ゲスト
(ka0000)
【王戦】魔術師の弟子、兄を迎えに行く
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/03/12 12:00
- 完成日
- 2019/03/19 04:03
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●小さな町
グラズヘイム王国、中央寄りの北東寄りの中途半端な位置にある地域。
ルゥルは家の窓を開けて王都の方を見た。
王都の方を見たところで見えるのは家である。この町は小さいながらも城壁を持っている。その城壁があっても今回噂に聞いていることは防げないだろう。
「怖いのです。で、でも、ルゥルはフレオとポルムを守る義務があるのです」
フェレットのフレオとパルムのポルムを抱きしめて言う。
「みぎゃああああああああああああああ」
とりあえず、気合を入れた。
「どうしたのです! ルゥルちゃん」
隣のエクラ教会からマーク司祭が血相を変えて出てきた。
「……みぎゃ……」
ルゥルは思わず笑った。
「何でもないのです。気合を入れただけなのです」
「駄目ですよ、窓から大声を出したら!」
「はいなのです? みぎゃ、母上ぇえええ」
ルゥルは窓から身を乗り出して手をぶんぶん振る。
母親のアンジェとこの家の持ち主の魔術師のマーナがやってくる。
ルゥルは窓から離れると玄関に走った。ドアを開けて母親に抱きつく。
「ルゥル、久しぶりね」
「母上えええ」
ルゥルは思いっきりしがみついた。
「留守番ごご苦労じゃ。それより、マークも少し話をしよう」
マーナが家に上がるように示した。その表情は硬かった。
ルゥルはマーナのこのような表情を見るのは初めてであった。近くに歪虚が出ても、ルゥルが魔法で研究所の壁を壊してもこんな顔はしたことがなかった。
よほどのことがあったのだと理解し、母親により一層しがみついた。
●ハウエル商店
王都に店を構えるルゥルの父親であるキュール・ハウエルは従業員や近所の人々の対応に追われていた。息子のケントも手伝ってくれていた。
王都が危ないから逃げろ、と言われても簡単に行くものではなかった。
王都にいる人間だけでもそれ相当の数がいる。自分で歩いて、馬を駆って逃げられる人、伝がある人はいい。しかし、人にはそれぞれ事情がある。
その説得や今後の商いの対応に追われキュールとケントは逃げていなかった。
「お前はもういい、逃げなさい」
「いいよ……転移門で逃げたら、結局倒れるんだし……それなら、ぎりぎりまで手伝うよ」
キュールはうなずいた。
転移門は非覚醒者は使うことが本来は許されない。マテリアルの消費が激しすぎて、使ったところで寝付くのがおちだからだ。例外があり、絆があるハンターともに使うにはある程度、安全は確保される。
避難するのをためらう人はその部分を恐れているのもある。疲労するだけでなく死に至ることもあるのではないか、と。
だから、王都は守られるだろうと楽観視する。
楽観視しないと、傲慢王は怖いし、転移門も怖い。かと言って、門を使って逃げたところでどこで何があるかわからない、安全の保障が見えない。
ケントは逃げることを渋る人の気持ちは解かるし、一方で逃げる選択肢はなくしたくなかった。
「ハウエルのお兄ちゃん、ぼくのアレキサンダー知らない!?」
近所の子どもがケントに話しかける。
「え? 見てないぞ? あのトカゲだろう?」
ケントは両手で大きさを示すと、子どもはうなずいた。
「早く行くわよ! ケントさん、気にしなくていいわ。いい、アレキサンダーはしっかりしているから、隠れているわ」
そこに子どもの母親がやってくる。逃げる為の荷物を持っている。
「でも、アレキサンダーは自分でご飯取れないんだよ!」
「……いいえ、おなかがすいたら食べるわよ」
母親は苦しい言い訳をする。
「いやだ! アレキサンダーも一緒に逃げるんだー」
「待ちなさい!」
子どもはハンターオフィスとは逆の方向に逃げ出したのだった。
「ハウエルさん! うちの爺さんを運ぶ手伝い、いないか?」
キュールは声をかけられ、何軒か先の家に向かった。
ケントはどちらにもついて行かなかった。自分ができることは限られている。
「もしもがあれば、適当に逃げる……ってさ、父さんと約束あっても……さすがに不安だ……」
ケントはそれなりに経験は詰んできたと思う。 しかし、あくまで一般人で商人だ。戦いは話が別だった。
不安げに空を見上げた。誰かにいてほしかった。街は音も声もするが、どこか静かだった。
「ルゥルはどうしているんだろうな……」
腹違いの妹がハンターであることで不安もある。隠れていればいいのに、歪虚と戦おうとしていないかということだった。
●オフィス
転移門で逃げる、という選択肢に躊躇を覚えない人はいないだろう。
騎士や教会が守ってくれるだろうから安心できると残る者もいるのかもしれない。そうなったら、転移門を使うことである危険を冒す必要もないと考えるだろう。
傲慢王の話を聞き、実はどこにいても危険だと不安も覚えなくはない。むしろ――。
転移門のあるオフィスは不安と希望が入り乱れた空気に包まれている。
