ゲスト
(ka0000)
【郷祭】シナリオ「インベーダー・ケイブ」
マスター:三田村 薫
みんなの思い出? もっと見る
オープニング
●オフィス職員はGMがしたい
郷祭の一角に、ゲーム愛好会のブースが出ていた。ゲームと言っても、リアルブルーにあるようなテレビゲームではない。
アナログゲームと言うやつだ。チェス、将棋、双六、トランプ、バックギャモンなどなど。
その中に、TRPGと言う物がある。
キャラクターを作成し、あらかじめ用意されたシナリオの中でロールプレイをして解決を目指すと言う物で、判定にダイスを使用する。どこかで聞いた話ですね。
「僕、GMがやりたい!」
と、ダイスを持って高らかに宣言したのは、ハンターオフィスの受付職員。ラフな格好をした青年で、名前を聞くと「皆C.J.って呼ぶから君もそうして」としか答えないあの男である。
「お前がGMか! ところで司祭、GMって何だ?」
「GMと言うのはゲームマスターのことです。ゲームの進行役ですよ」
同じブースには、チェス盤を挟んだ園芸エルフのサンドラと、その町のヴィルジーリオ司祭がいる。サンドラが白でヴィルジーリオが黒だ。
「二人はやらないの?」
「ご覧の通り、今取り込み中なもので」
「チェック!」
「させませんよ」
「あー! 虎の子のビショップが!」
「司祭がビショップ取るって共食い感やばいね?」
C.J.は唇を尖らせた。二人はまた白熱のチェスバトルに没頭している。ぱっと見カップルだが、実際この二人は祖母と孫くらいの年齢差があるとかないとか。
「なんだよぉ、僕がGM兼PLやるにしても人数が足りないんだよぉ。あと三人は欲しいんだよぉ」
「こらこら、駄々をこねたらいけないぞ、C.J.。チェック」
「攻めすぎでは?」
●ハンドアウト
あなたたちは、それぞれの事情で郷祭会場に来ていたハンターです。
あなたたちは何らかの理由でゲーム関連のエリアに来ていました。その時、
「誰かTRPGしようよ~!」
どっかで見たかもしれない男の人がダイスを転がしながら駄々をこねています。いい歳して何をあんなにわがまま言ってるのか。あなたたちは彼の方に近寄ります。
「あっ、ねえ今時間ある!? TRPGやらない!? 僕がGMやるからさ! ね! 一緒に遊ぼう!」
あなたたちは、予定が大丈夫であることを確認してからその申し出に了承しました。
男の人はC.J.と名乗り、あなたたちに一枚の紙を見せます。
そこにはPL向けの導入が書いてありました。
●シナリオ「インベーダー・ケイブ」導入
あなたたちは、この世界にやってくる侵略者・インベーダーを、秘密裏に始末しているインベーダー・バスターだ。
あなたたちは、極東にある島国の、山の中にある洞窟にインベーダーが出るようだとの報せを受けて駆けつけた。確かに、件の洞窟からは、蟹のような姿をしたインベーダーがとことこと出てきている。ここがインベーダーの巣窟であることは間違いがない。
あなたたちは、インベーダーとそうでないものを見分けるためのゴーグルを装備して、各々武器を構え、洞窟の中へと入っていくのだった。
郷祭の一角に、ゲーム愛好会のブースが出ていた。ゲームと言っても、リアルブルーにあるようなテレビゲームではない。
アナログゲームと言うやつだ。チェス、将棋、双六、トランプ、バックギャモンなどなど。
その中に、TRPGと言う物がある。
キャラクターを作成し、あらかじめ用意されたシナリオの中でロールプレイをして解決を目指すと言う物で、判定にダイスを使用する。どこかで聞いた話ですね。
「僕、GMがやりたい!」
と、ダイスを持って高らかに宣言したのは、ハンターオフィスの受付職員。ラフな格好をした青年で、名前を聞くと「皆C.J.って呼ぶから君もそうして」としか答えないあの男である。
「お前がGMか! ところで司祭、GMって何だ?」
「GMと言うのはゲームマスターのことです。ゲームの進行役ですよ」
同じブースには、チェス盤を挟んだ園芸エルフのサンドラと、その町のヴィルジーリオ司祭がいる。サンドラが白でヴィルジーリオが黒だ。
「二人はやらないの?」
「ご覧の通り、今取り込み中なもので」
「チェック!」
「させませんよ」
「あー! 虎の子のビショップが!」
「司祭がビショップ取るって共食い感やばいね?」
C.J.は唇を尖らせた。二人はまた白熱のチェスバトルに没頭している。ぱっと見カップルだが、実際この二人は祖母と孫くらいの年齢差があるとかないとか。
