ゲスト
(ka0000)
復興の一歩目
マスター:びなっす

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/11/21 07:30
- 完成日
- 2018/11/29 23:19
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
リベルタース地方の南西に位置するアドニス領。
その最南端に位置する丘の上に立つ館の自室で、アドニス領主クリフォード・アベル・ラヴィンスは、ある調査から戻ってきた文官の報告を受けていた。
「……エスト村の状況は思ったよりも酷く、このままではいずれ機能しなくなります」
「そうか、予想はしていたが厄介な状況だな」
部下の報告に対し、クリフォードは顎に手を当て考える。
エスト村。この丘の麓にある村で、長い間ゴブリンの脅威にさらされ続け、崩壊寸前まで追い詰められていた村だったが……
先の戦いで、ハンター達の救援により、ゴブリンの脅威を見事退ける事が出来た。
だが、それまでの戦いの影響で、村の民家のほとんどは荒らされ、一部を守っていた壁も壊れてしまった。
このまま、ゴブリンの生き残りや別の脅威に攻められてしまえば、村を守ることも難しくなるだろう。
更に、村には収入源がほとんど無く、食料が確保できる川や林は、現在雑魔によって蹂躙されているとのことだ。
村人は、日々の食料を手に入れる事もままならない状態なのだという。
「今まで、この村はどうやって生計を立てていたんだ?」
「元々は農業が盛んな村だったようですね。しかし、今はその農地も荒らされ、狭い場所に作った畑で自給自足をしているようです」
「農地の事については今まで触れたこともないから分からないが……それを元に戻すことは出来ないのか?」
「幸い、土は生きているようなので、整えることさえ出来れば……しかし、それも多くの時間と人手が掛かるでしょう。更に農地を広げたところで、それを管理する程の人手がありません。彼らは狭い場所の畑で手一杯の状況でした」
「そうか。そちらの方面での収入は難しいか……」
さっそく一つの可能性を潰され、面白くない表情をするクリフォード。
すると、報告をしていた文官の隣にいた武官が口を開く。
「それについては、私に意見があります!」
「ほぉ、続けてくれ」
「私も村へ同行してきましたが……彼らのやり方は、無駄が多く非効率的です。彼らに効率のいいやり方を教えれば、広い農地でもやっていけるでしょう」
「ふむ。確か、君は農村出身だったね」
「はい。私はクリフォード様に剣の腕を買われ、武官となりました。が、畑の事も熟知しております」
目の前の武官は、元は農村で農作業に勤しんでいたが……元々腕っ節が強く、それに加え覚醒者ということもあり、ただの農夫にしておくには惜しい人材だった。
それをたまたま目に留めたクリフォードが、兵士として招き入れたのが始まりだ。
「なるほど……農地に関しては君に任せた方が確実だな。彼らに手ほどきをしてやってくれ」
「はっ、分かりました!」
これで上手く行けば、収入面は多少の希望を持てそうだ。
「農地を広げるとなると……それらを守る柵も必要になりますね。あの辺りは害獣も多いです。そのまま放置という訳にもいかないでしょう。それに関しては、人の住めなくなった家を解体し、それを資材として使えばいいとは思いますが……更に人手が掛かります。農地の件と合わせて、数ヶ月は掛かるのではないかと思われます」
「それは作物の収穫までにかな?」
「いえ、始めるのにです」
「思ったよりも大変なのだな」
今まで領民の仕事の内容など考えもしなかった彼は、思いのほか前途多難な内容に辟易する。
「あとは、村の防衛力の問題ですね……ゴブリンのような亜種族がいつ攻めてくるかも分かりません。一応、エスト村には自警団が存在しているようですが」
「ほぉ、自警団か……それで、その自警団は使えるのか?」
「個々の戦闘能力は高いとは言えませんが、連携力はあります。団をまとめている青年がいるのですが、どうやら彼の指揮力が高いようですね」
「ふむ、できることなら兵士として迎い入れたいところだが……」
「難しいでしょうね。彼らは前領主の蛮行により、我々にもいい感情を抱いておりません」
「前領主の話は聞いていたが……さて、どうしたものか」
クリフォードは少しの間考えるそぶりを見せ、何かを思いついたのか、側にいた青髪の騎士の方を見る。
「スティーユ、君が行って彼らに戦い方を指導して来てくれないか? 個々の能力が上がれば、ゴブリン共に遅れは取られまい」
それを聞いた文官が、驚愕しクリフォードに言う。
「……本気ですか? 彼らが大人しく指導を受けるとは思えませんが……」
「情けないことだが、今の我々では村の防衛にそこまでの力を割くことは出来ない。当面は自分達の身は自分達で守ってもらう」
領地を統べる領主として、その発言は自らの力不足を意味しているのだが……本当に戦力が不足しているのだからどうしようもない。
彼らが考えなければならないのは、この村のことだけではない。
この領地には、まだまだ対処しなければならない問題が山ほどあるのだから。
結果、ひとまず村の状況の改善を目的に、先程の二人と青髪の騎士を含めた三人がエトナ村へ向かうことになった。
三人を見送ったクリフォードは、何かを思い付き呟く。
「ハンターズソサエティにも依頼を出しておこうか。普通の人間なら数ヶ月は掛かる作業でも、彼等なら上手く事を進められるかもしれない」
「……ハンターを頼るのは結構ですが、あの三人にもそれを伝えた方が良かったのでは?」
館に残っていた赤い羽織の文官は、クリフォードの思い付きの言葉に苦い顔をする。
「いやなに、彼らなら上手くやってくれるさ」
それは信頼ゆえのものなのか、ただ適当なだけなのか……
赤い羽織りの文官は判断に困り、村へ向かった三人に同情した。
エスト村では、突然現れた新領主に対し希望を持っている者、不安を持っている者がそれぞれいた。
「新領主か……胡散臭いな。復興とは言っているが、一体何が目的なんだ?」
青年グレンは渋い顔をしながら、緑髪の青年ことナクトに言う。
ナクトはグレンと同じく、疑いを持った表情をしながら口を開いた。
「税に関しては、当面は納めなくていいって言われたけど……怪しいね」
「そんな上手い話があるわけ無い。何かがあるはずだ」
グレン達は領主を無条件に信じる事はできなかった。
以前、散々重い税を搾取され、厳しい生活を強いり、領地に危険が及ぶとすぐさま逃げ出した前領主を思い出す。
冷静に考えれば、こんな見捨てられた地に真っ当な領主が来るはずがない。
何か良くない企みがあるに決まっている。
そう、グレン達は領主に対し警戒心を剥き出しにした。
そこに、メンバーの一人がグレンの元へと駆け寄る。
「グレン、また丘の館から領主の使いが来たぞ」
「またか……連中の動きに注意しろ。何があるのか分からないぞ」
グレンは仲間にそう言い、丘の上から来る使いに目を光らせた。
その最南端に位置する丘の上に立つ館の自室で、アドニス領主クリフォード・アベル・ラヴィンスは、ある調査から戻ってきた文官の報告を受けていた。