「おばあちゃん、行こう」
「こ、ここに隠れていれば安全に違いない!」
「でも!」
杖を付く老婆は孫の説得に心は揺れる。孫娘と逃げたい気持ちもあるし、使ったことのない装置を使うことは怖い。それならば、住み慣れた王都が安全だと信じ、残るのでもいいと彼女は考える。
「お前だけ逃げればいい!」
「おばあちゃん!」
孫娘は悲鳴を上げる。一人で逃げる、それができれば苦労はない。
「うちの子はどこかしら!?」
「ママー、どこー」
途中ではぐれたらしい母と子の声が上がる。外からか、中からかわからない。その声の主が本当の親子か、別の親子なのか……。
転移門で王都にやってきたルゥルはアンジェにしがみつく。視線が期待に満ちたものに感じたからだった。
「行くわよ、ルゥル。あの二人はまだ商店にいるから」
「はいなのです」
ルゥルはおっかなびっくりオフィスを後にした。
グラズヘイム王国、中央寄りの北東寄りの中途半端な位置にある地域。
ルゥルは家の窓を開けて王都の方を見た。
王都の方を見たところで見えるのは家である。この町は小さいながらも城壁を持っている。その城壁があっても今回噂に聞いていることは防げないだろう。
「怖いのです。で、でも、ルゥルはフレオとポルムを守る義務があるのです」
フェレットのフレオとパルムのポルムを抱きしめて言う。
「みぎゃああああああああああああああ」
とりあえず、気合を入れた。
「どうしたのです! ルゥルちゃん」
隣のエクラ教会からマーク司祭が血相を変えて出てきた。
「……みぎゃ……」
ルゥルは思わず笑った。
「何でもないのです。気合を入れただけなのです」
「駄目ですよ、窓から大声を出したら!」
「はいなのです? みぎゃ、母上ぇえええ」
ルゥルは窓から身を乗り出して手をぶんぶん振る。
母親のアンジェとこの家の持ち主の魔術師のマーナがやってくる。
ルゥルは窓から離れると玄関に走った。ドアを開けて母親に抱きつく。
「ルゥル、久しぶりね」
「母上えええ」
ルゥルは思いっきりしがみついた。
「留守番ごご苦労じゃ。それより、マークも少し話をしよう」
マーナが家に上がるように示した。その表情は硬かった。
ルゥルはマーナのこのような表情を見るのは初めてであった。近くに歪虚が出ても、ルゥルが魔法で研究所の壁を壊してもこんな顔はしたことがなかった。
よほどのことがあったのだと理解し、母親により一層しがみついた。
●ハウエル商店
王都に店を構えるルゥルの父親であるキュール・ハウエルは従業員や近所の人々の対応に追われていた。息子のケントも手伝ってくれていた。
王都が危ないから逃げろ、と言われても簡単に行くものではなかった。
王都にいる人間だけでもそれ相当の数がいる。自分で歩いて、馬を駆って逃げられる人、伝がある人はいい。しかし、人にはそれぞれ事情がある。
その説得や今後の商いの対応に追われキュールとケントは逃げていなかった。
「お前はもういい、逃げなさい」
「いいよ……転移門で逃げたら、結局倒れるんだし……それなら、ぎりぎりまで手伝うよ」
キュールはうなずいた。
転移門は非覚醒者は使うことが本来は許されない。マテリアルの消費が激しすぎて、使ったところで寝付くのがおちだからだ。例外があり、絆があるハンターともに使うにはある程度、安全は確保される。
避難するのをためらう人はその部分を恐れているのもある。疲労するだけでなく死に至ることもあるのではないか、と。
だから、王都は守られるだろうと楽観視する。
楽観視しないと、傲慢王は怖いし、転移門も怖い。かと言って、門を使って逃げたところでどこで何があるかわからない、安全の保障が見えない。
ケントは逃げることを渋る人の気持ちは解かるし、一方で逃げる選択肢はなくしたくなかった。
「ハウエルのお兄ちゃん、ぼくのアレキサンダー知らない!?」
近所の子どもがケントに話しかける。
「え? 見てないぞ? あのトカゲだろう?」
ケントは両手で大きさを示すと、子どもはうなずいた。
「早く行くわよ! ケントさん、気にしなくていいわ。いい、アレキサンダーはしっかりしているから、隠れているわ」
そこに子どもの母親がやってくる。逃げる為の荷物を持っている。
「でも、アレキサンダーは自分でご飯取れないんだよ!」
「……いいえ、おなかがすいたら食べるわよ」
母親は苦しい言い訳をする。
「いやだ! アレキサンダーも一緒に逃げるんだー」
「待ちなさい!」
子どもはハンターオフィスとは逆の方向に逃げ出したのだった。
「ハウエルさん! うちの爺さんを運ぶ手伝い、いないか?」
キュールは声をかけられ、何軒か先の家に向かった。
ケントはどちらにもついて行かなかった。自分ができることは限られている。
「もしもがあれば、適当に逃げる……ってさ、父さんと約束あっても……さすがに不安だ……」
ケントはそれなりに経験は詰んできたと思う。 しかし、あくまで一般人で商人だ。戦いは話が別だった。
不安げに空を見上げた。誰かにいてほしかった。街は音も声もするが、どこか静かだった。
「ルゥルはどうしているんだろうな……」
腹違いの妹がハンターであることで不安もある。隠れていればいいのに、歪虚と戦おうとしていないかということだった。
