ゲスト
(ka0000)
【血断】思いのままにかっ飛ばせ
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/01/31 15:00
- 完成日
- 2019/02/09 03:38
このシナリオは3日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●衝突前提
オペレーション・ブラッドアウトは、簡単に言うとグランド・ゼロに邪神翼を召喚してしまう作戦である。
邪神が単独で現れるわけはなく、同時に多くの歪虚も通してしまうだろうと言う予想は立てられている。邪神翼本体を叩くハンターたちは、雑魚の相手までしていられない。
「だいたい、クラゲだったら、あたしたちの方がよっぽど慣れてるよ」
と、言い放つのはナンシー・スギハラ連合軍曹長である。リアルブルーにいたころは散々狂気歪虚を相手にした。その中で本人も生きるか死ぬかの二択を迫られたが、ハンターたちに救われてここで猟撃士としてライフルを担いでいる。
「だったら、余計なVOIDを叩くのはあたしたちが引き受ければ良い」
「道理だな」
煙草に火を付けながら頷く眼鏡の男性はヴィクター・グラスプール伍長。彼はしばらく通信担当であったが、現在は符術師の覚醒者だ。現在でも、仲間内では作戦立案、後方支援を引き受けている。彼も、追い詰められたところをハンターたちに助けられた。
「メイン作戦真っ最中のハンターたちに群がる連中は本人たちにどうにかしてもらうしかねぇ。追いつかないからな。だったら、全力出し切った後に群がってくるであろう連中を潰しておくのが得策か」
「そうですね。作戦が始まる少し前くらいから出発して、先に叩いておけば、開始後に群がってくる分も多少は減らせる可能性があります」
二人に同意したのが、この中では最年少のマシュー・アーミテイジ軍曹。現在機導師のハンターだ。グラウンド・ゼロの地図を見て、彼はぽつりと呟いた。
「広いですね」
「ああ。トラックを借りよう。万が一それで怪我人が出たら拾って帰る」
「右ハンドルみたいだよ? 大丈夫?」
「お前さん運転できるか?」
「あたし、日系ってだけで日本人じゃないからなぁ。慣れてはないね」
「誰が運転したって同じだ。標識もねぇ。VOID轢いたっておとがめなしだ。味方は皆頑丈で身体能力高いと来た。アクセルとハンドルしかなくたって足りるね」
「かっ飛ばす気満々だねあんた。良いよ。じゃああたしその荷台に乗って後ろから撃ちまくろうかな。スキルによっては味方への誤射気にしなくていいのが便利だよね」
「問題は、魔導トラックがVOIDと衝突したときにどれくらい耐えるかですが……」
「あれってユニットじゃねぇか。大丈夫大丈夫。衝突前提で作られてるよ」
「あの、ヴィクターさん、衝突前提で行くんですか? 怪我人の回収は?」
●突撃! グラウンド・ゼロ
グラウンド・ゼロに排気音が轟いている。ヴィクターが運転する魔導トラックだ。
「歪虚の集合発見。突っ込んで良いよな? 曹長」
運転席の彼が無線で呼びかけたのは、荷台でライフルを構えているナンシーで、彼女はにたり、と笑うと送話ボタンを押した。
「構わない。突っ込んで引きずり回してやりな」
「クールだな。了解した」
「お二人とも、横転には気をつけて下さい」
おかしそうに無線を飛ばしてくるのは、バイクで追い掛けるマシューだ。同じように、ハンターたちが後に続いている。
「横転したらガソリンタンク撃って爆発させよう」
「俺が出てからにしてくれよ」
「曹長、お言葉ですが、このトラック魔導エンジンです。ガソリン使ってませんよ」
「よーし与太話は終わりだ。突っ込むぞ! 各位、思いのままにかっ飛ばせ!」
ヴィクターがアクセルを踏み込んだ。
オペレーション・ブラッドアウトは、簡単に言うとグランド・ゼロに邪神翼を召喚してしまう作戦である。
邪神が単独で現れるわけはなく、同時に多くの歪虚も通してしまうだろうと言う予想は立てられている。邪神翼本体を叩くハンターたちは、雑魚の相手までしていられない。
「だいたい、クラゲだったら、あたしたちの方がよっぽど慣れてるよ」
と、言い放つのはナンシー・スギハラ連合軍曹長である。リアルブルーにいたころは散々狂気歪虚を相手にした。その中で本人も生きるか死ぬかの二択を迫られたが、ハンターたちに救われてここで猟撃士としてライフルを担いでいる。
「だったら、余計なVOIDを叩くのはあたしたちが引き受ければ良い」
「道理だな」