「なんだよぉ、僕がGM兼PLやるにしても人数が足りないんだよぉ。あと三人は欲しいんだよぉ」
「こらこら、駄々をこねたらいけないぞ、C.J.。チェック」
「攻めすぎでは?」
●ハンドアウト
あなたたちは、それぞれの事情で郷祭会場に来ていたハンターです。
あなたたちは何らかの理由でゲーム関連のエリアに来ていました。その時、
「誰かTRPGしようよ~!」
どっかで見たかもしれない男の人がダイスを転がしながら駄々をこねています。いい歳して何をあんなにわがまま言ってるのか。あなたたちは彼の方に近寄ります。
「あっ、ねえ今時間ある!? TRPGやらない!? 僕がGMやるからさ! ね! 一緒に遊ぼう!」
あなたたちは、予定が大丈夫であることを確認してからその申し出に了承しました。
男の人はC.J.と名乗り、あなたたちに一枚の紙を見せます。
そこにはPL向けの導入が書いてありました。
●シナリオ「インベーダー・ケイブ」導入
あなたたちは、この世界にやってくる侵略者・インベーダーを、秘密裏に始末しているインベーダー・バスターだ。
あなたたちは、極東にある島国の、山の中にある洞窟にインベーダーが出るようだとの報せを受けて駆けつけた。確かに、件の洞窟からは、蟹のような姿をしたインベーダーがとことこと出てきている。ここがインベーダーの巣窟であることは間違いがない。
あなたたちは、インベーダーとそうでないものを見分けるためのゴーグルを装備して、各々武器を構え、洞窟の中へと入っていくのだった。
リプレイ本文
●再会のエルフ
「アンネマリー! アンネマリーじゃないか!」
「サンドラ、あの、チェス盤」
チェス盤をひっくり返して、サンドラはアンネマリー・リースロッド(ka0519)に抱きついた。
「お久しぶりです、サンドラさん」
「知り合い?」
C.J.が首を傾げた。
「うん! 私が今の町に住むきっかけをくれた人の1人なんだ」
「その節はお世話になりました。町の司祭のヴィルジーリオと申します」
駒と盤を拾ってヴィルジーリオも挨拶をする。彼は、身内の事件に首を突っ込むと泥沼化するということで、あまり住んでいる町の事件にハンターとして関わらないのである。まずはオフィスを通すことにしている。もちろん、急を要するならば別だが。
さて、アンネマリーも誘ったところ、TRPGの経験があると言うことで参加を承諾してくれた。GMを引き受けるC.J.を見て目が光ったのには誰も気付かない。
さて、この他にも、夢路 まよい(ka1328)、ディーナ・フェルミ(ka5843)、穂積 智里(ka6819)が参加してくれた。ディーナは、洞窟に行くゲームをしよう、と聞くや、
「え? ゲームで洞窟に潜るの? 分かったの、すぐ準備してくるの!」
バビュン、とブースを飛び出した。
「えっ、どこ行っちゃったのあいつ」
「食べ物、とかでしょうか」
既知の智里はなんとなく察しがついたようだ。アンネマリーもそれを聞いて、
「じゃあ私も飲み物とか用意してきますね。GMさんは喉を酷使するので……」
「え? GMって何かそう言うスキルがいるの? 僕一般人なんだけど……」
「そういうわけではないです」
くすりと笑って、彼女も出て行った。残った智里とまよいは導入とルールを読みながらふんふんと頷いている。
「へ~、これがTRPGっていう遊び? なんだかよくわかんないけど、楽しそうだからやってみる! 智里は遊んだことある?」
「リプレイ読むのが面白くて、それが高じてD6ゲームには何回か参加したことがあります。わあ、このゲームはD10なんですか? 綺麗ですよね、クリスタルダイス。欲しくなっちゃいます」
「ふーん? リプレイって何?」
「ゲームの進行とか結果を小説形式に書き起こしたものですよ」
「報告書みたいなもんか」
「そう言う理解で良いと思います」
「お待ちどおさまなの、オヤツの準備は万全なの! どこの洞窟でもすぐ行けるの……あれ?」
ディーナが戻ってきた。智里の予想通り、食べ物の調達の様だった。串焼き、バケットサンド、樽入りジュース……。
「ガチの冒険じゃないからね!?」
「えっ」
「豪勢ですね」
軽食を買って戻ってきたアンネマリーが、それを見て目を瞬かせた。
●キャラメイキング
「えーと、このゲームは自分達自身を使うんですね?」
智里が首を傾げると、まよいも悩むように顎に手を置いた。
「ん~、普段の私と違うようなキャラクターをやってみたくもあるんだけどな~。種族が人間じゃない人とか、戦士の人とか、男の人とか!」
