ゲスト
(ka0000)
【王戦】変な物がやってきた
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/12/20 19:00
- 完成日
- 2018/12/31 00:34
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●デンシオン
グラズヘイム王国の中央北東寄りの小さな町に領主がやってきていた。城壁がある町であるがれほど立派ではないが、街道がいくつもあるため必要であると言えば必要ではある。
使われることはないと思っていたが、昨年はこの城門が閉じられたのだった。ハンターのおかげで大きな被害は出なかったが、歪虚との戦いは無縁ではないと思い知らされたものであった。
領主のシャールズ・べリンガーはその外に出かける。薬草園を眺め、街道をつなぐ道を馬で進み、川を渡り戻ってくるルートである。林が多いが手入れはしてあるため、見通しが悪いということもない。兵を連れてはいるがのんびりとした視察。
「特に何もないな」
何もない方がいいに決まっている。しかし、リアルブルーでもクリムゾンウェストや東方でも色々起こっているため、ここに関係ないからといって何もないとは限らない。情報は得ておいて損はない。
シャールズはハンター仲間でこの町に住む司祭のところによって、茶でもすすりながら話を聞いてから帰ろうと思った。
薬草園の方から奇妙な乗り物に乗ってきた人物がいた。
「領主さん、こんにちは」
変な乗り物に乗ったルゥルが橋の手前の道の合流地点で止まり、挨拶をする。
「うん、こんにちは。それにしても珍しいもの乗っているね」
「ふりゃいんぐすれっどなのです。これなら、私でも操縦ができるのです」
「なるほど」
たぶん「フライングスレッド」だろうとシャールズは理解した。
「魔箒も持っているのです」
「……ルゥルちゃん、あまり、危険なことはしてはいけないよ?」
魔術師には空を飛ぶスキルもあったはずだから、色々考えるとシャールズは不安になる。
「しないですよ!」
ルゥルは何かを諭されたことが心外だったようだ。
「そういえば、マークはいるかな?」
「いましたですよ」
「なら寄っていこう」
ルゥルと一緒に橋を渡って町に入ろうとする。しかし、何か音がする。自分たちが来た方の道である。得体のしれないモノに追いかけらえるような状況だったと思うと、シャールズはなぜか背筋がぞくっとした。
音がすることは気のせいかと思ったが、ルゥルも同じ方向を見ているし、連れてきている兵士も見ている。
「……変な音なのです」
「……楽団というわけでもないが、妙にキンキンとした音だ」
シャールズは眉をしかめる。
「……リアルブルーに行ったとき、お店で聞いた音みたいです。えっと、ハンターさんが言うにはデンシオンだということです」
「デンシオン? つまり、リアルブルーの物があるということか?」
「分からないのです……でも、ピョウピョウ音楽のように聞こえますし」
シャールズは音の方を見つめる。
(危険物と考えるのもおかしいかもしれないがな)
無害な物が来る可能性だってあある。リアルブルーの物は転移しているのだから。
「何だあれは……」
シャールズは眉をしかめた。
音楽の内容はあるわけでなく、プーカプーカ、ピーピーという音が鳴り響くだけ。リズムや音程はあるのだが、何かわからない。ふわふわと浮かぶ金属ぽい球体と、オルゴールのような機械にタイヤと顔ぽいのがついたロボット風の物の二種類。
「あれを操っている人がいるのか? そもそも、あれはなんだ?」
シャールズはやってくる物の周囲を見る。誰かヒトがいるようではない。ただし、遠隔で操作できるならばその限りではない。
シャールズはそれを追い返すか否か検討する。言葉が通じるのか、それとも壊すなどしたほうがいいのか? 壊すとしても、壊した瞬間、何があるのか? おとなしく壊されてくれるのだろうかと様々考える。
「みぎゃあああ」
緊張に耐えかねたルゥルが声をあげた為、シャールズは考えるのは後回し、情報収集と戦闘の準をすべきだった。
「総員退避、門を閉める。ルゥルちゃんはマーク呼んで、その足で、ハンターソサエティで至急依頼を出してきてくれるかな?」
「分かりました!」
ルゥルはフライングスレッドのスピードを上げて、町に入っていった。
「威力偵察はしたいところだが……ただの機械か、雑魔かしている機械か?」
シャールズは立場を踏まえ、一旦退いた。
●緊急事態
街道をかっ飛ばし、ルゥルはハンターソサエティに駆け込む。
「ロビンさん、大変なのですぅうう、変な、ぴゅーがいて、領主さんと町が危険なのですぅうう。だから、ハンターさん呼んでくださいなのです」
受付にいる男子ロビン・ドルトスが理解できず、とりあえず、コーヒーを飲みほした。
「何がどうしたって?」
「だあからあああ、変な物体が出たのです、たくさんいるのです。だから、ハンターさん来てくださいですうう、機械が音楽流しているのです、怖いのですう」
とりあえず、ルゥルが足をどすどすと踏み鳴らし、彼女の頭や肩に乗っているペットのパルムとフェレットが一緒に怒っているため、ロビンは依頼を登録した。
領主もいるといっているし、ルゥルがパニック気味なことも踏まえると、変な何かが来ているのは事実だろうと理解した。