煙草に火を付けながら頷く眼鏡の男性はヴィクター・グラスプール伍長。彼はしばらく通信担当であったが、現在は符術師の覚醒者だ。現在でも、仲間内では作戦立案、後方支援を引き受けている。彼も、追い詰められたところをハンターたちに助けられた。
「メイン作戦真っ最中のハンターたちに群がる連中は本人たちにどうにかしてもらうしかねぇ。追いつかないからな。だったら、全力出し切った後に群がってくるであろう連中を潰しておくのが得策か」
「そうですね。作戦が始まる少し前くらいから出発して、先に叩いておけば、開始後に群がってくる分も多少は減らせる可能性があります」
二人に同意したのが、この中では最年少のマシュー・アーミテイジ軍曹。現在機導師のハンターだ。グラウンド・ゼロの地図を見て、彼はぽつりと呟いた。
「広いですね」
「ああ。トラックを借りよう。万が一それで怪我人が出たら拾って帰る」
「右ハンドルみたいだよ? 大丈夫?」
「お前さん運転できるか?」
「あたし、日系ってだけで日本人じゃないからなぁ。慣れてはないね」
「誰が運転したって同じだ。標識もねぇ。VOID轢いたっておとがめなしだ。味方は皆頑丈で身体能力高いと来た。アクセルとハンドルしかなくたって足りるね」
「かっ飛ばす気満々だねあんた。良いよ。じゃああたしその荷台に乗って後ろから撃ちまくろうかな。スキルによっては味方への誤射気にしなくていいのが便利だよね」
「問題は、魔導トラックがVOIDと衝突したときにどれくらい耐えるかですが……」
「あれってユニットじゃねぇか。大丈夫大丈夫。衝突前提で作られてるよ」
「あの、ヴィクターさん、衝突前提で行くんですか? 怪我人の回収は?」
●突撃! グラウンド・ゼロ
グラウンド・ゼロに排気音が轟いている。ヴィクターが運転する魔導トラックだ。
「歪虚の集合発見。突っ込んで良いよな? 曹長」
運転席の彼が無線で呼びかけたのは、荷台でライフルを構えているナンシーで、彼女はにたり、と笑うと送話ボタンを押した。
「構わない。突っ込んで引きずり回してやりな」
「クールだな。了解した」
「お二人とも、横転には気をつけて下さい」
おかしそうに無線を飛ばしてくるのは、バイクで追い掛けるマシューだ。同じように、ハンターたちが後に続いている。
「横転したらガソリンタンク撃って爆発させよう」
「俺が出てからにしてくれよ」
「曹長、お言葉ですが、このトラック魔導エンジンです。ガソリン使ってませんよ」
「よーし与太話は終わりだ。突っ込むぞ! 各位、思いのままにかっ飛ばせ!」
ヴィクターがアクセルを踏み込んだ。
リプレイ本文
●景気づけ
高瀬 未悠(ka3199)はトラックの荷台に座って銃の調整をしているナンシーに近寄った。
「ああ、来てくれるハンター? あたしはナンシーだよ。よろしくね」
「高瀬未悠よ。よろしくね。凄い数ね」
「うん」
「でも大丈夫よ。力を合わせれば絶対に勝てるわ」
ナンシーは振り返った。もう行かないといけない。その闘志に溢れた横顔に、わずかに不安が混ざっているのを察した未悠は、ライフルを握った手に己の手を添えた。
「恐怖は誰だって感じるわ。それを克服する術は経験を積む事。そして仲間を信じる事よ。私達を信じて。ナンシー、貴女の事も信じてるわ」
「もちろん、信じるよ。まあ、あたしのことはあんまり信じないで欲しいね。弾切れしたらライフルで滅多打ちにすることも考えてるからさ」
「そうはさせないわ。皆が安心して攻撃出来るようにするわ。守るのは得意なのよ」
この状況でも取り乱さず、穏やかに語りかける彼女の言葉は、確かにナンシーに安心感をもたらしたのだった。
魔導トラックやバイクのエンジン音がグラウンド・ゼロで自己主張している。その中には、馬の蹄やママチャリのチェーンの音、そして陽気な青年の声も混ざる。
「しかし、知った顔を見に来たつもりが、華やかなモンだな!」
ジャック・エルギン(ka1522)はヴィクターたちと顔見知りであり、その縁で今回の戦闘に参加したそうだ。一緒に参加した他のメンバーが女性ばかりなのを見てご機嫌だ。
「クラゲなんぞ見てるより、はるかに心が落ち着くってもんだろ?」
トラックに並走しながら、彼は運転席のヴィクターに片目をつぶって見せる。運転手はわざとらしく肩を竦めながら、
「いやぁ、あんまり目の保養だなんだとか言ってるとドヤされるもんでコメントは控えるぜ。まあお前とは美味い酒が飲めそうだとだけ言っておく」
「ナンシーにドヤされるのか?」
「上司だからな。でもぶっちゃけ一番ウキウキしてるのも曹長だぜ。なんせ同性に囲まれるなんてそうないからな」
ヴィクターの言うとおり、女性が集まって一番喜んでいるのは実のところナンシーである。
