ゲスト
(ka0000)
【幻想】虧星の告
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/01/26 15:00
- 完成日
- 2019/02/02 11:04
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
怠惰王が青木と共に南下している中、パシュパティ砦に緊急招集の部族会議が行われていた。
そんな中、ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)が呟いていた言葉がファリフに少し引っかかっていたのだ。
気にしなくていいのだから、気にしなくていいのだが、多分、似て非なる方向で気になることがあった。
「ファリフ」
ひょっこり現れたテトにファリフは表情を硬くする。
「ねぇ、テト。あいつは……」
「アクベンスはまだ不明ですにゃ。しかし、怠惰王の進軍となれば、奴も来ると思いますにゃ」
あっさりとファリフが言いたかったことを口にしたテトにファリフは口元を緩める。
「タットルの件、どうなった?」
「現在の調査中ですにゃぁ。先日捕まえた奴らはただの取引先で、入れ墨はありませんでしたにゃ」
どうやら、タットルの団員に彫られる入れ墨は好きなところに彫れるようだ。ただ、捕虜扱いの者は両手首に彫られるとのことだ。
「今、アジトの方に見張ってるんだよね?」
「にゃぁ。今も見張っておりますにゃ。怠惰王のルートとは外れておりますにゃし、この冬は動くこともにゃいと踏んでますにゃ」
辺境の冬は厳しい。
本来は厳しい冬を耐え忍んでから移動する部族がほとんどだ。
しかし、怠惰王のルートに近い部族は退避をさせられており、南下し続けている。
「今は花豹の姉様が交代するべく、向かってますにゃ」
「そっか、何もないといいね」
張り込み調査に強いメンバーを送っていたが、テトもどこか不安そうだ。
ファリフがそう呟くと、外から強い風の音が聞こえてきた。
●
怠惰王の影響は絶大といってもいい程だった。
暴力というにはあまりにもあっけない死を生きるものへ齎していく。
そんな凄まじい力に曝された辺境部族達は逃げるしかない。
赤き大地に生まれし者は、生きることが最大の命題なのだから。
怠惰王の力は人類側にとって、死の危険性を持つであるが、歪虚にとっては増幅剤のようなもの。
その力の影響によって、歪虚達の力が増幅、士気が上がっていた。
「知能の無い同胞にとっては恵みの雨……と言っても過言ではないでしょうけど。まぁ……愉しませてもらいましょう」
サイクロプスの肩に乗った影がくつくつと笑う。
●
部族なき部族の花豹は仲間と合流する為、盗賊団『タットル』の拠点の一つに向かっていた。
現在、ドワーフ工房と提携している鉱山が盗賊団に狙われていたこともあり、ドワーフ工房管理官であるアルフェッカ・ユヴェーレンの依頼のもと、調査している。
仲間は拠点近くの洞窟で張り込みをしており、花豹はそちらの方へと入っていく。
「私だ。いるか?」
花豹が洞窟の中へ入っていくと、中は荒らされており、見知らぬ人間が転がっていた。
押してみると、死んでいた。怪我をしているところから、それが原因か凍死をしたのだろうと推測される。
遺体の首元に妙な影があったので、衣服を引っ張ると、見たことがある入れ墨があった。
「タットルの者か……っ!」
花豹は拠点に向かうが、人がいる形跡はなかった。
この辺りでの拠点は岩山の中にあるようだったが、誰かいるような音がしてなかった。
「もぬけの空……か」
花豹が入り口だろう場所を覗くと、そこに案山子のように立たされている人間がいるのに気づく。
「誰だ……」
ぴくりとも動かない人間に語りかける花豹だが、その胸に剣が突き刺さっていた。
その剣に見覚えがある。
「まさか……」
脳裏に浮かぶのは新しい武器を自分の為に作って貰って喜んでいる『彼女』の笑顔。
「ひば……かり……?」
部族なき部族の熇尾蛇の遺体が曝されていた。
そして、熇尾蛇と共にいたはずの部族なき部族のメンバーである双弓の姿は見えなかった。
●
部族会議は南下する怠惰王の影響を受け、強化された歪虚を掃討するべく、ハンターに協力を要請した。
スコール族の長としてファリフも参加しており、傍らには大幻獣トリシュヴァーナの姿もある。
斥候として調べに出ていた辺境部族の戦士達がファリフに報告したのはアクベンスが多数の歪虚を率いてこちらに向かっている事。
そして、サイクロプスが何かを持っている姿が見受けられると言っていた。
「何か、兵器とか?」
「恐らく……人間かと」
その言葉にファリフの表情が硬くなる。
どんな事があったのかはわからない。
人類が歪虚の犠牲になることは決して許されないのだ。
「迎え撃つ。皆も頼むよ!」
ファリフが依頼に応じたハンターに告げると、彼らは頷いて行動を共にする。
そんな中、ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)が呟いていた言葉がファリフに少し引っかかっていたのだ。
気にしなくていいのだから、気にしなくていいのだが、多分、似て非なる方向で気になることがあった。
「ファリフ」
ひょっこり現れたテトにファリフは表情を硬くする。
「ねぇ、テト。あいつは……」
「アクベンスはまだ不明ですにゃ。しかし、怠惰王の進軍となれば、奴も来ると思いますにゃ」
あっさりとファリフが言いたかったことを口にしたテトにファリフは口元を緩める。
「タットルの件、どうなった?」
「現在の調査中ですにゃぁ。先日捕まえた奴らはただの取引先で、入れ墨はありませんでしたにゃ」
どうやら、タットルの団員に彫られる入れ墨は好きなところに彫れるようだ。ただ、捕虜扱いの者は両手首に彫られるとのことだ。
「今、アジトの方に見張ってるんだよね?」
「にゃぁ。今も見張っておりますにゃ。怠惰王のルートとは外れておりますにゃし、この冬は動くこともにゃいと踏んでますにゃ」
辺境の冬は厳しい。
本来は厳しい冬を耐え忍んでから移動する部族がほとんどだ。
しかし、怠惰王のルートに近い部族は退避をさせられており、南下し続けている。
「今は花豹の姉様が交代するべく、向かってますにゃ」
「そっか、何もないといいね」
張り込み調査に強いメンバーを送っていたが、テトもどこか不安そうだ。
ファリフがそう呟くと、外から強い風の音が聞こえてきた。
●
怠惰王の影響は絶大といってもいい程だった。
暴力というにはあまりにもあっけない死を生きるものへ齎していく。
