• 東幕

【東幕】事を慎重にするから成功もし

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/11/28 19:00
完成日
2018/12/01 20:03

みんなの思い出

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オープニング

「ひひひっ」
 山の奥にある廃村で、老人が一人笑っている。
 暗く澱んだ空気。
 その中で引きつった笑い。
 明らかに普通ではない。
 負のマテリアルを放ちながら、老人は恨み妬み嫉みを撒き散らす。
「争え。戦え。そして、皆……朽ち果てろ」
 老人は狂気にも似た笑みを浮かべていた。


 詩天の水野 武徳(kz0196)が覆面の集団に襲撃された事件から、少しばかりの時間が経過した。
 武徳はハンターに守られて無事だったものの、問題は襲撃だけに留まらなかった。
 襲撃犯の中に泰山の武僧が紛れていたのだ。
 泰山龍鳴寺。
 東方でも保守的な地域であり、幕府の庇護下にある寺院だ。外部との接触を断ち、独自の文化を育んできたが、共和制導入の噂によりこの庇護が揺らぎつつある。この流れで泰山の武僧の中にも共和制を危惧する者が現れて賛成派の武徳を狙ったと考えられる。
 だが、事態はかなり深刻だ。
 言い換えれば、隣国の出身者が同等と軍師を襲撃したのだ。下手をすれば国家間の戦争を招きかねない。
「致し方在るまいな」
 三条家軍師である武徳はこの事態を放置する事はできない。
 早々に兵をまとめ上げ、泰山へ兵を進める。
 何艘もの船で海を渡り、泰山へ上陸。一気に豊明山へと攻め上がる。ここまで一気に攻め上がれたのは泰山側が籠城を決め込んだ為だろう。
 詩天側も狭い山道に大軍で押し寄せるリスクを考え、豊明山の入り口に陣を張る事となった。
「時間をかければ、幕府が動き出す事になる……分かるな」
 本陣にて武徳は一人の足軽へ話し掛ける。
 詩天の動きは既に幕府も知る所だろう。この為、ここで時間をかければ幕府からの援軍が押し寄せる。それだけではない。詩天にも幕府の部隊が押し寄せる事が予想される。共和制を迎える前に詩天が幕府直轄とされる恐れもある。
 武徳には分かる。
 それが――敵の狙いだと。
「心得ております」
 足軽は顔を上げる。
 それは泰山龍鳴寺の武僧、許文冠であった。
 文冠は言葉を続ける。
「僧正様は武徳殿にお詫びされておりました。この度は申し訳なかったと」
「あのジジイの差し金でない事はすぐに分かったわ。だが、裏で糸を引いておる奴がいると分かってな。一芝居打たせてもらったまでよ」
 実は、今回の出兵は武徳襲撃を画策した者を炙り出す狙いがあった。
 武徳は秘密裏に泰山龍鳴寺へ手紙を送り、事情を説明。軍を攻め上げるが、決して龍鳴寺から出ないように厳命していたのだ。連絡役に文冠を選び、僧正と結託しての大芝居だ。
「大規模な戦をするなら、この場所しかない。
 文冠、この場所が見晴らせる場所はあるか?」
「確か豊明山にある廃村がよく見渡せたと記憶しております」
「敵はそこだな。おそらくわしらの戦いを見物するはずじゃ。文冠は東へ赴いて幕府へ知らせて来い。本当に幕府が動かれてはかなわんからな」
「承知致しました。武徳殿はどうされますか?」
「わしがここを動いたら芝居とバレてしまうからな。やはりハンターに動いて貰う他あるまいな」
 こうして集められたハンターが豊明山の廃村を目指して動き出す。
 事件の裏にいる黒幕を狙って――。


「まだか、まだか……まだか」
 豊明山の廃村で老人は体を震わせる。
 袈裟に身を包みながら、決して尊さは感じられない。
 あるのは、人ならざる者のオーラのみ。
 老人の目は麓に釘付けだ。
 もうすぐ麓で泰山と詩天が衝突する。
 そこへ幕府が雪崩れ込んでくれば、多くの血が流れるはず。
 共和制でも連邦制でも君主制でも関係ない。
 人が滅べばそれで良いのだ。
「そう思うだろう? 諸君」
 老人は振り返る。
 そこには術で操った侍や武僧が立ち尽くしていた。

