• 血断

【血断】誤算~基地防衛任務~

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2019/03/07 22:00
完成日
2019/03/11 06:16

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ――食いついた。
 まずは、上々。

 されど、彼の者達はこの事態を対処できるのか。
 成長なくば、夢も希望も贄となるのみ。


 先行した新兵のデュミナスを追って出撃したハンター達。
 既にジャミング機能で彼らとは連絡を取れないラズモネ・シャングリラであったが、艦長の森山恭子(kz0216)には遠くから彼らを見つめる他なかった。
「連絡が取れないのがこれ程心配になるとは思わなかったザマス……」
「艦長。中尉より本艦の防衛強化を打診されております。敵戦力が不明な事から万一に備えるようにとの事です」
 不安なのは出撃しているジェイミー・ドリスキル(kz0231)も変わらない。
 未だ不明な要素が多いエンジェルダストが相手ならば、可能な限り守りを固めておいて損はないはずだ。
「分かったザマス。山岳猟団の皆さんにもお願いするザマス。八重樫さ……」
 恭子は振り返る途中で言葉を止めた。
 八重樫は未だ重傷を負って医務室に眠っている。先の戦闘でエンジェルダストによってR7エクスシアは大破。八重樫は生存しているものの、大きな傷を負う形となった。
 山岳猟団の面々が助けてくれているが、恭子にとっては函館以前から付き合いのあった八重樫が不在である事実が不安を増幅させる。
「駄目ザマス。こんな時こそしっかりしないと」
「艦長。山岳猟団の皆さんに救援を要請しました。パシュパティ砦からも増援を派遣してくれるそうです」
「そうザマスか。それは良かった……」
 少々の安堵。
 しかし、その安堵は本当に、本当に束の間であった――。
「…………!」
 突如、空気が振動する。
 そのまま耳に飛び込んでくるのは爆発音。
 恭子は前面のモニターへ視線を送る。だが、爆発音が聞こえたのはまったく別の方向からだった。
「何ザマス!?」
「艦長、敵襲です。方角は……6時方向」
「後方!? 一体、何者ザマス!」
 慌てる恭子。
 無理もない。前方では今、エンジェルダストと歪虚CAMが襲撃している最中、ラズモネ・シャングリラが別方向からも襲撃を受けているのだから。
 限られた戦力の中で現れた新手の敵。事態を混乱させるには十分過ぎた。
「え、えーと。まずは落ち着くザマス。ふぅ……。
 で、敵の情報は?」
「山岳猟団の団員からの情報では、犬程度の大きさで背中に爆弾を抱えた雑魔がホープ周辺に多数出現しました」
 ブリッジに入った情報によれば、中型犬サイズで背中に爆弾を乗せた二本のタイヤで走る雑魔。人が走る程度のスピードで目標まで近づいてから自爆するようにセットされているようだ。雑魔はショックを与えるか攻撃しても爆発する為、目標に近付けない事が重要のようだ。
「先程の爆発は、資材を保管していたコンテナが敵の手により爆破された模様です」
「とにかく、早急にこの雑魔を退治するザマス」
「艦長!」
 別のオペレーターからの呼び掛け。
 次々と発生する事態に恭子は悲鳴のように答える。
 だが、その連絡は敵襲とはまた別の問題を知らせるものであった。
「八重樫さんが……医務室から消えました!」


 息が辛い。
 歩くのも厳しい。
 これ程手酷くやられるのは、いつ振りか。
 本当であれば医務室で傷の治療に専念するべきなのだろう。
 だが、事態はそれを許してくれそうにない。
「バアさんの船を、やらせるかよ」
 壁にもたれながら、八重樫は艦の外を目指す。
 既にドリスキルは南の敵で手一杯だ。この船のクルーも、山岳猟団の団員も突然の奇襲に浮き足立っている。
 誰かが――。
 誰かが動かなければ、このまま全滅もあり得る。
 そう、この場を誰かが収めなければならない。
「歪虚なんかにやらせるかよ……。そうだろう、シバ。
 もうすぐお前が望んだ国が、辺境に生まれるんだ。それまでは……歪虚に好き勝手にさせる訳には……」
 何故、この時シバの名前を思い出したのか。
 それは、八重樫にも分からない。

