ゲスト
(ka0000)
【王戦】隣の町を助けて!
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/02/07 15:00
- 完成日
- 2019/02/18 14:46
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●隣が怪しい
とある地域の領主イノア・クリシスは父ウィリアムや知り合いのハンターのマーナとアンジェと相談していた。
「シャールズからの話だと、雑魔が湧いていたかもしれない場所に何もなくなったところで、発生は収まったというんだ」
ウィリアムの言葉にマーナとアンジェはうなずいた。
「聞いたのう……。その件は我らの調査と同じだのう」
「うん、そうよねぇ。湧いてくるのは見ていないけれど、石塔みたいだったりオブジェみたいだったりするのが簡易的な転移門ということなのかしらね。ルゥルが問答無用で倒壊させたらしいけれど」
「誰に似たのか……」
ルゥルの師匠であるマーナと母親のアンジェが言うことを聞きながら、クリシス親子は「この人たちの影響では」と思っていたが、黙っていた。
「我々も不自然な物体は壊したしのう。それが転移門かは確認していないけれど」
「そうよね」
二人はうなずく。
「そうですね……あの後から、出なくなりました」
イノアがお礼を述べる。
「リオさんが言っているのですが、隣に歪虚がいると」
「石塔とか見慣れぬものをどうにかしてほしいと忠告をしておきたいのだが、聞く耳持たないからなぁ」
イノアとウィリアムが溜息を洩らした。リオはここの街と隣町を分ける川に住む精霊である。社はクリシス側にある。
「あちらの方は地形的に、広がるものですから……捜索も難しいのかもしれませんね」
イノアが指摘するが、丁寧に調べればわかるのではないかと言う気もしなくはない。
クリシス側の領地は丘があるため、一定の区切りがあった。現れた敵が人のいる所を目指している様子であったため、ルートは限られていたのだった。
「まあ、聞く耳持たないというか、妙な自信を持っていそうだしのう。わしたちの顔は知られているからひょこっと行けんから、教会に頼んでハンターに依頼しておいてもらう方がいいのう」
マーナが言う。
「そうですよね……私たちからだと分かると……」
「面倒だからなぁ」
クリシス親子は溜息を洩らした。
●メトーポン側
敵は倒せなくはないが、頻繁であれば疲弊はしていく。いつ、どの程度敵が出るのかわからないし、どのような目的があるのかもわからないからだ。
歪虚が出てくる場所というのはほぼ決まっている、とされている。しかし、的が絞れずユリアン・メトーポンは苛立った。
「なぜ、見つからない?」
人的被害は出ている。音がうるさいからと言って石を投げたら攻撃されて負傷したとか、行く手をふさいで攻撃されたとか、塀が壊されたとか様々ある。
雑魔などは見つけ次第討伐しているが、翌日には必ずまたいるという状況。
「あのあたりだと思うのだが……なぜ、出てくる? オブジェ? そんな、変わった物があるわけがない」
情報は得ていても、詳細が分かっていなかった。
「ハンターが来るというが……クリシスが変な恩を売りに来ているのではないか……」
隣の親子は最近のんびりしてみえる。息子が歪虚化したという割には、周囲は騒ぎ立てなかったどころか同情論もあった。その上、父親のウィリアムは問題発言をしたと風の噂で聞く。そのために隠居して娘に領主の仕事を引き継いだと噂されていた。
それだというのにのほほんとしているあの男も許せない。
「違う、逸れている」
自分の思考が違う方に向かっているため戻していった。
「ハンターの手を借りないと駄目なのか? いや、大丈夫なはずだ。こちらは十分な知識や戦力もある」
自分のところの兵士たちを信じたかった。
●噂
オブジェというより、変な道案内板が突然できたことを人々は知っていた。
町はずれだし、内容がおおざっぱすぎるけど間違っているわけではないし、仮設置だろうと適当に考えていた。なぜ仮設置かというと固有名詞がなく「町」「道」という矢印という漠然としたものだったからだ。気にならないのは町が近いから漠然としていても、迷子にはならないからだった。
●道案内板の知らぬ部分
町外れであるがゆえに、隣接する町や村にそれらは行きやすかった。一方で、人がいる場所ということを考えると、どちらにでも進めるということで、方向が一定にならない。
そのため、それらはそれぞれが思う方向に進む。
ただし、それらが出てくるのを見た者はいなかった。その周囲は日中こそ人はいるが、夜になればいなくなる。だから数をそろえて集まって、出かける……。
