ゲスト
(ka0000)
【落葉】水汲み娘は血を流す
マスター:ゆくなが

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/11/22 19:00
- 完成日
- 2018/11/30 13:10
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●事の発端を語るオフィス職員の視点
ゾンネンシュトラール帝国、その帝都などの主要都市ともなれば、社会資本が整備され、生活に必要なものはすぐに手に入るであろう。だが、そこから外れた田舎ともなれば、そうではない。
火を起こすためには薪や柴が必要であるし、水を使うためには毎日川へ汲みに行かなければならない。1日の大半を生活のための諸行為にとられ、娯楽や勉学などはなかなか行うことはできなかった。
ここもそんなありふれた田舎のひとつであった。
母の顔はよく日に焼けていて赤茶色だ。そこに皺が深く刻まれており、お世辞にも美しいとは言えないが、生命に満ち溢れている感じがある。
彼女は家の玄関で、娘を送り出すところだった。
娘は10歳前後にみえるが、彼女もまた、生活の担い手であった。これから近くの川へ甕を担いで食事などに使う水を汲みに行くのである。
「気をつけて行ってくるんですよ」
「はい母さん」
穏やかな母の言葉に、娘は元気に返事をした。
太陽はまだ地平線付近にあり、空は白く濁ったような朝である。夏が終わり、秋も去りつつある。冬を控えた朝の空気はシンと冷たく澄んでいた。
「では、行って来ます」
娘は歩き出す。
母はその背中が山の中に消えて、樹木の陰で見えなくなるまでたっぷり見送ったのだった。
それから、あまり時間は経っていない。
母が、そろそろ娘は川についたかしら、と思案しながら、自分の仕事をこなしているところだった。
轟音があたりを揺らしたのだった。
それは何か重たいものが空から降って来たようでもあり、同時に鋭いものが地面に突き立ったようでもあった。
それは決して自然が発する音ではないことを母はすぐに確信した。
外へ出て音の聞こえた方向を見る。
それはここから一番近い川のある方で、つまり娘が向かった先であるのだった。
この母は、即座に自分の娘を心配した。得体の知れない轟音の正体を探るより、何より先にである。
だが、その音のした方に、続いて異変が起こった。
まるで風船が膨れるように、黒い球形がむくむくと現れたのである。
つまり、これが今回の依頼で排除してほしい異界のことだ。
母は、娘の安否を確かめようとすぐに家を飛び出して行ったのだが、これは幸いに、同じく轟音を聞き、近くにいた近隣住民が止めた。何が起きているかわからない場所へ向かわせるのは危険すぎるからだ。
水汲みに行こうとしていた他の住民たちは轟音を聞きつけて行くのをやめるか引き返して来るかしたが、例の娘は帰ってこなかった。また、戻って来た者たちの証言によれば、黒い球形──つまり異界からは武器を持ったスケルトンがぞろぞろ這い出して来ているという。
水汲みに行った娘は異界付近でまだ生きているか……あるいは、すでに死んでいるだろう。
ハンター諸君には、この異界を排除しつつ、娘を探し出してほしい。
仮に彼女が死んでいたら、遺体を持ち帰って来てくれたまえ。
異界を消失させるには、異界の中に突入して、中にあるソードオブジェクトを破壊する必要がある。
もちろん異界から湧き出ているスケルトンを放置することはできない。もし水汲みに行った娘が生きていた場合、スケルトンは彼女にとって非常な脅威だからだ。
また、反影作戦時のデータから、異界由来のモノは元になった異界が消滅すれば同じく消滅する運命にあるようなのでこのことも依頼遂行に役立ててほしい。
●水汲みに行った娘の視点
水汲みにいった娘は生きていた。
今はある樹の陰に隠れている。
彼女の足は血にまみれていた。
ソードオブジェクトが突き刺さった衝撃で、吹き飛ばされて、持って来た甕が割れて、その破片で足の腿を切ってしまったのだ。
痛みにむせぶ娘であったが、川岸に黒い剣が突き刺さり、黒い球形が展開し、そこからスケルトンが湧き出るのを見て、異常事態を悟った。
足の傷は深く、歩くことはできない。娘は這って川岸から遠ざかり、樹の陰に隠れたのだ。
だが、見つかるのは時間の問題だった。
この傷では遠くへ行けないし、仮に行くことができたとしても、血痕が残ってしまうからだ。
娘は息を殺しながら、心の中で、助けて、と繰り返し叫ぶ。
同時に我が身に危険がないか、或いは助けが来ていないか確かめるために耳をすますのだった。
ゾンネンシュトラール帝国、その帝都などの主要都市ともなれば、社会資本が整備され、生活に必要なものはすぐに手に入るであろう。だが、そこから外れた田舎ともなれば、そうではない。