「慣れない内はあんまり捻らない方が良いんじゃない? ていうか僕も初心者だから事故っちゃうぞ」
「じゃあ人間の魔法使いの女の人にしよっと。でも、せめて年齢くらいは自分とちょっと変えて……20歳くらいのお姉さんでいこう! 名前はマヨイってことで」
TRPG慣れしているアンネマリーは既に設定を作り上げてた。ビジネスライクな寺生まれハーフ13歳。お金が必要なのでインベーダー討伐に行きます、と言うことらしい。ビジネスライクだが本来は情に厚いとのこと。インベーダーを頑なに悪霊と呼称する設定のようだ。
「……設定忘れたら教えて」
「大丈夫ですよ」
「洞窟は隊列組んで入るんじゃないかと思いますけど」
智里は各々のステータスを見比べて早くも作戦を立て始めている。
「それりゃ、わらひはれんえーなろ。えくらろしさいろしれろーれんなろ、んぐんぐ」
「ディーナ、なんて?」
串焼きを頬張りながら宣言するディーナにC.J.が耳を向けた。
「ディーナさんは前衛ですね。良いと思います。アンネマリーさんと夢路さんが真ん中に入って貰って後衛は私、でどうでしょう? 攻性防壁入れてるので後ろからの不意打ちにも対処できると思います」
「智里よくわかったな!?」
「それで良いと思うよ」
「私も大丈夫です」
「いいほおもふ、んぐんぐ」
「よし、じゃあディーナが今口に入れてるものを飲み込んだら始めよう。ちゃんと待っててあげるから、口に入れたまま喋らなくて良いからね!」
●お腹が空くお年頃
「えー、と言うことで、あなたたちは、インベーダーとそうでないものを見分けるためのゴーグルを装備して、各々武器を構え、洞窟の中へと入っていくのだった」
「質問なの」
「何かねディーナくん」
「インベーダーって食べられるの?」
「ファッ!?」
「カニの侵略者……確かに美味しそうなそうでもないような?」
ディーナの問いに、智里も考え込んでいる。
「だって宇宙からの侵略者だよ!? 食べたい!? 僕は絶対食べたくない!」
「C.J.が駄目だと思うなら駄目で良いんじゃない?」
「食べることを前提にしたシナリオではなさそうですが」
まよいとアンネマリーも意見を口にする。
「それと、何で他は倒しちゃいけないの? 危険生物や美味しいお肉はついでに倒して食べてもいいかなって思うの」
「侵略者倒しに行く途中でキャンプすんの!? うーん、じゃあ帰り道? でも調理道具持ってる?」
「着火の指輪ならディーナさんと私が持ってますが……」
「え……原始的過ぎない? 逆に聞きたいんだけど、焼くのは良いとして、捌かないの? 誰もナイフ持ってないよね? 素手で千切るの? 流石にそれは却下するよ。文化的に生きてよ」
「ああ……」
ディーナが沈痛の面持ちで頭を抱える。
「痛恨のミスなの……今度は調理道具一式持ち込むの」
「そこまでしてサバイバル飯が食いたいのか!? じゃあ今度はお料理系のシナリオを捜してきてあげるから。ささ、せっかく君が買ってきてくれた串焼きがリアルであるんだからこっちでお腹を満たしなよ」
●冒険の始まり
バスターたちは暗い洞窟に入っていった。灯火の水晶球で当たりを照らしながら、油断なく進んで行く。
「悪霊の気配が濃厚ですね」
寺生まれのアンネマリーが厳かに呟く。
「何が出てきても、インベーダーであるなら討伐するだけよ」
故郷をインベーダーに滅ぼされたマヨイがクールに言い放った。振る舞いこそ冷静だが、その胸の奥には復讐心が燃えている……。
「えーと、えーと、食べられないなら倒してしまうの~! え、違う?」
「皆さん、敵が出てきたら防御バフ掛けますね」
その時、あなたたちは近くに気配を感じた!
「感じた! のですがここで君たちには直感による一般行為判定をしてもらおう」
C.J.がダイスを掌の中で転がしながら言った。
「えーと、一般行為だから修正難易度と数値を掛け算するのか」
C.J.はステータスを見てから真顔になった
「ていうか難易度3って……これダイス振る必要あるか? でも振りたいから振ります。クリティカル出たら何かおまけするね」
言いながらダイスを振る。瞬発順に、まよい、ディーナ、智里、アンネマリーでそれぞれ09、13、79、25。全員成功だ。
「と言うわけであなたたちはインベーダーの気配に気付きました! 戦闘開始です! ファーストとロングの宣言はないね? じゃあイニシアチブ決めて……でも気付いてるし、PCが先攻と言うことにしてしまおう。何もなければ瞬発順で行くから、先にやりたいことがあったら言ってね」
カニに似た形のインベーダーが5体現れた!