そんな凄まじい力に曝された辺境部族達は逃げるしかない。
赤き大地に生まれし者は、生きることが最大の命題なのだから。
怠惰王の力は人類側にとって、死の危険性を持つであるが、歪虚にとっては増幅剤のようなもの。
その力の影響によって、歪虚達の力が増幅、士気が上がっていた。
「知能の無い同胞にとっては恵みの雨……と言っても過言ではないでしょうけど。まぁ……愉しませてもらいましょう」
サイクロプスの肩に乗った影がくつくつと笑う。
●
部族なき部族の花豹は仲間と合流する為、盗賊団『タットル』の拠点の一つに向かっていた。
現在、ドワーフ工房と提携している鉱山が盗賊団に狙われていたこともあり、ドワーフ工房管理官であるアルフェッカ・ユヴェーレンの依頼のもと、調査している。
仲間は拠点近くの洞窟で張り込みをしており、花豹はそちらの方へと入っていく。
「私だ。いるか?」
花豹が洞窟の中へ入っていくと、中は荒らされており、見知らぬ人間が転がっていた。
押してみると、死んでいた。怪我をしているところから、それが原因か凍死をしたのだろうと推測される。
遺体の首元に妙な影があったので、衣服を引っ張ると、見たことがある入れ墨があった。
「タットルの者か……っ!」
花豹は拠点に向かうが、人がいる形跡はなかった。
この辺りでの拠点は岩山の中にあるようだったが、誰かいるような音がしてなかった。
「もぬけの空……か」
花豹が入り口だろう場所を覗くと、そこに案山子のように立たされている人間がいるのに気づく。
「誰だ……」
ぴくりとも動かない人間に語りかける花豹だが、その胸に剣が突き刺さっていた。
その剣に見覚えがある。
「まさか……」
脳裏に浮かぶのは新しい武器を自分の為に作って貰って喜んでいる『彼女』の笑顔。
「ひば……かり……?」
部族なき部族の熇尾蛇の遺体が曝されていた。
そして、熇尾蛇と共にいたはずの部族なき部族のメンバーである双弓の姿は見えなかった。
●
部族会議は南下する怠惰王の影響を受け、強化された歪虚を掃討するべく、ハンターに協力を要請した。
スコール族の長としてファリフも参加しており、傍らには大幻獣トリシュヴァーナの姿もある。
斥候として調べに出ていた辺境部族の戦士達がファリフに報告したのはアクベンスが多数の歪虚を率いてこちらに向かっている事。
そして、サイクロプスが何かを持っている姿が見受けられると言っていた。
「何か、兵器とか?」
「恐らく……人間かと」
その言葉にファリフの表情が硬くなる。
どんな事があったのかはわからない。
人類が歪虚の犠牲になることは決して許されないのだ。
「迎え撃つ。皆も頼むよ!」
ファリフが依頼に応じたハンターに告げると、彼らは頷いて行動を共にする。
リプレイ本文
歪虚との開戦が近くなり、ハンター達は人間を持ち運ぶ歪虚に怒りを顕わにしていた。
「随分と数を集めた上に人質とは……」
息を吐く鹿東 悠(ka0725)の視線は歪虚が進軍してくる方角。
今は遠目で巨人兵の姿が見えている。
「アクベンスは効率がいいとは思えないけど、人間をよく見ていると思ってた」
悠の隣に立つのはファリフだ。
「古典的ですが、効果は出ますね。人間のえぐい部分を晒すような連中と付き合いがあれば仕方ないのかもしれません」
「その通りだと思う」
ちらりと悠がファリフへ視線を向けると、彼女は静かな怒りが満ちている。
「ファリフ、分かっていると思うけど……」
後ろから声を投げかけるのはオウガ(ka2124)だ。
「アクベンスは効率よくボクを怒らせる」
ヒリつくような怒りがファリフから伝わってくるのだ。気づかない者はいなかった。
赤き大地の戦士であり、部族を纏める長でもある。
この地に住まう者を人質にする歪虚……相棒でもあったフェンリルを殺したアクベンスへ怒りが止まらないのだ。
白い花の如くのかんばせを凍らせてファリフを見つめているのは木綿花だった。
「ファリフ様は目の前で幻獣フェンリル様をアクベンスに殺されているのです」
心配そうな声音で木綿花(ka6927)に告げるのはセツナ・ウリヤノヴァ(ka5645)。
「フェンリル様はトリシュヴァーナ様とファリフ様が出会うまでファリフ様の守護をしておりました」
言葉を切ったセツナの後、口を開いたのはエステル・ソル(ka3983)だ。
「大切な方だったのですね……」
ふんわりとした青の髪が風に乗ってしまわないように耳元を抑えている。
橙の瞳がファリフの方を向くと、金の炎のような美しい毛並みをもつトリシュヴァーナが寄り添っていた。
「トリシュヴァーナ様にとってもフェンリル様を失った怒りは同じでしょう」
「更に庇護すべき者が踏みにじられては怒りが止められないものですね」
頷くエルバッハ・リオン(ka2434)はガルムの方へと向かう。
「私達も行きましょう。為すべきことを」
エルバッハの言葉にハンター達は頷く。今は目の前の人質を助けるのが先決とした。
人質を取り戻すべく、ハンターは動き出す。
依頼書では歪虚の討伐が主とされていたが、ハンター達の意向もあり、ファリフは人質の奪還を優先した。
人質を奪還してから心残りなく掃討するのがいいと思うのはファリフも同様だ。
「アヴァ……」
木綿花が待機していたワイバーンの首に手を当てる。ワイバーンは首を捻り、主の方を向け、目を細めていた。
目の前の歪虚に対し、やるべきことをしなければならない。
「行きましょう」
軽やかな身のこなしで木綿花はワイバーンへ乗り込む。
ワイバーンは翼を広げ、飛び立つ。
向かうは歪虚の動向と人質の状況を調べる為だ。距離を取りつつ、木綿花は双眼鏡を構える。
夥しい巨人兵がこちらへと向かっている。
その中でアクベンスの姿を探す。
当該の歪虚は特徴通りに青灰色の長い髪にうさ耳帽子を被り、燕尾服を着た少年。サイクロプスの肩に乗り呑気な様子だ。
ワイバーン一体が飛んでいることに気づいているだろうアクベンスは視線を向ける。
目があったような気がしたが、木綿花はきりりと睨み返す。例え、こちらを向いていなくても。
双眼鏡の向こうのアクベンスはサイクロプスに何やら指示をしていた。
「え……」
ぽつりと呟く木綿花の次の声は悠へと向けられる。
「どうかしましたか?」
悠が尋ねると、彼女は接近し、マッスルトーチを発動して欲しいと願った。
一体のサイクロプスが大きく腕を振り上げている。その手にある『存在』に気づき、急いでスキルトレースでソウルトーチを発動させる。
何体かの巨人兵はマッスルトーチの陽動に反応していたが、狙っているサイクロプスは抵抗に成功していた模様。アクベンスが手振りでアクションを起こした後、反応するように手にしている人質を振り回していた。
