美味しい雑煮の作り方

マスター:cr

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/01/16 15:00
完成日
2015/01/23 09:49

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 ここは年明け早々の極彩色の街、ヴァリオス。
 数々の商店が立ち並ぶ一角で、ぺったんぺったんという音が響いていた。
 音の出どころはバロテッリ商会。店の前でバロテッリとモアが何やら作業をしている。
 ぺったんぺったんという音はずっと続いていたが、やがて音が鳴りやむ。
「ふう、こんなところか」
「そうですね。これでよろしいかと、旦那様」
 二人の間には臼と白くやわらかい塊。二人は餅をついていたのである。


「で、これで『雑煮』を作るんだな」
「そうですね、旦那様。新年には縁起を担いで『雑煮』を食べるそうです」
 二人が餅をついていた理由は雑煮を食べるためである。ある日、モアがリアルブルーの日本では新年に雑煮というものを食べる風習がある、と聞き、早速やってみることにしたのである。
 商人は徹底的なリアリストであるが、同時に縁起やゲンを担ぐことも多い。さらに言えば、この雑煮というものが美味しい料理なのであれば、大々的に売り出せばそれはすなわち儲けになる。ということでまず餅をついたわけである。あとは雑煮を作るだけだ。
「で、その『雑煮』ってのはどうやって作るんだ?」
「……さあ」
 二人の間に流れる気まずい沈黙。
「おい! それじゃどうするんだよ!」
「申し訳ございません、旦那様。この餅を具材と共にスープに入れて食べる料理、ということまでは把握しているのですが」
「なら具材とスープだけわかりゃあ話は済むな。モア、そこらへんの話は聞いてねぇのか?」
「それが……人によってまるで違うようなのです」
 その言葉を聞いて、バロテッリがニヤリと笑った。
「そいつは逆にチャンスだな……つまりバリエーションがいろいろあるってことだ。つーことは、いろいろな種類の『雑煮』を売り出せば多くの人を集められるっつーわけだ。モア!」
「わかってます、旦那様。依頼書はもう書き終えました」
 というわけで、雑煮作りの依頼がハンターズオフィスに張り出されることになったのである。

リプレイ本文


「私のリアルブルーの頃の実家でのものでいいんですか?」
 必要な材料が並べられた会場に参加者達が入って来た。そこで落葉松 鶲(ka0588)が、モアに再確認する。
「ええ、もちろんです」
「えっと、私の両親はそれぞれ日本の東側と西側で出身が分かれていたので、母は一日と二日で違う雑煮を作っていたんです」
「話によると雑煮にも色々あるらしいからな」
 と、あらかじめ雑煮について調べてきたのか、ステラ・エイシェント(ka2492)がそう返す。鶲は頷き、話を続けた。
「先ず一日目は西でメインで作られる白味噌をベースに里芋。そして丸餅」
「それはボクの所と同じだね」
 超級まりお(ka0824)がそう答えた。
「ええ、西は丸餅を煮るのですが、私の家では関東風に角餅を焼いていましたね」
「ボクの所だと丸餅を焼いてました」
 志乃原・勇雅(ka1411)がそれ以外のパターンを紹介。ステラが言葉通り、餅の扱い方だけでも色々なやり方があるようだ。
「二日目は東でよく使われるすまし汁に根菜を数種類。関東風といった所でしょうか」
「少し違いますけど、私の所も近い作り方ですね」
 とは、日下 菜摘(ka0881)の言葉。
「東の中でも色んな味付けがあります。西でも同様に。そして餅も焼いたり煮たり四角だったり丸だったり。それ以外もあったり」
「そういや、餡餅入れる雑煮があるんだっけ。しかもその雑煮をうどんにかけるのもあるとか」
 葵(ka2143)も、自分の知識を披露する。そしてしみじみ一言。
「……世間様って、狭いようで広いぜ」
「ええ、本当に……あ、そろそろ出来たようです」
 と、鶲はいつの間にか作り終えた雑煮をお椀に盛った。家の手伝いをしていて、今でも妹の世話をしている鶲はかなりの料理上手。ただ話をしているだけでなく、その間に手を動かして料理を作るなんて朝飯前だ。
「はい、これが自分の雑煮です。一日目の白味噌ベースのものですね」
「これ、甘じょっぱくて美味しいですわ」
 とは、ロジー・ビィ(ka0296)の感想。
 一方、柏部 狭綾(ka2697)は一口食べると、
「悪く無いわね」
 と当り障りのない答えをし、そのまま箸を置く。
 その後ろでは、
「神様、今日も私は食べ物にありつくことができます。ありがとうございますっ!」
 ミネット・ベアール(ka3282)が雑煮に手を合わせ、そのまますごい勢いで食べ終えた。