シャールズはマーク司祭とともに敵をうかがう。城壁に向かってやってきたそれらがどう行動するかによって、町の人を反対側から逃がすかどうか、家にこもっていればどうにかなるのかを考えないとならない。
「試しに矢を射かけるのも考えたが、そこで爆発されても困るのでやめた」
「ええ、そうですね」
「壁に当たると沿って移動して反対側に抜けるかもしれないとも考えた」
「そうなると、大きな街の方が……」
「ハンターがそっちから来るから問題ない」
話をしている間に、扉に変な物が当たった。壁があって進めないという感じに群がり始める。
宙に浮く球状のものは高さ一メートルほどを浮かんでいたが、壁に沿ってニメートルほどまで飛んでいく。
城壁の上で見張りしている兵から動揺が上がる。
上がるがそれ以上は上がらず、ふよふよしている。
「無害なのか?」
「この音に何かないという保証がないんですが?」
「確かにな」
シャールズとマークはじっとする。
それらは動いた。
音楽が一瞬途切れる。
球状の物の外装がぱかりと開き、銃弾のような物が激しく吐き出される。
車付きのオルゴールを鳴らす機械のような物は顔みたいなものがあった。そこから光が照射される。
「さすがにこれは、反撃するぞ」
シャールズはマテリアルを活性化させる。
「スキルは持っていないが……」
シャールズは城壁の通路に上がると、弓で敵を狙う。この状況によっては、他の者にも攻撃をさせるつもりだった。
命中すると敵が上にいると感じたのか、ビームが飛んでくる。
「あー、非覚醒者でも大丈夫だと思うけど」
不安が残る壁への攻撃痕だった。扉の耐久力が持たない気がしてきたのだった。
グラズヘイム王国の中央北東寄りの小さな町に領主がやってきていた。城壁がある町であるがれほど立派ではないが、街道がいくつもあるため必要であると言えば必要ではある。
使われることはないと思っていたが、昨年はこの城門が閉じられたのだった。ハンターのおかげで大きな被害は出なかったが、歪虚との戦いは無縁ではないと思い知らされたものであった。
領主のシャールズ・べリンガーはその外に出かける。薬草園を眺め、街道をつなぐ道を馬で進み、川を渡り戻ってくるルートである。林が多いが手入れはしてあるため、見通しが悪いということもない。兵を連れてはいるがのんびりとした視察。
「特に何もないな」
何もない方がいいに決まっている。しかし、リアルブルーでもクリムゾンウェストや東方でも色々起こっているため、ここに関係ないからといって何もないとは限らない。情報は得ておいて損はない。
シャールズはハンター仲間でこの町に住む司祭のところによって、茶でもすすりながら話を聞いてから帰ろうと思った。
薬草園の方から奇妙な乗り物に乗ってきた人物がいた。
「領主さん、こんにちは」
変な乗り物に乗ったルゥルが橋の手前の道の合流地点で止まり、挨拶をする。
「うん、こんにちは。それにしても珍しいもの乗っているね」
「ふりゃいんぐすれっどなのです。これなら、私でも操縦ができるのです」
「なるほど」
たぶん「フライングスレッド」だろうとシャールズは理解した。
「魔箒も持っているのです」
「……ルゥルちゃん、あまり、危険なことはしてはいけないよ?」
魔術師には空を飛ぶスキルもあったはずだから、色々考えるとシャールズは不安になる。
「しないですよ!」
ルゥルは何かを諭されたことが心外だったようだ。
「そういえば、マークはいるかな?」
「いましたですよ」
「なら寄っていこう」
ルゥルと一緒に橋を渡って町に入ろうとする。しかし、何か音がする。自分たちが来た方の道である。得体のしれないモノに追いかけらえるような状況だったと思うと、シャールズはなぜか背筋がぞくっとした。
音がすることは気のせいかと思ったが、ルゥルも同じ方向を見ているし、連れてきている兵士も見ている。
「……変な音なのです」
「……楽団というわけでもないが、妙にキンキンとした音だ」
シャールズは眉をしかめる。
「……リアルブルーに行ったとき、お店で聞いた音みたいです。えっと、ハンターさんが言うにはデンシオンだということです」
「デンシオン? つまり、リアルブルーの物があるということか?」
「分からないのです……でも、ピョウピョウ音楽のように聞こえますし」
シャールズは音の方を見つめる。
(危険物と考えるのもおかしいかもしれないがな)
無害な物が来る可能性だってあある。リアルブルーの物は転移しているのだから。
「何だあれは……」
シャールズは眉をしかめた。
音楽の内容はあるわけでなく、プーカプーカ、ピーピーという音が鳴り響くだけ。リズムや音程はあるのだが、何かわからない。ふわふわと浮かぶ金属ぽい球体と、オルゴールのような機械にタイヤと顔ぽいのがついたロボット風の物の二種類。
「あれを操っている人がいるのか? そもそも、あれはなんだ?」
シャールズはやってくる物の周囲を見る。誰かヒトがいるようではない。ただし、遠隔で操作できるならばその限りではない。
シャールズはそれを追い返すか否か検討する。言葉が通じるのか、それとも壊すなどしたほうがいいのか? 壊すとしても、壊した瞬間、何があるのか? おとなしく壊されてくれるのだろうかと様々考える。
「みぎゃあああ」
緊張に耐えかねたルゥルが声をあげた為、シャールズは考えるのは後回し、情報収集と戦闘の準をすべきだった。
「総員退避、門を閉める。ルゥルちゃんはマーク呼んで、その足で、ハンターソサエティで至急依頼を出してきてくれるかな?」
