ゲスト
(ka0000)
【空蒼】魔術師の弟子と手紙
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/11/13 07:30
- 完成日
- 2018/11/19 19:55
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●リアルブルーで起こったこと
グラズヘイム王国のとある地域にある小さな町でルゥルはリアルブルーがどうなったか知って硬直した。
「みぎゃ……」
「……にゃ」
ユグディラのキソシロが不安そうに見上げる。ルゥルからリアルブルーに行ったことは聞かされていたから、ルゥルが非常に泣きだしたい状況だということは分かっている。
それにしてもこれしか言わないというのは不安で仕方がない。
「……みぎゃ」
「にゃ」
キソシロはルゥルを見上げる。ルゥルの目が尋常ではない光に満ちる。涙だけでなくこらえきれない感情が見え始める。キソシロはそれが危険だと感じる。
「みぎゃああああああああああああああああああああああああああああ」
ルゥルが突然泣きながら外に飛び出した。それをキソシロは追う。
ルゥルは隣にあるエクラ教会ではなく、町の通りに飛び出したのだった。
『駄目だぞ! もし、転移門を職員が使わせてくれたとしても、リアルブルーにはいけないし、お前ひとりでどうこうできないんだぞ!』
キソシロは叫びながら追いかける。言葉は通じないが、気持ちは届けたかった。
ルゥルは石に躓いた。普段ならば転ぶことはないだろうが、今日は違った。意識がどこにあるのか、飛び散った状態。つまずいた後、盛大に空を舞い、地面にダイブした。
キソシロは追いつくしかできない。抱き抱えて起こしてやるには大きさが小さかった。
ルゥルは一瞬黙った。驚いて黙ったのだとキソシロは大人の知識で理解した。表情が呆然というものだから。
『戻るぞ』
キソシロは語り掛ける。
ルゥルは起き上がるが、座ったまま泣き出した。
「どうしてなのです、どうしてなのですううう。リアルブルーがなくなっちゃったのです」
『なくなってはいないだろう』
「でも、でも、リアルブルーの人はたくさんいるのです。避難してきた人はちょこっとです」
ルゥルは理解していた。だからこそ、泣いているのだ。
『ルゥル……』
「だって、だってええええ」
ルゥルが道のど真ん中で泣き叫んでいるのは周囲の人は見ている。そのため、教会からマークが慌ててやってきた。
「キソシロ、どうすればいいのです! ルゥルは、ルゥルはもっと強くなりたいのです」
ルゥルはキソシロをむぎゅっと抱きしめて泣いた。キソシロは黙って抱きしめられた。
マークもすぐに連れて行くことはできず、ただ、見守っていた。
●情報を求めて
ルゥルはリアルブルーの人がいるとされる場所に向かう。キソシロはついてきてはいるが、あくまでルゥルの補助であるが、抱き抱えられたまま移動している。猫扱い。時々、下されるが、猫扱い。
リゼリオにはやってきた。
やはり、迷子になった。キソシロがいたところでそのあたりは仕方がなかった。
「あれは何です?」
ルゥルはつい興味が惹かれるものに目が向く。
「岳郎さん、みたいだったです」
遠くに見えた人を探し、追いかけた。
結果、リゼリオの町に飛び出し、迷子になった。
「大丈夫なのです。オフィスの位置を人に聞けばいいのです」
人に聞くことができればいずれ現地にたどり着くだろう。
キソシロはそのあたりはほっとした。ルゥルの鼻や目が真っ赤なままだが、少し考えられるようになっているのだと。
●ため息とともに
南雲 芙蓉はぽいっと部屋から追い出された。正しくは、理由を述べられ、やんわりと追い出された。
リアルブルーの大精霊が無事だったことでつい、そばにおり、かいがいしく、鬱陶しいくらいあれこれ世話を焼いてしまっていた。
結果、通路にポツネンといる状態になってしまった。そうなると徐々に冷静さが戻ってくる。
「浮かれているわけにもいかないのも事実なのですよね」
ナディア・ドラゴネッティ(kz0207)のこともある。
リアルブルーの状況も時間凍結で邪神の動きを止めてあるだけで、解決しているだけではない。
芙蓉は大きく息を吸い込む。
「助けてくださったハンターのいる場所を見てみます。そして、私も……」
一旦外に出てみることにした。
●とある職員
リアルブルーのハンターオフィスの職員だった佐々木 悠はリアルブルーからこちらに来たことはいいけれど、預かった手紙をどうすればいいのか悩んだ。
時々やり取りを取り次いだことはある人達であり、ハンターオフィスで尋ねれば、相手はこちらでハンターの登録をしている子どもで、住んでいるところもわかった。
「できれば、手渡ししたい」
彼女は思った。
なお、預かった手紙はある地域でVOIDの対応に当たったハンターだった。その地域は比較的VOIDが多くはなく、避難所は平和であったという。
その上で、時間凍結の話やクリムゾンウェストに転移する話もハンターは教えておいたという。必要なら移動の手助けをするという意味もあった。
シャトルが出る所までの危険、老人が多いことなどもあり、その村の人たちは残ることを決めた。
死ぬわけではないという楽観か、なるようにしかならないという達観か。
その細かいニュアンスまでは悠は知らない。しかし、やり取りをしていた人にはきちんと記載しているに違いないと感じていた。
「手紙を渡したい……その子に、無事だからと告げ……」
転移を選んだ自分はどうなのだろうか?