とある地域の領主イノア・クリシスは父ウィリアムや知り合いのハンターのマーナとアンジェと相談していた。
「シャールズからの話だと、雑魔が湧いていたかもしれない場所に何もなくなったところで、発生は収まったというんだ」
ウィリアムの言葉にマーナとアンジェはうなずいた。
「聞いたのう……。その件は我らの調査と同じだのう」
「うん、そうよねぇ。湧いてくるのは見ていないけれど、石塔みたいだったりオブジェみたいだったりするのが簡易的な転移門ということなのかしらね。ルゥルが問答無用で倒壊させたらしいけれど」
「誰に似たのか……」
ルゥルの師匠であるマーナと母親のアンジェが言うことを聞きながら、クリシス親子は「この人たちの影響では」と思っていたが、黙っていた。
「我々も不自然な物体は壊したしのう。それが転移門かは確認していないけれど」
「そうよね」
二人はうなずく。
「そうですね……あの後から、出なくなりました」
イノアがお礼を述べる。
「リオさんが言っているのですが、隣に歪虚がいると」
「石塔とか見慣れぬものをどうにかしてほしいと忠告をしておきたいのだが、聞く耳持たないからなぁ」
イノアとウィリアムが溜息を洩らした。リオはここの街と隣町を分ける川に住む精霊である。社はクリシス側にある。
「あちらの方は地形的に、広がるものですから……捜索も難しいのかもしれませんね」
イノアが指摘するが、丁寧に調べればわかるのではないかと言う気もしなくはない。
クリシス側の領地は丘があるため、一定の区切りがあった。現れた敵が人のいる所を目指している様子であったため、ルートは限られていたのだった。
「まあ、聞く耳持たないというか、妙な自信を持っていそうだしのう。わしたちの顔は知られているからひょこっと行けんから、教会に頼んでハンターに依頼しておいてもらう方がいいのう」
マーナが言う。
「そうですよね……私たちからだと分かると……」
「面倒だからなぁ」
クリシス親子は溜息を洩らした。
●メトーポン側
敵は倒せなくはないが、頻繁であれば疲弊はしていく。いつ、どの程度敵が出るのかわからないし、どのような目的があるのかもわからないからだ。
歪虚が出てくる場所というのはほぼ決まっている、とされている。しかし、的が絞れずユリアン・メトーポンは苛立った。
「なぜ、見つからない?」
人的被害は出ている。音がうるさいからと言って石を投げたら攻撃されて負傷したとか、行く手をふさいで攻撃されたとか、塀が壊されたとか様々ある。
雑魔などは見つけ次第討伐しているが、翌日には必ずまたいるという状況。
「あのあたりだと思うのだが……なぜ、出てくる? オブジェ? そんな、変わった物があるわけがない」
情報は得ていても、詳細が分かっていなかった。
「ハンターが来るというが……クリシスが変な恩を売りに来ているのではないか……」
隣の親子は最近のんびりしてみえる。息子が歪虚化したという割には、周囲は騒ぎ立てなかったどころか同情論もあった。その上、父親のウィリアムは問題発言をしたと風の噂で聞く。そのために隠居して娘に領主の仕事を引き継いだと噂されていた。
それだというのにのほほんとしているあの男も許せない。
「違う、逸れている」
自分の思考が違う方に向かっているため戻していった。
「ハンターの手を借りないと駄目なのか? いや、大丈夫なはずだ。こちらは十分な知識や戦力もある」
自分のところの兵士たちを信じたかった。
●噂
オブジェというより、変な道案内板が突然できたことを人々は知っていた。
町はずれだし、内容がおおざっぱすぎるけど間違っているわけではないし、仮設置だろうと適当に考えていた。なぜ仮設置かというと固有名詞がなく「町」「道」という矢印という漠然としたものだったからだ。気にならないのは町が近いから漠然としていても、迷子にはならないからだった。
●道案内板の知らぬ部分
町外れであるがゆえに、隣接する町や村にそれらは行きやすかった。一方で、人がいる場所ということを考えると、どちらにでも進めるということで、方向が一定にならない。
そのため、それらはそれぞれが思う方向に進む。
ただし、それらが出てくるのを見た者はいなかった。その周囲は日中こそ人はいるが、夜になればいなくなる。だから数をそろえて集まって、出かける……。
リプレイ本文
●動揺
鳳城 錬介(ka6053)は依頼の内容を聞いて複雑な表情を一瞬浮かべたが、すぐに安心させるような笑顔に戻る。
「偉い人達のご近所付き合いって難しいんですね。でも、頑張ります、お互いに心穏やかに過ごせるようになるといいですね」
イノア・クリシスと父ウィリアムはうなずく。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)はどう対応すべきか考える。