地上を疾走しているエステル達がサイクロプスの様子に気づく。
人質を持っているサイクロプスの腕に赤い縞のような何かがついていた。
「あれは血……!」
軍用双眼鏡で覗いていたエルバッハが叫ぶ。そして、他の状況も確認しようと窺っていると、後列の銃砲を持つサイクロプスが銃口を斜め上に構えている事に気づく。
「こちらの反応を楽しむのか……」
ぽつりと呟く悠だが、今は陽動に流れてきた歪虚を倒すのが先決だ。
「セツナさん、行くよ!」
トリシュヴァーナに乗ったファリフはセツナとその相棒である雹と共に行動していた。
「はい、ファリフ様」
二組は人質奪還班とは別行動で動いている。目的は歪虚兵の砲撃班を誘導し、掃討することだ。
砲撃班は木綿花を執拗に追い込んでおり、砲撃班のを誘導を主に行おうとしていた。
ファリフの視線はアクベンスの方へと向かっているが、気を抜かすことなく歪虚の中へと飛び込んでいく。
セツナがクロスボウ「ユサール」で射撃をしていき、ファリフはトリシュヴァーナと共に敵陣へと入っていき、悠の方へと敵の流れを作る。
「木綿花さん! 狙われています」
エルバッハが木綿花に警告すると、彼女も気づいており、ワイバーンを急旋回させて味方に流れ弾が向かないように回避する。
ワイバーンを見ていたアクベンスは別の部隊にもワイバーンを狙うように指示をした。
いくつもの銃砲から逃げるように木綿花は相棒であるアヴァを操る。
巨人兵の砲撃は長く、執拗に木綿花とアヴァを狙う。降下しようとした時、アヴァの羽に避けた筈の弾丸が貫通した。
横目で見ていた木綿花はぞくりと臓器が収縮するような感覚がくる。
「アヴァ!」
木綿花がワイバーンの名を呼ぶも、アヴァはバランスを崩してそのまま下降してしまうが、なんとか体勢を整えて飛行していく。
巨人兵が木綿花達に意識を向けている間、エステルが収束魔を発動させたうえでブリザードを展開する。
人質を取っているサイクロプスを中心に冷気の嵐が瞬きの間に吹き荒れ、その名残がサイクロプスの身体に張り付いていた。
冷気で動きが阻害されたサイクロプスは動きが鈍くなっていく。
更にエルバッハが重機関銃「ラワーユリッヒNG5」で冷気で動きが鈍ったサイクロプスの足元を狙う。
重機関銃の轟音は歪虚の士気を挫くような音であり、同時に共に銃弾を歪虚へと叩き込む。
撃つというよりも、砕くように弾丸を叩き込み倒れていく。
その弾幕は人質を持っていたサイクロプスにも当たっており、両足はぼろぼろとなって今にも膝から落ちそうだが、その歪虚が倒れないのは持っている人質を支えている無数の手だ。
虚空より伸びている手を動かせているのはオウガ。
「木綿花、いけるか」
トランシーバー越しにオウガが呼びかけると、電波の向こう側で木綿花が是と返した。
「アヴァ……行きますよ」
そっと、アヴァの背を撫でる木綿花の声に応えるように相棒は再び飛翔する。
サイクロプスから人質を切り離す為、エルバッハがウィンドスラッシュを発動させた。
鋭い風はサイクロプスの腕と頭半分を刈り取るように斬り裂いていき、腕や首より下が地に崩れ落ちていく。
接近しようとするワイバーンを撃ち落とそうとする巨人兵にはソウルトーチの引き寄せが入り、隊列が乱れてしまう。
巨人兵達が悠の間合いに入ると、木綿花へ自身の位置を伝え、巻き添えにならないようにと通信を入れた。
「さぁて、いきますか」
人型機動兵器であるアズラエルが手にしているのは斬艦刀「雲山」。雲がかかった山のようにも見える大きな刃は取り回しは難しいといわれている。
しかし、使いこなせればその殺傷力は高い。
アズラエルが斬艦刀を振り上げると、ソウルトーチに反応した巨人兵たちがアズラエルへと向かっていく。
刀を振り降ろすと、サイクロプスは肩口から斬られ、衝撃で膝から崩れる。素早く刀を横に薙いで巨体の胴を一直線に切り捌いた。
アズラエルの間合いの中で素早く無数の斬撃が繰り広げられ、縦横無尽の名に相応しく巨人兵が斬り倒される。
斬撃にアズラエルの周囲にいた巨人兵が次々と倒されていく。
周囲にいるハンター達は斬撃に巻き込まれないようにしていた。
オウガが発動していたファントムハンドは人質を木綿花へ渡そうとすると、インカムから仲間の警戒うを促す声が容赦なく木綿花の鼓膜を叩く。
サイクロプスを綱渡るかのようにアクベンスが接近してきている。
木綿花は人質の身体を安定することを優先としており、アクベンスには構わなかった。奴から縄ひょうが木綿花を狙うがそれは彼女の柔肌を傷をつけるに至らなかった。
光のガラスが砕け、ぱらぱらと落ちていく。
木綿花の耳に聞こえる指示に従い、彼女はアヴァに急下降を指示をした。
慌てて追おうとするアクベンスだが、彼の人房の髪が身体から離れ、赤き大地の風に攫われる。
背後でサイクロプスの頭が吹き飛んでいた。
「汚い手で勝手に女性に触るな」
可変機銃「ポレモスSGS」を構えるアズラエルからそんな声が聞こえてきそうだ。
銃弾を撃ち込まれた衝撃でアクベンスが上体を仰け反ると、横から星のきらめきを宿した小鳥が流星のようにアクベンスへと向かってくる。
寸でで躱そうとしたが、腕を掠るだけに留まった。
「タットルの差し入れですよ」
にやりと笑うアクベンスは一度後退してしまう。
その言葉に一抹の不安を覚え、木綿花はエステルとエルバッハの援護を受けて素早く離脱する。
人質が救出されたことを知ったハンター達は一気に仕留める攻勢へと動き出す。
「アクベンスが一旦引いた! どこから狙ってくるか分からねぇけど、各自警戒は怠るなよ!」
オウガが声をかけると、他のハンターも返事をした。
地上に降りた木綿花は人質をエステルに託す。
「エステル様、お願いします。テト様に言付けを。タットルの差し入れとアクベンスが言っていたと……」
「承りました」
人質をアレキサンドライトに乗せてエステルは一度戦線を離脱する。
呼吸も微かで今にも事が切れそうな様子。
死んでいる可能性があったが、いつ死んでもおかしくはない。
「生かさなくては……アレクさん、お願いです……」
漆黒のビロードの如く艶やかな毛並みをもつアレキサンドライトは主人の願いを叶えようといわんばかりに足を速めた。
テトものとへ疾走するアレキサンドライトとエステルの背後を守るようにエルバッハとその相棒ガルムが歪虚に立ちはだかる。
錬金杖「ヴァイザースタッフ」へ武器を持ち替えたエルバッハは近づいてくるサイクロプスを見据える。
「かくれんぼをしている歪虚がいるなら、それごと……いきます」
風に言葉を乗せるようにエルバッハが宣言すると、錬金杖を歪虚へかざし、紫色の光を伴う重力波を発生させる。
