ゲスト
(ka0000)
【郷祭】キノコ、生える秋
マスター:奈華里

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2018/11/14 19:00
- 完成日
- 2018/11/27 00:38
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
実りの秋、ジェオルジに属する農家の者ならこの時期は色々大忙し。
作物が美味しい時期であるから収穫する側も食べてくれる人達の笑顔を思い、農作業に精を出す。
ここ、とある村の三人娘もそれは一緒だ。共同でやっている畑から収穫してきたばかりの芋を大きさ別により分けて、一旦倉庫の奥へと移動させる。なぜ出荷しないのかと言えば、答えは簡単。芋は追熟させた方が甘くなるから。この時期獲れるリアルブルーで言うところのサツマイモは特にこれが大事なのだ。
「ねぇ、マロ―ナ。これもお願い~」
ポニーテールのリコットが半端になってしまったお芋を一つにまとめる。
「OK~。これは半端だからスイートポテト行かな」
そう言うのはセミロングの髪を二つのまとめたマロ―ナだ。
一般的に出荷できないものは大体が本人達のお腹へと消えていくシステムであるから、これらも彼女達の手で調理され美味しく頂かれる事だろう。一つも無駄にしない。それが生産農家であり、彼女達のポリシーでもある。
「さてっと、後はこれをここにしまったら…ってうえぇぇぇぇ!?」
とそこでマロ―ナから悲鳴が上がって、残りの二人も思わず彼女の元へと駆けてくる。
「どうしたの?」
「あの、害虫でもいた?」
リコットと三人の中ではリーダー的ポジションのシモンが問う。
が、尋ねつつも視界に入ったそれに気付いて、二人も暫し言葉を失う。
そう、そこには見た事もないキノコの山。何故今まで気付かなかったのか不思議なくらいだ。
「な、ななな、何でぇ…」
突如群生したキノコを前にマロ―ナが言う。
「あー…うん、そう言えば…今年は倉庫の隅は陰になってて、じめじめしてた…かも?」
そう言うのはリコットだ。マロ―ナに比べれば幾分マシであるが、それでも動揺は隠せない。
「ま、まぁそうよね。村長の事やらミントの事やらで留守にする事も多かったし」
シモンは今年の一連の動きを振り返りそう考察する。
つまりは彼女達が見ていないうちに自然発生してしまったらしい。ここまで群生するとなると奇跡的な偶然が重なっての生育となるが、まぁ出来たものは仕方がない。
「ねぇ、これって食べられるのかな?」
じぃーと発生しているキノコを見つめて一人が言う。
「さあね。でも無闇に手を出したらお腹壊すかもしれないわよ」
その意見ごもっとも。キノコの中には毒性を持つものも多く、初心者が手を出すべきものではない。
「ちょっとキノコ事典もってくるわ」
そこで善は急げとシモンが一旦家の方へと駆け出した。
――が、何冊かの本を捲ってはみたものの一向にこのキノコの情報は得られない。
というかもうこれは新種なのかもと思える程だ。しかも生えてきたのは計二種類。
一つは傘がぬるぬるしていて少し気持ちが悪かった。色はやや茶色がかっていて、とにかく小さめの傘が沢山。ポルチーニほどの肉厚さは無く、軸がどちらかと言えばひょろひょろしているのが特徴的と言えよう。
そしてもう一つは…一言で言えば毛玉の様に丸くふさふさしていた。傘らしきものはないから、一見するとキノコとは思えない。でも、僅かに香るにおいがどうやらキノコっぽいことからそう判断しただけだ。
「うーん、どうしよう。折角できたんだから食べられるなら食べてみたいよね」
マロ―ナが食への好奇心を見せて、そんな事を呟く。
「けど、食中毒は怖いし…そうだ、リアルブルーの人だったら知ってるんじゃない!」
とこれはリコット。
クリムゾンウエストでは初めてかもしれないが、向こうでは当たり前のキノコだと推測。
だとするならば、これらを直接見て判断して貰えば済む話だと彼女は考える。
「そ、そうね。こんなに出来てるんだし自然の恵みをあっさり捨ててしまうのは勿体ないわよね」
シモンもただ廃棄するのは嫌らしい。考え抜いた末、そう結論づける。
ただ、流石に依頼としてハンターオフィスに出すのは如何なものか。
ある意味『毒見』に近い事をお願いしてしまうのだから、オフィスの許可が下りるかどうかも不安な所。それにだ。たかが、キノコの鑑定で高額の依頼料を用意するのは難しい。そういう訳で、彼女達はダメ元で街頭募集を敢行する。オフィスの近くに立って、募金を募るような形で協力者を探す。
「すみませーん。キノコに詳しい方探してまーす」
「胃に自信がある方でも構いません。ご協力頂けないでしょうか~」
「謝礼も寸志ですが出せますし、お昼もこちらで提供しまーす」