「俺はお前が来てくれて嬉しいよ」
「そりゃ良かった」
「本戦、出るんだろ。怪我はすんなよ」
「おう」
「いくら人類が歪虚を倒し得る代物を持とうと、圧倒的な物量の前には苦戦は必至……ならば力を振るい得る彼らの為に露払いをするのも私の役目」
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は眼鏡越しに歪虚の群を見据えた。ゴースロンの手綱を握る。
彼女もまた、この後ブラッドアウトの本戦に出る。だが、その前に少しでも、作戦の助けになる活動をしたくてこちらの作戦にも参加した。
未悠がツィスカの呟きを耳にして微笑み掛ける。
「壁役は任せて。あなたも攻撃に専念してね」
「はい! できる限り数を減らしましょう……!」
「マシューさん」
「ああ、穂積さん、どうも……って、なんですかそれ」
マシューは自分と並走する穂積 智里(ka6819)を見て目を丸くした。彼女はママチャリを一生懸命漕いでいるのである。それでバイク並みのスピードを出している。
「これは魔導ママチャリなんですよ。装備が軽ければこれでバイクにも追いつきます」
「そのようですね」
「ふふっ」
「どうされました?」
「三人とも生き生きしてらっしゃるなぁと思って。私もうれしいです」
智里はナンシーが生きるか死ぬかと言う事件から、彼女たちを知っている。
サフィーア(ka6909)はトラックの荷台の傍を走っている。
「捌ききれないほどの敵……ね」
彼女は呟くと、荷台のナンシーを見上げて言った。
「作戦時間内でどれだけ可能か不明だけれど、最善を尽くしましょう。私は殺戮人形。歪虚はただひたすら殲滅するのみよ」
「そうだね。正直、あたしはハンターとしてそんなに場慣れしてるわけじゃないんだ。軍にいただけで。VOIDを殺すことを目的にしてるのはあたしも一緒だよ。頼もしいね」
「そう、あなたも歪虚の殲滅を目的としているのね」
「あー、あー、クローバーだ。全員そのままの速度を保ってくれ。まずは向こうの足並みを乱す」
無線からセシア・クローバー(ka7248)の声がした。全員がそれに応じる。
「これよりヒトからフルコースを振舞う訳だが……まず私達のアペリティフを堪能してもらおうじゃないか」
後方から火球が飛んだ。
●炎の花咲くアペリティフ
「良いね、せいぜい二日酔いになってもらおう」
ナンシーが笑うと、サフィーアが首を横に振った。
「二日酔いする明日はないわ」
「違いねぇ!」
ジャックがからからと笑う。その前方では、今しがた撃ち出された火球が爆発を起こして歪虚を吹き飛ばしている。
「さあ、戦いの始まりよ──ブルーローズ」
サフィーアも、歪虚の明日を消すべくブリザードを放った。セシアのファイアーボールより手前だ。攻撃範囲がかぶらないようにしている。できるだけ多くの敵にダメージを与えられるように、だ。
「良いぞ、効いてる」
狂気の足並みが乱れた。
「行きます」
ツィスカの眼鏡がきらりと光った。機導砲が射出される。眼鏡の機能により、その砲撃は一直線だ。光線を回避しようとした敵には、ナンシーが牽制射撃を試みる。
「えっ、すごいですね。機導砲ってああやって撃てるものなんですか?」
「ツィスカさんのは眼鏡の機能だと思います。装備品でスキルの使い方も変わったりするんですよ」
自分が扱う機導砲と大分違う効果を見せたそれに、マシューが驚き、智里が解説している。ツィスカは眼鏡の縁を指先で軽く押し上げて見せた。
「なるほど、乱戦だとわかっているからそう言う装備を選択してくるわけですね」
「そうですね、スキルに対して有利に働くアイテムはたくさんあるので。そこも戦略の一つでしょうか。では、私たちも行きましょう。ファイアスローワーを使うので、私より前に出ないでください」
「了解しました」
マシューが頷いてやや下がると、智里はトランシーバーで全員に伝達した。
「ファイアスローワー、放出します!」
「了解した」
彼女らに一番近いのはジャックだった。彼は智里と自分の位置を確認して、三十度の扇状に出てくるエネルギーから外れたところを走るように馬の手綱を引いた。
先行して魔術師二人が範囲攻撃を仕掛けた歪虚たちを、杖から放出されるエネルギーが巻き込んでいく。数体が倒れ、弱って行くのを見て、未悠がナンシーを振り返った。
「ナンシー、とどめを」
「ラジャー!」
ナンシーは荷台から身を乗り出すと、弾幕を張った。制圧射撃だ。それで数体がまた塵になる。
「上出来よ」
「ありがと! 良い気分」