「メトーポンさんたち、どんな物に警戒したらいいのかわからない感じかな? 調査して、情報を渡せるようにするのがいいよね……」
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)はその言葉に同意を示した。
「まずは情報の確定をする。できれば、証拠を突きつけるまたはあちらの兵自身に見てもらう」
どうする必要があるかの段階や確認を言葉にした。
マリィア・バルデス(ka5848)はイノアに一つ確認する。
「イノア様、調査結果を私たちが偶然知ったこととして、メトーポン領主に報告してもよいかしら? 私たちが報告するほうが、まだあちらも耳を傾けやすいかと思ったのよ」
「ハンターがその近辺にいるというのは知っていると思いますので、情報はある方が良いと思うのでお願いします」
クリシスが絡んだということだけ伝われなければいいとイノアは念を押した。その件にマリィアやエラも了承の旨を示した。
エステル・ソル(ka3983)は首をかしげる。
「隣の領主さんは少し頑固さんです?」
ウィリアムは苦笑する。
「まあ、私と年齢が近いし比べられることも多いからね」
「でも、歪虚は一つの領だけの問題ではないのです、隣の領主さんは色々気にし過ぎなのです。大事なのは領民の方々を守ることです」
エステルは真っ直ぐ告げる。
「その点はユリアンも考えているよ」
ウィリアムは困った表情を浮かべる。
レイア・アローネ(ka4082)はイノアとウィリアムが渋い顔をしるのを見て、安心させるように言う。
「隣町との摩擦に気を付けて調査だな。気を使わないとならないし、ハンターだと顔が知れていないうちに行動したほうもよさそうだな」
イノアとウィリアムは不安そうな顔をしているが、特に何も言わなかった。調査について何か言える立場にはない。隣に対し干渉していることも事実であるから、方法についてはハンターに一任する。
●調査
町に立つ噂から、状況を知るため、ハンターは聞き込みを開始する。不審な物はあるのか、雑魔野状況はどうなのかと言うことである。隣に直接入れない可能性も考えていたが、そこは問題なく通れた。
マリィアは渡し舟に乗り、隣の領に向かう。商人もいるが、どこか諦めた雰囲気が漂っている。
「何かあったの? うまく仕入れできなかったとか? 溜息が漏れそうな顔をしているわよ?」
マリィアは気軽に問う。
「今、あちこちに雑魔がいるだろう? そうなると出入りが限られて面倒くさいとか、隣町に行くのも怖いとなる……」
「なるほどね。商人だけでなく旅をするのも辛くなるわ」
雑談をしながら隣町につく。
その足で、大きな商店に向かった。そこで物品を見つつ状況をうかがう。手ごろなものを購入しつつ店員に尋ねる。
「町の外で最近変わったオブジェとかないかしら?」
「オブジェねぇ? どういったもの?」
「そうねぇ、突然できたとか。なんの為にあるのかわからないとか」
「それなら一つあるよ?」
街道を少し進んだところに案内板ができているという。それが不自然極まりないが、特に問題がないため放置されつつ、話題にはなっているという。
「試しに見てみるわ」
マリィアは情報に対し礼を述べ、店を後にする。ある程度離れたところで、仲間に連絡を入れて共有しておいた。
錬介は町の外にある不自然なオブジェや雑魔の状況について、町で聞き込みをする。
「そうなんだよな、あっちの村に行くのに、クリシス側を通るという奴いるくらいだ」
雑魔などが出ても兵士が倒してくれているため、被害は出ていない。それでもどこで遭遇するかわからない不安はあり、少しでも安全なルートを選ぶ人もいる。
「あっちの領主さんは兵も少ないって聞くのに、どうしてうまく解決したのか気になるよな」
「ハンターに頼んだと聞いていますよ」
錬介は入れ違いで会っていないが、経緯は聞いていた。
「適材適所かね」
オブジェについては変な標識ができているというのは見たという人がチラリホラリいたため、場所を聞いておいた。
ピアレーチェは以前、別の地域で歪虚や雑魔が集まる不自然な石塔を見ているため目星をつけていた。クリシス領にいたハンターもオブジェは不自然ととらえており、それが転移門的なものではないかと言う推測になっていた。しかし、そちらもピアレーチェも出てくるところは見ていない。
まず、聞くことは町や町の外で、石塔や不思議なオブジェがないかであり、以前見たものをイメージしつつ問いかけた。
知っているという人が多かったが、誰が作ったか何時できたかあいまいだった。
「ありがとう」
ピアレーチェは礼を述べると、町の外に出かけて行った。