三人が道行くハンターにそう声をかける。
「すみませーん。本当に切実なのでリアルブルーのキノコに詳しい方宜しくお願いしまーす」
こんなことで捕まえられるのかどうかは疑問であったが、それでも彼女らは諦めないのであった。
作物が美味しい時期であるから収穫する側も食べてくれる人達の笑顔を思い、農作業に精を出す。
ここ、とある村の三人娘もそれは一緒だ。共同でやっている畑から収穫してきたばかりの芋を大きさ別により分けて、一旦倉庫の奥へと移動させる。なぜ出荷しないのかと言えば、答えは簡単。芋は追熟させた方が甘くなるから。この時期獲れるリアルブルーで言うところのサツマイモは特にこれが大事なのだ。
「ねぇ、マロ―ナ。これもお願い~」
ポニーテールのリコットが半端になってしまったお芋を一つにまとめる。
「OK~。これは半端だからスイートポテト行かな」
そう言うのはセミロングの髪を二つのまとめたマロ―ナだ。
一般的に出荷できないものは大体が本人達のお腹へと消えていくシステムであるから、これらも彼女達の手で調理され美味しく頂かれる事だろう。一つも無駄にしない。それが生産農家であり、彼女達のポリシーでもある。
「さてっと、後はこれをここにしまったら…ってうえぇぇぇぇ!?」
とそこでマロ―ナから悲鳴が上がって、残りの二人も思わず彼女の元へと駆けてくる。
「どうしたの?」
「あの、害虫でもいた?」
リコットと三人の中ではリーダー的ポジションのシモンが問う。
が、尋ねつつも視界に入ったそれに気付いて、二人も暫し言葉を失う。
そう、そこには見た事もないキノコの山。何故今まで気付かなかったのか不思議なくらいだ。
「な、ななな、何でぇ…」
突如群生したキノコを前にマロ―ナが言う。
「あー…うん、そう言えば…今年は倉庫の隅は陰になってて、じめじめしてた…かも?」
そう言うのはリコットだ。マロ―ナに比べれば幾分マシであるが、それでも動揺は隠せない。
「ま、まぁそうよね。村長の事やらミントの事やらで留守にする事も多かったし」
シモンは今年の一連の動きを振り返りそう考察する。
つまりは彼女達が見ていないうちに自然発生してしまったらしい。ここまで群生するとなると奇跡的な偶然が重なっての生育となるが、まぁ出来たものは仕方がない。
「ねぇ、これって食べられるのかな?」
じぃーと発生しているキノコを見つめて一人が言う。
「さあね。でも無闇に手を出したらお腹壊すかもしれないわよ」
その意見ごもっとも。キノコの中には毒性を持つものも多く、初心者が手を出すべきものではない。
「ちょっとキノコ事典もってくるわ」
そこで善は急げとシモンが一旦家の方へと駆け出した。
――が、何冊かの本を捲ってはみたものの一向にこのキノコの情報は得られない。
というかもうこれは新種なのかもと思える程だ。しかも生えてきたのは計二種類。
一つは傘がぬるぬるしていて少し気持ちが悪かった。色はやや茶色がかっていて、とにかく小さめの傘が沢山。ポルチーニほどの肉厚さは無く、軸がどちらかと言えばひょろひょろしているのが特徴的と言えよう。
そしてもう一つは…一言で言えば毛玉の様に丸くふさふさしていた。傘らしきものはないから、一見するとキノコとは思えない。でも、僅かに香るにおいがどうやらキノコっぽいことからそう判断しただけだ。
「うーん、どうしよう。折角できたんだから食べられるなら食べてみたいよね」
マロ―ナが食への好奇心を見せて、そんな事を呟く。
「けど、食中毒は怖いし…そうだ、リアルブルーの人だったら知ってるんじゃない!」
とこれはリコット。
クリムゾンウエストでは初めてかもしれないが、向こうでは当たり前のキノコだと推測。
だとするならば、これらを直接見て判断して貰えば済む話だと彼女は考える。
「そ、そうね。こんなに出来てるんだし自然の恵みをあっさり捨ててしまうのは勿体ないわよね」
シモンもただ廃棄するのは嫌らしい。考え抜いた末、そう結論づける。
ただ、流石に依頼としてハンターオフィスに出すのは如何なものか。
ある意味『毒見』に近い事をお願いしてしまうのだから、オフィスの許可が下りるかどうかも不安な所。それにだ。たかが、キノコの鑑定で高額の依頼料を用意するのは難しい。そういう訳で、彼女達はダメ元で街頭募集を敢行する。オフィスの近くに立って、募金を募るような形で協力者を探す。
「すみませーん。キノコに詳しい方探してまーす」
「胃に自信がある方でも構いません。ご協力頂けないでしょうか~」
「謝礼も寸志ですが出せますし、お昼もこちらで提供しまーす」
三人が道行くハンターにそう声をかける。
「すみませーん。本当に切実なのでリアルブルーのキノコに詳しい方宜しくお願いしまーす」
こんなことで捕まえられるのかどうかは疑問であったが、それでも彼女らは諦めないのであった。
リプレイ本文
●