「分かりました!」
ルゥルはフライングスレッドのスピードを上げて、町に入っていった。
「威力偵察はしたいところだが……ただの機械か、雑魔かしている機械か?」
シャールズは立場を踏まえ、一旦退いた。
●緊急事態
街道をかっ飛ばし、ルゥルはハンターソサエティに駆け込む。
「ロビンさん、大変なのですぅうう、変な、ぴゅーがいて、領主さんと町が危険なのですぅうう。だから、ハンターさん呼んでくださいなのです」
受付にいる男子ロビン・ドルトスが理解できず、とりあえず、コーヒーを飲みほした。
「何がどうしたって?」
「だあからあああ、変な物体が出たのです、たくさんいるのです。だから、ハンターさん来てくださいですうう、機械が音楽流しているのです、怖いのですう」
とりあえず、ルゥルが足をどすどすと踏み鳴らし、彼女の頭や肩に乗っているペットのパルムとフェレットが一緒に怒っているため、ロビンは依頼を登録した。
領主もいるといっているし、ルゥルがパニック気味なことも踏まえると、変な何かが来ているのは事実だろうと理解した。
シャールズはマーク司祭とともに敵をうかがう。城壁に向かってやってきたそれらがどう行動するかによって、町の人を反対側から逃がすかどうか、家にこもっていればどうにかなるのかを考えないとならない。
「試しに矢を射かけるのも考えたが、そこで爆発されても困るのでやめた」
「ええ、そうですね」
「壁に当たると沿って移動して反対側に抜けるかもしれないとも考えた」
「そうなると、大きな街の方が……」
「ハンターがそっちから来るから問題ない」
話をしている間に、扉に変な物が当たった。壁があって進めないという感じに群がり始める。
宙に浮く球状のものは高さ一メートルほどを浮かんでいたが、壁に沿ってニメートルほどまで飛んでいく。
城壁の上で見張りしている兵から動揺が上がる。
上がるがそれ以上は上がらず、ふよふよしている。
「無害なのか?」
「この音に何かないという保証がないんですが?」
「確かにな」
シャールズとマークはじっとする。
それらは動いた。
音楽が一瞬途切れる。
球状の物の外装がぱかりと開き、銃弾のような物が激しく吐き出される。
車付きのオルゴールを鳴らす機械のような物は顔みたいなものがあった。そこから光が照射される。
「さすがにこれは、反撃するぞ」
シャールズはマテリアルを活性化させる。
「スキルは持っていないが……」
シャールズは城壁の通路に上がると、弓で敵を狙う。この状況によっては、他の者にも攻撃をさせるつもりだった。
命中すると敵が上にいると感じたのか、ビームが飛んでくる。
「あー、非覚醒者でも大丈夫だと思うけど」
不安が残る壁への攻撃痕だった。扉の耐久力が持たない気がしてきたのだった。
リプレイ本文
●事務所
ハンターオフィスにおいて、ルゥル(kz0210)から話を聞いた。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は依頼を聞いて眉をひそめ、ルゥルの言葉を反芻する。
「音楽鳴らしながらやってくる変な物?」
それを聞いたルゥルは激しく首を縦に振る。
「変なのです。リアルブルーで見ていませんし、この辺りでも見ません。あの音はリアルブルーぽいのです」
ミオレスカ(ka3496)はルゥルの話を聞いてふと思ったことがあった。
「謎の敵の襲来とは、何事でしょうか? 歪虚と初めて戦った人たちも、似たような気持ちだったのかもしれません」
最初については知ることは難しいだろうが、奇妙な敵を前にしたルゥルを見ているとなんとなく想像はできる。
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は敵の状況を聞き、首を傾げつつも目が輝いているように見える。
「音が何か、機械のようというならばどういうものか、ということは研究者としての血が騒ぎますが、状況を見てから判断はしないとなりませんね」
ツィスカは謎の物を調査する必要もあることを考えても、謎の物が敵かはこの時点ではわからない。
穂積 智里(ka6819)は話を聞き、急行するのにバイクが使えるか否か考えこんだ。
「その話からすると、狂気に属するものとも考えられますよね……」
機械への影響が出た場合、足を引っ張りかねない。ルゥルがマテリアルについて判断していないため、歪虚かもわかっていない。
エステル・ソル(ka3983)は頭の中で疑問符が大量に浮かんでいる。ルゥル自体がわかっていないため説明が要領を得ないのは仕方がない。重要なことは明確で、状況を確認して対処することだった。
「なんだかよくわかりませんが、大変なことが起きています!? ラピスさんに乗って急いで駆けつけるのです」
エステルの連れている馬が名前を呼ばれ、やる気を見せた。
ルベーノ・バルバライン(ka6752)はルゥルの話を聞いて鷹揚にうなずく。
「人形や機械なら、嫉妬だろう。ともかく、敵ならば倒すのみ。さあ、行こう」
人数がそろったのだから、進まない理由はなかった。
馬やバイクで町に向かった。普段は気にならない距離であっても、急ぐとなると気がせき距離を感じる。
全力で進んだハンターたちは無事町に到着する。町は静かであり何か起こっているかわからない。普段ならば人の通りもあるだろうが、道には一人も通行人がいないため、隠れているのがよくわかった。