未悠としては、軍人としての経験はあっても、覚醒者として経験の浅い彼女に、とどめを任せることで成功体験を積ませる意図があった。その考えは成功している。リアルブルーでは倒すのに苦労した歪虚を、前よりも楽に倒せる、と言うことは、自分の戦闘能力が高まったことの自覚にも繋がる。
「ジャック、前に出るわ」
「ああ、さて、肩慣らしと行こうかね!」
未悠とジャックがそれぞれに馬を加速させた。トラックがやや後ろに下がる。
霊闘士の未悠は祖霊を自らに憑依させていた。猫のような耳が生えているが、一回り大きく見える彼女は猫と言うよりは獅子。元の彼女の背丈より、はるかに長かった斧槍と同じくらいの大きさになっている。敵には威圧を、仲間には、守られている安心感を与える偉容だ。
「数の暴力にはそれ以上の力で立ち向かえばいいのよ。狩り尽くしてあげるわ!」
ジャックとトラックを巻き込まない位置取りであることを確認すると、彼女はザイフリートを振るった。彼女の周囲にいる歪虚が、次々と殴打を受けて吹き飛ぶ。
「ジャック!」
ヴィクターが運転席でカードを切った。地脈鳴動だ。
「頼むぜ。ぶちかませ!」
「任せろ!」
ジャックはアニマ・リベラの赤い刀身を掲げて馬を走らせた。その勢いを転化して、薙払「一閃」を放つ。力任せに勢いが合わさったその一撃は、閃光となって歪虚に襲いかかった。
運転席から口笛が聞こえた。バランスを崩した歪虚は地面でバウンドして後ろに転がって行く。セシアが身構えたが、転がりながら消えていった。
「つかみは上々だ! 今度は向こうから仕掛けてくる! 気をつけろ!」
ジャックが無線から全員に注意を促した。前衛の彼と未悠は身構える。魔術師の二人も、油断はしていない。
●思いのままにかっ飛ばせ
急襲を仕掛けられた形の歪虚たちは、ひとまずは前衛にいるジャックと未悠を狙った。しかし、慌てた反撃であるそれらの攻撃は稚拙であり、なおかつ前衛の二人は守りも堅かった。
「おっと」
触腕の殴打を、ジャックは剣で弾き飛ばした。未悠も、槍で攻撃をさばく。智里はクウランムールを自転車の前に出して攻性防壁を展開した。魔導トラックにも触腕が当たったが、ヴィクターが反射的に瑞鳥符を放ってダメージを軽減する。が、
「やべぇ」
「何が!?」
ヴィクターのぼやきに、ナンシーが耳ざとく反応した。
「割とやべぇ音がした」
「なんだって?」
「ヴィクターさん、内側に入って。私が外に出た方が良いと判断するわ」
サフィーアが声を掛けた。
「ありがたいが、お前さん大丈夫か?」
「二人乗せているトラックが壊れたら、撤退が難しくなると考察するわ」
「そりゃそうだ。悪いな」
「サフィーア、気をつけて」
未悠が声を掛けた。
サフィーアがトラックと位置を変わった。セシアからの通信が入る。
「エクステンドキャストでなるべく遠くに飛ばすが、ブリザードを使う。前衛注意してくれ」
「了解よ、セシア」
未悠とジャックはやや引いた。エクステンドキャストまで使った最大射程のブリザードに突っ込めるとは思っていないが、念のためだ。セシアの気遣いを無駄にもできない。
サフィーアは、魔導トラックの温存に気を遣った。明らかにトラックに注意を引かれている歪虚に、ウィンドスラッシュを放つ。回避はされたが、それで注意がそれたらしい。ナンシーも、トラックを狙っている歪虚周辺に制圧射撃を加えた。
「穂積さん」
ツィスカが智里に攻性強化を施す。より広範囲を巻き込む智里のファイアスローワーの強化を狙ったのだ。
「ありがとうございます。ジャックさん、もう少し右でお願いします!」
「了解!」
彼女は再び、ファイアスローワーを放った。その炎が尽きると、ジャックは再び左側に戻る。未悠がラウンドスウィングを振るおうとしているからだ。その未悠に、ヴィクターが地脈鳴動をかけた。斧槍が唸りを上げて、周囲の歪虚を薙ぎ払った。
●置いて行かない
歪虚たちもようやく態勢を立て直した。一体が、ビームをセシアに向かって放つ。
「おっと危ないな」
セシアはそれを間一髪で回避する。仲間の攻撃を手本にするように、次々と歪虚がビームを撃って来た。前衛たちはそれを各々武器や盾で受けた。
しかし、サフィーアが避け損ねた。運が悪かったとしか言いようがない。彼女のブルーローズは盾ではない。ダメージの軽減が果たせず、受けたダメージが大きいことは誰の目から見ても明らかだった。
「大丈夫よ。損傷はあるけれど、倒れるには至らないと判断するわ」
「サフィーアさん、内側に入って下さい」
ツィスカが寄った。
「荷台に乗りな。まだやるんだろ?」
ナンシーが言う。サフィーアは頷いた。
「ヴィクター、一旦止めて。ツィスカは外側を頼むよ」