ただ飯、この言葉だけ見れば確かに魅力的である。
実りのこの季節に、美味しいものが無償で食べられるとあれば人が集まらない筈がない。
但し、今回の場合は『毒見』という危険も伴うものだが、そんな事等気にせずやって来た者はいる。
「キノコは…全部見た目が怪しいから…平気で…すぴー」
鼻提灯を常に作りつつ、起きているのか寝ているのかよく判らないドゥアル(ka3746)が言う。
「あ、あれ? ちょっと待って下さい。これを食べるんですか??」
そう言うのは見た事もないキノコを前にしたサクラ・エルフリード(ka2598)だ。
彼女は秋の味覚を求めてやって来た口で毒見だという事は知らなかったらしい。
ぬるんとした表面のひょろりとしたフォルムに若干怖気づいている。
「なぁに、わたしに任せたまえ。私は割とキノコに詳しいぞ。それにだ、キノコにリアルブルーもクリムゾンウエストもあるまい。あっちには行った事もある。まぁ、心配せずに任せてくれ」
そこへ得意満面に登場したのはレイア・アローネ(ka4082)だった。
彼女自身山育ちという事もあり、それなりに山の幸には精通している。たかが、キノコ位と高を括って、この話を請け負ったようだ。だが、テーブルにおかれたキノコを見て彼女の心中穏やかで無し。
「…なんだこれ?」
ぬるりとした方はまだいいが、もう一つの方は何処からどう見ても綿毛にしか見えない。
「あの、今まさか『何だこれ』って言いました?」
空耳かもしれないとマロ―ナが聞き返す。そうだと言ってしまえばいいのだが、あそこまで言った手前認めるのは気恥ずかしい。レイアはとりあえずゆっくりと目の前のキノコから目を逸らす。
「レイアさん、どうなのですか?」
そんな彼女に追い打ちをかけるようにサクラが尋ねる。この後の事を考えると、サクラにとってやはりそこは重要だ。皆の視線が彼女に集まる。
「あっ…あー、こほん。まあ、アレだ。世の中は広いという事だな」
それに耐えきれなくなって彼女はお茶を濁す事を決意して…まあこれなら嘘にはらない。
「と言うと…」
「つまり、知らないという訳ね」
レイアの意見をあっさりまとめたシモン。残りの面子が肩を落とす。
(いや、だって…まさかこんなのとは聞いてないし…これはどう見てもキノコじゃないだろう)
もう一度まじまじと白いのを見つめて彼女は考える。が、どう見てもこれがキノコとは思えない。
(綿毛でなければうさぎの尻尾か? とにかくこんなものが食べられる筈がない)
そう結論付け彼女が視線を上げた時、もう一人の訪問者が訪れる。
「えーと、ここでよかったのかしら?」
噂を頼りに三人娘の倉庫へやって来た夢路 まよい(ka1328)だ。
「おおっ、まよいではないかっ! 確かまよいはリアルブルー出身だったよなっ!?」
そこで最近何かと顔を合わせる仲間の登場に歓喜するレイア。村娘達の推測が正しければ、彼女に聞けばこのキノコの正体がわかる筈だ。
「これ何ですけど、わかりますか?」
リコットが早速まよいの前に例の二つを見せて問う。が彼女はあっさり一言。
「うん、わかんないね!」
清々しい程の物言いに他の面子は呆気にとられた後、目をぱちくり。
正解が飛び出すと思っていたが、残念ながら彼女も知らないらしい。
「だって、ほら私あんま外出てなかったから…けど、向こうでもこんなキノコ見た事ないよ」
少なくとも彼女の父は彼女への食事にこれらを使っていなかった。
万事休す…こうなればやれる事は一つである。
「わかり、ました…とりあえず、食べてみましょう…」
連れてきていたパルムが騒がない事を見て、ドゥアルが強行策に出る。
なんと目の前にあった白い毛玉を躊躇する事無く口へと頬り込んだのだ。
「う、うそ…」
すぴすぴ、もぐもぐ。いつ見ても彼女の寝ながら食べの技術は凄い。
(味は…ない…? 舌触りは、もふもふ。やっぱりキノコっぽい匂い、がする…)
何度か口の中で咀嚼しながら彼女は自分の中でこのキノコについての感想を纏めていく。
「どう、ですか?」
サクラが問う。だが、ドゥアルは全く答えない。相変わらず鼻提灯が伸縮を繰り返している。
「あー、ドゥアルさん??」
機能を停止した様に黙ってしまった彼女に周りがじわじわと不安が広がる。
「ま、まさか眠りダケだったんじゃあ」
おどおどした様子でマロ―ナが言う。
「いや、待て。ドゥアルはいつも寝ているだろう」
「だったら、麻痺ダケ? それとも言語障害ダケ?」
とこれはシモンだ。彼女はこのキノコを少しばかし悪いものだと決めつけてかかっている様に思える。
「おーい、ドゥアルさーん。起きて下さーい」
一方リコットは思ったより冷静にドゥアルの頬をパタパタ叩いて覚醒を促していたり。
これでは何が何だか全くもって判らない。が、その前にまよいはある疑問を抱いていた。
(キノコって生で食べていいのかしら?)
