ハロウィン×イケメンの無駄な本気

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
イベント
難易度
やや易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/10/27 12:00
完成日
2018/10/28 20:12

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 あてどもなく、街を歩く──。
 リゼリオの町並み。特に深く考えず適当に歩いていたが、どこへ行っても見慣れた感じのする景色に、もう、すっかり己がこの街に馴染んでいることを自覚する。やはり、もはやここが……──
(……違う。駄目だ。今は考えるなってのに)
 伊佐美 透(kz0243)はそうして、浮かびかけた思考を振り払うように軽く首を振る。
 リアルブルーでの戦い。その果ての……封印作戦。それは、つまり。
 ……今は考えてる場合じゃないんだろう。まずは、目の前の戦いに勝利すること。そのための思考、そのための準備を。
 とは言えその時までの待つまでの時間、余白はどうしても生まれる。
 物が少ない自室に籠っていては、他に考えることがすぐ無くなるからと、景色を求めて街に出た。
 そうだった、と思い直して顔を上げる。
 見慣れた街角、だが、商店の立ち並ぶ一角に入っていくと、輪郭は同じにしながらも普段とは異なる風景も目に入る。
(ハロウィン、か……)
 そんな季節だった。思い入れは無いが近年では当たり前にはなりつつある風物詩。
 さほど興味はなくとも、街のあちこちを飾るモニュメントなどは素直に可愛らしいと心が和む。
 時刻はまだ朝早い。多くの店がまだ開店前で、人通りはほとんど無い。寂しさもあるが、落ち着いてゆっくり歩いていられるとも言える。
 ああ、こうしているのがちょうどいいかと、それらを眺め歩くことにして、少し視線を上げて頭を空にしていく……──
 曲がり角で、小さな衝撃を受けた。
 慌てて視線を下げる。へたり込む女性。紙袋。そこから散らばっていく何か。
「……っ! すみません! 本当にすみません! あの、どこか怪我は!?」
 一瞬で状況を把握して、透は謝罪の言葉を口にしながら一先ず散らばり始めたものを拾い集める──製菓材料、だろうか?
 女性は、へたり込んだまま叫んだ。
「あああああ! どうしましょう!? 卵に何かあったら! 買い直して作り始めたら間に合わないかもしれないわ!?」
「え!? あっ……すみません本当に! 弁済します! あの、何なら手伝えることはしますからっ……!」
 反射的に。ごく一般の常識と良識をもって女性の言葉に咄嗟に透はそう口にして。
 かがみ込んで粉袋を拾っていた手首をガシリと掴まれた。
「言ったわね?」
「……へ?」
「何でも手伝うって今言ったわね? 言質とったわよ?」
「…………え」
「とりあえず、うちの店にきて話ししましょうか」
 主に透がしまい直した紙袋を抱えて立ち上がり女性が言う。
 袋の中頃の具合を確かめているようにも見えて、そこに卵があるのは本当のようだった。
「大丈夫、別に取って食うわけじゃないからね? 少し手伝ってもらうだけよ本当に。少しだけ、ね?」
 そうやって微笑む──というかほくそ笑む──女性の表情に、ちらり、思い浮かぶことがあった。
 ……もしかして、今、本当に俺からぶつかったんだろうか──?
 思うも、ぼんやり歩いていた透自身には分からない。目撃者も居ない。
 それで実際、袋の中身に何かあったらと思うと、逃げることも出来ない透なのだった。

 ……そうして。
 連れてこられたのは、まだ真新しい雰囲気のカフェだった。
「見ての通り、うちはまだ出来たばかりのカフェでね。腕に自信はあるんだけど、知名度が広がらないのか中々客足が伸びなくて」
「はあ」
「一度味の評判さえ広まれば、いけると思うんだけどね」
「まあ……はい」
 話しながら出されたケーキは確かに美味しかった。つい曖昧に頷く。
「というわけで、新規顧客の呼び込みのために接客しなさいイケメン」
「えーいや、でも」
「ええそうね。単純にイケメンが接客してようがそれだけじゃ、まずこの店に興味を持ってもらわない限りそのこと自体認識されない。それじゃあ意味ないんだけど──時期は折よくしてハロウィン!」
 びしりと。女性は腕組みして座りながら自信ありげに胸を逸らして宣言した。
「ということで『ハロウィン限定企画 ~イケメン魔族に招待されるキケンなお茶会~』! まずはこれでこの場に興味を引いてくる作戦で行きます!」
「いやちょっと待って。行きますて」
「という訳であんたにやってもらうのはただのウェイターじゃないわ! あんたは純真な乙女の魂を求めて町角で見染めた女性を霧深い幻の城の茶会に招待した魔界のプリンスだから! はい! ちょっとそのつもりで演じて見なさい!」
「え、えー……」
 唐突にツッコミどころ満載のことを振られて、透はしばし考えて立ち上がり……。一度目を閉じる。
 そして再び開くとともに表情と雰囲気を一変させた。
「『やあ。やっぱり来てくれると思ったよお嬢さん。君に素敵なひと時を──でも気を付けてね? 夢中になりすぎたら……君の魂の輝き、奪い過ぎてしまうかも』」
 すう、と、口元は優しく笑み、視線はどこか冷たく細め、そして甘い声で言って。テーブルにしなやかに手を置いて、指先でコツン、と鳴らす。
 ──女性は腕組みしてふんぞり返った姿勢のまま椅子ごとひっくり返った。
「ちょ、えええっ!? いきなり変わりすぎでしょ! さっきまでの残念ぼんくらどこ行ったの!? あんたプロか!」
「残念ぼんくらて。いやまあ何のプロかと思われたかによるけど……演じろって言うから……」
 プロでした。