「了解です」
「大丈夫か、サフィーア」
追いついたセシアが気遣わしげに言う。
「ええ、大丈夫」
バイクごと荷台に載せると、再び発進した。前衛たちは、トラックを守るようにして待っている。
「気を遣わせたわ」
「もちろん敵は倒します。でもこれはまだ緒戦なんです! ここで無理して大怪我したら本末転倒です!」
智里が自転車で駆けつけて、サフィーアにヒールを掛けた。ジャックも、馬上から持参したポーションを投げて寄越す。
「倒したいのは皆同じだ。安心しろ、お前だけ置いてかねぇよ」
「味方の射線を遮るわけにはいかないけど、相手の射線ももう少し邪魔したいわね」
未悠が前方を見据えたまま言った。智里が応じる。
「私も並びます。三人で前衛をして、その後ろにトラックとツィスカさん、マシューさんで中衛、後衛をセシアさんにお願いしましょう」
「了解しました」
「わかりました。前衛はお願いします」
「わかったわ」
「良いだろう。任せてくれ」
「よし、作戦再開と行こう」
「ええ」
ジャックの声に、未悠が頷いた。
「もう、通させないわ」
●メインディッシュを待ちわびて
トラックの荷台からでも、サフィーアは変わらぬ活躍を見せた。ツィスカはヴィクターと共に味方の強化を引き受けつつ、味方を巻き込まない機導砲を放つ。
そうして、タイムキーパーも兼ねていたヴィクターが、時間になったのを見て無線に叫んだ。
「撤退! 撤退!」
彼の声に、ハンターたちは一斉に踵を返した。前衛と後衛がそのまま逆転する。壁役だった三人はそのまましんがりを務めた。
少し離れてから、セシアが振り返る。
「アペリティフの刻限は終わり……お前達には滅びのフルコースが待っている」
金髪をなびかせながら呟いた彼女は、前を向いて肩を竦めた。
(コース料理食べたことないからよく知らないけどな)
結果は上々だった。目標の三十体を、はるかに上回る数を殲滅している。三十を超えたところで、ヴィクターは数えるのをやめた。殴れるだけ殴って帰ろう、と。
「さて……そんじゃ本番に行ってくるか」
ジャックが集まっているハンターたちを見て、言った。彼はヴィクターたちを振り返る。
「じゃあな、作戦が終わったらまた会おうぜ」
「おう。気をつけろよ。生きて帰って来てくれ」
「もちろんだ」
「貴方達と戦えて嬉しかったわ。また会いましょう」
未悠もナンシーに微笑み掛ける。
「今度はもうちょっと明るいところで会いたいね」
ブラッドアウトにこの後も参戦するハンターたちは離脱した。智里が手を挙げる。
「本隊も無事出撃しましたし、私達も次に移りましょう」
「そうだね。まずは回復。サフィーア、大丈夫?」
「ええ。ヒールと、ポーションが効いていると考察するわ」
彼女は去って行くジャックたちの後ろ姿を見つめている。それから小さく呟いた。
「……もしも、仮の話よ。この戦いに人類が勝って、歪虚がいなくなったら……私の存在意義は、どうなるのかしら」
「いなくなってから考えるので良いと思うけど」
ナンシーが言う。
「あたしも、対VOIDの仕事ずっとしてたから……いなくなったら何しようかなって言うのはたまに思うよ」
「そう……あなたも……」
「とは言っても、今いるVOIDどうにかしないと後のことも考えようがないんだけどね」
「そうね。今考察しても詮無いことね。今はただ、殺戮人形としてあるのみだわ」
高瀬 未悠(ka3199)はトラックの荷台に座って銃の調整をしているナンシーに近寄った。
「ああ、来てくれるハンター? あたしはナンシーだよ。よろしくね」
「高瀬未悠よ。よろしくね。凄い数ね」
「うん」
「でも大丈夫よ。力を合わせれば絶対に勝てるわ」
ナンシーは振り返った。もう行かないといけない。その闘志に溢れた横顔に、わずかに不安が混ざっているのを察した未悠は、ライフルを握った手に己の手を添えた。
「恐怖は誰だって感じるわ。それを克服する術は経験を積む事。そして仲間を信じる事よ。私達を信じて。ナンシー、貴女の事も信じてるわ」
「もちろん、信じるよ。まあ、あたしのことはあんまり信じないで欲しいね。弾切れしたらライフルで滅多打ちにすることも考えてるからさ」
「そうはさせないわ。皆が安心して攻撃出来るようにするわ。守るのは得意なのよ」
この状況でも取り乱さず、穏やかに語りかける彼女の言葉は、確かにナンシーに安心感をもたらしたのだった。
魔導トラックやバイクのエンジン音がグラウンド・ゼロで自己主張している。その中には、馬の蹄やママチャリのチェーンの音、そして陽気な青年の声も混ざる。
「しかし、知った顔を見に来たつもりが、華やかなモンだな!」