エラは町の外で、メトーポンのところの兵士に接触する。
城壁の近辺は緊張感も漂っていた。昼間で出入りする人もいるし、雑魔も出るとなれば、兵士たちだけでなく出かける人も緊張感に包まれるのは仕方がない。
町の外はしばらく草地であるが、少し先には林や高木、灌木などが見える。その手前に分かれ道があるようだった。
町の外に歩き出し、巡回中の兵士に声をかける。町のおいしい店など雑談につなげる。
「ありがとう。旅をしていて気になっているのは、この町は傲慢の歪虚とか出ていない?」
「……」
「疲れている、緊張感が漂う……のを見れば検討はつく」
兵士はずばりと言われて溜息を洩らした。
「各地で起こっているみたいだし」
「噂では聞いているけど、そうなんだ?」
女王の戴冠前にあった騒ぎも告げる。転移門のようなものが設置されていたという話もあるということを。
「それは……でも……ん?」
兵士は何かピンと来たようだった。
「その調査をしている。この辺りも出るならその可能性が――」
エラは共同調査を申し出た。
エステルはユリアンに面会を申し込む。レイアは止めるか否か考えるが、偶然歪虚と外で会ったという体にすればよいかと検討していた。しかし、今日は予定が立て込んでいるため無理だと告げられた。
不完全燃焼となるが、オブジェのことなど聞き込みに向かう。
エステルは複数個ある可能性を疑う。町での噂では謎の道しるべ一つだけだった。
「謎の道しるべができるころ、誰か見かけなかったのです?」
エステルは首をかしげる。不審な行動をとる人を見たとい噂もなかった。
「不意に湧いたということはないだろうから、人目がつかない時間帯に、どこから持ってきたのだろうな」
レイアは情報から推測をした。
話を聞くと隣の町、クリシス側の状況も合わせると、歪虚が出るポイントがあるならば、こちら側だというのは明確になってきた。
日中にできそうな調査は終わり、ハンターたちは合流した。
●出現
遠くから見ればあってもおかしくはない場所にある道しるべだが、地名がなく、おおざっぱな記載は不自然である。
負のマテリアルを感じるかと言われると感じるかもしれないが、陣などが描かれている様子はない。
素材は石だ。どこで切り出されたものかと想像するのは難しい、ありふれた種類だ。
夜になると星や月の明かりが頼りとなる。そのため、それぞれ明かりとなる物は持ち寄っていた。
錬介はこの街の兵士がいることに安堵した。ハンターが解決してしまうことで、町の兵士たちのほこりを傷つけることになるのではという危惧があったからだ。
「町の方がいるのことは良かったですが、領主さんと話はついたのですか?」
「結局、領主に報告するにしても、かたくなになっている面があると感じるから、外堀を埋める」
錬介の言葉にエラは参加する兵士の状況を教える。
「え? 大丈夫なの?」
ピアレーチェは兵士たちが処罰されないかと心配する。
「夜に見回りをするという提案はしてある。それに、町で不思議な物の噂はあった」
兵士の一人が答えた。城壁からだとオブジェの位置は見えづらい。
「オブジェができる前に誰か見なかったかと聞き込みをしたのです……人通りが少ないと難しいのです。それに、前見たような敵が作れるとは思えないのです」
「誰がはわからなくても、これから注意して被害は出さないことは可能だからな」
エステルとレイアが情報の追加を行った。単調な行動をしていた機械のような雑魔を見ているエステルはそれらがオブジェを作ったとは思えない。
「私はあっちに隠れることにするわ」
マリィアは暗くなる前に作っておいたテントを指さす。町からは直接見えないが、オブジェからは40メートルほど離れているところだ。
「オブジェに何かあるのか。推測が正しいなら写真を撮らないといけないし、推測外でもそこに歪虚が集まっているなら撮るわ。それで、推測が正しいと分かったら、壊してしまうわね」
マリィアの言葉に、反対が多かった。出てくるのがわかっても、そのあと確認をしたいと言うことだった。
「なら、危なそうなら壊すわ」
マリィアは肩をすくめる。
「あたしは灌木のところに隠れるよ」
ピアレーチェの提案に似たり寄ったりの返答が出る。
オブジェを中心にすれば、死角になりそうなところは何か所かある。そのため、こまめに連絡を取るようにして、別れて隠れた。
町の明かりもうかがえなくなる。
静かで何も起こらないのではないかと思える。寒さが身に沁みえる。
道案内板にゆがみが生じる。じっと目を凝らしていないと分からないものだ。闇が濃くなっただけなのか、空間がゆがんでいるのかはわからない。
オブジェを境にしたかのように、一体、一体と歪虚や雑魔が現れる。