重力を収縮させ対象となりえる歪虚を一気に圧壊させ、動きを鈍らせていく。
そんな中オウガが全身のマテリアルを滾らせ、飛び込んで魔斧「モレク」ごと、ぐるりと大回転をしていった。
「思う存分、あばれてやるぜ!」
カーネージロアを発動させたオウガは周囲の動けないサイクロプスへ斧を叩きつけていく。
スキルの効果もあり、サイクロプスの巨体が斧で叩き切られてしまい、後方にいた歪虚は衝撃で吹き飛ばされていった。
ドミノ倒しのようにサイクロプスが倒れたりするが、体勢が整う前に同士討ちで倒される歪虚が続発している。
前線だけではなく、中衛にもそれは頻発していた。
木綿花がアヴァを繰り、白龍の息吹で同士討ちを発動させている。その中でアクベンスも探しているが、隠れているのか移動中なのかわからなかった。
「アクベンス探しは無理はせずに」
空中を旋回するアヴァと木綿花にセツナがトランシーバー越しに声をかける。
無理に探そうとしても出てこないのはよくわかっている。今回の件もファリフ達を挑発したいためだろうとセツナは思う。
「セツナさん、後ろ!」
注意が飛んでくると、セツナは瞬時に手にしていた太刀「宗三左文字」の切っ先を地へ一気に擦り上げながら背後を向いた。
火花を散らして斬りつける紅蓮の軌道は、赤い眉月の如くに巨人兵の胴を真っ二つにする。
「ありがとうございます、ファリフ様」
「それはボクの台詞」
礼を告げるファリフにセツナが目を瞬く。
「皆、ボクやトリシュを気遣ってくれてるでしょ? 確かにすごく腹を立てているよ。でもね、それ以上にアイツは人類を苦しめている」
愛用の大斧でサイクロプスをノックバックで叩きつけ、後方へと吹き飛ばした。
「確かに、アクベンスも人類と共に動いている。けど、そいつらは法で裁くべき人間」
だよね……と、ファリフはセツナへ微笑みかける。
「はい」
微笑ましいファリフにセツナは優しく返事をした途端に刀を鞘に納め、ファリフとすれ違い、後ろの歪虚の方へ間合いを詰めた。
流れる水の如くの動きは歪虚の虚を突く。一気に引き抜く高速の抜刀のあと、琥珀色の軌跡を描き、立ち塞がるサイクロプスを一直線に薙ぎ払う。
テトのもとへ人質を引き渡したエステルは、テトが表情を青くしていることに気づく。
「双弓……!」
悲痛なテトの声にエステルは戸惑いつつも既知であるのかと尋ねた。
「にゃかま……ですにゃ……タットルの拠点を調べて……」
一度言葉を切ったテトは仲間を失ったという戦慄に震えていた。
「エステル……」
「はい」
「今は巨人兵の討伐をとファリフに伝えてくださいにゃ……テトは平気と……」
仲間を抱きしめ、テトは声を振り絞る。
震えながらも歪虚の挑発や恐怖に支配されることなく、他者を思いやるテトの気概にエステルは気を引き締め、頷いた。
「わかりました」
アレキサンドライトに乗ってエステルは再び戦場へと戻っていく。
前線ではエルバッハの相棒であるガルムが主人に近づけさせまいとサイクロプスと対峙していた。
エルバッハ達が対峙しているサイクロプスは太刀を持っており、ガルムはスティールステップで大きく跳躍し、間合いを制している。
更にウォークライの咆哮で敵を威圧し、行動を阻害していた。
頼りになる相棒の背後でエルバッハは錬金杖を突き出し、その中空に火が点る。
火はくるり、と回転して空気を含むように火球へと形を成していく。
杖を振り上げ、火球をサイクロプスに投げつけるなり、その火球が爆発し、火の幕が周囲にいたサイクロプスの集団を包み込むように焼き尽くす。
眼前の同胞が焼かれたことはサイクロプスの知性でも理解し、その場に立ちすくんでいた。
「ガルム」
静かに相棒の名を呼んだエルバッハの意を察したかのように主人の前に身を屈める。
ガルムに乗り込んだエルバッハは歪虚との間合いを詰めていった。
ハンターの最前線にいるアズラエルに乗り込んでいる悠は特攻してくる歪虚兵を誘導していた。
大きく踏み込んで斬艦刀をサイクロプスへ突き出す。
八百センチメートルある刃渡りは数体のサイクロプスを刺していった。刀を振り、歪虚を振り払うと、アズラエルは別の方向から斬りつけてきた歪虚兵を太刀を持っていた腕ごと斬り倒す。
刀の流れに逆らうことなく、肩から斬りつけ後ろへと倒し、奥にいる歪虚へも切って倒していく。
インカムからは善戦する仲間の様子が分かるが、現在の所はそろそろ半数に差し掛かることだと察する。
アクベンスの姿は見受けられない。
逃げたとは思えない。
「掃除が終わるまでのお楽しみ……か」
全く楽しみではないと言わんばかりに息を吐く悠の視界に歪虚が飛び込むと、斬艦刀をその一つ目に突き入れた。
前線へ戻ったエステルに立ちはだかるのはハンターの包囲から漏れた歪虚兵たちだった。
「そこを避けてください」
神秘的な声音で忠告するエステルの言葉が聞いてもらえないのは百も承知。
ゆっくりとフォースリングをつけた手を掲げるように上げた。
「星の翼を羽ばたかせ、小鳥は空を舞う」
リングの周囲に星の光のようなきらめきが走ると、五羽の小鳥が象られていく。
「一条の流星となりて、天を駆けよう≪ステラ・アウィス≫」
詠唱終了と共に小鳥は羽搏き、エステルの声に従って彼女の繊手に添うように滑空し、歪虚を貫いた。
「アレクさん」
主人の呼びかけに応えたアレキサンドライトはウォークライで間合いを詰めようとする歪虚へ威圧をする。
その隙にエステルは再び星鳥を喚ぶ。
「小鳥さん、お願いします」
エステルに頼まれた小鳥達は中空を駆け抜けて歪虚へと向かう。
次々と倒れる同胞に気づいた歪虚兵達がエステルへ集まっていく。その間にエステルはブリザードを展開していった。
錬金杖を振りかざそうとした時、太刀を持っている歪虚兵の中に突撃砲を持っているサイクロプスを見つける。
その銃口はエステルを狙っていた。
ブリザードを発動と歪虚への効果のタイミングのずれが生じ、エステルの足に球を受けてしまう。
「……っっ!」
痛みを告げる声を上げることも儘ならない衝撃にエステルは気力で我慢するしかなかった。
トランシーバー越しに悠の声が聞こえ、息を切らし、何とか居場所を返す。
「小鳥さん……お願いします」
指を巨人に向け、エステルは道を作ると、悠が動きやすいように動き始めた。
大きく肩で息を吐いたのはオウガだ。
彼の周囲には倒された巨体の歪虚が見えるばかりだった。
カーネージロアで歪虚をなぎ倒した後だ。しかし、オウガがなぎ倒した向こうにはまだ進軍してくる歪虚の姿がある。
「……っちきしょ……まだいるのか」
オウガが相棒のリーリーを視線で探すと、ひょっこり現れた。
