ゲスト
(ka0000)
【CF】クリスマスを前に
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/12/12 07:30
- 完成日
- 2018/12/14 09:50
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●クリスマスシーズン
十二月が近くなってそろそろ師走の風が吹き始める頃、今年もクリスマスの季節がやってきた。
主要都市では早くもクリスマスの飾りつけがなされ始め、特に今年はリアルブルーからの移民が急増したことで、今までにない活気で盛り上がっている。
リアルブルー凍結、帝国でもラズビルナムの異界騒動と解決しなければならない問題は山積みであるが、それでも人々は明るい未来への展望を失わずに、クリスマスを盛り上げようとしている。
しかしその前に、各地の平穏を少しでも取り戻さなければならない。
イベントで盛り上がっている最中に、雑魔や歪虚の襲撃で水を差されてはせっかくの熱気が冷めてしまう。
そんなことにならないよう、雑魔や歪虚狩りが各地で活性化していた。
当然それで歪虚たちの脅威がなくなるわけでもないものの、それでも一時的にクリスマスの間大人しくなってくれれば大戦果だろう。
まあもっとも、そうそう上手くはいかないだろうが。
●雪山の上で
すっかり葉が落ち、雪を積もらせた木々がそびえる雪山に、飛行する無数の影があった。
それらは全て羽を持った雑魔だ。
彼らは各地に飛び去っては、人間の生活に被害を出しここへと戻ってきていた。
小さなものでは一メートルほどの大きさだが、大きな個体になると翼も合わせ八メートル近い巨体を持つものもいる。
彼らは巧みに飛行し、身に備えた嘴で突いたりや羽を針のように飛ばして来る他、中には鎌鼬や氷雪を操る特殊な個体までいた。
そして問題なのは、その中に重力を操る個体まで混じっていたことだ。
強いものではないのだが、それでも飛行が妨害されてしまう。
様々な種類の飛鳥型雑魔たちが、全部で六十匹以上。
普段は各地に飛び去って活動している雑魔が集っているのだから、相当な数だ。
だが、ある意味では一網打尽にするいい機会である。
●ハンターズソサエティ
公開された依頼を表示する魔導端末を手に、受付嬢ジェーン・ドゥがハンターたちへ声をかけた。
「皆さま、クリスマス前に依頼は一つ如何でしょうか?」
ジェーンは満面の笑顔だ。
「とある雪山に各地から集まってきた飛鳥型雑魔たちを、まとめて殲滅していただくだけの簡単なお仕事です」
本当にそれは簡単なのかとハンターたちは疑ったが、その疑念は正しかった。
「地形やマテリアル配置の関係上、この雪山は辺りから飛鳥型雑魔たちが集いやすくなっているらしく、大きな群れが確認されている他、通常よりも強力で特殊な個体が確認されております。詳細は依頼に添付された資料をご確認くださいませ」
浮かべられたジェーンのうさんくさい笑顔は最後まで崩れなかった。
十二月が近くなってそろそろ師走の風が吹き始める頃、今年もクリスマスの季節がやってきた。
主要都市では早くもクリスマスの飾りつけがなされ始め、特に今年はリアルブルーからの移民が急増したことで、今までにない活気で盛り上がっている。
リアルブルー凍結、帝国でもラズビルナムの異界騒動と解決しなければならない問題は山積みであるが、それでも人々は明るい未来への展望を失わずに、クリスマスを盛り上げようとしている。
しかしその前に、各地の平穏を少しでも取り戻さなければならない。
イベントで盛り上がっている最中に、雑魔や歪虚の襲撃で水を差されてはせっかくの熱気が冷めてしまう。
そんなことにならないよう、雑魔や歪虚狩りが各地で活性化していた。
当然それで歪虚たちの脅威がなくなるわけでもないものの、それでも一時的にクリスマスの間大人しくなってくれれば大戦果だろう。
