ゲスト
(ka0000)
【王戦】魔術師の弟子、兄を迎えに行く
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/03/12 12:00
- リプレイ完成予定
- 2019/03/21 12:00
オープニング
●小さな町
グラズヘイム王国、中央寄りの北東寄りの中途半端な位置にある地域。
ルゥルは家の窓を開けて王都の方を見た。
王都の方を見たところで見えるのは家である。この町は小さいながらも城壁を持っている。その城壁があっても今回噂に聞いていることは防げないだろう。
「怖いのです。で、でも、ルゥルはフレオとポルムを守る義務があるのです」
フェレットのフレオとパルムのポルムを抱きしめて言う。
「みぎゃああああああああああああああ」
とりあえず、気合を入れた。
「どうしたのです! ルゥルちゃん」
隣のエクラ教会からマーク司祭が血相を変えて出てきた。
「……みぎゃ……」
ルゥルは思わず笑った。
「何でもないのです。気合を入れただけなのです」
「駄目ですよ、窓から大声を出したら!」
「はいなのです? みぎゃ、母上ぇえええ」
ルゥルは窓から身を乗り出して手をぶんぶん振る。
母親のアンジェとこの家の持ち主の魔術師のマーナがやってくる。
ルゥルは窓から離れると玄関に走った。ドアを開けて母親に抱きつく。
「ルゥル、久しぶりね」
「母上えええ」
ルゥルは思いっきりしがみついた。
「留守番ごご苦労じゃ。それより、マークも少し話をしよう」
マーナが家に上がるように示した。その表情は硬かった。
ルゥルはマーナのこのような表情を見るのは初めてであった。近くに歪虚が出ても、ルゥルが魔法で研究所の壁を壊してもこんな顔はしたことがなかった。
よほどのことがあったのだと理解し、母親により一層しがみついた。
●ハウエル商店
王都に店を構えるルゥルの父親であるキュール・ハウエルは従業員や近所の人々の対応に追われていた。息子のケントも手伝ってくれていた。
王都が危ないから逃げろ、と言われても簡単に行くものではなかった。
王都にいる人間だけでもそれ相当の数がいる。自分で歩いて、馬を駆って逃げられる人、伝がある人はいい。しかし、人にはそれぞれ事情がある。
その説得や今後の商いの対応に追われキュールとケントは逃げていなかった。
「お前はもういい、逃げなさい」
「いいよ……転移門で逃げたら、結局倒れるんだし……それなら、ぎりぎりまで手伝うよ」
キュールはうなずいた。
転移門は非覚醒者は使うことが本来は許されない。マテリアルの消費が激しすぎて、使ったところで寝付くのがおちだからだ。例外があり、絆があるハンターともに使うにはある程度、安全は確保される。
避難するのをためらう人はその部分を恐れているのもある。疲労するだけでなく死に至ることもあるのではないか、と。
だから、王都は守られるだろうと楽観視する。
楽観視しないと、傲慢王は怖いし、転移門も怖い。かと言って、門を使って逃げたところでどこで何があるかわからない、安全の保障が見えない。
ケントは逃げることを渋る人の気持ちは解かるし、一方で逃げる選択肢はなくしたくなかった。
「ハウエルのお兄ちゃん、ぼくのアレキサンダー知らない!?」
近所の子どもがケントに話しかける。
「え? 見てないぞ? あのトカゲだろう?」
ケントは両手で大きさを示すと、子どもはうなずいた。
「早く行くわよ! ケントさん、気にしなくていいわ。いい、アレキサンダーはしっかりしているから、隠れているわ」
そこに子どもの母親がやってくる。逃げる為の荷物を持っている。
「でも、アレキサンダーは自分でご飯取れないんだよ!」
「……いいえ、おなかがすいたら食べるわよ」
母親は苦しい言い訳をする。
「いやだ! アレキサンダーも一緒に逃げるんだー」
「待ちなさい!」
子どもはハンターオフィスとは逆の方向に逃げ出したのだった。
「ハウエルさん! うちの爺さんを運ぶ手伝い、いないか?」
キュールは声をかけられ、何軒か先の家に向かった。
ケントはどちらにもついて行かなかった。自分ができることは限られている。