町の反対側に到着すると状況は一転する。
門を破って謎の物体が入り込み、明らかに攻撃をしてきている状況だった。
●現場
ルベーノは到着すると状況を確認する。そのまま、戦場となっている城壁に向かう。
なだれ込んだ謎のモノに対し応対する兵や剣を抜いた男がいるのを見た。
「門の向こうは任せておけ」
馬と別れると城門の外の敵に向かう。
そこにいる物はルゥルが変な物と言っているだけあり、機械的だという以外何もわからない。
「こっちにこい、俺が相手だ!」
言葉をかけ、こぶしを振るった。
ミオレスカ、エステルとピアレーチェが町に到着する。
エステルは馬を手前に置いた後、【マジックフライト】を用いて現場に急ぐ。
乗騎のまま駆け抜けたミオレスは射程に入った瞬間、狙う敵を定めた。謎の相手や無機質と言うこともあり、誘爆する危険性も視野に入れていた。
「試しに……狙ってみますね」
大火弓をに矢をつがえると【遠射】を用いて【高加速射撃】を放った。丸くふわふわ浮かぶそれに命中はした。幸いなことに爆発や誘爆することはなかった。しかし、一撃では落とされず浮かんでいた。
「結構固いのかもしれません」
ミオレスカはなんとなく手ごたえからそう感じた。ただし、攻撃は効いていないわけではないため、次の攻撃をするため、少し移動した。
ピアレーチェは侵入ようとしている敵を狙い【プルガトリオ】を放った。闇の刃が敵に突き刺さり、行動を阻む。敵の動きを阻んでいるうちに領主との接触を図りたかった。
「領主さん、いますー? ルゥルちゃんに言われて来たハンターですー」
声をかけると、城壁の上の通路で門の近くにいる領主から返答がある。ピアレーチェは魔箒を用いて城壁の上に向かった。
追いついたエステルはそのまま【マジックフライト】で城壁の上に下りる。
「全体の戦況を把握するのも大事なことなのです」
門の外にルベーノが出ているのと、中に謎の存在が入り込んでいるのが分かった。
「危険があるときは言ってくださいですー。【アースウォール】」
エステルは大きく声をかけた。ルベーノからの了解のしぐさを受け、魔法を使った。
ツィスカと智里が城門をくぐる。
「狂気か否か、今は気にしてもしょうがないですよね」
智里はバイクをそのまま走らせる。一つずつ対処していかないとならない。まずはそのまま城壁に上がることを検討し、城壁の上に登りやすいところを探し当てる。
「確かに……音がします。音の効果や物体の目的が不明ですと疑心暗鬼をあおるだけですが」
ツィスカは呟く。バビエーカで城壁の側まで近づき、領主の姿を認めるとバビエーカから下り、【ジェットブーツ】で通路に上がった。
ルベーノは取り囲まれている状況であるが、攻撃を受ける条件があることに気づく。それらの侵攻を妨害すると攻撃を受けるのだ。この件については後でシャールズの見解も裏付けとなる。
「しかしっ、それは町に近づけるということになる」
前に立ちふさがる必要はある。アースウォールがあったとしても、それを壊したり、効果時間が切れれば敵は中に入っていく。ここで倒すのは意味があった。
「何を騒いでいるのかわからないが、行くぞ」
音が何を意味するかは分からない。彼に今のところ影響はなかった。
ルベーノはオルゴールの機械に車や顔を付けたようなそれに【鎧徹し】を用いて攻撃を叩き込んだ。
シャールズはハンターが来たということに安堵する。
「領主さん、どういう状況? ここ以外に被害は出ていない?」
ピアレーチェの言葉に「見える範囲が戦場だ」とシャールズは言う。
「侵入されるのを防ぐために門を閉じたら、こうなった。どうやら、進路妨害すると攻撃してくるらしい」
シャールズは追加で答えた。その上、「壁があるから迂回して進むのではなく、壊して進むらしい」とため息を漏らした。
「あなたは後退してください。ルゥルが来るだろうからそちらに向かってほしいです。マーク司祭には怪我の治療にスキルを使うことを優先してください」
ツィスカが声をかける。
「君達が来てここで退避する意味はないよ? 見届けないといけない」
「退いてください。せめて、戦場の真上でなく、守られるところにいてください」
シャールズはツィスカの言葉の後、マークが「退いてください、領主なんですよ」となだめてきたため、おとなしく場を離れた。マークはシャールズについて離れるが、戦場との間に位置を選ぶ。
ミオレスカは敵を素早く倒すことを念頭に置いた行動に移る。
「誘爆しないということを前提に行きます」
ミオレスカの【リトリビューション】が敵に叩き込まれる。誘爆しないと思われるものと同じ個体と狙った。
エステルは城壁の上にいる兵士に声をかける。
「侵入は少し止まるのです。町側にいる謎の物体Xが入っていかないように弓で牽制してほしいのです」
続いて城壁の内側にいる兵士に告げる。
「味方の怪我人さんを安全な場所まで移動するのを優先さてくださいです」
声をかけ終わった後、エステルはアイテムの力を用い【星鳥】を拡大させ放つ。丸いのはすばしっこく避けてしまうのもあったが、損害も出している。
智里は城壁の通路に上がったところで状況を確認し、攻撃方法を選択する。
「ここからでも届きますね【ファイア―スローワー】」
智里は味方を巻き込まないことを確認の上、機導術を放った。
そこに仲間の攻撃を見て、ツィスカは弱っていそうな敵に対して魔導銃で狙う。一体でも確実に止めるためだった。