ドゥアルは生のキノコをそのまま口にしていたが、彼女が知る限り生食は聞いた事がない。そこで近くにいたサクラにこっそり尋ねてみる。すると返ってきたのは予想通りの答えで。
「うーん…普通は食べないと思います」
「あ、やっぱり」
ドゥアルはどういうつもりで食べたのだろうか。よく判らないが、そのせいでああなったのかもしれない。だが、暫くして、ドゥアルは突如動き出す。
「これ、食べましょう…もっと、食べるのです。なんか一瞬だけ、ピカッと来たので…もっと食べれば、もっとピカッ…と、さあみなさんもご一緒に、たくさん食べてみましょう…」
何の事を言っているのか判らないが、心なしか元気なドゥアルがいきなり皆にキノコを強要し始める。
「うわぁ~、やめてくれ。流石に生は」
「せめて、焼かせて~」
ぐいぐいくる彼女のキノコ攻撃に皆が逃げ惑う。
「あれ? これは何の騒ぎです?」
とそこへ、この場の救世主となる穂積 智里(ka6819)が顔を出す。
●
道端で人を募っているのを見たのはお昼前の事である。
村娘達の声かけを聞いてはいたが、その前にぐぅとお腹が鳴って昼食を先にしたのが遅れた理由だ。それに三人娘達はそれぞれ一人ずつをスカウトし、連れて行っているようだったから「もう大丈夫かも」とか思った所もある。だが、問題の倉庫に来てみれば…事態は色々深刻の様だ。
「えっと、あなたは…」
どさくさに紛れて追いかけっこから抜け出してきたサクラが智里に尋ねる。
「ここ、キノコの鑑定をして欲しいって言ってる人のいる倉庫で合ってますか?」
その言葉にこくりとサクラが頷いて、話を聞けばなんと智里は二つのキノコの見当がついているらしい。
「皆さん、注目ちゅうもーく!!」
サクラが低い身長ながら精一杯身体を伸ばして叫ぶ。
するとその声にぴたりと反応し、智里の存在が露になる。
「その人はまさか」
「ですです。だからドゥアルさんを止めて下さい」
その言葉にハッとして動いたのはレイアだった。ドゥアルを後ろから捕まえ、一旦椅子に落ち着ける。
じたばたするドゥアルだったが、縄を持ち出されては成す術なし。暫くすると、抵抗を止めすぴすぴ寝息を立て始める。
「これを食べて暴れ出したんですか? それは変ですねぇ」
白い綿毛を前に智里が首を傾げる。
「とにかくこれは何なんだ? 食用なのか?」
そう問うのはレイアだ。未だもってこれが食せるとは思っているらしい。
「多分ですけど、これは『ヤマブシダケ』だと思うので大丈夫だと思います」
「ヤマブシダケ? やっぱり聞いた事ないわね」
シモンがキノコ事典を捲りつつ言う。
「山伏か…成程ね」
「何が成程です?」
まよいの納得に村娘が問う。
「山伏…リアルブルーにいる修行僧でね、その人達が首からかけている帯に丁度こんな飾りがついているのよ。それが名前の由来なら納得だなって」
「だと私も思います。もしそれなら子供の頃に一度だけこれを含めた煮物を食べさせて貰ったので食べてみればわかるかと」
たった一度きりの、しかも昔の記憶であるが智里に確認して貰う為急いで鍋を用意する。
「煮るという事は湯掻けば食べられるって事ですよね」
マロ―ナがそう言い、鍋に水を張り沸騰させる。その間にもう一つのキノコであるが…。
「多分こっちはなめこじゃないでしょうか。見た目からしてそうだとしか」
「あ、それは知ってるかも。食べた事はないけど」
智里の話を聞き、まよいがハッとする。
「うーん、確かに語感がぬるっとしてますねぇ」
本当に雰囲気で感じた事をサクラが言う。こちらも汁物に入れればいいとの事なので、まずは茹でから。
勿論万が一の事を考えて、ハンター達から試食する。
「大丈夫。きっと大丈夫ですよね?」
大惨事にはならないと自分に言い聞かせながらサクラがぬるっとした方にフォークに刺す。
それは相変わらず滑っていた。見た目が一応キノコだからという理由で白いのを避けた彼女である。
滑り落ちそうになるそれに気を付けながらゆっくりぱくり。舌に広がったのはちゅるんとした無味の膜。無理矢理表現するならば、なんというかクラゲの溶けたようなものである。そして、それを噛んでみるも触感こそ少し違うが、特徴的な味が見つからない。
「の、のみ込んでいいですか?」
何とも言い難いそれを味わって、彼女が涙目で尋ねる。その様子を前にまよいはこっそり覚醒。
(もし、違った時の為…覚醒すれば抵抗力が上がる筈)
そう思っての対策らしい。
「ほお…お前、本気なのだな」
レイアがまよいの覚醒を知り静かに呟く。
「じゃあ、いくわよ…」
まよいは白い方を刺して恐る恐る口の中へ。見た時よりしんなりした房の部分から少し香るキノコ特有の香り。それが食欲をそそるかどうかと言われれば微妙だ。そしてその後は数度咀嚼してみるもこちらも癖がなく、あっさりしたものだ。マッシュルームや椎茸ほどの硬さはなく、かと言って噛まないまま飲み込むには少し存在感が大きい。