「丁度良い数ね。まとめて狙い撃ちよ」
マヨイはフォースリングの力を使って、マジックアローで5体同時に狙いを付けた。
「お待ち下さい、マヨイさん」
アンネマリーがストップを掛けた。一体どうしたのだろうか。
「何かしら?」
「そのままでは回避される危険があります。まずは私のレクイエム真言で悪霊の動きを鈍らせましょう」
「お願いするわ」
アンネマリーはレクイエムを唱えた。すると、5体の内3体は抵抗に失敗して動きが鈍くなった!
「これで皆様の攻撃も当たりやすくなるかと」
「わかったわ。ありがとうアンネマリー」
マヨイは改めてマジックアローで5体を狙いをつけ……。
「えー! 回避半減してるのになんでこう言うときに限って07とか出るの?」
「うーん、残念だけどダイスの結果なら仕方ないよ」
「でも命中したやつは消し炭になったよ」
「やったぁ」
「じゃあ今度は私がセイクリッドフラッシュを使うの! 敵陣に突っ込んで使いますなの!」
「オッケー」
ディーナは残り4体のカニの群れに突撃するとセイクリッドフラッシュを発動した。1体を残して命中する!
「ディーナさんに防性強化を掛けます」
智里はマテリアルを前衛のディーナに流し込んだ。これでディーナは多少殴られても大丈夫だ!
カニたちの反撃が始まる。しかしどれもレクイエムが効いてて全然当たらないのであった!
「レクイエムが効いてるわね」
マヨイがほくそ笑んだ。
●ボス戦
その後も戦闘とシナリオは進行した。C.J.も段々判定に慣れ、出目が悪い時にくじけなくなり、PLたちもペースを掴んだあたりでボス戦と相成った。
「えーと、ボス戦です。サイズ2のオオサンショウウオが1体と、噂のカニが5体。PL情報ですがこのサンショウウオはどうやらしびれガスがあるようなのでバッドステータス対策どうぞ」
「そんなことまで言っちゃって良いの?」
まよいが首を傾げた。
「僕は君たちに勝って欲しいから開示する」
「じゃあ、マヨイの一族に伝わる歌を披露しちゃおうかな! 私も歌っちゃうよ」
マヨイはサンショウウオから危険な空気を感じ取ると、一族に伝わると言う歌を披露した。舞もセットの綺麗な歌だ。
穢れし魂
もたらす災禍
精霊の加護にて
幻のものとせん
これでしびれガスはほぼ無効となった!
「ウコンバサラのトールハンマーを発動しますの!」
マヨイの歌の範囲から出てしまった時のための保険に、ディーナは武器のスキルを解放した!
マヨイはサンショウウオの前に立ちはだかった!
「マジックアローをダブルキャストで撃ち込むわ。その大きな身体が命取りね」
「大型ルール良いねこれ。かっこいい」
ルールを読みながら、C.J.はふむふむと頷いた。
「でしょ! 見せ場にしたいなって思って」
「その前にレクエム使って良いですか?」
「オッケー……全員抵抗失敗だな。ボスのもともとの回避も半分になって、複数回攻撃は更に下がる。これはいけますよマヨイ姐さん」
アンネマリーのレクイエム真言によって何体かは回避が下がりました! マヨイさんマジックアローどうぞ!
「行くわよ」
マヨイは4本のマジックアローをサンショウウオにぶちかました! そこだ! やっちまえ!
オオサンショウウオはレクイエムが効いているものの、元々が敏捷だったので2本はかわしてしまった……。だが大ダメージだ!
「ボスから先に倒すのー!」
ウコンバサラからレイバシアーに持ち替えたディーナが突っ込んでセイクリッドフラッシュ! サンショウウオは倒れた……。
「倒れた!? ボスが1ラウンド目で倒れた!?」
「サンショウウオ食べてみたかったの……」
「ええ……食えるのか? あれ。でかいイモリみたいなやつだろ……?」
「サンショウウオは倒しましたがまだカニが残っています! カニにデルタレイ使用します!」
智里が宣言すると、3角形の光が浮かび上がって光線が発射された! 狙った3体に当たって2体は倒れたぞ!