 続いて作るのは菜摘だ。
「会頭さんとモアさんには感謝してますわ。こちらの料理にもずいぶん慣れたといっても、やはり故郷の料理が恋しくなる事もありますから」
「いいや、感謝しているのはこっちだぜ?」
「ええ、和食レストランも上手く行っているんですよ?」
 二人はそう返す。菜摘と葵は以前、バロテッリ商会が開こうとしていた和食レストランのために和食を教えるという依頼に参加していた。その際出されたメニューは早速提供されるようになり、なかなかの好評を博している。
 菜摘の挨拶に二人の嬉しい答えが帰ってきた。菜摘はにっこりと微笑み、
「それでは……腕を振るわせて頂きますね」
 と、調理を開始した。
 大根、人参、牛蒡、各種根菜に里芋と茸類を小さく賽の目状に切り終えると、鰹出汁を張った鍋に加えて煮る。
 さらに鶏肉を加え、醤油で味を決める。数分経ったところで四角い餅をそのまま入れ、柔らかくなったら出来上がりだ。
「これが東の物なのですが。色が全然違いますね」
 とモアが鶲の物と比べて、表情こそ見せないものの驚く。
「こういうの食べて見たかったんだよなー! いろいろ入っているのがあるって聞いてたんだよ」
 と葵が笑顔で食べている。
「菜摘君のは具材がいろいろ入ってるね。美味しいね」
 何処が美味しさのポイントなのかを値踏みするように、じっくり食べているのはエリオット・ウェスト(ka3219)。
「ああ、具沢山のものは体が温まる感じだ」
「寒い冬には暖かい食べ物がいいですよね」
 その横では、ステラと菜摘が会話をかわしていた。


 続いて作るのはロジー。今回初めてクリムゾンウェスト側の人間が作る雑煮だ。自然と気合が入っているようだ。
「1年の幕開けですもの。辛いモノを食べて気合いを入れなければいけませんわ……っ!」
 出してきたスープはトウガラシなのか何なのか、真っ赤に染まった見るからに辛そうだ。
 さらにロジーはそこに、各種香草類をドボドボと投入。体にいいと珍重されている品物だから新年の料理としては良さそうだが、すごい匂いが漂い始めた。
 そこに餅を投入。ロジーはなぜか餅をネギでぐるぐる巻きにして、鍋に放り込む。
 ともあれ、しばらく煮込めばロジーの雑煮も完成だ。
「早速召し上がれ」
「自分では食べねぇのか?」
「だって、皆さんの為に作ったんですもの」
 と、ニコニコ微笑んでいるロジー。出された器をのぞき込むと、赤いスープの中に香草とネギのどす黒くなった緑色が浮かんでいる。一言で言うなら地獄絵図だ。
 だが、食べてみないと分からない。全員恐る恐る口に運ぶ。各人の口の中に一斉に入った次の瞬間……

「辛い辛い!!」
「辛すぎるよコレ~!」

 と、同時多発的に悲鳴が上がる。そんな中、モアは一人、
「確かに辛いですけど、中々美味しいですよ」
 と、平然とした顔で食べていた。
「そういやモアが辛いものにメチャクチャ強いって事を思い出したぜ……」
 バロテッリが絞りだすようにそう漏らした。


