ゲスト
(ka0000)
【陶曲】レフト・ガーデン
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/02/09 07:30
- 完成日
- 2019/02/14 23:46
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●前回までのあらすじ
リアルブルーから転移してきたハンクは、友人との人間関係に悩み始めたところを、嫉妬歪虚アウグスタにつけ込まれる。それによって不安をこじらせた彼は、友人たちからの隔離と荒療治として魔術師のヴィルジーリオ司祭の聖堂に住み込むことになった。
彼には求められることが必要かもしれない。そう聞き及んでいたヴィルジーリオは一計を案じる。
●あなたを求めるもの
ハンクがこの聖堂に移り住んでからしばらく経った。聖堂の仕事は案外難しいし、忙しい。ヴィルジーリオに大人が相談している間、一緒に来た子どもたちの相手をハンクがする、食事の支度やこまごまとした家事、聖堂の掃除もしなくてはならない。
「ものすごく助かりました。サンドラも手伝いには来てくれるんですが、流石に全部やらせるわけにもいかないのでね。どうですか、このままうちの子になりませんか」
「そ、それはちょっと」
「冗談ですよ。ところで、せっかく男手が増えたことですので、庭でも整えようかと思うんですよね」
「お庭、ですか?」
ある朝、一緒に朝食をとっていると、ヴィルジーリオはそんな話を持ち出した。
「ええ。前任は立派な庭を造っていたんですが、私はからきしその方面の才能がなくて。彼もそれを知っていたので、赴任するときには庭を処分していったんです」
「そうだったんですか」
「定期的に草取りはしていますけどね。そろそろ雑草がまた生えてきたので。それに、せっかくですから花の一つでも植えましょうか。君、チューリップは好きですか」
「特に好きでも嫌いでもないです」
「そうですか。なら鉢に植えて持っておきなさい。今の君には、君がいないと死んでしまう存在が必要だと思いますよ」
「自分がいないと死んでしまう……」
「花には世話が必要です」
「はい」
「サンドラ……園芸好きが多いこの町でも一目置かれる園芸エルフがいるんです。彼女にも来てもらいましょうか。あと、子どもたちも。皆で花を植えましょう。少し遅いかもしれませんが、春にはチューリップがたくさん咲きますよ」
「……はい」
●人には得手不得手というものが
「私は嬉しいぞ。ずっと造園を断り続けてきた司祭が、ここに来て庭の手入れを私に頼むなんて」
当日、件の園芸エルフサンドラはハンカチで目元を拭いながらやって来た。この人そんなに庭の手入れがしたいのか、と少々引き気味のハンクである。
「あなたに頼んだのは手伝いです。自分の庭を全部他人にやらせるほど無責任でもありません」
「やめて! サンドラさんの善意を無碍にしないで!」
「サンドラさんは司祭さんのお庭をいつも気に掛けてたんだから!」
「お願いします! サンドラさんにお手入れさせてあげてください!」
と、彼女を慕う少年少女の擁護が入る。
「フラゴラ、オレアンドロ、バジリコ、お前たちありがとう!」
「寸劇はそこまでですよ。オフィスにもハンターをお願いしてあるのでもうすぐ着くでしょう。まずは草むしりして、それから球根を植えましょう」
「その前に耕さないと。土がガチガチじゃないか」
「ええ、まあ……」
ヴィルジーリオは目を逸らした。定期的な雑草取りくらいしかやっていなかったのである。
「時間がかかるとお腹が空く。昼の支度は?」
「あー、そうですね。ミネストローネの材料はあります。多分。聖堂で食べましょうか」
「あ、じゃあ私作りますよ」
フラゴラが名乗り出る。
「ちょっと時間掛けて良いなら一人でも作れます」
「ありがとうフラゴラ。私も手伝いましょう。集まるハンターに料理上手がいれば手伝ってくれるかもしれません」
(そういえば)
ハンクはその様子を眺めながら疑問に感じることがあった。
(前任って人は今どうしてるんだろう。呼んであげたら良いのに)
リアルブルーから転移してきたハンクは、友人との人間関係に悩み始めたところを、嫉妬歪虚アウグスタにつけ込まれる。それによって不安をこじらせた彼は、友人たちからの隔離と荒療治として魔術師のヴィルジーリオ司祭の聖堂に住み込むことになった。
彼には求められることが必要かもしれない。そう聞き及んでいたヴィルジーリオは一計を案じる。
●あなたを求めるもの
