ゲスト
(ka0000)
【東幕】竹林と妖怪と
マスター:狐野径
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/01/22 19:00
- 完成日
- 2019/02/03 21:08
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●風邪
松永 光頼は大江家からの連絡に驚いた。父を説得し、少人数の供を連れ、馬を飛ばして師岬に向かう。情勢の不安定さはひしひしと感じているが、前線に出ない限り父で対応できるから都は留守にした。
光頼たちはある程度武装はする。どこで歪虚と対峙するかわからないからだ。
師岬が里らしくなっているの驚くが、それは着くとピリピリとした空気に消される。彼らが武家であることがわかる上、ここに来る歪虚がいることをうかがわせる。
大江 紅葉の師匠・吉備 灯世が到着した光頼を見つけ手招きをしている。
「おおい、光頼殿」
「弟が世話になっていると伺いました」
「うん、元気だぞ。本当、ハンターたちが疑ったようなことがなくてよかったと思うな」
「え?」
灯世は彼が歪虚と契約していたりする可能性があったことを告げた。
「そ、それは……」
「これまで妖怪と対峙していた我々とてないとはいいきれん。もし、大切な主を殺されたくなければとか言われて首肯する忠臣もいるだろうし、その逆もしかり」
灯世は暗く笑う。
「ところで……」
「こちらで話そう。まずは埃を落としなさい」
灯世は飄々としているが有無を言わせない。光頼は弟の姿を見るまで安心はできない。
足を湯で洗い、武装を解いて埃を落とす。そして、部屋に案内された。
部屋には弟・光月がいた。側近としてつけていた男もいる。彼は頭を深く下げていた。
「いい、お前の責任ではない。光月、無事で何より」
「しかし……」
「全滅だってあったのだ。むろん、犠牲になった者には気の毒だ、が……兄として言えば、お前が無事でよかった」
「……兄上……大江様に助けていただかなければ我々は本当に全滅でした。運が良かったとしか言えません」
光月は一通り兄に話してほっとしたようだ。
「そういえば紅葉殿に礼を言わないといけないのですが」
同席している灯世に光頼は告げる。
「今日は見ておらん……何も厄介ごとに首を突っ込んでいなければいいんだが」
廊下を走る音がするとバーンと戸が開けられた。
「師匠!」
「お前は少し礼儀を考えよ! 怪我人とその家族がいるというのに」
さすがに灯世は怒った。しかし、紅葉は妙に興奮しているらしい上に堪えていない。
「えっと……師匠、打って出ます」
「は?」
「このままだとじりじり貧乏です」
「それだけの兵力はないぞ」
「分かっています。ハンターに頼みます」
ウキウキ声の紅葉は地図を取り出す。
「光月殿が通ったルートはここです。ただ、この先は古地図や都で見つけた地図での照合で確実性はありません。ただ、ここまでは道が一本というのは分かっています。だから、ここで敵を討てればかなり楽です」
「里から離れすぎるし、一過性にならないか?」
「分かっています。敵だって有限ではないはずです。立花院様も動いていますよね? なら、ここを防ぎきれれば師岬は万々歳です」
紅葉は王都で情報を集めた。知追う者別名知識食い。だが、灯世は紅葉の思考がどこか飛んでいることに気づいて観察する。
「この辺りに資材もあるのです! だから抑えないと」
「お前、そっちか」
「重要です。スメラギ(kz0158)様が打ち出したことがどうなるかもわかりません。師岬なんて名前つけましたけれど、嫌な方向に決まれば私たちの行動は水泡に帰す。だから頑張ってやらないといけないのです」
紅葉が妙にしゃべる中、灯世は黙った。やはり、事実も言っているがどこかおかしい。違和感は真っ赤な顔と荒いく熱い呼吸だ。
「……お前、風邪ひいてるだろ」
「何を言っているんですか! 元気そのものですよ! ふわふわしていますけど」
「寝ろ、今すぐ家に帰って寝ろ!」
反論する紅葉の首根っこを掴んで、灯世は部屋を後にした。
兄弟と側近が残された。
「兄上……どうにかできないものでしょうか? 松永家の兵力を裂くことはできないのは解かります」
松永の兵力の問題だけでなく、公家がここは根を張っている場所である。
「……前から気になってはいましたが、兄上、いいんですか、紅葉様のこと?」
「ん? 灯世殿もいるし、家令たちもいるから大丈夫だろう」
光月は珍獣を見るように兄を見つめた。
(兄上の上司や周り、灯世様も、兄上とあの方を結婚させようとしていたという話がありましたよね。女性の話をしない兄上から聞く女性と言ったら……でしたし、距離を詰めていたとか聞いていたんですけど……双方鈍い……非常に鈍い……)
公家の大江家宗主と武家の松永家次期当主の光頼ではもめるかもしれない現実もある。
光月は兄の幸せも重要だと思ってはいた。実際の二人を見ると相性はよさそうだが、恋愛まで到達していないと直感する。
「……もし、私が、紅葉様の入り婿になりたいと言ったら兄上はどうします?」
その瞬間、光頼の表情が衝撃を表したが、次には表情が消えた。
「それはそれでいいと思うぞ」