無事だと告げる、というのには違和感がある。
「でも……渡さないと……届けてもらえればいいのかな……早く……」
悠は唇をかみ、ハンターオフィスで依頼を出した。
グラズヘイム王国のとある地域にある小さな町でルゥルはリアルブルーがどうなったか知って硬直した。
「みぎゃ……」
「……にゃ」
ユグディラのキソシロが不安そうに見上げる。ルゥルからリアルブルーに行ったことは聞かされていたから、ルゥルが非常に泣きだしたい状況だということは分かっている。
それにしてもこれしか言わないというのは不安で仕方がない。
「……みぎゃ」
「にゃ」
キソシロはルゥルを見上げる。ルゥルの目が尋常ではない光に満ちる。涙だけでなくこらえきれない感情が見え始める。キソシロはそれが危険だと感じる。
「みぎゃああああああああああああああああああああああああああああ」
ルゥルが突然泣きながら外に飛び出した。それをキソシロは追う。
ルゥルは隣にあるエクラ教会ではなく、町の通りに飛び出したのだった。
『駄目だぞ! もし、転移門を職員が使わせてくれたとしても、リアルブルーにはいけないし、お前ひとりでどうこうできないんだぞ!』
キソシロは叫びながら追いかける。言葉は通じないが、気持ちは届けたかった。
ルゥルは石に躓いた。普段ならば転ぶことはないだろうが、今日は違った。意識がどこにあるのか、飛び散った状態。つまずいた後、盛大に空を舞い、地面にダイブした。
キソシロは追いつくしかできない。抱き抱えて起こしてやるには大きさが小さかった。
ルゥルは一瞬黙った。驚いて黙ったのだとキソシロは大人の知識で理解した。表情が呆然というものだから。
『戻るぞ』
キソシロは語り掛ける。
ルゥルは起き上がるが、座ったまま泣き出した。
「どうしてなのです、どうしてなのですううう。リアルブルーがなくなっちゃったのです」
『なくなってはいないだろう』
「でも、でも、リアルブルーの人はたくさんいるのです。避難してきた人はちょこっとです」
ルゥルは理解していた。だからこそ、泣いているのだ。
『ルゥル……』
「だって、だってええええ」
ルゥルが道のど真ん中で泣き叫んでいるのは周囲の人は見ている。そのため、教会からマークが慌ててやってきた。
「キソシロ、どうすればいいのです! ルゥルは、ルゥルはもっと強くなりたいのです」
ルゥルはキソシロをむぎゅっと抱きしめて泣いた。キソシロは黙って抱きしめられた。
マークもすぐに連れて行くことはできず、ただ、見守っていた。
●情報を求めて
ルゥルはリアルブルーの人がいるとされる場所に向かう。キソシロはついてきてはいるが、あくまでルゥルの補助であるが、抱き抱えられたまま移動している。猫扱い。時々、下されるが、猫扱い。
リゼリオにはやってきた。
やはり、迷子になった。キソシロがいたところでそのあたりは仕方がなかった。
「あれは何です?」
ルゥルはつい興味が惹かれるものに目が向く。
「岳郎さん、みたいだったです」
遠くに見えた人を探し、追いかけた。
結果、リゼリオの町に飛び出し、迷子になった。
「大丈夫なのです。オフィスの位置を人に聞けばいいのです」
人に聞くことができればいずれ現地にたどり着くだろう。
キソシロはそのあたりはほっとした。ルゥルの鼻や目が真っ赤なままだが、少し考えられるようになっているのだと。
●ため息とともに
南雲 芙蓉はぽいっと部屋から追い出された。正しくは、理由を述べられ、やんわりと追い出された。
リアルブルーの大精霊が無事だったことでつい、そばにおり、かいがいしく、鬱陶しいくらいあれこれ世話を焼いてしまっていた。
結果、通路にポツネンといる状態になってしまった。そうなると徐々に冷静さが戻ってくる。
「浮かれているわけにもいかないのも事実なのですよね」
ナディア・ドラゴネッティ(kz0207)のこともある。
リアルブルーの状況も時間凍結で邪神の動きを止めてあるだけで、解決しているだけではない。
芙蓉は大きく息を吸い込む。
「助けてくださったハンターのいる場所を見てみます。そして、私も……」
一旦外に出てみることにした。
●とある職員
リアルブルーのハンターオフィスの職員だった佐々木 悠はリアルブルーからこちらに来たことはいいけれど、預かった手紙をどうすればいいのか悩んだ。
時々やり取りを取り次いだことはある人達であり、ハンターオフィスで尋ねれば、相手はこちらでハンターの登録をしている子どもで、住んでいるところもわかった。
「できれば、手渡ししたい」
彼女は思った。
なお、預かった手紙はある地域でVOIDの対応に当たったハンターだった。その地域は比較的VOIDが多くはなく、避難所は平和であったという。
その上で、時間凍結の話やクリムゾンウェストに転移する話もハンターは教えておいたという。必要なら移動の手助けをするという意味もあった。
シャトルが出る所までの危険、老人が多いことなどもあり、その村の人たちは残ることを決めた。
死ぬわけではないという楽観か、なるようにしかならないという達観か。
その細かいニュアンスまでは悠は知らない。しかし、やり取りをしていた人にはきちんと記載しているに違いないと感じていた。
「手紙を渡したい……その子に、無事だからと告げ……」
転移を選んだ自分はどうなのだろうか?