カニたちの反撃が始まった! 残り3体の内2体はディーナ狙いだ! しかしディーナは華麗にそれを回避しました!
もう1体はマヨイに狙いをつけ……。
ダイスの出目は00だった。これはカニの命中判定である。つまり……。
「ク、クリティカル……」
「ご、ごめんまよい許して……」
アンネマリーがまさかの出目に顔を引きつらせ、C.J.は顔を覆った。
「運みたいなもんだし、気にしないで良いんじゃない? 智里、防御障壁掛けてくれるよね?」
「はい。マヨイさんに防御障壁を使います」
「ちなみに命中部位胴体」
「一番頑丈なところだから大丈夫だよ」
マヨイの胴体にカニのハサミがヒットしてしまった! 智里の防御障壁でちょっとダメージは軽減されたぞ!
「マヨイさんの傷をフルリカバリーで癒やします」
アンネマリーが祈りを捧げると、マヨイの傷がみるみるうちに癒えていった。
「アンネマリー、ありがとう。今日はたくさん助けてもらっているわね」
マヨイお姉様はクールにお礼を言うのだった。
「良いね良いね! 仲間同士で助け合いしてくれてGM嬉しいなぁ」
C.J.はクリティカルのことを忘れたかの様にご機嫌である。サンドラとヴィルジーリオも観戦に回っている。
「GMも健闘してるじゃないですか。あんまり出目でへこむから替わろうかと思っていましたが大丈夫そうですね」
「僕が誘った人たちなんだから最後まで僕がやらなきゃだよ。さ、あと3体だよ! 頑張って!」
「アンネマリー、まだレクイエム使えるかしら?」
「はい。これが最後の1回です」
「いざとなったらセイクリッドフラッシュ連打するの」
「攻性防壁も、行動阻害が発生するのでいざとなったら私も前に出ますね」
アンネマリーはレクイエム最後の1回を使った! なんと言うことでしょう! 全ての敵が抵抗に失敗して回避とか半分になりました!
「フォースリングで残りの3体全部狙ったマジックアローよ!」
マヨイの闘志が燃え上がる! マジックアローが発射されて、残りのカニめがけて飛んでいった!
「やったー! 3体とも回避失敗だ! これでシナリオクリアだよ!」
3体目の回避判定が73を出したところでC.J.が万歳した。アンネマリーがくすりと微笑んでから手を叩く。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様C.J.」
「おふはれはまへひたの」
「お疲れ様です。初めてと仰っていましたがコツは大体掴んだんじゃないでしょうか」
「うっ、うっ、ありがとう。ありがとう皆……ところでディーナ、そんなに頬張って詰まらせない?」
「らいほうふ」
「次回は調理系のシナリオやろうね」
「他のシナリオがあるなら、私がGMをやりましょうか。サンドラさんもいかがですか?」
「やりたい!」
「ちょっと探してみますね。皆さんその間に別のゲームでも」
「あ、でしたらトランプ持ってますよ。アンネマリーさんも、シナリオ見付けたら途中からでも」
智里が自前のトランプを取り出した。
初GMの達成感で多幸感に浸っているC.J.はその光景を見て目を細める。
「楽しく遊べるって幸せだよねぇ。ほんと皆ありがとう」
「アンネマリー! アンネマリーじゃないか!」
「サンドラ、あの、チェス盤」
チェス盤をひっくり返して、サンドラはアンネマリー・リースロッド(ka0519)に抱きついた。
「お久しぶりです、サンドラさん」
「知り合い?」
C.J.が首を傾げた。
「うん! 私が今の町に住むきっかけをくれた人の1人なんだ」
「その節はお世話になりました。町の司祭のヴィルジーリオと申します」
駒と盤を拾ってヴィルジーリオも挨拶をする。彼は、身内の事件に首を突っ込むと泥沼化するということで、あまり住んでいる町の事件にハンターとして関わらないのである。まずはオフィスを通すことにしている。もちろん、急を要するならば別だが。
さて、アンネマリーも誘ったところ、TRPGの経験があると言うことで参加を承諾してくれた。GMを引き受けるC.J.を見て目が光ったのには誰も気付かない。
さて、この他にも、夢路 まよい(ka1328)、ディーナ・フェルミ(ka5843)、穂積 智里(ka6819)が参加してくれた。ディーナは、洞窟に行くゲームをしよう、と聞くや、
「え? ゲームで洞窟に潜るの? 分かったの、すぐ準備してくるの!」
バビュン、とブースを飛び出した。
「えっ、どこ行っちゃったのあいつ」
「食べ物、とかでしょうか」
既知の智里はなんとなく察しがついたようだ。アンネマリーもそれを聞いて、
「じゃあ私も飲み物とか用意してきますね。GMさんは喉を酷使するので……」
「え? GMって何かそう言うスキルがいるの? 僕一般人なんだけど……」
「そういうわけではないです」
くすりと笑って、彼女も出て行った。残った智里とまよいは導入とルールを読みながらふんふんと頷いている。