「近くで聞いていても、音に関してはうるさい以外何もないみたいですね」
ツィスカの眉間にしわが寄る。精神への魔法的な影響と言うより、ただうるさいだけでも影響はある物だった。
ピアレーチェは城壁から飛び降りると同時に、近くの敵に対して攻撃をする。
「歪虚かどうかよくわからないけど、調べるのは叩きのめしてからでもいいよね」
ピアレーチェが【ストライクブロー】を用いてメイスでぶん殴った。地面にたたきつけられた敵は動かなくなる。
ハンターたちの攻撃を受けた機械めいたそれらは塵となって消えた。
近づくと分かることであるが、負のマテリアルを感じるため、歪虚や雑魔の類の可能性が高かった。
城壁の外で戦っているルベーノの元でも車付きで地面を移動していた謎の物体が砕け散り、無に返る。
「むぅ、霧散した? やはり歪虚ということでは間違いないな」
それでもまだ何体もの敵がいるし、アースウォールに群がり攻撃をしていた。
●討伐
ふわりふわりと浮かぶものに対して、近接で武器を当てるのは難しいようだった。一メートルあたりからニメートルあたりまで、浮かんでいる場所が上下する為である。
「身長や武器の長さによって影響は出ますね」
ツィスカは分析する。ここにきているハンターは魔法やスキルで対応できるようにしてある。ツィスカ自身も射撃および機導術を中心に攻撃している。
「確かに進路を妨害すると攻撃してくるのですね」
シャールズの言葉を裏付けることである。前に立つと攻撃してくるし、それに対して攻撃が当たると反撃してくるのだ。
「これは結局何でしょうか?」
謎の音についても効果がわからない。
エステルはできる限り音を聞かないようにする。
「耳障りなのは確かなのです」
しかし、今現在影響が出ているように見えない。
覚醒者である自分たち以上に本来なら兵士たちに影響が出ている可能性もある。しかし、特にそれも現在のところうかがえない。
「それはないのです?」
エステルは考えつつも、敵となっている謎の物体を侵入させないや倒すことに力を注ぐ。
再度【アースウォール】を作った。
ピアレーチェは敵を押しとどめておくべきか攻撃するかを検討する。
「うん、壁があるから中に入れないことの方が重要だね」
敵の動きを見てスキルを決める。
「調べるのは叩きのめしてからでもいいと思ったけど……結局、雑魔とか歪虚とかってだけかな?」
近づいてきた敵にメイスを振るった。見た目が変わっている、何か音を出しているというだけだったのかもしれない。
智里は首をかしげる。
「リアルブルーの物ではないとは思いますね」
リアルブルーにいたときにこれらを見たかと言われれば見たことがない。むろん、すべての物を見てこられたわけではない。
「転移して雑魔化しているということだってなくはないですよね」
【ファイアースローワー】を放つ。固いようだが、智里の攻撃や他の者の攻撃が二度ほど当たるとたいてい消える。
城壁の上から敵の状況を見極め、次の行動を模索する。
すでに城壁の内部に侵入したものは無に返った。
ミオレスカは城門の内側、つまり町側の敵が一掃されたのを見て、アースウォールが切れた瞬間そちら側に出る。
「敵が見えないと当てられませんからね」
ルベーノの位置を確認後、【リトリビューション】を放つ。地上にいる物より浮いている物を優先として狙う。
「中は片付いたのか」
ルベーノは援軍に気づいて声をかける。
「はい、後はこちらだけです」
「援護もあり、後方に壁もある。つまり、俺たちがいる限り、抜かせん! 滅びろ、嫉妬!」
ルベーノは気合十分にこぶしを振るった。
内部が片付いたことで、城壁の上にいる者からは援護の攻撃があった。
そのため、残っていた敵が倒れるのに時間はかからなかった。
ルゥルが到着したころには一通り片付いていた。
「皆、早いのです……お馬……」
次なる乗り物を検討し始めていた。
●結局のところ
「歪虚でもこれは嫉妬の眷属だろう?」
ルベーノが自信満々に言う。
「確かに人形めいたものでしたけど、狂気もありうるかもしれません?」
「機械なら嫉妬の眷属だろう? 違ったか?」
「いえ、扱い方等が違うので……ただ……今回は眷属というより、機械が雑魔化していただけという方が良いのかもしれませんね」
「結局は何かわからずじまいと言うことだな」
ルベーノは智里の推測を素直に受け入れる。間違いは間違いと認めるし、結局のところ敵の正体が不明だった。
「リアルブルーの音楽を出すもの? 出すもの、リアルブルーで?」
残骸が残らなかったためピアレーチェは記憶をたどるが、それらしいものはない。クリムゾンウェストに比べると科学技術は何でもあってもおかしくはない気がしてしまう。
「……うん、さっぱりわからない。だから、ルゥルちゃんのパニックなんだよね」
ピアレーチェはルゥルを見ると彼女はなぜか唇を尖らせている。
「何かが残っていたら、ルゥルさんのフライングスレッドに取り付けて、楽し気な乗り物として進化させられたかもしれません」
ミオレスカは漏らした言葉に、ルゥルは驚いた顔になる。
「ど、どうなのでしょう?」
「機械は機械ですし、雑魔化しているならしているで残ったものは材料にはなりますが……」
ツィスカは雑魔でありうることを告げる。何も残らなかったために調査がはかどらないと感じるが、現状、わかったのは音自体がうるさい以外影響がなかったということだ。