「うし、いくか」
リーリーに乗り込むと、進軍してくるサイクロプスが吹き飛ばされる。
倒れていく歪虚の向こうにいたのはファリフとトリシュヴァーナだ。その後方ではセツナと木綿花が歪虚を食い止めている。
彼女達も体力が削られているようであり、息が上がっていた。
「随分疲れてんな」
にやりと口元を緩めつつ、オウガが声をかける。
「そっちこそ、休憩?」
ファリフがトリシュヴァーナから飛び上がり、巨人兵へ大斧を突き立てた。歪虚は衝撃に後ろへ倒れていく
「もう終わったよ!」
仲間であり、好敵手のファリフの軽口にオウガは笑う。
相棒のリーリーを走らせてリーリージャンプで一気に巨人との間合いを詰めたオウガは斧で首を刎ね飛ばす。
脇から挟み撃ちにするように歪虚が現れると、オウガとファリフが背中合わせに敵を見据える。
「そういや、聞いたか?」
「タットルの土産って言ってたって話でしょ」
武器を構えて言葉を交わす。
「どんな意味があるかわからないけどね」
「まぁな」
背から互いの気配が消えると、同じタイミングで巨人を倒した。
主に砲撃兵の同士討ちをと動いていた木綿花はワイバーンを急旋回して歪虚を誘導させていた。
ファリフと共に行動していたセツナを狙った砲撃兵に気づいた木綿花はデルタレイを発動して砲撃兵の目を潰す。
歪虚の体勢が崩れてしまい、倒れる間際に発砲してしまう。
木綿花が弾道を見極め、回避してから敵の方を向くと、倒れ行く歪虚の後ろから青灰色の髪が揺れる。
隠れ蓑が消え、青灰色の歪虚が走り出す。
「セツナ様! ファリフ様を!」
絶叫と共に木綿花が叫び、デルタレイで照射するも、命中しても倒れなかった。
「おのれ、アクベンス! 部族の星は渡さん!」
雹を急ターンさせたセツナが歪虚アクベンスへと叫ぶ。
一度ならず二度までも卑怯な手によって命を奪われる姿は見たくない。
持ち替えたクロスボウでアクベンスを狙う。
アクベンスが手を上げて矢を受け、そのままセツナへと突っ込んでいく。
何本もの縄ひょうがセツナと雹を襲う。両手をクロスしたセツナが頭を庇うと、雹が回避するため大きく飛び跳ねる。
しかし、アクベンスもセツナの方へ飛び込むと、彼女の嗅覚に甘い香りがした。一気に頭の芯まで届く靄のような感覚に襲われ、意識が遠くなったセツナは雹から落ちてしまう。
「くっ」
起きようとするが、上手く立てずにいる。
「そこにいてください」
アクベンスは手から矢を抜き放ち、セツナの足に突き刺した。
短い苦痛の声を上げたセツナを背に、ファリフの方へと向かおうとしたアクベンスが振り向いた先に見たのは、怒りの形相で斧を振りかぶるファリフだった。
「おやおや、妬きもちですか姫」
後方へ飛びはねたアクベンスだが、ファリフはその場に留まると、彼女の背を踏切板よろしくオウガが跳躍し、アクベンスへと斬りかかる。その攻撃がオウガ一人だけのものとは思えないほど鋭い一撃だった。
「いいやり方ですね」
一瞬の隙を見たアクベンスがオウガを蹴り、間合いを詰めた。
「ありゃ、何の真似だ。タットルの土産って何なんだ」
「文字通り、タットルからのお届け物ですよ。これ以上の深入りすると容赦せず滅するという事です。拠点に晒していた間者もお揃いの跡をつけてたでしょう」
にっこり笑うアクベンスにファリフとオウガが顔を青ざめる。
人質は部族なき部族のメンバーだったのだ。
「テト……」
心配するのは部族なき部族のリーダーであるテト。
茫然とするファリフ達に背後から声と共に星のきらめきを纏う小鳥がアクベンスへと飛ぶ。
「彼女なら大丈夫です。気丈にしてました」
アレキサンドライトに乗ったエステルが告げると、オウガとファリフは安心したように顔を見合わせる。
「意外と強くなったものですね。ビスの件で何も変われてないのかと思いましたが」
くつくつと笑うアクベンスは周囲を見回す。
「そろそろ潮時ですね。ああ、アケルナルがそろそろ動き出すようですよ。お気をつけて」
オウガへ声をかけた後、アクベンスはゆっくりと後退していく。
「逃がしません!」
鋭い声音でエステルが言うと、進軍してきた歪虚兵達が太刀を投げてきた。
「ファリフ!」
トリシュヴァーナが前に出てファリフを庇い、前足で太刀を弾く。
ハンター達の活躍で歪虚は七割以上が討伐され、指揮官アクベンスの逃亡によって残りは逃亡した。
殆どのハンターが疲労で体力を削られていた。
「他の方はどうなったのでしょうね……」
寒さで冴えた空を見上げ、悠はそっと呟く。
「随分と数を集めた上に人質とは……」
息を吐く鹿東 悠(ka0725)の視線は歪虚が進軍してくる方角。
今は遠目で巨人兵の姿が見えている。
「アクベンスは効率がいいとは思えないけど、人間をよく見ていると思ってた」
悠の隣に立つのはファリフだ。
「古典的ですが、効果は出ますね。人間のえぐい部分を晒すような連中と付き合いがあれば仕方ないのかもしれません」
「その通りだと思う」
ちらりと悠がファリフへ視線を向けると、彼女は静かな怒りが満ちている。
「ファリフ、分かっていると思うけど……」
後ろから声を投げかけるのはオウガ(ka2124)だ。
「アクベンスは効率よくボクを怒らせる」
ヒリつくような怒りがファリフから伝わってくるのだ。気づかない者はいなかった。
赤き大地の戦士であり、部族を纏める長でもある。
この地に住まう者を人質にする歪虚……相棒でもあったフェンリルを殺したアクベンスへ怒りが止まらないのだ。
白い花の如くのかんばせを凍らせてファリフを見つめているのは木綿花だった。
「ファリフ様は目の前で幻獣フェンリル様をアクベンスに殺されているのです」
心配そうな声音で木綿花(ka6927)に告げるのはセツナ・ウリヤノヴァ(ka5645)。
「フェンリル様はトリシュヴァーナ様とファリフ様が出会うまでファリフ様の守護をしておりました」
言葉を切ったセツナの後、口を開いたのはエステル・ソル(ka3983)だ。
「大切な方だったのですね……」
ふんわりとした青の髪が風に乗ってしまわないように耳元を抑えている。
橙の瞳がファリフの方を向くと、金の炎のような美しい毛並みをもつトリシュヴァーナが寄り添っていた。
「トリシュヴァーナ様にとってもフェンリル様を失った怒りは同じでしょう」
「更に庇護すべき者が踏みにじられては怒りが止められないものですね」
頷くエルバッハ・リオン(ka2434)はガルムの方へと向かう。
「私達も行きましょう。為すべきことを」
エルバッハの言葉にハンター達は頷く。今は目の前の人質を助けるのが先決とした。
人質を取り戻すべく、ハンターは動き出す。