ハンクがこの聖堂に移り住んでからしばらく経った。聖堂の仕事は案外難しいし、忙しい。ヴィルジーリオに大人が相談している間、一緒に来た子どもたちの相手をハンクがする、食事の支度やこまごまとした家事、聖堂の掃除もしなくてはならない。
「ものすごく助かりました。サンドラも手伝いには来てくれるんですが、流石に全部やらせるわけにもいかないのでね。どうですか、このままうちの子になりませんか」
「そ、それはちょっと」
「冗談ですよ。ところで、せっかく男手が増えたことですので、庭でも整えようかと思うんですよね」
「お庭、ですか?」
ある朝、一緒に朝食をとっていると、ヴィルジーリオはそんな話を持ち出した。
「ええ。前任は立派な庭を造っていたんですが、私はからきしその方面の才能がなくて。彼もそれを知っていたので、赴任するときには庭を処分していったんです」
「そうだったんですか」
「定期的に草取りはしていますけどね。そろそろ雑草がまた生えてきたので。それに、せっかくですから花の一つでも植えましょうか。君、チューリップは好きですか」
「特に好きでも嫌いでもないです」
「そうですか。なら鉢に植えて持っておきなさい。今の君には、君がいないと死んでしまう存在が必要だと思いますよ」
「自分がいないと死んでしまう……」
「花には世話が必要です」
「はい」
「サンドラ……園芸好きが多いこの町でも一目置かれる園芸エルフがいるんです。彼女にも来てもらいましょうか。あと、子どもたちも。皆で花を植えましょう。少し遅いかもしれませんが、春にはチューリップがたくさん咲きますよ」
「……はい」
●人には得手不得手というものが
「私は嬉しいぞ。ずっと造園を断り続けてきた司祭が、ここに来て庭の手入れを私に頼むなんて」
当日、件の園芸エルフサンドラはハンカチで目元を拭いながらやって来た。この人そんなに庭の手入れがしたいのか、と少々引き気味のハンクである。
「あなたに頼んだのは手伝いです。自分の庭を全部他人にやらせるほど無責任でもありません」
「やめて! サンドラさんの善意を無碍にしないで!」
「サンドラさんは司祭さんのお庭をいつも気に掛けてたんだから!」
「お願いします! サンドラさんにお手入れさせてあげてください!」
と、彼女を慕う少年少女の擁護が入る。
「フラゴラ、オレアンドロ、バジリコ、お前たちありがとう!」
「寸劇はそこまでですよ。オフィスにもハンターをお願いしてあるのでもうすぐ着くでしょう。まずは草むしりして、それから球根を植えましょう」
「その前に耕さないと。土がガチガチじゃないか」
「ええ、まあ……」
ヴィルジーリオは目を逸らした。定期的な雑草取りくらいしかやっていなかったのである。
「時間がかかるとお腹が空く。昼の支度は?」
「あー、そうですね。ミネストローネの材料はあります。多分。聖堂で食べましょうか」
「あ、じゃあ私作りますよ」
フラゴラが名乗り出る。
「ちょっと時間掛けて良いなら一人でも作れます」
「ありがとうフラゴラ。私も手伝いましょう。集まるハンターに料理上手がいれば手伝ってくれるかもしれません」
(そういえば)
ハンクはその様子を眺めながら疑問に感じることがあった。
(前任って人は今どうしてるんだろう。呼んであげたら良いのに)
リプレイ本文
●雑草という名の草はない
「……」
トリプルJ(ka6653)は、庭の経緯を聞くと空を仰いだ。その様子を見て、ヴィルジーリオは目を逸らす。大分後ろめたいらしい。
その向こうでは、星野 ハナ(ka5852)が手を振ってサンドラに笑いかけていた。
「あははは、流石に薔薇は初心者には難しすぎますよぅ。サンドラさん、ご友人なんだからもっとヴィルジーリオさんの好きそうなこと出来そうなこと考えて勧めましょうよぅ」
「私が面倒見るから!」
「駄目です。元のお庭に返して来なさい」
「犬猫みたいに言うなよ、司祭」
「だいたい、私の庭なんですから、あなたに全部やらせるのも違うでしょう。漫談やってる暇があったら始めますよ」
「うん、そうだね。体力仕事は得意だから、頑張るよ。でも、園芸の知識は全く無いけど大丈夫かなあ……」
鞍馬 真(ka5819)は動きやすい服装で参加していた。補強されたシャツ、軽い風合いのズボン、革の靴。泥仕事なら任せて下さいと言わんばかりの服装の彼に、サンドラもご機嫌だ。
「安心しろ。私たちが何でも教えてやる。ではまず草取りの道具を使って雑草取りだ」
「はーい」
人数分よりたくさんの園芸用品を揃えているあたり、サンドラもウキウキである。
「……うっわー、ガチガチのお庭ですぅ。まさしくヴィルジーリオさんですねぇ」
「そ、そこまでですか? 表情筋以外で?」
「い、意思は固いのかなって思うけど」