火を起こすためには薪や柴が必要であるし、水を使うためには毎日川へ汲みに行かなければならない。1日の大半を生活のための諸行為にとられ、娯楽や勉学などはなかなか行うことはできなかった。
ここもそんなありふれた田舎のひとつであった。
母の顔はよく日に焼けていて赤茶色だ。そこに皺が深く刻まれており、お世辞にも美しいとは言えないが、生命に満ち溢れている感じがある。
彼女は家の玄関で、娘を送り出すところだった。
娘は10歳前後にみえるが、彼女もまた、生活の担い手であった。これから近くの川へ甕を担いで食事などに使う水を汲みに行くのである。
「気をつけて行ってくるんですよ」
「はい母さん」
穏やかな母の言葉に、娘は元気に返事をした。
太陽はまだ地平線付近にあり、空は白く濁ったような朝である。夏が終わり、秋も去りつつある。冬を控えた朝の空気はシンと冷たく澄んでいた。
「では、行って来ます」
娘は歩き出す。
母はその背中が山の中に消えて、樹木の陰で見えなくなるまでたっぷり見送ったのだった。
それから、あまり時間は経っていない。
母が、そろそろ娘は川についたかしら、と思案しながら、自分の仕事をこなしているところだった。
轟音があたりを揺らしたのだった。
それは何か重たいものが空から降って来たようでもあり、同時に鋭いものが地面に突き立ったようでもあった。
それは決して自然が発する音ではないことを母はすぐに確信した。
外へ出て音の聞こえた方向を見る。
それはここから一番近い川のある方で、つまり娘が向かった先であるのだった。
この母は、即座に自分の娘を心配した。得体の知れない轟音の正体を探るより、何より先にである。
だが、その音のした方に、続いて異変が起こった。
まるで風船が膨れるように、黒い球形がむくむくと現れたのである。
つまり、これが今回の依頼で排除してほしい異界のことだ。
母は、娘の安否を確かめようとすぐに家を飛び出して行ったのだが、これは幸いに、同じく轟音を聞き、近くにいた近隣住民が止めた。何が起きているかわからない場所へ向かわせるのは危険すぎるからだ。
水汲みに行こうとしていた他の住民たちは轟音を聞きつけて行くのをやめるか引き返して来るかしたが、例の娘は帰ってこなかった。また、戻って来た者たちの証言によれば、黒い球形──つまり異界からは武器を持ったスケルトンがぞろぞろ這い出して来ているという。
水汲みに行った娘は異界付近でまだ生きているか……あるいは、すでに死んでいるだろう。
ハンター諸君には、この異界を排除しつつ、娘を探し出してほしい。
仮に彼女が死んでいたら、遺体を持ち帰って来てくれたまえ。
異界を消失させるには、異界の中に突入して、中にあるソードオブジェクトを破壊する必要がある。
もちろん異界から湧き出ているスケルトンを放置することはできない。もし水汲みに行った娘が生きていた場合、スケルトンは彼女にとって非常な脅威だからだ。
また、反影作戦時のデータから、異界由来のモノは元になった異界が消滅すれば同じく消滅する運命にあるようなのでこのことも依頼遂行に役立ててほしい。
●水汲みに行った娘の視点
水汲みにいった娘は生きていた。
今はある樹の陰に隠れている。
彼女の足は血にまみれていた。
ソードオブジェクトが突き刺さった衝撃で、吹き飛ばされて、持って来た甕が割れて、その破片で足の腿を切ってしまったのだ。
痛みにむせぶ娘であったが、川岸に黒い剣が突き刺さり、黒い球形が展開し、そこからスケルトンが湧き出るのを見て、異常事態を悟った。
足の傷は深く、歩くことはできない。娘は這って川岸から遠ざかり、樹の陰に隠れたのだ。
だが、見つかるのは時間の問題だった。
この傷では遠くへ行けないし、仮に行くことができたとしても、血痕が残ってしまうからだ。
娘は息を殺しながら、心の中で、助けて、と繰り返し叫ぶ。
同時に我が身に危険がないか、或いは助けが来ていないか確かめるために耳をすますのだった。
リプレイ本文
●虚無へ向かって
「これはまた、大きな異界ねえ……ソードオブジェクトなんて派手にやってくれるじゃないの」
ケイ(ka4032)が異界の方を見る。
ここと、ソードオブジェクトが着弾したと思われる川からは距離がある。けれど、膨れ上がった風船のような虚無は遠くからでも十分に視認できた。
「……異界とやらがこの辺りにまで来ようとは、いやはや」
マッシュ・アクラシス(ka0771)もまた呟く。マッシュの言う通り、この辺りはゾンネンシュトラール帝国でもかなり田舎である。都市部とは明らかに生活水準が違うのだ。
ハンターたちは異界へ向けて走っていた。