「と、とりあえず、まずくはない…かな」
ごくりと飲み込んでまよいから素直な感想――レイアもどちらも口に入れて、始めは固く目を閉じていたが噛むにつれ広がる僅かな味が何となくキノコであり、痺れや痛みも感じないから毒性はないと判断する。
「なんだ。思ったより呆気ないな…普通に食えるじゃないか」
そう言って湯掻いたのを次から次へと食べ始める。
「うん。やっぱり間違いない。ヤマブシダケとなめこのようですね」
そこで智里もホッとした。実際のところ間違っていたらと冷や冷やしていたのである。
「わたくしも…食べたいのです…」
すぴすぴしていたドゥアルが椅子に縛られたまま言う。
そう言えば、さっきのあれは何だったのか。他が食べても何もならないのが不思議だ。
「しかし…これは味も素っ気もないな。こんなの欲しがる奴がいるだろうか」
食用と判明はしたものの、これでは買い手がつくか心配である。
しばらく様子を見て三人娘も試食したが、やはり特徴的な味がない為首を傾げるしかない。
「あの、智里さん。もしよかったらリアルブルーでのこのキノコレシピを教えて頂けないでしょうか?」
村娘達が唯一の知識人である智里に縋る。
「ええっと…それがですね」
だが、彼女はそれを問われると萎縮する。
●
とりあえず謎のキノコの名前と食用である事が分かった。
であるからここからは延長戦。折角のキノコなら美味しく食べたいと調理タイムだ。
「斬るのなら任せて下さい」
かちゃりと音を立て太刀を抜きサクラが言う。
「ちょっ、さすがにそれは」
「危ないからこっちで…ってえ」
シモンが狭い倉庫の中で太刀を振り回されてはと包丁を手渡した時だった。次の瞬間何故か包丁は倉庫の壁――ドゥアルのすぐ傍に突き刺さっているではないか。
「ど、どうやった! い合い抜きより早かったぞ!!」
興奮した様子でレイアが言う。
「あの、えっと…その…家事は苦手で」
が、サクラの方は意図的にやった訳ではないようで…これはドゥアルの体質と似たものらしい。
「あの、武器を使えば、本当大丈夫なので…こっちでやらせて下さい」
サクラがどうしても手伝いたいのかそうお願いする。
『ま、まあそう言う事なら…』
三人娘が顔を見合わせる。そして、作り始めたのは智里直伝のお味噌汁だった。
クリウエではまだ貴重な味噌であるが、マロ―ナが料理好きという事もあって一部家にあったのが功を奏す。魚で出汁をとり、そこへなめこを入れて少しばかり野菜を追加。サクラが見事な太刀裁きを見せて、味噌汁の中には銀杏切りになった人参と蓮根が浮かぶ。ヤマブシの方はあまじっょぱい煮汁で煮ていたとの事だったので、甘くはないが試しにトマトソースと絡めてみる事にしたようだ。
そんなこんなであっという間に香り高い味噌汁とトマト煮が完成。さっきと違って今度は食べやすい筈だ。
「うぅ、でもまだヌルっとしますね…」
これがなめこの良さではあるが、慣れない人にとっては気持ちの良いものではないだろう。サクラが再びなめこに挑む。だが、今度は割とイケたようで。
「ジュレみたいな感覚で、少し食べやすくなったかもです」
サクラが言う。
「うん、こっちも割といけるわよ。トマトソースがよく絡まってていい感じ♪」
まよいはそう言い、ヤマブシダケをもぐもぐ。淡泊な分、何にでも合わせやすいと言えよう。
だが、レシピを提供した筈の智里は納得いかないようで、
「自分で言うのも恥ずかしいんですけど…何か本当に感動しまた食べたい!って思うものでなくてごめんなさい~。茸は家庭料理ではスープや炊き込みご飯、雑炊に使うのが一般的じゃないかなと思います」
ぺこぺこ平謝りしながら彼女が言う。
「いえ、そんな有難う御座います! キノコの名前が判っただけでも、食べられると判っただけでも助かりますし頭を上げて下さい」
だが、三人娘の方は大満足のようだ。突如生えてきたものだが、事典に載っていないという事はクリウエでは新種である。という事は、この村の名物にする事が可能という事だ。
「食べ方は色々工夫が要りそうだけど、そういうのは得意なんで」
マロ―ナが腕には自信があるからと力こぶのポーズでハッキリ言い切る。
「そうですか? だったらいいのですが…あ、そうそう、確かこのやまぶしだけって本当は栽培できるまでは幻のキノコって言われて高級茸だったので、もっとおいしい食べ方があるかもしれません。例えば焼くとか天ぷらとか」
「天ぷら?」
「ああ、フライっぽいやつよ」
智里の代わりにまよいが答える。
「ちょっと聞いた! 高級ダケってことはつまり」
「ますますいけるよねっ」
村娘達が喜び出す。彼女達の村が茸村として登録される日は近いかもしれない。
ちなみにヤマブシダケには脳の若返りの作用があるとかないとか。
