• 無し

【初夢】手繰る夢

マスター:一縷

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/11 19:00
リプレイ完成予定
2015/01/20 19:00

オープニング

※このシナリオは夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

●小さな祠
 ……ここはどこだろう。
 ひとりの少女はきょろきょろと辺りを見渡した。見覚えのない、知らない場所だ。
 辺り一面に広がるのは透き通った、水。自分の顔が綺麗に映るほどの綺麗な水。
 大きな泉なのだろうか。しかし、岸は見えない。……不思議な場所だ。
「……あれは?」
 水以外に何もなかったはずの場所に、小さな祠が突如として姿を現す。
 淡く輝いて見えるのは気のせいだろうか。少女は惹き寄せられるかのように祠に向かって歩みを進めた。

 近づいてみると、淡い輝きが増したようにも感じられる。
 恐る恐る祠へと手を伸ばす。指先が触れた瞬間、ぽちゃん、と耳元で滴が水面に落ちるような音が微かに響いた。
『汝の願いは?』
 水音と共に聞こえてくる嗄れ声。
「何……っ?!」
 少女は驚いて手を引く。辺りを見渡しても誰も居ない。さっきと何一つ変わらない風景が広がっている。『汝の願い、一つだけ聞いてやろう』
 状況を把握できていない少女を置き去りに、嗄れ声は少女にもう一度問いかけた。
「……私の、願い?」
 願いと言われてもすぐに出てくるものではない。ましてやこの状況だ。落ち着いて考えられる状況とは言い難い。
 しかし、嗄れ声は少女の耳元でこう呟いた。
『……承知した』
 この言葉を最後に、少女の意識は途絶えた。

●少女の夢
 少女は目を覚ました。辺りを見渡すと先程とは違い、温か味の感じられる建物の中に居た。
 家、だろうか。暖炉では薪が燃え、食卓には美味しそうに湯気の立つ食事が並べられていた。
「――」
 突然、名前を呼ばれて振り返る。
「……!!」
 振り返った先に居たのは、病気で亡くなったはずの母親だった。
 訳が分からない。どうして母親がいるのか。冷静な判断が出来ずに、頭が混乱して声が出ない。
「―――」
「……え?」
 微笑みながら母親が何かを言う。言葉を聞きとることは出来ない。
 どうしたらいいのか分からずに混乱していると、母親がシチューの入った皿を少女の前に置いた。
 食事をしようと言っているのだろうか。少女は皿の置かれた席に腰を下ろす。
「―――」
 それを見た母親は手を合わせる。少女も慌てて手を合わせた。

 ―――いただきます。

 きっとこう言っているのだろう。いつもご飯を食べる前にやっていたことだ。なんとなく伝わった。
 スプーンを手に取り、シチューを掬って口に運ぶ。
 その瞬間、ふわりと甘い香りが鼻に抜け、忘れられない味が口の中いっぱいに広がった。
(……お母さんの、味だ……)
 二度と食べられないと思っていた母の味。大好きだった母の手料理。
 自然と涙が溢れた。微笑んだ母親の顔が滲んで見える。
「―――」
 優しい手が少女の涙を掬う。それでも涙は止まらない。
 席を立った母親は、そっと少女を抱き締める。いい匂いが少女を包み込んだ。
「―――」
 ぽふぽふと頭を撫でられ、ゆっくりとリズムを刻みながら背を叩いてくれる。
 その心地良さに再び意識が遠退く。眠ってはいけないと思っても、瞼は落ちる一方で。
「……おかあ、さん……」
 朦朧とした意識の中で最後の力を振り絞り呟く。
 その呟きに答えるかのように母親が口を開く。やはり何を言っているのかは分からなかった。
 遠退く意識に抗えぬまま、少女は再び意識を手放した。

●残ったモノ
 少女はゆっくりと目を開く。起きたばっかりだと言うのに、意識はハッキリとしていた。
 視線を動かし、辺りを見渡す。自分の机、自分の服、――いつもと変わらない風景が広がっていた。
 ――夢だった。
 少女は直ぐに悟った。母親は何年の前に亡くなって、今は祖母と二人暮らしだ。
「……お母さん」
 消えてしまいそうな声で母を呼ぶ。答えが返ってくることのない相手を呼ぶ。
 分かってはいても、何とも言えない感情が少女を襲った。その場を動くことも出来ず、呆けていると、

 ―――カタンッ

 小さな音が、朝日の差し込む静かな部屋に響いた。
 音のした方に視線を漂わせる。見覚えのないオルゴールが机の上に置かれているのが目に入った。
 のろのろとベッドを抜け出し、そのオルゴールを手に取る。
 ゼンマイを巻き、そっと開くと、リン……、と小さな音を奏で始めた。
「……これ」
 母親と一緒によく聴いた音色だった。
 不意に母親の言葉を思い出す。あの時は、冗談はやめて、と笑い飛ばしていた母の言葉。

『……何があっても忘れないで頂戴。お母さんは、ずっとあなたの事を見守ってる、って』

 音色を奏で終ったオルゴールを抱き締める。
 夢の中で見た、母親の口の動き……もしかしたら、これを伝えたかったのかもしれない。
 自然と溢れていた涙を拭う。
「私は大丈夫だよ、お母さん」
 精一杯の微笑を浮かべ、窓の外に視線を移す。
 その言葉に答えるかのように、小鳥の囀りが聴こえてきた。

解説

●依頼内容
これは夢のお話しになります。現実には存在しません。
また、夢の中でもし死を選んだとしても、必ず目を覚まします。
報酬は出ませんのでご注意ください。

不思議な祠が、あなたの願いを叶えて(見せて)くれます。
過去や未来、あなたが望むものを願ってみませんか?

●状況
眠ってから不思議な場所で目を覚まし、祠を見つける所からスタートとなります。
ひとりひとりが個々に祠を見つける為、他の方と遭遇することはありません。
もし、同行者がいらっしゃいましたら、【同行者名(ID)】を明記ください。

マスターより

こんにちは、一縷です。
少し間が開いてしまいましたが、今年も一年、頑張って行きますのでよろしくお願いします。


●プレイングについて
出来る限り状況をハッキリ書いてくださると嬉しいです。
例:どうしてこの願いを言ったのか、この夢を見てどうしたかったのかetc…

可能であれば、夢で逢う相手がいる場合、その相手がどういった方なのかも書いていただけると…っ。
例:こう言うであろう、こういう態度を取るだろうetc…

PC口調or台詞を書いていただけますと、とても助かります…!
また、ここだけは外せないorこれだけはしない、などありましたら一言添えてください。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/01/18 10:18

参加者一覧

  • いつか、本当の親子に。
    ライナス・ブラッドリー(ka0360
    人間(蒼)|37才|男性|猟撃士

  • シバ・ミラージュ(ka2094
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師

  • nil(ka2654
    エルフ|16才|女性|猟撃士
  • 暖かな場所へ
    灯心(ka2935
    人間(紅)|18才|男性|霊闘士
  • Two Hand
    lol U mad ?(ka3514
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 瑞鬼「白澤」
    鬼百合(ka3667
    エルフ|12才|男性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/11 13:22:39