ゲスト
(ka0000)
【東幕】知追う者、明るい日に微笑みを
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/03/15 09:00
- 完成日
- 2019/03/27 07:11
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●公家だの武家だの
戦場となった天ノ都から避難した者たちがいた。周囲に集まった民を連れた松永 光月は大江 紅葉を頼った。光月の父は公家である紅葉を頼ることに反対もしたが、家臣の誰もがそれを拒否した。紅葉と光頼の噂を聞いている家臣も多いし、何もより、自分たちの命がかかった決断だったのだから、光月の言葉を拒否することはなかった。戻れるならば戻るのだ。
一方で、光月や家臣たちの心配事と言えば幕府軍の一環として都に残った松永 光頼のことだった。
一行を追う形かつ都での死闘をうかがえる状況で、生き残った部下とともに師岬にやってきた。彼の行動は、紅葉の師匠・吉備 灯世宛ての書簡を託された形だった。
白紙の伝書を受け取った灯世は、光頼の上司が逃がすためにしたのだと理解した。光頼自身もそれを察している節はあった。
光頼としては最期まで戦うつもりだった。弟もいるし、紅葉が支えてくれるだろうから。
これまで戦場に出て必ず生き延びた。怪我をしても大したことはなかった。むしろ、多くの顔見知り、知っている人が死んでいくのを見てきていた。
どの時も、どの時も、危なくなると誰かが助けてくれる。偶然とはいえ生かされている。武人としてそれでいいのか否かわからない。最後まで戦場にいたことはない気がする。
師岬に到着後、光頼は傷をいやすため、あてがわれた家でじっとする。父がぶつくさ言っているのが耳に入る。父親の小言は二人のふがいなさであり、公家を頼ったことの愚痴だ。
弟の光月は多くの犠牲を出し、生かされて戻ってきた。
自分も結局そうなのだ、周りの犠牲の元生かされているのだ。
弟も自分も敗走しかしていない。
父の愚痴に武家だの公家だの言っているが、紅葉の家はもとをただすと武家らしい話もある。とはいえ、光頼にとってそのような線引きはどうでもよかった。
父の言葉が胸に刺さっていく。
「……父上……では、私はどうすればいいのでしょうか?」
ふと、光頼の脳裏に紅葉の顔が浮かんだ。
妹が妖怪に殺され、都を守るべき時に都を離れたことで妖怪との内通を疑われ、憔悴しきっていたあの時の紅葉だ。
あの時、何を自分は言ったのだろうか?
「私は……死ねばいいのだろうか?」
このつぶやきに、愚痴を漏らしていた父は蒼白になり、慌てて光頼がいてくれて頼もしいと告げる。
その言葉を聞き流し、光頼はふらりと外に向かった。
●潮干狩り
「とりあえず、食糧難なのです!」
紅葉はばーんと机の上に書類を置いた。
「ちなみに、松永にここを乗っ取られるのではと心配する声もありますが、そもそも、都がどうにかなったら戻る可能性の高い人たちも多いです」
紅葉の言葉に灯世は溜息をもらす。それは聞いている。あとから来た民の数や、松永家の関係者の数に武力を考えると不安が生じるのは事実だ。
「転移門を使えば持ってこられますが、お金がいります。今はいいですが後々を考えると、食料改革しないといけません、即急に」
それは以前からの課題でやってはきている。
今回の戦いで人の流入は一時的か、継続的かわからない。
何せ、二人とも都に戻れていないため、色々判断がつかない。どちらかが行ってみるという提案は、家臣や住民たちに拒否された。その結果、身軽な人をやって情報は得る努力をしている。
「田貫たちが無事だったのは良かったです」
「だな」
都にあった吉備家の屋敷にいた大江家の関係者や灯世が雇っていた人たちは松永家を頼り戻ってきた。
「食料……ねぇ」
「ねえです」
「……その、ねぇ、ではないぞ」
「ですー」
二人は溜息を洩らした。
「ひとまず、潮干狩りできる所がないか見てきます」
「それは解決策にはなるけどならないな」
「探すしかありません」
灯世は紅葉がぼんやりとしているのに気づいた。
「心配事か……ない、わけないよな」
「師匠だってたくさんあるでしょ?」
雪だるま式に増えている。異口同音に「仕方がない」と言った。
師匠との会議の後、紅葉は海沿いを歩く。
「そもそも、干潟がないですよね……」
砂浜や岩礁はあっても、潮干狩りができそうな場所はない。