 ただ、為すべき事は分かっている。
 このラズモネ・シャングリラを守る為に――。
 そして、穢さんとする者から辺境を守る為に――。

リプレイ本文

「新たなお客様の到着ってか? ったく、笑えねぇな」
 アニス・テスタロッサ(ka0141)は、ラズモネ・シャングリラ近くに配置されていたコンテナ群へ向かいながら呟いた。
 南から襲来した敵のCAM部隊迎撃に動いていたラズモネ・シャングリラとハンター達。
 だが、敵の狙いはそれだけではなかった。
 南からの襲撃を陽動としていたのか、北から別の部隊が襲撃を仕掛けてきたのだ。
「敵は爆弾型の雑魔らしい。目標に近づいて自爆するタイプ。集団で来られると厄介だ」
 魔導パイロットインカムから近衛 惣助(ka0510)の声が聞こえてくる。
 惣助によれば確認されている敵は背中に爆弾を搭載した雑魔だ。自走して目標に近づいた後に自爆する上、攻撃を加えても爆発する相手らしい。
「へっ、季節外れの花火大会かよ。浪漫もへったくれもねぇな」
 コンテナ区画へ向かう途中でアニスは魔導銃「アクケルテ」を手早くチェック。
 マガジンに装弾された弾丸は異常なし。手筈通りに動けば苦戦はないはずだ。
 だが、懸念点もある。
「で、あのいい歳こいて余計な手間を増やしてくれたおっさんは?」
「捜索を開始していますが、まだ発見できていません。配下の将兵が、心置きなく己が役目に徹し得る為の要が、傷を押して死地に向かうとは……」
 今度はツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)の声がパイロットインカムから流れてくる。
 懸念点とは先の戦いで重傷を負った八重樫 敦(kz0056)が医務室から消えたという話だ。ラズモネ・シャングリラ艦長の森山恭子(kz0216)によれば、傷は想像以上に重く絶対安静は必須。歩くだけでも相当な痛みがあるらしい。
 既に捜索を開始しているようだが、今の所見つかってはいないようだ。
「頼むぜ。話によればそれ程早くは動けねぇ。おっさんが雑魔と一緒に大爆発なんて勘弁してくれよ」
 アニスは笑えない冗談を口にしながらコンテナ区画へと急ぐ。
 少ない戦力で何処までホープを守れるか。
 それは、すべて現場のハンターにかかっている。


「これ以上、被害を出す前に雑魔を片付けるぞ」
 帝国軍用魔導トライクでタイヤを滑らせながら目標地点へ到達した惣助。
 素早くトライクを台座にしてスナイパーライフル「カルワリオ10」を構える。クラッカーと呼ばれる敵は中型犬程度の大きさで足はタイヤで小回りが効く。だが、幸いにもクラッカーが襲来している方向は資材コンテナからみて西側のみ。
 言い換えれば、一つの方向からのみ現れる為、迎撃は難しくない。
「敵の目標は陽動による戦力の分散か? だとしたら失敗だな。ここには俺達がいる」
 惣助はクラッカーを照準に収める。
 クラッカーの数は多数。だが、一方向から来るが故にクラッカーは団体で現れる。
 一体の爆発に巻き込む事ができれば――。
「右側の奴から始末する」
 カルワリオ10の引き金にかけた指に力を込める。
 撃ち出された弾丸は狙ったクラッカーを貫通。さらに惣助は弾丸をマテリアルを操作して付近にいたクラッカーを次々と貫いていく。
 貫かれたクラッカー達は次々と爆発。そして、その衝撃を受けたクラッカー達が誘爆していく。
「集団を攻撃する時は爆発が大きくなる。各員、気を付けてくれ」
「わぅぅっ。近寄らせなければそれでいいです!」
 アルマ・A・エインズワース(ka4901)は資材コンテナへと向かうクラッカーに向かってデルタレイ。
 伸びた光がクラッカーを攻撃して爆発。周辺の空気は揺れるものの、資材コンテナに異常は見られない。アルマは集団のクラッカーに対して紺碧の流星で次々とクラッカーを爆破していたが、敵の数は多く完全には仕留めきれない。
 資材近くへ接近したクラッカーをアルマはデルタレイで片付けていた。
「爆弾さん、数がいっぱいですー」
 一体を片付けても新たな方向から別の一体が襲来する。
 苦戦するレベルではないが、常に緊張し続ける状況だ。長く戦い続けるには少々骨が折れるかもしれない。
「わふぅ、とにかく頑張るですぅ」
 再び姿を見せる集団のクラッカーに対してアイシクルコフィンで誘爆させていく。