真がフォローを入れる。
「ははは。ハナは相変わらず歯に衣着せないなぁ。百合の花がとっても似合うような美人なのに」
サンドラがニコニコしている。彼女は真に目を留めると、ふっと笑いかけた。
「司祭からお前の話も聞いてる。私のことはおばあちゃんだと思ってくれて良い。なるほど、お前には月見草が似合いそうだな。よく晴れた満月の夜、髪に挿して歩けばきっと美しい」
「え? そ、そうかな……美しいかどうかはわからないけど、似合いそうな花があるのは嬉しいよ」
「またサンドラさんが口説いてますぅ」
「口説いてないぞ! 事実を述べただけだ! ああ、レオーネにはきっとスイートピーがよく似合うんじゃないか。春の風に吹かれてにこやかに笑っていたら道行く人が大歓喜」
「シニョリーナ・サンドラ、よくわかってくれてるじゃないか」
レオーネ・ティラトーレ(ka7249)もハンクと作業しながら笑顔で返す。
「トリプルJにはガーベラが似合いそうだな」
「そうか?」
「一輪でも存在感がある。お前みたいに胸を張っている男には絶対似合うと思う。今度正装するときにボタンホールとかに挿してみろ。絶対似合うから」
うんうんと一人で納得するサンドラ。頭痛がする、と言わんばかりにヴィルジーリオは首を横に振った。
真はバジリコやオレアンドロと一緒に作業している。慣れた手つきで雑草を抜いていく彼らから教わりながら、徐々に効率が上がっていった。
「これ、結構無心になるね」
「でしょ? サンドラさん、たまにどれだけ呼んでも気付かない時あるよ」
「本当に園芸が好きなんだなぁ。よし、私もキリキリ働こう」
彼は宣言すると、落ちてきた袖をまくり直して作業を再開した。
●春の花
「俺はミモザやアーモンドの花を見ると春って気になるが、シニョール・ハンクは春っていうと何だ?」
レオーネは雑草を丁寧に抜きながらハンクに尋ねた。彼も、ツナギ着用でやる気満々だ。ベルトに至っては七草のモチーフで園芸をしに来ました、と言う出で立ち。ハンクは驚いた様に目を瞬かせる。
「アーモンドって花が咲くのかい?」
「桜によく似てる花が咲くんだ」
「へぇ……見てみたいな……僕は、何だろう。名前は知らないけど、ピンク色の花が枝にいっぱい咲くのがあって、それが咲くと、春だなって思うかな」
「花に興味ない?」
「あんまり、興味ないかも」
ハンクは困った様に笑った。
「司祭さんが、僕には僕がいないと死んじゃうものが必要だって」
「そうかもな」
雑草抜きが終わり、肥料を撒く。その様子を、レオーネは観察していた。向こうでは、真がオペレッタで音楽を奏でながら歌っている。少年たちがはしゃいでいた。
こちらにはハナがやって来ている。彼女は御霊符を使って力仕事の一部をまかなっていた。
「そう言えば料理ってハンクくんが作ってるんですぅ?」
「僕が作る時もあるし、司祭さんが作る時もあります……い、一応多少の料理はできるから……」
特に、何かを隠している気配はない。あれ以降、アウグスタとやらの接触はなかったようだ。
(嫉妬ねぇ)
一般的には悪いこととして言われる。だが、
(自分が何を羨ましがっているか知り、その何かの為自分自身を高める為に振るうなら正に動く)
と、彼は思っている。
(口で言って理解できるものでもないからな)
「じゃあそろそろ球根を植えるぞ」
サンドラが球根の箱を持ってくる。レオーネは笑顔を作ると、またハンクの傍らにしゃがんだ。球根の一つを取ると、軽く口づける。
「可愛いラガッツァ、皆で春を歌ってくれる日を楽しみに待っているぜ?」
「えっ」
「別にこれは真似しなくていい」
移植ごてで穴を掘りながら、レオーネ言った。
「でも、毎日、話しかけろよ。ラガッツァを寂しがらせるな。彼女はお前をちゃんと見ている。だからお前も彼女をちゃんと見ろ」
「あの……ラガッツァって品種?」
「ガールフレンドって言ったらわかる?」
「あ、ああ!」
ハンクはそれで得心がいった。恋人の様に愛して構えということだろう。
●レフト・ガーデン
「お庭って言うのはぁ、見たり作ったりして楽しむものですぅ。自分が見て喜ぶ、他人に見て貰って喜ぶ、作って喜ぶ……ある意味服と全く同じですぅ。他人からどう見られたいかどう見せたいか全く頓着しないのか……ヴィルジーリオさんは三番目分類ですねぇ」
ハナが苦笑しながら言うのを、赤毛の司祭は沈痛、と言う雰囲気を醸し出した無表情で聞いている。返す言葉もないのだろう。
「あそこだけ花があって他の季節は何もないってかなりアンバランスですよぅ。教会の庭は神の庭、サンドラさんと計画してみたらいかがですぅ」