「……エスト村の状況は思ったよりも酷く、このままではいずれ機能しなくなります」
「そうか、予想はしていたが厄介な状況だな」
部下の報告に対し、クリフォードは顎に手を当て考える。
エスト村。この丘の麓にある村で、長い間ゴブリンの脅威にさらされ続け、崩壊寸前まで追い詰められていた村だったが……
先の戦いで、ハンター達の救援により、ゴブリンの脅威を見事退ける事が出来た。
だが、それまでの戦いの影響で、村の民家のほとんどは荒らされ、一部を守っていた壁も壊れてしまった。
このまま、ゴブリンの生き残りや別の脅威に攻められてしまえば、村を守ることも難しくなるだろう。
更に、村には収入源がほとんど無く、食料が確保できる川や林は、現在雑魔によって蹂躙されているとのことだ。
村人は、日々の食料を手に入れる事もままならない状態なのだという。
「今まで、この村はどうやって生計を立てていたんだ?」
「元々は農業が盛んな村だったようですね。しかし、今はその農地も荒らされ、狭い場所に作った畑で自給自足をしているようです」
「農地の事については今まで触れたこともないから分からないが……それを元に戻すことは出来ないのか?」
「幸い、土は生きているようなので、整えることさえ出来れば……しかし、それも多くの時間と人手が掛かるでしょう。更に農地を広げたところで、それを管理する程の人手がありません。彼らは狭い場所の畑で手一杯の状況でした」
「そうか。そちらの方面での収入は難しいか……」
さっそく一つの可能性を潰され、面白くない表情をするクリフォード。
すると、報告をしていた文官の隣にいた武官が口を開く。
「それについては、私に意見があります!」
「ほぉ、続けてくれ」
「私も村へ同行してきましたが……彼らのやり方は、無駄が多く非効率的です。彼らに効率のいいやり方を教えれば、広い農地でもやっていけるでしょう」
「ふむ。確か、君は農村出身だったね」
「はい。私はクリフォード様に剣の腕を買われ、武官となりました。が、畑の事も熟知しております」
目の前の武官は、元は農村で農作業に勤しんでいたが……元々腕っ節が強く、それに加え覚醒者ということもあり、ただの農夫にしておくには惜しい人材だった。
それをたまたま目に留めたクリフォードが、兵士として招き入れたのが始まりだ。
「なるほど……農地に関しては君に任せた方が確実だな。彼らに手ほどきをしてやってくれ」
「はっ、分かりました!」
これで上手く行けば、収入面は多少の希望を持てそうだ。
「農地を広げるとなると……それらを守る柵も必要になりますね。あの辺りは害獣も多いです。そのまま放置という訳にもいかないでしょう。それに関しては、人の住めなくなった家を解体し、それを資材として使えばいいとは思いますが……更に人手が掛かります。農地の件と合わせて、数ヶ月は掛かるのではないかと思われます」
「それは作物の収穫までにかな?」
「いえ、始めるのにです」
「思ったよりも大変なのだな」
今まで領民の仕事の内容など考えもしなかった彼は、思いのほか前途多難な内容に辟易する。
「あとは、村の防衛力の問題ですね……ゴブリンのような亜種族がいつ攻めてくるかも分かりません。一応、エスト村には自警団が存在しているようですが」
「ほぉ、自警団か……それで、その自警団は使えるのか?」
「個々の戦闘能力は高いとは言えませんが、連携力はあります。団をまとめている青年がいるのですが、どうやら彼の指揮力が高いようですね」
「ふむ、できることなら兵士として迎い入れたいところだが……」
「難しいでしょうね。彼らは前領主の蛮行により、我々にもいい感情を抱いておりません」
「前領主の話は聞いていたが……さて、どうしたものか」
クリフォードは少しの間考えるそぶりを見せ、何かを思いついたのか、側にいた青髪の騎士の方を見る。
「スティーユ、君が行って彼らに戦い方を指導して来てくれないか? 個々の能力が上がれば、ゴブリン共に遅れは取られまい」
それを聞いた文官が、驚愕しクリフォードに言う。
「……本気ですか? 彼らが大人しく指導を受けるとは思えませんが……」
「情けないことだが、今の我々では村の防衛にそこまでの力を割くことは出来ない。当面は自分達の身は自分達で守ってもらう」
領地を統べる領主として、その発言は自らの力不足を意味しているのだが……本当に戦力が不足しているのだからどうしようもない。
彼らが考えなければならないのは、この村のことだけではない。
この領地には、まだまだ対処しなければならない問題が山ほどあるのだから。
結果、ひとまず村の状況の改善を目的に、先程の二人と青髪の騎士を含めた三人がエトナ村へ向かうことになった。
三人を見送ったクリフォードは、何かを思い付き呟く。
「ハンターズソサエティにも依頼を出しておこうか。普通の人間なら数ヶ月は掛かる作業でも、彼等なら上手く事を進められるかもしれない」
「……ハンターを頼るのは結構ですが、あの三人にもそれを伝えた方が良かったのでは?」
館に残っていた赤い羽織の文官は、クリフォードの思い付きの言葉に苦い顔をする。
「いやなに、彼らなら上手くやってくれるさ」
それは信頼ゆえのものなのか、ただ適当なだけなのか……
赤い羽織りの文官は判断に困り、村へ向かった三人に同情した。
エスト村では、突然現れた新領主に対し希望を持っている者、不安を持っている者がそれぞれいた。
「新領主か……胡散臭いな。復興とは言っているが、一体何が目的なんだ?」
青年グレンは渋い顔をしながら、緑髪の青年ことナクトに言う。
ナクトはグレンと同じく、疑いを持った表情をしながら口を開いた。
「税に関しては、当面は納めなくていいって言われたけど……怪しいね」
「そんな上手い話があるわけ無い。何かがあるはずだ」
グレン達は領主を無条件に信じる事はできなかった。
以前、散々重い税を搾取され、厳しい生活を強いり、領地に危険が及ぶとすぐさま逃げ出した前領主を思い出す。
冷静に考えれば、こんな見捨てられた地に真っ当な領主が来るはずがない。
何か良くない企みがあるに決まっている。
そう、グレン達は領主に対し警戒心を剥き出しにした。
そこに、メンバーの一人がグレンの元へと駆け寄る。
「グレン、また丘の館から領主の使いが来たぞ」
「またか……連中の動きに注意しろ。何があるのか分からないぞ」
グレンは仲間にそう言い、丘の上から来る使いに目を光らせた。
リプレイ本文
自警団と青髪の騎士達による話し合いは思った以上に難航していた。
「悪いが、俺達はあんたの教えを乞う気は無い」
グレンは敵意をむき出しにし、青髪の騎士を睨む。
一方の青髪の騎士は、最初からそれが分かっていたかのように表情を崩さず、ただ冷静に佇んでいた。
その横では、文官が必死に説得をしようと言葉を並べている。
「しかし、ここは我々の領地です。領地にいるのなら領主の方針に従ってもらわなければ……」
「今まで放っておいて、何が領主の方針だ。また奪うだけ奪って、危険が近付けば逃げ出すつもりだろう。こんな荒れた場所をまともに立て直そうとする貴族がいるとは思えないからな」
おおよそ予想通りの反応で、文官はげんなりとしていた。