「ルゥルさんは何を見ているのです?」
エステルが見るとルゥルはバイクや馬を見ている。
「何でもないのですよ」
明らかに挙動不審な首の振り方だ。
「ルゥルさんは魔法の修行は進んでいるのです?」
ルゥルの目が泳ぐ。
「頑張れば、独自の魔法も使えるようになるのです」
「独自の魔法?」
エステルは自分の魔法を例に説明した。
「なるほどなのですぅ」
「しっかり練習すればキノコマジックアローも可能です?」
「ファイアーキノコ……」
「えっ!」
ファイアアローかファイアーボールが検討の対象になったようだが、ルゥルは目をキラキラさせていた。
兵士の手当てや自分たちの手当など終えた。片付けも始まる。
「城門を直す手伝いをしますね」
ミオレスカが当たっていた火の側から立ち上がる。
「気持ちはありがたいな」
シャールズは城門を見てため息を漏らした。
「正直言うと直しても次も持たないということだよ」
どうしたものかとシャールズは言う。
「これが、各地であったとか……ないと思いたいのだが……」
「まあ、できることは手伝うぞ」
ルベーノがカラッと言ったため、シャールズも「それはそうだ」と肩をすくめた。
ハンターオフィスにおいて、ルゥル(kz0210)から話を聞いた。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は依頼を聞いて眉をひそめ、ルゥルの言葉を反芻する。
「音楽鳴らしながらやってくる変な物?」
それを聞いたルゥルは激しく首を縦に振る。
「変なのです。リアルブルーで見ていませんし、この辺りでも見ません。あの音はリアルブルーぽいのです」
ミオレスカ(ka3496)はルゥルの話を聞いてふと思ったことがあった。
「謎の敵の襲来とは、何事でしょうか? 歪虚と初めて戦った人たちも、似たような気持ちだったのかもしれません」
最初については知ることは難しいだろうが、奇妙な敵を前にしたルゥルを見ているとなんとなく想像はできる。
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は敵の状況を聞き、首を傾げつつも目が輝いているように見える。
「音が何か、機械のようというならばどういうものか、ということは研究者としての血が騒ぎますが、状況を見てから判断はしないとなりませんね」
ツィスカは謎の物を調査する必要もあることを考えても、謎の物が敵かはこの時点ではわからない。
穂積 智里(ka6819)は話を聞き、急行するのにバイクが使えるか否か考えこんだ。
「その話からすると、狂気に属するものとも考えられますよね……」
機械への影響が出た場合、足を引っ張りかねない。ルゥルがマテリアルについて判断していないため、歪虚かもわかっていない。
エステル・ソル(ka3983)は頭の中で疑問符が大量に浮かんでいる。ルゥル自体がわかっていないため説明が要領を得ないのは仕方がない。重要なことは明確で、状況を確認して対処することだった。
「なんだかよくわかりませんが、大変なことが起きています!? ラピスさんに乗って急いで駆けつけるのです」
エステルの連れている馬が名前を呼ばれ、やる気を見せた。
ルベーノ・バルバライン(ka6752)はルゥルの話を聞いて鷹揚にうなずく。
「人形や機械なら、嫉妬だろう。ともかく、敵ならば倒すのみ。さあ、行こう」
人数がそろったのだから、進まない理由はなかった。
馬やバイクで町に向かった。普段は気にならない距離であっても、急ぐとなると気がせき距離を感じる。
全力で進んだハンターたちは無事町に到着する。町は静かであり何か起こっているかわからない。普段ならば人の通りもあるだろうが、道には一人も通行人がいないため、隠れているのがよくわかった。
町の反対側に到着すると状況は一転する。
門を破って謎の物体が入り込み、明らかに攻撃をしてきている状況だった。
●現場
ルベーノは到着すると状況を確認する。そのまま、戦場となっている城壁に向かう。
なだれ込んだ謎のモノに対し応対する兵や剣を抜いた男がいるのを見た。
「門の向こうは任せておけ」
馬と別れると城門の外の敵に向かう。
そこにいる物はルゥルが変な物と言っているだけあり、機械的だという以外何もわからない。
「こっちにこい、俺が相手だ!」
言葉をかけ、こぶしを振るった。
ミオレスカ、エステルとピアレーチェが町に到着する。
エステルは馬を手前に置いた後、【マジックフライト】を用いて現場に急ぐ。
乗騎のまま駆け抜けたミオレスは射程に入った瞬間、狙う敵を定めた。謎の相手や無機質と言うこともあり、誘爆する危険性も視野に入れていた。
「試しに……狙ってみますね」
大火弓をに矢をつがえると【遠射】を用いて【高加速射撃】を放った。丸くふわふわ浮かぶそれに命中はした。幸いなことに爆発や誘爆することはなかった。しかし、一撃では落とされず浮かんでいた。
「結構固いのかもしれません」
ミオレスカはなんとなく手ごたえからそう感じた。ただし、攻撃は効いていないわけではないため、次の攻撃をするため、少し移動した。
ピアレーチェは侵入ようとしている敵を狙い【プルガトリオ】を放った。闇の刃が敵に突き刺さり、行動を阻む。敵の動きを阻んでいるうちに領主との接触を図りたかった。
「領主さん、いますー? ルゥルちゃんに言われて来たハンターですー」