まあもっとも、そうそう上手くはいかないだろうが。
●雪山の上で
すっかり葉が落ち、雪を積もらせた木々がそびえる雪山に、飛行する無数の影があった。
それらは全て羽を持った雑魔だ。
彼らは各地に飛び去っては、人間の生活に被害を出しここへと戻ってきていた。
小さなものでは一メートルほどの大きさだが、大きな個体になると翼も合わせ八メートル近い巨体を持つものもいる。
彼らは巧みに飛行し、身に備えた嘴で突いたりや羽を針のように飛ばして来る他、中には鎌鼬や氷雪を操る特殊な個体までいた。
そして問題なのは、その中に重力を操る個体まで混じっていたことだ。
強いものではないのだが、それでも飛行が妨害されてしまう。
様々な種類の飛鳥型雑魔たちが、全部で六十匹以上。
普段は各地に飛び去って活動している雑魔が集っているのだから、相当な数だ。
だが、ある意味では一網打尽にするいい機会である。
●ハンターズソサエティ
公開された依頼を表示する魔導端末を手に、受付嬢ジェーン・ドゥがハンターたちへ声をかけた。
「皆さま、クリスマス前に依頼は一つ如何でしょうか?」
ジェーンは満面の笑顔だ。
「とある雪山に各地から集まってきた飛鳥型雑魔たちを、まとめて殲滅していただくだけの簡単なお仕事です」
本当にそれは簡単なのかとハンターたちは疑ったが、その疑念は正しかった。
「地形やマテリアル配置の関係上、この雪山は辺りから飛鳥型雑魔たちが集いやすくなっているらしく、大きな群れが確認されている他、通常よりも強力で特殊な個体が確認されております。詳細は依頼に添付された資料をご確認くださいませ」
浮かべられたジェーンのうさんくさい笑顔は最後まで崩れなかった。
リプレイ本文
●空へ
多種多様な飛鳥型雑魔が空を舞っているのを見て、ヴァルナ=エリゴス(ka2651)は己の騎竜であるシエルに飛び乗った。
「さて、冬の大掃除というには些か早い気もしますが、見逃して聖輝節に水を差されても困ります。念入りに退治するとしましょう」
シエルは翼を大きくはためかせると、風を捕まえて空中にふわりと舞い上がった。
アウローラとレイア・アローネ(ka4082)は、空を舞う飛鳥型雑魔たちを見上げた。
カートゥルを駆る鞍馬 真(ka5819)の身に、雪が混じった寒風が吹きつける。
「……寒い」
真は早く倒して温まりたかった。
やってきた冬の雪山では、大量の飛鳥型雑魔が出没していた。
「数が多いなあ……」
計六十体に比べて、ハンターは真自身を含めても四人。
(敵の数に比べて、味方がかなり少ないね。皆聖輝節で忙しいのかな?)
mercenarioのコックピット内で、マリィア・バルデス(ka5848)は一人ごちる。
「高度差百八十メートル以上ってことは、あっちも魔法やスキルじゃ多分地表を狙えないんじゃないかしら。落下物なら有り得るかなって思うけど」
この飛鳥型雑魔の群れを殲滅することが目的のマリィアは、距離によって武装を使い分けるつもりだ。
こうして、ハンターたちは戦闘に突入した。
さあ、戦いの始まりだ!
●飛鳥型雑魔を全滅させろ!
地上に陣取ったマリィアは、mercenarioを操作しハンドガンを機体に構えさせると躊躇なく引き金を引いた。
スキルトレース技術によって再現された弾丸の雨が、逆回しに映像を再生したかのように空を翔け上がり、殺到してきた小型の飛鳥型雑魔たちを次々撃ち落としていく。
「まずは数を減らさないとね」
残った何体かがmercenario目掛け回転しながら急降下攻撃を仕掛けてくるのを、マリィアは冷静に操縦桿を操作して回避した。
真を背に乗せたカートゥルが、翼をはためかせてぐんぐん上昇する。
遥か上空では、球状になっている紫色の重力場が、既にいくつか展開されている光景が見える。
距離は遠いとはいえ、吹雪いて視界が白く染まった状況の中、重力場の紫はとても目立つ。
(重力に捕まって移動不能になったら地上へ真っ逆さまだ……! 真っ先に倒さないと!)