無事だと告げる、というのには違和感がある。
「でも……渡さないと……届けてもらえればいいのかな……早く……」
悠は唇をかみ、ハンターオフィスで依頼を出した。
リプレイ本文
●迷子保護
天央 観智(ka0896)はリゼリオの人混みでルゥル(kz0210)を見つけた。
(ルゥルさんですね? ユグディラを連れているみたいですが、ここで彷徨わせるわけにはいきませんよね)
治安が悪いわけではないが、現在人も増え、雰囲気は騒がしい。
「ルゥルさん、こんなところで奇遇ですね?」
声をかけた。
「お買い物終了!」
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)はイヤリングやペンダントのおめかしし、気分転換の買い物に来ていた。
「ルゥルちゃん?」
王国にいるはずのルゥルがリゼリオにいるのは不思議だった。
声をかけたのは観智とほぼ同時。
「どうしたのかな?」
しゃがんで視線を合わせる。ルゥルは口をへの字に曲げる。何かあったということは解かる。
「立ち話もなんですし、どこかでお話しませんか?」
観智が提案した。
「甘いもの食べようかなって思っていたんだよ。外に店があるところがいいよね、キソシロがいるし」
ピアレーチェはユグディラのキソシロのことも考慮して店を考える。
アシェ-ル(ka2983)は先日の戦い以降、南雲 芙蓉がどうなったのか気になっていた。
「想いが重すぎるあまり、リアルブルーに厄介払いされていたらどうしよう!」
最悪な想像して頭を抱える。
「そんなことはないはずです。守護者なんですし! 誰かを想うことはそれはそれでいいことですよね、きっと」
アシェ-ルはリアルブルーで食べたキノコに似たものがないか探しにここに来た。ふと人ごみに見覚えのある人影を見た。
●手紙
レイア・アローネ(ka4082)は夢でルゥルを見て、木野 岳郎の無事を確認すると約束したことを思い出した。
「行き来できていたとはいえ、むやみに行けなかったしな」
結局、無理な状況になった。行けていたことが奇跡にも感じられる。
「……悩んでも仕方がない」
ハンターオフィスに出かけた。
夢路 まよい(ka1328)はハンターオフィスで手続きをしていた。
「なんでこうなったのかな……」
「すみません、すみません!」
「いや、別にいいけど……」
職員の名札を見ると真新しい。
「どのくらいかかるかな?」
「えっと、このデータをこうしてこうしたので……」
新人はぶわっと冷や汗をかく。
「うん、待ってるよ、オフィスで。それにしても、人増えたよね」
「そうですね。リアルブルーが来たわけですし」
まよいは席を立った。
佐々木 悠はテーブルにつき、地図を見る。依頼に悩む悠に対応した職員が地図を渡し、考えをまとめるように促したのだった。
「どうしたんだ? 依頼の出し方とかで悩んでいるのか?」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)が声をかける。
「シニョリーナ? こちらの世界は初めてかい?」
レオーネ・ティラトーレ(ka7249)がしゃがみ、悠を見上げるように尋ねた。
「……実は、依頼をどう出すか悩んでいるのです」
ルベーノとレオーネは地図を覗き込んだ。
エステル・ソル(ka3983)は依頼を受けようとオフィスにやってきた。
リアルブルーの人らしい服装の女性とハンター二人が話しているのが見えた。
ふと、先日、ルゥルと一緒にリアルブルーに出かけたことを思い出す。
「手伝えることがあるか聞いてみるのです」
テーブルに向かったのだった。
●偶然や話
外で過ごすのも心地よい時期。オープンカフェで観智とピアレーチェはルゥルと向き合う。
「ルゥルちゃんはどうしてここに来たの?」
ピアレーチェがずばりと問う。
「お月様に行けると聞きました」
「転移門かロッソですよ」
観智は外に出たことに疑問は湧く。
「でも、なんで?」
「リアルブルーの知り合いがいるかもしれないです」
月基地の状況などを二人は考えるが答えは出ない。
「こちらにも人はいるよね?」
「まず、こちらで情報を集めてみましょう」
観智もピアレーチェも不確定な情報が多いため、まずお茶をしてからハンターオフィスにルゥルを送り届けることにした。
アシェ-ルは芙蓉に声をかける。
「芙蓉さんじゃないですか! お久しぶりです」
落ち込んでいる様子も見えない芙蓉にほっとした。
芙蓉は驚くが、アシェ-ルだと分かりとほっとした様子を見せる。
「先日はどうもありがとうございました」
芙蓉は深々と頭を下げる。
「いえいえいえ! 守るモノのためです。それに、芙蓉さんも無事で……その、リアルブルーは?」
「直してもらっていますが、私は特にすることがなくて……こうして、町に出てみることにしました」
芙蓉の表情は穏やかだった。問題は山積みだったとしても。
「リゼリオ、初めてですよね。よければ案内しますよ!」
「どこか出かける予定とかは……」