リプレイ本文

 泰山の豊明山にある廃村に、夜の闇が近づいていた。
 灯される松明。
 まだ視界は明るいが、ここも間もなく静かな夜が訪れる――はずだった。
 廃村にいるのは多くの大人達。
 近隣に住む侍や泰山の武僧が、何故かこの地に集結していた。
 殺気立つ彼らの間を縫うように、ゾファル・G・初火(ka4407)は一人で村の中へと進んでいく。
「おい」
 ゾファルの背後から一人の侍が声をかけた。
 振り返るゾファル。
 そこには明らかに敵意を見せる侍の姿があった。
「何の用じゃん?」
「貴様、何者だ。ここは東方の今を憂う者達が集う場所だ。怪しい者なら容赦はせん」
 ――怪しい者。
 その一言にゾファルは笑いを堪える。
 ゾファルからすれば、豊明山の麓で詩天と泰山の両軍が激突するか、という状況を前に廃村に集まっている侍達の方が怪しい。
 だが、ここにいる侍や武僧は『操られている』可能性が高い。
 本来なら、もっと村の奥で暴れたい所だが――ちょうどいい。
 先日、水野 武徳(kz0196)の護衛をしてから、武徳にくっついていれば喧嘩に事書かないと気付いたゾファル。すっかり武徳の屋敷に入り浸って、戦いの機会を窺っていた。
 その甲斐は、あった。
 ゾファルの拳は、獲物を求める獣のようにうずき始める。
「怪しいねぇ。こんな所で遊んでいる方が怪しいじゃん?」
「なんだと!?」
 侍は腰の刀に手を掛ける。
 だが、それよりも早くゾファルの蒼機拳「ドラセナ」が侍の鳩尾に食い込んだ。
「……ぐはっ!」
 呼吸が強制的に止められる。
 それは侍にとって悶絶する以外の方法が見当たらない。
「あらら、がっかりじゃん。この程度の一撃でダウンするなら、東方の未来なんて担えるはずないじゃん」
「貴様っ!」
 ゾファルの周囲にいた侍達が一斉に刀を抜いた。
 一瞬にして空気が張り詰める。
 この空気を存分に味わう。
 多数の者がゾファルに投げかける殺気。
 戦場とは異なる命の取り合い。
 死線を彷徨うゾファルにとって、こここそが生を実感できる瞬間だ。
「それそれ。それが欲しかったじゃん。歪虚に操られる程度の連中かと思ってたけど、ちょっとは楽しめそうじゃん」
 ゾファルは周囲を一瞥しながら、拳を握り締めた。


「ここまでは計画通り上手く言っているな。後は……それだけ早く『奴を』仕留められるかだ」
 ロニ・カルディス(ka0551)は廃村の家屋に隠れながら村の奥へ進んでいた。
 ハンター達の狙いはゾファルを囮とした上で、今回詩天と泰山を武力衝突させようとした老僧を包囲。囮のゾファルの他に戦力を分散して、徐々に包囲網を縮めていく作戦だ。
「短期決戦を目指したのはいいが、囮が本当に大暴れだな」
 物陰からそっとゾファルの姿を見る。
 既に多数の侍がゾファルに襲い掛かっているが、ゾファルの闇狩人としての力量には太刀打ちできない。瞬く間に殴り飛ばされていく。
 おかげでロニも廃屋から廃屋への移動はスムーズだ。
 しかし、そんなロニにも懸念点はある。
「老僧は……詩天と泰山の戦闘を見物するつもりなら、村の奥か。だが……」
 ロニが抱いた懸念。
 それは、老僧が後方の騒ぎにいつ気付くかだ。
 現在もロニは老僧の逃げ場を封じるように隠れて移動しているが、その逃げ場を封じる前に騒ぎに気付けば逃走を図る可能性もある。
 できるのであれば、このまま発見せずに先を急ぎたいのだが――。
「おい、そこで何をしている」
 廃屋の影に身を潜めていたロニの背後から、侍が声をかける。
(そう甘くはない、か。だが、廃村の深くまで移動はできたか)
 老僧は、かなりの数の侍と武僧を配置している。
 それでも廃村の奥まで進めたのはゾファルの囮による影響が大きい。
 ここまでくれば、老僧の退路を断つまでもう少し。
 予定が早まったのであれば、やるべき事は一つだ。
「悪いが、道を通してもらう」
 ロニは侍が刀を抜くよりも早く、プルガトリオを放った。
 魔法による闇の刃が侍を串刺し。貫かれた侍は、その場から身動きを取れなくなった。
「うおっ! なんだ? 動けない!」
 藻掻く侍だったが、空間に縫い付けられたように体を動かせない。
 ロニは動けない侍を残して先を急ぐ。
 包囲網が完成するまで、あと少し――。
 ロニは別方向を進むハンターへ連絡を取る為に、魔導スマートフォンでコンタクトを試みる。