異界までの道は迷いようがない。なぜなら目標物があまりに巨大だからだ。
だが、今回の問題は別のところにある。
「村人からきいた話だと──」
セシア・クローバー(ka7248)が出発前に村人からききだした情報をまとめて、皆に話した。
●出発の前に
依頼を受けたハンターたちはソードオブジェクトの着弾点近く村へついた。
今回の異界出現騒動に大きな被害はない──たったひとり、娘が行方不明であることを除けば。
彼女の生死は不明だ。朝、水汲みに行った時に、ソードオブジェクト墜落に巻き込まれたらしく、帰ってきていない。青い顔をしたあの婦人こそはその娘の母親である。
今回の依頼には、異界の排除のほか、その娘の捜索も含まれているのだ。
セシアは村人に、山から川岸にかけて見通しの悪い場所をきくことにした。
「負傷して動けない場合身を隠そうとするだろう」
異界からはスケルトンたちが現れているという。もし、娘が生きているのなら、その脅威から身を隠すために動こうとすると推測したからだ。
●君を探して
「──以上が、村人から聞き出した情報だ」
そう、セシアが結んだ。
「オッケー! 私は高い木に登って上から娘さんを探しますから、見晴らしの悪いところは任せますっ!」
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)がそうこたえる。
「ならば、妾は川上から川下へ向けて捜索するとしよう」
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)も水汲みに行った娘の捜査を優先するつもりだ。
「生きててくれよ……!」
焔 牙炎(ka7342)が願うように呟いた。
川へとたどり着くまでの山に生える木々の背は高い。だが、それ以上に黒々と、異界は存在している。
ルンルンが皆より少し前を走って、先導する。
次第に視界が開けてきた。川岸に近づいた証拠だった。
「良さそうな木、発見! それでは、私は上から娘さんを探します。ジュゲームリリカル……ルンルン忍法どこでも地面!」
ルンルンはグラヴィティブーツ「カルフ」でスキルアシストされた壁歩きで軽やかに木に登って行く。
「では妾たちも捜索を開始しよう」
蜜鈴も川の上流へ向かう。
「具体的な捜索は任せますよ。敵がいれば、私が引き受けますゆえ」
「それは頼もしいのう」
マッシュが言い、蜜鈴が微笑してこたえる。
ハンターたちが散会し、本格的な捜査に移ろうとしていたその時だった。
「ありました! 異界から南に下った川岸に、血痕のようなものがあります!」
上に登って双眼鏡を使っていたルンルンが早速、下にいる仲間に伝えたのだ。
「娘の姿は見えるか!?」
セシアが問いかける。
「それは見えません。でも、流した血の量が多いみたいだから大きな怪我を負っているのかも……!」
「南じゃな、承知した」
「スケルトンたちの群れも徐々に血痕に近づいています! このままだと捜索中に戦闘になる可能性が高いと思います!」
ルンルンは敵の布陣も頭の中に叩き込む。
「娘さんの救助は任せます。私は先に異界へ向かいます!」
ルンルンは登った時と同じように、木からするすると降りてきて、異界へ向けて走り出した。
「私たちは南の方へ!」
セシアたちはルンルンの示した方へ駆けて行く。
●倒れた草の道
「森の中の捜索か……。トラッキング……は、妹の捜索で使用している」
セシアが草をかき分けながら言う。
(あいつはそこらで昼寝して帰ってこないからだが……)
今回の行方不明の娘はきっと帰りたくても帰れない状況だ。
(何としても探し出さなくてはな)
行く手の草をかき分けた時、近くの樹木の陰に気配を感じた。
その樹木の周囲を見れば、倒れた草がある。
「そこに、誰かいるのか?」
セシアが呼びかけた。
そして、
「ぁ……、もしかして、助けに来てくれたんですか……?」
弱々しいが、確かに樹木の陰から、こたえる娘の声が聞こえた。
急いでその影を確認すると、そこには、
「あの、足を怪我してしまって動けないんです……」
出血と恐怖のために真っ青な顔をした娘が木に体を預けていた。
「もう、大丈夫だ」
セシアは膝をついて、娘と同じ目線になる。
「私はハンターのセシア。きみを助けに来たんだ。名前を教えてくれないか」
「エダです」
「そうか。エダ、よく頑張った。凄いじゃないか。お前はえらい」
そう言って、セシアはエダの頭をそっと撫でた。
その手の温もりに、やっとエダは安心したのであろう。瞳から安堵のための涙が一筋流れた。
「すぐに仲間を呼ぼう」
セシアは魔導パイロットインカムで仲間に連絡した。
●蹄の音
「応急処置は済んだ。安心して良いぞ」
セシアの連絡で駆けつけた蜜鈴がアンチボディでエダの傷を癒した。出血も収まり、顔色もだいぶ良くなっている。