「そうですね……私も腹をくくらないといけない気がしているので。サンドラに手伝ってもらって造園でもしますか。しかし手入れ……ウッ」
「誰も一人でやれなんて言ってませんよぉ。困ったらそれこそオフィスに依頼出したら良いじゃないですかぁ」
「そうだそうだ。ハナ、もっと言ってやれ」
サンドラがはやし立てる。
「でも薔薇は初心者に荷が重いと思いますぅ」
「そうです。もっと言ってやってください」
「あはは。二人で妥協点見付けてくださいねぇ」
「せっかく綺麗に残してくれたのに、このままにしておくのはもったいないぞ。アンジェラも気にしていた。ああ、私が今住んでいる家に前住んでた子なんだけど、彼女も園芸が好きで。司祭様のお庭はまだ丸裸なのかしら、と」
「咲いたらご招待しますよ」
「伝えておく」
「アンジェラちゃんもお花が好きなんです?」
「うん。今は人間の年寄りが入るホームに入ってるけど」
「サンドラさんっておいくつでしたっけ」
「百歳に手が届くよ」
「ミネストローネができましたよ!」
フラゴラと、彼女を手伝いに行っていたレオーネがハンターたちを呼びに来た。ヴィルジーリオは、ふうと息を吐くと、
「休憩にしましょう。聖堂へどうぞ」
●手を取れるひと
ミネストローネを食べながら、真はハンクの隣に座った。
「報告書で、君たちの話は少しだけ知ってる」
「……はい」
「ただ、私は君を諭しに来たわけでもないし、何かを聞き出そうと思ってきたわけじゃないよ。その代わり……と言ってはなんだけど、私自身の話を少しだけ」
大きなベーコンの塊が入っていた。真はそれを口に放り込んで食べてしまうと、ぽつりぽつりと話し始める。
「私にも、とても大切な友達が居るんだ。彼はすぐ色んなことに巻き込まれるし、落ち込むし。見てるこっちがヒヤヒヤする」
「それでも好きなんですね」
「うん。だから、私が支えたい。助けたい。彼にとって、必要な存在で在りたい」
ハンクは自分のスープカップに目を落とした。真は彼に優しく笑いかける。
「ずっとそう思ってるし、彼により近い存在には……嫉妬することだって、少しはある」
あなたたちだって、お友達との間に不安なことがあるんじゃないかしら。初対面のあの日、アウグスタはハンターたちをそう言って煽った。結果は不発だったのだが、もし真がいたら、何か思うことがあったかもしれない。
「きみの思いとは少し違うかもしれないけど、私みたいなおじさんでもこんな風に拗らせた思いを持つこともあるんだよ」
真はそう言って、冗談めかして締めくくった。あの時、シャトルの防衛に来てくれて、VOIDの視線を一身に集めても怯まなかった彼でも、そんな気持ちを抱えることがある……。
「恥じることじゃない。でも、この思いを歪虚なんかに利用されて堪るか、とも思うかな、私は」
彼は、照れ隠しの様にスープを半分ほど飲んだ。ハンクも、もそもそとキャベツをすくっって口に入れる。
●私を悲しませないでください
「ちょっと、三人で話せるか」
トリプルJはハンクとヴィルジーリオに手招きした。
「私の部屋でよろしいですか」
「構わねぇ」
三人で部屋に入り、トリプルJはヴィルジーリオの鉄面皮を見据える。
「お前、こいつの好きな花を聞いたか」
「育てやすさを優先しましたので、聞いておりません」
「チューリップが好きかどうかは聞いてもらいました」
急に冷え込んだ会話に、ハンクが怯えたように口を挟む。
「彼が言いたいのはそう言うことではないでしょう。君がないがしろにされていると思っている。そうですね?」
「ああ。飼いやすいとハムスターを勧めても鼠嫌いにゃ育てられん。お前ちゃんとヘンリーを見て生活してんのか。花が必要なのはお前だ。彼はお前が教え導く人間じゃねぇ。共同生活者だぞ」
「お言葉を返すようですが、飼いやすい生き物は存在しません」
ヴィルジーリオはふっと肩の力を抜いたように首を傾けた。
「そうですよ。花が必要なのは私もそうです」
「ど、どう言う意味ですか」
「前任が庭を整えていたと言ったでしょう」
「は、はい」
「彼は亡くなりました」
「えっ」
「だから、私にとってこの教会は、庭は遺品です。司祭業の一つとしてやらなくてはいけないのはわかっていましたが、私は醜い庭を造りたくありませんでした。故人に申し訳なくて」
ヴィルジーリオは小さく語る。
「故人を言い訳にしながら、これではいけないとは思っていたんですがね。そんな時に、ハンク、君の話がオフィスの彼から持ちかけられました。人の役に立つことで自分を見付けることができたら、と言うことでしたので引き受けました。ただ、他人を言い訳にするという点で、君と私は同じですよ」
「えっと……」
ハンクが目を泳がせる。トリプルJは口を挟まなかった。