ジャック・エルギン(ka1522)はヴィクターたちと顔見知りであり、その縁で今回の戦闘に参加したそうだ。一緒に参加した他のメンバーが女性ばかりなのを見てご機嫌だ。
「クラゲなんぞ見てるより、はるかに心が落ち着くってもんだろ?」
トラックに並走しながら、彼は運転席のヴィクターに片目をつぶって見せる。運転手はわざとらしく肩を竦めながら、
「いやぁ、あんまり目の保養だなんだとか言ってるとドヤされるもんでコメントは控えるぜ。まあお前とは美味い酒が飲めそうだとだけ言っておく」
「ナンシーにドヤされるのか?」
「上司だからな。でもぶっちゃけ一番ウキウキしてるのも曹長だぜ。なんせ同性に囲まれるなんてそうないからな」
ヴィクターの言うとおり、女性が集まって一番喜んでいるのは実のところナンシーである。
「俺はお前が来てくれて嬉しいよ」
「そりゃ良かった」
「本戦、出るんだろ。怪我はすんなよ」
「おう」
「いくら人類が歪虚を倒し得る代物を持とうと、圧倒的な物量の前には苦戦は必至……ならば力を振るい得る彼らの為に露払いをするのも私の役目」
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は眼鏡越しに歪虚の群を見据えた。ゴースロンの手綱を握る。
彼女もまた、この後ブラッドアウトの本戦に出る。だが、その前に少しでも、作戦の助けになる活動をしたくてこちらの作戦にも参加した。
未悠がツィスカの呟きを耳にして微笑み掛ける。
「壁役は任せて。あなたも攻撃に専念してね」
「はい! できる限り数を減らしましょう……!」
「マシューさん」
「ああ、穂積さん、どうも……って、なんですかそれ」
マシューは自分と並走する穂積 智里(ka6819)を見て目を丸くした。彼女はママチャリを一生懸命漕いでいるのである。それでバイク並みのスピードを出している。
「これは魔導ママチャリなんですよ。装備が軽ければこれでバイクにも追いつきます」
「そのようですね」
「ふふっ」
「どうされました?」
「三人とも生き生きしてらっしゃるなぁと思って。私もうれしいです」
智里はナンシーが生きるか死ぬかと言う事件から、彼女たちを知っている。
サフィーア(ka6909)はトラックの荷台の傍を走っている。
「捌ききれないほどの敵……ね」
彼女は呟くと、荷台のナンシーを見上げて言った。
「作戦時間内でどれだけ可能か不明だけれど、最善を尽くしましょう。私は殺戮人形。歪虚はただひたすら殲滅するのみよ」
「そうだね。正直、あたしはハンターとしてそんなに場慣れしてるわけじゃないんだ。軍にいただけで。VOIDを殺すことを目的にしてるのはあたしも一緒だよ。頼もしいね」
「そう、あなたも歪虚の殲滅を目的としているのね」
「あー、あー、クローバーだ。全員そのままの速度を保ってくれ。まずは向こうの足並みを乱す」
無線からセシア・クローバー(ka7248)の声がした。全員がそれに応じる。
「これよりヒトからフルコースを振舞う訳だが……まず私達のアペリティフを堪能してもらおうじゃないか」
後方から火球が飛んだ。
●炎の花咲くアペリティフ
「良いね、せいぜい二日酔いになってもらおう」
ナンシーが笑うと、サフィーアが首を横に振った。
「二日酔いする明日はないわ」
「違いねぇ!」
ジャックがからからと笑う。その前方では、今しがた撃ち出された火球が爆発を起こして歪虚を吹き飛ばしている。
「さあ、戦いの始まりよ──ブルーローズ」
サフィーアも、歪虚の明日を消すべくブリザードを放った。セシアのファイアーボールより手前だ。攻撃範囲がかぶらないようにしている。できるだけ多くの敵にダメージを与えられるように、だ。
「良いぞ、効いてる」
狂気の足並みが乱れた。
「行きます」
ツィスカの眼鏡がきらりと光った。機導砲が射出される。眼鏡の機能により、その砲撃は一直線だ。光線を回避しようとした敵には、ナンシーが牽制射撃を試みる。
「えっ、すごいですね。機導砲ってああやって撃てるものなんですか?」
「ツィスカさんのは眼鏡の機能だと思います。装備品でスキルの使い方も変わったりするんですよ」
自分が扱う機導砲と大分違う効果を見せたそれに、マシューが驚き、智里が解説している。ツィスカは眼鏡の縁を指先で軽く押し上げて見せた。
「なるほど、乱戦だとわかっているからそう言う装備を選択してくるわけですね」
「そうですね、スキルに対して有利に働くアイテムはたくさんあるので。そこも戦略の一つでしょうか。では、私たちも行きましょう。ファイアスローワーを使うので、私より前に出ないでください」