 実のところ、乗せられる必要なんて無かったのだろうが(結局卵は無事だったし)、なんとなくここまで流されてしまったのは。
(……まあ、何も考えたくないんだよな、今……)
 そうして元々、思考力を意図的にかなり下げていたせいなのだろうが。
 だがまあ、まさに丁度いいと言えばいい。自分が、それ以外の何もかもを上手く忘れていられる瞬間というのは確かに、演じている間なのだから。
 ……こちらの世界で、演技をする気は無かったが。まあ、この形なら後引くものは残らないだろう、し。
 こうした場に来る客が求めるもの、というのも、考えてみれば舞台を観に来る客とそう変わらないのかもしれない。
 日常から離れて、特別な体験を。別世界を。
 それを叶えるのは役者の全霊の演技だ。多少のセットや設定の無理など無視させるほどの、認識を、世界観を書き換えるほどの本気の演技を。
 『この世界』は『こういうもの』だと信じさせてしまえ。恥ずかしいことなど何もない──。

 とまあこのような職業意識で、約束した初日を乗りきった透である。演じてる間は気にならないが、終わって振り返るとやっぱり悶絶したくなるが。うん。ハマらないくらいが逆にいいんだ。後一日くらいならいい。これはこれで貴重な経験──。
 そうして、また彼女の店に朝早く向かうと。
 既に行列が出来ていた。
 思わず覚醒しつつこっそりと店の裏手へと回る。
「良く来たわね。ちょっと人手かき集めて来るから、あんた留守番」
 女性店主の言葉に、無言で頷くしかなかった。

リプレイ本文

  白い霧が 霞ませていく
  甘い夢の 物語
  誘われし者 扉を開けて
  密かの幻に耽る

 旅の吟遊詩人ユメリア(ka7010)は吟う。
 限られた時にだけ現れた幻の店、そこで過ごしたひとときを留めるために。
 調べと詩を紡ぎだしながら、彼女はその時へと思いを遡る。そうして、彼女は陶酔するようにほぅ、と息を吐き。
 それから、少女の顔でくすくすと笑った。



 黒を基調とした店内はミストと間接照明の効果で薄暗くもきらびやかな雰囲気を醸し出している。
 開店を間際に控えた店内には今、粒揃いにして個性的なイケメンたちが待ち構えていた。
 上品なイケメン。
 ミステリアスなイケメン。
 ワイルドなイケメン。
 元気いっぱいのイケメン。
 可愛らしいイケメン。
 爽やかなイケメン。
 埴輪なイケメン。
 埴輪。イケメン。埴輪? イケメン。
 まあ待ってあげてほしい。多分言わずとも犯人として挙がっているだろうアルト・ハーニー (ka0113)本人のスタイルは至ってこの場に相応しいものだ。優雅さを感じる仕立てのスーツに、頭には羊を思わせる小さな角。さながら悪魔紳士と言った風情。本人が埴輪の格好をするというのは流石にねぇよってことで弁えた。空気が読める男、あらやだイケメン。
 で、その肩に埴輪が居る。ちょこんと当たり前のように悪魔紳士の肩に埴輪が居る。それはアリなのか。
「俺のようにイケメンな埴輪もいないだろ、と」
 アルトがそういうようにつまりここでの争点はそこだろう。つまり埴輪はイケメン足りえるのか。
 ……それが象っているのが男性なのであればイケメン足りえるのではないか?
 例えば埴輪の王子様。居る。確実に居る。もうテーマソングとか勝手に流れてくる勢いで居る。なら悪魔埴輪だって居るし悪魔埴輪だってイケメン。判定、埴輪はイケメン。よし。
 そんなわけでここにイケメンが集った。イケメンしか居ない。
 店主は一同を見回して、何も言わずただしっかりと頷いた。行け、と。
 かくて開店が宣言させる。お行儀良く順に入ってくるお嬢様がたを、イケメンたちがお相手していく。