「……大島の回り、海水は引きます……なら、貝もいるのでしょうか……」
帰ろうとしたが、視界に異様なものがあった。
「……大きなカニですねぇ……」
思わず、ふっと笑って言った。
「それだけ大きければ、食料に……違います、これは……発煙筒の事態です」
紅葉は緊急事態を知らせるために発煙筒を放り投げたのだった。そして、もう一つ。
そのあと、紅葉は口角を上げる。目は真剣そのものだ。
「足止めしないとまずいですよね……そもそも、私の足だと追いつかれそうですし……最近頑張っているんですよぉ」
紅葉は符をばらまく。敵を含む一定範囲に結界が生じ、光が乱舞すると雑魔の類は消え去った。
「……で、次の符を用意するのに時間がかかったりするんですけどねぇ」
紅葉は冷や汗を流す。
大型の妖怪が二体いる時点で対応しきれない。
「……えっと?」
援護が来るまで頑張るしかないのだ。
一方、灯世は紅葉と別れたあと、自宅に向かっていた。途中で、報告を受けた。
「都の方面から妖怪がたくさん来るんです」
「は?」
先日の戦いの影響だと分かる。都近くに潜んでいた妖怪が南に向かって移動を始めたのだろう。
「……よりによって、こっちに来たのか」
人間が動いていたのを見ていたのか、道があると考えたのかということを想定した。
「灯世様! 宗主から助けを求める発煙筒が!」
「……」
灯世は師岬に来ているはずのハンターを即刻集める。
「手を貸してくれ、紅葉の救出および、あっちから来る妖怪をどうにかするのを……どっちかと言うと、紅葉の方がやばい」
陸地の方は防御のための柵があるし、人もいる為、牽制の攻撃は可能である。しかし、紅葉の方は単独でうろついていたはずだ。
「この状況だと、数は多いだろう……」
「俺も行く……」
暗い表情の光頼の登場に、灯世は首を横に振る。
「主は駄目だ、傷が癒ていない」
「しかし、ここを守らないと……私の居場所は? 私の役割は?」
「主は……無茶をするなよ」
灯世は光頼がこれまで歩んだ道を彼の上司から聞いている。
守る戦いでなぜか生き残る。
周りが死んでもなぜか生き残る。
彼自身が手を抜いたり、逃げているわけではなくともそういう状況になっていた……今回も都から外に出た。
「まったく……どいつもこいつも、複雑に考えるなぁ」
灯世は溜息を洩らした。都から来る敵に対応するため、立ち去った光頼の背を不安そうに見つめるしかなかった。
戦場となった天ノ都から避難した者たちがいた。周囲に集まった民を連れた松永 光月は大江 紅葉を頼った。光月の父は公家である紅葉を頼ることに反対もしたが、家臣の誰もがそれを拒否した。紅葉と光頼の噂を聞いている家臣も多いし、何もより、自分たちの命がかかった決断だったのだから、光月の言葉を拒否することはなかった。戻れるならば戻るのだ。
一方で、光月や家臣たちの心配事と言えば幕府軍の一環として都に残った松永 光頼のことだった。
一行を追う形かつ都での死闘をうかがえる状況で、生き残った部下とともに師岬にやってきた。彼の行動は、紅葉の師匠・吉備 灯世宛ての書簡を託された形だった。
白紙の伝書を受け取った灯世は、光頼の上司が逃がすためにしたのだと理解した。光頼自身もそれを察している節はあった。
光頼としては最期まで戦うつもりだった。弟もいるし、紅葉が支えてくれるだろうから。
これまで戦場に出て必ず生き延びた。怪我をしても大したことはなかった。むしろ、多くの顔見知り、知っている人が死んでいくのを見てきていた。
どの時も、どの時も、危なくなると誰かが助けてくれる。偶然とはいえ生かされている。武人としてそれでいいのか否かわからない。最後まで戦場にいたことはない気がする。
師岬に到着後、光頼は傷をいやすため、あてがわれた家でじっとする。父がぶつくさ言っているのが耳に入る。父親の小言は二人のふがいなさであり、公家を頼ったことの愚痴だ。
弟の光月は多くの犠牲を出し、生かされて戻ってきた。
自分も結局そうなのだ、周りの犠牲の元生かされているのだ。
弟も自分も敗走しかしていない。
父の愚痴に武家だの公家だの言っているが、紅葉の家はもとをただすと武家らしい話もある。とはいえ、光頼にとってそのような線引きはどうでもよかった。
父の言葉が胸に刺さっていく。
「……父上……では、私はどうすればいいのでしょうか?」
ふと、光頼の脳裏に紅葉の顔が浮かんだ。
妹が妖怪に殺され、都を守るべき時に都を離れたことで妖怪との内通を疑われ、憔悴しきっていたあの時の紅葉だ。
あの時、何を自分は言ったのだろうか?