「ですから、君を引き受けるなら私も何か打破しなくてはならない。そう思って」
彼は庭の方の壁を見る。誰かがそこを歩いているかのように。もしかしたら、もういない前任を見ているかもしれない。
「そう思って、庭の改造に着手することにしたんです。強引だったのは認めます。ただ、同じ弱さを抱えた人間として扱っていたことはわかって頂きたい」
「そうか」
トリプルJがひとまず頷くと、部屋の扉がノックされた。司祭が返事をすると扉が開く。ハナだ。
「なんですかぁ、もぅ、男三人で引っ込んじゃうからぁ、何の修羅場かと思ったじゃないですかぁ。ハンクくんを二人で取り合ってるんだったら返してくださぁい」
「行って良いですよ、ハンク。私は彼ともう少し話します」
「あ、はい……」
ハナに連れられて出て行くと、ヴィルジーリオはトリプルJに向き直った。
「まだ話し足りない顔をされていましたので」
霊闘士は頷くと、口を開く。
「植物は物を言えねぇ。こっちが調べて、想像して、先達にも教えを乞うて、それでやっと花を咲かせるんだ。その手間を惜しめば花は咲かねぇ……このままじゃお前、縋ろうと訪ねてきた心弱い信者を殺すぞ」
「その弱さが思い込みによるものだったらどうです?」
「なんだって?」
さっきまでの沈んだ様子から切り替えたように、司祭は淡々と告げる。
「全員がそうだとは言いませんが、一部には現実に沿わない思い込みで生きづらさを抱えている人もいます。ハンクの場合は、自分は友人として選ばれる価値がないと言うものですね」
「ヘンリーが思い込みで弱ってるって?」
「お気づきだったから孤児院の話を持ちかけたのではありませんか? 社会的経験を積んで、自分の価値を認識させるためでしょう? それに、彼が仲間の所に戻った後のことはどうするんです? 彼はまだそこまで弱っていない。今なら戻って来られる。ですから、社会的な責任感を持たせることが先決と考えました。それが最善だと。思い込みは肯定すると強化され、却って悪化します」
そこまで言ってから、またヴィルジーリオは首を横に振った。
「とは言え、方針となると主義主張に絡みますから、無理にでも納得しろとは言いません。ただ、方法の一つ、今のタイミングとして、私が提供できる最善のものはこれです、と言うことをお伝えしました。社会的訓練以前の問題なら、それはそれで対応していますよ。あなたが思うほど、私は機械的ではありません。不器用ではありますが」
彼は部屋のドアを開ける。
「聞きましたよ。ブルーで、彼らの命を救ったそうですね。会える時に彼の傍にいてあげてください。あなたは今私が独り占めして良い人ではない。戻りましょう」
トリプルJの肘に手を添えて、退室を促す。二人は聖堂に戻った。殴り合いに発展したのではないかと、ハナのそばでヒヤヒヤしていたらしいハンクは、無傷で現れたのを見てほっとしたようだ。
「言わぬは腹膨るる業なりと言いますぅ。言い難いなら書いちゃうのはどうでしょぉ? 良かったらどうぞぉ」
ハナは司祭を手招きすると、彼とハンクに便箋セットを差し出した。二人は顔を見合わせる。
「ありがとうございます。そうですね、私たちの間にはもう少し言葉が必要かもしれません。活用させていただきます」
●君を導く北極星
「今日はありがとうございました」
ハンターたちの帰り際、ヴィルジーリオとハンク、サンドラが並んで見送る。真とレオーネはハンクを振り返った。
「春頃には咲くのかな? 私も楽しみにしてるね」
「チューリップは心優しくも繊細なラガッツァの化身とも言われる花だ。誰かが護ってやる必要がある」
「そうだね」
ハンクは曖昧に笑った。
「頑張るよ」
真とレオーネもその笑みに頷いて見せる。
願わくは、少女の化身が彼を導く北極星とならんことを。
「……」
トリプルJ(ka6653)は、庭の経緯を聞くと空を仰いだ。その様子を見て、ヴィルジーリオは目を逸らす。大分後ろめたいらしい。
その向こうでは、星野 ハナ(ka5852)が手を振ってサンドラに笑いかけていた。
「あははは、流石に薔薇は初心者には難しすぎますよぅ。サンドラさん、ご友人なんだからもっとヴィルジーリオさんの好きそうなこと出来そうなこと考えて勧めましょうよぅ」
「私が面倒見るから!」
「駄目です。元のお庭に返して来なさい」
「犬猫みたいに言うなよ、司祭」
「だいたい、私の庭なんですから、あなたに全部やらせるのも違うでしょう。漫談やってる暇があったら始めますよ」
「うん、そうだね。体力仕事は得意だから、頑張るよ。でも、園芸の知識は全く無いけど大丈夫かなあ……」