「エダよ、馬には乗れるか?」
「何度か乗ったことがあります」
「そうか。なら問題なかろう」
蜜鈴は共に行動していた馬、豪楽をエダに示す。
「この先は戦場となる。エダはこの豪楽に乗って安全な場所まで避難するが良い」
蜜鈴は豪楽の首をそっと撫で、
「然りと娘を抱いて駆けよ。何が在ろうと護るのじゃぞ?」
と言うと、豪楽がそれにこたえるように、ぶるりとふるえた。
エダが豪楽に跨る。
「さあ、行くが良い!」
その声に合わせて、豪楽が走り出す。
地面が蹄で叩かれて振動する。
それに、エダの隠れ場所までその索敵範囲を広げつつあったスケルトンも反応した。がしゃがしゃと骨を鳴らしながら、エダと豪楽の去って行く方に走り出すのが見えた。
「骨が肉を喰らいに来よるとは何とも滑稽じゃのう」
蜜鈴がスケルトンの進路を妨害するように立ちふさがり、封印されし魔腕が巻きつけられた手をかざす。
「冷たき女王の腕。伸ばす御手より舞うは氷華。開く花弁に頭を垂れ、奪いし想いに懺悔せよ」
蜜鈴の前方の空気が凍った。
「さぁ、か弱き妾と遊んでおくれ?」
唇が、華やかで残酷な笑みを刻んだ。
氷雪の種が芽吹き、凍える茨が敵を抱きとめた。
「邪魔だ……」
さらに、鈍い光を湛える白刃が敵を貫いた。
それは牙炎による斬撃。円の意識した体さばきから放たれる疾風剣だ。
戦闘中の牙炎の口調は淡々としたものに変わっている。
いま、串刺しにした敵の奥から、牙炎の首めがけて別のスケルトンの剣による攻撃が放たれた。
「──」
それでも顔色一つ変えず、刀で軌道を逸らす牙炎。敵の攻撃は鎖骨を斬り裂いたかに見えたが、出血量は多くない。
事前に蜜鈴が牙炎にアンチボディを施していたので、ダメージが緩和されたのだ。
「ここを通れると思うなよ」
ダメージに怯むことなく、牙炎は刀を構えて、敵に斬りかかる。
●異界へ
「事前の情報ではスケルトンの数は不明……おそらく、異界を対処しなければスケルトンは沸き続ける、ということだろう」
セシアが思案する。
「そうね。エダちゃんのことはあの2人に任せて、私たちは異界に向かいましょう」
ケイがそう言い、セシア、マッシュの3人は川に展開している異界へと向かった。
「皆さん! 娘さんは無事でしたか? そうですか無事ですか! ところで、どうにも敵の数が多くて異界へ突入できないんですよ!」
異界付近にはスケルトンと戦っているルンルンの姿があった。素早い身のこなしのために、無数のスケルトンに囲まれながらも致命傷は避けているが、体には無数の傷がある。
「敵は私が引きつけておきましょう」
マッシュが前へ進み出でた。飛んで来た矢を剣で払う。返す刀で、前方の敵を薙ぎ払った。
「わかったわ」
ケイが弓を構える。
異界からはスケルトンがまた一体出て来た。
「まるで巣穴をつつかれた動物の様……ふふ、実に可愛らしいわ」
普段通りの笑みを湛えて、矢にマテリアルを込めた、連続射撃を放つ。
雨あられと矢が降り注ぎ、スケルトンたちが怯む。
さらに、セシアが弓を装備したスケルトンの密集地帯めがけて、ライトニングボルトを放つ。スケルトンの白骨が雷撃に焼かれて、黒く焦げた。
「畳み掛けます!」
そこへ敵の渦中にいた、ルンルンが、
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル…ルンルン忍法五星花! &戌三全集陣」
五色光陣符を展開する。
まばゆい光にスケルトンが焼き払われ、ようやく、一筋の道が出来た。
「さあ、突入です!」
4人は黒く世界を侵食する穴へと飛び込んだ。
●過去の惨劇
突入すると、血の匂いがした。
「ここは……」
素早くマッシュが周囲を確認する。
どうやら、この異界は帝国のどこかにあった村を再現しているようだった。
だが、繰り広げられる光景はのどかなものではなかった。
そこかしこで悲鳴が聞こえ、人が逃げ惑っている。そんな人間を追い回すのもまた人間で、追う側の彼らは武装しており、かつ粗野な格好をしていた。
「盗賊による略奪の最中……といったところですかな。成る程、多少は面倒なシチュエーションですな」
盗賊たちのあらゆる欲望が吐き出されて、村と人間を蹂躙していた。
「過去か……この過去を繰り返さない為にここにいる、それだけ。私達には、自分自身で未来を選ぶ自由がある……惑わされるものか」
セシアが自らの決意を確かめるように言葉を紡いだ。
所詮異界の中は過去の再現だ。闖入者たるハンターがこの場でなにか行動を起こそうとも、過去を変えることはできない。
「外で見た異界も随分大きかったけど、オブジェクトの方も大きいみたいね」
視線で、ケイが彼方を示した。
そこには黒々と巨大な剣が突き刺さっている。
