【初夢】手繰る夢

マスター:一縷

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2015/01/11 19:00
完成日
2015/01/18 10:18

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●小さな祠
 ……ここはどこだろう。
 ひとりの少女はきょろきょろと辺りを見渡した。見覚えのない、知らない場所だ。
 辺り一面に広がるのは透き通った、水。自分の顔が綺麗に映るほどの綺麗な水。
 大きな泉なのだろうか。しかし、岸は見えない。……不思議な場所だ。
「……あれは?」
 水以外に何もなかったはずの場所に、小さな祠が突如として姿を現す。
 淡く輝いて見えるのは気のせいだろうか。少女は惹き寄せられるかのように祠に向かって歩みを進めた。

 近づいてみると、淡い輝きが増したようにも感じられる。
 恐る恐る祠へと手を伸ばす。指先が触れた瞬間、ぽちゃん、と耳元で滴が水面に落ちるような音が微かに響いた。
『汝の願いは?』
 水音と共に聞こえてくる嗄れ声。
「何……っ?!」
 少女は驚いて手を引く。辺りを見渡しても誰も居ない。さっきと何一つ変わらない風景が広がっている。『汝の願い、一つだけ聞いてやろう』
 状況を把握できていない少女を置き去りに、嗄れ声は少女にもう一度問いかけた。
「……私の、願い?」
 願いと言われてもすぐに出てくるものではない。ましてやこの状況だ。落ち着いて考えられる状況とは言い難い。
 しかし、嗄れ声は少女の耳元でこう呟いた。
『……承知した』
 この言葉を最後に、少女の意識は途絶えた。

●少女の夢
 少女は目を覚ました。辺りを見渡すと先程とは違い、温か味の感じられる建物の中に居た。
 家、だろうか。暖炉では薪が燃え、食卓には美味しそうに湯気の立つ食事が並べられていた。
「――」
 突然、名前を呼ばれて振り返る。
「……!!」
 振り返った先に居たのは、病気で亡くなったはずの母親だった。
 訳が分からない。どうして母親がいるのか。冷静な判断が出来ずに、頭が混乱して声が出ない。
「―――」
「……え?」
 微笑みながら母親が何かを言う。言葉を聞きとることは出来ない。
 どうしたらいいのか分からずに混乱していると、母親がシチューの入った皿を少女の前に置いた。
 食事をしようと言っているのだろうか。少女は皿の置かれた席に腰を下ろす。
「―――」
 それを見た母親は手を合わせる。少女も慌てて手を合わせた。

 ―――いただきます。

 きっとこう言っているのだろう。いつもご飯を食べる前にやっていたことだ。なんとなく伝わった。
 スプーンを手に取り、シチューを掬って口に運ぶ。
 その瞬間、ふわりと甘い香りが鼻に抜け、忘れられない味が口の中いっぱいに広がった。
(……お母さんの、味だ……)
 二度と食べられないと思っていた母の味。大好きだった母の手料理。
 自然と涙が溢れた。微笑んだ母親の顔が滲んで見える。
「―――」
 優しい手が少女の涙を掬う。それでも涙は止まらない。
 席を立った母親は、そっと少女を抱き締める。いい匂いが少女を包み込んだ。
「―――」
 ぽふぽふと頭を撫でられ、ゆっくりとリズムを刻みながら背を叩いてくれる。
 その心地良さに再び意識が遠退く。眠ってはいけないと思っても、瞼は落ちる一方で。
「……おかあ、さん……」
 朦朧とした意識の中で最後の力を振り絞り呟く。
 その呟きに答えるかのように母親が口を開く。やはり何を言っているのかは分からなかった。
 遠退く意識に抗えぬまま、少女は再び意識を手放した。

●残ったモノ
 少女はゆっくりと目を開く。起きたばっかりだと言うのに、意識はハッキリとしていた。
 視線を動かし、辺りを見渡す。自分の机、自分の服、――いつもと変わらない風景が広がっていた。
 ――夢だった。
 少女は直ぐに悟った。母親は何年の前に亡くなって、今は祖母と二人暮らしだ。
「……お母さん」
 消えてしまいそうな声で母を呼ぶ。答えが返ってくることのない相手を呼ぶ。
 分かってはいても、何とも言えない感情が少女を襲った。その場を動くことも出来ず、呆けていると、