「はい……はい……こちらも、もう少しです」
 穂積 智里(ka6819)は、魔導スマートフォンでロニへ移動状況を説明している。
 智里はハンス・ラインフェルト(ka6750)と共に別方向から老僧へと近づいていた。
 既にロニは交戦状態に入っているが、ハンス達は何とか侍達に発見されずに廃村の奥まで進む事ができた。
「想定よりも敵が多いですね。ゾファルさん一人で問題はないのでしょうが、力押しで三方向から進んでも良かったかもしれませんね」
 ハンスも正直、ゾファルに近い感覚を持っていた。
 このまま一気に聖罰刃「ターミナー・レイ」を振るってしまえば、楽だったのだろうか。
 武徳の関係者がこの場にいても困る為、斬る事はできないが、昏倒させるだけならばどうとでもなる。見たところ、覚醒者はいてもハンスやゾファルよりも腕は下。簡単に負ける事はないはずだ。
 だが、智里はハンスに釘を刺す。
「駄目ですよ。目標はあくまでも老僧と呼ばれる歪虚なんですから」
 智里は小声でハンスに囁く。
 あくまでも狙うは、老僧一人。
 あの老僧は何かを情報を持っている。それに迫る為には、隠密行動で確実に退路を断つことが重要なのだ。
「確かに私達がいなければ、あの時の水野様の襲撃は成功していたかもしれません。でも、襲撃にわざわざ泰山の武僧を使った理由が気になります。誰かが生き残れば泰山との戦争が始まると誰だって想像できます。それを隠さなかった理由は、泰山に正義があると知らしめる為ではなかったと思います」
「私のマウジーはとても賢いですね」
 智里の推論に、ハンスは満足そうだ。
 聡明な智里。それを見るだけでハンスは幸せさを噛み締めたくなる。
 だが、智里は気恥ずかしかったようだ。
「なっ!?」
「照れなくても良いですよ。
 それより、その疑問はあの老僧に聞くまでもないですよ。あの老僧の考えはもっと単純です。詩天と泰山を戦争させる事。一度上がった火の手は燃え上がり、幕府と朝廷の戦いへ発展する。水野様も同じ意見のようですよ」
 ハンスが仕入れた話は、智里が考えるよりも単純なものだった。
 正義も悪もない。老僧は戦火を広げ、やがて幕府と朝廷の争いにする。共和制の賛否などどうでも良い。どちらも戦って共倒れしてくれればいい。
 実に歪虚らしい発想だ。
「そういえば、水野様も自分が狙われたのは真美様よりも戦に躊躇がないと考えたからじゃないかって言ってたわ。襲うなら真美様が良いけど、ガードが堅い。それよりも水野様を襲って手っ取り早く戦争を広げた方が簡単だわ」
 歴史からみれば、大きな戦いの発展は案外小さいものだ。
 ほんの小さな火種が、大火事へと発展する。
 その小さな火種を、老僧は侍や武僧を操って演出しようとしていた。
 少なくとも武徳はそう考えているようだ。
「やっぱり裏にいるのかしら」
「ああ、彼ですね」
 智里が言った言葉を、ハンスはすぐに察した。
 このようなやり方、思い当たる節がある。
 かつてこの東方で浪人を契約者として騒乱を引き起こした歪虚――ブラッドリー(kz0252)。
 果たしてあの老僧がブラッドリーと何らかの関わりがあるのか。
 智里は、この事件に潜む裏へ踏み込もうとしていた。