「近隣住民に迷惑をかける異界とソードオブジェクト、正義のニンジャとしては絶対許しておけないんだからっ! 行きましょう、皆さん!」
再度、ルンルンが先導する。マッシュもその速度に合わせる。
村は混乱しており、突然現れたハンターたちにも盗賊は襲いかかって来た。
それを、マッシュがマジックアローで撃退する。
この世界は幻だ。マッシュは冷徹な頭脳でそれを理解している。だから、村人は排除の対象から外すが、別段助けるようなことはしない。あくまで任務優先だ。
盗賊を払いのけて、ハンターたちはソードオブジェクトのたもとまで来た。
「さて、これを壊せば無事依頼は終了。手早くやりましょう」
マッシュが奏機剣「オルケストラ」にマテリアルを流し込む。ソウルエッジを発動して魔法剣の効果を付与したのだ。
その「オルケストラ」の刀身が赤い炎を纏う。セシアがファイアエンチャントを施したからだ。
だが、ソードオブジェクトに狙いを定めたハンターたちを、敵もまた狙っていた。ハンターたちを囲うように、敵が距離を詰めてくる。
「邪魔モノは一思いに打ちはらいましょう」
マッシュが炎を纏った剣を体の脇に引きつけ、周囲を引き裂くように一気に薙ぎ払った。炎が尾を引いて、斬り付けられた敵をさらに焼き焦がす。
ソーフォオブジェクトにもダメージは与えられているはずだが、消滅の兆しは見せない。
「私もいきますよ……発動モードカゲ! ……今必殺のくびはねるひっと☆です」
ルンルンが御霊符「影装」を発動し、影の式神を纏って、白兵戦闘力を強化。また、術式の持続時間を短縮することで、破壊力を高めていく。
ルンルンの攻撃が、ソードオブジェクトを傷つける。
「なかなか固いですね……なら、壊れるまで殴るだけです!」
「ケイ、エンチャントを!」
セシアがケイにもファイアエンチャントを施した。
「ありがとう。……それじゃ、私はあなたたちの背中を守るとしましょうか」
ケイによって放たれた矢は燃え盛る流星雨となって敵に降りしきる。
敵の盗賊たちも、剣や弓などを装備しており、異界の外にいたスケルトンと装備自体は変わらないようだ。
味方にエンチャントを施し終わったセシアがライトニングボルトで一条、敵を穿った。雷撃の光があたりを鮮烈に照らし出す。その中でも、ソードオブジェクトだけは光を拒むように暗澹と存在していた。
その時、ケイとセシアの背後から金属の軋む音がした。
「遅くなってすまぬの」
空を飛んで来た蜜鈴がソードオブジェクトに雷霆を放ち、攻撃が累積したためにソードオブジェクトに罅が入ったのだ。
蜜鈴はエダを逃した後、浮翼による飛行状態で異界へ向かって来たのだ。スケルトンの弓矢が進路を邪魔したが、蜜鈴は空中にいるため近接武器を持った敵は気にしなくて良いので、荘厳で弓持ちを蹴散らして道をこじ開けたのである。
魔法剣の効果を継続使用し、マッシュが剣を閃かせる。ケイとセシアが群がる敵を掃討したおかげで、ソードオブジェクトへの攻撃に集中できるのだ。
「これで、トドメです!!」
ルンルンが、罅に攻撃を叩き込む。
ついに、軽やかでどこか呆気ない、パキンという音を立てて、ソードオブジェクトは砕けた。
瞬間、世界が反転する。
●脱出とその後
「お、戻って来たか!」
異界から脱出して、すぐに聞こえたのは牙炎の声だった。
虚無が満ちていた場所にはもう、何もない。川辺に満ちていたスケルトンもソードオブジェクト消失とともにタイムラグ無く消えたようだ。
前衛として果敢に戦った牙炎の傷は多い。けれどその顔に悲壮感はない。
「じゃ、村へ戻ろうぜ。あの娘も気になる」
豪楽に乗ったエダと合流し、ハンターたちは村に戻った。
再会した、母と娘が抱き合う。
エダは医者に連れられて、本格的な治療を受けることになった。
「俺、ちょっとこの村に残るよ」
牙炎は仲間にそう言った。
「あんな騒ぎがあった後だと、いろいろ心配だろ? だから、さ」
エダの母親は牙炎を快く自分の家に迎え入れた。
異界は排除され、水汲みに行った娘も無事帰って来た。
こうして、平和が戻って来たのだった。
「これはまた、大きな異界ねえ……ソードオブジェクトなんて派手にやってくれるじゃないの」
ケイ(ka4032)が異界の方を見る。
ここと、ソードオブジェクトが着弾したと思われる川からは距離がある。けれど、膨れ上がった風船のような虚無は遠くからでも十分に視認できた。
「……異界とやらがこの辺りにまで来ようとは、いやはや」
マッシュ・アクラシス(ka0771)もまた呟く。マッシュの言う通り、この辺りはゾンネンシュトラール帝国でもかなり田舎である。都市部とは明らかに生活水準が違うのだ。
ハンターたちは異界へ向けて走っていた。
異界までの道は迷いようがない。なぜなら目標物があまりに巨大だからだ。