「へ~、これがTRPGっていう遊び? なんだかよくわかんないけど、楽しそうだからやってみる! 智里は遊んだことある?」
「リプレイ読むのが面白くて、それが高じてD6ゲームには何回か参加したことがあります。わあ、このゲームはD10なんですか? 綺麗ですよね、クリスタルダイス。欲しくなっちゃいます」
「ふーん? リプレイって何?」
「ゲームの進行とか結果を小説形式に書き起こしたものですよ」
「報告書みたいなもんか」
「そう言う理解で良いと思います」
「お待ちどおさまなの、オヤツの準備は万全なの! どこの洞窟でもすぐ行けるの……あれ?」
ディーナが戻ってきた。智里の予想通り、食べ物の調達の様だった。串焼き、バケットサンド、樽入りジュース……。
「ガチの冒険じゃないからね!?」
「えっ」
「豪勢ですね」
軽食を買って戻ってきたアンネマリーが、それを見て目を瞬かせた。
●キャラメイキング
「えーと、このゲームは自分達自身を使うんですね?」
智里が首を傾げると、まよいも悩むように顎に手を置いた。
「ん~、普段の私と違うようなキャラクターをやってみたくもあるんだけどな~。種族が人間じゃない人とか、戦士の人とか、男の人とか!」
「慣れない内はあんまり捻らない方が良いんじゃない? ていうか僕も初心者だから事故っちゃうぞ」
「じゃあ人間の魔法使いの女の人にしよっと。でも、せめて年齢くらいは自分とちょっと変えて……20歳くらいのお姉さんでいこう! 名前はマヨイってことで」
TRPG慣れしているアンネマリーは既に設定を作り上げてた。ビジネスライクな寺生まれハーフ13歳。お金が必要なのでインベーダー討伐に行きます、と言うことらしい。ビジネスライクだが本来は情に厚いとのこと。インベーダーを頑なに悪霊と呼称する設定のようだ。
「……設定忘れたら教えて」
「大丈夫ですよ」
「洞窟は隊列組んで入るんじゃないかと思いますけど」
智里は各々のステータスを見比べて早くも作戦を立て始めている。
「それりゃ、わらひはれんえーなろ。えくらろしさいろしれろーれんなろ、んぐんぐ」
「ディーナ、なんて?」
串焼きを頬張りながら宣言するディーナにC.J.が耳を向けた。
「ディーナさんは前衛ですね。良いと思います。アンネマリーさんと夢路さんが真ん中に入って貰って後衛は私、でどうでしょう? 攻性防壁入れてるので後ろからの不意打ちにも対処できると思います」
「智里よくわかったな!?」
「それで良いと思うよ」
「私も大丈夫です」
「いいほおもふ、んぐんぐ」
「よし、じゃあディーナが今口に入れてるものを飲み込んだら始めよう。ちゃんと待っててあげるから、口に入れたまま喋らなくて良いからね!」
●お腹が空くお年頃
「えー、と言うことで、あなたたちは、インベーダーとそうでないものを見分けるためのゴーグルを装備して、各々武器を構え、洞窟の中へと入っていくのだった」
「質問なの」
「何かねディーナくん」
「インベーダーって食べられるの?」
「ファッ!?」
「カニの侵略者……確かに美味しそうなそうでもないような?」
ディーナの問いに、智里も考え込んでいる。
「だって宇宙からの侵略者だよ!? 食べたい!? 僕は絶対食べたくない!」
「C.J.が駄目だと思うなら駄目で良いんじゃない?」
「食べることを前提にしたシナリオではなさそうですが」
まよいとアンネマリーも意見を口にする。
「それと、何で他は倒しちゃいけないの? 危険生物や美味しいお肉はついでに倒して食べてもいいかなって思うの」
「侵略者倒しに行く途中でキャンプすんの!? うーん、じゃあ帰り道? でも調理道具持ってる?」
「着火の指輪ならディーナさんと私が持ってますが……」
「え……原始的過ぎない? 逆に聞きたいんだけど、焼くのは良いとして、捌かないの? 誰もナイフ持ってないよね? 素手で千切るの? 流石にそれは却下するよ。文化的に生きてよ」
「ああ……」
ディーナが沈痛の面持ちで頭を抱える。
「痛恨のミスなの……今度は調理道具一式持ち込むの」
「そこまでしてサバイバル飯が食いたいのか!? じゃあ今度はお料理系のシナリオを捜してきてあげるから。ささ、せっかく君が買ってきてくれた串焼きがリアルであるんだからこっちでお腹を満たしなよ」
●冒険の始まり
バスターたちは暗い洞窟に入っていった。灯火の水晶球で当たりを照らしながら、油断なく進んで行く。
「悪霊の気配が濃厚ですね」
寺生まれのアンネマリーが厳かに呟く。
「何が出てきても、インベーダーであるなら討伐するだけよ」
故郷をインベーダーに滅ぼされたマヨイがクールに言い放った。振る舞いこそ冷静だが、その胸の奥には復讐心が燃えている……。
「えーと、えーと、食べられないなら倒してしまうの~! え、違う?」
「皆さん、敵が出てきたら防御バフ掛けますね」
その時、あなたたちは近くに気配を感じた!