「申し訳ありません。私は八重樫様を探しながら迎撃を行います」
 フィロ(ka6966)はツィスカと共に八重樫捜索を開始していた。
 ツィスカやアニスから見れば無茶をする八重樫に説教の一つでもしてやりたい。だが、この依頼に参加したハンター達は無茶をする八重樫の気持ちを理解している。仮に自分が同じような立場だったら――。
「人と世界を守りたくてハンターになったのに、自死覚悟で戦場に出る人間を放っておけません。身を挺してでもお守りしなくては……。
 ツィスカ様、八重樫様は発見できましたか?」
「まだ発見できません。かなりの手傷を負っていれば、機動性を生かした戦いはできないはずです。おそらく一箇所に陣取っての戦いをお考えではないでしょうか」
 ツィスカは試験型飛行鎧「ヒミンヴァガル」でコンテナやプレハブの屋根へ着地しながら八重樫の姿を探していた。
 八重樫の傷を考えれば、機動力を生かして襲来するクラッカーを撃破し続けるとは考えにくい。何処か高所に陣取ってクラッカーの迎撃に動くのが合理的だ。そう考えたツィスカは飛行しながら八重樫の姿を捜索していた。
 それに対してフィロは地上での捜索に重点を置いていた。
「参りましょう。急いで八重樫様を発見しなければなりません」
 フィロの傍らでグレイハウンドが一声吠える。
 フィロはグレイハウンドに八重樫の匂いを嗅がせ、追跡する方法を取っていた。クラッカーが現れればグレイハウンドは追跡を止めてしまうが、それはフィロがクラッカーを排除すればいい。
「さっきの匂いがこの先どこに行ったか分かりますか? 分かったら案内して下さい」
 グレイハウンドは走り出す。
 今はこの猟犬の鼻を信じるしかない。
 あの困った団長を早々に保護しなければ――。


「……ったく。キリがねぇな」
 アニスはコンテナの上へ陣取って新式魔導銃「応報せよアルコル」でクラッカーを迎撃していた。
 惣助同様クラッカーを誘爆させる事で多数の敵を始末していた。クラッカー同士が近ければその衝撃破で隣のクラッカーの爆破できる。その習性を活かして多くのクラッカーを片付けているものの、未だクラッカーの襲来が止む気配はない。
「コンテナ区画の引き付けすぎに注意しろ。爆炎で後続の動きが見えなくなるぞ」
 アニスは素早くアクケルテへ持ち替えて近づいたクラッカーを銃撃する。
 数が多い故に、コンテナ区画へ接近される事も多い。
 それでも資材コンテナを防衛する為には何としてもクラッカーを侵入させる訳にはいかない。
「へへっ。さっすが、歪虚ちゃん。わかってらしゃるじゃん」
 この事態でゾファル・G・初火(ka4407)は敢えて前に出る事を選んだ。
 ラズモネ・シャングリラ艦内でぐうたら暇を持て余していた所、この事件に遭遇しゾファル。クラッカーの爆発を聞く度に、心が躍る。八重樫の独断専行を羨ましく思いながらも、ゾファルは爆弾背負って走るクラッカーに向けて動き出す。
「おい。こっちは中距離から敵を誘爆させてるからな。間違っても巻き込まれるなよ」
「分かってるじゃん。ここに近づく奴を中心に倒せば問題ないじゃん」
 アニスの忠告を受けながら魔導ママチャリ「銀嶺」に跨がるゾファル。
 ゾファルが前に出ればクラッカーの動きは変わる。殴ろうものなら誘爆するのは間違いないが、死地を望むゾファルはそんな事を気にしない。
「俺様ちゃんが注意を惹きつけてやるじゃん。おっちゃんの事は任せるじゃん」
 そう言いながら銀嶺を漕いで前に出るゾファル。
 アニスはそれに呼応するように再び応報せよアルコルを手にして残り弾数をチェックする。
「ちっ。相変わらず無茶しやがって」
 近中間距離でゾファルが暴れるなら、遠距離から誘爆を狙った方がいい。
「始めるじゃん。俺様ちゃんを死地を見せてくれじゃん」
 目標地点に到達したゾファルは銀嶺を降りて走り出す。
 暴虎覇極導で手近のクラッカーへ突進。その衝撃でクラッカーは誘爆。
「まだまだっ!」
 駆け抜けようとするクラッカーへ奥技「エアーマンは倒せない」。
 蒼機拳「ドラセナ」から繰り出された一撃が桜吹雪を巻き起こして爆発させていく。
 ――爆発。
 地面にあった小石を吹き飛ばし、ゾファルの体へと命中していく。
 明らかに危険な行為であるが、それでも生きている事にゾファルの体は打ち震える。
「はっはー、こいこい、もっとこい。俺様ちゃんを殺して見せろじゃーん」