だが、今回の問題は別のところにある。
「村人からきいた話だと──」
セシア・クローバー(ka7248)が出発前に村人からききだした情報をまとめて、皆に話した。
●出発の前に
依頼を受けたハンターたちはソードオブジェクトの着弾点近く村へついた。
今回の異界出現騒動に大きな被害はない──たったひとり、娘が行方不明であることを除けば。
彼女の生死は不明だ。朝、水汲みに行った時に、ソードオブジェクト墜落に巻き込まれたらしく、帰ってきていない。青い顔をしたあの婦人こそはその娘の母親である。
今回の依頼には、異界の排除のほか、その娘の捜索も含まれているのだ。
セシアは村人に、山から川岸にかけて見通しの悪い場所をきくことにした。
「負傷して動けない場合身を隠そうとするだろう」
異界からはスケルトンたちが現れているという。もし、娘が生きているのなら、その脅威から身を隠すために動こうとすると推測したからだ。
●君を探して
「──以上が、村人から聞き出した情報だ」
そう、セシアが結んだ。
「オッケー! 私は高い木に登って上から娘さんを探しますから、見晴らしの悪いところは任せますっ!」
ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)がそうこたえる。
「ならば、妾は川上から川下へ向けて捜索するとしよう」
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)も水汲みに行った娘の捜査を優先するつもりだ。
「生きててくれよ……!」
焔 牙炎(ka7342)が願うように呟いた。
川へとたどり着くまでの山に生える木々の背は高い。だが、それ以上に黒々と、異界は存在している。
ルンルンが皆より少し前を走って、先導する。
次第に視界が開けてきた。川岸に近づいた証拠だった。
「良さそうな木、発見! それでは、私は上から娘さんを探します。ジュゲームリリカル……ルンルン忍法どこでも地面!」
ルンルンはグラヴィティブーツ「カルフ」でスキルアシストされた壁歩きで軽やかに木に登って行く。
「では妾たちも捜索を開始しよう」
蜜鈴も川の上流へ向かう。
「具体的な捜索は任せますよ。敵がいれば、私が引き受けますゆえ」
「それは頼もしいのう」
マッシュが言い、蜜鈴が微笑してこたえる。
ハンターたちが散会し、本格的な捜査に移ろうとしていたその時だった。
「ありました! 異界から南に下った川岸に、血痕のようなものがあります!」
上に登って双眼鏡を使っていたルンルンが早速、下にいる仲間に伝えたのだ。
「娘の姿は見えるか!?」
セシアが問いかける。
「それは見えません。でも、流した血の量が多いみたいだから大きな怪我を負っているのかも……!」
「南じゃな、承知した」
「スケルトンたちの群れも徐々に血痕に近づいています! このままだと捜索中に戦闘になる可能性が高いと思います!」
ルンルンは敵の布陣も頭の中に叩き込む。
「娘さんの救助は任せます。私は先に異界へ向かいます!」
ルンルンは登った時と同じように、木からするすると降りてきて、異界へ向けて走り出した。
「私たちは南の方へ!」
セシアたちはルンルンの示した方へ駆けて行く。
●倒れた草の道
「森の中の捜索か……。トラッキング……は、妹の捜索で使用している」
セシアが草をかき分けながら言う。
(あいつはそこらで昼寝して帰ってこないからだが……)
今回の行方不明の娘はきっと帰りたくても帰れない状況だ。
(何としても探し出さなくてはな)
行く手の草をかき分けた時、近くの樹木の陰に気配を感じた。
その樹木の周囲を見れば、倒れた草がある。
「そこに、誰かいるのか?」
セシアが呼びかけた。
そして、
「ぁ……、もしかして、助けに来てくれたんですか……?」
弱々しいが、確かに樹木の陰から、こたえる娘の声が聞こえた。
急いでその影を確認すると、そこには、
「あの、足を怪我してしまって動けないんです……」
出血と恐怖のために真っ青な顔をした娘が木に体を預けていた。
「もう、大丈夫だ」
セシアは膝をついて、娘と同じ目線になる。
「私はハンターのセシア。きみを助けに来たんだ。名前を教えてくれないか」
「エダです」
「そうか。エダ、よく頑張った。凄いじゃないか。お前はえらい」
そう言って、セシアはエダの頭をそっと撫でた。
その手の温もりに、やっとエダは安心したのであろう。瞳から安堵のための涙が一筋流れた。
「すぐに仲間を呼ぼう」
セシアは魔導パイロットインカムで仲間に連絡した。
●蹄の音
「応急処置は済んだ。安心して良いぞ」
セシアの連絡で駆けつけた蜜鈴がアンチボディでエダの傷を癒した。出血も収まり、顔色もだいぶ良くなっている。
「エダよ、馬には乗れるか?」