鞍馬 真(ka5819)は動きやすい服装で参加していた。補強されたシャツ、軽い風合いのズボン、革の靴。泥仕事なら任せて下さいと言わんばかりの服装の彼に、サンドラもご機嫌だ。
「安心しろ。私たちが何でも教えてやる。ではまず草取りの道具を使って雑草取りだ」
「はーい」
人数分よりたくさんの園芸用品を揃えているあたり、サンドラもウキウキである。
「……うっわー、ガチガチのお庭ですぅ。まさしくヴィルジーリオさんですねぇ」
「そ、そこまでですか? 表情筋以外で?」
「い、意思は固いのかなって思うけど」
真がフォローを入れる。
「ははは。ハナは相変わらず歯に衣着せないなぁ。百合の花がとっても似合うような美人なのに」
サンドラがニコニコしている。彼女は真に目を留めると、ふっと笑いかけた。
「司祭からお前の話も聞いてる。私のことはおばあちゃんだと思ってくれて良い。なるほど、お前には月見草が似合いそうだな。よく晴れた満月の夜、髪に挿して歩けばきっと美しい」
「え? そ、そうかな……美しいかどうかはわからないけど、似合いそうな花があるのは嬉しいよ」
「またサンドラさんが口説いてますぅ」
「口説いてないぞ! 事実を述べただけだ! ああ、レオーネにはきっとスイートピーがよく似合うんじゃないか。春の風に吹かれてにこやかに笑っていたら道行く人が大歓喜」
「シニョリーナ・サンドラ、よくわかってくれてるじゃないか」
レオーネ・ティラトーレ(ka7249)もハンクと作業しながら笑顔で返す。
「トリプルJにはガーベラが似合いそうだな」
「そうか?」
「一輪でも存在感がある。お前みたいに胸を張っている男には絶対似合うと思う。今度正装するときにボタンホールとかに挿してみろ。絶対似合うから」
うんうんと一人で納得するサンドラ。頭痛がする、と言わんばかりにヴィルジーリオは首を横に振った。
真はバジリコやオレアンドロと一緒に作業している。慣れた手つきで雑草を抜いていく彼らから教わりながら、徐々に効率が上がっていった。
「これ、結構無心になるね」
「でしょ? サンドラさん、たまにどれだけ呼んでも気付かない時あるよ」
「本当に園芸が好きなんだなぁ。よし、私もキリキリ働こう」
彼は宣言すると、落ちてきた袖をまくり直して作業を再開した。
●春の花
「俺はミモザやアーモンドの花を見ると春って気になるが、シニョール・ハンクは春っていうと何だ?」
レオーネは雑草を丁寧に抜きながらハンクに尋ねた。彼も、ツナギ着用でやる気満々だ。ベルトに至っては七草のモチーフで園芸をしに来ました、と言う出で立ち。ハンクは驚いた様に目を瞬かせる。
「アーモンドって花が咲くのかい?」
「桜によく似てる花が咲くんだ」
「へぇ……見てみたいな……僕は、何だろう。名前は知らないけど、ピンク色の花が枝にいっぱい咲くのがあって、それが咲くと、春だなって思うかな」
「花に興味ない?」
「あんまり、興味ないかも」
ハンクは困った様に笑った。
「司祭さんが、僕には僕がいないと死んじゃうものが必要だって」
「そうかもな」
雑草抜きが終わり、肥料を撒く。その様子を、レオーネは観察していた。向こうでは、真がオペレッタで音楽を奏でながら歌っている。少年たちがはしゃいでいた。
こちらにはハナがやって来ている。彼女は御霊符を使って力仕事の一部をまかなっていた。
「そう言えば料理ってハンクくんが作ってるんですぅ?」
「僕が作る時もあるし、司祭さんが作る時もあります……い、一応多少の料理はできるから……」
特に、何かを隠している気配はない。あれ以降、アウグスタとやらの接触はなかったようだ。
(嫉妬ねぇ)
一般的には悪いこととして言われる。だが、
(自分が何を羨ましがっているか知り、その何かの為自分自身を高める為に振るうなら正に動く)
と、彼は思っている。
(口で言って理解できるものでもないからな)
「じゃあそろそろ球根を植えるぞ」
サンドラが球根の箱を持ってくる。レオーネは笑顔を作ると、またハンクの傍らにしゃがんだ。球根の一つを取ると、軽く口づける。
「可愛いラガッツァ、皆で春を歌ってくれる日を楽しみに待っているぜ?」
「えっ」
「別にこれは真似しなくていい」
移植ごてで穴を掘りながら、レオーネ言った。
「でも、毎日、話しかけろよ。ラガッツァを寂しがらせるな。彼女はお前をちゃんと見ている。だからお前も彼女をちゃんと見ろ」
「あの……ラガッツァって品種?」
「ガールフレンドって言ったらわかる?」
「あ、ああ!」
ハンクはそれで得心がいった。恋人の様に愛して構えということだろう。
●レフト・ガーデン