依頼書では歪虚の討伐が主とされていたが、ハンター達の意向もあり、ファリフは人質の奪還を優先した。
人質を奪還してから心残りなく掃討するのがいいと思うのはファリフも同様だ。
「アヴァ……」
木綿花が待機していたワイバーンの首に手を当てる。ワイバーンは首を捻り、主の方を向け、目を細めていた。
目の前の歪虚に対し、やるべきことをしなければならない。
「行きましょう」
軽やかな身のこなしで木綿花はワイバーンへ乗り込む。
ワイバーンは翼を広げ、飛び立つ。
向かうは歪虚の動向と人質の状況を調べる為だ。距離を取りつつ、木綿花は双眼鏡を構える。
夥しい巨人兵がこちらへと向かっている。
その中でアクベンスの姿を探す。
当該の歪虚は特徴通りに青灰色の長い髪にうさ耳帽子を被り、燕尾服を着た少年。サイクロプスの肩に乗り呑気な様子だ。
ワイバーン一体が飛んでいることに気づいているだろうアクベンスは視線を向ける。
目があったような気がしたが、木綿花はきりりと睨み返す。例え、こちらを向いていなくても。
双眼鏡の向こうのアクベンスはサイクロプスに何やら指示をしていた。
「え……」
ぽつりと呟く木綿花の次の声は悠へと向けられる。
「どうかしましたか?」
悠が尋ねると、彼女は接近し、マッスルトーチを発動して欲しいと願った。
一体のサイクロプスが大きく腕を振り上げている。その手にある『存在』に気づき、急いでスキルトレースでソウルトーチを発動させる。
何体かの巨人兵はマッスルトーチの陽動に反応していたが、狙っているサイクロプスは抵抗に成功していた模様。アクベンスが手振りでアクションを起こした後、反応するように手にしている人質を振り回していた。
地上を疾走しているエステル達がサイクロプスの様子に気づく。
人質を持っているサイクロプスの腕に赤い縞のような何かがついていた。
「あれは血……!」
軍用双眼鏡で覗いていたエルバッハが叫ぶ。そして、他の状況も確認しようと窺っていると、後列の銃砲を持つサイクロプスが銃口を斜め上に構えている事に気づく。
「こちらの反応を楽しむのか……」
ぽつりと呟く悠だが、今は陽動に流れてきた歪虚を倒すのが先決だ。
「セツナさん、行くよ!」
トリシュヴァーナに乗ったファリフはセツナとその相棒である雹と共に行動していた。
「はい、ファリフ様」
二組は人質奪還班とは別行動で動いている。目的は歪虚兵の砲撃班を誘導し、掃討することだ。
砲撃班は木綿花を執拗に追い込んでおり、砲撃班のを誘導を主に行おうとしていた。
ファリフの視線はアクベンスの方へと向かっているが、気を抜かすことなく歪虚の中へと飛び込んでいく。
セツナがクロスボウ「ユサール」で射撃をしていき、ファリフはトリシュヴァーナと共に敵陣へと入っていき、悠の方へと敵の流れを作る。
「木綿花さん! 狙われています」
エルバッハが木綿花に警告すると、彼女も気づいており、ワイバーンを急旋回させて味方に流れ弾が向かないように回避する。
ワイバーンを見ていたアクベンスは別の部隊にもワイバーンを狙うように指示をした。
いくつもの銃砲から逃げるように木綿花は相棒であるアヴァを操る。
巨人兵の砲撃は長く、執拗に木綿花とアヴァを狙う。降下しようとした時、アヴァの羽に避けた筈の弾丸が貫通した。
横目で見ていた木綿花はぞくりと臓器が収縮するような感覚がくる。
「アヴァ!」
木綿花がワイバーンの名を呼ぶも、アヴァはバランスを崩してそのまま下降してしまうが、なんとか体勢を整えて飛行していく。
巨人兵が木綿花達に意識を向けている間、エステルが収束魔を発動させたうえでブリザードを展開する。
人質を取っているサイクロプスを中心に冷気の嵐が瞬きの間に吹き荒れ、その名残がサイクロプスの身体に張り付いていた。
冷気で動きが阻害されたサイクロプスは動きが鈍くなっていく。
更にエルバッハが重機関銃「ラワーユリッヒNG5」で冷気で動きが鈍ったサイクロプスの足元を狙う。
重機関銃の轟音は歪虚の士気を挫くような音であり、同時に共に銃弾を歪虚へと叩き込む。
撃つというよりも、砕くように弾丸を叩き込み倒れていく。
その弾幕は人質を持っていたサイクロプスにも当たっており、両足はぼろぼろとなって今にも膝から落ちそうだが、その歪虚が倒れないのは持っている人質を支えている無数の手だ。
虚空より伸びている手を動かせているのはオウガ。
「木綿花、いけるか」
トランシーバー越しにオウガが呼びかけると、電波の向こう側で木綿花が是と返した。
「アヴァ……行きますよ」
そっと、アヴァの背を撫でる木綿花の声に応えるように相棒は再び飛翔する。
サイクロプスから人質を切り離す為、エルバッハがウィンドスラッシュを発動させた。
鋭い風はサイクロプスの腕と頭半分を刈り取るように斬り裂いていき、腕や首より下が地に崩れ落ちていく。
接近しようとするワイバーンを撃ち落とそうとする巨人兵にはソウルトーチの引き寄せが入り、隊列が乱れてしまう。
巨人兵達が悠の間合いに入ると、木綿花へ自身の位置を伝え、巻き添えにならないようにと通信を入れた。
「さぁて、いきますか」
人型機動兵器であるアズラエルが手にしているのは斬艦刀「雲山」。雲がかかった山のようにも見える大きな刃は取り回しは難しいといわれている。
しかし、使いこなせればその殺傷力は高い。
アズラエルが斬艦刀を振り上げると、ソウルトーチに反応した巨人兵たちがアズラエルへと向かっていく。
刀を振り降ろすと、サイクロプスは肩口から斬られ、衝撃で膝から崩れる。素早く刀を横に薙いで巨体の胴を一直線に切り捌いた。
アズラエルの間合いの中で素早く無数の斬撃が繰り広げられ、縦横無尽の名に相応しく巨人兵が斬り倒される。
斬撃にアズラエルの周囲にいた巨人兵が次々と倒されていく。
周囲にいるハンター達は斬撃に巻き込まれないようにしていた。
オウガが発動していたファントムハンドは人質を木綿花へ渡そうとすると、インカムから仲間の警戒うを促す声が容赦なく木綿花の鼓膜を叩く。
サイクロプスを綱渡るかのようにアクベンスが接近してきている。
木綿花は人質の身体を安定することを優先としており、アクベンスには構わなかった。奴から縄ひょうが木綿花を狙うがそれは彼女の柔肌を傷をつけるに至らなかった。
光のガラスが砕け、ぱらぱらと落ちていく。
木綿花の耳に聞こえる指示に従い、彼女はアヴァに急下降を指示をした。
慌てて追おうとするアクベンスだが、彼の人房の髪が身体から離れ、赤き大地の風に攫われる。
背後でサイクロプスの頭が吹き飛んでいた。
「汚い手で勝手に女性に触るな」
可変機銃「ポレモスSGS」を構えるアズラエルからそんな声が聞こえてきそうだ。