「リアルブルーで食べたキノコないかなって見て回っているだけです。予定はありません」
アシェ-ルは芙蓉と肩を並べて歩くことができることに嬉しかった。
ルベーノは悠の話を聞いて地理の説明をした。
「今いるのはここだ」
「自由都市同盟の中にあるリゼリオだよ」
ルベーノが指さし、レオーネが説明を追加する。
「ルゥルが住んでいるのはグラズヘイム王国、ここだ。護衛を付けて、バイクの補助等車両を使って、非覚醒者だと往復で日数がかかる」
「リアルブルーみたいな交通機関はないからな。ただ、件のシニョリーナがリアルブルーの知り合いのことが気になってこちらに来る可能性はあるな」
「ルゥルは覚醒者だから、転移門ですぐに来ることができる」
ルベーノとレオーネの話を聞き、悠は理解し、より悩む。
「すぐに動いたほうがいいんじゃないの?」
「ルゥルさん、来てるですか?」
「リアルブルーの状況が広まるとしたら今くらいじゃないのかな?」
「ルゥルさん……岳郎さんについて心配していると思うのです」
まよいとエステルが聞き覚えの名前から話に加わる。
悠の表情が変わる。
「その人から手紙を受け取っていて……」
一同はおぼろげに状況を把握する。
「お、エステル」
オフィスにやってきたレイアがエステルに声をかけ、他の者にも声をかけた。
「探しに行くのです」
「誰を?」
「ルゥルさんをです」
「待て、何があったのかまず聞いていいか?」
レイアの問いにルベーノとレオーネが説明をした。
「ルゥルさんが来ていないか職員さんに照会するのです」
エステルが立ち去る。
「ルゥルが使う転移門の方で聞いてきた方が早いのではないか?」
レイアはふと思う。転移門があっても使う人の数が違うから聞くのも早そうだ。
「それより、シニョリーナに連絡が行くように頼んでおこう」
レオーネはルゥルに伝言を頼むべきだと提案する。
「ルゥルがどこにいるかわからない以上、佐々木は護衛依頼を出しておけ。それと、ハンターの素質があるか調べてもらえるかも聞いておけ」
ルベーノが促した。
時間はかかったが、ルゥルはリゼリオに来ていることが判明した。そのため、外で探す者と中で待つ者で別れた。
●手紙を届けに
エステルは【エレメンタルコール】でルゥルに呼びかける。
「少し離れたところにいるのです?」
「ルゥルがどこに行くかだな」
「情報収集なのです?」
「ユニオンに行った可能性もあるのか?」
「わたくしはそちらに向かってみます」
エステルは走り出す。レイアはそれを見送った後、違う方向に走った。
「スキルが届いているのかも分からないしな……こっちの方で興味惹かれるものがあるのか? いや、なくとも迷子というのは自然発生するのだ」
目星をつけ探すしかなかった。
悠は落ち着きがない。
「夜までは待とう。ルゥルは日が落ちる前に家に帰ろうとするだろうからな」
ルベーノは時間を区切る。
「シニョリーナ・ユウ、少し外の空気を吸ってくるのもいい」
レオーネが提案する。
「手続き中で暇だからここで見ているよ? ルゥルなら知ってるし来たら引き留めるよ」
まよいが促した。
「軽食を買って戻ってくるのもありだな」
「それなら! 私のお昼ご飯をお願い……動けないつらさ……」
ルベーノにまよいが訴える。
「シニョリーナの言葉に甘えて、軽食を買って戻ってこよう、シニョリーナ・ユウ?」
レオーネは悠に役割を付け、少しここから離すことにした。
「大丈夫! ルゥルが来たらわかるから」
まよいが自信をもって言うとようやく悠は外に出ることに同意した。
悠を連れてルベーノとレオーネはオフィスの外に出た。飲食店に向かう。何が食べたいかなどの会話をしつつ選んだ。悠は少し落ち着いたようだった。
アシェールは芙蓉と歩きながらあれこれ話した。
「ところで、芙蓉さんと関わりのある人ってリゼリオに来ているのですか?」
範囲が広すぎて絞り切れないため、芙蓉が目を瞬く。
「転移して間もないですし、ハンターの知り合いとか尋ねるというのはどうですか?」
「どこにいるかとか、突然うかがうと……」
「そうですね。まずはハンターオフィスから! ハンターは結構集まるから色々知り合いも増えるかもしれません」
芙蓉はうなずいた。
「すまない、ルゥルを見かけなかっただろうか?」
レイアが声をかけてきた。
「ルゥルさん? リゼリオにいるんですか?」
アシェールの問いにレイアが「ああ」とうなずく。
「リアルブルーの知り合いからの手紙が届いているので、一刻も早く届けたいのだ」
レイアが手短に事情を話す。
「わかりました。私たちはオフィスに行こうとしていますので見つけたら声をかけておきますね」
「頼む。私も少ししたら戻るつもりだ」
レイアと別れた。
「リアルブルーの知り合いからの手紙……」
芙蓉は意味を理解した。
「芙蓉さん、行きましょう。気になるなら、確認をしないと駄目です」
アシェールは促した。
ルゥルはサンドイッチを食べてもしょんぼりしている。