「私は……死ねばいいのだろうか?」
このつぶやきに、愚痴を漏らしていた父は蒼白になり、慌てて光頼がいてくれて頼もしいと告げる。
その言葉を聞き流し、光頼はふらりと外に向かった。
●潮干狩り
「とりあえず、食糧難なのです!」
紅葉はばーんと机の上に書類を置いた。
「ちなみに、松永にここを乗っ取られるのではと心配する声もありますが、そもそも、都がどうにかなったら戻る可能性の高い人たちも多いです」
紅葉の言葉に灯世は溜息をもらす。それは聞いている。あとから来た民の数や、松永家の関係者の数に武力を考えると不安が生じるのは事実だ。
「転移門を使えば持ってこられますが、お金がいります。今はいいですが後々を考えると、食料改革しないといけません、即急に」
それは以前からの課題でやってはきている。
今回の戦いで人の流入は一時的か、継続的かわからない。
何せ、二人とも都に戻れていないため、色々判断がつかない。どちらかが行ってみるという提案は、家臣や住民たちに拒否された。その結果、身軽な人をやって情報は得る努力をしている。
「田貫たちが無事だったのは良かったです」
「だな」
都にあった吉備家の屋敷にいた大江家の関係者や灯世が雇っていた人たちは松永家を頼り戻ってきた。
「食料……ねぇ」
「ねえです」
「……その、ねぇ、ではないぞ」
「ですー」
二人は溜息を洩らした。
「ひとまず、潮干狩りできる所がないか見てきます」
「それは解決策にはなるけどならないな」
「探すしかありません」
灯世は紅葉がぼんやりとしているのに気づいた。
「心配事か……ない、わけないよな」
「師匠だってたくさんあるでしょ?」
雪だるま式に増えている。異口同音に「仕方がない」と言った。
師匠との会議の後、紅葉は海沿いを歩く。
「そもそも、干潟がないですよね……」
砂浜や岩礁はあっても、潮干狩りができそうな場所はない。
「……大島の回り、海水は引きます……なら、貝もいるのでしょうか……」
帰ろうとしたが、視界に異様なものがあった。
「……大きなカニですねぇ……」
思わず、ふっと笑って言った。
「それだけ大きければ、食料に……違います、これは……発煙筒の事態です」
紅葉は緊急事態を知らせるために発煙筒を放り投げたのだった。そして、もう一つ。
そのあと、紅葉は口角を上げる。目は真剣そのものだ。
「足止めしないとまずいですよね……そもそも、私の足だと追いつかれそうですし……最近頑張っているんですよぉ」
紅葉は符をばらまく。敵を含む一定範囲に結界が生じ、光が乱舞すると雑魔の類は消え去った。
「……で、次の符を用意するのに時間がかかったりするんですけどねぇ」
紅葉は冷や汗を流す。
大型の妖怪が二体いる時点で対応しきれない。
「……えっと?」
援護が来るまで頑張るしかないのだ。
一方、灯世は紅葉と別れたあと、自宅に向かっていた。途中で、報告を受けた。
「都の方面から妖怪がたくさん来るんです」
「は?」
先日の戦いの影響だと分かる。都近くに潜んでいた妖怪が南に向かって移動を始めたのだろう。
「……よりによって、こっちに来たのか」
人間が動いていたのを見ていたのか、道があると考えたのかということを想定した。
「灯世様! 宗主から助けを求める発煙筒が!」
「……」
灯世は師岬に来ているはずのハンターを即刻集める。
「手を貸してくれ、紅葉の救出および、あっちから来る妖怪をどうにかするのを……どっちかと言うと、紅葉の方がやばい」
陸地の方は防御のための柵があるし、人もいる為、牽制の攻撃は可能である。しかし、紅葉の方は単独でうろついていたはずだ。