 何とか復活したところで、次に作るのはまりおだ。
「私と同じで味噌仕立てなんですよね?」
「うん、それにちょいアレンジを加えたお雑煮を作るよ」
 鶲の質問に、そう返す。
 里芋、人参、大根が綺麗に切られていた。ちゃんと面取りも行われている。彼女も中々の料理上手なのだ。
 次に切った野菜を下茹でしつつ、もう一つの鍋では昆布出汁が作られる。
「お雑煮って何を入れてもOKだからイロイロあって美味しくて楽しいよねー」
 野菜の茹で加減を確認しつつ、楽しそうに喋るまりお。
「ボク、お雑煮大好き♪」
 彼女もご機嫌で料理を続けた。
 その頃野菜を茹で終わり、出汁の出来た鍋に野菜を加えひと煮立ち、さらに白味噌を加える。
「ここまでは私のとほとんど一緒ですね」
「で、ここでアレンジ。味をレベルアップさせる裏技だよ!」
 ここで小さじ一杯の牛乳を加えるまりお。周囲から驚きの声が上がる。
「実は意外なほど味噌と牛乳って相性バツグンなんだよねー」
 と、餅を加えながら説明する。
 少し煮たところで器に盛り、最後に花かつおを乗せて出来上がりだ。
 早速試食する参加者達。想像できない味におっかなびっくり口に入れるが、実際食べてみるとまろやかでコクのある旨味が広がっていく。
「言うだけのことあって確かに美味ぇな」
 これは、バロテッリの感想。
「こういうのも美味しいですね。参考になります」
 菜摘は作り方を思い出し、メモを取っていた。
「ふむ、シンプルなものだが、これは美味しいな!」
 ステラも美味しそうに雑煮を食べた。


 次に作るミネットが何かを引きずって入ってきた。
 よく見ると、それは実に巨大なイノシシ。
「このお餅って言うのを入れたことは無いんですけど、合うとは思いますよ」
「ということは……」
「あらかじめ狩っておきました!」
 どこか自慢気なミネット。
 心配気な視線が集まる中、ミネットの調理開始だ。
 まずは煮干と昆布で出汁を取り始める。煮干の頭と内臓を取り、昆布は沸騰寸前で取り出し、とちゃんと調理している。
 さらに鰹節を加え、トリプルスープの出来上がりだ。
 そしてにんにく、玉葱、白葱に人参……と大量の野菜を鍋に放り込み、コトコト時間をかけて煮込んでいく。
 さらにイノシシ肉を加え、塩胡椒で味を整える。
 最後に焼いた餅を加え、葱を散らせば完成だ。
「野生☆の味です! どうぞ召し上がってください!」
 と満面の笑みで提供するミネット。しかし他の人達は若干引き気味だ。なにせ全くもっての野生料理なのだ。
「ちょっ! なんで若干引いてるんですか!? ホントに美味しいですよ!」
 と強くアピールするミネットに、恐る恐る口をつける。
「この味は……」
「確かにそうですね」
 菜摘と鶲の意見が一致したらしく、同時に頷く。
「二人共そう思ったか? 多分俺も同じだぜ」
「うんうん、これって……」
 葵とまりおも意見が一致。そして四人が声を揃える。
「「ラーメンの味だよね」」
 長い間煮込んだ野菜とイノシシ肉から出た動物系の出汁が、ラーメンのスープなような味わいをもたらした。この雑煮は意外と評判が良かった。
「ラーメン……それは興味あります。後で教えてください」
 雑煮を食べつつも、見聞を広めることを忘れないモアだった。


「見て作り方はわかるんですけど……実際に作ったことはないので味は保障できないかもです」
 予防線を張りつつ、志乃原が出てきた。
「それで……ミネットさん、猪肉をもらえますか?」
「いいですよ!」
 ミネットは喜ぶが、他の者は目を丸くした。
「猪肉が入るんですか?」
「ええ、九州方面の雑煮には入るものもあります」
 そんなわけで早速調理が開始される。ミネットと同じく煮干で出汁を取り、醤油で味付けをする。
「醤油、ってあるんですね、こっち」
「ええ、ジェオルジで作られていますね」
「でも、ボクの求めてる醤油はなさそうで」
「甘い醤油、ですよね。すみません、リゼリオでも探したのですが見つかりませんでした」
 モアとそんなやりとりがあり、モアが更に話を続ける。
「一口に醤油、味噌と言っても色々なバリエーションがあるのですね。味噌もジェオルジで作られているのですが」
「京風味噌、だよね」
 まりおが口を挟む。
「はい、それはやはりリゼリオで無いと見つかりませんでした」
 そんな会話の間に鍋に入れた猪肉が煮え始める。志乃原はさらに茸、もやし、さらに白いものを入れる。
「ありゃ何だ?」
「かまぼこ、ですね。魚をすり潰して蒸した物です」
「へぇ……ソーセージに近いんかね」
 バロテッリとモアの会話の間に丸餅が入って完成だ。早速試食に入る。
「お、コイツはイケるぜ」
 葵は驚きながら食べている。
「勇雅君のは猪肉が入ってるんだね。これも美味しいね」
「ええ、美味しいですね」
 エリオットとロジーが美味しく食べていた。