●オフィス
転移門で逃げる、という選択肢に躊躇を覚えない人はいないだろう。
騎士や教会が守ってくれるだろうから安心できると残る者もいるのかもしれない。そうなったら、転移門を使うことである危険を冒す必要もないと考えるだろう。
傲慢王の話を聞き、実はどこにいても危険だと不安も覚えなくはない。むしろ――。
転移門のあるオフィスは不安と希望が入り乱れた空気に包まれている。
「おばあちゃん、行こう」
「こ、ここに隠れていれば安全に違いない!」
「でも!」
杖を付く老婆は孫の説得に心は揺れる。孫娘と逃げたい気持ちもあるし、使ったことのない装置を使うことは怖い。それならば、住み慣れた王都が安全だと信じ、残るのでもいいと彼女は考える。
「お前だけ逃げればいい!」
「おばあちゃん!」
孫娘は悲鳴を上げる。一人で逃げる、それができれば苦労はない。
「うちの子はどこかしら!?」
「ママー、どこー」
途中ではぐれたらしい母と子の声が上がる。外からか、中からかわからない。その声の主が本当の親子か、別の親子なのか……。
転移門で王都にやってきたルゥルはアンジェにしがみつく。視線が期待に満ちたものに感じたからだった。
「行くわよ、ルゥル。あの二人はまだ商店にいるから」
「はいなのです」
ルゥルはおっかなびっくりオフィスを後にした。
リプレイ本文
●出かける人
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は騒ぎに目を丸くした。現状を考えると不安がる人がいておかしくはない。
そんな中、オフィス内でルゥル(kz0210)を見つける。
「あ、ルゥルちゃん! もしかして誰かのお迎え?」
「なぜわかったのです!? こんにちはです」
一足飛びに言ったピアレーチェにルゥルが驚きながら、挨拶をした。ピアレーチェは「避難する人が多いから」と説明した。
「父と兄なのです」
「あの人、意外と義侠心あるからまだいるのよね」
ルゥルはやる気のある声、母アンジェはのほほんと答える。
「そっか、気を付けてね」
ピアレーチェはそこに留まる、転移門の周囲にいる人たちを助けるために。
外にも人が多いのにルゥルは驚くが、ハルトフォートの話は聞いているし、王都は近い。ルゥルも傲慢王の話を聞くとどこにいても怖いと思うし、王都は安全か否か考えると不安が募る。
「あら? ルゥルじゃない」
マリィア・バルデス(ka5848)が声をかけた。近くでは子どもの泣き声や子を探す親と思われる声もする。マリィアはそちらに気を取られている。
「マリィアさんはお仕事忙しいのです? 私は母上と一緒なのです」
「あら、気を遣わせちゃったわね。そうね……ここに来たのは手伝いのためだったのよ。ルゥルは迷子にならないように気を付けて。家族の手を放しちゃ駄目よ?」
「はいなのです」
ルゥルは空いている手でぶんぶんと手を振り立ち去る。それを見送りマリィアは表情を引き締め、オフィスの中に入った。
●不安
Gacrux(ka2726)は王都オフィス前の周囲の状況に驚いた。
「……これはいつか見た景色だ……」
ライブラリを通した記憶の世界で、世界滅亡を前に追い詰められた人々を見たことがある。その人々は転移門を前に殺し合いをしていた。その景色が目の前の景色と重なるが、暴動や殺し合いは起こっていない。
ハルトフォート砦の状況を考えると予断は許されないと考えるからこうなるのだろうと想像はできる。
「立ち止まってはいられない。少なくともこの場で俺が動けば、助かる命はあるのだ」
Gacruxはオフィスにいるハンターで、現状をどうにかしようと動く者を見つけると声をかけた。
フィロ(ka6966)は考えた。転移門は非覚醒者でも使えても実用的ではないが、一緒に使う覚醒者との絆により体力の消耗も抑えることができるということがあるということを。
「神霊樹は、何をもって人の絆を判断するのでしょう。絆は目には見えません。神霊樹がコンピュータのように過去の経験を可能性として延々とシミュレートし続けるものであるならば……。それは心を読むというよりも、人の動作から関係性を結果として類推しているモノではないでしょうか」
オフィスにいる人たちを見て、どうすると良いのか彼女は考え、実践してみることにした。考えた通りになるか否かはわからないが、その行為自体は不安に寄り添うものとなるのだった。
レオン(ka5108)は耳に入る会話に不安を語るものが多いと理解した。
「……不安なのは決まっているよね、けど、やらないとね」
転移門に頼らず逃げる選択ができればそれに越したことはない。しかし、そうは言っていられない事情があるならば、不安を受け止め寄り添うのが何よりも必要だと感じた。
リュー・グランフェスト(ka2419)は不安に思う人たちを見て「初めて転移門を使ったとき、か」とつぶやき、思い出そうとした。
不安はなかった。
主な理由は両親ともに覚醒者で、転移門を使っているのを知っているからだ。だから、そのあとに続く自分が躊躇するのはおかしいという思いがあった。
「特殊な例だよな……」
