新米料理人のお料理紀行:巨大牛のステーキ

マスター:鷹春

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
7日
締切
2018/12/08 19:00
完成日
2018/12/20 13:58

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「ど、どどどど、どうされたんですか店長ぉ!!? そのっその腕ぇ!!!」
 秋の風が吹き抜ける港町の一角にある料理店に、劈くような大声が響いた。
「~~~っ! 耳元で叫ぶんじゃないってあれほど言ってるだろう!」
 三角巾で右腕を吊っている店長と呼ばれた男はウルサイと言わんばかりに片手で耳をおさえた。
「……牛を狩りにいってたんだよ。毎年この港町では巨大牛のステーキを感謝祭に振る舞うことになってるんだ」
 店長の話では、いつもは知り合いのハンターに狩りを頼んでいたのだが、そのハンターは今別の仕事でこの地域を離れており依頼が出来なかったのだという。
 自身も覚醒者であるため、巨大牛程度なら自分でも狩れるだろうと思っていたが思いの外手強く、不意を突つかれ右手に怪我をしてしまったそうだ。
「で、でもどうしましょう……きっとみなさん店長の料理楽しみにしていますよ……?」
「そのことなんだが……コシネーロ、今回はお前に任せようと思ってる」
 コシネーロと呼ばれたドワーフの女性は、その言葉に耳を疑った。
「えっ、えええ!? う、ウチがですか!? い、いいんですか!?」
 彼女が驚いているのも無理はない。コシネーロは半年ほど前にこの店に修行にきた新米料理人で、レシピの提案や簡単な調理などは許されていたが、殆どが店長のサポートで自分が表立って調理場に立ったことは無かったのだ。
「いいも何も、客を満足できるステーキを作れるのはこの港町では俺かお前くらいのものだ。それに、そろそろ一人前の料理人としてデビューしてもいい頃合いだったしな」
「で、ででででもウチ、店長みたいに腕っぷしが強いわけじゃないから巨大牛なんて倒せませんよお!」
「何いってんだ、誰がそこからやれって言った? お前は調理のことだけ考えてればいい」
 そう言うと店長は立ち上がりおもむろに身支度を始めた。
「調理のことだけにって……って店長ぉ! そんな怪我で何処に行かれるんですか!!」
 慌てて引き留めようとするコシネーロに店主はキョトンとした表情をしたあと、ふっと笑ってみせた。
「餅は餅屋って言うだろう?」


「ふあ、ああ~~……みんな~~、依頼が入ったよ~」
 だらしない格好をしたギルド職員が大きなあくびをこぼしながら、ハンターたちの元を訪れた。
 手元に持った資料をペラペラと捲りながら片手にもったペンの裏で頭をかきつつ依頼内容を話し始める。
「内容は、巨大牛の討伐! でもただの討伐じゃないよ、食肉として提供されるものだ。だから倒すときには細心の注意を払う必要があるから今から言うことをちゃーんと頭に置いておくようにね。」
 職員の話ではその巨大牛は非常に気性が荒く、自分の縄張りに近づいてくるものに突撃してくる性質をもっているらしい。
 特に赤い服などを身につけているものには無条件で攻撃を加えてくるそうだ。
 体が大きいぶん小回りは聞かないが、まともに攻撃を受ければ無事ではすまないだろうと彼は話す。
「あと、大切なことが一つだけ。その牛の肉はとても柔らかな肉質が特徴なんだけど、体に深い傷を負うと肉が硬くなってとても食べられたものじゃあなくなってしまうんだ。それを念頭に置いて仕留めてきてね!」
 お土産楽しみにしてるよとのんきに笑う職員に見送られ、ハンターたちは巨大牛の草原へと出発するのであった。

リプレイ本文


 指定された草原へとやってきたハンター一行。天気は良好、絶好の狩り日和だ。
「最近ヴォイドと戦ってばっかりだからこういう精密さを求められるすげぇ仕事自信ない……」
 そうボヤくキヅカ・リク(ka0038)にレイア・アローネ(ka4082)は気遣うように声をかける。
「なに、私達も居るから問題は無いだろう。そう心配するな」
 キヅカから目線を外し前に向き直ると、レイアは先行して辺りを見回している夢路 まよい(ka1328)に声をかける。
「まよい! 見つかったか?」
「うーん、きっとこの辺りに……あっいたわよ、おっきな牛!」
まよいが指さした先には我が物顔で草原を歩く巨大牛の姿があった。
「あの牛がステーキになるのね。どんな味がするんだろう? 私も食べてみたいわぁ~」
 味の想像をふくらませるまよいに、レイアも賛同するように頷く。
「私も肉には目がなくてね、倒せたあかつきにはご相伴に預かりたいものだ」
「よーし、ステーキのために頑張るか! うん、いくぞ!」