「この状況だと、数は多いだろう……」
「俺も行く……」
暗い表情の光頼の登場に、灯世は首を横に振る。
「主は駄目だ、傷が癒ていない」
「しかし、ここを守らないと……私の居場所は? 私の役割は?」
「主は……無茶をするなよ」
灯世は光頼がこれまで歩んだ道を彼の上司から聞いている。
守る戦いでなぜか生き残る。
周りが死んでもなぜか生き残る。
彼自身が手を抜いたり、逃げているわけではなくともそういう状況になっていた……今回も都から外に出た。
「まったく……どいつもこいつも、複雑に考えるなぁ」
灯世は溜息を洩らした。都から来る敵に対応するため、立ち去った光頼の背を不安そうに見つめるしかなかった。
リプレイ本文
●急げ!
この地にいたハンターは八人、二手に分かれる
「時間は惜しいですわ!」
ステラ・フォーク(ka0808)は吉備 灯世の話を聞くとすぐさま、松永 光頼が向かったほうに馬を走らせる。敵が見えたところで【野生の瞳】を用いる。
ルカ(ka0962)はちらりと見た光頼の姿に苛立ちを覚えていた。背景も聞けば、逃がした人も逃がされ生かされた立場の気持ちはわかる。しかし、彼の顔を見てそれで戦場に出るのは非常に迷惑だと感じた。
「それだけではなく邪魔です」
それを正すために魔導バイクで急いだ。
カーミン・S・フィールズ(ka1559)はエクウスに乗ると真っ直ぐ進む。ルカ同様、光頼の様子が気になっていた。そのため、光頼に対して第一声は「ひっどい顔をしているわよ」と投げかけた。
「東方の殿方は、鏡を使わないのかしら?」
むっとする光頼を見た後、カーミンは戦場に目を向けた。
「行くわよ!」
柵の近くで敵の情報を確認し、仲間や師岬の者が動きやすいようにするつもりだった。
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)はゴースロンで駆け付け、先行したステラとカーミンの背を追う前に、光頼に一言告げておく。
「光頼殿、あなたのことはよく存じません。ですが、今生きているうちに、できることを出来る範囲でやっていただかねば。それに最後にいつもあなただけ生き残るのであれば、今回は私たちも生き残ることになるのでしょう。私とてなすべきことのために紡ぐことを願いますから」
早口で思いを述べた。
直後、ルカが光頼の横を通る際「ごめんなさい」と微笑み、本気に近い形で彼の股間を蹴った。互いに鎧もあるため、どうなったかは押して測られる。
「私は、紅葉さんに悲しい知らせをするつもりはありませんので!」
きっぱりと言うと、戦場に向かう。
「え、紅葉さんが? すぐに行きますっ!」
穂積 智里(ka6819)は大江 紅葉(kz0163)の危機に魔導バイクを全力で走らせる。
「いやぁ、一応、宗主だってのに一人でふらふらは自覚たりないんじゃないかしらね?」
アルスレーテ・フュラー(ka6148)は辛口でつぶやくが、行動は早く、魔導ママチャリにまたがり全力移動する。ダイエット兼小遣い稼ぎのために頑張るのが本心だとしても、依頼人としては頼りになる気迫だ。
ミオレスカ(ka3496)は愛馬を急がせた。
「食料調達も生きていればこそ、です」
紅葉が食料や建物やら気にしているのは知っているから。
アレイダ・リイン(ka6437)は自らの足で急ぐため、スペルブーツのスキルを解放する。
「食料難か……この界隈は戦いが続いていることだし仕方がないか。おまけにあの憤怒王のとの戦のせいで雑魔も活発ことになっていることだし、一次産業はどこまで持つのやら」