「やあ、いらっしゃいお嬢さん……なるほどね。この度はようこそ。彼の友人として歓迎しよう」
 鳳凰院ひりょ(ka3744)の服装は上質なベストのスーツ姿に古風なマント。裏地が赤のそれを羽織る姿は格調高き吸血鬼ということであろう。この霧の城のプリンスとは別の城に居を構える友人……という設定であるらしい。
 町を歩いていたら助っ人を頼まれ、手隙だからと言いながら手伝うことにした彼ではあるが。
(俺がイケメンかどうかは別として……だがな)
 などと宣う彼であるが埴輪がイケメンになる空間で何をいわんやである。もう髪のてっぺんから足の先までまごうことなきイケメン。
「お嬢さんのような魅力的な女性、本当は我が城へ連れ去ってしまいたい所だが、そうもいかないのでな……。せめてゆっくりしていくといい」
 成程つまりメインのライバルポジション的イケメン。ちょっぴり覗かせる強引さが乙女心をぐらつかせるポイント。これはメインよりポテンシャルが高くなることを見越してパッケージのセンターにメインとツートップで置かれるタイプのイケメン。
 彼が供するのは血のようなベリーソースを添えられたレアチーズケーキ。
 この雰囲気の中で彼が思い出すのは以前に出たハロウィンの催しだった。あの時は純粋にパーティーだったか。その頃とは勝手が違う、と、感じながら……しかし彼は中々に堂々と気障な言葉を吐きつづけるのだった。なんのことはない、臭い台詞は結構普段から言い慣れている故だろう。自覚はあるらしい。

「任せろ、俺は元々イケメンだぜ?」
 自信満々に言うトリプルJ(ka6653)が扮するのは狼男。顔の下半分だけ狼の鼻と口が付くタイプの狼マスクで、彼の野性的にして優しげな目は隠さないタイプになっている。そこに、自分の耳は隠す形で狼耳を装着。尻尾も着用。
 口許がマスクに覆われるため声がくぐもった感じになるが、ミストのた炊かれた店内ではむしろ「らしい」空気がでる。
 吸血鬼以外のメジャーで、十八禁は勿論ご法度。その上で客の食欲を減衰させないもの……と、これらを加味してのチョイスである。なんて気配りのできるイケメン。
「あんたもうちの王子のお客さんかな? 是非楽しんで行ってくれ、美しい人」
 来店時の対応はそういって跪いて手を取り、キスを気取って狼鼻を押し付ける。それだけなら気障なセリフと仕草だが、明朗な雰囲気が嫌味さを残さない。これは男女双方から高い好感度が出るタイプの男前イケメンである。
 彼が運んでくるのはオーダー後温め直すことでバターの香りが立ち昇るパンプキンパイ。きつね色の表面と立ち昇る湯気を生かして素朴にワイルドに盛り付けて。

 さて、アルトwith埴輪のその埴輪部分はどうなのかと言えば。
「えーやだ可愛いー」
 と、概ね好感触がほとんどであった。世の中イケメンに掛かれば大体こんなもんである。
 とはいえ。
「ふ、綺麗なお嬢さん方、いらっしゃい。はにw……、……俺と共に素晴らしい時を過ごそう?」
 けふんと咳払い。こうなると駄々洩れそうになる埴輪を抑えるのに苦労することになるアルトである。大丈夫彼はイケメン。出来る男。雰囲気はちゃんと守って頑張る男である。エスコートなら王女様とで慣れてるから任せろーと言ってのける彼は最後まで節度を守り通した。
 そうなれば彼の埴輪は程よい愛嬌として作用する。緩急をつけるためにこういうキャラって大事。これはもう愛されるイケメン。
 悪魔紳士と埴輪の不思議なコラボを味わいたい方は、ほうじ茶のシフォンケーキにトライデント型のチョコレートを添えたこちらをどうぞ。

 メアリ・ロイド(ka6633)が纏うはスーツ「ノスフェラトゥ」。やや時代がかったデザインの、豪奢な雰囲気の上下のスーツ一揃いである。
 そこに頭にねじの飾りを付けて、顔や手には継ぎ接ぎメイク。足元の女性用のガラスの靴の奇妙なアンバランスが逆に絶妙なバランスとなるその姿は、クールにしてミステリアスなフランケンシュタイン。
「よく来て下さいました、美しき我が花嫁」
 抑揚の乏しい表情、声から、しかし自分にだけ滲みだされる独占欲。これはヤバい。嵌まる人はとことん沼に沈めてくタイプのイケメン。
 イケメンですよ? 女性だろうが。いやもう格好いいし。ここまで来て今更もう女性であることくらい問題にする人いないと思うのでもういちいち断りません。
 彼女もとい彼のメニューは黒と青のマーブル鮮やかなチョコとミントのムース。そのクセに彼だけの虜になって。