状況が状況なので仕方が無いが……文官はクリフォードの無茶ぶりに頭を抱えつつ、どうしようかと思案していた。
するとそこに、依頼を受けやって来たハンター達の姿があった。
「あんた達は……」
グレンは、前の依頼で助けられたレオナ(ka6158)と初月 賢四郎(ka1046)に気づき、会釈をする。
「よく来てくれた。先日は本当に世話になった」
「初めまして。私はエルバッハ・リオンと申します。よろしければ、エルと呼んでください」
エルバッハ・リオン(ka2434)の後に、他のハンターも軽く自己紹介をした。
「俺は自警団のリーダーをしているグレンだ。よろしく。それで今日はどうしてここへ?」
「私達は領主から依頼を受けてここへ来ました」
エルバッハの隠すことの無い言葉に、自警団のメンバーの表情が強張る。
そこにフィロ(ka6966)がフォローした。
「私達は復興の手伝いと、お話をしに来ただけです。強制的に貴方方をどうこうということはありません」
その言葉に、リーダーであるグレンは複雑な表情を浮かべる。
それを見たレオナの提案で、一旦青髪の騎士と文官に席を外してもらい、ハンターと自警団のメンバーとで話をする事にした。
まずレオナ達は聞き役に徹し、自警団の不満を聞く。
「連中は自分達だけ旨い汁をすすり、何かあったら俺達を見捨てて逃げ出す。それで……」
話をひとしきり聞いたレオナは、切り出した。
「それは大変でしたね……ですが、一度ちゃんと話を聞いてあげることは出来ませんか?」
「いや……だが」
「新しい領主の方も、復興に真剣な様子でした。貴方方が思っているような方では無いかも知れませんよ」
エルバッハもそう説得するが、グレンは相変わらず難しい顔をしている。
「……あんた達には大きな借りがあるし、あいつらと違って信用できる。あんた達を通してってことなら、話を聞かせてもらうよ」
グレンは妥協し、ハンターを通すことを条件に話し合いに応じることにした。
一方、領主側では、賢四郎とエラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)が、青髪の騎士、文官と話をしていた。
「話し合いの卓につくのなら、目的や利益といった明確なものを示すべきですよ。現状ではあやふやな善意や希望は信用に値しません」
「それと決めごとはちゃんと書面にした方がいいですね」
「そうですね。書面に関しては話し合いが纏まり次第すぐに用意いたします。目的や利益も、自警団の方々が話を聞いてくれるのなら丁寧に話して行くつもりです」
「まぁ、そこは他の仲間達が上手く説得してくれているでしょう」
「具体的な事を提案したいのですが……」
エラは今回の話し合いに必要であろう事柄の提案をする。
まずは村の自治権に関しての話だったが……
「現状、村に内政に長けている者がいないようです。自警団という武力集団が中心となり村をまとめているようですが……おそらく村を仕切っていた大部分の村人達は、既に亡くなっているか既に別の地へ避難していると思われます。生活もままならない現状では正式な自治権を渡すのは難しいでしょう」
次に村人の出兵の免除。
「これに関しては、私達が自警団を兵士として雇わない限り出兵の必要はありません。現状ではまず志願などあり得ないでしょうし、徴兵も上手く行くとは思えません。当面は考えなくてもいいかと……私達としては、とても苦しい所ですが」
彼らの人手不足はかなり深刻なものなのだろう。話していて、その苦しさが鮮明に伝わってくる。
そして、納税免除期間は最低2年を提案したが……
「2年ですか……それは厳しいですね。ここだけの話、1年でそれなりの結果を出さなければ領地を没収されてしまうのです。それにこちらの資金だけでは半年も持たないでしょう。更に理由があり、他領地からの援助も受けられない状態なのです」
後から後から、埃のように出てくる障害に、エラも閉口する。
「……それは、大変な状況ですね」
「……自分の目から見れば根拠の無い危険な綱渡りにしか思えませんね」
「それに関しては、領主間の問題としか言えません。我々は上から無茶難題を強いられ、それに挑んでいる状態なのです。理想などで動いている訳では無く、ただ生き残るために必死なのですよ」
「それは今の村の現状と重なるところがありますね」
そうエラは思った。
「支援は可能でしょうか? 必要な農具、防衛戦に向く槍や盾などの支援は最低限あった方がいいと思われます」
「必要な道具などの支援は、当然可能な限りやっていきたいと思っております」
エラの提案を参考に、必要なものをメモしていく文官。
その後ろで、肝心の青髪の騎士はずっと静観していた。
一度、自警団、領主側、ハンターで集まり話し合いをすることになった。
エルバッハは、『地球連合軍用PDA』を使って交渉内容を録音しておくことにした。
これで、話し合いの記録が出来る。言った言わなかったの言い争いは避けられるだろう。
話し合いが始まり、先に切り出したのは賢四郎だった。
「まず、領主がこの村に対して支払っている報酬の話から始めましょうか。 先と今回の自分の報酬額がこの程度。それを人数分でオフィスの取り分も加え
その他経費も含めればこの程度……」
決して少なくない金額。
もちろん、金を出したから偉いと言うわけではないが……今回の場合は毛色が違う。
「客観的に見て、今この村にどれだけのものがあります? 資本を投下して回収できるだけの場所だと断言できますか?」
「……確かに、この村にはほとんど何もない。なら、なぜ領主はわざわざ……」
「私達の目的は、この領地を立て直す事です。私服を肥やそうなどと思う余裕などありません」
文官は透かさずそう主張するが、それにグレンが噛みつく。
「立て直し……なら、どうしてこんな回りくどいことをするんだ? 村を守るための駐屯兵を置くわけでも無く口だけは挟む……俺には、何か問題があっても領主の持ち物が傷付かないように距離を取っているようにしか思えない」
「それに関しては、致し方ない理由があるそうです」
エラはそう言うと、文官の方を見る。
さすがに、部外者である自分達が、依頼主の苦事情を暴露することに抵抗を覚えた。
「……今、私達は圧倒的な人手不足に悩まされています。文官4、名武官4名、兵士0名……それが今いる全ての人数です」
衝撃的な発言をする文官だが、グレンは言われた事の意味がよく分かっていないようだった。
「……文官が何をするのかはよく分からないが……武官というのは騎士の事だろ? 下に就く奴が一人もいないのか?」
「……そうなります」
いよいよもって異常な事態であることを認識し、グレンは別の意味で疑いの目を向ける。
それから収入が必要なこと。村の農地を広げ多くの作物を生産出来る環境を作り上げること。
自分の身は自分で守ってもらう代わりに、戦い方を指導すること……それらを、他のハンターの助力を交えてグレンに伝えた。
「あんたらの言い分は分かった。俺達では現状の改善は難しい。確かに農地や守りに関しては頼るほかはないが……だが、戦いに関しては口を挟まないでもらいたい。信用できない相手に、手の内を明かしたくはない」