不安そうな空気を漂わせる人たちを見て、リューはすぐに心を決める。その人たちに誠意を尽くし、話をしようと。
まずは職員に転移門のことを改めて説明を受けておくことにした。
●少しずつ
ルゥルは実家の近くで、年が近い子供と出くわした。ペットとはぐれたが、母親はそのままにしておけと言っているというのだ。
「母上、お手伝いするのです」
「家に状況を確認しに行くから、一時間後には一旦戻ってくるのよ」
アンジェはルゥルの背を頼もしく見つめた。
マリィアは子どもの泣き声や慌てた親の声の方に向かう。何件かやり取りをして改めて思うのは、このような時犠牲となりやすいのが幼い子供だということだった。
「どうしたの? ママやパパと逸れちゃったの?」
しゃがんで子どもに話しかける。
「うん」
えぐえぐ言いながら子供は答える。
「きちんと言えたわね。お姉さんが一緒に探すわ。だから、お名前言えるかしら?」
子どもは答える。
「じゃあ、ちょっと高いところからママとパパを探しましょうか」
マリィアは覚醒をして能力を高める。その上で、子どもを肩車する。
「ご家族の方いらっしゃいますか」
大声で呼びかけた。子どもも声をあげる。暫くすると、家族と再会はできた。本当に家族か注意深くマリィアは見届けた。違う人たちに引き渡したら大問題だが、今回は疑うだけ野暮だった。見つけたとき両親の表情が狼狽から安堵に一気に変わり、きょうだいも口々に心配していた旨を告げたから。
お礼と手を振る子たちに手を振り返しマリィアは別れた。
ピアレーチェは人々がごちゃごちゃといることに眉を寄せる。
「これは! 横入りが起こってもわかりづらいし、もめるよね。混乱の原因になるし」
ピアレーチェは避難しようとする人たちを誘導するために、柱やオフィスにある什器を使ってロープを張る。誘導や場所を分ける必要はある。オフィスに用があって入ってきても、混雑がひどいと窓口にも到達できなくなってしまうのだ。それに不安そうな人たちが余計な心配を負うことは減るだろう。
「ロープに沿ってゆっくり進んでね! 転移門を使うなら、落ち着こう。慌てても焦るし、良くないよ。落ち着いてね。まず、深呼吸。喉が渇くなら水もあるから」
拡声器を使って誘導する。騒ぎや注目してほしければスキルを使うことも検討していた。特に大きな騒ぎは起こらなかった。
「人は知らない相手とは身体接触はできません。未知の恐怖を感じる転移で、かばうように手をつなぎ合い手に負担がかからないように共に移動する。その行為自体を神霊樹は絆があると判断するのではないでしょうか」
フィロはこのように推測し、まず声をかけた。
「私はハンターのフィロと申します。あなたのお名前は」
不安そうにしている親子は、フィロに話しかけられ驚くが、フィロの落ち着いた雰囲気にほっとした様子だ。雑談や当たり障りのない会話はできた。その上で、フィロは転移門について説明し、何に不安を抱くのか尋ねる。
「少しでもあなたたちの負担が減るかと思うのです。ここにいても戦禍が迫るだけで、何も解決しません。行く場所があるなら、私にそこまで送らせてもらえませんか?」
一家は驚いた。
「私はここいる人すべての方に安全に転移していただきたいのです。名を交わし、手をつなぎ、思いを持って共に門をくぐるならば、それは絆があるということではないでしょうか」
一家は難しい理論はわからないという。それでも、フィロの誠意や真摯さしっかりと伝わった。一家は名乗り、そこに笑顔があった。
フィロの手を取り、順番に転移することになる。
Gacruxは何をすべきか考える。不安に寄り添うとしてもたくさんの問題があるだろう。国の指針、王都で把握されている避難に関する情報、転移門の安全性についての情報など多岐にわたっていた。
優先順位を検討しているとき、困惑している男が一人、入ってきた。
「どうしたんです?」
「それが……隣の人が逃げる気ないっていうんだ」
「え?」
「そりゃさ、王都は安全かもしれないよ? でも、結構みんな逃げる、逃げたほうがいいという話聞くし……それでも、騎士も兵も、ハンターもいるから大丈夫ってさ」
Gacruxはその男について行った。町の状況を見る為でもある。
男は隣の家の扉をたたく。地下室あるし、どうにかなるといった返答がある。
「駄目です! 傲慢の軍勢は百万。ハルトフォートに押し寄せているのです」
「王都に来るってことはないだろう」
「そうなるように皆努力しています。しかし、有象無象でも百万です。戦えるものが多くとも、取りこぼしがあったり、抜かれる可能性はあります。少しでも安全を得るために、離れることを希望します」
Gacruxは説得する。不安をあおらないように言動を注意するとしても、現実を見ていない人には通じるか難しい。
説得したところで、その人の動きはない。
「ありがと。あんたも忙しいだろうに……あとは俺がするよ……ここまで言って駄目なら」
仕方がない、と男はため息を吐いた。
Gacruxは王都に留まろうとしている人がどれだけいるのか見に行くことにした。王都の状況を見るに良いだろう。時間は有限であるのだ。
レオンは途方に暮れている孫娘とふてくされている老婆に声をかける。
「どうかされましたか?」