 百鬼 一夏(ka7308)はポニーテールに纏めた髪に執事服。自前の角を見せた姿は魔界の鬼にして忠実なる執事という設定か。
「来てくれると思っていたよ綺麗な魂のお嬢さん」
 来店の客を案内する際、流れるように手の甲に口付けをして見せる彼女には、はじめこの店に連れてこられていた時に「かっこいい男の人のふりをすればいいのですね! 分かりました!」と元気よく言っていた明るく真っ直ぐな趣は何処にもない。
 真っ直ぐ──そう、その、単純とも言われかねない真っ直ぐさが彼女の持ち味である。それがなぜ、このように変貌して見せるのか。
「私は魔界からやって来たイケメンなのです……!」
 と、真っ直ぐ故にかかりやすい、自己暗示の賜物だった。いつもの彼女の手段である。弱虫な自分を奮い立たせて戦場に立つための。自分は強い、勝てる、という自己暗示。それを、今日は自分は紛れもないイケメンである、と変えるだけ。
「おっと、君の魅力にあてられてしまったようだ」
 隠して彼女もとい彼は今は綺麗に微笑み次々客を魅了していく完璧なイケメンだった。幼い少年の面立ちに危険な魅力を覗かせる、ギャップのあるイケメン。主人に、客に忠実な下僕のように傅いて見せると油断していると火傷する。むしろ火傷したい。
 彼が差し出すのはプリン・ア・ラ・モード。プリンと侮るなかれ、盛り付けには高級感を出して。それでもプリンが見せるあどけなさに油断すると、存外大人な味わいに貴女は驚くことでしょう。

 あちこちに零れる歓声と吐息。感触は上々。客は接客とケーキの味に満足して、そして。
「もう帰っちまうのかい、王子のお気に入り。あんたが居ないと王子が暗く落ち込みそうだ。是非また顔を出してくれ」
 来店時と同じく跪いてキス風に手の甲に狼鼻を押し付けられて、ウインクしながら狼男に見送られて。
「現世に帰ってしまわれても、戻って来て下さいますよね?」
 クールなフランケンシュタインの、無理に笑おうとしている泣きそうな笑顔に後ろ髪引かれながら。
「ふふ、それじゃあ元の世界に帰してあげる。だけど忘れないで。貴女の魂は……もう私のものだ」
 最後にいよいよと牙をむく少年執事の剣呑さに背筋を震わせて。
 それでもそういう場所と弁えているお嬢様がたは、最後まで店の雰囲気と設定を味わいながら退店していく。