「ちょ、待ってください兄上! 物のたとえです。なんで、兄上が紅葉様と結婚しないのですか!」
「……は?」
「だって!」
光月はどう説明するか悩んだ挙句、困った。
●依頼
灯世はハンターに依頼を出しに行く。紅葉の風邪は治っているだろうけれど、家臣たちが家から出さないだろう。普段は自由だが、一旦問題が起こるとあの家は宗主に甘く厳しい。
「それより、なんで、あの兄弟ぎくしゃくしはいじめているんだ?」
灯世の家に泊まっている光頼と光月だが、紅葉を送り届けた後からおかしい。
その家臣たちも困惑しているため試しに聞いたが、何とも言えない顔をして口をつぐんだ。その上、一部の家臣たちの空気も悪い。
「……お家騒動をこっちにもって来られても困るんだが……」
ハンターオフィスに依頼は出すという仕事はこなしておく。職員は灯世の出現に驚くが、紅葉の代理だと知り、状況はおおむね把握する。
「依頼と言うのはそのあたりにいる妖怪の討伐と本当に竹林があるか見てくることだ」
「汚染されていたんですよね……」
「とはいえ、解放されてそれなりに時間も経っているし、こちらも浄化の試みをしていないわけではない」
「そうですよね……陰陽寮の符術師二人もいるんですから」
職員は納得した。
「どうなるんでしょうかね……」
「生きることが大切だからね。衣食住を確保して、妖怪と戦って……」
灯世はふと解放される前を思い出す。最近頻繁に比べるようになったのは、それなりの時間が経ち変わったからだろう。
「道は続く……まだ、先まで」
灯世は呟いた。
松永 光頼は大江家からの連絡に驚いた。父を説得し、少人数の供を連れ、馬を飛ばして師岬に向かう。情勢の不安定さはひしひしと感じているが、前線に出ない限り父で対応できるから都は留守にした。
光頼たちはある程度武装はする。どこで歪虚と対峙するかわからないからだ。
師岬が里らしくなっているの驚くが、それは着くとピリピリとした空気に消される。彼らが武家であることがわかる上、ここに来る歪虚がいることをうかがわせる。
大江 紅葉の師匠・吉備 灯世が到着した光頼を見つけ手招きをしている。
「おおい、光頼殿」
「弟が世話になっていると伺いました」
「うん、元気だぞ。本当、ハンターたちが疑ったようなことがなくてよかったと思うな」
「え?」
灯世は彼が歪虚と契約していたりする可能性があったことを告げた。
「そ、それは……」
「これまで妖怪と対峙していた我々とてないとはいいきれん。もし、大切な主を殺されたくなければとか言われて首肯する忠臣もいるだろうし、その逆もしかり」
灯世は暗く笑う。
「ところで……」
「こちらで話そう。まずは埃を落としなさい」
灯世は飄々としているが有無を言わせない。光頼は弟の姿を見るまで安心はできない。
足を湯で洗い、武装を解いて埃を落とす。そして、部屋に案内された。
部屋には弟・光月がいた。側近としてつけていた男もいる。彼は頭を深く下げていた。
「いい、お前の責任ではない。光月、無事で何より」
「しかし……」
「全滅だってあったのだ。むろん、犠牲になった者には気の毒だ、が……兄として言えば、お前が無事でよかった」
「……兄上……大江様に助けていただかなければ我々は本当に全滅でした。運が良かったとしか言えません」
光月は一通り兄に話してほっとしたようだ。
「そういえば紅葉殿に礼を言わないといけないのですが」
同席している灯世に光頼は告げる。
「今日は見ておらん……何も厄介ごとに首を突っ込んでいなければいいんだが」
廊下を走る音がするとバーンと戸が開けられた。
「師匠!」
「お前は少し礼儀を考えよ! 怪我人とその家族がいるというのに」
さすがに灯世は怒った。しかし、紅葉は妙に興奮しているらしい上に堪えていない。
「えっと……師匠、打って出ます」
「は?」
「このままだとじりじり貧乏です」
「それだけの兵力はないぞ」
「分かっています。ハンターに頼みます」
ウキウキ声の紅葉は地図を取り出す。
「光月殿が通ったルートはここです。ただ、この先は古地図や都で見つけた地図での照合で確実性はありません。ただ、ここまでは道が一本というのは分かっています。だから、ここで敵を討てればかなり楽です」
「里から離れすぎるし、一過性にならないか?」
「分かっています。敵だって有限ではないはずです。立花院様も動いていますよね? なら、ここを防ぎきれれば師岬は万々歳です」
紅葉は王都で情報を集めた。知追う者別名知識食い。だが、灯世は紅葉の思考がどこか飛んでいることに気づいて観察する。
「この辺りに資材もあるのです! だから抑えないと」
「お前、そっちか」
「重要です。スメラギ(kz0158)様が打ち出したことがどうなるかもわかりません。師岬なんて名前つけましたけれど、嫌な方向に決まれば私たちの行動は水泡に帰す。だから頑張ってやらないといけないのです」
紅葉が妙にしゃべる中、灯世は黙った。やはり、事実も言っているがどこかおかしい。違和感は真っ赤な顔と荒いく熱い呼吸だ。
「……お前、風邪ひいてるだろ」
「何を言っているんですか! 元気そのものですよ! ふわふわしていますけど」
「寝ろ、今すぐ家に帰って寝ろ!」
反論する紅葉の首根っこを掴んで、灯世は部屋を後にした。