銃弾を撃ち込まれた衝撃でアクベンスが上体を仰け反ると、横から星のきらめきを宿した小鳥が流星のようにアクベンスへと向かってくる。
寸でで躱そうとしたが、腕を掠るだけに留まった。
「タットルの差し入れですよ」
にやりと笑うアクベンスは一度後退してしまう。
その言葉に一抹の不安を覚え、木綿花はエステルとエルバッハの援護を受けて素早く離脱する。
人質が救出されたことを知ったハンター達は一気に仕留める攻勢へと動き出す。
「アクベンスが一旦引いた! どこから狙ってくるか分からねぇけど、各自警戒は怠るなよ!」
オウガが声をかけると、他のハンターも返事をした。
地上に降りた木綿花は人質をエステルに託す。
「エステル様、お願いします。テト様に言付けを。タットルの差し入れとアクベンスが言っていたと……」
「承りました」
人質をアレキサンドライトに乗せてエステルは一度戦線を離脱する。
呼吸も微かで今にも事が切れそうな様子。
死んでいる可能性があったが、いつ死んでもおかしくはない。
「生かさなくては……アレクさん、お願いです……」
漆黒のビロードの如く艶やかな毛並みをもつアレキサンドライトは主人の願いを叶えようといわんばかりに足を速めた。
テトものとへ疾走するアレキサンドライトとエステルの背後を守るようにエルバッハとその相棒ガルムが歪虚に立ちはだかる。
錬金杖「ヴァイザースタッフ」へ武器を持ち替えたエルバッハは近づいてくるサイクロプスを見据える。
「かくれんぼをしている歪虚がいるなら、それごと……いきます」
風に言葉を乗せるようにエルバッハが宣言すると、錬金杖を歪虚へかざし、紫色の光を伴う重力波を発生させる。
重力を収縮させ対象となりえる歪虚を一気に圧壊させ、動きを鈍らせていく。
そんな中オウガが全身のマテリアルを滾らせ、飛び込んで魔斧「モレク」ごと、ぐるりと大回転をしていった。
「思う存分、あばれてやるぜ!」
カーネージロアを発動させたオウガは周囲の動けないサイクロプスへ斧を叩きつけていく。
スキルの効果もあり、サイクロプスの巨体が斧で叩き切られてしまい、後方にいた歪虚は衝撃で吹き飛ばされていった。
ドミノ倒しのようにサイクロプスが倒れたりするが、体勢が整う前に同士討ちで倒される歪虚が続発している。
前線だけではなく、中衛にもそれは頻発していた。
木綿花がアヴァを繰り、白龍の息吹で同士討ちを発動させている。その中でアクベンスも探しているが、隠れているのか移動中なのかわからなかった。
「アクベンス探しは無理はせずに」
空中を旋回するアヴァと木綿花にセツナがトランシーバー越しに声をかける。
無理に探そうとしても出てこないのはよくわかっている。今回の件もファリフ達を挑発したいためだろうとセツナは思う。
「セツナさん、後ろ!」
注意が飛んでくると、セツナは瞬時に手にしていた太刀「宗三左文字」の切っ先を地へ一気に擦り上げながら背後を向いた。
火花を散らして斬りつける紅蓮の軌道は、赤い眉月の如くに巨人兵の胴を真っ二つにする。
「ありがとうございます、ファリフ様」
「それはボクの台詞」
礼を告げるファリフにセツナが目を瞬く。
「皆、ボクやトリシュを気遣ってくれてるでしょ? 確かにすごく腹を立てているよ。でもね、それ以上にアイツは人類を苦しめている」
愛用の大斧でサイクロプスをノックバックで叩きつけ、後方へと吹き飛ばした。
「確かに、アクベンスも人類と共に動いている。けど、そいつらは法で裁くべき人間」
だよね……と、ファリフはセツナへ微笑みかける。
「はい」
微笑ましいファリフにセツナは優しく返事をした途端に刀を鞘に納め、ファリフとすれ違い、後ろの歪虚の方へ間合いを詰めた。
流れる水の如くの動きは歪虚の虚を突く。一気に引き抜く高速の抜刀のあと、琥珀色の軌跡を描き、立ち塞がるサイクロプスを一直線に薙ぎ払う。
テトのもとへ人質を引き渡したエステルは、テトが表情を青くしていることに気づく。
「双弓……!」
悲痛なテトの声にエステルは戸惑いつつも既知であるのかと尋ねた。
「にゃかま……ですにゃ……タットルの拠点を調べて……」
一度言葉を切ったテトは仲間を失ったという戦慄に震えていた。
「エステル……」
「はい」
「今は巨人兵の討伐をとファリフに伝えてくださいにゃ……テトは平気と……」
仲間を抱きしめ、テトは声を振り絞る。
震えながらも歪虚の挑発や恐怖に支配されることなく、他者を思いやるテトの気概にエステルは気を引き締め、頷いた。
「わかりました」
アレキサンドライトに乗ってエステルは再び戦場へと戻っていく。
前線ではエルバッハの相棒であるガルムが主人に近づけさせまいとサイクロプスと対峙していた。
エルバッハ達が対峙しているサイクロプスは太刀を持っており、ガルムはスティールステップで大きく跳躍し、間合いを制している。
更にウォークライの咆哮で敵を威圧し、行動を阻害していた。
頼りになる相棒の背後でエルバッハは錬金杖を突き出し、その中空に火が点る。
火はくるり、と回転して空気を含むように火球へと形を成していく。
杖を振り上げ、火球をサイクロプスに投げつけるなり、その火球が爆発し、火の幕が周囲にいたサイクロプスの集団を包み込むように焼き尽くす。
眼前の同胞が焼かれたことはサイクロプスの知性でも理解し、その場に立ちすくんでいた。
「ガルム」
静かに相棒の名を呼んだエルバッハの意を察したかのように主人の前に身を屈める。
ガルムに乗り込んだエルバッハは歪虚との間合いを詰めていった。
ハンターの最前線にいるアズラエルに乗り込んでいる悠は特攻してくる歪虚兵を誘導していた。
大きく踏み込んで斬艦刀をサイクロプスへ突き出す。
八百センチメートルある刃渡りは数体のサイクロプスを刺していった。刀を振り、歪虚を振り払うと、アズラエルは別の方向から斬りつけてきた歪虚兵を太刀を持っていた腕ごと斬り倒す。
刀の流れに逆らうことなく、肩から斬りつけ後ろへと倒し、奥にいる歪虚へも切って倒していく。
インカムからは善戦する仲間の様子が分かるが、現在の所はそろそろ半数に差し掛かることだと察する。
アクベンスの姿は見受けられない。
逃げたとは思えない。
「掃除が終わるまでのお楽しみ……か」
全く楽しみではないと言わんばかりに息を吐く悠の視界に歪虚が飛び込むと、斬艦刀をその一つ目に突き入れた。
前線へ戻ったエステルに立ちはだかるのはハンターの包囲から漏れた歪虚兵たちだった。
「そこを避けてください」
神秘的な声音で忠告するエステルの言葉が聞いてもらえないのは百も承知。
ゆっくりとフォースリングをつけた手を掲げるように上げた。