グレンは、領主側の裏切りを想定して、それに対抗する手段を持っておきたいようだった。
それに対し、賢四郎が言う。
「信用していないのなら即座にでも受けるべきでしょう。相手の戦闘教義・戦術……そういったものを吸収でき、万一敵に回っても手の内等が読める。余計な介入が出ればその時点で切ればいいだけの話ですよ」
現状、騎士である彼らの方が、戦闘の経験、技術などは上だ。そんな相手に、多少の情報を知られたところでたかが知れていた。
それよりも、相手の情報を手に入れる方が格段に有益だろう。
「確かに、賢四郎さんの仰ることはもっともですね。僕もこのままでは駄目だとは思っていました」
先程まで様子を窺っていたナクトがそう言う。どうやら彼はグレンと違い、感情を置いておき客観的に状況を見ることが出来る人間のようだ。
しかし、やはりグレンは首を縦に振るのを渋った。どうやら、彼の心根に染みついている傷は、簡単に払拭できるものでは無いようだ。
そこに、これまで様子見に徹していたソフィア =リリィホルム(ka2383)が突然口を開く。
「これ以上時間を無駄にするのもどうかと思いますし、ここは青髪の騎士さんにも一緒に作業をしてもらって、お互いを知るのが良いと思いますよー」
「へ? いや……さすがにそれは……」
斜め上からの提案に困惑する文官。
「私は構わない。ここで時間を無駄にするよりも、ずっと有意義だろう」
意外にも、青髪の騎士は労働を快く受け入れた。
その様子に、辺りの自警団の者達も面を喰らっているようだ。
「それじゃあ、作業開始しましょう!」
ソフィアのかけ声と共に、一旦話し合いは終わり、皆作業へと移ることになった。
●解体作業
「やー、最近ハードだったから本業楽しいですねー」
ソフィアは、専門の仕事を任され、意気揚々と辺りを見回す。
村のほとんどは荒れ果てていて、これを整備するには生半可なやり方では難しいだろう。
そんな困難を前にして、職人としての血が騒いだ。
「ズィル、村人さんの言うことを良く聞くんですよー」
ソフィアは、連れてきたズィルヴィントに外敵の警戒と、荷運び等を任せる。
その大きな狼の姿に、さすがに村人達は警戒してしまう。
そこは作業をしていくうちに慣れてもらうしかないだろう。
ソフィアは、村人達に解体作業の手順を一通り説明し、作業の危険性を十分に言い含めたのちに作業を開始させた。
慎重に作業を行う村人達。慣れない手つきで何度かミスもしてしまうが、ソフィアはそれを優しく指摘する。
その近くで青髪の騎士は、廃屋に向かい剣を構え、次の瞬間光の速さで剣を幾度も振り抜く。
すると廃屋はバラバラに散らばり、あっさりと木材の塊と化した。
「こらぁ! 近くに人がいるのに、そんなことしたら危ないでしょう!」
途端にソフィアの大声が響く。見てみると、青髪の騎士が解体した廃屋の近くには数名の村人がいた。
一歩間違えば大惨事な状況に、ソフィアは厳しく叱咤したのだ。
「……上手くやったつもりだったが、確かに最悪の事態は考えるべきだったな。すまなかった」
青髪の騎士は、素直に非を認め謝罪をする。
見た目の厳めしさとのギャップに、謝られた村人もただ戸惑っていた。
それからソフィアは、青髪の騎士と他数名に解体作業の仕方を教え、他の者達に仕える素材とそうでないものの区別の仕方を教える。
解体作業の監督をしつつ、ソフィアは柵の事を思案していた。
農地の拡大とともに場所の変更等のしやすさ考慮し、設置と解体が容易で、場所の移動がある程度楽な構造を考える。
高さは野獣や亜人が容易に飛び越えられぬ高さ、防御力は野獣の突進や亜人のある程度の武器攻撃に耐えられる程度、弓や銃が使いやすいよう銃眼のようなものの設置も考える。
パーツの形を統一、ブロック構造にする等、今後の整備性も視野に入れておく。
「村にロープはありますか? 森の奥で伐採した大木をヘリコプターで村まで運べるのではないかと思います。柵やそれ以外にも有効活用できるかと」
フィロは村の外へ行き、柵を作るための材料の確保に回った。
「木材の確保なら自分も行きましょう」
そこに賢四郎も名乗りでる。
解体作業は順調に進んでいるため、あとは青髪の騎士達に任せれば良いと判断し、賢四郎も外へ資材の確保に動くことにした。
フィロは森へと向かう前に、自警団リーダーのグレンを連れて、ヘリコプターで村の周囲を飛ぶ。
魔導カメラで村の周囲の写真を撮りながらグレンに問い掛けた。
「この村はこんなに森に近いのです。雑魔に襲われた時自警団がいかに持ちこたえられるかが村を救えるか否かの分かれ道になります。新しい領主さまが派遣して来た方と言うことでわだかまりはあるかもしれませんが、技術を盗んで損はないと思います」
「………………」
上空から村やその周辺を見るのは初めてなのか、グレンはフィロの言葉に耳を向けながら食い入るように景色を見る。
「言ってはいけないことかもしれませんが…前の領主様が逃げてしまったことへの怒りや恨みを、新しい領主様にぶつけてはいませんか? 少ない部下をそれでも派遣して、多少なりとも村の役に立ちたいという新しい領主様を、歩み寄ろうという相手の二歩目を、こんな形で振り払うのは少し違うのではないかと思いますよ」
フィロの見透かすような言葉に、グレンは何も言えなかった。
そして、目の前に広がる広大な光景を前に、自分の考えの小ささを感じていた。
●農地整備
作業に入る前に、農地とする更地や荒れ地の様子を確認のうえ、作業に入る前に村人の責任者や他の参加者と打ち合せを行う。
しかし、村人の中には農業の専門家がいなかったため、代わりに領主のもとから来た農業経験のある武官との打ち合わせを行った。
その際、村人にも作業内容を分かりやすく伝える。
エラは早速、提案を武官に告げた。
「まず、私は三圃式農業を提案します」
「私もそれがいいと思っておりました」
三圃式農業。畑を3分割にし、それぞれ『春耕地』『秋耕地』そして、作物に吸収された養分を取り戻すための『休耕地』と分けて、年単位で場所を交代していくやり方だ。
現状の狭い一つの畑だけで作物を作っている状態と比べると、かなりの効率アップになるだろう。
だが、その分農地の場所も必要になってしまう。
「三圃式を採用するのなら、最低でも2倍ぐらいの農地が欲しい所ですね」
「欲を言えば、4倍ぐらいはあっても良いかもしれません。開拓は大変でしょうが……」
エラと武官の話を聞いていたエルバッハは、荒れた大地に目をやる。
「なるほど、ではまずは邪魔なものをどかさなくてはいけませんね」
古くなりボロボロの荷車や大きな岩などが複数転がり、農地拡大の邪魔をしていた。
「う~む……これでは農地を作り始めるまでに数日は掛かってしまいそうですね」
「大丈夫です。私達に任せてください」
エルバッハは、早速エクスシアのウィザードに乗り作業を行う。
全長4mを超える『ウィザード』に装備させた魔導ドリルやパイルバンカー「フィアンマ」を使用して、更地や荒れ地にある邪魔な岩などを粉砕した。
放置されボロボロになっている荷車等も粉砕し、そのかけらを村人達が拾い集め隅に集めた。
レオナが魔導トラック『ヴィリー』で必要な道具を運びつつ、粉々になった破片を運ぶ。