内心溜息も出るが、狩猟ならば得意分野と自負するため、手をかすことはやぶさかではないためここに来ていたのだった。
しばらくするとアルスレーテが到着し、紅葉と大型の妖怪の間に割って入る。
「無事?」
紅葉をちらりと見れば、動けるが傷はそれなりに深い様子だ。アルスレーテは鉄扇を持ち【マジックアロー】を放つ手順を進める。
「紅葉さん、大丈夫ですか!」
智里が到着し、紅葉に【ヒール】を掛ける。
ミオレスカの放った矢がアルスレーテの行動を援護する。
双方、戦端は開かれた。
●多数
カーミンは馬で戦場を駆け抜け、師岬の者たちの布陣を助けるとともに、敵の位置等の把握につなげる。
獣系の雑魔は脚力を生かし迫り、大型の妖怪はそれに続く形だ。さらにその後ろにスライム状の敵がいる。
「固まって戦うにはあの馬頭は厄介ね」
カーミンはドールリングに込められたスキルを解放し、【千日紅】を用いる。肉体の強化をするとともに【オレアンダー】で武器に毒を持たせる。その直後、【楓】で二度素早く攻撃をする。敵と交雑することを避け、一旦離れた。
ルカは戦場に出る前に光頼らに提案をする。
「光頼さんたちは柵より後方、もしくは私たちより後ろで抜けた敵の足止め等をお願いします。とどめを刺すのが難しい場合は、敵の足をつぶすよう頼みます」
ルカは前に出るそして、盾を構え、向かってくる敵に対し【プルガトリオ】を放った。足止めすると同時に、ここに敵がいるという宣言である。雑魔によっては回避を失敗すると塵と化すものもあった。
「足が速い者たちを倒していく……」
カーミンの大型妖怪を誘導するように動かしたことで、雑魔たちの動きも複雑になる。ただ、複雑になると敵や餌という認識の方にやってくる。
「むしろ、好都合です」
ルカは獣系は足止めを意識し【ブルカトリオ】でも強度が低めの方を選ぶ。獣型の雑魔の方は、攻撃に対する耐性を考えると足止めさえすれば討伐はしやすい。あとから来るスライムの方が攻撃は通常の攻撃は通りづらい上に、再生や分裂といった特殊な行動が考えられる溜め、強度の高い魔法は温存する。
ツィスカは雑魔の数が不明と聞き、一刻でも早く、一体でも多く倒すことを考える。そのことは仲間も同様であると行動から考えられる。雑魔がそれなりにまとまった状態が作られていた。
「スライムもいますね……そちらは分裂や防御を無視した攻撃もあります。……とはいえ、まずは獣型が来ますね……」
敵がまとまっているが味方がいないのを確認後、【ファイアスローワー】を放つ。
一網打尽とはいかずとも、相当な数は葬られる。
「意外と早く片付くかもしれませんが……」
獣型は足が速く、回避もしているのがいる。敵の行動を見つめつつ、使う魔法は臨機応変に選ばねばならないだろう。
ステラは弾を変えて戦うことを試みる。後方にいるスライム状の敵に対し特殊冷却弾を用いた。
「あら?」
思った以上に氷つくような作用はない。水属性のついた攻撃がよりよいというような反応もうかがえない。
「効果は芳しくはないようですわね」
効いていないわけではないが、ここの敵に使い続けるメリットは薄いかもしれない。
銃剣で【霊魔撃】を用いた。こちらの方が攻撃が効いている。ステラにとってはここのスライム状の雑魔は属性を付けた銃弾よりもマテリアルをまとわせた攻撃の方が確実性が高いことはわかる。
「無理に今相手する必要はありませんわね」
スライムはすぐに影響はない速度であるため、獣型雑魔たちに向けて【制圧射撃】を使った。
雑魔たちがハンターたちの戦線を抜けたとしても、数は少なかった。それを、光頼が切り捨てていく。
(結局……私は、何をしているのだろうか?)