「ルゥルさんが心配するのもわかります。僕としては故郷なので……やっぱり辛くないと言えば嘘となりますね」
観智が告げる。
「時間が止まっているということですが……それより、その方がどこにいるかを調べるには地道な作業が必要ですね」
「そうだよね。避難した人結構いるわけだし」
避難している人は相当な人数はいるはずで、情報を得るには時間がかかるかもしれない、とピアレーチェは考える。
ルゥルはびくっとしたあとおろおろする。
「どうしたの?」
「えっとええと【エレメンタルコール】なのです。ここなのですー」
ピアレーチェに答えた後、ルゥルは両手を上にあげたのだった。
エステルは呼びかけた後【マジックフライト】で空を飛ぶ。
「どこなのです? 広すぎるのです」
空に上がってほしいと願った。ただ、彼女が魔箒を持参しているか否かが不明である。
カフェで手をぶんぶんと振る小さな影を見つけた。空飛ぶ人が珍しくて手を振っているだけということもありうる。しかし、近づくとそれがルゥルだと分かった。
「良かったのです」
ほっとしたエステルは事情を話す。観智とピアレーチェは顔を見合わせた。
悠は軽食を食べるが、扉が開くたびに腰が浮く。
「俺たちも見ているから落ち着いて食べてくれ」
「職員にもいってあるから、何かあれば該当のハンターに声をかけてくれるから、安心して食べよう」
ルベーノとレオーネが悠を安心させるように言う。
「買ってきてくれて助かったよ。この飲み物おいしい」
まよいは出入り口の方を向いたまま、飲食している。ルゥル発見を手伝うためだ。
食べ終わってしばらくすると、アシェールと芙蓉が入ってくる。まよいが手を振ると二人はやってくる。
「ルゥルさんを探しているというのを聞いたのです」
「最終的にはここに来るだろうと思ってはいるんだがな」
「早く見つかるなら見つかった方がいいからね」
アシェールにルベーノとレオーネが答えた。
レイアが戻ってくるが、一行の様子を見てルゥルがまだだと分かる。
「町は広いからな……」
レイアは溜息を洩らした。
何度かの出入りの後、エステルと観智、ピアレーチェそしてルゥルが入ってきた。
「あちらです」
エステルがルゥルたちを促す。
ピアレーチェはルゥルの手を引く。
「何があっても『大丈夫』のおまじない……いるかな」
必要ならスキルで落ち着かせようとピアレーチェは思っていた。
ルゥルは「大丈夫なのです」と答えた。
「さ、ルゥルさん」
観智が促した。空いている椅子を引き座るように。
「あなたがルゥルさんですね……秋葉原のオフィスで木野さんの言葉を、こちらのオフィスの人に伝えてました」
悠が自己紹介をした。
「ハンター経由で手紙を受け取り、こちらに来ました」
ルゥルに手紙を差し出した。縦書き封筒に読みやすい字で宛名が書かれている。
ルゥルは緊張の面持ちで手紙を受け取り、封を切った。パルムのポルムが覗き込む。ルゥルはと唾を飲み込み、便箋を取り出した。
短い文章がいくつか書かれている。元気であること、ハンターが助けてくれたこと、比較的VOIDの出現が少ないこと、シャトルまで行くリスクのこと、村の人が多いことなど残る理由が記されていた。最後に、また会える時を楽しみにしているとある。
読み終わったルゥルは悠を見た。
「お姉さん、ありがとうございました」
ルゥルの目からぼろぼろと涙がこぼれた。
悠はうなずきながら目を伏せ、芙蓉は唇をかんで少し上を向いた。
●これから
ルゥルは静かに泣く。スカートを握りしめ、ただ座って泣く。
「ルゥルちゃん……」
ピアレーチェはルゥルを抱きしめる。
「情報があったことはてよかったです。でも……」
観智は言葉を飲み込む。時間が止まっているが、邪神が動き始めたら、助けるのに時間がかかったら避難した人と大きな時間の差が生じるなど、不安要素が大きい。
アシェールは芙蓉をぎゅっと抱きしめる。
「これからですよ。だって、芙蓉さんもリアルブルーもいるのですから」
「……はい」
芙蓉はうなずく。
「腹が減ってると自然と悲しい方向に考えがいくものさ。まずは英気を養った方がいいぜ」
レオーネが明るい声音で告げる。
「ということで、シニョリーナ・ユウもルゥルも、ガーディーアーノ・フヨウも食事にみんなで行かないか?」
「行こう行こう! 私も混じっていいよね? 芙蓉とも話したいし!」
まよいは挙手をした後、窓口に確認に向かった。
「今は泣いてもよいです。でも、魔術の勉強をもっとしないといけません。でも……おなかがすいては何もできません」
「そうだな……」
エステルにうなずきながらレイアは呟いた。「みぎゃ」と騒いでくれる日が来ることを願った。
悠はついて行っていいのか悩んでいる様子だ。
「せっかくの縁だ、一緒に行こう。向こうのオフィスにいたというならば、こちらでも勤めるのか?」
ルベーノが悠を促した。
そして、一行は料理屋に向かった。
天央 観智(ka0896)はリゼリオの人混みでルゥル(kz0210)を見つけた。