 そうして順調に客を回転させていく中、星空の幻(ka6980)が入口に立ったときの入店客は。
「あっ、来てくれたんだね綺麗なお姉ちゃん♪ たっくさんあそぼ~♪」
「えっ……と、グラム君? 私は……お姉ちゃんではないけど……」
 鞍馬 真(ka5819)だった。
「何の事かな? ニトロはニトロは♪ 立派な魔界の狼なの~♪」
 そういう設定であるらしかった。ショートパンツに燕尾服。狼耳と尻尾を付けた人狼姿。名前はニトロ。一人称を二回繰り返すところがチャームポイント。遊んでちょうだい、とフリフリ尻尾で見上げてくる、母性本能擽るイケメン。正統派ショタと言うべきでこれは好きなお姉さまにダイレクトアタック系。あざといはこの場では正義。
 ちなみに、元気いっぱいの彼を喚ぶ為のメニューは、フレッシュさあふれるフルーツ盛りだくさんのタルトである。
 ……を、強引に貫いてくるグラム。まあつまり、女性店主は男性客が来ることを想定していなかった。口車に乗せられて今はやけくそでやっている彼女は元気いっぱい言われたとおりにやるだけである。やけくそ感を維持するためにバックヤードでもこの調子のままのグラムは今、むしろ知り合いの来店というハプニングにやけくそ度三割増しの接客である。
 さて、ぼーっと店の前を歩いていたら案内されたという真としてはこの場にどう対応すべきなのか。短いやり取りで概要を察した彼だが、つまりやっぱり、ゆるふわ秋物コーデのせいで女性と間違われてこの店に案内された公算が高い。
 ならば。グラム君の頑張りに応え恥をかかせないために、ここはお姉さんとして遇されるべきなのか。設定を見なおす。グラム君は今イケメン。うん、可愛いもイケメンの内で良いんじゃないだろうか。店の空気。あちこちで交わされる『お嬢さん』の言葉。ふわりと包み込んでいくその雰囲気に身を任せ、真は頬に手を当てて軽くしなを作ってグラムに手を伸ばし返して……──
「あれ?」
 そこで、透と目が合った。漆黒のクラシカルな王子様スタイル。対し繰り返しになるが真はごく普通の秋物普段着である。
 いや待って何でこの状況で気まずい側が私になるの。おかしくない?
 固まる真に透はああ、という顔で微笑んだ。
「稀に居るんだ。君みたいに迷い込めてしまう人間がね……いいよ。その魔力に免じて特別にお招きしよう。但し今日のことは……内緒ね?」
 咄嗟にだろう、透はそう言って真を奥の席へと案内する。
 ……危なかった。何かに呑まれかけた。恐るべしイケメン空間。席について水を一服し気を取り直す真である。
「やあ透。人気者は大変だね」
 とりあえず透に紐づいたショコラクラシックを注文し、運んできた彼にそう声をかける。実際、初日を盛り上げた彼はやはりそれなりに声がかかるようではあった。
 きみが居て驚いたよ、と真が言うと、透は苦笑して軽く経緯を説明する。
「きみも大概巻き込まれ体質だよね……」
「『も』ってところがお互い哀しいな……」
 真の言葉に苦笑で返しながら、優雅な仕草でコーヒーを注いで真に差し出す。
「私はお嬢さんじゃないし休憩だと思って普段通りに接してくれたら良いよ」
 真がそう言うと透は更に声を小さくして、
「まあ、真がその方がくつろげるならそうするけど。他のお客さんのことも有るし」
 先ほどの対応一つとっても、例外対応をしないわけではないがそれでも全体の雰囲気を保つことは彼の意識として必須であるらしい。
「いやプリンスになり切ってくれても良いんだけどね? 色んな意味で疲れてないか心配で」
「えっ俺君から疲れてないか心配されるほど疲れて見えるか?」
「えっ何そこで本気のドン引き」
「だってなあ……」
 少しジト目で真を見る透に、互いにくすっと笑い合う。結局真が望んだとおりに、少しは透の休憩になったのだろうか。
「それではごゆっくりと。君も大事な客人だよ。でも……君も長居には気を付けた方がいい──」
 最後にそう、芝居の調子で言って透が去ると、不意打ちに真は赤面してフォークを取り落とした。
「……私なんかを相手に無駄な本気を出してないで温存しておきなさい」
 去っていく背に、思わず文句をつける。そうして。
(でも、やっぱり格好良いなあ。……少しだけ、羨ましいよ)
 と、女性と間違えられてここに連れてこられた経緯を思い出したのか、少し拗ねた顔で真は呟くのだった。 

(成程、予定外の客にはああやる手があんのか……)
 と、一連の流れを見ていて内心呟くのはメアリだった。
 男性客や接客に興味のない客は「呼ばれていないが幻の道にたどり着けてしまった魔力の高い人間」とそういう設定にしたらしい。
 もとより、面白そうなのと、演技、接客の勉強という目的で引き受けた彼女である。であるから、一度彼の演劇を見たことがあり、そのプロフェッショナルぶりを尊敬している透のことは隙を見てよく観察していた。
 特に指示されていなかった予定外の客、しかも知り合いの来店という状況に、慌てることはおろか咄嗟には素を出すことなく捌いて見せたことに感心する。
 男性慣れしていない女性客と、それから奇特な男性客も相手にしようと思っていたが。向こうが接客に興味がない場合も、他の客のために極力世界観を崩さないように対応しなければならない、という事に改めて気を引き締め直す彼女である。
 そんな彼女の元に、新たにやってきたのはディーナ・フェルミ(ka5843)。
「イケメン……イケメン? お菓子くれる人とエクラさまと鑑さん以上のイケメンはこの世に居ないと思うの」
 大マジな顔で言う彼女は、女性客ではあるがこれは、過度の接客は求めていないとみるべきだろう。
「ああ……貴女の魂は既に誰かのものなのですね……。ならば僕には奪えない。せめて安らかなる一時を」
 それだけを言って口を閉ざす。対し目の前のディーナはと言えば。
「うーんうーん、選べないの~、しょうがないから飲み物絞ってケーキはここからここまでにするの」
 メニューを前にもう全くメアリの演技など気にしちゃいないようではあった。それはいい。問題は彼女ではなくこの周囲を店の空気の中に保てたかどうか。アドリブだが、どうだろうか? 勿論きょろきょろと周りを見回すことなどしはしない。だが、肌に感じる感触は悪くない。一先ずはこんなもんか、と納得して、あとはディーナへは注文通り、ハロウィンのスペシャリテとして用意されたケーキの数々を余計なことは言わずに並べていく。
 ものすごい勢いでディーナはそれを平らげていった。満足げに口を拭くと、更に紙ナプキンを取り出してそれに何か記していく。
『イケメンじゃお腹が膨れないの来年はカボチャクッキー1枚プレゼントとか食べ物希望なの』
 支払いの際に受け渡されたそれを、メアリは黙って受け取る。そうして。
「さようなら綺麗な魂の貴女。……どうか幸せを」
 最期まで演技として、そう締めくくって見せた。
 要望はきちんと女性店主へと渡されて、
「ああまあ、ちゃんと回転するようになったらそういうのもやりたいわよね勿論。これはこれとして」
 とのことだった。