「ほらほら! もっと来るじゃん!」
 奥技「エアーマンは倒せない」で無数の竜巻の幻影を引き起こしながら、廃村の奥へ突き進むゾファル。
 相手の動きを封じつつ、確実に老僧へと近づく。
 途中でスーパーオラツキモードで挑発して、可能な限り侍や武僧の目を惹いていく。
 その間にもゾファルは突き付けられた刀を弾き、武僧の拳を回避して自らの拳で殴り飛ばす。隙があれば襲ってくる者達を確実に惹き飛ばす。
「来ないなら、こっちから行くじゃん!」
 侍達もゾファルを止めようとするが、力量の差が激しすぎる。
 多少手傷を負わせる事はできるが、その何倍ものダメージを侍達は受ける事になる。
 暴風とも言える勢いを侍達では止める事ができない。
 そして、その状況はゾファルだけではない。
「どこだ! 男は何処へ消えた!?」
 集まってきた侍を前に、ロニはディヴァインウィルを展開。
 多数の侍を相手にする事無く、不可視の境界を作り上げて老僧へと迫る。
(こちら側の退路は断てたか。あとは仲間がうまく動ければ……)
 ロニは当初の目的を果たした。
 老僧の逃げ場の一つを押さえる事ができた。
 あとは他のハンター達が確実に逃げ場を封じられれば、老僧の動きを止める事ができる。
「な、何事じゃ!?」
 後方が大騒ぎになっている事に、今更気付く老僧。
 振り返れば多数の侍達を薙ぎ払いながら老僧へと近づいていくゾファルの姿があった。
 危険を察知したのだろう。周囲にいた侍達に合図を送って呼び込もうとするが、それよりも早くゾファルは老僧の元へ辿り着く。
「おい爺、あんたのせこい計画ぁお見通しじゃん。今から殴りに行くから覚悟しな」
 老僧に迫るゾファル。
 啖呵を切って老僧を牽制するゾファル。
 老僧の目から見てもゾファルを止められないと判断したのだろう。やや慌てた風で別の方向へ逃れようと移動を開始する。
 ――だが。
「ここは通行止めだ」
 行く手を阻んだのはロニだった。
 ゾファルを後方から支援しながら、タイミングを合わせて老僧の退路を断つ。予定通りのタイミングだ。
 ロニの登場に老僧は慌てて踵を返す。
 しかし、反対の道は既にハンスと智里が立ちはだかる。
「お待たせしました。墓碑に刻むにも名前が必要。お名前を伺っても?」
 ハンスは聖罰刃「ターミナー・レイ」を抜いた。
 ここまで隠密活動で発見した侍や武僧を受け流しや心眼を使って昏倒させるだけに留めていた。
 しかし、ここまで来たならば相手は老僧。容赦する必要は無い。
 ハンスは刃を老僧へと向ける。
 囲まれた老僧。最早、逃げ場は完全に失っていた。
「……くっ。わしに名などないわ。わしは戦火の火種を生む為に生き残ったにすぎん。この国に大きな戦争を引き起こす事がすべてよ」
「教えて下さい。貴方が誰に唆されて歪虚になったのか、どうしてこんな事をしようとしたのか知りたいです」
 智里は老僧へ問いかける。
 智里の予想では老僧の背後にブラッドリーがいると睨んでいる。
 だが、その予想は覆される事になる。
「唆されて? それが違う。わしは自らで動いたに過ぎん。強いていえば……別の方を支援する為よ」
「それはブラッドリーですか?」
「ん? そんな奴ではないわ! あやつは終末がどうとか言って東方から消えてしまったわ」
「じゃあ、水野様を狙うように指示された訳では……」
「違う。わしの考えよ。あの男を狙えば、確実に戦火は広がる。動き出せば、計画的にかつ計略的に他国へ進軍するはずじゃ」
 不敵な笑みを浮かべる老僧。
 その企みが既に看破されている事を未だに気付いていないようだ。
「哀れ、ですね」
 ロニの一言に老僧は眉をひそめる。
「なに?」
「あなたの企みは既に水野様に露見しています。泰山と裏で連絡を取って軍まで動かし、黒幕のあなたを誘き出す為です」
 ハンスは切っ先を老僧へと向ける。
 老僧は一瞬、衝撃を受けたような顔を浮かべる。
「馬鹿な」
「私達をここまで遣わせたのは、水野様です。
 しかし、やっている事は結局ブラッドリーの二番煎じ……いえ、出来の悪い複製でしょうか。
 どちらにしろ、滅ぼす事には変わりありませんが、ねッ」
 ハンスは一歩前に出る。
 円を意識した体捌きでターミナー・レイを振るう。
 それに対して老僧は臆しながらも叫ぶ。
「み、皆! わしを守れ! この者等は共和制を推進する者達じゃ!」
 その呼び掛けに答えるように、侍達が駆けつける。
 この期に及んで、まだ他者を頼る不自然さ。
 ゾファルも違和感を抱いたようだ。
「なんだよ。まだ助けを呼ぶつもりじゃん?」
「いえ。このタイミングで呼ぶという事は、おそらく他に術を持っていないのでしょう」
 老僧の不自然な行動にロニが気付いた。
 つまり、老僧自身には戦闘するスキルが一切ない。
 ハンター達の包囲網を突破する能力を持ち合わせていないとみるべきだ。
「くっ、そこまでバレてしまうとは」
「はぁ、黒幕がこれとは……正直、がっかりじゃん」
 ゾファルは落胆しながら、振り返る。
 集まった侍達を撃退する為だ。
 そして、ロニはゾファルを後方から支援する。
 集まる侍達に向けてプルガトリオ。闇の刃で侍達の動きを止める。
「侍達はこちらで引き受ける。老僧は任せた」
「は、はい!」
 智里は老僧と侍達が分断されたチャンスを受け、デルタレイを放つ。
 光が老僧へ向けられる瞬間、老僧は思わず怯えるようにしゃがみ込んだ。
「ひ、ひぃぃぃ!」
 しかし、しゃがみ込んだ所でデルタレイを回避できる訳ではない。
 あっさりと光に貫かれる老僧。
「おや、本当に人を操る以外の術はないのですね。ですが、水野様を狙った所業。許す訳にはいきません。このまま消えていただきますよ……名も無き老僧さん」
 ハンスの一刀。
 袈裟斬りが老僧の体を捉える。
 ハンスと智里の二人による連撃が、老僧を葬るのに時間はそうかからなかった。