マリィアの射撃によって撃ち落とされていく小型の飛鳥型雑魔を他所に、真は上昇を続けた。
小型の飛鳥型雑魔たちは真よりも射撃を続けるマリィアやレイアたち地上組を狙っているらしく、急降下を繰り返している。
アウローラが地上を駆け、急降下してきた飛鳥型雑魔目掛け襲い掛かった。
レイアもそれを追いかけ急降下してくる個体を迎撃する。
シエルに騎乗したヴァルナは行動を開始する。
先んじて飛び出した真が駆るワイバーンを追いかけ、小型の飛鳥型雑魔たちを振り切りながらぐんぐんと上昇を続けていく。
ヴァルナの目にも、発生した紫色の重力場がはっきりと見て取れた。
そして、それを行った巨大な飛鳥型雑魔の姿も。
火線が空へと放たれる。
mercenarioを操縦するマリィアの銃撃だ。
「中々いい場所が取れたわ」
マリィアの立ち位置は戦場になっている地域の中央付近で、ほぼ全ての飛鳥型雑魔たちが射線に入っている。
もっとも重なっていたり、微妙に木々が射角を塞いだりしてより上空の敵は狙いにくいので、上手く狙えるタイミングが来るまでは、こうして倒せる敵から順番に倒しているのだ。
虎の子のバズーカは温存する。
中型に相当する大きさの氷雪型か、大型の飛鳥型雑魔を狙い撃てる状況になったら使おうと思っている。
それまでは今使っているハンドガンと、狙撃に向いたロングレンジライフルで戦うことになるだろう。
カートゥルが喉の奥で低く唸る。
重力場を発生させる飛鳥型雑魔をはっきりと目で捉えたのだ。
真も同様にその姿を確認している。
上昇を続けるカートゥルが急加速をした。
大型の飛鳥型雑魔たちを振り切り、重力場を発生させる飛鳥型雑魔を攻撃目標に定め、上昇を続けながら奇襲を仕掛けるつもりなのだ。
人竜息を合わせ、真とカートゥルは全速力で目標の飛鳥型雑魔を目指す。
タイミングを見計らい、真は魔導剣に生体マテリアルを流し込んで魔法剣化させた。
「お前たちの相手は後だ!」
飛んでくる大型の飛鳥型雑魔たちの間をすり抜けて飛び、さらに上を抜けてついに目標と同じ高度にまで上がった。
真が重力場を発生させる飛鳥型雑魔目掛け上昇したのを見て、ヴァルナも己の行動を決めた。
(墜落の危険が大きい重力型を先に仕留めたいところですが、私はここで大型の横槍を防ぐとしましょうか)
高空への道を作るため、ヴァルナは援護代わりに魔剣に込めたマテリアルを刺突と同時に切っ先から射出した。
奔るマテリアルの残光が光の槍のように伸び、過たず目標の飛鳥型雑魔に命中する。
飛鳥型雑魔を貫いたマテリアルの光は、急激に減衰し空気中に霧散して消えた。
小型を掃討していた途中で、マリィアはmercenarioの武装をハンドガンからロングレンジライフルに持ち替えさせた。
射線が開け、遥か上空の重力型を狙える状況が訪れたのだ。
味方が戦っている最中なので、援護射撃にもなるだろう。
特に標的の選り好みをせず狙えるものから無理せず倒していくつもりのマリィアであるが、かといって大物を狙えるタイミングで狙わない道理もない。
ただし、仲間を誤射しないよう十分気を使った。
今狙っている射線に味方は侵入していない。
安全に狙撃が可能だ。
ロングレンジライフルが火を噴いて轟音を響かせる。
真は正確な一撃を放つため呼吸を整えると、精神を統一する。
上昇から滑空に移り一気に突撃するカートゥルに合わせ、魔導剣を突き出し、マテリアルの刃で軌道上から逃げ損ねた飛鳥型雑魔たちを刺し貫いた。
反撃を回避しつつ、続いてもう一撃。
次々発生する重力場に引っ掛からないように、正面や横に小刻みに飛行を繰り返すカートゥルは、真の意志によく応えている。
際どいタイミングでも、カートゥルは身体を回転させつつ不規則な飛行軌道をとることで避け、避け切れず重力空間を掠めて姿勢を崩しても、幻獣としての身体能力や抵抗力を一時的に高める事で、崩れた体制を立て直した。
そこへマリィアの援護射撃が直撃し、飛鳥型雑魔たちの反応が乱れた。
「これで終わりだ!」
それを見逃す真ではなく、カートゥルとともに攻撃を行い、目標の最後の一体を倒し、以後の重力場発生を防ぐことに成功した。