 なおその後、特に気に入ったケーキを3ホール購入して、ハンターオフィスへと向かったディーナである。
「アンさん今日はカボチャがおめでとうなの、みんなでどうぞなの」
「ディーナの先生! へえ、本日はトリックオアトリートと言い合って菓子を交換する日だと存じてまさあ!」
 この手のイベントですっかり食べ物を贈り合うことが習慣化したディーナとアン=ズヴォー。お互いハロウィンへの理解が雑過ぎる。まあディーナにとっては異教のイベントなのだからそのくらいにしておいた方がいいのかもしれないが。
「くうう……今度こそはと思って手前どもも準備して待ち構えてましたが、またディーナの姐さんに上をいかれましたでさあ……」
 悔しくも嬉しそうなアン。それでも茶菓子の用意があるとディーナを招くと、
「……さ、誘って貰えるなら勿論ご相伴するの」
 何故かもじもじして応えるディーナ。こうしてオフィスの受付嬢たちにも、ハロウィンというかそれに便乗したお茶会の福音は御裾分けされるのだった。

 勿論のこと、やってくるのはそうした『例外客』ばかりではない。
(あ、アイだとかコイだとかって……こういうトコに行けば分かんのか? 別に! したい訳じゃねぇけど! どんなモンか知っておきたいだけだっつーの!)
 などという心境でやって来たボルディア・コンフラムス(ka0796)などは。
 これはもう全力で御相手して差し上げるべきお客様であることだろう。
「緊張しているのかな素敵なお嬢さん……。我が心からのもてなし、楽しんでもらってほしいが……」
「あ、はい。ありがとうございます。大丈夫です」
 入店直後から、とにかく歯の浮くようなセリフに耐性のない彼女は普段からは考えられないほどおどおどしていて受け身だった。
 まず受けたひりょの接客に、頭が完全にショートしたらしく何故か敬語になっている。
 それでも、ケーキを味わううちに少しは慣れてきたのか。
(うーん、でもまあ、ああいう気障なのはあんまり好みじゃねえかなあ)
 などと考える余裕も出てきたようだ。どうにもやはり、あくまで彼女の好みとして、ああいうのは軟弱に見える。
 じゃあ……? と思いながら視線を巡らせると、次に目に留まったのはJだった。野性味溢れる彼だが、オラオラ系……という訳ではないのだろう。彼の接客は、喧嘩を売るようなそれでは無い。入店退店時以外は節度というのか、ウィンク程度の普通の接客に留めていて、渋い、という程ではないが明朗な中にも感じる落ち着いた物腰は嫌いでは無いかもしれない……が、やはり、嫌いではない、程度か。
 そうして、そのまま何となく見ていると。
「ようちびっころ。ちゃんとやってるか?」
 同じ狼同士という事で、一種の余興なのだろう、揶揄うようにJはグラムにそう言って、クシャリと彼女の頭を撫でた。
「ニトロはニトロは子犬じゃないの~。立派な大人の狼なの~!」
 そうして、ぷくーっと頬を膨らませて、グラムが反論する。
 ──……きゅんっ
 え。と、ボルディアは慌てふためく。いや、なんだ今の「きゅん」って。今感じた胸の高鳴りはJに対してではない──グラムに対してである。
 小さな身体で元気いっぱい、背伸びして強くあろうとする様子が愛らしかった。守ってやりたい……そんな気持ちにさせる。
「楽しかったよ♪ また遊ぼうね♪」
 そう言って他の女性客にぶんぶんと手を振るニトロことグラムを、暫し見つめて、どこか羨ましい気持ちが芽生えてくる。
(いやいやいや!)
 ぶんぶんとボルディアは頭を振った。よく見たらあれ女の子だし。守ってあげたくなるのは守護者として当然の感情だよな、うん──と。
「プリン・ア・ラ・モードお待たせしました。……良く、味わってほしいな。私の、貴女に捧げる心を、ね?」
 隣の席からそんな声がする。配膳を済ませた一夏が、ボルディアの席を横切ろうとして……。
「あっ!?」
 と、床に足が滑ったのか蹴躓く。真横に座っていたボルディアは当然のように反射的に、倒れ掛かる身体に腕を伸ばした。
 ……失態。そこに、女性ながら頼りになりすぎる腕。一夏はつい一瞬、自己暗示を忘れて素の表情で、縋る様にボルディアを見上げてしまう。
 見つめ合う瞳と瞳。
 飛び交う点描。
 ──……トゥンク
 今度自分の内から聞こえた音は、胸の高鳴りとして誤魔化しようがなかった。
 互いに固まっていると、はっとしたように一夏が身体を起こす。
「や、やあ、私としたことが、客人のお世話になってしまうとは。お、お詫びしよう……の、後ほど改めて」
 そう言って、やや早足でバックヤードへ向かっていく一夏。自己暗示をやり直す為である。
 その背中をボルディアは、金縛りにかかったように暫く見つめていた。
 分かっている。一夏もやはり、女の子である。
 だが実際に、あんな風に自分なりに、何かを一生懸命やっている少年が隣に居て。
 ずっとそばに居て、その頑張りを守って支えてやることが出来たら……──?
(だ、誰かが居るだけで満たされるって……こーゆー気持ち、なのか? もしかして……)
 恋を知るために来店したボルディア。
 果たしてその成果はあったのか──それは、彼女のみぞ知る。