それと並行して、エラが魔導アーマー『鳳仙』に搭乗し、「アーマークロー」を備中鍬に見立て土を砕き解しに掛かる。
作業は後退しながら行って踏み硬めを防止し、畑の端部は畦を盛り、土壌流出を抑止。
細かい部分は人力に任せ、大雑把かつ力の要る箇所を優先的に処理した。
人の手で行うそれよりも、何十倍もの速度で土を解していく。
人の手で鍬が入る程度まで解せたら次の耕作地へと移った。
レオナは武官の指導の元、刻令耕運機「ガンバルン」を使い畑を耕した。
その最中、鍬を振るう村人達と話をし、この先の不安や悩み要望等の聞き役になる。
エラの乗る鳳仙は、通常の何十倍の速さで土を解していく。
その土を簡単に掘り起こす程の威力に、地面が響き、轟音が辺りに響く。
途中から、邪魔な障害物を撤去し終えたエルバッハのウィザードも、土を解しに掛かる。
パイルバンカー「フィアンマ」を上手く使って土地を耕した。
2機のアーマーによって、次々と土が掘り起こされ解される光景を、武官と村人は唖然と見詰めていた。
数時間も立つ頃には、目の前に広がっていた荒れ地は、畑の形をしつつあった。
「これはすごい……数日は掛かるはずの作業が、こんなに早く……」
そこに休憩中のエルバッハがやって来て、武官にある提案をした。
「放置されていた土地なので栄養不足になっている可能性もあります。腐葉土などを混ぜた方が良いかもしれませんね」
「ふぅむ……腐葉土は作るのに時間が掛かりますし、農業にはあまり向いていないので、出来れば堆肥があれば良いのですが……」
「堆肥ですか……落ち葉と違って、簡単に手に入るものではありませんね」
「まぁその辺りは、今後こちらでどうにか調達を試みましょう」
●柵作り
フィロと賢四郎が森から調達してきた木材が、村に次々と搬送されていく。
それを賢四郎が魔導トラックで随所まで運び、ズィルヴィントも運搬を手伝っていた。
最初は村人が警戒していたズィルヴィントだったが、数時間経った今では村人達も動じなくなっているようで、並んで作業をしている姿も見える。
その間、レオナが以前マッピングをした村の地図に、フィロがヘリコプターで上空から撮影した写真の情報を加え、村周辺の地図が出来上がっていた。
それを元に、ソフィアは柵を作る場所を決めていく。
事前にエラから、農地整備の範囲を聞いていたので、作業場所が重ならないように注意した。
更に農地の拡大計画を意識し柵の設置場所を考慮。
レオナは地図を見ながら『Bas-ogham』を使用し、村の脅威について占う。
すると、北一帯に強めの反応を感じた。
「北の方向に不吉な気配がします。そちらを重点的に強化しても良いかもしれませんね」
「北かー了解しましたー」
レオナの助言を元に、作製した設計図に書き込みを加えるソフィア。
そして村人と青髪の騎士に的確な指示を送り、資材の加工法や組み立てのコツなどを指導しながら、自身も率先して柵作りに勤んだ。
青髪の騎士は、村人達と交じり作業をこなしている。
村人達は、最初ほど青髪の騎士と距離を置いていない。
そこは、休憩中などにソフィアが仲を取り持とうと頑張った成果だろう。
柵は次々と出来ていき、搬送を終えたフィロも日曜大工スキルを活用し柵作りに回った。
●作業を終えて……
日が沈み、辺りが暗くなっている中、まばゆいライトが辺りを照らしていた。
「す……すごい」
村人の口からつい漏れてしまう言葉。
それは純粋な驚きだけでは無く、自分達もそれに貢献したのだという達成感を僅かながらも覚えていたのだろう。
汗や泥まみれになった格好が、その懸命さを物語っていた。
荒れ果てていた村には、立派な農地とそれを守る柵が出来上がった。
大きく3つに分けられた農地にはまだ種も植えていない状況だが、これなら何を植えても元気よく育ってくれるのでは無いかと思わせる程の光景が広がっている。
柵も農地をぐるりと一周し、北側が特に強化されている作りだった。
これには、農業経験のある武官も驚きの声を上げていた。
「まさか、たった一日でここまでやってしまうとは……これがハンターの力なのか」
と、ライトで照らされた農地をただただ眺めていた。
達成感に包まれていた彼らに、グレンが突然大声で呼び掛ける。
「皆聞いてくれ」
彼の服も土と汗で汚れていて、作業をやっていた事を示していた。
視線が集まる中、グレンはおもむろに言葉を口にした。
「俺達は、当面は領主側と連携して村を立て直していく事にした」
言葉を聞き村人達は驚きの顔を見せた。
グレンが『領主』という存在を嫌っているのは、誰もが知っている事だったからだ。
「青髪の騎士……殿、訓練よろしく……頼む」
まだ抵抗はあるのか、その言葉は硬くぎこちない。
青髪の騎士はそんなグレンの歩み寄りに応えた。
「私の名前はスティーユだ。これからよろしく頼むぞ」
見た目こそ厳しい彼だが、その言葉には高圧的な態度は感じられず、むしろ友好的でさえあった。
そんな青髪の騎士スティーユに、他の自警団の面々もホッと胸をなで下ろした。
「わざわざ出向いたかいがありましたね」
賢四郎は事が上手く収まるのを見て、ひとまずは安心する。
「ソフィアちゃん、今日はありがとな! 楽しかったぜ」
見た目は若くとも、一応ソフィアは作業をしている者の中では一番の年長のはずなのだが……特に気にした様子もなく振る舞う。
「わたしも、楽しかったですよー何か困った事があったら呼んでくださいねー」
「皆さん、今日は本当にお疲れ様でした」
丁寧な口調、所作で皆を労うエルバッハ。
「後は皆さんにお任せする形になりますが、頑張ってくださいね」
これから先のことを思い、村人を応援するエラ。
村人の話を真摯に聞き、心を軽くさせた影の功労者たるレオナもまた、村人に深く感謝をされていた。
「ふふ、今後も状況がより良くなる事を願っています。皆さん、頑張ってくださいね」
「今回、村人の方達が仰っていた不安、要望等は、新しい領主さまとのわだかまりが少しでも無くなるように私の方からお伝えさせていただきます」
フィロの今後のことを思う言葉に、グレンは改めてハンター達に向き直った。
「なにからなにまですまない。本当に助かった。あんた達のおかげで、この村はどうにか生き残れそうだ」
その言葉には、グレンが今まで抱いていたであろ不安と、これ以上ない感謝の気持ちが込められていた。
こうして村の復興の第一歩目は、現状で考えうる最高の結果をもたらした。
この一歩が、この村の未来に大きく繋がるであろうことは明白だろう。
村人達は今まで不安だらけだった明日を、希望を持ち輝かしい目で見詰めていた。
「悪いが、俺達はあんたの教えを乞う気は無い」
グレンは敵意をむき出しにし、青髪の騎士を睨む。
一方の青髪の騎士は、最初からそれが分かっていたかのように表情を崩さず、ただ冷静に佇んでいた。
その横では、文官が必死に説得をしようと言葉を並べている。
「しかし、ここは我々の領地です。領地にいるのなら領主の方針に従ってもらわなければ……」
「今まで放っておいて、何が領主の方針だ。また奪うだけ奪って、危険が近付けば逃げ出すつもりだろう。こんな荒れた場所をまともに立て直そうとする貴族がいるとは思えないからな」