「了解しました」
マシューが頷いてやや下がると、智里はトランシーバーで全員に伝達した。
「ファイアスローワー、放出します!」
「了解した」
彼女らに一番近いのはジャックだった。彼は智里と自分の位置を確認して、三十度の扇状に出てくるエネルギーから外れたところを走るように馬の手綱を引いた。
先行して魔術師二人が範囲攻撃を仕掛けた歪虚たちを、杖から放出されるエネルギーが巻き込んでいく。数体が倒れ、弱って行くのを見て、未悠がナンシーを振り返った。
「ナンシー、とどめを」
「ラジャー!」
ナンシーは荷台から身を乗り出すと、弾幕を張った。制圧射撃だ。それで数体がまた塵になる。
「上出来よ」
「ありがと! 良い気分」
未悠としては、軍人としての経験はあっても、覚醒者として経験の浅い彼女に、とどめを任せることで成功体験を積ませる意図があった。その考えは成功している。リアルブルーでは倒すのに苦労した歪虚を、前よりも楽に倒せる、と言うことは、自分の戦闘能力が高まったことの自覚にも繋がる。
「ジャック、前に出るわ」
「ああ、さて、肩慣らしと行こうかね!」
未悠とジャックがそれぞれに馬を加速させた。トラックがやや後ろに下がる。
霊闘士の未悠は祖霊を自らに憑依させていた。猫のような耳が生えているが、一回り大きく見える彼女は猫と言うよりは獅子。元の彼女の背丈より、はるかに長かった斧槍と同じくらいの大きさになっている。敵には威圧を、仲間には、守られている安心感を与える偉容だ。
「数の暴力にはそれ以上の力で立ち向かえばいいのよ。狩り尽くしてあげるわ!」
ジャックとトラックを巻き込まない位置取りであることを確認すると、彼女はザイフリートを振るった。彼女の周囲にいる歪虚が、次々と殴打を受けて吹き飛ぶ。
「ジャック!」
ヴィクターが運転席でカードを切った。地脈鳴動だ。
「頼むぜ。ぶちかませ!」
「任せろ!」
ジャックはアニマ・リベラの赤い刀身を掲げて馬を走らせた。その勢いを転化して、薙払「一閃」を放つ。力任せに勢いが合わさったその一撃は、閃光となって歪虚に襲いかかった。
運転席から口笛が聞こえた。バランスを崩した歪虚は地面でバウンドして後ろに転がって行く。セシアが身構えたが、転がりながら消えていった。
「つかみは上々だ! 今度は向こうから仕掛けてくる! 気をつけろ!」
ジャックが無線から全員に注意を促した。前衛の彼と未悠は身構える。魔術師の二人も、油断はしていない。
●思いのままにかっ飛ばせ
急襲を仕掛けられた形の歪虚たちは、ひとまずは前衛にいるジャックと未悠を狙った。しかし、慌てた反撃であるそれらの攻撃は稚拙であり、なおかつ前衛の二人は守りも堅かった。
「おっと」
触腕の殴打を、ジャックは剣で弾き飛ばした。未悠も、槍で攻撃をさばく。智里はクウランムールを自転車の前に出して攻性防壁を展開した。魔導トラックにも触腕が当たったが、ヴィクターが反射的に瑞鳥符を放ってダメージを軽減する。が、
「やべぇ」
「何が!?」
ヴィクターのぼやきに、ナンシーが耳ざとく反応した。
「割とやべぇ音がした」
「なんだって?」
「ヴィクターさん、内側に入って。私が外に出た方が良いと判断するわ」
サフィーアが声を掛けた。
「ありがたいが、お前さん大丈夫か?」
「二人乗せているトラックが壊れたら、撤退が難しくなると考察するわ」
「そりゃそうだ。悪いな」
「サフィーア、気をつけて」
未悠が声を掛けた。
サフィーアがトラックと位置を変わった。セシアからの通信が入る。
「エクステンドキャストでなるべく遠くに飛ばすが、ブリザードを使う。前衛注意してくれ」
「了解よ、セシア」
未悠とジャックはやや引いた。エクステンドキャストまで使った最大射程のブリザードに突っ込めるとは思っていないが、念のためだ。セシアの気遣いを無駄にもできない。
サフィーアは、魔導トラックの温存に気を遣った。明らかにトラックに注意を引かれている歪虚に、ウィンドスラッシュを放つ。回避はされたが、それで注意がそれたらしい。ナンシーも、トラックを狙っている歪虚周辺に制圧射撃を加えた。
「穂積さん」
ツィスカが智里に攻性強化を施す。より広範囲を巻き込む智里のファイアスローワーの強化を狙ったのだ。
「ありがとうございます。ジャックさん、もう少し右でお願いします!」
「了解!」
彼女は再び、ファイアスローワーを放った。その炎が尽きると、ジャックは再び左側に戻る。未悠がラウンドスウィングを振るおうとしているからだ。その未悠に、ヴィクターが地脈鳴動をかけた。斧槍が唸りを上げて、周囲の歪虚を薙ぎ払った。
●置いて行かない
