• コメディ

ハロウィン×イケメンの無駄な本気

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
イベント
難易度
やや易しい
オプション
参加費
500
参加人数
現在11人 / 1~25人
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/10/27 12:00
リプレイ完成予定
2018/11/05 12:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

 あてどもなく、街を歩く──。
 リゼリオの町並み。特に深く考えず適当に歩いていたが、どこへ行っても見慣れた感じのする景色に、もう、すっかり己がこの街に馴染んでいることを自覚する。やはり、もはやここが……──
(……違う。駄目だ。今は考えるなってのに)
 伊佐美 透(kz0243)はそうして、浮かびかけた思考を振り払うように軽く首を振る。
 リアルブルーでの戦い。その果ての……封印作戦。それは、つまり。
 ……今は考えてる場合じゃないんだろう。まずは、目の前の戦いに勝利すること。そのための思考、そのための準備を。
 とは言えその時までの待つまでの時間、余白はどうしても生まれる。
 物が少ない自室に籠っていては、他に考えることがすぐ無くなるからと、景色を求めて街に出た。
 そうだった、と思い直して顔を上げる。
 見慣れた街角、だが、商店の立ち並ぶ一角に入っていくと、輪郭は同じにしながらも普段とは異なる風景も目に入る。
(ハロウィン、か……)
 そんな季節だった。思い入れは無いが近年では当たり前にはなりつつある風物詩。
 さほど興味はなくとも、街のあちこちを飾るモニュメントなどは素直に可愛らしいと心が和む。
 時刻はまだ朝早い。多くの店がまだ開店前で、人通りはほとんど無い。寂しさもあるが、落ち着いてゆっくり歩いていられるとも言える。
 ああ、こうしているのがちょうどいいかと、それらを眺め歩くことにして、少し視線を上げて頭を空にしていく……──
 曲がり角で、小さな衝撃を受けた。
 慌てて視線を下げる。へたり込む女性。紙袋。そこから散らばっていく何か。
「……っ! すみません! 本当にすみません! あの、どこか怪我は!?」
 一瞬で状況を把握して、透は謝罪の言葉を口にしながら一先ず散らばり始めたものを拾い集める──製菓材料、だろうか?
 女性は、へたり込んだまま叫んだ。
「あああああ! どうしましょう!? 卵に何かあったら! 買い直して作り始めたら間に合わないかもしれないわ!?」
「え!? あっ……すみません本当に! 弁済します! あの、何なら手伝えることはしますからっ……!」
 反射的に。ごく一般の常識と良識をもって女性の言葉に咄嗟に透はそう口にして。
 かがみ込んで粉袋を拾っていた手首をガシリと掴まれた。
「言ったわね?」
「……へ?」
「何でも手伝うって今言ったわね? 言質とったわよ?」
「…………え」
「とりあえず、うちの店にきて話ししましょうか」
 主に透がしまい直した紙袋を抱えて立ち上がり女性が言う。
 袋の中頃の具合を確かめているようにも見えて、そこに卵があるのは本当のようだった。
「大丈夫、別に取って食うわけじゃないからね? 少し手伝ってもらうだけよ本当に。少しだけ、ね?」
 そうやって微笑む──というかほくそ笑む──女性の表情に、ちらり、思い浮かぶことがあった。
 ……もしかして、今、本当に俺からぶつかったんだろうか──?
 思うも、ぼんやり歩いていた透自身には分からない。目撃者も居ない。
 それで実際、袋の中身に何かあったらと思うと、逃げることも出来ない透なのだった。

 ……そうして。
 連れてこられたのは、まだ真新しい雰囲気のカフェだった。
「見ての通り、うちはまだ出来たばかりのカフェでね。腕に自信はあるんだけど、知名度が広がらないのか中々客足が伸びなくて」
「はあ」
「一度味の評判さえ広まれば、いけると思うんだけどね」
「まあ……はい」
 話しながら出されたケーキは確かに美味しかった。つい曖昧に頷く。
「というわけで、新規顧客の呼び込みのために接客しなさいイケメン」
「えーいや、でも」
「ええそうね。単純にイケメンが接客してようがそれだけじゃ、まずこの店に興味を持ってもらわない限りそのこと自体認識されない。それじゃあ意味ないんだけど──時期は折よくしてハロウィン!」
 びしりと。女性は腕組みして座りながら自信ありげに胸を逸らして宣言した。
「ということで『ハロウィン限定企画 ~イケメン魔族に招待されるキケンなお茶会~』! まずはこれでこの場に興味を引いてくる作戦で行きます!」
「いやちょっと待って。行きますて」
「という訳であんたにやってもらうのはただのウェイターじゃないわ! あんたは純真な乙女の魂を求めて町角で見染めた女性を霧深い幻の城の茶会に招待した魔界のプリンスだから! はい! ちょっとそのつもりで演じて見なさい!」
「え、えー……」
 唐突にツッコミどころ満載のことを振られて、透はしばし考えて立ち上がり……。一度目を閉じる。
 そして再び開くとともに表情と雰囲気を一変させた。
「『やあ。やっぱり来てくれると思ったよお嬢さん。君に素敵なひと時を──でも気を付けてね? 夢中になりすぎたら……君の魂の輝き、奪い過ぎてしまうかも』」
 すう、と、口元は優しく笑み、視線はどこか冷たく細め、そして甘い声で言って。テーブルにしなやかに手を置いて、指先でコツン、と鳴らす。
 ──女性は腕組みしてふんぞり返った姿勢のまま椅子ごとひっくり返った。
「ちょ、えええっ!? いきなり変わりすぎでしょ! さっきまでの残念ぼんくらどこ行ったの!? あんたプロか!」
「残念ぼんくらて。いやまあ何のプロかと思われたかによるけど……演じろって言うから……」
 プロでした。