孫娘はすがるようにレオンを見て、老婆とのやり取りを告げた。逃げるのにどうするかいてもいいのかと現在の状況を言った。
「そうですね。不安なのはわかります」
孫娘の不安も老婆の不安もレオンは受け止めた。
「戦闘になっても、ぼくらはこの地を守ります。けれど、危険なのも事実です。どこにいても危険ならばせめて見知った場所にいたいのもわかります」
孫娘も不安そうな顔になる。
「でも、避難いただければ、危険は減ります」
敵が王都に迫っているのは事実。どこで戦闘になるかはわからない。
「ここから避難するのは、建物や町が壊れる以上に守らないといけないものを守るためです」
老婆は動揺し、レオンが孫娘をちらりと見たのにつられ、孫を見る。
「お願いします、逃げてください。あなたと、あなたのお孫さんを守るために。ぼくたちだけで守り切れるとはかぎらない。だから、あなたの力も貸してください。家族が、安心して笑い合える未来を取り戻すために」
レオンは真摯に、頭を下げた。
老婆はうなずいた。
「見ず知らずの人にまでこんな言われて! まったく、あたしが悪いみたいだね!」
「おばあちゃん!」
孫娘はおろおろしするが、老婆は穏やかな表情でレオンと孫を見ていた。
「いくよ」
老婆は立ち上がり、移動を始める。
孫娘は安堵の表情でレオンに深々とお辞儀をした。
リューは職員に非覚醒者が転移門を使う問題について尋ねた。疲れた表情を浮かべる職員は手短であるが、的確に答える。体力の消耗以外は特に問題は把握していないという。むろん、体力消耗は様々な影響につながる可能性が高いため、決して楽観はできない。
「使ってほしいとは思っていません。ただ……」
傲慢王の宣言、ハルトフォート砦へ押し寄せた敵の話を聞くと、不安のため逃げるのは当たり前だ。王都がどうなるかなど誰も想像できない。
職員は恐縮して頭を下げて仕事に戻る。リューもきちんと頭を下げ礼を述べた。
知識を得てからリューは人々と話をする。王都を、王国を守りたいと行動するハンターとして、騎士の親を見て育った者として、不安がる人々には誠意を持った対応が必要だと感じるから。
不安を受け止め、質問に返答する。
少しでも、一人でも命を守るために。
王都に戦禍は今はない。今後の保証はないこと。
「俺たちは勝つ。だけど守るためにはそれだけじゃダメなんだ」
近くにいる人たちは不安そうな目をそらす。
「これは戦いだ。剣を抜かない戦いだ。剣を使う戦は俺たちに任せてくれ。必ず、勝つ」
力強い言葉に目を上げる人。
「だから、そのために皆も協力してほしい。下を向かないで、生きるために最善を尽くしてくれ」
説得する。王都から避難するとしてもそれも戦いだと言われ、人々はそれぞれ考えた。
●未知と未来へ
「無事でよかったです」
フィロは手助けした人たちが無事向こう側に行けた為ほっとした。しかし、体力の消耗が激しいのは見てとれた。少なくともその場で崩れるように倒れることはなかった。
絆が結べたのかわからないが、その人たちが不安を抱えず新たな地に到着できたのは確認できた。
フィロはともに行動をとっていたハンターには現状を素直に告げた。
「推測が正しいのかわかりませんでした。でも……無事に渡れました」
レオンはそれを聞き、微笑む。
「町がどうなるかわからないから、無事に離れてもらう必要があったんです。どの程度軽減されたかわからないけれども……不安でいるより、ずっといいと思います」
王都が、王国がどうなるのかは敵の行動と戦う者たち次第でもある。
マリィアは手を振り家族とともに転移門に消える子を、手を振りながら見送る。
新しいと土地に行くとしても、家族といることが一番安心だ。
ハンターたちが手分けして声をかけているため、不安な空気に包まれていたオフィスは穏やかさを取り戻している。
「ルゥルは帰ったのかしら?」
ふと思ったが、家族と一緒であるのだから心配は無用だと気づいた。
ピアレーチェはマリィアの視線に気づいて大きく手を振った。互いに元気だと分かるとオフィスをまだ手伝えると感じる。再び、人に話しかける。
「ゆっくりで大丈夫だよ。転移門は逃げないから」
オフィスの人が「休息は必要ですよ」と声をかけてきた。ピアレーチェはそれだけ時間が経ったのだと気づかされる。
「もう少ししたら……もう少し……」
ピアレーチェは元気よく笑った。
Gacruxは王都の広さを改めて思い知らされる。オフィスに戻ると、そこは混乱が減り、穏やかな空気が漂っていた。転移門の体力消耗の話も聞いているため、職員に意見書を提出しておく。
「無償でもいいから馬車や魔導ヘリ、車両などの支援要請をハンターに出す必要があるのでは……」
職員はGacruxの説明と提言を受け取るとき「ハンターも人間で、私たちみたいに戦えない人より少ないのです」とつぶやいた。考えてくれるGacruxの気持ちはうれしいと共に、危険と隣り合わせに追いやっている現実に心を痛めた。
リューは立ち去った人たちがいたところを祈るように、決心するように見つめる。
「自分の安全を、どうか自分で守ってくれ……明日を生きて迎えるために……俺も、できる限りする、だから」