 ―――カタンッ

 小さな音が、朝日の差し込む静かな部屋に響いた。
 音のした方に視線を漂わせる。見覚えのないオルゴールが机の上に置かれているのが目に入った。
 のろのろとベッドを抜け出し、そのオルゴールを手に取る。
 ゼンマイを巻き、そっと開くと、リン……、と小さな音を奏で始めた。
「……これ」
 母親と一緒によく聴いた音色だった。
 不意に母親の言葉を思い出す。あの時は、冗談はやめて、と笑い飛ばしていた母の言葉。

『……何があっても忘れないで頂戴。お母さんは、ずっとあなたの事を見守ってる、って』

 音色を奏で終ったオルゴールを抱き締める。
 夢の中で見た、母親の口の動き……もしかしたら、これを伝えたかったのかもしれない。
 自然と溢れていた涙を拭う。
「私は大丈夫だよ、お母さん」
 精一杯の微笑を浮かべ、窓の外に視線を移す。
 その言葉に答えるかのように、小鳥の囀りが聴こえてきた。

リプレイ本文

●夢路への誘い
 ぽちゃん。ぽちゃん。
 不思議な空間に存在する祠の前に立つ者の耳だけに小さく、それでいて確りと響く水滴が落ちる音。
『汝の願い、一つだけ聞いてやろう』
 同時に聞こえてくる嗄れ声。夢路によって導かれた者にのみ問われる声。
『さあ、往くがよい。汝が望む場所へ。手繰れ、汝が求むモノを』

●愛し母の為に
 鬼百合(ka3667)は、静かな森で今日も花を摘む。
 丁寧に、一本一本……腕いっぱいに花を抱き締めて自分に愛をくれる母へと届ける。
(……あれ、オレ、なんでまだ、辺境の森にいるんでしたっけ)
 足を止め、花束を見つめる。確かこの森を出て、オレはハンターに……。

 家路に着くと、ついていないはずの灯りが漏れているのが見えた。
 薄く開けられた窓から、ほんのりと美味しそうな匂いが風に乗って鼻腔をくすぐる。
 首を傾げる。もうあそこには誰もいないはずなのに……。
 僅かに震える手で扉を押すと、ふわりと温かい空気が体を包んだ。
「おかえり。今日も花を摘んできてくれたのかい?」
 優しい声。顔を上げれば微笑む母が立っていて、思わず花束を落としそうになる。
「綺麗な花だね。花を挿したら手を洗っておいで、ご飯にしよう」 

 まだ母親は元気で、毎日を食べていくのが困難なほど貧乏ではなかった。
 『不吉の子』を産んだせいで仕事が減ってきているのも知っていた。
 ……それでも、危機感はなかった。

 席について、食卓に並べられた湯気立つ食事に視線を落とす。
 あの頃と変わらないのに、あの頃とは確実に違うものが一つ。
「……母ちゃん、オレ、はたらくんでさ」
 ハンターになって、いっぱい仕事して、勉強して――
「母ちゃんを助け……」
「何言ってんだい。早く夕食を食っちまいな」
 言葉を遮るように、くしゃりと撫でられる。母は笑うだけで……でも、これでは何も変わらない。
「オレは母ちゃんを助けたい…役に立ちたいんでさ」
 今までの……今の想いをぶつける。伝えないと後悔する。あの頃伝えられなかったことを、今。
「なんだい急に……いいんだよ、傍に居てくれるだけで」
 微笑みながら言う母に抱き締められると急に眠気が襲ってきた。
「……母ちゃん、ごめん、なさい」
 重くなった瞼に抗いながら、精一杯の力で母に抱きつく。
 優しい温かさと懐かしい母の香りに包まれて、鬼百合は最後の意識も手放した。


 ゆっくりと目を開ける。辺りを見渡しても母の姿はない。
 目を閉じて、夢に見た母の顔を、表情を、ひとつひとつ思い出す。
 大切な、誰よりも大切な母の存在。失くして気づく大きな存在。
 伝えたかった言葉を伝えることができた鬼百合は、母の笑顔を忘れまいと胸に刻み込んだ。