(ルゥルさんですね? ユグディラを連れているみたいですが、ここで彷徨わせるわけにはいきませんよね)
治安が悪いわけではないが、現在人も増え、雰囲気は騒がしい。
「ルゥルさん、こんなところで奇遇ですね?」
声をかけた。
「お買い物終了!」
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)はイヤリングやペンダントのおめかしし、気分転換の買い物に来ていた。
「ルゥルちゃん?」
王国にいるはずのルゥルがリゼリオにいるのは不思議だった。
声をかけたのは観智とほぼ同時。
「どうしたのかな?」
しゃがんで視線を合わせる。ルゥルは口をへの字に曲げる。何かあったということは解かる。
「立ち話もなんですし、どこかでお話しませんか?」
観智が提案した。
「甘いもの食べようかなって思っていたんだよ。外に店があるところがいいよね、キソシロがいるし」
ピアレーチェはユグディラのキソシロのことも考慮して店を考える。
アシェ-ル(ka2983)は先日の戦い以降、南雲 芙蓉がどうなったのか気になっていた。
「想いが重すぎるあまり、リアルブルーに厄介払いされていたらどうしよう!」
最悪な想像して頭を抱える。
「そんなことはないはずです。守護者なんですし! 誰かを想うことはそれはそれでいいことですよね、きっと」
アシェ-ルはリアルブルーで食べたキノコに似たものがないか探しにここに来た。ふと人ごみに見覚えのある人影を見た。
●手紙
レイア・アローネ(ka4082)は夢でルゥルを見て、木野 岳郎の無事を確認すると約束したことを思い出した。
「行き来できていたとはいえ、むやみに行けなかったしな」
結局、無理な状況になった。行けていたことが奇跡にも感じられる。
「……悩んでも仕方がない」
ハンターオフィスに出かけた。
夢路 まよい(ka1328)はハンターオフィスで手続きをしていた。
「なんでこうなったのかな……」
「すみません、すみません!」
「いや、別にいいけど……」
職員の名札を見ると真新しい。
「どのくらいかかるかな?」
「えっと、このデータをこうしてこうしたので……」
新人はぶわっと冷や汗をかく。
「うん、待ってるよ、オフィスで。それにしても、人増えたよね」
「そうですね。リアルブルーが来たわけですし」
まよいは席を立った。
佐々木 悠はテーブルにつき、地図を見る。依頼に悩む悠に対応した職員が地図を渡し、考えをまとめるように促したのだった。
「どうしたんだ? 依頼の出し方とかで悩んでいるのか?」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)が声をかける。
「シニョリーナ? こちらの世界は初めてかい?」
レオーネ・ティラトーレ(ka7249)がしゃがみ、悠を見上げるように尋ねた。
「……実は、依頼をどう出すか悩んでいるのです」
ルベーノとレオーネは地図を覗き込んだ。
エステル・ソル(ka3983)は依頼を受けようとオフィスにやってきた。
リアルブルーの人らしい服装の女性とハンター二人が話しているのが見えた。
ふと、先日、ルゥルと一緒にリアルブルーに出かけたことを思い出す。
「手伝えることがあるか聞いてみるのです」
テーブルに向かったのだった。
●偶然や話
外で過ごすのも心地よい時期。オープンカフェで観智とピアレーチェはルゥルと向き合う。
「ルゥルちゃんはどうしてここに来たの?」
ピアレーチェがずばりと問う。
「お月様に行けると聞きました」
「転移門かロッソですよ」
観智は外に出たことに疑問は湧く。
「でも、なんで?」
「リアルブルーの知り合いがいるかもしれないです」
月基地の状況などを二人は考えるが答えは出ない。
「こちらにも人はいるよね?」
「まず、こちらで情報を集めてみましょう」
観智もピアレーチェも不確定な情報が多いため、まずお茶をしてからハンターオフィスにルゥルを送り届けることにした。
アシェ-ルは芙蓉に声をかける。
「芙蓉さんじゃないですか! お久しぶりです」
落ち込んでいる様子も見えない芙蓉にほっとした。
芙蓉は驚くが、アシェ-ルだと分かりとほっとした様子を見せる。
「先日はどうもありがとうございました」
芙蓉は深々と頭を下げる。
「いえいえいえ! 守るモノのためです。それに、芙蓉さんも無事で……その、リアルブルーは?」
「直してもらっていますが、私は特にすることがなくて……こうして、町に出てみることにしました」
芙蓉の表情は穏やかだった。問題は山積みだったとしても。
「リゼリオ、初めてですよね。よければ案内しますよ!」
「どこか出かける予定とかは……」
「リアルブルーで食べたキノコないかなって見て回っているだけです。予定はありません」
アシェ-ルは芙蓉と肩を並べて歩くことができることに嬉しかった。
ルベーノは悠の話を聞いて地理の説明をした。
「今いるのはここだ」
「自由都市同盟の中にあるリゼリオだよ」
ルベーノが指さし、レオーネが説明を追加する。
