すぐ!」
近くにいるはずだから、イノアは護衛の任務を担うジョージ・モースに依頼をしたのだった。
●南瓜畑
太陽は穏やかに地面を照らしている。
そこには丸々としたオレンジの南瓜が転がっている。
雑魔が一体紛れ込んでいるかもしれないけれども、それが些末に思える状況に実はなっている。
太陽は見ているだけ。
「ふしゃあああああああああああ」
背中の毛を逆立てるユグディラ、何といっているか不明。
「んもおおおおおおおおおおおお」
怒りをあらわにする精霊リオ、その他通称いっぱいあってなは気迫を込めた声をあげる。
南瓜を挟んでじりじりと対峙していた。
ラカは気付いた、場所がわからないことに。
その上、何も考えないで飛び出したから、ここがどこかわからない。
「青龍さまああああ」
半泣きだった。
リプレイ本文
●増えていた!
出発前に情報を確認すると、追加情報でラカ・ベルフ(kz0240)が行方不明であり、それを領主イノア・クリシスの騎士ジョージ・モースが探しているということがあった。
「ラカって、もしかして蒼い服着てて色白金髪のドラグーンの?」
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)が問うと、職員は「そうです」と告げる。
「状況から言うと、ラカちゃん、飛び出していった挙句に行き先も自分のいる位置も領主の館の場所も見失ってパニックに陥っているんだろうな」
ヴォーイの言葉をラカを知っている人は誰も否定しなかった。
「用はあってきているのなら、見つけてあげておかないといけないわね」
マリィア・バルデス(ka5848)は溜息をついた。町が大きくはないとしても、人を探すのは労力がいる。
状況を聞いたピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)はすでに足を外に向けている。
「現場の南瓜畑に急ぐよ!」
川の精霊のリオの名付け親として、精霊対ユグディラは放置できない状況だった。戦馬に乗ると人を避けつつ現場に急いだ。
トリプルJ(ka6653)はそれを追う。
「とりあえず、二手に分かれるってことでいいな? 俺は精霊と猫のけんかを止めにいくぞ」
出て行く時に方針を残していくが、異議を申し立てるには本人はいない。そもそも、問題はないから異議はでない。
「あ、待って! 私もユグディラの対応にいくよ。ラカを見つけてあげてね」
夢路 まよい(ka1328)はトリプルJを追いかけて出ていった。
ルベーノ・バルバライン(ka6752)はふとつぶやく。
「行動を開始しよう。今は御目付役がいないということだな……俺は領主の屋敷に行ってから現場に向かう」
ルベーノが何を考えていたのか、このとき、誰も知らなかった。
マリィアとヴォーイはラカを探しに向かった。
●捜索
「青い服を着たドラグーンの女の子を見かけなかった? 背は私より少し高くて金髪で青い目をしているわ」
マリィアは領主の屋敷から広い道に向かう。その先は丘に行った気がするのだ。この町を見ていると畑は丘の方にあるように思われるから。
「いくら考えなしで走っても、そのくらいは考えていると……思いたいのよ……」
希望的観測のつぶやき。
何度か聞き込みすると、領主の屋敷の周りでは見たとなるが、だんだん人気が消える為か目撃が減ってきた。
「ラカちゃんやーい」
ヴォーイはマリィアと違う方向に行く。途中で【キント雲】を使い、空から見てみる。さらに【超感覚】を用いてみる。
「……意外と静か……ん? ラカちゃんを探している声がするじゃん」
そちらに下りていった。
すると、騎士っぽい雰囲気で、ヴォーイと年齢の近そうな青年がいた。
「おたくがラカちゃんを探しているジョージ・モース?」
「はい。南瓜畑の依頼を受けてくださったハンターですか?」
「そうだぜ。で、ラカちゃんをどの方面で探した?」
場所を聞き、マリィアが行った方向を合わせ、探していない方向を割り出す。
「すみません……」
「別に謝ることないし、ラカちゃんが行っちゃったのは仕方がないじゃん。ラカちゃんも当事者じゃん? いないのも困るし」
ヴォーイはジョージと別れた。
そのころ、ラカは道の隅っこで膝を抱えてうずくまっていた。
パニックになる時間は過ぎ去り、自分のしでかしたことに落ち込んでいたのだった。