「おーい! こっちだぞー! こっち向けー!」
 キヅカは大きな岩を背にしつつ、剣で盾をバンバンと打ち鳴らして牛の注意を引きつける作戦をとった。
 思惑通りキヅカの出す音に気がついた巨大牛は音の鳴る方に顔を向け、威嚇するように鼻を鳴らし始めた。
「よし、こっちを向いたぞ。レイア!」
「任せろ!」
 レイアはキヅカと共に、3mはあろう巨大な牛を煽るように、目標の目の前で駆け回ったり盾を打ち鳴らした。
 煩く駆け回る2人に我慢がならなくなった雄牛は、足で地面をこすり始めた。突進の合図だ!
「来るぞ!」
「ああ、わかってる!」
 2人は瞬時に回避出来るようにと身をかがめる。
「ンモオオオオオォォォーーーーーーーッッ!!!!!!」
 巨大牛は雄叫びを上げながらレイアとキヅカに向かって突進してきた!
 距離とタイミングを見誤れば大ダメージは避けられないだろう。だが彼らにはもうひとりの仲間がいるのだ。
「今だよ!」
 上空で回避のタイミングを見計らっていたまよいの掛け声で、レイアは足にマテリアルを集中させ、瞬時に岩の後ろへと回り込み、キヅカはジェットブーツで宙へと舞い上がった。
 目標を失った巨大牛は急ブレーキを掛けようとするが間に合わず、勢いよく巨岩にぶつかってしまった。
「ンンモォォォォ………」
 岩にぶつかった衝撃でヨタヨタと体をふらつかせる巨大牛。
「よし、効いてるようだな!」
「これを繰り返していけば角も脆くなって壊しやすくなってくれるだろう」


「今度は私がいくわ」
 体制を立て直した巨大な雄牛を、今度はまよいが注意をひきつける。
「私に付いてこられるかしら?」
 まよいは二人と同じように対象の周りをうろちょろと飛び回り、巨大の怒りのボルテージが上がった所を見計らい、まよいはちょうど直線状に岩が来る場所へと移動し、突進を誘うようにピタリと動きを止めた。
 足を2回ほど地面に擦り付けたところでまよいは巨岩に向かって全速飛行を開始する。と、同時に雄牛もまよいを追うように頭を屈めて一直線に猛ダッシュを始めた。
 岩にぶつかるかぶつからないか、ギリギリのところでまよいは杖を上空に向け急上昇し、雄牛の突進を見事に回避してみせた。
 巨大牛はそのまま岩に激突し、その衝撃で少しばかり角にヒビが入った。
「うん、大成功♪」
「いいぞ、まよい!」
「この程度なら楽勝よ」
 まよいは自信ありげに巨大牛に向かって鼻を鳴らしてみせた。


 何度か同じような作業を繰り返し、牛の角も充分に脆くなってきたようだ。
「石なんかに角が刺さってくれら壊しやすかったんだが、そう上手くは行かないか」
 キヅカはそう言いながら機導砲を構える。
「だがあともう少しだ。一気に角を破壊してこめかみを狙うぞ!」
 レイアはそう言うとキヅカの攻撃が当たりやすくするためにマルチステップを使い、再び雄牛の注意が自分に向くように仕向けた。
 巨大牛はレイアを踏み潰そうとその凶悪な蹄を振り下ろすが、彼女の素早さに追いつくことが出来ず、地面を踏みつけるばかりだ。
 攻撃が当たらないことに腹を立てた巨大牛は頭を振り回しレイアを串刺しにしようとするが、頭を横に大きく振った瞬間、隣に生えていた木の幹に角が浅く刺さってしまった。この一瞬の隙をキヅカは見逃さなかった。
「この時を待ってたぜ!」
 キヅカは刺さっていない方の角に照準を合わせる。すると、彼の持つマグダレーネの先端から高密度のエネルギーが、一条の光となり雄牛の角を突き貫いた。
 貫かれた角はビキビキと音を立てたあと、根本から折れ、地面を震わせた。