「ルゥルが住んでいるのはグラズヘイム王国、ここだ。護衛を付けて、バイクの補助等車両を使って、非覚醒者だと往復で日数がかかる」
「リアルブルーみたいな交通機関はないからな。ただ、件のシニョリーナがリアルブルーの知り合いのことが気になってこちらに来る可能性はあるな」
「ルゥルは覚醒者だから、転移門ですぐに来ることができる」
ルベーノとレオーネの話を聞き、悠は理解し、より悩む。
「すぐに動いたほうがいいんじゃないの?」
「ルゥルさん、来てるですか?」
「リアルブルーの状況が広まるとしたら今くらいじゃないのかな?」
「ルゥルさん……岳郎さんについて心配していると思うのです」
まよいとエステルが聞き覚えの名前から話に加わる。
悠の表情が変わる。
「その人から手紙を受け取っていて……」
一同はおぼろげに状況を把握する。
「お、エステル」
オフィスにやってきたレイアがエステルに声をかけ、他の者にも声をかけた。
「探しに行くのです」
「誰を?」
「ルゥルさんをです」
「待て、何があったのかまず聞いていいか?」
レイアの問いにルベーノとレオーネが説明をした。
「ルゥルさんが来ていないか職員さんに照会するのです」
エステルが立ち去る。
「ルゥルが使う転移門の方で聞いてきた方が早いのではないか?」
レイアはふと思う。転移門があっても使う人の数が違うから聞くのも早そうだ。
「それより、シニョリーナに連絡が行くように頼んでおこう」
レオーネはルゥルに伝言を頼むべきだと提案する。
「ルゥルがどこにいるかわからない以上、佐々木は護衛依頼を出しておけ。それと、ハンターの素質があるか調べてもらえるかも聞いておけ」
ルベーノが促した。
時間はかかったが、ルゥルはリゼリオに来ていることが判明した。そのため、外で探す者と中で待つ者で別れた。
●手紙を届けに
エステルは【エレメンタルコール】でルゥルに呼びかける。
「少し離れたところにいるのです?」
「ルゥルがどこに行くかだな」
「情報収集なのです?」
「ユニオンに行った可能性もあるのか?」
「わたくしはそちらに向かってみます」
エステルは走り出す。レイアはそれを見送った後、違う方向に走った。
「スキルが届いているのかも分からないしな……こっちの方で興味惹かれるものがあるのか? いや、なくとも迷子というのは自然発生するのだ」
目星をつけ探すしかなかった。
悠は落ち着きがない。
「夜までは待とう。ルゥルは日が落ちる前に家に帰ろうとするだろうからな」
ルベーノは時間を区切る。
「シニョリーナ・ユウ、少し外の空気を吸ってくるのもいい」
レオーネが提案する。
「手続き中で暇だからここで見ているよ? ルゥルなら知ってるし来たら引き留めるよ」
まよいが促した。
「軽食を買って戻ってくるのもありだな」
「それなら! 私のお昼ご飯をお願い……動けないつらさ……」
ルベーノにまよいが訴える。
「シニョリーナの言葉に甘えて、軽食を買って戻ってこよう、シニョリーナ・ユウ?」
レオーネは悠に役割を付け、少しここから離すことにした。
「大丈夫! ルゥルが来たらわかるから」
まよいが自信をもって言うとようやく悠は外に出ることに同意した。
悠を連れてルベーノとレオーネはオフィスの外に出た。飲食店に向かう。何が食べたいかなどの会話をしつつ選んだ。悠は少し落ち着いたようだった。
アシェールは芙蓉と歩きながらあれこれ話した。
「ところで、芙蓉さんと関わりのある人ってリゼリオに来ているのですか?」
範囲が広すぎて絞り切れないため、芙蓉が目を瞬く。
「転移して間もないですし、ハンターの知り合いとか尋ねるというのはどうですか?」
「どこにいるかとか、突然うかがうと……」
「そうですね。まずはハンターオフィスから! ハンターは結構集まるから色々知り合いも増えるかもしれません」
芙蓉はうなずいた。
「すまない、ルゥルを見かけなかっただろうか?」
レイアが声をかけてきた。
「ルゥルさん? リゼリオにいるんですか?」
アシェールの問いにレイアが「ああ」とうなずく。
「リアルブルーの知り合いからの手紙が届いているので、一刻も早く届けたいのだ」
レイアが手短に事情を話す。
「わかりました。私たちはオフィスに行こうとしていますので見つけたら声をかけておきますね」
「頼む。私も少ししたら戻るつもりだ」
レイアと別れた。
「リアルブルーの知り合いからの手紙……」
芙蓉は意味を理解した。
「芙蓉さん、行きましょう。気になるなら、確認をしないと駄目です」
アシェールは促した。
ルゥルはサンドイッチを食べてもしょんぼりしている。
「ルゥルさんが心配するのもわかります。僕としては故郷なので……やっぱり辛くないと言えば嘘となりますね」
観智が告げる。
「時間が止まっているということですが……それより、その方がどこにいるかを調べるには地道な作業が必要ですね」
「そうだよね。避難した人結構いるわけだし」