「星の翼を羽ばたかせ、小鳥は空を舞う」
リングの周囲に星の光のようなきらめきが走ると、五羽の小鳥が象られていく。
「一条の流星となりて、天を駆けよう≪ステラ・アウィス≫」
詠唱終了と共に小鳥は羽搏き、エステルの声に従って彼女の繊手に添うように滑空し、歪虚を貫いた。
「アレクさん」
主人の呼びかけに応えたアレキサンドライトはウォークライで間合いを詰めようとする歪虚へ威圧をする。
その隙にエステルは再び星鳥を喚ぶ。
「小鳥さん、お願いします」
エステルに頼まれた小鳥達は中空を駆け抜けて歪虚へと向かう。
次々と倒れる同胞に気づいた歪虚兵達がエステルへ集まっていく。その間にエステルはブリザードを展開していった。
錬金杖を振りかざそうとした時、太刀を持っている歪虚兵の中に突撃砲を持っているサイクロプスを見つける。
その銃口はエステルを狙っていた。
ブリザードを発動と歪虚への効果のタイミングのずれが生じ、エステルの足に球を受けてしまう。
「……っっ!」
痛みを告げる声を上げることも儘ならない衝撃にエステルは気力で我慢するしかなかった。
トランシーバー越しに悠の声が聞こえ、息を切らし、何とか居場所を返す。
「小鳥さん……お願いします」
指を巨人に向け、エステルは道を作ると、悠が動きやすいように動き始めた。
大きく肩で息を吐いたのはオウガだ。
彼の周囲には倒された巨体の歪虚が見えるばかりだった。
カーネージロアで歪虚をなぎ倒した後だ。しかし、オウガがなぎ倒した向こうにはまだ進軍してくる歪虚の姿がある。
「……っちきしょ……まだいるのか」
オウガが相棒のリーリーを視線で探すと、ひょっこり現れた。
「うし、いくか」
リーリーに乗り込むと、進軍してくるサイクロプスが吹き飛ばされる。
倒れていく歪虚の向こうにいたのはファリフとトリシュヴァーナだ。その後方ではセツナと木綿花が歪虚を食い止めている。
彼女達も体力が削られているようであり、息が上がっていた。
「随分疲れてんな」
にやりと口元を緩めつつ、オウガが声をかける。
「そっちこそ、休憩?」
ファリフがトリシュヴァーナから飛び上がり、巨人兵へ大斧を突き立てた。歪虚は衝撃に後ろへ倒れていく
「もう終わったよ!」
仲間であり、好敵手のファリフの軽口にオウガは笑う。
相棒のリーリーを走らせてリーリージャンプで一気に巨人との間合いを詰めたオウガは斧で首を刎ね飛ばす。
脇から挟み撃ちにするように歪虚が現れると、オウガとファリフが背中合わせに敵を見据える。
「そういや、聞いたか?」
「タットルの土産って言ってたって話でしょ」
武器を構えて言葉を交わす。
「どんな意味があるかわからないけどね」
「まぁな」
背から互いの気配が消えると、同じタイミングで巨人を倒した。
主に砲撃兵の同士討ちをと動いていた木綿花はワイバーンを急旋回して歪虚を誘導させていた。
ファリフと共に行動していたセツナを狙った砲撃兵に気づいた木綿花はデルタレイを発動して砲撃兵の目を潰す。
歪虚の体勢が崩れてしまい、倒れる間際に発砲してしまう。
木綿花が弾道を見極め、回避してから敵の方を向くと、倒れ行く歪虚の後ろから青灰色の髪が揺れる。
隠れ蓑が消え、青灰色の歪虚が走り出す。
「セツナ様! ファリフ様を!」
絶叫と共に木綿花が叫び、デルタレイで照射するも、命中しても倒れなかった。
「おのれ、アクベンス! 部族の星は渡さん!」
雹を急ターンさせたセツナが歪虚アクベンスへと叫ぶ。
一度ならず二度までも卑怯な手によって命を奪われる姿は見たくない。
持ち替えたクロスボウでアクベンスを狙う。
アクベンスが手を上げて矢を受け、そのままセツナへと突っ込んでいく。
何本もの縄ひょうがセツナと雹を襲う。両手をクロスしたセツナが頭を庇うと、雹が回避するため大きく飛び跳ねる。
しかし、アクベンスもセツナの方へ飛び込むと、彼女の嗅覚に甘い香りがした。一気に頭の芯まで届く靄のような感覚に襲われ、意識が遠くなったセツナは雹から落ちてしまう。
「くっ」
起きようとするが、上手く立てずにいる。
「そこにいてください」
アクベンスは手から矢を抜き放ち、セツナの足に突き刺した。
短い苦痛の声を上げたセツナを背に、ファリフの方へと向かおうとしたアクベンスが振り向いた先に見たのは、怒りの形相で斧を振りかぶるファリフだった。
「おやおや、妬きもちですか姫」
後方へ飛びはねたアクベンスだが、ファリフはその場に留まると、彼女の背を踏切板よろしくオウガが跳躍し、アクベンスへと斬りかかる。その攻撃がオウガ一人だけのものとは思えないほど鋭い一撃だった。
「いいやり方ですね」
一瞬の隙を見たアクベンスがオウガを蹴り、間合いを詰めた。
「ありゃ、何の真似だ。タットルの土産って何なんだ」
「文字通り、タットルからのお届け物ですよ。これ以上の深入りすると容赦せず滅するという事です。拠点に晒していた間者もお揃いの跡をつけてたでしょう」
にっこり笑うアクベンスにファリフとオウガが顔を青ざめる。
人質は部族なき部族のメンバーだったのだ。
「テト……」
心配するのは部族なき部族のリーダーであるテト。
茫然とするファリフ達に背後から声と共に星のきらめきを纏う小鳥がアクベンスへと飛ぶ。
「彼女なら大丈夫です。気丈にしてました」
アレキサンドライトに乗ったエステルが告げると、オウガとファリフは安心したように顔を見合わせる。
「意外と強くなったものですね。ビスの件で何も変われてないのかと思いましたが」
くつくつと笑うアクベンスは周囲を見回す。
「そろそろ潮時ですね。ああ、アケルナルがそろそろ動き出すようですよ。お気をつけて」
オウガへ声をかけた後、アクベンスはゆっくりと後退していく。
「逃がしません!」
鋭い声音でエステルが言うと、進軍してきた歪虚兵達が太刀を投げてきた。
「ファリフ!」
トリシュヴァーナが前に出てファリフを庇い、前足で太刀を弾く。
ハンター達の活躍で歪虚は七割以上が討伐され、指揮官アクベンスの逃亡によって残りは逃亡した。
殆どのハンターが疲労で体力を削られていた。
「他の方はどうなったのでしょうね……」
寒さで冴えた空を見上げ、悠はそっと呟く。
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【相談】歪虚&アクベンス撃退戦 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/01/26 08:19:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/01/25 23:08:04 |