「皆様、八重樫殿を発見致しました」
 ツィスカは伝波増幅と連結通話を使って八重樫保護の一報を発した。
 ヒミンヴァガルで上空から探索という狙いは間違っていなかった。捜索が必要な時点でハンター達のように進行方向から迎撃していない事が分かる。そして、クラッカーの特性から倒せば爆発するのであれば、戦闘が発生している場所には爆発音が必ず付き物だ。
 あとは上空からハンターが迎撃している地点やフィロが探索している以外の場所で爆発音がしている地点を捜索すればいい。
 その結果、コンテナにもたれ掛かる八重樫を発見したのである。
「ご無事ですか」
「ああ……」
 痛め止めが切れているのだろう。
 ツィスカの問いかけに力無く答える八重樫。
 ツィスカは安全な場所へ八重樫を移動させるべく抱え上げようとする。
 ――しかし。
「やめてくれ」
「何故です。山岳猟団の皆様にどう申し開きされるのでしょうか」
「俺はやらなければならん。シバの悲願の為にも」
 蛇の戦士シバ(kz0048)。
 かつて山岳猟団に所属した北方の戦闘部族『シバ』の生き残りであり、独自の諜報組織を率いて辺境独立を画策。部族会議を立ち上げ、他の西方諸国に負けない独立国家建設を掲げた。死期を悟り、その悲願をハンターや後進に託して戦いの中で倒れている。
「……」
「俺はあいつに、何もしてやれていない。俺は団員だったあいつの願いを……」
 八重樫は体を引き起こそうとする。
 しかし、動かす度に痛みが走るのだろう。立ち上がるのも苦労している様子だ。
 そこへ同じく八重樫を探索していたフィロがグレイハウンドと共に現れる。
「八重樫様。戻ったら痛い治療をご覚悟下さい」
 フィロは立ち上がろうとする八重樫に肩を貸した。
 これ以上口論しても八重樫は言う事を聞かない。
 だったら、しなければならない事は一つ。
「この戦いを早急に終わらせて、八重樫様を医務室へお戻りいただきます」
 フィロは八重樫を抱え上げ、コンテナの上へと運ぶ。
 そして、コンテナ区画へ迷い込んだクラッカーに向けて攻撃を開始する。
「仕方ありません。皆様、急いで下さい。八重樫殿がご無事なうちに」
 ツィスカはフィロを後方から魔導銃「メートクンデ」で援護。
 少しでも早く戦いを終わらせなければ――。


