季節外れのハロウィン?

マスター:紫雨

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/11/17 15:00
完成日
2018/11/21 11:25

みんなの思い出

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オープニング

●出てくるのは邪魔もの
 この町では年に1度、住民たちが思い思いに作ったイルミネーションを1週間ほど披露する行事が行われる。
 今日はその開催宣言がされる日。朝から町の人々が最後の大詰めと作業を進めていく。
「そっちはこうして、ここを赤くしたら?」
「それだとおどろおどろしいじゃん。ここは白のままがいいって」
「そっか。泣かれたら困るもんね」
 南瓜の飾りに入れる明りの色を話し合ったり、全体のバランスをみて配置を変えたりと慌ただしい。喧騒の中でも人々の表情は楽しげで輝いていた。

 会場は雑木林をを背にする公園。中には点灯されるのを待つイルミネーションやオブジェたちが静かに出番を待っている。
 あたりが薄暗くなり、開催宣言がされようとしていた時。どこからか灯りが飛んできた。
「わぁ、綺麗。今年はお金がかかってるのかな」
「それにしては早くない? まだ開会式終わってないし」
「なんだ、これは。誰がこれを用意した」
 誰一人としてこのような余興を用意した覚えがないと騒いでいる間にも数は増えていく。それの数が十を超えた時、ひときわ大きな灯りが激しく光る。そばにあったオブジェを飲み込むと灯りは炎へと変わった。その様子を見ていた人々は動きを止める。
 周囲にいた人々にはその炎がニタリと笑ったような気がした。その笑顔に人々は恐怖を感じ、一斉に動き出す。
「な、に、逃げろ!!」
「余興じゃなかったじゃんか! こっち、急いで!」
 炎や灯りが歪虚だと気づいた住人たちが我先にと逃げていく。中には避難誘導を行う者もおり、なんとかその場にいた全員が避難することができた。
 残されたのは炎の怪物とあたりを漂う灯りの群れ、役目を果たすことのできないオブジェ達だけだった。

●季節外れのハロウィン
「むむ、せっかくの行事を邪魔してきたんですか。季節外れのハロウィンですかね?」
 受付嬢はカウンターにおいた書類を読みながらにらめっこをしている。どうやら討伐対象に疑問を抱いてる様子。
「あ、みなさん。ちょうどいいところに。この依頼なんですが」
 イルミネーションを楽しむ祭りを行う町で雑魔が現れ邪魔をしているらしい。人型の炎の怪物が1体、火の玉が9体。被害が出たのはオブジェだけで、住民に負傷者は出ていない。会場となる公園からは出てきていない、とのこと。
「町の人たちが一つになって楽しむ行事だそうです。なんとか解決してもらえないでしょうか?」
 受付嬢はハンターたちのほうを見ると深々と頭を下げた。

リプレイ本文

●夕暮れに燃え上がる
 ハンターたちは雑魔の群れが現れた公園の入り口に来ている。日が傾き始めた時刻、公園から離れた民家に明かりがちらほらともり出している。公園の内部に潜む雑魔の群れの灯りが外からでも確認できる。
「燃えるゾンビと戦ったと思ったら、今度は火の玉そのものと戦うことになるとは……。季節は涼しくなってきたのに、敵は熱くなってきてますね……」
「季節外れの火の玉……いや、ハロウィン終わったばかりだからそうでもないのかな……。ともかく一般人に被害が出ないことを最優先だ」
 サクラ・エルフリード(ka2598)とレイア・アローネ(ka4082)は最近、燃えるゾンビを退治してきたらしい。連続で火にまつわる雑魔の相手となり多少困惑しているようだ。ただ、冬場ではなく夏場に火に関する雑魔が現れたら暑さという意味でも迷惑な話になるだろう。
「これもお祭りの行事……と言うには流石に物騒だね~」
「も~、せっかくのお祭りを邪魔するなんて。これはちょっとお仕置きが必要だね♪」
 十色 乃梛(ka5902)は出し物というには物騒だとこぼし、夢路 まよい(ka1328)は楽しい行事を邪魔する雑魔たちにお仕置きをすることを考えている。
 思うことは人それぞれ、依頼を果たすためにハンターたちは公園の中へと踏み入れていく。