空中でシエルが身を捻り、真を追いかけようとした大型の飛鳥型雑魔たちの前に立ち塞がる。
ヴァルナもシエルも戦意は十分。
しかし数の差があるので無理に仕掛けることはせず、冷静にカウンターを狙いつつ戦っていく。
接近しての格闘機動戦を挑んでくる飛鳥型雑魔たちの攻撃をいなしつつ、時には全力で反撃をぶち込み、またある時には反撃に生命力を上乗せし、オーラの衝撃波を付加して叩き込む。
攻撃時に混ぜ込んだ呪いにより、対象の武器使用を封じることも考えたが、よく考えれば飛鳥型雑魔の攻撃手段は特殊能力を除いて身体一つであり、武器を装備しているとは思えない。
ヴァルナは予定を変更して、そのまま大型の飛鳥型雑魔たちの数を減らしにかかった。
風を操って鎌鼬を纏った小型の飛鳥型雑魔を、マリィアは迎撃する。
最初mercenarioにハンドガンを向けさせたマリィアだったが、すぐに計画を変更した。
思っていたよりも素早かったのだ。
逆に突撃させて近付いたところを、冷静に銃撃を加え仕留めた。
近距離ならば、偏差を大きく取って撃つ必要はないのでとても当てやすい。
空中で動く的に銃撃を当てるというのは、これで結構技術が要ることなのだ。
一息つく間もなく、真は大型飛鳥型雑魔たちとのドッグファイトに突入する。
「格闘戦が得意らしいけど、私とカートゥルだって負けないよ!」
離れては交わり、激しく接近戦を繰り返した後、真は再び精神を統一させ、正確な一撃を放つため呼吸を整える。
再び格闘戦を挑まんと肉薄してくるところに魔導剣を突き出し、マテリアルの刃で飛鳥型雑魔たちを刺し貫いた。
ヴァルナから光の槍を思わせるマテリアルの刺突が空を裂いて飛ぶ。
巻き込まれた飛鳥型雑魔たちの数体が翼をもがれ、錐もみ状態に陥って墜落していった。
その行く末を見届けることなく、シエラが素早く姿勢を整え反撃を警戒、飛んでくる羽の直撃を避け被害を軽減するとともに、反応してヴァルナはオーラによる衝撃波を打ち込む。
激しく空中戦闘を行って数的不利な乱戦になりかけたところを、ヴァルナはシエラに身体を回転させつつ不規則な飛行軌道を取らせて包囲から飛び出した。
氷雪をまとう飛鳥型雑魔が近付くたびに、ヴァルナもシエラも手足がかじかむ。
ヴァルナは耐えたがシエラが辛そうだ。
しかしシエラは自分の不調を制御し、状態を回復してみせる。
落とせる雑魚は大体落とし、マリィアはそろそろ自分も空中戦闘に加わることにした。
頭数が少ないと、敵の攻撃が集中して一人一人の負担が大きくなってしまう。
飛行は時間制限こそあるものの、普通に戦闘を行う分には問題なく持つ。
さらにマリィアは飛行戦闘や空間戦闘などにおける適性を得ているので、mercenarioを駆っての戦闘もお手の物だ。
バーニアがmercenarioを空中へと押し上げる。
力強くmercenarioは飛翔した。
仲間と一緒に掃討戦に移る。
それぞれがどの敵を狙っているか確認しつつ、真は近くの敵から狙い数を減らしていった。
特に羽根を飛ばしてくる中型の飛鳥型雑魔を積極的に狙っている。
中型の飛鳥型雑魔には大型と同じ戦法がまだ通じるので、精神統一からの突撃に刺突を合わせた方法を取り、時折混じる小型には魔導剣を上段から振り下ろし、渾身の一撃を叩き込む。
距離が開けば魔導剣でマテリアルの衝撃波を飛ばし、遠距離から攻撃した。
飛鳥型雑魔の攻撃をアウローラは辛うじて避けた。
墜落してもまだ走り回る元気がある個体と目まぐるしく攻守を交代させながら、激しいデッドヒートを繰り広げる。
レイアがそこへ追撃を入れ、追いついたアウローラが攻撃を仕掛けた。
また一匹、翼をやられて飛鳥型雑魔が落ちていく。
その姿を視界の隅に捉えつつ、ヴァルナは新たな標的を探した。
(翼を狙って墜落させれば多少楽に進められますね。多勢に無勢ですので固執はしませんが)
攻撃は主にヴァルナの担当だが、そろそろ相手側も慣れてくる頃合いだろう。
それに正直手も足りないので、ヴァルナはシエルの攻撃も解禁する。