「ふふ……ご近所でも同類項のいなかった雑煮なんだぜ、これ……」
 と、不敵な笑みを浮かべながら葵が調理に取り掛かった。
「そういえば葵さん、彩華やかなお雑煮を楽しみにされてましたね」
「ああ、自分のがシンプルなだけにな」
 菜摘と会話しつつ、準備が整っていく。鍋には鰹出汁に醤油が入り、用意された具材は豆腐と大根だけ。
 大根を短冊切りにし、豆腐を三角に切ると準備は完了だ。
「……この三角が、俺的に全力で謎なんだよなぁ。地元にいたときに調べてみたものの、近所にも見つからなかったんだ」
「雑煮ってのは地域だけじゃなく、一軒一軒違うものなのか?!」
「家庭ごとにミネストローネの味は違うのと同じでは? 雑煮も“母の味”ということでは無いでしょうか」
 葵の言葉に驚いたバロテッリに、モアがそう返す。
「おふくろの味って奴だな」
 葵も我が意を得たりと言わんばかりの表情だ。
 そして最後に丸餅を加えて完成だ。薄茶色の汁に白いものが浮かぶ、なんだか白い雑煮である。
「シンプルで美味しいですね……この感じだと私もワニさんのお肉使った方がよかったかな」
 ぼそりとすごいことをミネットが呟く中、
「おいしいですよ、これ。汁の味の深さがボクのとは段違いだ……」
 と落ち込む志乃原。
「でもこっちも美味しいし、さっきのも美味しかったよ」
 そんな志乃原をまりおが慰める。
「どれも美味しいからみんなお雑煮って事でいいんじゃないかなー?」
 彼女は綺麗に纏めるのであった。


「私もせっかく呼ばれたのだし、自分が考える雑煮とやらに挑戦してみるかな」
 ここでステラが出てきた。
「さて……雑煮というだけあって色々な具が一杯入っている」
 ステラは今まで食べた他の雑煮を思い出しそう語る。
「とすれば、お正月だし旬な物を使った豪華な方がいいか。今が旬といえば魚や海鮮が思い浮かぶな」
「自由都市同盟には、ポルトワールがありますしね」
 モアが頷く。
「そんな訳で魚や貝をたくさん使ったブイヤベースを作るぞ」
 ステラは調理を開始した。
 帆立やあさり、海老に鯛、色とりどりの海の幸がニンニクとオリーブオイルで炒められる。
 立ち上る美味しそうな香り。そこに水と香草を加え、あさりの口が開くまで煮込んでいく。
 最後に瓶詰めトマトを加え、横に焼いた餅を沿えると完成だ。
「さぁ、召し上がれ。餅はお好みでどうぞ」
 各人の前に並べられた器からは食欲をそそる匂いが漂ってくる。
「スープベースで洋風といった味付けでしょうか」
 鶲がそんな風に感想を述べながら一口食べた途端、その顔は笑顔になり、
「素敵ですね……」
 と呟いている。
「……この発想はなかったです。こちらの人に変に誤解されないのならば、これはこれでアリなのかもしれませんね」
 そう感心しながら、菜摘も食べている。
「パンを添えたり、リゾットにしたりすればお餅ばっかりはちょっとという方にも対応できるだろう?」
「そうですね、それに同盟ならではの雑煮になっているのが素晴らしいです」
 モアは商人目線で答える。
「こいつは間違いなく行けるな」
 バロテッリもまた太鼓判を押した。
 クリムゾンウェストの雑煮にふさわしいステラの一品は大変な好評を博した。


「料理をしたことはないけど、僕には知識がある」
 何故か自信満々にエリオットが立った。
 まず昆布のぬめりを取り、貝も一度に出して濾してからもう一度鍋に戻して煮始める。
「昆布からのグルタミン酸、貝からのコハク酸……」
 と内容を説明しつつ、ぐつぐつ煮立てさせるエリオット。
 適当に醤油と塩で味をつけると、さらに鍋に切った白菜と大根、その上に丸餅も投入して
「白菜の甘み、大根の消化を助ける酵素、お餅の炭水化物、きっと体にもいいし、美味しいはずだよ」
 と、ドヤ顔で言い放つ。
 そして自信たっぷりに鍋の蓋を開けたら……