「わふぅ? ……あ、思い出しましたです! アスガルドの件でご一緒したお兄さんです! お久しぶりですー!」
 戦いの最中、アルマは八重樫の事を忘れていたようだが、流れてくるツィスカの言葉で思い出したようだ。
 本当であれば今から飛んでいってアンチボディの一つでもかけてやりたい。
 だが、殺到するクラッカーの群れはそのような暇を与えてくれない。
「邪魔しないで欲しいですぅ!」
 アルマに向かって詰め寄ってくるクラッカーに対してデルタレイで迎撃。
 威力は左程必要ない。如何に多くのクラッカーへ攻撃を仕掛けられるか。当てさえすれば爆発するのだ。アルマは可能な限りクラッカーを叩き続ける。
「……わぅぅ。休むべき時に戦場へ行って死んじゃったら、二度と誰のお役にも立てないですよ? 僕は、駄目だと思うですー」
 魔導スマートフォンに向かって必死で無垢な瞳を向けてみる。
「分かった」
 小声で返ってきた八重樫の声。
 返事があった事にアルマも更に元気が溢れ出す。
「わふふー! 守りたいって思ってるのは貴方だけじゃないですー。でも、もすこし自分をだいじにするですー。
 じゃあ、僕も頑張っちゃうですー!」
 アルマはシールド「クウランムール」を片手に近寄ってきたクラッカーへファイアスローワー。
 巻き込まれたクラッカーは次々と爆発していく。
 一方、前線ではゾファルが戦い続けていた。
「こんなもんじゃねぇはずじゃん。もっと束になってかかってこいじゃん」
 次々と現れるクラッカーの群れ。
 ゾファルは新たなる増援を前に縦横無尽で迎撃。次々と現れるクラッカーへ攻撃を仕掛けていく。衝撃を受けたクラッカーは周囲で爆発。後方からアニスも支援している事もあり、次々とコンテナ区画へ到達する前にクラッカーは倒される。
 その度に爆風がゾファルの身に及ぶが、一向に気にしない。むしろ、テンションは更に上がっていく。
「もっとじゃん。この程度で終わりじゃ……」
 そう言い掛けたゾファルだが、後方がやけに騒がしい。
 振り返って見れば、そこには山岳猟団の姿があった。どうやら増援が到着。コンテナ区画を守り始めた。
 前に出て戦い始めたゾファルであったが、お望みの死地は遠ざかっていく。
「ちっ、ここまでって感じじゃん」
 ゾファルは役目を終えた事を察すると地面に横倒しとなっていた銀嶺を引き起こした。

「ったく、あのおっさんを医務室に縛り付けとけってぇんだ。怪我人の出る幕なんて無ぇんだからよ」
 アニスは思わず愚痴をもらした。
 山岳猟団の登場でクラッカーは瞬く間に駆逐。コンテナ区画の被害はかなり抑える事ができた。
 だが、あれだけ周囲に心配させた八重樫を前にアニスは文句を言いたくなった。
「それ、本人に言ったのか?」
「いや。医務室のベッドで寝かせたらさっさと寝やがった。暢気なもんだ」
 不機嫌なアニスへ惣助は缶コーヒーを手渡した。
 作戦は成功したが、言いたい事を伝えられないが故に気分はすっきり晴れなかった。
「エンジェルダストも撤退したらしい」
「連中、何を考えてやがる。攻めるというより遊ばれている気がして腹立たしい」
 アニスは惣助からもらった缶コーヒーを開けて飲み始める。
 攻撃するにしては中途半端な作戦な事が気になっていた。もしラズモネ・シャングリラを狙うならもっと攻勢を掛けるべきだ。向こうにもマスティマがあるのだ。クラッカーで『嫌がらせ』をする必要は無い。
 まるで試練を与えられている印象だ。
 上から目線のやり方にもアニスを苛立たせる一因だ。
「やはりそう思うか。敵の狙いが分かれば良いんだがな」
 惣助は一仕事を終えてコーヒーを飲み始める。
 ブラックの苦さが戦いを終えた後の体に染み渡っていく。

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MVP一覧

  • 赤黒の雷鳴
    アニス・テスタロッサka0141
  • アウレールの太陽
    ツィスカ・V・A=ブラオラントka5835

重体一覧

参加者一覧

  • 赤黒の雷鳴
    アニス・テスタロッサ(ka0141
    人間(蒼)|18才|女性|猟撃士
  • 双璧の盾
    近衛 惣助(ka0510
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • アウレールの太陽
    ツィスカ・V・A=ブラオラント(ka5835
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
アニス・テスタロッサ(ka0141
人間(リアルブルー)|18才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2019/03/04 00:58:48
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/03/03 02:09:34