シエルが獣尾鞭で奇襲と牽制を行い、その隙にヴァルナが空中から飛鳥型雑魔を叩き落とす。
そしてヴァルナの魔剣とシエルの羽刃で波状攻撃を行い、飛鳥型雑魔たちに対応の二択を迫るようにして動いた。
上下左右前後から飛んでくる羽の嵐や吹雪を、マリィアは操縦桿を小刻みに倒してmercenarioを右へ左へと振り回しつつ、回避あるいは直撃だけは避けて機体で受け止めていく。
マリィアはイニシャライズフィールドを機体の周囲に展開した。
多少は吹雪で動きが鈍る機体への対策になるだろう。
味方に比べて敵の数が多いので、墜落の予防を意識しつつ、常に機動力を活かして飛び回り、囲まれないように真は気を付けた。
包囲されそうになっても、すぐに急加速をして移動することで抜け出し対処する。
リペアキットを使ってカートゥルの生命力を回復させた真は、通信機で味方と連携して戦い続けた。
無理な速攻殲滅より、防御重視の弾切れを起こさない連続射撃を目指し、マリィアも戦い続ける。
コックピットの中でマリィアが笑う。
「まあ私達が見えている限り他には行きそうにない雑魔だもの、のんびり狩りつくせばいいんじゃないかしら。寧ろ接敵してくるほど根性がある雑魔ならそれはそれで歓迎するわね」
ただし彼女の場合、歓迎イコール銃弾の雨ということになりかねないが。
というか実際殺到してきた群れをそれで薙ぎ払っていた。
●静けさが戻った冬山に、雪が降る
空での戦いが落ち着き、ヴァルナは墜落した飛鳥型雑魔たちに止めを刺しに地上に降りた。
落下の衝撃で消滅した個体が多かったが、一部はまだ生き残っている個体もいた。
動き回れるほど元気なものはレイアとアウローラが処理したものの、それが全てではない。
手負いということで油断せず、ヴァルナは一体一体確実に処理していく。
mercenarioの機体状況を確認すると、マリィアはコックピットのシートに背をもたれた。
真は水筒に入れてきた熱い紅茶を飲んで暖まる。
「雑魔は倒したけど風邪を引きました、じゃ格好が付かないからね……はあ、温かい」
紅茶から立ち上る湯気が、ゆらゆらと空中に昇っていった。
空中を飛んでいたアウローラが舞い降り、レイアにすり寄っていく。
飛鳥型雑魔がいなくなった雪山は静かなものだった。
静かに雪が降り積もり、白い世界が戦闘痕を覆い隠そうとしている。
後片付けを終え、仲間たちの撤退準備を待つ間、ヴァルナはシエルと少しだけ空中散歩を楽しむことにした。
「こういった場所で気侭に飛ぶのも良い息抜きになるでしょう」
ヴァルナの呟きに、その通りだとでもいうように、シエルが上機嫌そうに喉を鳴らした。
こうして冬山の安全を確認したハンターたちは、無事依頼を終えたのだった。
多種多様な飛鳥型雑魔が空を舞っているのを見て、ヴァルナ=エリゴス(ka2651)は己の騎竜であるシエルに飛び乗った。
「さて、冬の大掃除というには些か早い気もしますが、見逃して聖輝節に水を差されても困ります。念入りに退治するとしましょう」
シエルは翼を大きくはためかせると、風を捕まえて空中にふわりと舞い上がった。
アウローラとレイア・アローネ(ka4082)は、空を舞う飛鳥型雑魔たちを見上げた。
カートゥルを駆る鞍馬 真(ka5819)の身に、雪が混じった寒風が吹きつける。
「……寒い」
真は早く倒して温まりたかった。
やってきた冬の雪山では、大量の飛鳥型雑魔が出没していた。
「数が多いなあ……」
計六十体に比べて、ハンターは真自身を含めても四人。
(敵の数に比べて、味方がかなり少ないね。皆聖輝節で忙しいのかな?)
mercenarioのコックピット内で、マリィア・バルデス(ka5848)は一人ごちる。
「高度差百八十メートル以上ってことは、あっちも魔法やスキルじゃ多分地表を狙えないんじゃないかしら。落下物なら有り得るかなって思うけど」
この飛鳥型雑魔の群れを殲滅することが目的のマリィアは、距離によって武装を使い分けるつもりだ。
こうして、ハンターたちは戦闘に突入した。
さあ、戦いの始まりだ!
●飛鳥型雑魔を全滅させろ!