歪虚たちもようやく態勢を立て直した。一体が、ビームをセシアに向かって放つ。
「おっと危ないな」
セシアはそれを間一髪で回避する。仲間の攻撃を手本にするように、次々と歪虚がビームを撃って来た。前衛たちはそれを各々武器や盾で受けた。
しかし、サフィーアが避け損ねた。運が悪かったとしか言いようがない。彼女のブルーローズは盾ではない。ダメージの軽減が果たせず、受けたダメージが大きいことは誰の目から見ても明らかだった。
「大丈夫よ。損傷はあるけれど、倒れるには至らないと判断するわ」
「サフィーアさん、内側に入って下さい」
ツィスカが寄った。
「荷台に乗りな。まだやるんだろ?」
ナンシーが言う。サフィーアは頷いた。
「ヴィクター、一旦止めて。ツィスカは外側を頼むよ」
「了解です」
「大丈夫か、サフィーア」
追いついたセシアが気遣わしげに言う。
「ええ、大丈夫」
バイクごと荷台に載せると、再び発進した。前衛たちは、トラックを守るようにして待っている。
「気を遣わせたわ」
「もちろん敵は倒します。でもこれはまだ緒戦なんです! ここで無理して大怪我したら本末転倒です!」
智里が自転車で駆けつけて、サフィーアにヒールを掛けた。ジャックも、馬上から持参したポーションを投げて寄越す。
「倒したいのは皆同じだ。安心しろ、お前だけ置いてかねぇよ」
「味方の射線を遮るわけにはいかないけど、相手の射線ももう少し邪魔したいわね」
未悠が前方を見据えたまま言った。智里が応じる。
「私も並びます。三人で前衛をして、その後ろにトラックとツィスカさん、マシューさんで中衛、後衛をセシアさんにお願いしましょう」
「了解しました」
「わかりました。前衛はお願いします」
「わかったわ」
「良いだろう。任せてくれ」
「よし、作戦再開と行こう」
「ええ」
ジャックの声に、未悠が頷いた。
「もう、通させないわ」
●メインディッシュを待ちわびて
トラックの荷台からでも、サフィーアは変わらぬ活躍を見せた。ツィスカはヴィクターと共に味方の強化を引き受けつつ、味方を巻き込まない機導砲を放つ。
そうして、タイムキーパーも兼ねていたヴィクターが、時間になったのを見て無線に叫んだ。
「撤退! 撤退!」
彼の声に、ハンターたちは一斉に踵を返した。前衛と後衛がそのまま逆転する。壁役だった三人はそのまましんがりを務めた。
少し離れてから、セシアが振り返る。
「アペリティフの刻限は終わり……お前達には滅びのフルコースが待っている」
金髪をなびかせながら呟いた彼女は、前を向いて肩を竦めた。
(コース料理食べたことないからよく知らないけどな)
結果は上々だった。目標の三十体を、はるかに上回る数を殲滅している。三十を超えたところで、ヴィクターは数えるのをやめた。殴れるだけ殴って帰ろう、と。
「さて……そんじゃ本番に行ってくるか」
ジャックが集まっているハンターたちを見て、言った。彼はヴィクターたちを振り返る。
「じゃあな、作戦が終わったらまた会おうぜ」
「おう。気をつけろよ。生きて帰って来てくれ」
「もちろんだ」
「貴方達と戦えて嬉しかったわ。また会いましょう」
未悠もナンシーに微笑み掛ける。
「今度はもうちょっと明るいところで会いたいね」
ブラッドアウトにこの後も参戦するハンターたちは離脱した。智里が手を挙げる。
「本隊も無事出撃しましたし、私達も次に移りましょう」
「そうだね。まずは回復。サフィーア、大丈夫?」
「ええ。ヒールと、ポーションが効いていると考察するわ」
彼女は去って行くジャックたちの後ろ姿を見つめている。それから小さく呟いた。
「……もしも、仮の話よ。この戦いに人類が勝って、歪虚がいなくなったら……私の存在意義は、どうなるのかしら」
「いなくなってから考えるので良いと思うけど」
ナンシーが言う。
「あたしも、対VOIDの仕事ずっとしてたから……いなくなったら何しようかなって言うのはたまに思うよ」
「そう……あなたも……」
「とは言っても、今いるVOIDどうにかしないと後のことも考えようがないんだけどね」
「そうね。今考察しても詮無いことね。今はただ、殺戮人形としてあるのみだわ」
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相談卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/01/30 19:42:16 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/01/27 12:38:32 |