剣を取るだけが戦いではない。王都が危険かもしれないならば、逃げることも一つの重要な選択なのだから。前を向いてほしいと願った気持ちは届いたと信じた。
ルゥルは無事ペットを見つけ、その一家とともに行動することが父親の提案で決まる。オフィスにいたハンターが休息したころ、一行は出かけた。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は騒ぎに目を丸くした。現状を考えると不安がる人がいておかしくはない。
そんな中、オフィス内でルゥル(kz0210)を見つける。
「あ、ルゥルちゃん! もしかして誰かのお迎え?」
「なぜわかったのです!? こんにちはです」
一足飛びに言ったピアレーチェにルゥルが驚きながら、挨拶をした。ピアレーチェは「避難する人が多いから」と説明した。
「父と兄なのです」
「あの人、意外と義侠心あるからまだいるのよね」
ルゥルはやる気のある声、母アンジェはのほほんと答える。
「そっか、気を付けてね」
ピアレーチェはそこに留まる、転移門の周囲にいる人たちを助けるために。
外にも人が多いのにルゥルは驚くが、ハルトフォートの話は聞いているし、王都は近い。ルゥルも傲慢王の話を聞くとどこにいても怖いと思うし、王都は安全か否か考えると不安が募る。
「あら? ルゥルじゃない」
マリィア・バルデス(ka5848)が声をかけた。近くでは子どもの泣き声や子を探す親と思われる声もする。マリィアはそちらに気を取られている。
「マリィアさんはお仕事忙しいのです? 私は母上と一緒なのです」
「あら、気を遣わせちゃったわね。そうね……ここに来たのは手伝いのためだったのよ。ルゥルは迷子にならないように気を付けて。家族の手を放しちゃ駄目よ?」
「はいなのです」
ルゥルは空いている手でぶんぶんと手を振り立ち去る。それを見送りマリィアは表情を引き締め、オフィスの中に入った。
●不安
Gacrux(ka2726)は王都オフィス前の周囲の状況に驚いた。
「……これはいつか見た景色だ……」
ライブラリを通した記憶の世界で、世界滅亡を前に追い詰められた人々を見たことがある。その人々は転移門を前に殺し合いをしていた。その景色が目の前の景色と重なるが、暴動や殺し合いは起こっていない。
ハルトフォート砦の状況を考えると予断は許されないと考えるからこうなるのだろうと想像はできる。
「立ち止まってはいられない。少なくともこの場で俺が動けば、助かる命はあるのだ」
Gacruxはオフィスにいるハンターで、現状をどうにかしようと動く者を見つけると声をかけた。
フィロ(ka6966)は考えた。転移門は非覚醒者でも使えても実用的ではないが、一緒に使う覚醒者との絆により体力の消耗も抑えることができるということがあるということを。
「神霊樹は、何をもって人の絆を判断するのでしょう。絆は目には見えません。神霊樹がコンピュータのように過去の経験を可能性として延々とシミュレートし続けるものであるならば……。それは心を読むというよりも、人の動作から関係性を結果として類推しているモノではないでしょうか」
オフィスにいる人たちを見て、どうすると良いのか彼女は考え、実践してみることにした。考えた通りになるか否かはわからないが、その行為自体は不安に寄り添うものとなるのだった。
レオン(ka5108)は耳に入る会話に不安を語るものが多いと理解した。
「……不安なのは決まっているよね、けど、やらないとね」
転移門に頼らず逃げる選択ができればそれに越したことはない。しかし、そうは言っていられない事情があるならば、不安を受け止め寄り添うのが何よりも必要だと感じた。
リュー・グランフェスト(ka2419)は不安に思う人たちを見て「初めて転移門を使ったとき、か」とつぶやき、思い出そうとした。
不安はなかった。
主な理由は両親ともに覚醒者で、転移門を使っているのを知っているからだ。だから、そのあとに続く自分が躊躇するのはおかしいという思いがあった。
「特殊な例だよな……」
不安そうな空気を漂わせる人たちを見て、リューはすぐに心を決める。その人たちに誠意を尽くし、話をしようと。
まずは職員に転移門のことを改めて説明を受けておくことにした。
●少しずつ
ルゥルは実家の近くで、年が近い子供と出くわした。ペットとはぐれたが、母親はそのままにしておけと言っているというのだ。
「母上、お手伝いするのです」
「家に状況を確認しに行くから、一時間後には一旦戻ってくるのよ」
アンジェはルゥルの背を頼もしく見つめた。
マリィアは子どもの泣き声や慌てた親の声の方に向かう。何件かやり取りをして改めて思うのは、このような時犠牲となりやすいのが幼い子供だということだった。
「どうしたの? ママやパパと逸れちゃったの?」
しゃがんで子どもに話しかける。
「うん」
えぐえぐ言いながら子供は答える。
「きちんと言えたわね。お姉さんが一緒に探すわ。だから、お名前言えるかしら?」
子どもは答える。
「じゃあ、ちょっと高いところからママとパパを探しましょうか」
マリィアは覚醒をして能力を高める。その上で、子どもを肩車する。
「ご家族の方いらっしゃいますか」