ただ飯、この言葉だけ見れば確かに魅力的である。
実りのこの季節に、美味しいものが無償で食べられるとあれば人が集まらない筈がない。
但し、今回の場合は『毒見』という危険も伴うものだが、そんな事等気にせずやって来た者はいる。
「キノコは…全部見た目が怪しいから…平気で…すぴー」
鼻提灯を常に作りつつ、起きているのか寝ているのかよく判らないドゥアル(ka3746)が言う。
「あ、あれ? ちょっと待って下さい。これを食べるんですか??」
そう言うのは見た事もないキノコを前にしたサクラ・エルフリード(ka2598)だ。
彼女は秋の味覚を求めてやって来た口で毒見だという事は知らなかったらしい。
ぬるんとした表面のひょろりとしたフォルムに若干怖気づいている。
「なぁに、わたしに任せたまえ。私は割とキノコに詳しいぞ。それにだ、キノコにリアルブルーもクリムゾンウエストもあるまい。あっちには行った事もある。まぁ、心配せずに任せてくれ」
そこへ得意満面に登場したのはレイア・アローネ(ka4082)だった。
彼女自身山育ちという事もあり、それなりに山の幸には精通している。たかが、キノコ位と高を括って、この話を請け負ったようだ。だが、テーブルにおかれたキノコを見て彼女の心中穏やかで無し。
「…なんだこれ?」
ぬるりとした方はまだいいが、もう一つの方は何処からどう見ても綿毛にしか見えない。
「あの、今まさか『何だこれ』って言いました?」
空耳かもしれないとマロ―ナが聞き返す。そうだと言ってしまえばいいのだが、あそこまで言った手前認めるのは気恥ずかしい。レイアはとりあえずゆっくりと目の前のキノコから目を逸らす。
「レイアさん、どうなのですか?」
そんな彼女に追い打ちをかけるようにサクラが尋ねる。この後の事を考えると、サクラにとってやはりそこは重要だ。皆の視線が彼女に集まる。
「あっ…あー、こほん。まあ、アレだ。世の中は広いという事だな」
それに耐えきれなくなって彼女はお茶を濁す事を決意して…まあこれなら嘘にはらない。
「と言うと…」
「つまり、知らないという訳ね」
レイアの意見をあっさりまとめたシモン。残りの面子が肩を落とす。
(いや、だって…まさかこんなのとは聞いてないし…これはどう見てもキノコじゃないだろう)
もう一度まじまじと白いのを見つめて彼女は考える。が、どう見てもこれがキノコとは思えない。
(綿毛でなければうさぎの尻尾か? とにかくこんなものが食べられる筈がない)
そう結論付け彼女が視線を上げた時、もう一人の訪問者が訪れる。
「えーと、ここでよかったのかしら?」
噂を頼りに三人娘の倉庫へやって来た夢路 まよい(ka1328)だ。
「おおっ、まよいではないかっ! 確かまよいはリアルブルー出身だったよなっ!?」
そこで最近何かと顔を合わせる仲間の登場に歓喜するレイア。村娘達の推測が正しければ、彼女に聞けばこのキノコの正体がわかる筈だ。
「これ何ですけど、わかりますか?」
リコットが早速まよいの前に例の二つを見せて問う。が彼女はあっさり一言。
「うん、わかんないね!」
清々しい程の物言いに他の面子は呆気にとられた後、目をぱちくり。
正解が飛び出すと思っていたが、残念ながら彼女も知らないらしい。
「だって、ほら私あんま外出てなかったから…けど、向こうでもこんなキノコ見た事ないよ」
少なくとも彼女の父は彼女への食事にこれらを使っていなかった。
万事休す…こうなればやれる事は一つである。
「わかり、ました…とりあえず、食べてみましょう…」
連れてきていたパルムが騒がない事を見て、ドゥアルが強行策に出る。
なんと目の前にあった白い毛玉を躊躇する事無く口へと頬り込んだのだ。
「う、うそ…」
すぴすぴ、もぐもぐ。いつ見ても彼女の寝ながら食べの技術は凄い。
(味は…ない…? 舌触りは、もふもふ。やっぱりキノコっぽい匂い、がする…)
何度か口の中で咀嚼しながら彼女は自分の中でこのキノコについての感想を纏めていく。
「どう、ですか?」
サクラが問う。だが、ドゥアルは全く答えない。相変わらず鼻提灯が伸縮を繰り返している。
「あー、ドゥアルさん??」
機能を停止した様に黙ってしまった彼女に周りがじわじわと不安が広がる。
「ま、まさか眠りダケだったんじゃあ」
おどおどした様子でマロ―ナが言う。
「いや、待て。ドゥアルはいつも寝ているだろう」
「だったら、麻痺ダケ? それとも言語障害ダケ?」
とこれはシモンだ。彼女はこのキノコを少しばかし悪いものだと決めつけてかかっている様に思える。
「おーい、ドゥアルさーん。起きて下さーい」
一方リコットは思ったより冷静にドゥアルの頬をパタパタ叩いて覚醒を促していたり。
これでは何が何だか全くもって判らない。が、その前にまよいはある疑問を抱いていた。
(キノコって生で食べていいのかしら?)