「もしもがあれば、適当に逃げる……ってさ、父さんと約束あっても……さすがに不安だ……」
ケントはそれなりに経験は詰んできたと思う。 しかし、あくまで一般人で商人だ。戦いは話が別だった。
不安げに空を見上げた。誰かにいてほしかった。街は音も声もするが、どこか静かだった。
「ルゥルはどうしているんだろうな……」
腹違いの妹がハンターであることで不安もある。隠れていればいいのに、歪虚と戦おうとしていないかということだった。
●オフィス
転移門で逃げる、という選択肢に躊躇を覚えない人はいないだろう。
騎士や教会が守ってくれるだろうから安心できると残る者もいるのかもしれない。そうなったら、転移門を使うことである危険を冒す必要もないと考えるだろう。
傲慢王の話を聞き、実はどこにいても危険だと不安も覚えなくはない。むしろ――。
転移門のあるオフィスは不安と希望が入り乱れた空気に包まれている。
「おばあちゃん、行こう」
「こ、ここに隠れていれば安全に違いない!」
「でも!」
杖を付く老婆は孫の説得に心は揺れる。孫娘と逃げたい気持ちもあるし、使ったことのない装置を使うことは怖い。それならば、住み慣れた王都が安全だと信じ、残るのでもいいと彼女は考える。
「お前だけ逃げればいい!」
「おばあちゃん!」
孫娘は悲鳴を上げる。一人で逃げる、それができれば苦労はない。
「うちの子はどこかしら!?」
「ママー、どこー」
途中ではぐれたらしい母と子の声が上がる。外からか、中からかわからない。その声の主が本当の親子か、別の親子なのか……。
転移門で王都にやってきたルゥルはアンジェにしがみつく。視線が期待に満ちたものに感じたからだった。
「行くわよ、ルゥル。あの二人はまだ商店にいるから」
「はいなのです」
ルゥルはおっかなびっくりオフィスを後にした。
グラズヘイム王国、中央寄りの北東寄りの中途半端な位置にある地域。
ルゥルは家の窓を開けて王都の方を見た。
王都の方を見たところで見えるのは家である。この町は小さいながらも城壁を持っている。その城壁があっても今回噂に聞いていることは防げないだろう。
「怖いのです。で、でも、ルゥルはフレオとポルムを守る義務があるのです」
フェレットのフレオとパルムのポルムを抱きしめて言う。
「みぎゃああああああああああああああ」
とりあえず、気合を入れた。
「どうしたのです! ルゥルちゃん」
隣のエクラ教会からマーク司祭が血相を変えて出てきた。
「……みぎゃ……」
ルゥルは思わず笑った。
「何でもないのです。気合を入れただけなのです」
「駄目ですよ、窓から大声を出したら!」
「はいなのです? みぎゃ、母上ぇえええ」
ルゥルは窓から身を乗り出して手をぶんぶん振る。
母親のアンジェとこの家の持ち主の魔術師のマーナがやってくる。
ルゥルは窓から離れると玄関に走った。ドアを開けて母親に抱きつく。
「ルゥル、久しぶりね」
「母上えええ」
ルゥルは思いっきりしがみついた。
「留守番ごご苦労じゃ。それより、マークも少し話をしよう」
マーナが家に上がるように示した。その表情は硬かった。
ルゥルはマーナのこのような表情を見るのは初めてであった。近くに歪虚が出ても、ルゥルが魔法で研究所の壁を壊してもこんな顔はしたことがなかった。
よほどのことがあったのだと理解し、母親により一層しがみついた。
●ハウエル商店
王都に店を構えるルゥルの父親であるキュール・ハウエルは従業員や近所の人々の対応に追われていた。息子のケントも手伝ってくれていた。
王都が危ないから逃げろ、と言われても簡単に行くものではなかった。
王都にいる人間だけでもそれ相当の数がいる。自分で歩いて、馬を駆って逃げられる人、伝がある人はいい。しかし、人にはそれぞれ事情がある。
その説得や今後の商いの対応に追われキュールとケントは逃げていなかった。
「お前はもういい、逃げなさい」
「いいよ……転移門で逃げたら、結局倒れるんだし……それなら、ぎりぎりまで手伝うよ」
キュールはうなずいた。
転移門は非覚醒者は使うことが本来は許されない。マテリアルの消費が激しすぎて、使ったところで寝付くのがおちだからだ。例外があり、絆があるハンターともに使うにはある程度、安全は確保される。