大声で呼びかけた。子どもも声をあげる。暫くすると、家族と再会はできた。本当に家族か注意深くマリィアは見届けた。違う人たちに引き渡したら大問題だが、今回は疑うだけ野暮だった。見つけたとき両親の表情が狼狽から安堵に一気に変わり、きょうだいも口々に心配していた旨を告げたから。
お礼と手を振る子たちに手を振り返しマリィアは別れた。
ピアレーチェは人々がごちゃごちゃといることに眉を寄せる。
「これは! 横入りが起こってもわかりづらいし、もめるよね。混乱の原因になるし」
ピアレーチェは避難しようとする人たちを誘導するために、柱やオフィスにある什器を使ってロープを張る。誘導や場所を分ける必要はある。オフィスに用があって入ってきても、混雑がひどいと窓口にも到達できなくなってしまうのだ。それに不安そうな人たちが余計な心配を負うことは減るだろう。
「ロープに沿ってゆっくり進んでね! 転移門を使うなら、落ち着こう。慌てても焦るし、良くないよ。落ち着いてね。まず、深呼吸。喉が渇くなら水もあるから」
拡声器を使って誘導する。騒ぎや注目してほしければスキルを使うことも検討していた。特に大きな騒ぎは起こらなかった。
「人は知らない相手とは身体接触はできません。未知の恐怖を感じる転移で、かばうように手をつなぎ合い手に負担がかからないように共に移動する。その行為自体を神霊樹は絆があると判断するのではないでしょうか」
フィロはこのように推測し、まず声をかけた。
「私はハンターのフィロと申します。あなたのお名前は」
不安そうにしている親子は、フィロに話しかけられ驚くが、フィロの落ち着いた雰囲気にほっとした様子だ。雑談や当たり障りのない会話はできた。その上で、フィロは転移門について説明し、何に不安を抱くのか尋ねる。
「少しでもあなたたちの負担が減るかと思うのです。ここにいても戦禍が迫るだけで、何も解決しません。行く場所があるなら、私にそこまで送らせてもらえませんか?」
一家は驚いた。
「私はここいる人すべての方に安全に転移していただきたいのです。名を交わし、手をつなぎ、思いを持って共に門をくぐるならば、それは絆があるということではないでしょうか」
一家は難しい理論はわからないという。それでも、フィロの誠意や真摯さしっかりと伝わった。一家は名乗り、そこに笑顔があった。
フィロの手を取り、順番に転移することになる。
Gacruxは何をすべきか考える。不安に寄り添うとしてもたくさんの問題があるだろう。国の指針、王都で把握されている避難に関する情報、転移門の安全性についての情報など多岐にわたっていた。
優先順位を検討しているとき、困惑している男が一人、入ってきた。
「どうしたんです?」
「それが……隣の人が逃げる気ないっていうんだ」
「え?」
「そりゃさ、王都は安全かもしれないよ? でも、結構みんな逃げる、逃げたほうがいいという話聞くし……それでも、騎士も兵も、ハンターもいるから大丈夫ってさ」
Gacruxはその男について行った。町の状況を見る為でもある。
男は隣の家の扉をたたく。地下室あるし、どうにかなるといった返答がある。
「駄目です! 傲慢の軍勢は百万。ハルトフォートに押し寄せているのです」
「王都に来るってことはないだろう」
「そうなるように皆努力しています。しかし、有象無象でも百万です。戦えるものが多くとも、取りこぼしがあったり、抜かれる可能性はあります。少しでも安全を得るために、離れることを希望します」
Gacruxは説得する。不安をあおらないように言動を注意するとしても、現実を見ていない人には通じるか難しい。
説得したところで、その人の動きはない。
「ありがと。あんたも忙しいだろうに……あとは俺がするよ……ここまで言って駄目なら」
仕方がない、と男はため息を吐いた。
Gacruxは王都に留まろうとしている人がどれだけいるのか見に行くことにした。王都の状況を見るに良いだろう。時間は有限であるのだ。
レオンは途方に暮れている孫娘とふてくされている老婆に声をかける。
「どうかされましたか?」
孫娘はすがるようにレオンを見て、老婆とのやり取りを告げた。逃げるのにどうするかいてもいいのかと現在の状況を言った。
「そうですね。不安なのはわかります」
孫娘の不安も老婆の不安もレオンは受け止めた。
「戦闘になっても、ぼくらはこの地を守ります。けれど、危険なのも事実です。どこにいても危険ならばせめて見知った場所にいたいのもわかります」
孫娘も不安そうな顔になる。
「でも、避難いただければ、危険は減ります」
敵が王都に迫っているのは事実。どこで戦闘になるかはわからない。
「ここから避難するのは、建物や町が壊れる以上に守らないといけないものを守るためです」
老婆は動揺し、レオンが孫娘をちらりと見たのにつられ、孫を見る。
「お願いします、逃げてください。あなたと、あなたのお孫さんを守るために。ぼくたちだけで守り切れるとはかぎらない。だから、あなたの力も貸してください。家族が、安心して笑い合える未来を取り戻すために」
レオンは真摯に、頭を下げた。
老婆はうなずいた。
「見ず知らずの人にまでこんな言われて! まったく、あたしが悪いみたいだね!」