ルベーノは領主の屋敷に向かっていた。とりあえず正攻法で会いに行く。
執務室にいる領主であるイノアに会えた。
「何かありましたか?」
イノアは不思議そうに問う。依頼を受けた彼らであれば、不測の事態はないと信じていた。
「よしイノア、畑に行くぞ」
「え?」
「精霊と幻獣にはお前の言葉の方が効きそうだ」
「いえいえ。あの二人はちょこちょこもめておりまして、手に負えない状況だと……」
「いや、イノア、領主として友達として、リオの気持ちを聞いてやれ。おまえの気持ちも話してやれ」
ルベーノに説得され、イノアは困惑する。
「……わかりました」
出かけることは構わない。
「なら、早速行くぞ」
立ち上がったイノアを横抱き、つまり、お姫様抱っこと言われる抱き方をルベーノはした。
「ちょ! まだ出かける準備が」
「何をするというのだ? 外に出ておかしい服装でもないぞ」
「いえ!」
ルベーノは窓から飛び出した。
「ちょ、きゃああああ」
【縮地瞬動】と【縮地瞬動・虚空】を用い移動していったのだった。
ただし、この状況を目撃した者から領主の屋敷に、誘拐事件と通報があった。そして、街でラカを探していたジョージが屋敷に戻り、ハンターがしたことに困惑をしたのだった。
マリィアとヴォーイはそれぞれ違う方向を探しながら、ちょうど中間地点で会った。
互いに顔を見ればラカを見つけていないということが明確だった。
「あと見ていないのはどこ?」
「全く違う方向じゃん?」
二人は方向転換したとき、建物の間が見えた。
ちんまりとうずくまる青い物体がそこにいた。
「あなた、何やっているの!」
「ラカちゃんが、静かすぎてわからなかったじゃん」
二人は全身の力が抜け、変な笑いがこみ上げるが耐えた。すぐにラカに事情を話し、馬かバイクに載せて問題の畑に向かうことになった。
●ぽふっと
真っ先に到着したピアレーチェは、畑の状況をぱっと見て理解し、まずは仲間に場所を知らせることを考えて発煙手榴弾を打ち上げた。
リオは発煙手榴弾の音で、目を真ん丸にしていた。そのあと、ピアレーチェがいることに気づいた。
ユグディラは音に驚き尻尾をぼわっとし、体勢が逃げるになっている。
「リオちゃーん、久しぶりー」
元気よく声をかけるピアレーチェの視界の片隅に、ユグディラが逃亡しようとしているのが見える。
「ちょっと待てや……って、ユグディラあああ!?」
トリプルJは対決が起こるだろう状況を聞いていたため、一番暴れると何かが起こりそうな精霊を止めようとしていた。しかし、現場に来ると、発煙手榴弾に驚いて逃げようとしているユグディラが目に入ったのだった。
「いきなり出番だね!」
追いついたまよいはそのまま畑に入っていきながら、普段使っている杖ではなく、スタッフ「ネポスナウム」に持ち替える。
「果てなき夢路に迷え【ドリームメイズ】!」
ふわああと白い煙が浮かぶ。しかし、包まれているものは迷路のような物に巻き込まれた幻影を見る。
もしこれで寝なければということを考え、トリプルJも畑を進み【ファントムハンド】が使えるところまで移動していた。
幸いにしてユグディラは寝た。まよいが悠々と捕獲して、畑の外に移動しようとした。
「……なんかいるよ!?」
まよいはユグディラをしっかりと抱き抱え、じわじわさがる。
トリプルJが確認すると、南瓜の中に動くものがあった。
「うおっ、なんでこんなところに雑魔がいるんだよ!」
悲鳴を上げると同時に、南瓜を蹴散らさないように接敵する。
「ぞおおおまあああはぽいなのおおお」
リオの回りで水が動く。
「あああ、駄目、駄目だよ、リオちゃん! 怒りすぎて何言っているかわからないし、理解してあげたいけど、それより! リオちゃんはそこで見てて! あれがこっちに来ないように【ディヴァインウィル】」
ピアレーチェは南瓜の方に移動していく。
まよいは起きてしまったユグディラが逃げる危険性も考慮し、状況を見極めることにした。
「精霊に預けるってことはだめだもんね」
まよいはユグディラをしっかりつかんだまま、魔法のために間合を測る。
トリプルJが【ワイルドスラッシュ】を用いて攻撃をする。それはひらりと避け、【ファイアアロー】が飛びそうだった。
「トリプルJが避けると、南瓜がお亡くなりになりそうなんだよね」