カメラで写真を撮るものはシャッターを切る。灯がないとかろうじて何かとれる状況だ。
敵が出ているというのがそれとなく分かったところで、明かりを向けた。明かりがあることで、視覚を持つものは明かりに警戒をした。
ちょうどオブジェから一体又出たところだった。ハンターたちは推測が確定に変わったこと、兵士たちは歪虚が湧いたことに衝撃を受ける。
「時間はわかりました。どれくらいの歪虚を運んでくるのか確認します」
エステルは仲間に確認する。討伐することには変わりがないため特に異論は出ていない。これまでも兵士たちが討伐出来ているため、数は多すぎはしないのだろう。
「もし、今日に限って多く出たら……人型も!?」
見ていた兵士は少し不安がった。今日ここにハンターがいるというこれまでとの違いが、敵側に起こらない保証はなかった。
一体、また一体……次々に出てくるが遅い。
人型の歪虚が出てきた。すると、行く方向が定まるのか、町側と林の方向にある集落側に別れていく。
まとまった数になったとき、転移門から出るのは止まった。
そちらにハンターたちが明かりを向けると、それらは臨戦態勢になる。それらは転移門と思われるオブジェには向かわない。
ふわりふわりと浮かぶ球状の機械は不協和音を鳴らし始めた。邪魔をするハンターへの威嚇のようだ。一方で、箱にタイヤや顔のような物がついている機械はオルゴールが鳴るように音楽を鳴らした。
人の姿をしている歪虚は、ただ、ハンターに向き合う、敵を討つために。
レイアが駆け出す。
「逃げる、ということはしないのか」
逃げることができない状況だということは明確だ。
「出てくるのは止まった」
マリィアはオブジェを避けるように【リトリビーション】を放つ。
エラは【短矢】を用いて人型の歪虚を狙った。
「一番危険なのはそれだ」
指導的な役割なのは見ていればわかる。こちらにいる兵士に向かわれると厄介だ。
「俺も前に出ておきましょう」
錬介は雑魔の位置を考えると兵士がいる方に行かさないことに重点を置くことにした。
「援護するです。小鳥さんお願いします【星鳥】」
エステルはアイテムの力を引き出しつつ、魔法を放った。いくつかの魔法の矢が敵をうがった。
「動くと邪魔だよね【プルガトリオ】」
ピアレーチェが放った。
数が多いが、適度にまとまっているため、ハンターたちは的確な行動により討伐していった。
途中、特に、敵が出てくることもなかった。
●結果
稼働した後道案内を見る。負のマテリアルを強く感じるが徐々に薄れる。石塔の組み方が陣の役割もしくは、ここがただの目印なのだろうか。
「一方通行? 人型の歪虚は知能はあったみたいだ」
エラは敵の動きから、援軍を頼むことも、逃げることもなかったのだろう。
「そうですね……戻らないところを見ると一方通行なのかもしれませんね。これを作った理由はなんでしょう?」
錬介はオブジェを注意深く見てつぶやく。
「各地で襲撃をするため?」
エラは告げる。疑問符がついているが、そういうこと以外理由を見いだせない。戻る機能がないのか、戻る技能がないのか……ここに出てきている歪虚が強くはないため考えられた。
同行してくれた兵士はこれで終わったのだと安堵している。
「これでメトーポンさんはオブジェの問題は分かってくれるよね」
ピアレーチェの言葉に兵士はうなずく。自分のところの兵士も見ているのだから否定はしないだろう。
「壊すのは手伝うよ」
ピアレーチェは提案した。
「案内板以外ないと聞いていますが、注意は必要なのです」
「これを見たお前たちなら、注意する点は解かるはずだ」
エステルとレイアが兵士たちに念のために言っておいた。あくまで知っているのはこれだけだが、この後、新たな物を作られないという保証もなかった。
「領主にダメ出しはしておくわよ。あなたたちが仕事をしているから、歪虚は町に親友できない。領民は感謝しているわ。最後の仕上げよ」
マリィアは兵をねぎらった後、翌朝、領主に面会を求めた。
「オブジェから雑魔や歪虚が湧いていたのを偶然発見し、撃破しましたのでご報告を。門となっているものは現物をご覧ください」
写真も見せられ、否定もできない状況にユリアンは硬直する。
「偶然ですから」
マリィアは部屋を辞した。
その日の内にその道案内は破壊されたのだった。
鳳城 錬介(ka6053)は依頼の内容を聞いて複雑な表情を一瞬浮かべたが、すぐに安心させるような笑顔に戻る。
「偉い人達のご近所付き合いって難しいんですね。でも、頑張ります、お互いに心穏やかに過ごせるようになるといいですね」
イノア・クリシスと父ウィリアムはうなずく。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)はどう対応すべきか考える。