「見事じゃ、ハンター」
 黒幕撃破の一方に武徳はご満悦の様子だ。
 操られた侍達も身柄は拘束。時間が経過すれば術は解けるらしい。
「あの老僧に企てはこれで潰えました。しかし……」
「分かっておる。あの者が協力していた者がいるのであろう」
 ロニの言葉に武徳は頷いた。
 そして、その相手は今幕府の方を騒がせている者と考えていた。
 幕府が戦っている間に詩天と泰山が衝突していれば、戦を止める者がいない状況。そう老僧が考えていたならば、協力相手は幕府が今相手にしている歪虚という事になる。
「なんでもいいじゃん。次の相手はそいつらじゃん」
 ゾファルは存分に侍を相手にできて満足そうだ。
 次なる戦場でも思い切り力を振るうつもりのようだ。
「水野様」
「この事件は……」
 ハンスと智里は武徳に声をかける。
 この一件は共和制を巡る騒乱に見えるが、歪虚が暗躍する絶好の機会でもある。
「分かっておる。何とかせねばな」
 ハンター達の前で、水野はそう言葉を返した。

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MVP一覧

  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火ka4407

重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン レッツ相談卓
ゾファル・G・初火(ka4407
人間(リアルブルー)|16才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/11/28 14:59:36
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/11/27 00:30:33