ドゥアルは生のキノコをそのまま口にしていたが、彼女が知る限り生食は聞いた事がない。そこで近くにいたサクラにこっそり尋ねてみる。すると返ってきたのは予想通りの答えで。
「うーん…普通は食べないと思います」
「あ、やっぱり」
ドゥアルはどういうつもりで食べたのだろうか。よく判らないが、そのせいでああなったのかもしれない。だが、暫くして、ドゥアルは突如動き出す。
「これ、食べましょう…もっと、食べるのです。なんか一瞬だけ、ピカッと来たので…もっと食べれば、もっとピカッ…と、さあみなさんもご一緒に、たくさん食べてみましょう…」
何の事を言っているのか判らないが、心なしか元気なドゥアルがいきなり皆にキノコを強要し始める。
「うわぁ~、やめてくれ。流石に生は」
「せめて、焼かせて~」
ぐいぐいくる彼女のキノコ攻撃に皆が逃げ惑う。
「あれ? これは何の騒ぎです?」
とそこへ、この場の救世主となる穂積 智里(ka6819)が顔を出す。
●
道端で人を募っているのを見たのはお昼前の事である。
村娘達の声かけを聞いてはいたが、その前にぐぅとお腹が鳴って昼食を先にしたのが遅れた理由だ。それに三人娘達はそれぞれ一人ずつをスカウトし、連れて行っているようだったから「もう大丈夫かも」とか思った所もある。だが、問題の倉庫に来てみれば…事態は色々深刻の様だ。
「えっと、あなたは…」
どさくさに紛れて追いかけっこから抜け出してきたサクラが智里に尋ねる。
「ここ、キノコの鑑定をして欲しいって言ってる人のいる倉庫で合ってますか?」
その言葉にこくりとサクラが頷いて、話を聞けばなんと智里は二つのキノコの見当がついているらしい。
「皆さん、注目ちゅうもーく!!」
サクラが低い身長ながら精一杯身体を伸ばして叫ぶ。
するとその声にぴたりと反応し、智里の存在が露になる。
「その人はまさか」
「ですです。だからドゥアルさんを止めて下さい」
その言葉にハッとして動いたのはレイアだった。ドゥアルを後ろから捕まえ、一旦椅子に落ち着ける。
じたばたするドゥアルだったが、縄を持ち出されては成す術なし。暫くすると、抵抗を止めすぴすぴ寝息を立て始める。
「これを食べて暴れ出したんですか? それは変ですねぇ」
白い綿毛を前に智里が首を傾げる。
「とにかくこれは何なんだ? 食用なのか?」
そう問うのはレイアだ。未だもってこれが食せるとは思っているらしい。
「多分ですけど、これは『ヤマブシダケ』だと思うので大丈夫だと思います」
「ヤマブシダケ? やっぱり聞いた事ないわね」
シモンがキノコ事典を捲りつつ言う。
「山伏か…成程ね」
「何が成程です?」
まよいの納得に村娘が問う。
「山伏…リアルブルーにいる修行僧でね、その人達が首からかけている帯に丁度こんな飾りがついているのよ。それが名前の由来なら納得だなって」
「だと私も思います。もしそれなら子供の頃に一度だけこれを含めた煮物を食べさせて貰ったので食べてみればわかるかと」
たった一度きりの、しかも昔の記憶であるが智里に確認して貰う為急いで鍋を用意する。
「煮るという事は湯掻けば食べられるって事ですよね」
マロ―ナがそう言い、鍋に水を張り沸騰させる。その間にもう一つのキノコであるが…。
「多分こっちはなめこじゃないでしょうか。見た目からしてそうだとしか」
「あ、それは知ってるかも。食べた事はないけど」
智里の話を聞き、まよいがハッとする。
「うーん、確かに語感がぬるっとしてますねぇ」
本当に雰囲気で感じた事をサクラが言う。こちらも汁物に入れればいいとの事なので、まずは茹でから。
勿論万が一の事を考えて、ハンター達から試食する。
「大丈夫。きっと大丈夫ですよね?」
大惨事にはならないと自分に言い聞かせながらサクラがぬるっとした方にフォークに刺す。
それは相変わらず滑っていた。見た目が一応キノコだからという理由で白いのを避けた彼女である。
滑り落ちそうになるそれに気を付けながらゆっくりぱくり。舌に広がったのはちゅるんとした無味の膜。無理矢理表現するならば、なんというかクラゲの溶けたようなものである。そして、それを噛んでみるも触感こそ少し違うが、特徴的な味が見つからない。
「の、のみ込んでいいですか?」
何とも言い難いそれを味わって、彼女が涙目で尋ねる。その様子を前にまよいはこっそり覚醒。
(もし、違った時の為…覚醒すれば抵抗力が上がる筈)
そう思っての対策らしい。
「ほお…お前、本気なのだな」
レイアがまよいの覚醒を知り静かに呟く。
「じゃあ、いくわよ…」
まよいは白い方を刺して恐る恐る口の中へ。見た時よりしんなりした房の部分から少し香るキノコ特有の香り。それが食欲をそそるかどうかと言われれば微妙だ。そしてその後は数度咀嚼してみるもこちらも癖がなく、あっさりしたものだ。マッシュルームや椎茸ほどの硬さはなく、かと言って噛まないまま飲み込むには少し存在感が大きい。
「と、とりあえず、まずくはない…かな」