「メトーポンさんたち、どんな物に警戒したらいいのかわからない感じかな? 調査して、情報を渡せるようにするのがいいよね……」
エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)はその言葉に同意を示した。
「まずは情報の確定をする。できれば、証拠を突きつけるまたはあちらの兵自身に見てもらう」
どうする必要があるかの段階や確認を言葉にした。
マリィア・バルデス(ka5848)はイノアに一つ確認する。
「イノア様、調査結果を私たちが偶然知ったこととして、メトーポン領主に報告してもよいかしら? 私たちが報告するほうが、まだあちらも耳を傾けやすいかと思ったのよ」
「ハンターがその近辺にいるというのは知っていると思いますので、情報はある方が良いと思うのでお願いします」
クリシスが絡んだということだけ伝われなければいいとイノアは念を押した。その件にマリィアやエラも了承の旨を示した。
エステル・ソル(ka3983)は首をかしげる。
「隣の領主さんは少し頑固さんです?」
ウィリアムは苦笑する。
「まあ、私と年齢が近いし比べられることも多いからね」
「でも、歪虚は一つの領だけの問題ではないのです、隣の領主さんは色々気にし過ぎなのです。大事なのは領民の方々を守ることです」
エステルは真っ直ぐ告げる。
「その点はユリアンも考えているよ」
ウィリアムは困った表情を浮かべる。
レイア・アローネ(ka4082)はイノアとウィリアムが渋い顔をしるのを見て、安心させるように言う。
「隣町との摩擦に気を付けて調査だな。気を使わないとならないし、ハンターだと顔が知れていないうちに行動したほうもよさそうだな」
イノアとウィリアムは不安そうな顔をしているが、特に何も言わなかった。調査について何か言える立場にはない。隣に対し干渉していることも事実であるから、方法についてはハンターに一任する。
●調査
町に立つ噂から、状況を知るため、ハンターは聞き込みを開始する。不審な物はあるのか、雑魔野状況はどうなのかと言うことである。隣に直接入れない可能性も考えていたが、そこは問題なく通れた。
マリィアは渡し舟に乗り、隣の領に向かう。商人もいるが、どこか諦めた雰囲気が漂っている。
「何かあったの? うまく仕入れできなかったとか? 溜息が漏れそうな顔をしているわよ?」
マリィアは気軽に問う。
「今、あちこちに雑魔がいるだろう? そうなると出入りが限られて面倒くさいとか、隣町に行くのも怖いとなる……」
「なるほどね。商人だけでなく旅をするのも辛くなるわ」
雑談をしながら隣町につく。
その足で、大きな商店に向かった。そこで物品を見つつ状況をうかがう。手ごろなものを購入しつつ店員に尋ねる。
「町の外で最近変わったオブジェとかないかしら?」
「オブジェねぇ? どういったもの?」
「そうねぇ、突然できたとか。なんの為にあるのかわからないとか」
「それなら一つあるよ?」
街道を少し進んだところに案内板ができているという。それが不自然極まりないが、特に問題がないため放置されつつ、話題にはなっているという。
「試しに見てみるわ」
マリィアは情報に対し礼を述べ、店を後にする。ある程度離れたところで、仲間に連絡を入れて共有しておいた。
錬介は町の外にある不自然なオブジェや雑魔の状況について、町で聞き込みをする。
「そうなんだよな、あっちの村に行くのに、クリシス側を通るという奴いるくらいだ」
雑魔などが出ても兵士が倒してくれているため、被害は出ていない。それでもどこで遭遇するかわからない不安はあり、少しでも安全なルートを選ぶ人もいる。
「あっちの領主さんは兵も少ないって聞くのに、どうしてうまく解決したのか気になるよな」
「ハンターに頼んだと聞いていますよ」
錬介は入れ違いで会っていないが、経緯は聞いていた。
「適材適所かね」
オブジェについては変な標識ができているというのは見たという人がチラリホラリいたため、場所を聞いておいた。
ピアレーチェは以前、別の地域で歪虚や雑魔が集まる不自然な石塔を見ているため目星をつけていた。クリシス領にいたハンターもオブジェは不自然ととらえており、それが転移門的なものではないかと言う推測になっていた。しかし、そちらもピアレーチェも出てくるところは見ていない。
まず、聞くことは町や町の外で、石塔や不思議なオブジェがないかであり、以前見たものをイメージしつつ問いかけた。
知っているという人が多かったが、誰が作ったか何時できたかあいまいだった。
「ありがとう」
ピアレーチェは礼を述べると、町の外に出かけて行った。
エラは町の外で、メトーポンのところの兵士に接触する。