まよいはユグディラに逃げられないようにしつつ、【カウンターマジック】の魔法を使った。無事、魔法は打ち消した。
「実は南瓜狙いの【ファイアアロー】ということもありうるな」
トリプルJは南瓜雑魔が何を考えているかなどわからないし、まよいの言葉通り危険はありうる。魔法の対処を考えるよりも、南瓜を守るためには早く倒すのが効果のようだ。
「通路で何とか戦わないとね。まずは【ジャッジメント】」
ピアレーチェのスキルが発動した直後、武器を構え攻撃に移ろうとしている。その間に、トリプルJが【鎧徹し】で攻撃をしたところ、雑魔南瓜は真っ二つに割れ、霧散し消えた。
雑魔がいなくなったため、ユグディラや精霊から事情を聞くだけだった。
●なぜ、もめたのか
ほどなくして、全員揃った。イノアがいることに疑問もある人もいたかもしれないが、とりあえず、状況説明だった。
「で、ここにユグディラがいるわけ」
まよいが見せる。
「どろぼーねこおおお」
「……いや、ちょっと待て、精霊。泥棒猫の意味分かっているか? 十中八九あってはいるな」
トリプルJが念のために聞く。
「どろぼう、する、ねこ」
「うん、そうだね。他の家の食料を盗む猫ってことだし」
ピアレーチェが間違ってないだろうとうなずく。ユグディラが食料以外でも面白そうだと思ったのを盗んでいるかもしれないが、細かいことはわきに置く。
「色々盗っているみたいだけど、そうでもしないと生活が苦しいのかな。他に養っているユグディラがいたりとか?」
まよいの問いかけにユグディラはきょとんとする。
「そうだよな。盗まなくたって、イノアや街の皆に言えば、餌くらいもらえるだろう? この街に住むなら狩猟の真似事で盗人するっていうことはユグディラの地位の低下……みんなにユグディラ全体が嫌われるとになりかねんからな」
トリプルJがユグディラに語り掛けた。
「わざわざ水があるところから離れなくて、ここに来たのだから、ユグディラはリオちゃんに何かしてほしくてここにつれてきたんじゃ?」
ピアレーチェの推測が飛ぶ。ユグディラは何か検討している様子だった。
「で、リオさま、どうして幻獣を懲らしめようと思ったのかしら? あなたのお供え物が取られたからかしら? お友達の魚をいじめられてかしら? それとも町の人やイノアさまが困っているのを聞いたかしら?」
マリィアは優しく丁寧に問いかける。
「で、結局のところ、リオも名もなきユグディラも黙っていると分からないぞ」
ルベーノが話を促した。
「……南瓜を収穫しないといけません」
「ラカちゃんの目的ってそれだっけ? で、ひとまず待って、状況を把握しよう」
ラカに南瓜の収穫をさせている状況ではないため、ヴォーイはなだめておいた。
精霊は語った。
「このユグディラが町の中を荒らしているから出て行ったもらうつもりだったのよ!」
要約するとこのような感じだった。
ユグディラは語った。
『そうにゃん、あの雑魔をどうにかしてもらうつもりだったにゃん』
というような幻影や身振り手振りをしてくれたのだった。しかし、どこか嘘くさかった。
「で、本当のところはどうなのかな?」
「そうね、盗むことは良くないし、たぶん、雑魔がいたといっても最近で、話に聞く盗み問題は、前からよね」
まよいがにこやかに問いかけ、マリィアが状況を語る。ユグディラ言い逃れができなくなってくる。
「素直に言ってしまった方がいいにゃん……じゃなかった、いいじゃん?」
ヴォーイがユグディアの口調を写されたが、傷は浅かった。
「逃げようとしても無駄だぞ」
「そうだぜ」
ルベーノとトリプルJに挟まれてユグディラは身を震わせ、周囲に助けを求める。
「ねえ、ユグディラ、真実を話して!」
ピアレーチェに真っ直ぐに言われ、ユグディラは揺らいだ。
ここまで説得されてしまうと事実を言うしかなかった。
『ただ、楽しかっただけにゃ』
しょんぼりとするユグディラ。
『食べ物がたくさんあって、好きなものを食べても「こら」って言われるだけにゃし。すごく、楽しいニャ』
「ほほーう、泥棒はメッ! ってことは、何か罰を与えるべきなのかな」
まよいは捕まえるとモフモフとユグディラを触る。
「イノアはどうしたい」
ルベーノに問われ、イノアは「甚大な被害があったわけではないので、罰は与えるつもりはありません」と告げた。