「何度か乗ったことがあります」
「そうか。なら問題なかろう」
蜜鈴は共に行動していた馬、豪楽をエダに示す。
「この先は戦場となる。エダはこの豪楽に乗って安全な場所まで避難するが良い」
蜜鈴は豪楽の首をそっと撫で、
「然りと娘を抱いて駆けよ。何が在ろうと護るのじゃぞ?」
と言うと、豪楽がそれにこたえるように、ぶるりとふるえた。
エダが豪楽に跨る。
「さあ、行くが良い!」
その声に合わせて、豪楽が走り出す。
地面が蹄で叩かれて振動する。
それに、エダの隠れ場所までその索敵範囲を広げつつあったスケルトンも反応した。がしゃがしゃと骨を鳴らしながら、エダと豪楽の去って行く方に走り出すのが見えた。
「骨が肉を喰らいに来よるとは何とも滑稽じゃのう」
蜜鈴がスケルトンの進路を妨害するように立ちふさがり、封印されし魔腕が巻きつけられた手をかざす。
「冷たき女王の腕。伸ばす御手より舞うは氷華。開く花弁に頭を垂れ、奪いし想いに懺悔せよ」
蜜鈴の前方の空気が凍った。
「さぁ、か弱き妾と遊んでおくれ?」
唇が、華やかで残酷な笑みを刻んだ。
氷雪の種が芽吹き、凍える茨が敵を抱きとめた。
「邪魔だ……」
さらに、鈍い光を湛える白刃が敵を貫いた。
それは牙炎による斬撃。円の意識した体さばきから放たれる疾風剣だ。
戦闘中の牙炎の口調は淡々としたものに変わっている。
いま、串刺しにした敵の奥から、牙炎の首めがけて別のスケルトンの剣による攻撃が放たれた。
「──」
それでも顔色一つ変えず、刀で軌道を逸らす牙炎。敵の攻撃は鎖骨を斬り裂いたかに見えたが、出血量は多くない。
事前に蜜鈴が牙炎にアンチボディを施していたので、ダメージが緩和されたのだ。
「ここを通れると思うなよ」
ダメージに怯むことなく、牙炎は刀を構えて、敵に斬りかかる。
●異界へ
「事前の情報ではスケルトンの数は不明……おそらく、異界を対処しなければスケルトンは沸き続ける、ということだろう」
セシアが思案する。
「そうね。エダちゃんのことはあの2人に任せて、私たちは異界に向かいましょう」
ケイがそう言い、セシア、マッシュの3人は川に展開している異界へと向かった。
「皆さん! 娘さんは無事でしたか? そうですか無事ですか! ところで、どうにも敵の数が多くて異界へ突入できないんですよ!」
異界付近にはスケルトンと戦っているルンルンの姿があった。素早い身のこなしのために、無数のスケルトンに囲まれながらも致命傷は避けているが、体には無数の傷がある。
「敵は私が引きつけておきましょう」
マッシュが前へ進み出でた。飛んで来た矢を剣で払う。返す刀で、前方の敵を薙ぎ払った。
「わかったわ」
ケイが弓を構える。
異界からはスケルトンがまた一体出て来た。
「まるで巣穴をつつかれた動物の様……ふふ、実に可愛らしいわ」
普段通りの笑みを湛えて、矢にマテリアルを込めた、連続射撃を放つ。
雨あられと矢が降り注ぎ、スケルトンたちが怯む。
さらに、セシアが弓を装備したスケルトンの密集地帯めがけて、ライトニングボルトを放つ。スケルトンの白骨が雷撃に焼かれて、黒く焦げた。
「畳み掛けます!」
そこへ敵の渦中にいた、ルンルンが、
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル…ルンルン忍法五星花! &戌三全集陣」
五色光陣符を展開する。
まばゆい光にスケルトンが焼き払われ、ようやく、一筋の道が出来た。
「さあ、突入です!」
4人は黒く世界を侵食する穴へと飛び込んだ。
●過去の惨劇
突入すると、血の匂いがした。
「ここは……」
素早くマッシュが周囲を確認する。
どうやら、この異界は帝国のどこかにあった村を再現しているようだった。
だが、繰り広げられる光景はのどかなものではなかった。
そこかしこで悲鳴が聞こえ、人が逃げ惑っている。そんな人間を追い回すのもまた人間で、追う側の彼らは武装しており、かつ粗野な格好をしていた。
「盗賊による略奪の最中……といったところですかな。成る程、多少は面倒なシチュエーションですな」
盗賊たちのあらゆる欲望が吐き出されて、村と人間を蹂躙していた。
「過去か……この過去を繰り返さない為にここにいる、それだけ。私達には、自分自身で未来を選ぶ自由がある……惑わされるものか」
セシアが自らの決意を確かめるように言葉を紡いだ。
所詮異界の中は過去の再現だ。闖入者たるハンターがこの場でなにか行動を起こそうとも、過去を変えることはできない。
「外で見た異界も随分大きかったけど、オブジェクトの方も大きいみたいね」
視線で、ケイが彼方を示した。
そこには黒々と巨大な剣が突き刺さっている。