兄弟と側近が残された。
「兄上……どうにかできないものでしょうか? 松永家の兵力を裂くことはできないのは解かります」
松永の兵力の問題だけでなく、公家がここは根を張っている場所である。
「……前から気になってはいましたが、兄上、いいんですか、紅葉様のこと?」
「ん? 灯世殿もいるし、家令たちもいるから大丈夫だろう」
光月は珍獣を見るように兄を見つめた。
(兄上の上司や周り、灯世様も、兄上とあの方を結婚させようとしていたという話がありましたよね。女性の話をしない兄上から聞く女性と言ったら……でしたし、距離を詰めていたとか聞いていたんですけど……双方鈍い……非常に鈍い……)
公家の大江家宗主と武家の松永家次期当主の光頼ではもめるかもしれない現実もある。
光月は兄の幸せも重要だと思ってはいた。実際の二人を見ると相性はよさそうだが、恋愛まで到達していないと直感する。
「……もし、私が、紅葉様の入り婿になりたいと言ったら兄上はどうします?」
その瞬間、光頼の表情が衝撃を表したが、次には表情が消えた。
「それはそれでいいと思うぞ」
「ちょ、待ってください兄上! 物のたとえです。なんで、兄上が紅葉様と結婚しないのですか!」
「……は?」
「だって!」
光月はどう説明するか悩んだ挙句、困った。
●依頼
灯世はハンターに依頼を出しに行く。紅葉の風邪は治っているだろうけれど、家臣たちが家から出さないだろう。普段は自由だが、一旦問題が起こるとあの家は宗主に甘く厳しい。
「それより、なんで、あの兄弟ぎくしゃくしはいじめているんだ?」
灯世の家に泊まっている光頼と光月だが、紅葉を送り届けた後からおかしい。
その家臣たちも困惑しているため試しに聞いたが、何とも言えない顔をして口をつぐんだ。その上、一部の家臣たちの空気も悪い。
「……お家騒動をこっちにもって来られても困るんだが……」
ハンターオフィスに依頼は出すという仕事はこなしておく。職員は灯世の出現に驚くが、紅葉の代理だと知り、状況はおおむね把握する。
「依頼と言うのはそのあたりにいる妖怪の討伐と本当に竹林があるか見てくることだ」
「汚染されていたんですよね……」
「とはいえ、解放されてそれなりに時間も経っているし、こちらも浄化の試みをしていないわけではない」
「そうですよね……陰陽寮の符術師二人もいるんですから」
職員は納得した。
「どうなるんでしょうかね……」
「生きることが大切だからね。衣食住を確保して、妖怪と戦って……」
灯世はふと解放される前を思い出す。最近頻繁に比べるようになったのは、それなりの時間が経ち変わったからだろう。
「道は続く……まだ、先まで」
灯世は呟いた。
リプレイ本文
●師岬にて
ルカ(ka0962)は目的地について知る人に話を聞こうとした。依頼人・吉備 灯世は大江 紅葉(kz0163)本人から聞くことが早いと判断し、段取りをつけた。大江家において、風邪引きという話の紅葉と障子越しに対面する。
「ご足労ありがとうございます」
紅葉の挨拶で会話が始まる。
「目印とか……ありませんか? それとほしい見本とかありましたら教えてください」
ルカは事情を話した。
「大きさやどのくらいの広さかわかればいいです。道中が確保できることが重要です」
「わかりました。目印を作るために布、縄、杭を十本ほど用意できますか?」
その件に関しては家臣が対応してくれることになった。
玲瓏(ka7114)は依頼内容の確認をして、灯世に対して希望を告げる。
「そのお嬢様のお持ちの地図と言うのを拝見したいのですが、お願いできますでしょうか?」
灯世がきょとんとする。何かおかしいことを言ったかと玲瓏は驚いたが、すぐに彼が謝罪する。
「すまんな、あれをお嬢様と呼ぶにはなんというか……。で、資料だな、これだ」
イメージがわかなかったらしかった。地図を取り出して渡した。
玲瓏は地図とメモに目を通す。一部ミミズがのたくっており読めないが基本は分かった。
「これもおおざっぱだからなぁ……」
「いえ、その確認をするのが私たちの仕事です」
玲瓏は段取りなどを考えつつ、竹があるなら運搬ルートなども提案できればと考えた。
桜聖(ka6325)は天ノ都で武家と公家がもめているとか噂を聞くのに、仲良くしていた人たちをみて驚いた。そのあと、それが紅葉と松永 光頼だと知り、流れで依頼を受けてフラッと来た。到着してはっとした。連れてきたはずのポロウがいなかった。
「あ、あれ? 俺、都でああなって、こうなって……気になったから依頼を受けたんだよね?」
状況を思いだしているのを聞いて、灯世が眉を中心に寄せる。
「まあ、はぐれたなら、保護されてはいるだろう。そもそも、依頼には許可は出しておらんから、乗騎していたとしてもオフィスで預かってもらうなりしてもらう必要があるからなぁ」
鳥の形状の妖怪が出る傾向があるため、問答無用で撃ち落とされる可能性があると灯世は苦笑していた。
「うう、すごく心配だ!」
桜聖は非常に慌てたが、依頼を受けているため、前に進むしかなかった。
メイム(ka2290)は光頼の家臣たちが皮鎧や攻撃を受けられるように小太刀、適宜な弓を持ってもらうように進言していた。そのあたりは想定の範疇だったらしく、きちんと身に着けている。