「ただ、今後も同じような盗みをはたくならば、出て行ってもらいます」
イノアの言葉に、リオは唇を尖らせたが、仕方がないとばかりにうなずいた。
「リオさまはこの辺りに長く住まう精霊ね」
マリィアはリオの判断を褒めた。
「で、仲直りするつもりはあるのか? 水場でないと精霊が来られんだろう……ん? 自分がやったことが問題あったということは理解しているんだな」
トリプルJはユグディラを抱えると、水辺に寄る。精霊の方は特に何も反応はないが、ユグディラは小刻みに震える。
「無事解決したじゃん。次は、南瓜収穫だぜ」
ヴォーイはラカを促した。
●南瓜ゲット
後片付けもかねて、ハンターは南瓜を蔓から外していく。残っているものは多くないため、大した作業ではなかった。
「南瓜が無事でよかったわね」
マリィアは祭りをやるのだろうと微笑む。
「町の人が祭りように用意した南瓜の畑だ。祭りができなくなると困るからな」
ルベーノは言う。
「それと、領主は一人で立たねばならん。機会を見つけて息抜きせねばつぶれるぞ? リオも俺たちもお前の友達だ。もっと頼ってこい」
イノアはルベーノにうなずき礼を述べる。この時点で、イノアは一つ気づいた点があり、目が泳いだ。
「ラカちゃん持ち帰られるサイズで大きいのを選ぶじゃん」
ヴォーイに促されて、ラカは加工しやすそうな大きさのものをいくつか選んだ。ラカが選んだ南瓜たちを見て「持って帰れるのだろうか」とヴォーイに疑問が浮かんだが黙っていた。
「ラカはハロウィンをするの? 何を作るのかな?」
まよいはユグディラの手をもにもにしながら質問をした。
「え? えっと、近所の子が去年作ったランタンを作りたいといいましたので……」
ラカはなんとなく消え入りそうになっている。
「別に素直に楽しめばいいんじゃないか?」
トリプルJに言われ、ラカはうなずいた。
「リオちゃん、もーすぐハロウィンだよ!」
ピアレーチェはリオに説明をしたのだった。
「イノアさま!」
ジョージと数人の兵、ハンターソサエティの受付の娘がやってくる。何事もない雰囲気に一行は安堵を示した。
「……以後、玄関から出るように気を付けますね……」
イノアは苦笑した。
出発前に情報を確認すると、追加情報でラカ・ベルフ(kz0240)が行方不明であり、それを領主イノア・クリシスの騎士ジョージ・モースが探しているということがあった。
「ラカって、もしかして蒼い服着てて色白金髪のドラグーンの?」
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)が問うと、職員は「そうです」と告げる。
「状況から言うと、ラカちゃん、飛び出していった挙句に行き先も自分のいる位置も領主の館の場所も見失ってパニックに陥っているんだろうな」
ヴォーイの言葉をラカを知っている人は誰も否定しなかった。
「用はあってきているのなら、見つけてあげておかないといけないわね」
マリィア・バルデス(ka5848)は溜息をついた。町が大きくはないとしても、人を探すのは労力がいる。
状況を聞いたピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)はすでに足を外に向けている。
「現場の南瓜畑に急ぐよ!」
川の精霊のリオの名付け親として、精霊対ユグディラは放置できない状況だった。戦馬に乗ると人を避けつつ現場に急いだ。
トリプルJ(ka6653)はそれを追う。
「とりあえず、二手に分かれるってことでいいな? 俺は精霊と猫のけんかを止めにいくぞ」
出て行く時に方針を残していくが、異議を申し立てるには本人はいない。そもそも、問題はないから異議はでない。
「あ、待って! 私もユグディラの対応にいくよ。ラカを見つけてあげてね」
夢路 まよい(ka1328)はトリプルJを追いかけて出ていった。
ルベーノ・バルバライン(ka6752)はふとつぶやく。
「行動を開始しよう。今は御目付役がいないということだな……俺は領主の屋敷に行ってから現場に向かう」
ルベーノが何を考えていたのか、このとき、誰も知らなかった。
マリィアとヴォーイはラカを探しに向かった。
●捜索
「青い服を着たドラグーンの女の子を見かけなかった? 背は私より少し高くて金髪で青い目をしているわ」