ごくりと飲み込んでまよいから素直な感想――レイアもどちらも口に入れて、始めは固く目を閉じていたが噛むにつれ広がる僅かな味が何となくキノコであり、痺れや痛みも感じないから毒性はないと判断する。
「なんだ。思ったより呆気ないな…普通に食えるじゃないか」
そう言って湯掻いたのを次から次へと食べ始める。
「うん。やっぱり間違いない。ヤマブシダケとなめこのようですね」
そこで智里もホッとした。実際のところ間違っていたらと冷や冷やしていたのである。
「わたくしも…食べたいのです…」
すぴすぴしていたドゥアルが椅子に縛られたまま言う。
そう言えば、さっきのあれは何だったのか。他が食べても何もならないのが不思議だ。
「しかし…これは味も素っ気もないな。こんなの欲しがる奴がいるだろうか」
食用と判明はしたものの、これでは買い手がつくか心配である。
しばらく様子を見て三人娘も試食したが、やはり特徴的な味がない為首を傾げるしかない。
「あの、智里さん。もしよかったらリアルブルーでのこのキノコレシピを教えて頂けないでしょうか?」
村娘達が唯一の知識人である智里に縋る。
「ええっと…それがですね」
だが、彼女はそれを問われると萎縮する。
●
とりあえず謎のキノコの名前と食用である事が分かった。
であるからここからは延長戦。折角のキノコなら美味しく食べたいと調理タイムだ。
「斬るのなら任せて下さい」
かちゃりと音を立て太刀を抜きサクラが言う。
「ちょっ、さすがにそれは」
「危ないからこっちで…ってえ」
シモンが狭い倉庫の中で太刀を振り回されてはと包丁を手渡した時だった。次の瞬間何故か包丁は倉庫の壁――ドゥアルのすぐ傍に突き刺さっているではないか。
「ど、どうやった! い合い抜きより早かったぞ!!」
興奮した様子でレイアが言う。
「あの、えっと…その…家事は苦手で」
が、サクラの方は意図的にやった訳ではないようで…これはドゥアルの体質と似たものらしい。
「あの、武器を使えば、本当大丈夫なので…こっちでやらせて下さい」
サクラがどうしても手伝いたいのかそうお願いする。
『ま、まあそう言う事なら…』
三人娘が顔を見合わせる。そして、作り始めたのは智里直伝のお味噌汁だった。
クリウエではまだ貴重な味噌であるが、マロ―ナが料理好きという事もあって一部家にあったのが功を奏す。魚で出汁をとり、そこへなめこを入れて少しばかり野菜を追加。サクラが見事な太刀裁きを見せて、味噌汁の中には銀杏切りになった人参と蓮根が浮かぶ。ヤマブシの方はあまじっょぱい煮汁で煮ていたとの事だったので、甘くはないが試しにトマトソースと絡めてみる事にしたようだ。
そんなこんなであっという間に香り高い味噌汁とトマト煮が完成。さっきと違って今度は食べやすい筈だ。
「うぅ、でもまだヌルっとしますね…」
これがなめこの良さではあるが、慣れない人にとっては気持ちの良いものではないだろう。サクラが再びなめこに挑む。だが、今度は割とイケたようで。
「ジュレみたいな感覚で、少し食べやすくなったかもです」
サクラが言う。
「うん、こっちも割といけるわよ。トマトソースがよく絡まってていい感じ♪」
まよいはそう言い、ヤマブシダケをもぐもぐ。淡泊な分、何にでも合わせやすいと言えよう。
だが、レシピを提供した筈の智里は納得いかないようで、
「自分で言うのも恥ずかしいんですけど…何か本当に感動しまた食べたい!って思うものでなくてごめんなさい~。茸は家庭料理ではスープや炊き込みご飯、雑炊に使うのが一般的じゃないかなと思います」
ぺこぺこ平謝りしながら彼女が言う。
「いえ、そんな有難う御座います! キノコの名前が判っただけでも、食べられると判っただけでも助かりますし頭を上げて下さい」
だが、三人娘の方は大満足のようだ。突如生えてきたものだが、事典に載っていないという事はクリウエでは新種である。という事は、この村の名物にする事が可能という事だ。
「食べ方は色々工夫が要りそうだけど、そういうのは得意なんで」
マロ―ナが腕には自信があるからと力こぶのポーズでハッキリ言い切る。
「そうですか? だったらいいのですが…あ、そうそう、確かこのやまぶしだけって本当は栽培できるまでは幻のキノコって言われて高級茸だったので、もっとおいしい食べ方があるかもしれません。例えば焼くとか天ぷらとか」
「天ぷら?」
「ああ、フライっぽいやつよ」
智里の代わりにまよいが答える。
「ちょっと聞いた! 高級ダケってことはつまり」
「ますますいけるよねっ」
村娘達が喜び出す。彼女達の村が茸村として登録される日は近いかもしれない。
ちなみにヤマブシダケには脳の若返りの作用があるとかないとか。
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ドゥアル(ka3746)
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/14 14:55:28 |