「お庭って言うのはぁ、見たり作ったりして楽しむものですぅ。自分が見て喜ぶ、他人に見て貰って喜ぶ、作って喜ぶ……ある意味服と全く同じですぅ。他人からどう見られたいかどう見せたいか全く頓着しないのか……ヴィルジーリオさんは三番目分類ですねぇ」
ハナが苦笑しながら言うのを、赤毛の司祭は沈痛、と言う雰囲気を醸し出した無表情で聞いている。返す言葉もないのだろう。
「あそこだけ花があって他の季節は何もないってかなりアンバランスですよぅ。教会の庭は神の庭、サンドラさんと計画してみたらいかがですぅ」
「そうですね……私も腹をくくらないといけない気がしているので。サンドラに手伝ってもらって造園でもしますか。しかし手入れ……ウッ」
「誰も一人でやれなんて言ってませんよぉ。困ったらそれこそオフィスに依頼出したら良いじゃないですかぁ」
「そうだそうだ。ハナ、もっと言ってやれ」
サンドラがはやし立てる。
「でも薔薇は初心者に荷が重いと思いますぅ」
「そうです。もっと言ってやってください」
「あはは。二人で妥協点見付けてくださいねぇ」
「せっかく綺麗に残してくれたのに、このままにしておくのはもったいないぞ。アンジェラも気にしていた。ああ、私が今住んでいる家に前住んでた子なんだけど、彼女も園芸が好きで。司祭様のお庭はまだ丸裸なのかしら、と」
「咲いたらご招待しますよ」
「伝えておく」
「アンジェラちゃんもお花が好きなんです?」
「うん。今は人間の年寄りが入るホームに入ってるけど」
「サンドラさんっておいくつでしたっけ」
「百歳に手が届くよ」
「ミネストローネができましたよ!」
フラゴラと、彼女を手伝いに行っていたレオーネがハンターたちを呼びに来た。ヴィルジーリオは、ふうと息を吐くと、
「休憩にしましょう。聖堂へどうぞ」
●手を取れるひと
ミネストローネを食べながら、真はハンクの隣に座った。
「報告書で、君たちの話は少しだけ知ってる」
「……はい」
「ただ、私は君を諭しに来たわけでもないし、何かを聞き出そうと思ってきたわけじゃないよ。その代わり……と言ってはなんだけど、私自身の話を少しだけ」
大きなベーコンの塊が入っていた。真はそれを口に放り込んで食べてしまうと、ぽつりぽつりと話し始める。
「私にも、とても大切な友達が居るんだ。彼はすぐ色んなことに巻き込まれるし、落ち込むし。見てるこっちがヒヤヒヤする」
「それでも好きなんですね」
「うん。だから、私が支えたい。助けたい。彼にとって、必要な存在で在りたい」
ハンクは自分のスープカップに目を落とした。真は彼に優しく笑いかける。
「ずっとそう思ってるし、彼により近い存在には……嫉妬することだって、少しはある」
あなたたちだって、お友達との間に不安なことがあるんじゃないかしら。初対面のあの日、アウグスタはハンターたちをそう言って煽った。結果は不発だったのだが、もし真がいたら、何か思うことがあったかもしれない。
「きみの思いとは少し違うかもしれないけど、私みたいなおじさんでもこんな風に拗らせた思いを持つこともあるんだよ」
真はそう言って、冗談めかして締めくくった。あの時、シャトルの防衛に来てくれて、VOIDの視線を一身に集めても怯まなかった彼でも、そんな気持ちを抱えることがある……。
「恥じることじゃない。でも、この思いを歪虚なんかに利用されて堪るか、とも思うかな、私は」
彼は、照れ隠しの様にスープを半分ほど飲んだ。ハンクも、もそもそとキャベツをすくっって口に入れる。
●私を悲しませないでください
「ちょっと、三人で話せるか」
トリプルJはハンクとヴィルジーリオに手招きした。
「私の部屋でよろしいですか」
「構わねぇ」
三人で部屋に入り、トリプルJはヴィルジーリオの鉄面皮を見据える。
「お前、こいつの好きな花を聞いたか」
「育てやすさを優先しましたので、聞いておりません」
「チューリップが好きかどうかは聞いてもらいました」
急に冷え込んだ会話に、ハンクが怯えたように口を挟む。
「彼が言いたいのはそう言うことではないでしょう。君がないがしろにされていると思っている。そうですね?」
「ああ。飼いやすいとハムスターを勧めても鼠嫌いにゃ育てられん。お前ちゃんとヘンリーを見て生活してんのか。花が必要なのはお前だ。彼はお前が教え導く人間じゃねぇ。共同生活者だぞ」
「お言葉を返すようですが、飼いやすい生き物は存在しません」
ヴィルジーリオはふっと肩の力を抜いたように首を傾けた。
「そうですよ。花が必要なのは私もそうです」
「ど、どう言う意味ですか」
「前任が庭を整えていたと言ったでしょう」
「は、はい」
「彼は亡くなりました」
「えっ」