マリィアは領主の屋敷から広い道に向かう。その先は丘に行った気がするのだ。この町を見ていると畑は丘の方にあるように思われるから。
「いくら考えなしで走っても、そのくらいは考えていると……思いたいのよ……」
希望的観測のつぶやき。
何度か聞き込みすると、領主の屋敷の周りでは見たとなるが、だんだん人気が消える為か目撃が減ってきた。
「ラカちゃんやーい」
ヴォーイはマリィアと違う方向に行く。途中で【キント雲】を使い、空から見てみる。さらに【超感覚】を用いてみる。
「……意外と静か……ん? ラカちゃんを探している声がするじゃん」
そちらに下りていった。
すると、騎士っぽい雰囲気で、ヴォーイと年齢の近そうな青年がいた。
「おたくがラカちゃんを探しているジョージ・モース?」
「はい。南瓜畑の依頼を受けてくださったハンターですか?」
「そうだぜ。で、ラカちゃんをどの方面で探した?」
場所を聞き、マリィアが行った方向を合わせ、探していない方向を割り出す。
「すみません……」
「別に謝ることないし、ラカちゃんが行っちゃったのは仕方がないじゃん。ラカちゃんも当事者じゃん? いないのも困るし」
ヴォーイはジョージと別れた。
そのころ、ラカは道の隅っこで膝を抱えてうずくまっていた。
パニックになる時間は過ぎ去り、自分のしでかしたことに落ち込んでいたのだった。
ルベーノは領主の屋敷に向かっていた。とりあえず正攻法で会いに行く。
執務室にいる領主であるイノアに会えた。
「何かありましたか?」
イノアは不思議そうに問う。依頼を受けた彼らであれば、不測の事態はないと信じていた。
「よしイノア、畑に行くぞ」
「え?」
「精霊と幻獣にはお前の言葉の方が効きそうだ」
「いえいえ。あの二人はちょこちょこもめておりまして、手に負えない状況だと……」
「いや、イノア、領主として友達として、リオの気持ちを聞いてやれ。おまえの気持ちも話してやれ」
ルベーノに説得され、イノアは困惑する。
「……わかりました」
出かけることは構わない。
「なら、早速行くぞ」
立ち上がったイノアを横抱き、つまり、お姫様抱っこと言われる抱き方をルベーノはした。
「ちょ! まだ出かける準備が」
「何をするというのだ? 外に出ておかしい服装でもないぞ」
「いえ!」
ルベーノは窓から飛び出した。
「ちょ、きゃああああ」
【縮地瞬動】と【縮地瞬動・虚空】を用い移動していったのだった。
ただし、この状況を目撃した者から領主の屋敷に、誘拐事件と通報があった。そして、街でラカを探していたジョージが屋敷に戻り、ハンターがしたことに困惑をしたのだった。
マリィアとヴォーイはそれぞれ違う方向を探しながら、ちょうど中間地点で会った。
互いに顔を見ればラカを見つけていないということが明確だった。
「あと見ていないのはどこ?」
「全く違う方向じゃん?」
二人は方向転換したとき、建物の間が見えた。
ちんまりとうずくまる青い物体がそこにいた。
「あなた、何やっているの!」
「ラカちゃんが、静かすぎてわからなかったじゃん」
二人は全身の力が抜け、変な笑いがこみ上げるが耐えた。すぐにラカに事情を話し、馬かバイクに載せて問題の畑に向かうことになった。
●ぽふっと
真っ先に到着したピアレーチェは、畑の状況をぱっと見て理解し、まずは仲間に場所を知らせることを考えて発煙手榴弾を打ち上げた。
リオは発煙手榴弾の音で、目を真ん丸にしていた。そのあと、ピアレーチェがいることに気づいた。
ユグディラは音に驚き尻尾をぼわっとし、体勢が逃げるになっている。
「リオちゃーん、久しぶりー」
元気よく声をかけるピアレーチェの視界の片隅に、ユグディラが逃亡しようとしているのが見える。
「ちょっと待てや……って、ユグディラあああ!?」
トリプルJは対決が起こるだろう状況を聞いていたため、一番暴れると何かが起こりそうな精霊を止めようとしていた。しかし、現場に来ると、発煙手榴弾に驚いて逃げようとしているユグディラが目に入ったのだった。
「いきなり出番だね!」
追いついたまよいはそのまま畑に入っていきながら、普段使っている杖ではなく、スタッフ「ネポスナウム」に持ち替える。
「果てなき夢路に迷え【ドリームメイズ】!」
ふわああと白い煙が浮かぶ。しかし、包まれているものは迷路のような物に巻き込まれた幻影を見る。