「近隣住民に迷惑をかける異界とソードオブジェクト、正義のニンジャとしては絶対許しておけないんだからっ! 行きましょう、皆さん!」
再度、ルンルンが先導する。マッシュもその速度に合わせる。
村は混乱しており、突然現れたハンターたちにも盗賊は襲いかかって来た。
それを、マッシュがマジックアローで撃退する。
この世界は幻だ。マッシュは冷徹な頭脳でそれを理解している。だから、村人は排除の対象から外すが、別段助けるようなことはしない。あくまで任務優先だ。
盗賊を払いのけて、ハンターたちはソードオブジェクトのたもとまで来た。
「さて、これを壊せば無事依頼は終了。手早くやりましょう」
マッシュが奏機剣「オルケストラ」にマテリアルを流し込む。ソウルエッジを発動して魔法剣の効果を付与したのだ。
その「オルケストラ」の刀身が赤い炎を纏う。セシアがファイアエンチャントを施したからだ。
だが、ソードオブジェクトに狙いを定めたハンターたちを、敵もまた狙っていた。ハンターたちを囲うように、敵が距離を詰めてくる。
「邪魔モノは一思いに打ちはらいましょう」
マッシュが炎を纏った剣を体の脇に引きつけ、周囲を引き裂くように一気に薙ぎ払った。炎が尾を引いて、斬り付けられた敵をさらに焼き焦がす。
ソーフォオブジェクトにもダメージは与えられているはずだが、消滅の兆しは見せない。
「私もいきますよ……発動モードカゲ! ……今必殺のくびはねるひっと☆です」
ルンルンが御霊符「影装」を発動し、影の式神を纏って、白兵戦闘力を強化。また、術式の持続時間を短縮することで、破壊力を高めていく。
ルンルンの攻撃が、ソードオブジェクトを傷つける。
「なかなか固いですね……なら、壊れるまで殴るだけです!」
「ケイ、エンチャントを!」
セシアがケイにもファイアエンチャントを施した。
「ありがとう。……それじゃ、私はあなたたちの背中を守るとしましょうか」
ケイによって放たれた矢は燃え盛る流星雨となって敵に降りしきる。
敵の盗賊たちも、剣や弓などを装備しており、異界の外にいたスケルトンと装備自体は変わらないようだ。
味方にエンチャントを施し終わったセシアがライトニングボルトで一条、敵を穿った。雷撃の光があたりを鮮烈に照らし出す。その中でも、ソードオブジェクトだけは光を拒むように暗澹と存在していた。
その時、ケイとセシアの背後から金属の軋む音がした。
「遅くなってすまぬの」
空を飛んで来た蜜鈴がソードオブジェクトに雷霆を放ち、攻撃が累積したためにソードオブジェクトに罅が入ったのだ。
蜜鈴はエダを逃した後、浮翼による飛行状態で異界へ向かって来たのだ。スケルトンの弓矢が進路を邪魔したが、蜜鈴は空中にいるため近接武器を持った敵は気にしなくて良いので、荘厳で弓持ちを蹴散らして道をこじ開けたのである。
魔法剣の効果を継続使用し、マッシュが剣を閃かせる。ケイとセシアが群がる敵を掃討したおかげで、ソードオブジェクトへの攻撃に集中できるのだ。
「これで、トドメです!!」
ルンルンが、罅に攻撃を叩き込む。
ついに、軽やかでどこか呆気ない、パキンという音を立てて、ソードオブジェクトは砕けた。
瞬間、世界が反転する。
●脱出とその後
「お、戻って来たか!」
異界から脱出して、すぐに聞こえたのは牙炎の声だった。
虚無が満ちていた場所にはもう、何もない。川辺に満ちていたスケルトンもソードオブジェクト消失とともにタイムラグ無く消えたようだ。
前衛として果敢に戦った牙炎の傷は多い。けれどその顔に悲壮感はない。
「じゃ、村へ戻ろうぜ。あの娘も気になる」
豪楽に乗ったエダと合流し、ハンターたちは村に戻った。
再会した、母と娘が抱き合う。
エダは医者に連れられて、本格的な治療を受けることになった。
「俺、ちょっとこの村に残るよ」
牙炎は仲間にそう言った。
「あんな騒ぎがあった後だと、いろいろ心配だろ? だから、さ」
エダの母親は牙炎を快く自分の家に迎え入れた。
異界は排除され、水汲みに行った娘も無事帰って来た。
こうして、平和が戻って来たのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 9人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓【異界掃除と迷子探し】 蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009) エルフ|22才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/11/21 18:27:32 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/19 23:49:03 |