おおよそ予想通りの反応で、文官はげんなりとしていた。
状況が状況なので仕方が無いが……文官はクリフォードの無茶ぶりに頭を抱えつつ、どうしようかと思案していた。
するとそこに、依頼を受けやって来たハンター達の姿があった。
「あんた達は……」
グレンは、前の依頼で助けられたレオナ(ka6158)と初月 賢四郎(ka1046)に気づき、会釈をする。
「よく来てくれた。先日は本当に世話になった」
「初めまして。私はエルバッハ・リオンと申します。よろしければ、エルと呼んでください」
エルバッハ・リオン(ka2434)の後に、他のハンターも軽く自己紹介をした。
「俺は自警団のリーダーをしているグレンだ。よろしく。それで今日はどうしてここへ?」
「私達は領主から依頼を受けてここへ来ました」
エルバッハの隠すことの無い言葉に、自警団のメンバーの表情が強張る。
そこにフィロ(ka6966)がフォローした。
「私達は復興の手伝いと、お話をしに来ただけです。強制的に貴方方をどうこうということはありません」
その言葉に、リーダーであるグレンは複雑な表情を浮かべる。
それを見たレオナの提案で、一旦青髪の騎士と文官に席を外してもらい、ハンターと自警団のメンバーとで話をする事にした。
まずレオナ達は聞き役に徹し、自警団の不満を聞く。
「連中は自分達だけ旨い汁をすすり、何かあったら俺達を見捨てて逃げ出す。それで……」
話をひとしきり聞いたレオナは、切り出した。
「それは大変でしたね……ですが、一度ちゃんと話を聞いてあげることは出来ませんか?」
「いや……だが」
「新しい領主の方も、復興に真剣な様子でした。貴方方が思っているような方では無いかも知れませんよ」
エルバッハもそう説得するが、グレンは相変わらず難しい顔をしている。
「……あんた達には大きな借りがあるし、あいつらと違って信用できる。あんた達を通してってことなら、話を聞かせてもらうよ」
グレンは妥協し、ハンターを通すことを条件に話し合いに応じることにした。
一方、領主側では、賢四郎とエラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)が、青髪の騎士、文官と話をしていた。
「話し合いの卓につくのなら、目的や利益といった明確なものを示すべきですよ。現状ではあやふやな善意や希望は信用に値しません」
「それと決めごとはちゃんと書面にした方がいいですね」
「そうですね。書面に関しては話し合いが纏まり次第すぐに用意いたします。目的や利益も、自警団の方々が話を聞いてくれるのなら丁寧に話して行くつもりです」
「まぁ、そこは他の仲間達が上手く説得してくれているでしょう」
「具体的な事を提案したいのですが……」
エラは今回の話し合いに必要であろう事柄の提案をする。
まずは村の自治権に関しての話だったが……
「現状、村に内政に長けている者がいないようです。自警団という武力集団が中心となり村をまとめているようですが……おそらく村を仕切っていた大部分の村人達は、既に亡くなっているか既に別の地へ避難していると思われます。生活もままならない現状では正式な自治権を渡すのは難しいでしょう」
次に村人の出兵の免除。
「これに関しては、私達が自警団を兵士として雇わない限り出兵の必要はありません。現状ではまず志願などあり得ないでしょうし、徴兵も上手く行くとは思えません。当面は考えなくてもいいかと……私達としては、とても苦しい所ですが」
彼らの人手不足はかなり深刻なものなのだろう。話していて、その苦しさが鮮明に伝わってくる。
そして、納税免除期間は最低2年を提案したが……
「2年ですか……それは厳しいですね。ここだけの話、1年でそれなりの結果を出さなければ領地を没収されてしまうのです。それにこちらの資金だけでは半年も持たないでしょう。更に理由があり、他領地からの援助も受けられない状態なのです」
後から後から、埃のように出てくる障害に、エラも閉口する。
「……それは、大変な状況ですね」
「……自分の目から見れば根拠の無い危険な綱渡りにしか思えませんね」
「それに関しては、領主間の問題としか言えません。我々は上から無茶難題を強いられ、それに挑んでいる状態なのです。理想などで動いている訳では無く、ただ生き残るために必死なのですよ」
「それは今の村の現状と重なるところがありますね」
そうエラは思った。
「支援は可能でしょうか? 必要な農具、防衛戦に向く槍や盾などの支援は最低限あった方がいいと思われます」
「必要な道具などの支援は、当然可能な限りやっていきたいと思っております」
エラの提案を参考に、必要なものをメモしていく文官。
その後ろで、肝心の青髪の騎士はずっと静観していた。
一度、自警団、領主側、ハンターで集まり話し合いをすることになった。
エルバッハは、『地球連合軍用PDA』を使って交渉内容を録音しておくことにした。
これで、話し合いの記録が出来る。言った言わなかったの言い争いは避けられるだろう。
話し合いが始まり、先に切り出したのは賢四郎だった。
「まず、領主がこの村に対して支払っている報酬の話から始めましょうか。 先と今回の自分の報酬額がこの程度。それを人数分でオフィスの取り分も加え
その他経費も含めればこの程度……」
決して少なくない金額。
もちろん、金を出したから偉いと言うわけではないが……今回の場合は毛色が違う。
「客観的に見て、今この村にどれだけのものがあります? 資本を投下して回収できるだけの場所だと断言できますか?」
「……確かに、この村にはほとんど何もない。なら、なぜ領主はわざわざ……」
「私達の目的は、この領地を立て直す事です。私服を肥やそうなどと思う余裕などありません」
文官は透かさずそう主張するが、それにグレンが噛みつく。
「立て直し……なら、どうしてこんな回りくどいことをするんだ? 村を守るための駐屯兵を置くわけでも無く口だけは挟む……俺には、何か問題があっても領主の持ち物が傷付かないように距離を取っているようにしか思えない」
「それに関しては、致し方ない理由があるそうです」
エラはそう言うと、文官の方を見る。
さすがに、部外者である自分達が、依頼主の苦事情を暴露することに抵抗を覚えた。
「……今、私達は圧倒的な人手不足に悩まされています。文官4、名武官4名、兵士0名……それが今いる全ての人数です」
衝撃的な発言をする文官だが、グレンは言われた事の意味がよく分かっていないようだった。
「……文官が何をするのかはよく分からないが……武官というのは騎士の事だろ? 下に就く奴が一人もいないのか?」
「……そうなります」
いよいよもって異常な事態であることを認識し、グレンは別の意味で疑いの目を向ける。
それから収入が必要なこと。村の農地を広げ多くの作物を生産出来る環境を作り上げること。
自分の身は自分で守ってもらう代わりに、戦い方を指導すること……それらを、他のハンターの助力を交えてグレンに伝えた。
「あんたらの言い分は分かった。俺達では現状の改善は難しい。確かに農地や守りに関しては頼るほかはないが……だが、戦いに関しては口を挟まないでもらいたい。信用できない相手に、手の内を明かしたくはない」