避難するのをためらう人はその部分を恐れているのもある。疲労するだけでなく死に至ることもあるのではないか、と。
だから、王都は守られるだろうと楽観視する。
楽観視しないと、傲慢王は怖いし、転移門も怖い。かと言って、門を使って逃げたところでどこで何があるかわからない、安全の保障が見えない。
ケントは逃げることを渋る人の気持ちは解かるし、一方で逃げる選択肢はなくしたくなかった。
「ハウエルのお兄ちゃん、ぼくのアレキサンダー知らない!?」
近所の子どもがケントに話しかける。
「え? 見てないぞ? あのトカゲだろう?」
ケントは両手で大きさを示すと、子どもはうなずいた。
「早く行くわよ! ケントさん、気にしなくていいわ。いい、アレキサンダーはしっかりしているから、隠れているわ」
そこに子どもの母親がやってくる。逃げる為の荷物を持っている。
「でも、アレキサンダーは自分でご飯取れないんだよ!」
「……いいえ、おなかがすいたら食べるわよ」
母親は苦しい言い訳をする。
「いやだ! アレキサンダーも一緒に逃げるんだー」
「待ちなさい!」
子どもはハンターオフィスとは逆の方向に逃げ出したのだった。
「ハウエルさん! うちの爺さんを運ぶ手伝い、いないか?」
キュールは声をかけられ、何軒か先の家に向かった。
ケントはどちらにもついて行かなかった。自分ができることは限られている。
「もしもがあれば、適当に逃げる……ってさ、父さんと約束あっても……さすがに不安だ……」
ケントはそれなりに経験は詰んできたと思う。 しかし、あくまで一般人で商人だ。戦いは話が別だった。
不安げに空を見上げた。誰かにいてほしかった。街は音も声もするが、どこか静かだった。
「ルゥルはどうしているんだろうな……」
腹違いの妹がハンターであることで不安もある。隠れていればいいのに、歪虚と戦おうとしていないかということだった。
●オフィス
転移門で逃げる、という選択肢に躊躇を覚えない人はいないだろう。
騎士や教会が守ってくれるだろうから安心できると残る者もいるのかもしれない。そうなったら、転移門を使うことである危険を冒す必要もないと考えるだろう。
傲慢王の話を聞き、実はどこにいても危険だと不安も覚えなくはない。むしろ――。
転移門のあるオフィスは不安と希望が入り乱れた空気に包まれている。
「おばあちゃん、行こう」
「こ、ここに隠れていれば安全に違いない!」
「でも!」
杖を付く老婆は孫の説得に心は揺れる。孫娘と逃げたい気持ちもあるし、使ったことのない装置を使うことは怖い。それならば、住み慣れた王都が安全だと信じ、残るのでもいいと彼女は考える。
「お前だけ逃げればいい!」
「おばあちゃん!」
孫娘は悲鳴を上げる。一人で逃げる、それができれば苦労はない。
「うちの子はどこかしら!?」
「ママー、どこー」
途中ではぐれたらしい母と子の声が上がる。外からか、中からかわからない。その声の主が本当の親子か、別の親子なのか……。
転移門で王都にやってきたルゥルはアンジェにしがみつく。視線が期待に満ちたものに感じたからだった。
「行くわよ、ルゥル。あの二人はまだ商店にいるから」
「はいなのです」
ルゥルはおっかなびっくりオフィスを後にした。
解説
人々の不安の軽減、など。
●ハンターの行動範囲
王都のハンターオフィスの中や町の中でオフィス周辺。状況によっては転移先のオフィス内。
ルゥル実家の商店がある近辺。
●転移門について
覚醒者は難なく使えるものですが、非覚醒者は使うと体力の消耗が激しく、寝込みます。例外として絆がある覚醒者とであれば、その消耗は軽減されます。そのため、ルゥルと母親は家族を迎えに来ました。
今回、避難のために一般人が使用するという緊急かつイレギュラーな状況です。
●オフィス内外の人々(行動の参考)
迷子になっている子ども、探す親。
転移門を使うのを渋る人たち。
いつ、どうなるかわからないために早く逃げたいと嘆く人。
王都が駄目ならどこにいてもだめだと嘆く人、家に引きこもって出てこない人。