地上に陣取ったマリィアは、mercenarioを操作しハンドガンを機体に構えさせると躊躇なく引き金を引いた。
スキルトレース技術によって再現された弾丸の雨が、逆回しに映像を再生したかのように空を翔け上がり、殺到してきた小型の飛鳥型雑魔たちを次々撃ち落としていく。
「まずは数を減らさないとね」
残った何体かがmercenario目掛け回転しながら急降下攻撃を仕掛けてくるのを、マリィアは冷静に操縦桿を操作して回避した。
真を背に乗せたカートゥルが、翼をはためかせてぐんぐん上昇する。
遥か上空では、球状になっている紫色の重力場が、既にいくつか展開されている光景が見える。
距離は遠いとはいえ、吹雪いて視界が白く染まった状況の中、重力場の紫はとても目立つ。
(重力に捕まって移動不能になったら地上へ真っ逆さまだ……! 真っ先に倒さないと!)
マリィアの射撃によって撃ち落とされていく小型の飛鳥型雑魔を他所に、真は上昇を続けた。
小型の飛鳥型雑魔たちは真よりも射撃を続けるマリィアやレイアたち地上組を狙っているらしく、急降下を繰り返している。
アウローラが地上を駆け、急降下してきた飛鳥型雑魔目掛け襲い掛かった。
レイアもそれを追いかけ急降下してくる個体を迎撃する。
シエルに騎乗したヴァルナは行動を開始する。
先んじて飛び出した真が駆るワイバーンを追いかけ、小型の飛鳥型雑魔たちを振り切りながらぐんぐんと上昇を続けていく。
ヴァルナの目にも、発生した紫色の重力場がはっきりと見て取れた。
そして、それを行った巨大な飛鳥型雑魔の姿も。
火線が空へと放たれる。
mercenarioを操縦するマリィアの銃撃だ。
「中々いい場所が取れたわ」
マリィアの立ち位置は戦場になっている地域の中央付近で、ほぼ全ての飛鳥型雑魔たちが射線に入っている。
もっとも重なっていたり、微妙に木々が射角を塞いだりしてより上空の敵は狙いにくいので、上手く狙えるタイミングが来るまでは、こうして倒せる敵から順番に倒しているのだ。
虎の子のバズーカは温存する。
中型に相当する大きさの氷雪型か、大型の飛鳥型雑魔を狙い撃てる状況になったら使おうと思っている。
それまでは今使っているハンドガンと、狙撃に向いたロングレンジライフルで戦うことになるだろう。
カートゥルが喉の奥で低く唸る。
重力場を発生させる飛鳥型雑魔をはっきりと目で捉えたのだ。
真も同様にその姿を確認している。
上昇を続けるカートゥルが急加速をした。
大型の飛鳥型雑魔たちを振り切り、重力場を発生させる飛鳥型雑魔を攻撃目標に定め、上昇を続けながら奇襲を仕掛けるつもりなのだ。
人竜息を合わせ、真とカートゥルは全速力で目標の飛鳥型雑魔を目指す。
タイミングを見計らい、真は魔導剣に生体マテリアルを流し込んで魔法剣化させた。
「お前たちの相手は後だ!」
飛んでくる大型の飛鳥型雑魔たちの間をすり抜けて飛び、さらに上を抜けてついに目標と同じ高度にまで上がった。
真が重力場を発生させる飛鳥型雑魔目掛け上昇したのを見て、ヴァルナも己の行動を決めた。
(墜落の危険が大きい重力型を先に仕留めたいところですが、私はここで大型の横槍を防ぐとしましょうか)
高空への道を作るため、ヴァルナは援護代わりに魔剣に込めたマテリアルを刺突と同時に切っ先から射出した。
奔るマテリアルの残光が光の槍のように伸び、過たず目標の飛鳥型雑魔に命中する。
飛鳥型雑魔を貫いたマテリアルの光は、急激に減衰し空気中に霧散して消えた。
小型を掃討していた途中で、マリィアはmercenarioの武装をハンドガンからロングレンジライフルに持ち替えさせた。
射線が開け、遥か上空の重力型を狙える状況が訪れたのだ。
味方が戦っている最中なので、援護射撃にもなるだろう。
特に標的の選り好みをせず狙えるものから無理せず倒していくつもりのマリィアであるが、かといって大物を狙えるタイミングで狙わない道理もない。
ただし、仲間を誤射しないよう十分気を使った。
今狙っている射線に味方は侵入していない。
安全に狙撃が可能だ。
ロングレンジライフルが火を噴いて轟音を響かせる。