●後悔への償い
「走れ!! 早く!!」
 怒鳴り声が耳に響く。シバ・ミラージュ(ka2094)はハッと目を覚ました。
 辺りは先程居た場所とは一変し、炎の海。そして響き渡る銃声。
 シバは直ぐに状況を把握した。ここは幼い頃に過ごした孤児院だと。
 そして、今は戦火に巻き込まれ、皆が逃げているところだと。

 早く逃げなくては。シバは外に出る為に走り出そうと、――した。
 しかし、このまま逃げては何も変わらない。
(僕の願いは……)
 手近にあったまだ燃えていない棒を手に走ってきた炎の道を戻る。
 助けたい人が居る場所は知っている。後悔の日々を思い出しながらシバは走った。

 シバには姉のように慕っていた二歳年上の少女がいた。
 明るくて優しい、陽だまりのような存在。
 彼女の命を奪ったのは孤児院を包む炎と敵兵の銃弾。
 あの頃の自分は助けれらないと勝手に判断して、助けに戻ることが出来なかった。
 ……いや、自分は死ぬのが怖くて、その恐怖から助けることは出来ないと自分に言い聞かせて逃げたのでは。

 ずっと後悔していた。もう一度戻れるのなら――
 炎の海で血を流し倒れている彼女を見つけ、勢いそのままに近くに居た敵兵に棒を振り下ろす。
 小さな伏兵に不意を突かれた敵兵は防ぐ間もなく頭を強打され意識を失った。
 その場にいた敵兵が一人だったのが幸いかもしれない。
 小さな体で彼女の体を抱き起して外へと急ぐ。
 走ることは出来なかった。ほとんど意識のない彼女の体は予想以上に重くて。
 それでも諦めずに外へと進む。
「……逃げ、て」
 今にも途切れそうな声がシバの耳に届く。
「……!」
「私の事は、いい、から……っ」
 大きく咳き込んだ彼女は吐血し、自分の体を支えられず全体重をシバに預けられる。
 よろけながらも彼女の体を支えて確りと首を振った。
「嫌だよ。僕は逃げない」
 例え死のうとも、逃げずに最後まで寄り添うと決めている。
「あの時は逃げてしまってごめん。今度は逃げないよ」
 大きな爆発音が鳴り響き、炎は広がるばかりで二人の逃げ道を奪っていく。
 徐々に細くなる呼吸を間近に感じながら彼女の体を抱き締める。
 何があっても離さない、そう思いながらシバはゆっくりと意識を手放した。


 目を覚ますと、ほんのりと体が火照っていた。
 意識を失う前に耳元で囁かれた彼女の言葉を思い出す。
『生きて。私の、ぶんも』
 自分のいいように聞いたのかもしれない。もし、本当に彼女の言葉なら――
「僕は……」
 夢の中で彼女の体を抱き締めた手を見つめ、シバはぽつりと呟いた。

●いつか、本当の親子に。
「少し、一緒に散歩をしようか」
 ライナス・ブラッドリー(ka0360)はnil(ka2654)に手を差し出す。
 隣に立つ少女は、差し出された手に、そっと手を重ねる。
 小さく微笑んだライナスは、細い手を優しく握り、外へと歩み出した。

 気の向くままに足を進める。
 気づけば、砂浜まで歩いて来ていた。目の前に広がるのは蒼い海。
 空とは違う、優しくて不思議な蒼が広がっていた。
「……買ってやった横笛、練習してるか?」
 ライナスは砂浜に腰を下ろす。小さく頷いた彼女は、鞄から大事そうに横笛を取り出した。
「前に言ってた曲、吹けるようになったの……聴いてくれる?」
「ああ、聴かせてくれ」
 彼女の奏でる音を聴き逃すまいと、そっと目を伏せる。綺麗な音がライナスを包み込んだ。
(ああ……上達したな)
 小さな微笑みが零れる。奏で終えた彼女の頭に手を伸ばした。
「流石、俺の子だな」
 くしゃくしゃと髪を撫で、彼女の軽い体を抱き上げて肩車をし、くるりと回る。
「俺は、音楽は好きだが、自分はからっきしでな。お前が誇らしいよ」