「感じた! のですがここで君たちには直感による一般行為判定をしてもらおう」
C.J.がダイスを掌の中で転がしながら言った。
「えーと、一般行為だから修正難易度と数値を掛け算するのか」
C.J.はステータスを見てから真顔になった
「ていうか難易度3って……これダイス振る必要あるか? でも振りたいから振ります。クリティカル出たら何かおまけするね」
言いながらダイスを振る。瞬発順に、まよい、ディーナ、智里、アンネマリーでそれぞれ09、13、79、25。全員成功だ。
「と言うわけであなたたちはインベーダーの気配に気付きました! 戦闘開始です! ファーストとロングの宣言はないね? じゃあイニシアチブ決めて……でも気付いてるし、PCが先攻と言うことにしてしまおう。何もなければ瞬発順で行くから、先にやりたいことがあったら言ってね」
カニに似た形のインベーダーが5体現れた!
「丁度良い数ね。まとめて狙い撃ちよ」
マヨイはフォースリングの力を使って、マジックアローで5体同時に狙いを付けた。
「お待ち下さい、マヨイさん」
アンネマリーがストップを掛けた。一体どうしたのだろうか。
「何かしら?」
「そのままでは回避される危険があります。まずは私のレクイエム真言で悪霊の動きを鈍らせましょう」
「お願いするわ」
アンネマリーはレクイエムを唱えた。すると、5体の内3体は抵抗に失敗して動きが鈍くなった!
「これで皆様の攻撃も当たりやすくなるかと」
「わかったわ。ありがとうアンネマリー」
マヨイは改めてマジックアローで5体を狙いをつけ……。
「えー! 回避半減してるのになんでこう言うときに限って07とか出るの?」
「うーん、残念だけどダイスの結果なら仕方ないよ」
「でも命中したやつは消し炭になったよ」
「やったぁ」
「じゃあ今度は私がセイクリッドフラッシュを使うの! 敵陣に突っ込んで使いますなの!」
「オッケー」
ディーナは残り4体のカニの群れに突撃するとセイクリッドフラッシュを発動した。1体を残して命中する!
「ディーナさんに防性強化を掛けます」
智里はマテリアルを前衛のディーナに流し込んだ。これでディーナは多少殴られても大丈夫だ!
カニたちの反撃が始まる。しかしどれもレクイエムが効いてて全然当たらないのであった!
「レクイエムが効いてるわね」
マヨイがほくそ笑んだ。
●ボス戦
その後も戦闘とシナリオは進行した。C.J.も段々判定に慣れ、出目が悪い時にくじけなくなり、PLたちもペースを掴んだあたりでボス戦と相成った。
「えーと、ボス戦です。サイズ2のオオサンショウウオが1体と、噂のカニが5体。PL情報ですがこのサンショウウオはどうやらしびれガスがあるようなのでバッドステータス対策どうぞ」
「そんなことまで言っちゃって良いの?」
まよいが首を傾げた。
「僕は君たちに勝って欲しいから開示する」
「じゃあ、マヨイの一族に伝わる歌を披露しちゃおうかな! 私も歌っちゃうよ」
マヨイはサンショウウオから危険な空気を感じ取ると、一族に伝わると言う歌を披露した。舞もセットの綺麗な歌だ。
穢れし魂
もたらす災禍
精霊の加護にて
幻のものとせん
これでしびれガスはほぼ無効となった!
「ウコンバサラのトールハンマーを発動しますの!」
マヨイの歌の範囲から出てしまった時のための保険に、ディーナは武器のスキルを解放した!
マヨイはサンショウウオの前に立ちはだかった!