「現場では、ミオさんの指示に沿ってね。光頼さんは最前線? それともしんがりをお願いするほうがいい?」
仲間にも問いかける。
ミオレスカ(ka3496)は「状況を見てからです」と言う。
「前回、堕落者や歪虚崇拝者が攻めてきたのでなく良かったです。光月さんも紅葉さんも安静にしてくださるのが一番です。松永さん、調査、頑張りましょう」
ミオレスカは前回のことを絡め言った。
中盤で光頼がぴくっと反応したようだったが、そこにある感情は怒りか困惑か、よくわからなかった。
ステラ・フォーク(ka0808)は灯世に話を聞いて、出発前にふと紅葉の状況が気になった。
「紅葉さんの姿はないのはいいですが……紅葉さんは安静にしているのかしら?」
そのつぶやきに灯世はうなずいた。
「家臣たちが元気になるまで外に出さないが、そろそろ逃亡始めるかもしれない」
「それは、元気ですわね。調査結果を直接お聞かせできるといいですわ」
ステラは微笑んだ。
「出発ですね」
穂積 智里(ka6819)は状況が整ったということ出声をかけた。
●戦闘
竹林があるとされる地域までやってきた。ここまでは特に問題なくやってこられた。
智里は到着した場所を見渡した。
道はあったのかもしれないが、境があやふやな場所だととらえた。枯れ木や枯れ草が多いのは歪虚支配地域の名残りのようだった。浄化されたとしてもすぐに植物が生えるわけではないということは理解できる。
「ここまでは何も遭遇はしませんでした」
そう考えると徐々に安定はしてきているのかとも思える。
「枯れ草がある場所で火属性は火事になりそうで使えませんよね」
あくまで属性なため、気になるならば使わないことも一つの手ではある。
地形は傾斜も見られ、高低差もあるようだった。足元が土や石の傾斜では行動はとりづらいだろう。特に、竹林があるとされる方向にその地形は多いようだった。
「状況次第ですね。もし、敵がいるならば、排除してから見に行ったほうがいいと思います。傾斜地は足元悪いみたいですし、そこで戦闘になってしまったら一般の方の補助に回る余裕がない気がします」
智里の提案に対して異を唱えるハンターはいない。危険を冒す必要はないのだから。
ルカはマッピングセットに周囲の地形を書き込んでいく。
メイムはファミリアアイズを用いる。
「あんず、行って」
桜型妖精アリスが飛んでいく。
「地上と上から見るモノを合わせれば……補完し合えます……」
ルカは周囲を警戒しつつ前に進む。傾斜の部分は魔導カメラを使い写して置いたルカは魔導スマートフォンが負のマテリアルに反応することでノイズが発生する可能性を考え、意識的に利用する。
一行が進むところは道なのかただの荒地なのか悩ましい場所だ。
ステラは【超聴覚】および【超嗅覚】を適宜用いて敵がいないかを警戒していた。
道だったと思われるところの両端は灌木などが多いからだ。
「もともとは街道だったのでしょうか……道の脇には林とか……」
この地域の過去を紐解けないため、あくまで想像になる。
「ストップ! 敵、来たよ!」
「そうですわね……羽音、足音……足音は大きなものと小さなものがありますわ」
メイムとステラが声をかけたため、ルカは足を止めた。そして、戦闘に備える。
「大きいのと言うのは厄介だよね」
「そうですね」
ミオレスカは矢をつがえ、いつでも射撃できるような態勢でメイムに相槌を打った。
光頼は太刀を抜き、前に出る。
「どう出る? こちらに引き寄せて叩くか、来る前に討つのか?」
「できれば遠くのうちに叩きたいかな? 大きいのは何が来るかわからないし」
メイムが告げる。大きいというだけで相手の方が力では有利だ。むろん、サイズの差にもより、当てやすさに関してはこちらに分がある。
光頼が前に出る。家臣たちは危険もあるため、後方で視界を確保し、攻撃をするミオレスカの元に置かれた。玲瓏は家臣たちの守りを意識した。
ルカは光頼らを守る盾になることを意識する。しかし、光頼は彼女を下げた。
「私より、彼らを頼む」
「いえ、私は……」
「では、君がいる所が前で、それ以上はないとしよう」
光頼はルカに諭すように告げた。
「俺はどうしよう?」
「大きい敵は注意です。松永さんより前に出ず、他の敵を狙うようにしてくださいね」
ミオレスカが桜聖に提案を出した。桜聖はうなずき、中間に位置をとる。
空を飛ぶモノは来るのが早かった。
それらが来た瞬間、ミオレスカは【リトリビューション】を放った。目視で来たものは殲滅できたが、新たに現れる。
「なんか、ガサガサ動いているね……小さいのはこっちが行くから光頼さんは気にしなくていいからね、煌めけ……ん?」
メイムは茂みから小さな影が出てきたのを見てスキルを放とうとしたが、技の名前を出そうとして気づく、スキルがなかった。
「うわ……これを一体ずつするの」
「私もいます! 【デルタレイ】!」
智里が見えた敵に対して機導術を放った。
「隠れているというなら引き出すしかありません。石を投げてでも」
「ならこう、がさがさするとイタチみたいな何かよくわからないのが出てくる」
メイムはワンドで茂みを突いた。