グレンは、領主側の裏切りを想定して、それに対抗する手段を持っておきたいようだった。
それに対し、賢四郎が言う。
「信用していないのなら即座にでも受けるべきでしょう。相手の戦闘教義・戦術……そういったものを吸収でき、万一敵に回っても手の内等が読める。余計な介入が出ればその時点で切ればいいだけの話ですよ」
現状、騎士である彼らの方が、戦闘の経験、技術などは上だ。そんな相手に、多少の情報を知られたところでたかが知れていた。
それよりも、相手の情報を手に入れる方が格段に有益だろう。
「確かに、賢四郎さんの仰ることはもっともですね。僕もこのままでは駄目だとは思っていました」
先程まで様子を窺っていたナクトがそう言う。どうやら彼はグレンと違い、感情を置いておき客観的に状況を見ることが出来る人間のようだ。
しかし、やはりグレンは首を縦に振るのを渋った。どうやら、彼の心根に染みついている傷は、簡単に払拭できるものでは無いようだ。
そこに、これまで様子見に徹していたソフィア =リリィホルム(ka2383)が突然口を開く。
「これ以上時間を無駄にするのもどうかと思いますし、ここは青髪の騎士さんにも一緒に作業をしてもらって、お互いを知るのが良いと思いますよー」
「へ? いや……さすがにそれは……」
斜め上からの提案に困惑する文官。
「私は構わない。ここで時間を無駄にするよりも、ずっと有意義だろう」
意外にも、青髪の騎士は労働を快く受け入れた。
その様子に、辺りの自警団の者達も面を喰らっているようだ。
「それじゃあ、作業開始しましょう!」
ソフィアのかけ声と共に、一旦話し合いは終わり、皆作業へと移ることになった。
●解体作業
「やー、最近ハードだったから本業楽しいですねー」
ソフィアは、専門の仕事を任され、意気揚々と辺りを見回す。
村のほとんどは荒れ果てていて、これを整備するには生半可なやり方では難しいだろう。
そんな困難を前にして、職人としての血が騒いだ。
「ズィル、村人さんの言うことを良く聞くんですよー」
ソフィアは、連れてきたズィルヴィントに外敵の警戒と、荷運び等を任せる。
その大きな狼の姿に、さすがに村人達は警戒してしまう。
そこは作業をしていくうちに慣れてもらうしかないだろう。
ソフィアは、村人達に解体作業の手順を一通り説明し、作業の危険性を十分に言い含めたのちに作業を開始させた。
慎重に作業を行う村人達。慣れない手つきで何度かミスもしてしまうが、ソフィアはそれを優しく指摘する。
その近くで青髪の騎士は、廃屋に向かい剣を構え、次の瞬間光の速さで剣を幾度も振り抜く。
すると廃屋はバラバラに散らばり、あっさりと木材の塊と化した。
「こらぁ! 近くに人がいるのに、そんなことしたら危ないでしょう!」
途端にソフィアの大声が響く。見てみると、青髪の騎士が解体した廃屋の近くには数名の村人がいた。
一歩間違えば大惨事な状況に、ソフィアは厳しく叱咤したのだ。
「……上手くやったつもりだったが、確かに最悪の事態は考えるべきだったな。すまなかった」
青髪の騎士は、素直に非を認め謝罪をする。
見た目の厳めしさとのギャップに、謝られた村人もただ戸惑っていた。
それからソフィアは、青髪の騎士と他数名に解体作業の仕方を教え、他の者達に仕える素材とそうでないものの区別の仕方を教える。
解体作業の監督をしつつ、ソフィアは柵の事を思案していた。
農地の拡大とともに場所の変更等のしやすさ考慮し、設置と解体が容易で、場所の移動がある程度楽な構造を考える。
高さは野獣や亜人が容易に飛び越えられぬ高さ、防御力は野獣の突進や亜人のある程度の武器攻撃に耐えられる程度、弓や銃が使いやすいよう銃眼のようなものの設置も考える。
パーツの形を統一、ブロック構造にする等、今後の整備性も視野に入れておく。
「村にロープはありますか? 森の奥で伐採した大木をヘリコプターで村まで運べるのではないかと思います。柵やそれ以外にも有効活用できるかと」
フィロは村の外へ行き、柵を作るための材料の確保に回った。
「木材の確保なら自分も行きましょう」
そこに賢四郎も名乗りでる。
解体作業は順調に進んでいるため、あとは青髪の騎士達に任せれば良いと判断し、賢四郎も外へ資材の確保に動くことにした。
フィロは森へと向かう前に、自警団リーダーのグレンを連れて、ヘリコプターで村の周囲を飛ぶ。
魔導カメラで村の周囲の写真を撮りながらグレンに問い掛けた。
「この村はこんなに森に近いのです。雑魔に襲われた時自警団がいかに持ちこたえられるかが村を救えるか否かの分かれ道になります。新しい領主さまが派遣して来た方と言うことでわだかまりはあるかもしれませんが、技術を盗んで損はないと思います」
「………………」
上空から村やその周辺を見るのは初めてなのか、グレンはフィロの言葉に耳を向けながら食い入るように景色を見る。
「言ってはいけないことかもしれませんが…前の領主様が逃げてしまったことへの怒りや恨みを、新しい領主様にぶつけてはいませんか? 少ない部下をそれでも派遣して、多少なりとも村の役に立ちたいという新しい領主様を、歩み寄ろうという相手の二歩目を、こんな形で振り払うのは少し違うのではないかと思いますよ」
フィロの見透かすような言葉に、グレンは何も言えなかった。
そして、目の前に広がる広大な光景を前に、自分の考えの小ささを感じていた。
●農地整備
作業に入る前に、農地とする更地や荒れ地の様子を確認のうえ、作業に入る前に村人の責任者や他の参加者と打ち合せを行う。
しかし、村人の中には農業の専門家がいなかったため、代わりに領主のもとから来た農業経験のある武官との打ち合わせを行った。
その際、村人にも作業内容を分かりやすく伝える。
エラは早速、提案を武官に告げた。
「まず、私は三圃式農業を提案します」
「私もそれがいいと思っておりました」
三圃式農業。畑を3分割にし、それぞれ『春耕地』『秋耕地』そして、作物に吸収された養分を取り戻すための『休耕地』と分けて、年単位で場所を交代していくやり方だ。
現状の狭い一つの畑だけで作物を作っている状態と比べると、かなりの効率アップになるだろう。
だが、その分農地の場所も必要になってしまう。
「三圃式を採用するのなら、最低でも2倍ぐらいの農地が欲しい所ですね」
「欲を言えば、4倍ぐらいはあっても良いかもしれません。開拓は大変でしょうが……」
エラと武官の話を聞いていたエルバッハは、荒れた大地に目をやる。
「なるほど、ではまずは邪魔なものをどかさなくてはいけませんね」
古くなりボロボロの荷車や大きな岩などが複数転がり、農地拡大の邪魔をしていた。
「う~む……これでは農地を作り始めるまでに数日は掛かってしまいそうですね」
「大丈夫です。私達に任せてください」
エルバッハは、早速エクスシアのウィザードに乗り作業を行う。
全長4mを超える『ウィザード』に装備させた魔導ドリルやパイルバンカー「フィアンマ」を使用して、更地や荒れ地にある邪魔な岩などを粉砕した。
放置されボロボロになっている荷車等も粉砕し、そのかけらを村人達が拾い集め隅に集めた。