城壁の近辺は緊張感も漂っていた。昼間で出入りする人もいるし、雑魔も出るとなれば、兵士たちだけでなく出かける人も緊張感に包まれるのは仕方がない。
町の外はしばらく草地であるが、少し先には林や高木、灌木などが見える。その手前に分かれ道があるようだった。
町の外に歩き出し、巡回中の兵士に声をかける。町のおいしい店など雑談につなげる。
「ありがとう。旅をしていて気になっているのは、この町は傲慢の歪虚とか出ていない?」
「……」
「疲れている、緊張感が漂う……のを見れば検討はつく」
兵士はずばりと言われて溜息を洩らした。
「各地で起こっているみたいだし」
「噂では聞いているけど、そうなんだ?」
女王の戴冠前にあった騒ぎも告げる。転移門のようなものが設置されていたという話もあるということを。
「それは……でも……ん?」
兵士は何かピンと来たようだった。
「その調査をしている。この辺りも出るならその可能性が――」
エラは共同調査を申し出た。
エステルはユリアンに面会を申し込む。レイアは止めるか否か考えるが、偶然歪虚と外で会ったという体にすればよいかと検討していた。しかし、今日は予定が立て込んでいるため無理だと告げられた。
不完全燃焼となるが、オブジェのことなど聞き込みに向かう。
エステルは複数個ある可能性を疑う。町での噂では謎の道しるべ一つだけだった。
「謎の道しるべができるころ、誰か見かけなかったのです?」
エステルは首をかしげる。不審な行動をとる人を見たとい噂もなかった。
「不意に湧いたということはないだろうから、人目がつかない時間帯に、どこから持ってきたのだろうな」
レイアは情報から推測をした。
話を聞くと隣の町、クリシス側の状況も合わせると、歪虚が出るポイントがあるならば、こちら側だというのは明確になってきた。
日中にできそうな調査は終わり、ハンターたちは合流した。
●出現
遠くから見ればあってもおかしくはない場所にある道しるべだが、地名がなく、おおざっぱな記載は不自然である。
負のマテリアルを感じるかと言われると感じるかもしれないが、陣などが描かれている様子はない。
素材は石だ。どこで切り出されたものかと想像するのは難しい、ありふれた種類だ。
夜になると星や月の明かりが頼りとなる。そのため、それぞれ明かりとなる物は持ち寄っていた。
錬介はこの街の兵士がいることに安堵した。ハンターが解決してしまうことで、町の兵士たちのほこりを傷つけることになるのではという危惧があったからだ。
「町の方がいるのことは良かったですが、領主さんと話はついたのですか?」
「結局、領主に報告するにしても、かたくなになっている面があると感じるから、外堀を埋める」
錬介の言葉にエラは参加する兵士の状況を教える。
「え? 大丈夫なの?」
ピアレーチェは兵士たちが処罰されないかと心配する。
「夜に見回りをするという提案はしてある。それに、町で不思議な物の噂はあった」
兵士の一人が答えた。城壁からだとオブジェの位置は見えづらい。
「オブジェができる前に誰か見なかったかと聞き込みをしたのです……人通りが少ないと難しいのです。それに、前見たような敵が作れるとは思えないのです」
「誰がはわからなくても、これから注意して被害は出さないことは可能だからな」
エステルとレイアが情報の追加を行った。単調な行動をしていた機械のような雑魔を見ているエステルはそれらがオブジェを作ったとは思えない。
「私はあっちに隠れることにするわ」
マリィアは暗くなる前に作っておいたテントを指さす。町からは直接見えないが、オブジェからは40メートルほど離れているところだ。
「オブジェに何かあるのか。推測が正しいなら写真を撮らないといけないし、推測外でもそこに歪虚が集まっているなら撮るわ。それで、推測が正しいと分かったら、壊してしまうわね」
マリィアの言葉に、反対が多かった。出てくるのがわかっても、そのあと確認をしたいと言うことだった。
「なら、危なそうなら壊すわ」
マリィアは肩をすくめる。
「あたしは灌木のところに隠れるよ」
ピアレーチェの提案に似たり寄ったりの返答が出る。
オブジェを中心にすれば、死角になりそうなところは何か所かある。そのため、こまめに連絡を取るようにして、別れて隠れた。
町の明かりもうかがえなくなる。
静かで何も起こらないのではないかと思える。寒さが身に沁みえる。
道案内板にゆがみが生じる。じっと目を凝らしていないと分からないものだ。闇が濃くなっただけなのか、空間がゆがんでいるのかはわからない。
オブジェを境にしたかのように、一体、一体と歪虚や雑魔が現れる。
カメラで写真を撮るものはシャッターを切る。灯がないとかろうじて何かとれる状況だ。