雑魔はイタチか何かわからない生き物。それらは茂みが動くと敵が近くにいると感じるのか、攻撃しようと出てくる。そこを智里が機導で狙って行った。
「俺も狙う」
桜聖も加わった。
敵の数は不明だ。それでも延々と出てくるか否かは確認する必要がある。
ミオレスカは空を舞う敵を中心に狙って行く。鳥の姿をした雑魔は徐々に表れる数も減り、新たに現れた大きい人型の妖怪を狙うようになる。玲瓏もいるため、松永家の家臣への守りは十分あり、敵に集中もできる。幸い、こちらまで敵は来ていなかった。
ステラは光頼の動きを見つつ、敵の行動を封じるように大きな妖怪の腕や脚を【ターゲティング】で狙って行く。
「憤怒だと仮定すると、爆発したり大きな散り方をしますわね」
このことは注意する必要はあった。そのため、ステラは間合を非常に意識した。
ルカは【プルガトリオ】を放つ、こちらにくる小さな妖怪に向かって。範囲にいる敵に大きな影響があった。そのため、後方で小さな妖怪を討伐していた三人は早々に倒し切ることができそうだ。
ルカは光頼を意識する。接敵する位置にいる光頼はさすがに無傷とはいかない。相手が大きいだけあり、少しの攻撃でもダメージが大きくなる。
「タイミングは誤れません」
回復魔法、攻撃魔法どれを選択するか、ルカは重要性をひしひしと感じた。
何度か敵を刺激するように茂みを揺らしていたが、小さな妖怪が出てこなくなった。
「今ので終わったのかな?」
「と思いたいですね……」
メイムと智里は確信を得られないため、用心はしつつ、次の行動に移るしかない。メイムは回復魔法が必要なところに、智里は大きな妖怪または残っている鳥系雑魔にデルタレイを放つために移動した。
「なら、俺がここで敵が来ないか見ていればいいね?」
桜聖は告げた。
玲瓏は後方に敵のはないと判断した。光頼のためにスキルを使うならば、位置が悪い。
「私は少し前に出ます」
「何かあれば声をかけますね」
ミオレスカは目視できる鳥型雑魔の最後を撃ち落として、玲瓏に答えた。
大きな妖怪は怒り狂っているように見える。武器を振るい、負のマテリアルを用いたスキルを使っているようだった。
玲瓏が少し前に出たとき、妖怪が怒りに満ちた目で周囲にいる人間たちを見渡した。
その様子に気づいた者は嫌な予感がしただろう。
光頼は自身の行動後、後方に飛ぼうとしている。玲瓏は【ホーリーヴェール】を放てるようにマテリアルを紡いだ。
妖怪は怒りを貯めていた。消えるならばこれらも道連れにするという選択を考えていた。
大きな妖怪自体が爆ぜた。
その威力は激しかった。
「きゃああ」
「……!?」
ステラとルカが爆風で舞う石から身を守るように縮こまる。
爆心地に近い光頼は【ホーリーヴェール】によってダメージが軽減はされた。膝をつき、なんとか起きている状況のように見える。
「松永さんっ!」
「ちょ、待って!」
ルカとメイムが慌てて回復魔法を使った。
爆発の威力を物語るのは、地形の変化だった。
「そういえば、竹林があるっていう位置?」
メイムはくぼんた地域を見て、爆心地の横を見た。灌木などが薙ぎ払われた後、竹が倒れているのも見えた。無事ではある。
「きちんと見てきた方がいいよね?」
桜聖は一足先に向かって言った。
「竹林はありましたね」
「一歩間違うと吹き飛んでいたのでしょうか」
智里はほっとするが、玲瓏の言葉にぞっとする。これ以上の被害は出なかったことは安堵する。
「見通せるようになったということはよいことですわよね……」
複雑そうにステラは竹林を見つめる。
「怪我……治します?」
ルカが光頼や仲間の状況を確認した。
「そちらの確認に移りましょう」
ミオレスカは松永家の二人を連れてきて、告げたのだった。
●場所
智里は裂け目を見つめどうやって行くか考える。傾斜を超える方がいいのか、ここを通れば進みやすいのか、土の状況を見る事にした。
「周囲はアップダウンが激しいですね……そうなると近づくのも難しいわけですね……汚染が激しい場所があれば、浄化していきたいですね」
念を入れ調査しておく。
「そうですね……歪虚が来るということは汚染は増えていく可能性が高いです」
玲瓏は竹林が風で揺れるのを眺める。実家のことを考えると、懐かしい気持ちにもなる。そのなかでもできる限り負のマテリアルによる汚染があれば浄化したい。
「それに手分けすれば広くできますね」
玲瓏の言葉に、負のマテリアルを払うスキルを持ってきた者は首肯したのだった。
竹林をおおよそ見てきた桜聖がマッピングをしていたルカに報告後、つぶやき、告げた。
「これで仕事終わりかな? 緑茶と桜餅食べたいな……そういえば以前、都でなかなかいい雰囲気だったけど、あの後どうなったのかって気になったんだ。光頼様と紅葉様」
この瞬間、全員の行動が止まった。
光頼の表情は凍り付き、家臣はおろおろしている。
「なぜ、今それを……それより、仲がいいといっても……」
光頼が濁そうとしたけれども、紅葉と光頼の状況を知っているハンターは何か言いたげな視線で光頼を見ている。
「いえ、その、ひとまず、籍を入れる、でいいのでしょうか? 式とかなんとかは別として、結婚してしまえばいいんじゃないでしょうか」
「え? はっ!」
ミオレスカが告げると明らかな動揺が見える。