レオナが魔導トラック『ヴィリー』で必要な道具を運びつつ、粉々になった破片を運ぶ。
それと並行して、エラが魔導アーマー『鳳仙』に搭乗し、「アーマークロー」を備中鍬に見立て土を砕き解しに掛かる。
作業は後退しながら行って踏み硬めを防止し、畑の端部は畦を盛り、土壌流出を抑止。
細かい部分は人力に任せ、大雑把かつ力の要る箇所を優先的に処理した。
人の手で行うそれよりも、何十倍もの速度で土を解していく。
人の手で鍬が入る程度まで解せたら次の耕作地へと移った。
レオナは武官の指導の元、刻令耕運機「ガンバルン」を使い畑を耕した。
その最中、鍬を振るう村人達と話をし、この先の不安や悩み要望等の聞き役になる。
エラの乗る鳳仙は、通常の何十倍の速さで土を解していく。
その土を簡単に掘り起こす程の威力に、地面が響き、轟音が辺りに響く。
途中から、邪魔な障害物を撤去し終えたエルバッハのウィザードも、土を解しに掛かる。
パイルバンカー「フィアンマ」を上手く使って土地を耕した。
2機のアーマーによって、次々と土が掘り起こされ解される光景を、武官と村人は唖然と見詰めていた。
数時間も立つ頃には、目の前に広がっていた荒れ地は、畑の形をしつつあった。
「これはすごい……数日は掛かるはずの作業が、こんなに早く……」
そこに休憩中のエルバッハがやって来て、武官にある提案をした。
「放置されていた土地なので栄養不足になっている可能性もあります。腐葉土などを混ぜた方が良いかもしれませんね」
「ふぅむ……腐葉土は作るのに時間が掛かりますし、農業にはあまり向いていないので、出来れば堆肥があれば良いのですが……」
「堆肥ですか……落ち葉と違って、簡単に手に入るものではありませんね」
「まぁその辺りは、今後こちらでどうにか調達を試みましょう」
●柵作り
フィロと賢四郎が森から調達してきた木材が、村に次々と搬送されていく。
それを賢四郎が魔導トラックで随所まで運び、ズィルヴィントも運搬を手伝っていた。
最初は村人が警戒していたズィルヴィントだったが、数時間経った今では村人達も動じなくなっているようで、並んで作業をしている姿も見える。
その間、レオナが以前マッピングをした村の地図に、フィロがヘリコプターで上空から撮影した写真の情報を加え、村周辺の地図が出来上がっていた。
それを元に、ソフィアは柵を作る場所を決めていく。
事前にエラから、農地整備の範囲を聞いていたので、作業場所が重ならないように注意した。
更に農地の拡大計画を意識し柵の設置場所を考慮。
レオナは地図を見ながら『Bas-ogham』を使用し、村の脅威について占う。
すると、北一帯に強めの反応を感じた。
「北の方向に不吉な気配がします。そちらを重点的に強化しても良いかもしれませんね」
「北かー了解しましたー」
レオナの助言を元に、作製した設計図に書き込みを加えるソフィア。
そして村人と青髪の騎士に的確な指示を送り、資材の加工法や組み立てのコツなどを指導しながら、自身も率先して柵作りに勤んだ。
青髪の騎士は、村人達と交じり作業をこなしている。
村人達は、最初ほど青髪の騎士と距離を置いていない。
そこは、休憩中などにソフィアが仲を取り持とうと頑張った成果だろう。
柵は次々と出来ていき、搬送を終えたフィロも日曜大工スキルを活用し柵作りに回った。
●作業を終えて……
日が沈み、辺りが暗くなっている中、まばゆいライトが辺りを照らしていた。
「す……すごい」
村人の口からつい漏れてしまう言葉。
それは純粋な驚きだけでは無く、自分達もそれに貢献したのだという達成感を僅かながらも覚えていたのだろう。
汗や泥まみれになった格好が、その懸命さを物語っていた。
荒れ果てていた村には、立派な農地とそれを守る柵が出来上がった。
大きく3つに分けられた農地にはまだ種も植えていない状況だが、これなら何を植えても元気よく育ってくれるのでは無いかと思わせる程の光景が広がっている。
柵も農地をぐるりと一周し、北側が特に強化されている作りだった。
これには、農業経験のある武官も驚きの声を上げていた。
「まさか、たった一日でここまでやってしまうとは……これがハンターの力なのか」
と、ライトで照らされた農地をただただ眺めていた。
達成感に包まれていた彼らに、グレンが突然大声で呼び掛ける。
「皆聞いてくれ」
彼の服も土と汗で汚れていて、作業をやっていた事を示していた。
視線が集まる中、グレンはおもむろに言葉を口にした。
「俺達は、当面は領主側と連携して村を立て直していく事にした」
言葉を聞き村人達は驚きの顔を見せた。
グレンが『領主』という存在を嫌っているのは、誰もが知っている事だったからだ。
「青髪の騎士……殿、訓練よろしく……頼む」
まだ抵抗はあるのか、その言葉は硬くぎこちない。
青髪の騎士はそんなグレンの歩み寄りに応えた。
「私の名前はスティーユだ。これからよろしく頼むぞ」
見た目こそ厳しい彼だが、その言葉には高圧的な態度は感じられず、むしろ友好的でさえあった。
そんな青髪の騎士スティーユに、他の自警団の面々もホッと胸をなで下ろした。
「わざわざ出向いたかいがありましたね」
賢四郎は事が上手く収まるのを見て、ひとまずは安心する。
「ソフィアちゃん、今日はありがとな! 楽しかったぜ」
見た目は若くとも、一応ソフィアは作業をしている者の中では一番の年長のはずなのだが……特に気にした様子もなく振る舞う。
「わたしも、楽しかったですよー何か困った事があったら呼んでくださいねー」
「皆さん、今日は本当にお疲れ様でした」
丁寧な口調、所作で皆を労うエルバッハ。
「後は皆さんにお任せする形になりますが、頑張ってくださいね」
これから先のことを思い、村人を応援するエラ。
村人の話を真摯に聞き、心を軽くさせた影の功労者たるレオナもまた、村人に深く感謝をされていた。
「ふふ、今後も状況がより良くなる事を願っています。皆さん、頑張ってくださいね」
「今回、村人の方達が仰っていた不安、要望等は、新しい領主さまとのわだかまりが少しでも無くなるように私の方からお伝えさせていただきます」
フィロの今後のことを思う言葉に、グレンは改めてハンター達に向き直った。
「なにからなにまですまない。本当に助かった。あんた達のおかげで、この村はどうにか生き残れそうだ」
その言葉には、グレンが今まで抱いていたであろ不安と、これ以上ない感謝の気持ちが込められていた。
こうして村の復興の第一歩目は、現状で考えうる最高の結果をもたらした。
この一歩が、この村の未来に大きく繋がるであろうことは明白だろう。
村人達は今まで不安だらけだった明日を、希望を持ち輝かしい目で見詰めていた。
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相談卓 エルバッハ・リオン(ka2434) エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/11/20 22:26:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/18 12:32:55 |