 そうして。
 甘い霧の幻は今、いよいよ最高潮を迎えようとしていた。
「嗚呼なんて罪なことをいうお人。貴方に言われては、この退屈な世界の檻から全てを奪って攫っていってと望んでしまいそう……」
「ふふ……それは危険なほどに魅力的な提案だな美しすぎるお嬢さん。しかしもう一歩、彼との友情のために踏みとどまろう。せめて精一杯君をもてなしたい。お代わりは如何かな?」
「ではお願いをします。百万遍の夜を凝縮したような飲み物を」
「嗚呼構わないとも。貴女がお望みならば時も場所も超えてあらゆる夜を駆け巡り集めて御覧いれよう」
 吟じるような会話はひりょとユメリアのものである。
 すらすらと語りながらひりょは、
(はて、なぜ俺はこんな背中が痒くなってくるような台詞を次々と……?)
 と、コーヒーを淹れるためにバックヤードに戻って、実際痒みを覚えながら疑問を感じ始めていた。
 それは。やはり、吟遊詩人たるユメリアが紡ぐ言の葉に引き摺られてのことも有ったのだろう。
 甜言蜜語で作られる世界。ならば、自分も吟遊詩人としてその一助をしなければならないと。
 それはこの世界の何事も否定せず、微笑んで見守ってきた彼女のほんの冗談にして──軽いプロ意識による対抗心だったのだろうが。
 今や客も店員も、全てが彼女のテーブルに意識を集めざるを得なかった。
 バイオリンの音が響く。手空きになったメアリのものだ。ストリングの音色に、幻想はますます深まっていく。
 彼女は紡ぐ。歌うように囁き、ほのかな香水の香りで酔わせて。
 このひとときに狂わされるのは誰でありましょう。乙女の魂を狙った悪魔が、逆に乙女に心奪われてしまうなど、幾つも語られた物語では御座いませんこと?
 ──私はどんな店員様にも全力でその愛を昇華し。最強の客になりましょう。
 男性女性の区別もなく。そう例え……
「ほうじ茶シフォン、お待たせなんだぞ、と。俺からのもてなしだ。楽しい時を過ごそう。楽しいと言えばところではに、……」
「……。ええありがとうございます円らな瞳の御方。じっと見つめられるとその深い瞳の奥に吸い込まれてしまいそうですわね」
 埴輪が相手だろうと。
 いやあホント、顔色変えずに続けましたねプロってすごい。台詞大分埴輪に引っ張られた感ありますけど。むしろ埴輪を吟遊詩人に描写させるとこうなる。すごい。
 そうしてアルトと、その肩に乗せた埴輪との邂逅も楽しんで彼女は笑うと、最後に透が近づいてきた。……こちらもプロとしてやはり、疼かせるものがあったらしい。
「やあ楽しんでいるかなお嬢さん。僕の目に狂いは無かった……けど、貴女の美しさはどうやら危険すぎる程らしい」
「ご招待に預かりまして。でも今日この刻限りで貴方は私から逃げてしまうのかしら? 悪魔的ですこと」
「いいや、貴女はそれでも美しい。どうしようか。やはり禁を破って全てを奪いたくなってしまう──」
「ふふ。魂を奪ったらそのタイブローチとして飾ってくださいますか」
「素敵な提案だね。いかなる魂、如何なる宝石よりも輝く魂が僕の傍で輝き続けるのか」
「如何なる宝石よりもなんて。貴方の目の輝きこそ宝石も色あせてしまいそう。宝石商があなたに嫉妬しているでしょう」
 それは正に、芝居のような一幕だった。
 有り得ない非日常。このような睦言など、現実の世界では、決して。
 だからこそ戯れでは終わらないものを、この場に居合わせた人たちに焼き付ける。
 エスコートされ退店するまでのその間。幕引きを見るように、その扉が閉まるまでが、一つの世界だった。