声をかけると、城壁の上の通路で門の近くにいる領主から返答がある。ピアレーチェは魔箒を用いて城壁の上に向かった。
追いついたエステルはそのまま【マジックフライト】で城壁の上に下りる。
「全体の戦況を把握するのも大事なことなのです」
門の外にルベーノが出ているのと、中に謎の存在が入り込んでいるのが分かった。
「危険があるときは言ってくださいですー。【アースウォール】」
エステルは大きく声をかけた。ルベーノからの了解のしぐさを受け、魔法を使った。
ツィスカと智里が城門をくぐる。
「狂気か否か、今は気にしてもしょうがないですよね」
智里はバイクをそのまま走らせる。一つずつ対処していかないとならない。まずはそのまま城壁に上がることを検討し、城壁の上に登りやすいところを探し当てる。
「確かに……音がします。音の効果や物体の目的が不明ですと疑心暗鬼をあおるだけですが」
ツィスカは呟く。バビエーカで城壁の側まで近づき、領主の姿を認めるとバビエーカから下り、【ジェットブーツ】で通路に上がった。
ルベーノは取り囲まれている状況であるが、攻撃を受ける条件があることに気づく。それらの侵攻を妨害すると攻撃を受けるのだ。この件については後でシャールズの見解も裏付けとなる。
「しかしっ、それは町に近づけるということになる」
前に立ちふさがる必要はある。アースウォールがあったとしても、それを壊したり、効果時間が切れれば敵は中に入っていく。ここで倒すのは意味があった。
「何を騒いでいるのかわからないが、行くぞ」
音が何を意味するかは分からない。彼に今のところ影響はなかった。
ルベーノはオルゴールの機械に車や顔を付けたようなそれに【鎧徹し】を用いて攻撃を叩き込んだ。
シャールズはハンターが来たということに安堵する。
「領主さん、どういう状況? ここ以外に被害は出ていない?」
ピアレーチェの言葉に「見える範囲が戦場だ」とシャールズは言う。
「侵入されるのを防ぐために門を閉じたら、こうなった。どうやら、進路妨害すると攻撃してくるらしい」
シャールズは追加で答えた。その上、「壁があるから迂回して進むのではなく、壊して進むらしい」とため息を漏らした。
「あなたは後退してください。ルゥルが来るだろうからそちらに向かってほしいです。マーク司祭には怪我の治療にスキルを使うことを優先してください」
ツィスカが声をかける。
「君達が来てここで退避する意味はないよ? 見届けないといけない」
「退いてください。せめて、戦場の真上でなく、守られるところにいてください」
シャールズはツィスカの言葉の後、マークが「退いてください、領主なんですよ」となだめてきたため、おとなしく場を離れた。マークはシャールズについて離れるが、戦場との間に位置を選ぶ。
ミオレスカは敵を素早く倒すことを念頭に置いた行動に移る。
「誘爆しないということを前提に行きます」
ミオレスカの【リトリビューション】が敵に叩き込まれる。誘爆しないと思われるものと同じ個体と狙った。
エステルは城壁の上にいる兵士に声をかける。
「侵入は少し止まるのです。町側にいる謎の物体Xが入っていかないように弓で牽制してほしいのです」
続いて城壁の内側にいる兵士に告げる。
「味方の怪我人さんを安全な場所まで移動するのを優先さてくださいです」
声をかけ終わった後、エステルはアイテムの力を用い【星鳥】を拡大させ放つ。丸いのはすばしっこく避けてしまうのもあったが、損害も出している。
智里は城壁の通路に上がったところで状況を確認し、攻撃方法を選択する。
「ここからでも届きますね【ファイア―スローワー】」
智里は味方を巻き込まないことを確認の上、機導術を放った。
そこに仲間の攻撃を見て、ツィスカは弱っていそうな敵に対して魔導銃で狙う。一体でも確実に止めるためだった。
「近くで聞いていても、音に関してはうるさい以外何もないみたいですね」
ツィスカの眉間にしわが寄る。精神への魔法的な影響と言うより、ただうるさいだけでも影響はある物だった。
ピアレーチェは城壁から飛び降りると同時に、近くの敵に対して攻撃をする。
「歪虚かどうかよくわからないけど、調べるのは叩きのめしてからでもいいよね」
ピアレーチェが【ストライクブロー】を用いてメイスでぶん殴った。地面にたたきつけられた敵は動かなくなる。
ハンターたちの攻撃を受けた機械めいたそれらは塵となって消えた。
近づくと分かることであるが、負のマテリアルを感じるため、歪虚や雑魔の類の可能性が高かった。
城壁の外で戦っているルベーノの元でも車付きで地面を移動していた謎の物体が砕け散り、無に返る。
「むぅ、霧散した? やはり歪虚ということでは間違いないな」
それでもまだ何体もの敵がいるし、アースウォールに群がり攻撃をしていた。
●討伐
ふわりふわりと浮かぶものに対して、近接で武器を当てるのは難しいようだった。一メートルあたりからニメートルあたりまで、浮かんでいる場所が上下する為である。
「身長や武器の長さによって影響は出ますね」
ツィスカは分析する。ここにきているハンターは魔法やスキルで対応できるようにしてある。ツィスカ自身も射撃および機導術を中心に攻撃している。
「確かに進路を妨害すると攻撃してくるのですね」
シャールズの言葉を裏付けることである。前に立つと攻撃してくるし、それに対して攻撃が当たると反撃してくるのだ。
「これは結局何でしょうか?」
謎の音についても効果がわからない。