 彼の優しい声が私を褒めてくれる。nilは温かい感情に包まれる感覚を覚えた。
 誰にも相手をされなかった過去……彼なら、彼になら――
「ねえ、父さん……私の名前を、呼んで?」
 私がここに居る証明が欲しい。
「――」
 彼の口から小さく紡がれた言葉。
 この場に誰かが居たら絶対に聞き取ることは出来なかっただろう。
 でも、nilには確りと聞き取ることが出来た。
(……私は、nil。父さんが、そう呼んでくれるから、……それが、私)
 彼は優しくて温かい。彼女にとって、傍に居てくれる大切な存在。
 そして、自分の存在を証明してくれる存在。
(そんな事がある、なんて……)
 ふわふわとしか不思議な感情。
 彼の微笑む顔は好き……その表情を見ていると、ゆっくりゆっくりと意識が遠退き始めた。
 お前が俺の娘でよかったよ。最後にそう聞こえたような気がした。


 酷く優しい夢だった。ライナスは体を起こし、手で頭を押える。
 あの夢が現実だったならどんなに……小さく苦笑する。夢と現実が交錯する。
 もう、家族を失いたくない彼にとって、家族のそうな存在になれるかもしれない相手と出会えた。
 彼女と本当の家族になれたら……本当の家族になれるのなら――。

 目を擦りながらnilは見ていた夢を思い出す。
 私はここに居てもいいのかと、……この夢を彼に話したらどう思うのかと。
 いつも、何かが足りないような気がしていた。自分では何が足りないのかは分からない。
 彼女が無意識に望むのは、家族と名前と、存在証明。

(……nil、お前は俺の事を、どう思ってるんだろうか)
(ライナス、私は……)

●不器用な不良
 ふー、と紫煙を吐く。
 誰も居ないとある建物の裏でlol U mad ?(ka3514)は煙草をふかしていた。
(建物の裏ねぇ、サボんのに丁度いい場所だったな)
 lolは懐かしそうに辺りを見渡す。

「ヘイ、サボリ魔。上官にチクられたくなけりゃ煙草寄越しな」

 誰も来ない建物裏で、背後から声をかけられる。
 懐かしい声だった。確かに願ったのは友との再会。lolは半信半疑で振り返る。
「OMG、マジで来やがったよコイツ」
 憎まれ口を叩きながら口角を上げる。lolの前に姿を現したのは幼馴染みの少年だった。
「おい。オレちゃんの煙草、勝手に漁んなタコ!」
「さっさと出さねぇお前が悪い」
 当然のように煙草を奪い取られる。眉根を寄せて睨んでも、飄々とした表情でどこ吹く風だった。

 随分前に話したことがある。態々軍に入らなくても、家業を継げばいいんじゃないかと。
 しかし、答えは『お前が居なきゃ楽しくない』なんて。
(……それで死んでちゃ、意味ねぇだろ)
 しげしげと彼を見る。今は亡き彼の姿を。元気だった彼の姿を。
「おい、俺の美しい顔に見とれてんじゃねぇよ」
「潰れる前のトマトに見えるぜ」
「あ? ぶっ殺すぞ?」
 何気ないやり取りがなんだか大切に思えたりして、少し複雑な気分になる。

 少しの沈黙が流れる。心地の悪い物ではない。
「なあ、――――。今は楽しいか?」
 顔を合わせずに彼は言う。視線は紫煙の先。空の上。
「……まぁな。少なくとも、路地裏で燻ってた時よかマシだな」
「そうか。俺が居なくても、問題ねぇか」
 普段と声色が異なっていることに気づき、顔を上げる。
 今までに見たことのないような優しい表情で微笑んでいる彼がそこに居た。
 lolは目を丸くした。驚いた。コイツでもこんな表情が出来るのかと。
「さて。俺、そろそろ行くわ」
「は?」
 煙草を地面に放り、靴で踏む。立ち上がった彼はlolを見下ろした。
「俺さ、お前と居る時間、結構好きだったぜ?」
 ニカッと笑って振り返らずに歩き出す彼に、lolは引き留めようと急いで立ち上がろうとした、が。
 突然、視界が揺れる。伸ばした手は空を切り、彼には触れられずに力なく落ちる。
「ま、て……」
 絞り出したような声で呼び止める。
(……まだ、謝って、な……)