 実のところ、乗せられる必要なんて無かったのだろうが(結局卵は無事だったし)、なんとなくここまで流されてしまったのは。
(……まあ、何も考えたくないんだよな、今……)
 そうして元々、思考力を意図的にかなり下げていたせいなのだろうが。
 だがまあ、まさに丁度いいと言えばいい。自分が、それ以外の何もかもを上手く忘れていられる瞬間というのは確かに、演じている間なのだから。
 ……こちらの世界で、演技をする気は無かったが。まあ、この形なら後引くものは残らないだろう、し。
 こうした場に来る客が求めるもの、というのも、考えてみれば舞台を観に来る客とそう変わらないのかもしれない。
 日常から離れて、特別な体験を。別世界を。
 それを叶えるのは役者の全霊の演技だ。多少のセットや設定の無理など無視させるほどの、認識を、世界観を書き換えるほどの本気の演技を。
 『この世界』は『こういうもの』だと信じさせてしまえ。恥ずかしいことなど何もない──。

 とまあこのような職業意識で、約束した初日を乗りきった透である。演じてる間は気にならないが、終わって振り返るとやっぱり悶絶したくなるが。うん。ハマらないくらいが逆にいいんだ。後一日くらいならいい。これはこれで貴重な経験──。
 そうして、また彼女の店に朝早く向かうと。
 既に行列が出来ていた。
 思わず覚醒しつつこっそりと店の裏手へと回る。
「良く来たわね。ちょっと人手かき集めて来るから、あんた留守番」
 女性店主の言葉に、無言で頷くしかなかった。

解説

●目的
ハロウィンコンセプトカフェと称する何かを盛り上げる。

●店員
おっと先に言っとくが覚悟は良いかイケメンどもこの先情け無用のネタ無法地帯イッツァカオスワールドだ。
こちらを選択した時点で己の命運がどうなってもある程度は同意があったものと見做す。
なお夢オチの時期にはまだ早いからな。
そんなわけで『霧の中の幻の城に住む魔界のプリンスとその仲間たち』として仮装と演技をしてカフェの客をもてなすお仕事です。
背景としては『街を歩いていたら不思議なイケメンに声をかけて秘密のお茶会の招待状を受け取った貴女。怪しくも心惹かれてしまった貴女は招待状の通りに歩いていくといつの間にか見たこともない城にたどり着いて……?』
来客時の挨拶は「やあ、来てくれると思ってたよ綺麗な魂のお嬢さん。素敵な時間を」
退店時の挨拶は「ふふ、それじゃあ元の世界に帰してあげるよ、また呼ぶかもしれないけどね……?」
が基本です。ただ自分の設定キャラにより改変可。
キャラについては魔界の住人という世界観に沿ってれば比較的自由に設定可能。正統派イケメンだけでなく魔獣ワイルド系なども全然アリかと。
それらに添って接客方法、台詞なども考えてください。
客側に同行者が居る場合、客側の注意も参考にしてください。
イケメンと言いますが老若男女美醜は問いません。逆に何だろうがここを選んだ時点で概念としてなんかもうイケメンと扱います。

●客
という訳で客として上記コンセプトのカフェをお楽しみください。
この選択肢の場合、報酬はありません(結果反映時に差額を差し引き)。
目当ての店員がいる場合ご指名を。
あくまでカフェであってホストクラブ等ではないので注意してください。過度の絡みや接触は厳禁。あまり騒ぐと強制退店です。
ネタ振りは指名PCが居る場合、「プレイングで合意が確認できる」場合は採用します。一方的な無茶振りは駄目ですよ。

マスターより

凪池です。
このBUならいけると思った。
空蒼連動であれだけやっといて肝心の最終決戦時に何を思うかもしれませんが。
だってあんな状況になってあえてこいつ個人に何しろって言うんだよ。
という訳で透さんは考えるのをやめました。凪池もやめました。いやまあ描写されないけど大規模のどっかで頑張ってはいるんでしょうこいつも。
冒頭空蒼連動について触れていますが、単に導入の都合です。空蒼連動はちゃんとアフターシナリオだす予定なので、そっちの積もる話はその時にやって、今回は頭空っぽにしてネタ方面にハロウィンを楽しむことを推奨です。

キャラがぶれてるんじゃない。役の振れ幅が広いんだよ。(←

最後に。繰り返すが夢オチではない。

関連NPC


  • 伊佐美 透(kz0243
    人間(リアルブルー)|28才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/10/28 20:12

参加者一覧

  • ヌリエのセンセ―
    アルト・ハーニー(ka0113
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 天使にはなれなくて
    メアリ・ロイド(ka6633
    人間(蒼)|24才|女性|機導師
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • 白銀の審判人
    星空の幻(ka6980
    オートマトン|11才|女性|猟撃士
  • 重なる道に輝きを
    ユメリア(ka7010
    エルフ|20才|女性|聖導士
  • ヒーローを目指す炎娘
    百鬼 一夏(ka7308
    鬼|17才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/10/26 21:49:01
アイコン 【相談卓】我輩はイケメンである
百鬼 一夏(ka7308
鬼|17才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2018/10/27 08:07:46