敵が出ているというのがそれとなく分かったところで、明かりを向けた。明かりがあることで、視覚を持つものは明かりに警戒をした。
ちょうどオブジェから一体又出たところだった。ハンターたちは推測が確定に変わったこと、兵士たちは歪虚が湧いたことに衝撃を受ける。
「時間はわかりました。どれくらいの歪虚を運んでくるのか確認します」
エステルは仲間に確認する。討伐することには変わりがないため特に異論は出ていない。これまでも兵士たちが討伐出来ているため、数は多すぎはしないのだろう。
「もし、今日に限って多く出たら……人型も!?」
見ていた兵士は少し不安がった。今日ここにハンターがいるというこれまでとの違いが、敵側に起こらない保証はなかった。
一体、また一体……次々に出てくるが遅い。
人型の歪虚が出てきた。すると、行く方向が定まるのか、町側と林の方向にある集落側に別れていく。
まとまった数になったとき、転移門から出るのは止まった。
そちらにハンターたちが明かりを向けると、それらは臨戦態勢になる。それらは転移門と思われるオブジェには向かわない。
ふわりふわりと浮かぶ球状の機械は不協和音を鳴らし始めた。邪魔をするハンターへの威嚇のようだ。一方で、箱にタイヤや顔のような物がついている機械はオルゴールが鳴るように音楽を鳴らした。
人の姿をしている歪虚は、ただ、ハンターに向き合う、敵を討つために。
レイアが駆け出す。
「逃げる、ということはしないのか」
逃げることができない状況だということは明確だ。
「出てくるのは止まった」
マリィアはオブジェを避けるように【リトリビーション】を放つ。
エラは【短矢】を用いて人型の歪虚を狙った。
「一番危険なのはそれだ」
指導的な役割なのは見ていればわかる。こちらにいる兵士に向かわれると厄介だ。
「俺も前に出ておきましょう」
錬介は雑魔の位置を考えると兵士がいる方に行かさないことに重点を置くことにした。
「援護するです。小鳥さんお願いします【星鳥】」
エステルはアイテムの力を引き出しつつ、魔法を放った。いくつかの魔法の矢が敵をうがった。
「動くと邪魔だよね【プルガトリオ】」
ピアレーチェが放った。
数が多いが、適度にまとまっているため、ハンターたちは的確な行動により討伐していった。
途中、特に、敵が出てくることもなかった。
●結果
稼働した後道案内を見る。負のマテリアルを強く感じるが徐々に薄れる。石塔の組み方が陣の役割もしくは、ここがただの目印なのだろうか。
「一方通行? 人型の歪虚は知能はあったみたいだ」
エラは敵の動きから、援軍を頼むことも、逃げることもなかったのだろう。
「そうですね……戻らないところを見ると一方通行なのかもしれませんね。これを作った理由はなんでしょう?」
錬介はオブジェを注意深く見てつぶやく。
「各地で襲撃をするため?」
エラは告げる。疑問符がついているが、そういうこと以外理由を見いだせない。戻る機能がないのか、戻る技能がないのか……ここに出てきている歪虚が強くはないため考えられた。
同行してくれた兵士はこれで終わったのだと安堵している。
「これでメトーポンさんはオブジェの問題は分かってくれるよね」
ピアレーチェの言葉に兵士はうなずく。自分のところの兵士も見ているのだから否定はしないだろう。
「壊すのは手伝うよ」
ピアレーチェは提案した。
「案内板以外ないと聞いていますが、注意は必要なのです」
「これを見たお前たちなら、注意する点は解かるはずだ」
エステルとレイアが兵士たちに念のために言っておいた。あくまで知っているのはこれだけだが、この後、新たな物を作られないという保証もなかった。
「領主にダメ出しはしておくわよ。あなたたちが仕事をしているから、歪虚は町に親友できない。領民は感謝しているわ。最後の仕上げよ」
マリィアは兵をねぎらった後、翌朝、領主に面会を求めた。
「オブジェから雑魔や歪虚が湧いていたのを偶然発見し、撃破しましたのでご報告を。門となっているものは現物をご覧ください」
写真も見せられ、否定もできない状況にユリアンは硬直する。
「偶然ですから」
マリィアは部屋を辞した。
その日の内にその道案内は破壊されたのだった。
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【相談】隣町を助けよう! エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/02/06 19:06:44 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/02/04 19:32:25 |