「自信がないとか断られるのが怖いならこのまま黙ってダメ男を通して後で後悔すればいいかと」
ルカがバッサリと切り捨てる。
「それはそれで……他のお相手も特にいないのでしょう?」
ミオレスカが畳みかけた。
光頼は怒りそうになりながら何か飲み込んでいる。
「まあ、結婚式? それは見てみたいですわ。こちらの式ってどんな感じでしょうか?」
ステラが興味津々とばかりに光頼を見た。光頼は答えず「見回りに行く」と言って場を離れた。
「あ、そうだ! 光頼さん、紅葉さんにタケノコとっていくと喜ばれるよ!」
メイムは笑顔で発破をかけた。そのあとに「主に食い気で残念だけど」という彼女のコメントは飲み込んでおいた。
雑談を交えつつも、調査していった。写真を撮ったり、道のようなところから竹林へのルートに目印をつけていく。
「休憩できる小屋はこの辺りがいいでしょうね。灌木や高木も使えるかもしれません」
「地図に書いておきます……」
ミオレスカの言葉をルカはマッピングシートにメモとして記す。他の情報も書き込み十分な情報が入ったと思われる。
他のハンターも見て確認後、報告のために戻った。
ルカ(ka0962)は目的地について知る人に話を聞こうとした。依頼人・吉備 灯世は大江 紅葉(kz0163)本人から聞くことが早いと判断し、段取りをつけた。大江家において、風邪引きという話の紅葉と障子越しに対面する。
「ご足労ありがとうございます」
紅葉の挨拶で会話が始まる。
「目印とか……ありませんか? それとほしい見本とかありましたら教えてください」
ルカは事情を話した。
「大きさやどのくらいの広さかわかればいいです。道中が確保できることが重要です」
「わかりました。目印を作るために布、縄、杭を十本ほど用意できますか?」
その件に関しては家臣が対応してくれることになった。
玲瓏(ka7114)は依頼内容の確認をして、灯世に対して希望を告げる。
「そのお嬢様のお持ちの地図と言うのを拝見したいのですが、お願いできますでしょうか?」
灯世がきょとんとする。何かおかしいことを言ったかと玲瓏は驚いたが、すぐに彼が謝罪する。
「すまんな、あれをお嬢様と呼ぶにはなんというか……。で、資料だな、これだ」
イメージがわかなかったらしかった。地図を取り出して渡した。
玲瓏は地図とメモに目を通す。一部ミミズがのたくっており読めないが基本は分かった。
「これもおおざっぱだからなぁ……」
「いえ、その確認をするのが私たちの仕事です」
玲瓏は段取りなどを考えつつ、竹があるなら運搬ルートなども提案できればと考えた。
桜聖(ka6325)は天ノ都で武家と公家がもめているとか噂を聞くのに、仲良くしていた人たちをみて驚いた。そのあと、それが紅葉と松永 光頼だと知り、流れで依頼を受けてフラッと来た。到着してはっとした。連れてきたはずのポロウがいなかった。
「あ、あれ? 俺、都でああなって、こうなって……気になったから依頼を受けたんだよね?」
状況を思いだしているのを聞いて、灯世が眉を中心に寄せる。
「まあ、はぐれたなら、保護されてはいるだろう。そもそも、依頼には許可は出しておらんから、乗騎していたとしてもオフィスで預かってもらうなりしてもらう必要があるからなぁ」
鳥の形状の妖怪が出る傾向があるため、問答無用で撃ち落とされる可能性があると灯世は苦笑していた。
「うう、すごく心配だ!」
桜聖は非常に慌てたが、依頼を受けているため、前に進むしかなかった。
メイム(ka2290)は光頼の家臣たちが皮鎧や攻撃を受けられるように小太刀、適宜な弓を持ってもらうように進言していた。そのあたりは想定の範疇だったらしく、きちんと身に着けている。
「現場では、ミオさんの指示に沿ってね。光頼さんは最前線? それともしんがりをお願いするほうがいい?」
仲間にも問いかける。
ミオレスカ(ka3496)は「状況を見てからです」と言う。
「前回、堕落者や歪虚崇拝者が攻めてきたのでなく良かったです。光月さんも紅葉さんも安静にしてくださるのが一番です。松永さん、調査、頑張りましょう」
ミオレスカは前回のことを絡め言った。
中盤で光頼がぴくっと反応したようだったが、そこにある感情は怒りか困惑か、よくわからなかった。
ステラ・フォーク(ka0808)は灯世に話を聞いて、出発前にふと紅葉の状況が気になった。
「紅葉さんの姿はないのはいいですが……紅葉さんは安静にしているのかしら?」
そのつぶやきに灯世はうなずいた。
「家臣たちが元気になるまで外に出さないが、そろそろ逃亡始めるかもしれない」
「それは、元気ですわね。調査結果を直接お聞かせできるといいですわ」
ステラは微笑んだ。
「出発ですね」
穂積 智里(ka6819)は状況が整ったということ出声をかけた。
●戦闘
竹林があるとされる地域までやってきた。ここまでは特に問題なくやってこられた。
智里は到着した場所を見渡した。
道はあったのかもしれないが、境があやふやな場所だととらえた。枯れ木や枯れ草が多いのは歪虚支配地域の名残りのようだった。浄化されたとしてもすぐに植物が生えるわけではないということは理解できる。
「ここまでは何も遭遇はしませんでした」
そう考えると徐々に安定はしてきているのかとも思える。