 夢の途中で目が覚める。結局、謝罪の言葉を口に出来ぬまま。
「ごめん、……ごめんな」
 小さな舌打ちと共に、ぽつりと零す謝罪の言葉。彼に届けと、心から願って――。

●暖かい場所へ
 オレは祠の前に居たはず……そう思いながら灯心(ka2935)は辺りを見渡す。
 さっきまで祠だけが存在する泉に居たはずなのに、突然、霧が立ち込めて灯心の視界は奪われていた。
(……なんだ?)
 カサッと静かな場所に小さく響いた音。
 霧が邪魔をしてモノの判断が出来ない今、耳を傾けて訝しげに目を凝らす。
(……人か?)
 ゆっくりと影が大きくなる。
 確信を得られずにいた灯心は雑魔が来た事を疑って、警戒を相手に悟られぬよう武器に手を添えた。

「実の母親に武器を向けるもんじゃないよ? 恩知らずだね」

 声が耳に届くと同時に霧が一瞬にして晴れる。
 懐かしい声。ハッと顔を上げ、目の前に立つ人物を見て、灯心は目を疑った。
「……母さん?」
 ずっと前に亡くなったはずの母が自分に笑いかけている。
 そして気がつく。
 今、自分が居るのは母と旅をした場所で、日は落ちて焚き火が二人を照らしていて――
 ――そして、自分が子供の姿に戻っていることに。

 これは夢なのだと納得しながら母と食事を取り、焚き火の横に並んで寝転がる。
 透き通ったように空は綺麗で、小さな輝きが夜の空を彩っていた。
 隣に寝転がる母は空を眺めている。
 灯心はそんな母を見上げて、ずっと聞きたかった問いを投げかけた。
「母さんは……幸せだった、か?」
 今は二人。それでも灯心にも父が居て。父の事が気にならないと言えば嘘になる。
「……母さんは、後悔しているか?」
 灯心の言葉を聞き終えるまで微動だにしなかった母が目を瞑ったまま微笑むのが見えた。
「私は、幸せだよ。十分、幸せだ」
 母は体を横に向け、灯心の頬にそっと手を添える。
「風が気持ちよくて、星が綺麗で……きっと明日もよく晴れる。灯心と一緒に好きな所へいける」
 愛おしそうに目を細めながら灯心の頬を撫で、小さな体を抱き寄せる。
「……アイツもね、一緒に進めはしなかったけど、出逢えた事を後悔なんてしてないさ」
 ぽんぽん、とリズムよく背を叩いてくれる母の手は優しくて温かくて。
「愛していなければ、お前を産んだりしないよ」
 腕の中で微睡みながら母の言葉を聞く。
 その言葉に安心した灯心は、おやすみ、という言葉を最後にゆっくりと眠りに落ちた。


 目を覚ました灯心は体を起こし、ぐっと背を伸ばす。
 夢を見るだなんて久々だ。不思議と心がすっきりしている気がした。
「……偶には、家族に会いに行くか」
 さっきまで見ていた夢を思い出して義兄達を思い浮かべ、灯心は小さく微笑んだ。

●夢と現
 さて、アナタの望む夢は見れましたでしょうか?

 ――母親と過ごした大切な時間の夢。
 ――過去の後悔を償う為に立ち向う夢。
 ――血の繋がりを越えた親子の絆を求める夢。
 ――友達と過ごした不器用で素直な気持ちを伝えられなかった夢。

 アナタが歩んできた過去の道。アナタがこれから歩んでいく未来の道。
 この夢がアナタの小さな一歩になればと、これからもアナタに良き夢路が導かれることを。
 ――心より、願っております。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • いつか、本当の親子に。
    ライナス・ブラッドリー(ka0360
    人間(蒼)|37才|男性|猟撃士

  • シバ・ミラージュ(ka2094
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師

  • nil(ka2654
    エルフ|16才|女性|猟撃士
  • 暖かな場所へ
    灯心(ka2935
    人間(紅)|18才|男性|霊闘士
  • Two Hand
    lol U mad ?(ka3514
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 瑞鬼「白澤」
    鬼百合(ka3667
    エルフ|12才|男性|魔術師

サポート一覧

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アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/11 13:22:39