  溶かすような刻は そして
  瞬きの間に 過ぎ去り
  残す言の葉 惑わされしは
  人か魔か

 ユメリアは紡いでいく。
 この一連の一幕が決して、夢幻のものではなく語り継ぐべきものとして留めるために。
 そうして彼女は、思い起こすように、今日のために特別にと配られていたメニュー表に目を落した。

『霧の城の魔族のプリンスのショコラクラシック』
『古城にすまう気高き吸血鬼のブラッドリー・チーズケーキ』
『豪放磊落な狼男のパンプキンパイ』
『魔族と埴輪の不思議な関係? ほうじ茶シフォンケーキ』
『ミステリアスフランケンのチョコとミントのマーブルムース』
『プリン・ア・ラ・モード ~鬼の少年執事の秘密の味~』
『元気いっぱいオオカミ少年のフレッシュなフルーツタルト』

 さあ、貴女は齧るならどんな夢を?


















 ──これはハロウィンとは関係ない一つの話。故に別枠として付記されるものである。

 開店中、来客はもう一人いた。
「……演技しないと死んじゃう鮪が居ますぅ」
 星野 ハナ(ka5852)は透を見つけるなり、思わず目を丸くしてマジマジと見つめながら言った。
 不味い、口が滑ったと慌てて口を押さえて横を向く。
 彼女が何を言っているのか透には全く意味不明だった──それを聞かせたところでどうなると思っているかも含めて。何か思い込んでいるようだが、その意味以上に、その態度に透は諦めのように、彼女に対しすっと冷めていく何かを自覚した。勿論、接客、芝居中の彼が傍目にわかるようにそれを出すことは無かったが。
 同じように接客し、席へと通す。
(自分が盛大に距離感を踏み間違っている自覚がある。……悪いのは確実に此方で彼方ではない)
 そうして、物思いに沈む彼女は、お勧めを頼み運ばれたあとはやはり、『接客を望まない客』の一人として遇された。
(1枚演技を挟む行動は憤怒や傲慢を確実に怒らせ標的にされる悪手じゃないかと思うけど、それは私の考えでしかない。相手は息するように演技し続けないと死んじゃうのだ。それは本人と仲間が考えること)
 そうして静かに考える空間を与えられた彼女は、チラチラと視線を走らせながら彼女は考える。周囲のハロウィンとイケメンを楽しむ空気とは隔離されて。
(こういう安全な場所や箱物だけで演技してくれればって思うこと自体巨大なお世話なのだ)
 一人彼女は納得したらしかった。対話を望んで来るわけではなくそうやって終わらせる彼女に、もう、透の方から何を差し挟むことも無い。
「ご馳走さまでしたぁ。頑張って下さいねぇ」
 そうして、彼女はケーキセットを平らげ終えると、会計に立つ。
「応援どうもありがとう。頑張るよ」
 去り際の彼女の言葉に、定型句と共に透はそう応えた。それは役者として一ファンに応える反応だった。彼女がそうあれと思い続けた通りに。
 ハナはこの店をあとにする。今日はこのままスイーツ三昧もいいかもしれないと。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 50
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • ヌリエのセンセ―
    アルト・ハーニー(ka0113
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 天使にはなれなくて
    メアリ・ロイド(ka6633
    人間(蒼)|24才|女性|機導師
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • 白銀の審判人
    星空の幻(ka6980
    オートマトン|11才|女性|猟撃士
  • 重なる道に輝きを
    ユメリア(ka7010
    エルフ|20才|女性|聖導士
  • ヒーローを目指す炎娘
    百鬼 一夏(ka7308
    鬼|17才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/10/26 21:49:01
アイコン 【相談卓】我輩はイケメンである
百鬼 一夏(ka7308
鬼|17才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2018/10/27 08:07:46