「枯れ草がある場所で火属性は火事になりそうで使えませんよね」
あくまで属性なため、気になるならば使わないことも一つの手ではある。
地形は傾斜も見られ、高低差もあるようだった。足元が土や石の傾斜では行動はとりづらいだろう。特に、竹林があるとされる方向にその地形は多いようだった。
「状況次第ですね。もし、敵がいるならば、排除してから見に行ったほうがいいと思います。傾斜地は足元悪いみたいですし、そこで戦闘になってしまったら一般の方の補助に回る余裕がない気がします」
智里の提案に対して異を唱えるハンターはいない。危険を冒す必要はないのだから。
ルカはマッピングセットに周囲の地形を書き込んでいく。
メイムはファミリアアイズを用いる。
「あんず、行って」
桜型妖精アリスが飛んでいく。
「地上と上から見るモノを合わせれば……補完し合えます……」
ルカは周囲を警戒しつつ前に進む。傾斜の部分は魔導カメラを使い写して置いたルカは魔導スマートフォンが負のマテリアルに反応することでノイズが発生する可能性を考え、意識的に利用する。
一行が進むところは道なのかただの荒地なのか悩ましい場所だ。
ステラは【超聴覚】および【超嗅覚】を適宜用いて敵がいないかを警戒していた。
道だったと思われるところの両端は灌木などが多いからだ。
「もともとは街道だったのでしょうか……道の脇には林とか……」
この地域の過去を紐解けないため、あくまで想像になる。
「ストップ! 敵、来たよ!」
「そうですわね……羽音、足音……足音は大きなものと小さなものがありますわ」
メイムとステラが声をかけたため、ルカは足を止めた。そして、戦闘に備える。
「大きいのと言うのは厄介だよね」
「そうですね」
ミオレスカは矢をつがえ、いつでも射撃できるような態勢でメイムに相槌を打った。
光頼は太刀を抜き、前に出る。
「どう出る? こちらに引き寄せて叩くか、来る前に討つのか?」
「できれば遠くのうちに叩きたいかな? 大きいのは何が来るかわからないし」
メイムが告げる。大きいというだけで相手の方が力では有利だ。むろん、サイズの差にもより、当てやすさに関してはこちらに分がある。
光頼が前に出る。家臣たちは危険もあるため、後方で視界を確保し、攻撃をするミオレスカの元に置かれた。玲瓏は家臣たちの守りを意識した。
ルカは光頼らを守る盾になることを意識する。しかし、光頼は彼女を下げた。
「私より、彼らを頼む」
「いえ、私は……」
「では、君がいる所が前で、それ以上はないとしよう」
光頼はルカに諭すように告げた。
「俺はどうしよう?」
「大きい敵は注意です。松永さんより前に出ず、他の敵を狙うようにしてくださいね」
ミオレスカが桜聖に提案を出した。桜聖はうなずき、中間に位置をとる。
空を飛ぶモノは来るのが早かった。
それらが来た瞬間、ミオレスカは【リトリビューション】を放った。目視で来たものは殲滅できたが、新たに現れる。
「なんか、ガサガサ動いているね……小さいのはこっちが行くから光頼さんは気にしなくていいからね、煌めけ……ん?」
メイムは茂みから小さな影が出てきたのを見てスキルを放とうとしたが、技の名前を出そうとして気づく、スキルがなかった。
「うわ……これを一体ずつするの」
「私もいます! 【デルタレイ】!」
智里が見えた敵に対して機導術を放った。
「隠れているというなら引き出すしかありません。石を投げてでも」
「ならこう、がさがさするとイタチみたいな何かよくわからないのが出てくる」
メイムはワンドで茂みを突いた。
雑魔はイタチか何かわからない生き物。それらは茂みが動くと敵が近くにいると感じるのか、攻撃しようと出てくる。そこを智里が機導で狙って行った。
「俺も狙う」
桜聖も加わった。
敵の数は不明だ。それでも延々と出てくるか否かは確認する必要がある。
ミオレスカは空を舞う敵を中心に狙って行く。鳥の姿をした雑魔は徐々に表れる数も減り、新たに現れた大きい人型の妖怪を狙うようになる。玲瓏もいるため、松永家の家臣への守りは十分あり、敵に集中もできる。幸い、こちらまで敵は来ていなかった。
ステラは光頼の動きを見つつ、敵の行動を封じるように大きな妖怪の腕や脚を【ターゲティング】で狙って行く。
「憤怒だと仮定すると、爆発したり大きな散り方をしますわね」
このことは注意する必要はあった。そのため、ステラは間合を非常に意識した。
ルカは【プルガトリオ】を放つ、こちらにくる小さな妖怪に向かって。範囲にいる敵に大きな影響があった。そのため、後方で小さな妖怪を討伐していた三人は早々に倒し切ることができそうだ。
ルカは光頼を意識する。接敵する位置にいる光頼はさすがに無傷とはいかない。相手が大きいだけあり、少しの攻撃でもダメージが大きくなる。
「タイミングは誤れません」
回復魔法、攻撃魔法どれを選択するか、ルカは重要性をひしひしと感じた。
何度か敵を刺激するように茂みを揺らしていたが、小さな妖怪が出てこなくなった。
「今ので終わったのかな?」
「と思いたいですね……」
メイムと智里は確信を得られないため、用心はしつつ、次の行動に移るしかない。メイムは回復魔法が必要なところに、智里は大きな妖怪または残っている鳥系雑魔にデルタレイを放つために移動した。