「Oh、No! どろどろになってる、なんで?」
 何とも言えない空気が周囲を覆う。
「えーとえーと……お米の感じのないリゾット完成!」
「雑煮です」
 エリオットの言い訳に容赦なくツッコむモア。
 しかし見た目は悪いが味は美味しいかもしれない、ということでとりあえず試食が行われる。
 だが、試食の後も辺りは微妙な雰囲気が漂っていた。
 せっかくの昆布と貝の旨味も、全部野菜が吸ってくどくなってしまっている。それに肝心の餅は溶けてしまって歯ごたえも無い状況だ。
「みんなのは美味しかったよね。僕のは煮過ぎたよ……」
 目に涙を浮かべているエリオットがそこにいた。


 最後は狭綾だ。
 まず小豆を洗って水に浸し、水分を吸わせる。
 十分に吸ったら一度茹でて、ざるに上げて水洗い、再度水を加え火加減を調整しながら煮る。さらに砂糖と隠し味として少量の塩を加え、好みの状態になるまで煮ていく。
 こうやって出来た小豆汁に焼いたお餅を加えたら完成だ。

「これがわたしの作るお雑煮よ」

「え、おしるこ……」
「お雑煮よね?」
 他方面からのツッコミを、威嚇するように見て受け付けない狭綾。ともあれ試食が始まる。
「え、甘いこれも雑煮なのか。本当に雑煮というのは色々あるんだな!」
「そうですね。最後にデザートが出てくるとは思いませんでした」
 ステラとモアは甘いものが出てきたことに喜んでいる。
「案外お正月料理はしょっぱいものが多いので、甘いものはほっとします」
 鶲もご機嫌だ。
「……確かにこれも正統派に入れても良いのかもしれませんね。お正月の風習の鏡割りのあとでお餅をぜんざい」
「お雑煮よ」
 と、菜摘の説明は狭綾がカットする。
 ミネットに至っては感動していた。
「こ、これは……甘くて美味しいです! おかわりいいですか……?」
 そんな彼女におかわりをよそいながら、
「……いい? わたしがちまちまとしか食べなかったのには、重大な理由があるの」
 と全員に向かって告げる狭綾。確かに彼女は試食の際、少しづつしか食べていなかった。

「お餅は太るのよ」

 力強く断言する狭綾。

「お餅は美味しい。でも太るから……わたしみたいに体重を気にする女の子はたくさん食べられないの。だからこそ……食べる分はわたしの好きに食べたいじゃない!?」
 彼女の主張に女性陣はドキリとしたとかしないとか。しかし甘いものは別腹というのはどこでも共通の感覚。その心安らぐ甘さに勝てず、ついつい箸が進むハンター達であった。


 ハンター達が狭綾のお汁粉……ではなく雑煮をワイワイと食べている頃、部屋の片隅ではエリオットが自分の鍋を抱えていた。
「まずいよう、まずいよう」
 ボロボロ泣きながら自分の雑煮を処理するエリオット。
「火加減に失敗しただけだと思いますよ? 皆さんの料理の仕方を見たエリオットさんは、次は大丈夫ですよね」
 そう、モアの言葉と共にハンカチが差し出された。

依頼結果

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MVP一覧

  • 温かき姉
    落葉松 鶲ka0588
  • 元祖ブイヤベース雑煮
    ステラ・エイシェントka2492
  • 対触手モニター『谷』
    柏部 狭綾ka2697

重体一覧

参加者一覧

  • もふもふ もふもふ!
    ロジー・ビィ(ka0296
    エルフ|25才|女性|闘狩人
  • 温かき姉
    落葉松 鶲(ka0588
    人間(蒼)|20才|女性|闘狩人

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 冥土へと還す鎮魂歌
    日下 菜摘(ka0881
    人間(蒼)|24才|女性|聖導士
  • 未知に夢抱く少年
    志乃原・勇雅(ka1411
    人間(蒼)|11才|男性|魔術師
  • 新勢力・芋炊の提案者
    葵(ka2143
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 元祖ブイヤベース雑煮
    ステラ・エイシェント(ka2492
    エルフ|25才|女性|聖導士
  • 対触手モニター『谷』
    柏部 狭綾(ka2697
    人間(蒼)|17才|女性|猟撃士
  • 可愛い坊や♪
    エリオット・ウェスト(ka3219
    人間(蒼)|13才|男性|機導師
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談する場所
志乃原・勇雅(ka1411
人間(リアルブルー)|11才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/01/15 23:26:32
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/15 07:01:58