 公園内は一部の遊具は電球が巻かれており、イルミネーションの一部に取り込まれている。日中遊ぶ子供たちのために入り口を除く、四方の壁際にオブジェなどが置かれていた。中央がちょうど空いている形になるが、その部分に火の人形たちがたむろしている。
「いい感じのところにいるかな。まぁ、派手に踊りましょうか」
 乃梛が鞭を構えると、他のメンバーもそれぞれの武器を構え戦闘準備に移る。敵もハンターたちに気づいたのか体の向きを変え迫ってきた。
 乃梛が舞い踊るように鞭を振るい、集団になっている火の玉たちへ向かい【セイクリッドフラッシュ】を放つ。2つの火の玉は光の波動による衝撃によってかき消えてしまった。他の火の玉は衝撃を避けたのか宙を漂っている。
「火の玉だけに火属性っぽいよね。水属性の攻撃、効きそうだよね。飲み込まれちゃえ!」
 まよいは味方が居ないところに漂っている火の玉に狙いを定め、サークレットの力を借り【集中】の精度を上げていく。そうして放たれるのは【ブリザード】水属性の攻撃に火の玉も慌てているのか素早く動いて避けるものをいれば、避けきれず冷気の嵐に飲み込まれる。3つの火の玉は一瞬で凍りつき消えていった。
「小さくて当てづらいですが、魔法攻撃であれば関係ないです……。光よ……!」
 サクラも敵の密集地帯に【セイクリッドフラッシュ】を放つ。火の玉2つと火の人形に光の波動による衝撃が直撃。火の玉は衝撃波に飲まれかき消えてしまったが、火の人形は一瞬だけ火の揺らめきが小さくなるもすぐに勢いを取り戻した。
「流れ弾等によって被害が出ないようにしなければな」
 レイアが【ソウルトーチ】を使用し、炎のようなオーラを纏って敵の注意を引き付ける。漂っている火の玉や人形はレイアの方へ注意を向けているように見える。また、周囲へ被害を出さないよう【ガウスジェイル】を発動し、警戒を高める。
 範囲攻撃により数が多い敵もその数を一気に減らされてしまった。残るは火の玉2つと火の人形のみ。
 1つ目の火の玉が迷うように宙を漂うとひと際目立つレイアへ狙いを定める。ふるりと身をふるわせると一直線にレイアへ体当たりを繰り出す。
「イルミネーションを壊されたくないからな」
 レイアは向かってくる火の玉を剣でいなし、イルミネーション等に影響が出ない方向へ受け流す。いなす際に火の粉が降ってきたせいで、皮膚がところどころ赤くなってしまった。
 残る火の玉は迷わずレイアへ狙いを定めるとくるりくるりと宙を舞い、小さな火の矢を作り出す。
「その矢って魔法的なものなのかな? やってみればわかるよね!」
 まよいが【カウンターマジック】を使用して火の矢へ干渉を試みる。形作られていた矢は妨害を受けたようで次第に形が崩れ、消えていった。火の玉はいまだ宙をくるりくるりと舞い続けている。なぜ発動しなかったのか、と不思議そうに漂っているように見えるだろう。
 そんな火の玉に気づいていない火の人形は大人の握りこぶし程度の火の塊を作り出すとこちらも続けてレイアへ投げつける。塊はそれほど大きくはないが、周囲へ被害を出す可能性がある以上、避けるわけにはいかない。
「その程度、問題ない」
 火の塊を剣で受け止め、地面へ向けて受け流す。小さいと言えどその熱はかなりのもので、熱に煽られ、じわじわと体力を削られていく。
「あんまり無理しないでね」
「感謝する」
 乃梛は【ヒーリングスフィア】をレイアへ使用する。精霊に祈りを捧げ、柔らかな光がレイアの傷を包み、癒していく。赤くなっていた皮膚も元の肌色に戻っていった。
「先に火の玉からかな。全ての熱を奪われし絶対零度の静に凍えよ……アブソリュートゼロ!」
 残る火の玉に視線を向け、凛と通る声で詠唱を紡ぐまよい。水と地、それぞれの属性を持つ2つの弾は己の標的目掛け一直線に飛んでいく。宙を漂う2つの火の玉はなすすべもなく水に飲まれ、地に覆われ、その姿を消していった。
「これで最後、ですね……」
 サクラは一言呟くと霊槍を火の人形へ向けて投げ放ち、その後を追うように駆け出す。火の人形は避けることができず、霊槍は見事、命中した。痛みがあるのか、呻くように身をくねらすと槍を掴み、抜こうとする。その時にはすでにサクラが間合いのうちにいた。
「最近は熱い雑魔が流行りなのですかね……。季節にそぐわない雑魔はさっさと倒れて貰いましょう……」
 サクラ自身の呟きも添えて、片手に携えていた絶火槍で果敢に斬りつけた。人形は斬られた衝撃で槍を手放すとサクラが手元へと引き寄せ、警戒を続ける。
 レイアが【攻めの構え】を取り、【ソウルエッジ】で威力を増した【刺突一閃】を放つも、火の人形は攻撃に警戒していたのかぎりぎりで躱してしまった。
「畳みかけたいところだが、難しいか」
 火の人形は先に攻撃を仕掛けてきたサクラより今だ目立つレイアの方へ身体を向けると燃え盛る火の腕を叩きつけようと大きく振り上げる。大ぶりなその動きはレイアを捉えることはなく、虚しく宙を斬っていった。
「これで終わりかな? 全ての熱を奪われし絶対零度の静に凍えよ……アブソリュートゼロ!」
 まよいはサークレットの力を借り、精神力を高め、放つのは【アブソリュートゼロ】だ。水と地の属性を持つ弾が火の人形に着弾。その体の大半を水と地が覆い、火の勢いを一息に殺していく。人の形を保っているが、だいぶ弱ってきたようだ。
「相手が悪かったわねって感じ。これで仕上げよ」
 乃梛はしなやかな体裁きで間合いを詰め、見惚れるような手つきで鞭を振り上げ【フォースクラッシュ】を使う。火の人形は回避する余裕もなく、鞭に集束された魔力が火でできた体を吹き飛ばす。鞭が当たったところが衝撃にはじけ、残る火の身体が徐々に崩れ落ちていった。
 公園を占拠していた雑魔の群れは全て討伐されたのだった。