「なら、俺がここで敵が来ないか見ていればいいね?」
桜聖は告げた。
玲瓏は後方に敵のはないと判断した。光頼のためにスキルを使うならば、位置が悪い。
「私は少し前に出ます」
「何かあれば声をかけますね」
ミオレスカは目視できる鳥型雑魔の最後を撃ち落として、玲瓏に答えた。
大きな妖怪は怒り狂っているように見える。武器を振るい、負のマテリアルを用いたスキルを使っているようだった。
玲瓏が少し前に出たとき、妖怪が怒りに満ちた目で周囲にいる人間たちを見渡した。
その様子に気づいた者は嫌な予感がしただろう。
光頼は自身の行動後、後方に飛ぼうとしている。玲瓏は【ホーリーヴェール】を放てるようにマテリアルを紡いだ。
妖怪は怒りを貯めていた。消えるならばこれらも道連れにするという選択を考えていた。
大きな妖怪自体が爆ぜた。
その威力は激しかった。
「きゃああ」
「……!?」
ステラとルカが爆風で舞う石から身を守るように縮こまる。
爆心地に近い光頼は【ホーリーヴェール】によってダメージが軽減はされた。膝をつき、なんとか起きている状況のように見える。
「松永さんっ!」
「ちょ、待って!」
ルカとメイムが慌てて回復魔法を使った。
爆発の威力を物語るのは、地形の変化だった。
「そういえば、竹林があるっていう位置?」
メイムはくぼんた地域を見て、爆心地の横を見た。灌木などが薙ぎ払われた後、竹が倒れているのも見えた。無事ではある。
「きちんと見てきた方がいいよね?」
桜聖は一足先に向かって言った。
「竹林はありましたね」
「一歩間違うと吹き飛んでいたのでしょうか」
智里はほっとするが、玲瓏の言葉にぞっとする。これ以上の被害は出なかったことは安堵する。
「見通せるようになったということはよいことですわよね……」
複雑そうにステラは竹林を見つめる。
「怪我……治します?」
ルカが光頼や仲間の状況を確認した。
「そちらの確認に移りましょう」
ミオレスカは松永家の二人を連れてきて、告げたのだった。
●場所
智里は裂け目を見つめどうやって行くか考える。傾斜を超える方がいいのか、ここを通れば進みやすいのか、土の状況を見る事にした。
「周囲はアップダウンが激しいですね……そうなると近づくのも難しいわけですね……汚染が激しい場所があれば、浄化していきたいですね」
念を入れ調査しておく。
「そうですね……歪虚が来るということは汚染は増えていく可能性が高いです」
玲瓏は竹林が風で揺れるのを眺める。実家のことを考えると、懐かしい気持ちにもなる。そのなかでもできる限り負のマテリアルによる汚染があれば浄化したい。
「それに手分けすれば広くできますね」
玲瓏の言葉に、負のマテリアルを払うスキルを持ってきた者は首肯したのだった。
竹林をおおよそ見てきた桜聖がマッピングをしていたルカに報告後、つぶやき、告げた。
「これで仕事終わりかな? 緑茶と桜餅食べたいな……そういえば以前、都でなかなかいい雰囲気だったけど、あの後どうなったのかって気になったんだ。光頼様と紅葉様」
この瞬間、全員の行動が止まった。
光頼の表情は凍り付き、家臣はおろおろしている。
「なぜ、今それを……それより、仲がいいといっても……」
光頼が濁そうとしたけれども、紅葉と光頼の状況を知っているハンターは何か言いたげな視線で光頼を見ている。
「いえ、その、ひとまず、籍を入れる、でいいのでしょうか? 式とかなんとかは別として、結婚してしまえばいいんじゃないでしょうか」
「え? はっ!」
ミオレスカが告げると明らかな動揺が見える。
「自信がないとか断られるのが怖いならこのまま黙ってダメ男を通して後で後悔すればいいかと」
ルカがバッサリと切り捨てる。
「それはそれで……他のお相手も特にいないのでしょう?」
ミオレスカが畳みかけた。
光頼は怒りそうになりながら何か飲み込んでいる。
「まあ、結婚式? それは見てみたいですわ。こちらの式ってどんな感じでしょうか?」
ステラが興味津々とばかりに光頼を見た。光頼は答えず「見回りに行く」と言って場を離れた。
「あ、そうだ! 光頼さん、紅葉さんにタケノコとっていくと喜ばれるよ!」
メイムは笑顔で発破をかけた。そのあとに「主に食い気で残念だけど」という彼女のコメントは飲み込んでおいた。
雑談を交えつつも、調査していった。写真を撮ったり、道のようなところから竹林へのルートに目印をつけていく。
「休憩できる小屋はこの辺りがいいでしょうね。灌木や高木も使えるかもしれません」
「地図に書いておきます……」
ミオレスカの言葉をルカはマッピングシートにメモとして記す。他の情報も書き込み十分な情報が入ったと思われる。
他のハンターも見て確認後、報告のために戻った。
依頼結果
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妖怪朴念仁撃退計画? ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2019/01/22 18:22:39 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/01/22 18:08:27 |