エステルはできる限り音を聞かないようにする。
「耳障りなのは確かなのです」
しかし、今現在影響が出ているように見えない。
覚醒者である自分たち以上に本来なら兵士たちに影響が出ている可能性もある。しかし、特にそれも現在のところうかがえない。
「それはないのです?」
エステルは考えつつも、敵となっている謎の物体を侵入させないや倒すことに力を注ぐ。
再度【アースウォール】を作った。
ピアレーチェは敵を押しとどめておくべきか攻撃するかを検討する。
「うん、壁があるから中に入れないことの方が重要だね」
敵の動きを見てスキルを決める。
「調べるのは叩きのめしてからでもいいと思ったけど……結局、雑魔とか歪虚とかってだけかな?」
近づいてきた敵にメイスを振るった。見た目が変わっている、何か音を出しているというだけだったのかもしれない。
智里は首をかしげる。
「リアルブルーの物ではないとは思いますね」
リアルブルーにいたときにこれらを見たかと言われれば見たことがない。むろん、すべての物を見てこられたわけではない。
「転移して雑魔化しているということだってなくはないですよね」
【ファイアースローワー】を放つ。固いようだが、智里の攻撃や他の者の攻撃が二度ほど当たるとたいてい消える。
城壁の上から敵の状況を見極め、次の行動を模索する。
すでに城壁の内部に侵入したものは無に返った。
ミオレスカは城門の内側、つまり町側の敵が一掃されたのを見て、アースウォールが切れた瞬間そちら側に出る。
「敵が見えないと当てられませんからね」
ルベーノの位置を確認後、【リトリビューション】を放つ。地上にいる物より浮いている物を優先として狙う。
「中は片付いたのか」
ルベーノは援軍に気づいて声をかける。
「はい、後はこちらだけです」
「援護もあり、後方に壁もある。つまり、俺たちがいる限り、抜かせん! 滅びろ、嫉妬!」
ルベーノは気合十分にこぶしを振るった。
内部が片付いたことで、城壁の上にいる者からは援護の攻撃があった。
そのため、残っていた敵が倒れるのに時間はかからなかった。
ルゥルが到着したころには一通り片付いていた。
「皆、早いのです……お馬……」
次なる乗り物を検討し始めていた。
●結局のところ
「歪虚でもこれは嫉妬の眷属だろう?」
ルベーノが自信満々に言う。
「確かに人形めいたものでしたけど、狂気もありうるかもしれません?」
「機械なら嫉妬の眷属だろう? 違ったか?」
「いえ、扱い方等が違うので……ただ……今回は眷属というより、機械が雑魔化していただけという方が良いのかもしれませんね」
「結局は何かわからずじまいと言うことだな」
ルベーノは智里の推測を素直に受け入れる。間違いは間違いと認めるし、結局のところ敵の正体が不明だった。
「リアルブルーの音楽を出すもの? 出すもの、リアルブルーで?」
残骸が残らなかったためピアレーチェは記憶をたどるが、それらしいものはない。クリムゾンウェストに比べると科学技術は何でもあってもおかしくはない気がしてしまう。
「……うん、さっぱりわからない。だから、ルゥルちゃんのパニックなんだよね」
ピアレーチェはルゥルを見ると彼女はなぜか唇を尖らせている。
「何かが残っていたら、ルゥルさんのフライングスレッドに取り付けて、楽し気な乗り物として進化させられたかもしれません」
ミオレスカは漏らした言葉に、ルゥルは驚いた顔になる。
「ど、どうなのでしょう?」
「機械は機械ですし、雑魔化しているならしているで残ったものは材料にはなりますが……」
ツィスカは雑魔でありうることを告げる。何も残らなかったために調査がはかどらないと感じるが、現状、わかったのは音自体がうるさい以外影響がなかったということだ。
「ルゥルさんは何を見ているのです?」
エステルが見るとルゥルはバイクや馬を見ている。
「何でもないのですよ」
明らかに挙動不審な首の振り方だ。
「ルゥルさんは魔法の修行は進んでいるのです?」
ルゥルの目が泳ぐ。
「頑張れば、独自の魔法も使えるようになるのです」
「独自の魔法?」
エステルは自分の魔法を例に説明した。
「なるほどなのですぅ」
「しっかり練習すればキノコマジックアローも可能です?」
「ファイアーキノコ……」
「えっ!」
ファイアアローかファイアーボールが検討の対象になったようだが、ルゥルは目をキラキラさせていた。
兵士の手当てや自分たちの手当など終えた。片付けも始まる。
「城門を直す手伝いをしますね」
ミオレスカが当たっていた火の側から立ち上がる。
「気持ちはありがたいな」
シャールズは城門を見てため息を漏らした。
「正直言うと直しても次も持たないということだよ」
どうしたものかとシャールズは言う。
「これが、各地であったとか……ないと思いたいのだが……」
「まあ、できることは手伝うぞ」
ルベーノがカラッと言ったため、シャールズも「それはそうだ」と肩をすくめた。
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【相談】変なもの退治? エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/12/20 02:40:29 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/18 18:52:57 |