ペットが行方不明ということから行きたくないとごねる子ども……など小さく事件は起こっています。
●すれ違うかもしれないNPC
ルゥル 魔術師の弟子、ちびっこ。父親と兄を迎えに来た。兄と仲直りしたが、苦手ではある。
アンジェ ルゥルの母親、エルフ。夫と義理の息子を迎えに来た。
キュール・ハウエル ルゥルの父。そこそこの規模の商店を持つ。従業員は逃がしたが、いろいろあって王都にとどまっている。
ケント・ハウエル ルゥルの異母兄、18歳くらい。父親を手伝い王都に残っている。ルゥルに謝罪後、可愛い妹に時々プレゼントを贈ったりしている。
●ハンターの行動範囲
王都のハンターオフィスの中や町の中でオフィス周辺。状況によっては転移先のオフィス内。
ルゥル実家の商店がある近辺。
●転移門について
覚醒者は難なく使えるものですが、非覚醒者は使うと体力の消耗が激しく、寝込みます。例外として絆がある覚醒者とであれば、その消耗は軽減されます。そのため、ルゥルと母親は家族を迎えに来ました。
今回、避難のために一般人が使用するという緊急かつイレギュラーな状況です。
●オフィス内外の人々(行動の参考)
迷子になっている子ども、探す親。
転移門を使うのを渋る人たち。
いつ、どうなるかわからないために早く逃げたいと嘆く人。
王都が駄目ならどこにいてもだめだと嘆く人、家に引きこもって出てこない人。
ペットが行方不明ということから行きたくないとごねる子ども……など小さく事件は起こっています。
●すれ違うかもしれないNPC
ルゥル 魔術師の弟子、ちびっこ。父親と兄を迎えに来た。兄と仲直りしたが、苦手ではある。
アンジェ ルゥルの母親、エルフ。夫と義理の息子を迎えに来た。
キュール・ハウエル ルゥルの父。そこそこの規模の商店を持つ。従業員は逃がしたが、いろいろあって王都にとどまっている。
ケント・ハウエル ルゥルの異母兄、18歳くらい。父親を手伝い王都に残っている。ルゥルに謝罪後、可愛い妹に時々プレゼントを贈ったりしている。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
王都から逃げるのか否か。逃げるならばどこに逃げるのか? 傲慢王イヴの宣言後、人々は動いていました。
母親に連れられて兄と転移する予定ですが、やはり不安なルゥル。それ以上に不安なのは覚醒者ではなく、転移門を使わない生活をしてきた人たちでしょう。
ハンターだって初めて転移門を使ったとき、どう考えました? 便利な道具だとあっさり受け入れたかもしれませんし、なんとなく不安を覚えたり……人それぞれでしょう。
さて、皆さま、不安を解消する為、お力をお貸しください。
よろしくお願いします。
王都から逃げるのか否か。逃げるならばどこに逃げるのか? 傲慢王イヴの宣言後、人々は動いていました。
母親に連れられて兄と転移する予定ですが、やはり不安なルゥル。それ以上に不安なのは覚醒者ではなく、転移門を使わない生活をしてきた人たちでしょう。
ハンターだって初めて転移門を使ったとき、どう考えました? 便利な道具だとあっさり受け入れたかもしれませんし、なんとなく不安を覚えたり……人それぞれでしょう。
さて、皆さま、不安を解消する為、お力をお貸しください。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/19 04:03
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 Gacrux(ka2726) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/03/09 23:27:22 |
|
![]() |
相談卓 Gacrux(ka2726) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/03/12 10:05:14 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/11 03:29:05 |