もしこれで寝なければということを考え、トリプルJも畑を進み【ファントムハンド】が使えるところまで移動していた。
幸いにしてユグディラは寝た。まよいが悠々と捕獲して、畑の外に移動しようとした。
「……なんかいるよ!?」
まよいはユグディラをしっかりと抱き抱え、じわじわさがる。
トリプルJが確認すると、南瓜の中に動くものがあった。
「うおっ、なんでこんなところに雑魔がいるんだよ!」
悲鳴を上げると同時に、南瓜を蹴散らさないように接敵する。
「ぞおおおまあああはぽいなのおおお」
リオの回りで水が動く。
「あああ、駄目、駄目だよ、リオちゃん! 怒りすぎて何言っているかわからないし、理解してあげたいけど、それより! リオちゃんはそこで見てて! あれがこっちに来ないように【ディヴァインウィル】」
ピアレーチェは南瓜の方に移動していく。
まよいは起きてしまったユグディラが逃げる危険性も考慮し、状況を見極めることにした。
「精霊に預けるってことはだめだもんね」
まよいはユグディラをしっかりつかんだまま、魔法のために間合を測る。
トリプルJが【ワイルドスラッシュ】を用いて攻撃をする。それはひらりと避け、【ファイアアロー】が飛びそうだった。
「トリプルJが避けると、南瓜がお亡くなりになりそうなんだよね」
まよいはユグディラに逃げられないようにしつつ、【カウンターマジック】の魔法を使った。無事、魔法は打ち消した。
「実は南瓜狙いの【ファイアアロー】ということもありうるな」
トリプルJは南瓜雑魔が何を考えているかなどわからないし、まよいの言葉通り危険はありうる。魔法の対処を考えるよりも、南瓜を守るためには早く倒すのが効果のようだ。
「通路で何とか戦わないとね。まずは【ジャッジメント】」
ピアレーチェのスキルが発動した直後、武器を構え攻撃に移ろうとしている。その間に、トリプルJが【鎧徹し】で攻撃をしたところ、雑魔南瓜は真っ二つに割れ、霧散し消えた。
雑魔がいなくなったため、ユグディラや精霊から事情を聞くだけだった。
●なぜ、もめたのか
ほどなくして、全員揃った。イノアがいることに疑問もある人もいたかもしれないが、とりあえず、状況説明だった。
「で、ここにユグディラがいるわけ」
まよいが見せる。
「どろぼーねこおおお」
「……いや、ちょっと待て、精霊。泥棒猫の意味分かっているか? 十中八九あってはいるな」
トリプルJが念のために聞く。
「どろぼう、する、ねこ」
「うん、そうだね。他の家の食料を盗む猫ってことだし」
ピアレーチェが間違ってないだろうとうなずく。ユグディラが食料以外でも面白そうだと思ったのを盗んでいるかもしれないが、細かいことはわきに置く。
「色々盗っているみたいだけど、そうでもしないと生活が苦しいのかな。他に養っているユグディラがいたりとか?」
まよいの問いかけにユグディラはきょとんとする。
「そうだよな。盗まなくたって、イノアや街の皆に言えば、餌くらいもらえるだろう? この街に住むなら狩猟の真似事で盗人するっていうことはユグディラの地位の低下……みんなにユグディラ全体が嫌われるとになりかねんからな」
トリプルJがユグディラに語り掛けた。
「わざわざ水があるところから離れなくて、ここに来たのだから、ユグディラはリオちゃんに何かしてほしくてここにつれてきたんじゃ?」
ピアレーチェの推測が飛ぶ。ユグディラは何か検討している様子だった。
「で、リオさま、どうして幻獣を懲らしめようと思ったのかしら? あなたのお供え物が取られたからかしら? お友達の魚をいじめられてかしら? それとも町の人やイノアさまが困っているのを聞いたかしら?」
マリィアは優しく丁寧に問いかける。
「で、結局のところ、リオも名もなきユグディラも黙っていると分からないぞ」
ルベーノが話を促した。
「……南瓜を収穫しないといけません」
「ラカちゃんの目的ってそれだっけ? で、ひとまず待って、状況を把握しよう」
ラカに南瓜の収穫をさせている状況ではないため、ヴォーイはなだめておいた。
精霊は語った。
「このユグディラが町の中を荒らしているから出て行ったもらうつもりだったのよ!」
要約するとこのような感じだった。
ユグディラは語った。
『そうにゃん、あの雑魔をどうにかしてもらうつもりだったにゃん』