「マジックアローをダブルキャストで撃ち込むわ。その大きな身体が命取りね」
「大型ルール良いねこれ。かっこいい」
ルールを読みながら、C.J.はふむふむと頷いた。
「でしょ! 見せ場にしたいなって思って」
「その前にレクエム使って良いですか?」
「オッケー……全員抵抗失敗だな。ボスのもともとの回避も半分になって、複数回攻撃は更に下がる。これはいけますよマヨイ姐さん」
アンネマリーのレクイエム真言によって何体かは回避が下がりました! マヨイさんマジックアローどうぞ!
「行くわよ」
マヨイは4本のマジックアローをサンショウウオにぶちかました! そこだ! やっちまえ!
オオサンショウウオはレクイエムが効いているものの、元々が敏捷だったので2本はかわしてしまった……。だが大ダメージだ!
「ボスから先に倒すのー!」
ウコンバサラからレイバシアーに持ち替えたディーナが突っ込んでセイクリッドフラッシュ! サンショウウオは倒れた……。
「倒れた!? ボスが1ラウンド目で倒れた!?」
「サンショウウオ食べてみたかったの……」
「ええ……食えるのか? あれ。でかいイモリみたいなやつだろ……?」
「サンショウウオは倒しましたがまだカニが残っています! カニにデルタレイ使用します!」
智里が宣言すると、3角形の光が浮かび上がって光線が発射された! 狙った3体に当たって2体は倒れたぞ!
カニたちの反撃が始まった! 残り3体の内2体はディーナ狙いだ! しかしディーナは華麗にそれを回避しました!
もう1体はマヨイに狙いをつけ……。
ダイスの出目は00だった。これはカニの命中判定である。つまり……。
「ク、クリティカル……」
「ご、ごめんまよい許して……」
アンネマリーがまさかの出目に顔を引きつらせ、C.J.は顔を覆った。
「運みたいなもんだし、気にしないで良いんじゃない? 智里、防御障壁掛けてくれるよね?」
「はい。マヨイさんに防御障壁を使います」
「ちなみに命中部位胴体」
「一番頑丈なところだから大丈夫だよ」
マヨイの胴体にカニのハサミがヒットしてしまった! 智里の防御障壁でちょっとダメージは軽減されたぞ!
「マヨイさんの傷をフルリカバリーで癒やします」
アンネマリーが祈りを捧げると、マヨイの傷がみるみるうちに癒えていった。
「アンネマリー、ありがとう。今日はたくさん助けてもらっているわね」
マヨイお姉様はクールにお礼を言うのだった。
「良いね良いね! 仲間同士で助け合いしてくれてGM嬉しいなぁ」
C.J.はクリティカルのことを忘れたかの様にご機嫌である。サンドラとヴィルジーリオも観戦に回っている。
「GMも健闘してるじゃないですか。あんまり出目でへこむから替わろうかと思っていましたが大丈夫そうですね」
「僕が誘った人たちなんだから最後まで僕がやらなきゃだよ。さ、あと3体だよ! 頑張って!」
「アンネマリー、まだレクイエム使えるかしら?」
「はい。これが最後の1回です」
「いざとなったらセイクリッドフラッシュ連打するの」
「攻性防壁も、行動阻害が発生するのでいざとなったら私も前に出ますね」
アンネマリーはレクイエム最後の1回を使った! なんと言うことでしょう! 全ての敵が抵抗に失敗して回避とか半分になりました!
「フォースリングで残りの3体全部狙ったマジックアローよ!」
マヨイの闘志が燃え上がる! マジックアローが発射されて、残りのカニめがけて飛んでいった!
「やったー! 3体とも回避失敗だ! これでシナリオクリアだよ!」
3体目の回避判定が73を出したところでC.J.が万歳した。アンネマリーがくすりと微笑んでから手を叩く。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様C.J.」
「おふはれはまへひたの」
「お疲れ様です。初めてと仰っていましたがコツは大体掴んだんじゃないでしょうか」
「うっ、うっ、ありがとう。ありがとう皆……ところでディーナ、そんなに頬張って詰まらせない?」
「らいほうふ」
「次回は調理系のシナリオやろうね」
「他のシナリオがあるなら、私がGMをやりましょうか。サンドラさんもいかがですか?」
「やりたい!」
「ちょっと探してみますね。皆さんその間に別のゲームでも」
「あ、でしたらトランプ持ってますよ。アンネマリーさんも、シナリオ見付けたら途中からでも」
智里が自前のトランプを取り出した。
初GMの達成感で多幸感に浸っているC.J.はその光景を見て目を細める。
「楽しく遊べるって幸せだよねぇ。ほんと皆ありがとう」
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/26 11:41:28 |