「おばあちゃん!」
孫娘はおろおろしするが、老婆は穏やかな表情でレオンと孫を見ていた。
「いくよ」
老婆は立ち上がり、移動を始める。
孫娘は安堵の表情でレオンに深々とお辞儀をした。
リューは職員に非覚醒者が転移門を使う問題について尋ねた。疲れた表情を浮かべる職員は手短であるが、的確に答える。体力の消耗以外は特に問題は把握していないという。むろん、体力消耗は様々な影響につながる可能性が高いため、決して楽観はできない。
「使ってほしいとは思っていません。ただ……」
傲慢王の宣言、ハルトフォート砦へ押し寄せた敵の話を聞くと、不安のため逃げるのは当たり前だ。王都がどうなるかなど誰も想像できない。
職員は恐縮して頭を下げて仕事に戻る。リューもきちんと頭を下げ礼を述べた。
知識を得てからリューは人々と話をする。王都を、王国を守りたいと行動するハンターとして、騎士の親を見て育った者として、不安がる人々には誠意を持った対応が必要だと感じるから。
不安を受け止め、質問に返答する。
少しでも、一人でも命を守るために。
王都に戦禍は今はない。今後の保証はないこと。
「俺たちは勝つ。だけど守るためにはそれだけじゃダメなんだ」
近くにいる人たちは不安そうな目をそらす。
「これは戦いだ。剣を抜かない戦いだ。剣を使う戦は俺たちに任せてくれ。必ず、勝つ」
力強い言葉に目を上げる人。
「だから、そのために皆も協力してほしい。下を向かないで、生きるために最善を尽くしてくれ」
説得する。王都から避難するとしてもそれも戦いだと言われ、人々はそれぞれ考えた。
●未知と未来へ
「無事でよかったです」
フィロは手助けした人たちが無事向こう側に行けた為ほっとした。しかし、体力の消耗が激しいのは見てとれた。少なくともその場で崩れるように倒れることはなかった。
絆が結べたのかわからないが、その人たちが不安を抱えず新たな地に到着できたのは確認できた。
フィロはともに行動をとっていたハンターには現状を素直に告げた。
「推測が正しいのかわかりませんでした。でも……無事に渡れました」
レオンはそれを聞き、微笑む。
「町がどうなるかわからないから、無事に離れてもらう必要があったんです。どの程度軽減されたかわからないけれども……不安でいるより、ずっといいと思います」
王都が、王国がどうなるのかは敵の行動と戦う者たち次第でもある。
マリィアは手を振り家族とともに転移門に消える子を、手を振りながら見送る。
新しいと土地に行くとしても、家族といることが一番安心だ。
ハンターたちが手分けして声をかけているため、不安な空気に包まれていたオフィスは穏やかさを取り戻している。
「ルゥルは帰ったのかしら?」
ふと思ったが、家族と一緒であるのだから心配は無用だと気づいた。
ピアレーチェはマリィアの視線に気づいて大きく手を振った。互いに元気だと分かるとオフィスをまだ手伝えると感じる。再び、人に話しかける。
「ゆっくりで大丈夫だよ。転移門は逃げないから」
オフィスの人が「休息は必要ですよ」と声をかけてきた。ピアレーチェはそれだけ時間が経ったのだと気づかされる。
「もう少ししたら……もう少し……」
ピアレーチェは元気よく笑った。
Gacruxは王都の広さを改めて思い知らされる。オフィスに戻ると、そこは混乱が減り、穏やかな空気が漂っていた。転移門の体力消耗の話も聞いているため、職員に意見書を提出しておく。
「無償でもいいから馬車や魔導ヘリ、車両などの支援要請をハンターに出す必要があるのでは……」
職員はGacruxの説明と提言を受け取るとき「ハンターも人間で、私たちみたいに戦えない人より少ないのです」とつぶやいた。考えてくれるGacruxの気持ちはうれしいと共に、危険と隣り合わせに追いやっている現実に心を痛めた。
リューは立ち去った人たちがいたところを祈るように、決心するように見つめる。
「自分の安全を、どうか自分で守ってくれ……明日を生きて迎えるために……俺も、できる限りする、だから」
剣を取るだけが戦いではない。王都が危険かもしれないならば、逃げることも一つの重要な選択なのだから。前を向いてほしいと願った気持ちは届いたと信じた。
ルゥルは無事ペットを見つけ、その一家とともに行動することが父親の提案で決まる。オフィスにいたハンターが休息したころ、一行は出かけた。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 Gacrux(ka2726) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/03/09 23:27:22 |
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相談卓 Gacrux(ka2726) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/03/12 10:05:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/11 03:29:05 |