●宵闇に浮かぶのは笑顔
「なんとかなったかな? この後どうする?」
 乃梛は鞭を仕舞い、他のメンバーの顔を見回す。その中でレイアとサクラが提案をする。
「オブジェやイルミネーションの修繕に協力させてもらえたらと思っている」
「雑魔だけ倒してさようなら、というのもつまらないですしね……。少しくらいは楽しんでいかないと損です……」
 折角の機会だから町の人たちと行事を楽しむのもいいのではないか、と。楽しい行事であるならなおのことである。
「いいんじゃないかな。お祭りを邪魔するのはいなくなったんだし、楽しんじゃおうよ!」
「私もいいよ。折角だしね」
 まよいも乃梛もその提案を受け入れ、早々に町の人たちを呼び戻しに向かう。町の人たちも雑魔が倒されたことを聞いて喜び、こぞって公園へと戻ってきた。すぐにでも行事を再開できるようにハンターたちも町の人たちも動き回る。
「ここは大丈夫だね。こっちのほうはちょっとだけ直さなきゃかな」
「なら、あたしあっち見てくる。ハンターさんたちも一緒にどうですか?」
「いいよ。一緒に行こう」
 戻ってきた町の人たちがそれぞれの担当を確認しつつ、手直しを行っていく。火の人形に飲み込まれたオブジェは新しく作り直さないといけないため、今回は断念するらしい。そんなこんなで細々とした修繕が終わるころ、完全に日が暮れていた。

 改めて開会式を行うため、町の人たちは集まっている。その中にハンターたちの姿もある。
「ハンターの皆様のおかげで無事に開催することができました。改めて感謝の言葉を、ありがとうございました」
 前に出てきた司会の言葉を受け、その場に集まった住民たちが感謝の想いを込めて溢れんばかりの拍手を贈る。中には口々に感謝の言葉を口にする者もいた。しばらく響く拍手の音が止んだ時、司会が開催の宣言を口にする。
「それではこれより、祭りを開始します! ハンターの皆様、心行くまで楽しんでいってください!」
 その言葉を合図にオブジェやイルミネーションが一斉に点灯される。個性豊かなオブジェがライトを一身に受け輝き、イルミネーションはオブジェを引き立てる様に鮮やかな色をかわるがわる灯しては切り替わっていく。イルミネーションの灯りに照らされた子供の笑顔や微笑ましく見守る親の姿、心から楽しんでいる住民たちの姿があちらこちらに見えるだろう。
「なかなか綺麗ね」
「そうね、悪くないね」
 まよいと乃梛が楽し気に笑いながら話しをし、レイアとサクラも一緒に見て回っている。誰もだ楽し気に笑い、穏やかな時間が過ぎていった。
 人々の笑顔を守ることができ、こうして行事も開催することができた。ハンターたちにとっても町の人たちにとっても、共に過ごしたこの時間はきっとかけがえのないものとなるからだ。これから先も町の人たちはこの行事を続けていくだろう。
 そして、ハンターたちはこれからも人々の笑顔を守っていくのだった。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 疾風の癒し手
    十色 乃梛(ka5902
    人間(蒼)|14才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン カッコいいプレイング相談卓
レイア・アローネ(ka4082
人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/11/17 12:34:25
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/11/17 12:00:21