避難している人は相当な人数はいるはずで、情報を得るには時間がかかるかもしれない、とピアレーチェは考える。
ルゥルはびくっとしたあとおろおろする。
「どうしたの?」
「えっとええと【エレメンタルコール】なのです。ここなのですー」
ピアレーチェに答えた後、ルゥルは両手を上にあげたのだった。
エステルは呼びかけた後【マジックフライト】で空を飛ぶ。
「どこなのです? 広すぎるのです」
空に上がってほしいと願った。ただ、彼女が魔箒を持参しているか否かが不明である。
カフェで手をぶんぶんと振る小さな影を見つけた。空飛ぶ人が珍しくて手を振っているだけということもありうる。しかし、近づくとそれがルゥルだと分かった。
「良かったのです」
ほっとしたエステルは事情を話す。観智とピアレーチェは顔を見合わせた。
悠は軽食を食べるが、扉が開くたびに腰が浮く。
「俺たちも見ているから落ち着いて食べてくれ」
「職員にもいってあるから、何かあれば該当のハンターに声をかけてくれるから、安心して食べよう」
ルベーノとレオーネが悠を安心させるように言う。
「買ってきてくれて助かったよ。この飲み物おいしい」
まよいは出入り口の方を向いたまま、飲食している。ルゥル発見を手伝うためだ。
食べ終わってしばらくすると、アシェールと芙蓉が入ってくる。まよいが手を振ると二人はやってくる。
「ルゥルさんを探しているというのを聞いたのです」
「最終的にはここに来るだろうと思ってはいるんだがな」
「早く見つかるなら見つかった方がいいからね」
アシェールにルベーノとレオーネが答えた。
レイアが戻ってくるが、一行の様子を見てルゥルがまだだと分かる。
「町は広いからな……」
レイアは溜息を洩らした。
何度かの出入りの後、エステルと観智、ピアレーチェそしてルゥルが入ってきた。
「あちらです」
エステルがルゥルたちを促す。
ピアレーチェはルゥルの手を引く。
「何があっても『大丈夫』のおまじない……いるかな」
必要ならスキルで落ち着かせようとピアレーチェは思っていた。
ルゥルは「大丈夫なのです」と答えた。
「さ、ルゥルさん」
観智が促した。空いている椅子を引き座るように。
「あなたがルゥルさんですね……秋葉原のオフィスで木野さんの言葉を、こちらのオフィスの人に伝えてました」
悠が自己紹介をした。
「ハンター経由で手紙を受け取り、こちらに来ました」
ルゥルに手紙を差し出した。縦書き封筒に読みやすい字で宛名が書かれている。
ルゥルは緊張の面持ちで手紙を受け取り、封を切った。パルムのポルムが覗き込む。ルゥルはと唾を飲み込み、便箋を取り出した。
短い文章がいくつか書かれている。元気であること、ハンターが助けてくれたこと、比較的VOIDの出現が少ないこと、シャトルまで行くリスクのこと、村の人が多いことなど残る理由が記されていた。最後に、また会える時を楽しみにしているとある。
読み終わったルゥルは悠を見た。
「お姉さん、ありがとうございました」
ルゥルの目からぼろぼろと涙がこぼれた。
悠はうなずきながら目を伏せ、芙蓉は唇をかんで少し上を向いた。
●これから
ルゥルは静かに泣く。スカートを握りしめ、ただ座って泣く。
「ルゥルちゃん……」
ピアレーチェはルゥルを抱きしめる。
「情報があったことはてよかったです。でも……」
観智は言葉を飲み込む。時間が止まっているが、邪神が動き始めたら、助けるのに時間がかかったら避難した人と大きな時間の差が生じるなど、不安要素が大きい。
アシェールは芙蓉をぎゅっと抱きしめる。
「これからですよ。だって、芙蓉さんもリアルブルーもいるのですから」
「……はい」
芙蓉はうなずく。
「腹が減ってると自然と悲しい方向に考えがいくものさ。まずは英気を養った方がいいぜ」
レオーネが明るい声音で告げる。
「ということで、シニョリーナ・ユウもルゥルも、ガーディーアーノ・フヨウも食事にみんなで行かないか?」
「行こう行こう! 私も混じっていいよね? 芙蓉とも話したいし!」
まよいは挙手をした後、窓口に確認に向かった。
「今は泣いてもよいです。でも、魔術の勉強をもっとしないといけません。でも……おなかがすいては何もできません」
「そうだな……」
エステルにうなずきながらレイアは呟いた。「みぎゃ」と騒いでくれる日が来ることを願った。
悠はついて行っていいのか悩んでいる様子だ。
「せっかくの縁だ、一緒に行こう。向こうのオフィスにいたというならば、こちらでも勤めるのか?」
ルベーノが悠を促した。
そして、一行は料理屋に向かった。
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偶然という名の打ち合わせ エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/11/13 01:18:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/12 22:07:36 |