「だから、私にとってこの教会は、庭は遺品です。司祭業の一つとしてやらなくてはいけないのはわかっていましたが、私は醜い庭を造りたくありませんでした。故人に申し訳なくて」
ヴィルジーリオは小さく語る。
「故人を言い訳にしながら、これではいけないとは思っていたんですがね。そんな時に、ハンク、君の話がオフィスの彼から持ちかけられました。人の役に立つことで自分を見付けることができたら、と言うことでしたので引き受けました。ただ、他人を言い訳にするという点で、君と私は同じですよ」
「えっと……」
ハンクが目を泳がせる。トリプルJは口を挟まなかった。
「ですから、君を引き受けるなら私も何か打破しなくてはならない。そう思って」
彼は庭の方の壁を見る。誰かがそこを歩いているかのように。もしかしたら、もういない前任を見ているかもしれない。
「そう思って、庭の改造に着手することにしたんです。強引だったのは認めます。ただ、同じ弱さを抱えた人間として扱っていたことはわかって頂きたい」
「そうか」
トリプルJがひとまず頷くと、部屋の扉がノックされた。司祭が返事をすると扉が開く。ハナだ。
「なんですかぁ、もぅ、男三人で引っ込んじゃうからぁ、何の修羅場かと思ったじゃないですかぁ。ハンクくんを二人で取り合ってるんだったら返してくださぁい」
「行って良いですよ、ハンク。私は彼ともう少し話します」
「あ、はい……」
ハナに連れられて出て行くと、ヴィルジーリオはトリプルJに向き直った。
「まだ話し足りない顔をされていましたので」
霊闘士は頷くと、口を開く。
「植物は物を言えねぇ。こっちが調べて、想像して、先達にも教えを乞うて、それでやっと花を咲かせるんだ。その手間を惜しめば花は咲かねぇ……このままじゃお前、縋ろうと訪ねてきた心弱い信者を殺すぞ」
「その弱さが思い込みによるものだったらどうです?」
「なんだって?」
さっきまでの沈んだ様子から切り替えたように、司祭は淡々と告げる。
「全員がそうだとは言いませんが、一部には現実に沿わない思い込みで生きづらさを抱えている人もいます。ハンクの場合は、自分は友人として選ばれる価値がないと言うものですね」
「ヘンリーが思い込みで弱ってるって?」
「お気づきだったから孤児院の話を持ちかけたのではありませんか? 社会的経験を積んで、自分の価値を認識させるためでしょう? それに、彼が仲間の所に戻った後のことはどうするんです? 彼はまだそこまで弱っていない。今なら戻って来られる。ですから、社会的な責任感を持たせることが先決と考えました。それが最善だと。思い込みは肯定すると強化され、却って悪化します」
そこまで言ってから、またヴィルジーリオは首を横に振った。
「とは言え、方針となると主義主張に絡みますから、無理にでも納得しろとは言いません。ただ、方法の一つ、今のタイミングとして、私が提供できる最善のものはこれです、と言うことをお伝えしました。社会的訓練以前の問題なら、それはそれで対応していますよ。あなたが思うほど、私は機械的ではありません。不器用ではありますが」
彼は部屋のドアを開ける。
「聞きましたよ。ブルーで、彼らの命を救ったそうですね。会える時に彼の傍にいてあげてください。あなたは今私が独り占めして良い人ではない。戻りましょう」
トリプルJの肘に手を添えて、退室を促す。二人は聖堂に戻った。殴り合いに発展したのではないかと、ハナのそばでヒヤヒヤしていたらしいハンクは、無傷で現れたのを見てほっとしたようだ。
「言わぬは腹膨るる業なりと言いますぅ。言い難いなら書いちゃうのはどうでしょぉ? 良かったらどうぞぉ」
ハナは司祭を手招きすると、彼とハンクに便箋セットを差し出した。二人は顔を見合わせる。
「ありがとうございます。そうですね、私たちの間にはもう少し言葉が必要かもしれません。活用させていただきます」
●君を導く北極星
「今日はありがとうございました」
ハンターたちの帰り際、ヴィルジーリオとハンク、サンドラが並んで見送る。真とレオーネはハンクを振り返った。
「春頃には咲くのかな? 私も楽しみにしてるね」
「チューリップは心優しくも繊細なラガッツァの化身とも言われる花だ。誰かが護ってやる必要がある」
「そうだね」
ハンクは曖昧に笑った。
「頑張るよ」
真とレオーネもその笑みに頷いて見せる。
願わくは、少女の化身が彼を導く北極星とならんことを。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 8人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/02/08 20:03:49 |