真は正確な一撃を放つため呼吸を整えると、精神を統一する。
上昇から滑空に移り一気に突撃するカートゥルに合わせ、魔導剣を突き出し、マテリアルの刃で軌道上から逃げ損ねた飛鳥型雑魔たちを刺し貫いた。
反撃を回避しつつ、続いてもう一撃。
次々発生する重力場に引っ掛からないように、正面や横に小刻みに飛行を繰り返すカートゥルは、真の意志によく応えている。
際どいタイミングでも、カートゥルは身体を回転させつつ不規則な飛行軌道をとることで避け、避け切れず重力空間を掠めて姿勢を崩しても、幻獣としての身体能力や抵抗力を一時的に高める事で、崩れた体制を立て直した。
そこへマリィアの援護射撃が直撃し、飛鳥型雑魔たちの反応が乱れた。
「これで終わりだ!」
それを見逃す真ではなく、カートゥルとともに攻撃を行い、目標の最後の一体を倒し、以後の重力場発生を防ぐことに成功した。
空中でシエルが身を捻り、真を追いかけようとした大型の飛鳥型雑魔たちの前に立ち塞がる。
ヴァルナもシエルも戦意は十分。
しかし数の差があるので無理に仕掛けることはせず、冷静にカウンターを狙いつつ戦っていく。
接近しての格闘機動戦を挑んでくる飛鳥型雑魔たちの攻撃をいなしつつ、時には全力で反撃をぶち込み、またある時には反撃に生命力を上乗せし、オーラの衝撃波を付加して叩き込む。
攻撃時に混ぜ込んだ呪いにより、対象の武器使用を封じることも考えたが、よく考えれば飛鳥型雑魔の攻撃手段は特殊能力を除いて身体一つであり、武器を装備しているとは思えない。
ヴァルナは予定を変更して、そのまま大型の飛鳥型雑魔たちの数を減らしにかかった。
風を操って鎌鼬を纏った小型の飛鳥型雑魔を、マリィアは迎撃する。
最初mercenarioにハンドガンを向けさせたマリィアだったが、すぐに計画を変更した。
思っていたよりも素早かったのだ。
逆に突撃させて近付いたところを、冷静に銃撃を加え仕留めた。
近距離ならば、偏差を大きく取って撃つ必要はないのでとても当てやすい。
空中で動く的に銃撃を当てるというのは、これで結構技術が要ることなのだ。
一息つく間もなく、真は大型飛鳥型雑魔たちとのドッグファイトに突入する。
「格闘戦が得意らしいけど、私とカートゥルだって負けないよ!」
離れては交わり、激しく接近戦を繰り返した後、真は再び精神を統一させ、正確な一撃を放つため呼吸を整える。
再び格闘戦を挑まんと肉薄してくるところに魔導剣を突き出し、マテリアルの刃で飛鳥型雑魔たちを刺し貫いた。
ヴァルナから光の槍を思わせるマテリアルの刺突が空を裂いて飛ぶ。
巻き込まれた飛鳥型雑魔たちの数体が翼をもがれ、錐もみ状態に陥って墜落していった。
その行く末を見届けることなく、シエラが素早く姿勢を整え反撃を警戒、飛んでくる羽の直撃を避け被害を軽減するとともに、反応してヴァルナはオーラによる衝撃波を打ち込む。
激しく空中戦闘を行って数的不利な乱戦になりかけたところを、ヴァルナはシエラに身体を回転させつつ不規則な飛行軌道を取らせて包囲から飛び出した。
氷雪をまとう飛鳥型雑魔が近付くたびに、ヴァルナもシエラも手足がかじかむ。
ヴァルナは耐えたがシエラが辛そうだ。
しかしシエラは自分の不調を制御し、状態を回復してみせる。
落とせる雑魚は大体落とし、マリィアはそろそろ自分も空中戦闘に加わることにした。
頭数が少ないと、敵の攻撃が集中して一人一人の負担が大きくなってしまう。
飛行は時間制限こそあるものの、普通に戦闘を行う分には問題なく持つ。
さらにマリィアは飛行戦闘や空間戦闘などにおける適性を得ているので、mercenarioを駆っての戦闘もお手の物だ。
バーニアがmercenarioを空中へと押し上げる。
力強くmercenarioは飛翔した。
仲間と一緒に掃討戦に移る。
それぞれがどの敵を狙っているか確認しつつ、真は近くの敵から狙い数を減らしていった。
特に羽根を飛ばしてくる中型の飛鳥型雑魔を積極的に狙っている。