「あとはこめかみを狙うだけだ!」
 レイアは慎重に狙いを定め、雄牛の弱点に向かって攻撃を加えようとしたが、興奮した巨大牛は刺さっていた角を乱暴に外しめちゃくちゃに暴れ始めた。
「な……! まずい!」
 体を傷つけるわけにはいかないと、レイアは身を翻そうとしたが間に合わず、巨大牛の体に二つの傷をつけてしまった。
「す……すまない! 体に傷を付けてしまった……」
 落ち込むレイアに、まよいは優しくフォローを入れる。
「大丈夫よレイア。あれくらいの傷なら食べられないくらい硬くなることはないわよ」
「そうだろうか……」
「うん、きっと大丈夫。だから最後まで頑張りましょう?」
 まよいの慰めにレイアは頷き、巨大牛に向き直る。
「僕とレイアが巨大牛を押える。その間にまよいはこめかみを撃ち抜いてくれ!」
「わかったわ!」
「今度は失敗しないぞ!」
 キヅカは盾を構え、レイアも剣を構え直し巨大な牛へと向かっていく。
 巨大牛はレイアに向かって残った角を振り回すが、レイアはそれを二刀流で受け止た。
「ハアァッ!!!」
 角を弾き返したレイアは、カウンターアタックを使い角を叩き折った!
「モオオォォオオーーー!!!」
 両方の角を折られた巨大な雄牛は頭を垂れた。その瞬間を見計らいキヅカが巨大牛の頭に盾を叩きつけ押さえつけた。
「今だまよい!!」
「うん、いくわよ!」
 まよいは地上に降りると意識を杖に集中させた。すると水の力と地の力がまよいのもとへと集まり、杖に凝縮されていく。
 魔力が極限に高まった杖を雄牛のこめかみに向ける。マギサークレットで強化された照準はしっかりと巨大牛の急所を捉えている。
「アブソリュートゼロ!」
 まよいが放った水と土の力は、寸分の狂いもなく巨大牛のこめかみを貫いてみせた!
「モオオォォーーーン………」
 巨大な牛の体はぐらりと傾き、草原の葉を大きく揺らした。


「わ、わあ~~~~! すごいですね!! こ、こんなにおっきいなんて……!」
 コシネーロはハンター達が運んできた巨大牛を見上げながら感嘆のため息をついた。
「俺が倒しに行けたら良かったんだが……なにせ感謝祭まで時間がなくてね。助かったよ」
 店長の感謝の言葉に、レイアはバツの悪そうな顔を見せる。
「その……すまない、体に傷をつけてしまってな、肉質が落ちてしまったのだが……問題は無さそうだろうか?」
 おずおずと確認を取るレイア。それを聞いた店長は肉質を確認し始めた。
「ふむ……最高の肉質ではないが、客に出しても問題ない肉質だ。よし! コシネーロ今から準備を始めるぞ!」
「はい!! あ、そうだ……みなさんお時間があれば是非ステーキを試食していって下さい! 腕によりをかけて作りますから!」
 コシネーロの申し出に、三人は歓喜の声を上げる。
「やったー、ステーキだ~!」
「いいのか? なんだったらきちんと金は払うぞ?」
「いえいえ、これも報酬の内ということで! さあさあみなさんどうぞお店の方に!」
「ここまで言ってくれてるんだし、ご相伴に預からせてもらおう?」
 まよいの言葉に同調するように頷くキヅカ。
「そうか……それじゃあ遠慮なく……」
 三人はコシネーロに促されるがまま店へと入っていった。


「ん~~おいしい! あんなに大きな牛だったから味もきっと大味だって思ってたのに旨味が凝縮されてる……これで肉質が落ちてるなんて信じられないわ」
 まよいはそう言いながら美味しそうにステーキを頬張る。
「えへへ、喜んでもらえてよかったです!」
「うん、口の中に肉汁が溢れてくるなぁ。これ……最高の肉質だったらどれだけ凄いことになってたんだろう……想像がつかないな……」
 キヅカはフォークに指したステーキをまじまじとステーキを眺める。
「次こそは最高の肉質のものを食べてみたいものだな」
 レイアの言葉にまよいはうんうんと頷く。
「来年の感謝祭に期待しなきゃかしらね?」
 こうしてハンター達は無事に依頼を達成することが出来たのだった。

依頼結果

依頼成功度普通
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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/12/08 16:11:01
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/12/08 09:43:30