というような幻影や身振り手振りをしてくれたのだった。しかし、どこか嘘くさかった。
「で、本当のところはどうなのかな?」
「そうね、盗むことは良くないし、たぶん、雑魔がいたといっても最近で、話に聞く盗み問題は、前からよね」
まよいがにこやかに問いかけ、マリィアが状況を語る。ユグディラ言い逃れができなくなってくる。
「素直に言ってしまった方がいいにゃん……じゃなかった、いいじゃん?」
ヴォーイがユグディアの口調を写されたが、傷は浅かった。
「逃げようとしても無駄だぞ」
「そうだぜ」
ルベーノとトリプルJに挟まれてユグディラは身を震わせ、周囲に助けを求める。
「ねえ、ユグディラ、真実を話して!」
ピアレーチェに真っ直ぐに言われ、ユグディラは揺らいだ。
ここまで説得されてしまうと事実を言うしかなかった。
『ただ、楽しかっただけにゃ』
しょんぼりとするユグディラ。
『食べ物がたくさんあって、好きなものを食べても「こら」って言われるだけにゃし。すごく、楽しいニャ』
「ほほーう、泥棒はメッ! ってことは、何か罰を与えるべきなのかな」
まよいは捕まえるとモフモフとユグディラを触る。
「イノアはどうしたい」
ルベーノに問われ、イノアは「甚大な被害があったわけではないので、罰は与えるつもりはありません」と告げた。
「ただ、今後も同じような盗みをはたくならば、出て行ってもらいます」
イノアの言葉に、リオは唇を尖らせたが、仕方がないとばかりにうなずいた。
「リオさまはこの辺りに長く住まう精霊ね」
マリィアはリオの判断を褒めた。
「で、仲直りするつもりはあるのか? 水場でないと精霊が来られんだろう……ん? 自分がやったことが問題あったということは理解しているんだな」
トリプルJはユグディラを抱えると、水辺に寄る。精霊の方は特に何も反応はないが、ユグディラは小刻みに震える。
「無事解決したじゃん。次は、南瓜収穫だぜ」
ヴォーイはラカを促した。
●南瓜ゲット
後片付けもかねて、ハンターは南瓜を蔓から外していく。残っているものは多くないため、大した作業ではなかった。
「南瓜が無事でよかったわね」
マリィアは祭りをやるのだろうと微笑む。
「町の人が祭りように用意した南瓜の畑だ。祭りができなくなると困るからな」
ルベーノは言う。
「それと、領主は一人で立たねばならん。機会を見つけて息抜きせねばつぶれるぞ? リオも俺たちもお前の友達だ。もっと頼ってこい」
イノアはルベーノにうなずき礼を述べる。この時点で、イノアは一つ気づいた点があり、目が泳いだ。
「ラカちゃん持ち帰られるサイズで大きいのを選ぶじゃん」
ヴォーイに促されて、ラカは加工しやすそうな大きさのものをいくつか選んだ。ラカが選んだ南瓜たちを見て「持って帰れるのだろうか」とヴォーイに疑問が浮かんだが黙っていた。
「ラカはハロウィンをするの? 何を作るのかな?」
まよいはユグディラの手をもにもにしながら質問をした。
「え? えっと、近所の子が去年作ったランタンを作りたいといいましたので……」
ラカはなんとなく消え入りそうになっている。
「別に素直に楽しめばいいんじゃないか?」
トリプルJに言われ、ラカはうなずいた。
「リオちゃん、もーすぐハロウィンだよ!」
ピアレーチェはリオに説明をしたのだった。
「イノアさま!」
ジョージと数人の兵、ハンターソサエティの受付の娘がやってくる。何事もない雰囲気に一行は安堵を示した。
「……以後、玄関から出るように気を付けますね……」
イノアは苦笑した。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 4人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
我々が南瓜畑で見たものとは!? ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613) 人間(クリムゾンウェスト)|27才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/10/22 09:11:01 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/22 09:03:49 |