中型の飛鳥型雑魔には大型と同じ戦法がまだ通じるので、精神統一からの突撃に刺突を合わせた方法を取り、時折混じる小型には魔導剣を上段から振り下ろし、渾身の一撃を叩き込む。
距離が開けば魔導剣でマテリアルの衝撃波を飛ばし、遠距離から攻撃した。
飛鳥型雑魔の攻撃をアウローラは辛うじて避けた。
墜落してもまだ走り回る元気がある個体と目まぐるしく攻守を交代させながら、激しいデッドヒートを繰り広げる。
レイアがそこへ追撃を入れ、追いついたアウローラが攻撃を仕掛けた。
また一匹、翼をやられて飛鳥型雑魔が落ちていく。
その姿を視界の隅に捉えつつ、ヴァルナは新たな標的を探した。
(翼を狙って墜落させれば多少楽に進められますね。多勢に無勢ですので固執はしませんが)
攻撃は主にヴァルナの担当だが、そろそろ相手側も慣れてくる頃合いだろう。
それに正直手も足りないので、ヴァルナはシエルの攻撃も解禁する。
シエルが獣尾鞭で奇襲と牽制を行い、その隙にヴァルナが空中から飛鳥型雑魔を叩き落とす。
そしてヴァルナの魔剣とシエルの羽刃で波状攻撃を行い、飛鳥型雑魔たちに対応の二択を迫るようにして動いた。
上下左右前後から飛んでくる羽の嵐や吹雪を、マリィアは操縦桿を小刻みに倒してmercenarioを右へ左へと振り回しつつ、回避あるいは直撃だけは避けて機体で受け止めていく。
マリィアはイニシャライズフィールドを機体の周囲に展開した。
多少は吹雪で動きが鈍る機体への対策になるだろう。
味方に比べて敵の数が多いので、墜落の予防を意識しつつ、常に機動力を活かして飛び回り、囲まれないように真は気を付けた。
包囲されそうになっても、すぐに急加速をして移動することで抜け出し対処する。
リペアキットを使ってカートゥルの生命力を回復させた真は、通信機で味方と連携して戦い続けた。
無理な速攻殲滅より、防御重視の弾切れを起こさない連続射撃を目指し、マリィアも戦い続ける。
コックピットの中でマリィアが笑う。
「まあ私達が見えている限り他には行きそうにない雑魔だもの、のんびり狩りつくせばいいんじゃないかしら。寧ろ接敵してくるほど根性がある雑魔ならそれはそれで歓迎するわね」
ただし彼女の場合、歓迎イコール銃弾の雨ということになりかねないが。
というか実際殺到してきた群れをそれで薙ぎ払っていた。
●静けさが戻った冬山に、雪が降る
空での戦いが落ち着き、ヴァルナは墜落した飛鳥型雑魔たちに止めを刺しに地上に降りた。
落下の衝撃で消滅した個体が多かったが、一部はまだ生き残っている個体もいた。
動き回れるほど元気なものはレイアとアウローラが処理したものの、それが全てではない。
手負いということで油断せず、ヴァルナは一体一体確実に処理していく。
mercenarioの機体状況を確認すると、マリィアはコックピットのシートに背をもたれた。
真は水筒に入れてきた熱い紅茶を飲んで暖まる。
「雑魔は倒したけど風邪を引きました、じゃ格好が付かないからね……はあ、温かい」
紅茶から立ち上る湯気が、ゆらゆらと空中に昇っていった。
空中を飛んでいたアウローラが舞い降り、レイアにすり寄っていく。
飛鳥型雑魔がいなくなった雪山は静かなものだった。
静かに雪が降り積もり、白い世界が戦闘痕を覆い隠そうとしている。
後片付けを終え、仲間たちの撤退準備を待つ間、ヴァルナはシエルと少しだけ空中散歩を楽しむことにした。
「こういった場所で気侭に飛ぶのも良い息抜きになるでしょう」
ヴァルナの呟きに、その通りだとでもいうように、シエルが上機嫌そうに喉を鳴らした。
こうして冬山の安全を確認したハンターたちは、無事依頼を終えたのだった。
依頼結果
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クリスマスを前に レイア・アローネ(ka4082) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/12/11 20:19:55 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/11 20:13:18 |