疑問に次ぐ疑問。十は年下の娘らに、蹴られ、怒られた。
ここを守ることは重要であり、今すべきことだ。ハンターたちの行動を見て、光頼は考えた。
「スライムは回復や分裂をしますね……」
ツィスカは敵を見てつぶやく。幸い、分裂はまだしていないようだが、あくまで広がっているものを見ての感覚だ。
「そうそう、だから、うまく誘導した分、ツィスカがばーんとやってちょうだい」
「魔法の方がききますしね」
カーミンはツィスカに場を譲りながら、自身は獣型の雑魔にワイヤーウィップのスキル【マテリアルブレード】を放った。
「来てくれてありがと。待ちぼうけするかと思ったわー」
攻撃を避けきれなかったものは霧散する。
雑魔たちは徐々に消えていく。
毒で弱りつつある馬頭はルカに向かう。それに対し、ステラが援護として入る。【ターゲティング】を用いて、できる限り敵の移動を止めようとする。
「遮蔽物がないということはお互い様ですわ。草むらは獣が潜むにふさわしいとしても、油断はありません。味方に近づく前に銃撃でつぶしますわ」
場を広く見て敵を狙う。雑魔は隙間を縫って攻撃はしてくる。
「この程度では怪我とは言いません」
ルカはツィスカが多く持つ範囲魔法のための足止めの一つとして意識して、行動していた。馬頭に狙われたことは好都合であり、そのまま足止めのため【プルガトリオ】を放ち、攻撃を盾で受け止める。
●カニ!
「紅葉さん、天ノ都側も雑魔がたくさん来ているんです」
智里は紅葉の傷を癒やしながら告げる。
「あちらは光頼さんたちが対応に出ました。こちらを片付けたら、私たちもすぐにあちらに向かわないと」
智里の言葉を聞いた後、紅葉はうなずく。
「紅葉、符術使えるなら、雑魔を減らすのを優先してくれかしら?」
アルスレーテは紅葉を守りながら、フォースリングの力を用いながら【マジックアロー】を放つ。カニのような妖怪を中心に攻撃をしていく。
紅葉は「できます」と答えると、符を準備した。
智里はその判断を尊重する。ハンターが二から三人いれば足止めは可能だと考えるし、討伐しうると考える。一方で、紅葉がここに残り、助力してくれるならば、早く片づけて向かうことも可能だ。
ミオレスカは足止めの攻撃をする。目視し、射程に問題がないところで紅葉に敵を近づけないための射撃を行う。足が速かった仲間が到着した後、態勢が整うまで援護を続ける。
「敵を近づかせはしません」
符術らしい光があり、紅葉の無事がわかる。ミオレスカは一旦攻撃を止め、愛馬に全力で移動してもらうのだった。
アレイダは急ぐ、スペルブーツのスキルとそれが切れたところでは全力で移動する。
到着した後、カニのような妖怪と対峙する。二体いるがどちらも同じくらい体力は削られているようだった。
「ほー、いきのいいかにじゃないか!」
カニの妖怪の前に立つと【ノックバック】で海の方に動かしつつ、【ワイルドスラッシュ】で殻を砕こうと試みた。
「紅葉さん、符の補充時間かかってますよね、下がってください」
ミオレスカは紅葉の前に立ちながら【ハウンドバレット】を放つ。
「動けないなら動けないでミオの後ろにいて」
アルスレーテは攻撃を直接の攻撃に切り替える。カニに攻撃を受けたからであり、【練気「龍鱗甲」】から【九想乱麻】【災いの娘】と攻撃をつないでいく。
鉄扇を広げ、一瞬「舞を意識する」ことがよぎるが、そんな余裕をかますと危険だと理解した。まだ敵は残っているのだから。
「磯臭いです」
智里は思わずつぶやいた。雑魔たちが海から来ていることを示すような臭いが浜辺で漂う。【ファイア―スローワー】や紅葉の【五色光符陣】で、ほぼいなくなる。乱戦とまで行かないが、味方の位置を考えるとスキルは選ぶ。
「食料にならないのが本当にもったいない」
アレイダはカニの攻撃をかわしながら武器を振るう。
「カニじゃないなら、大型の獣と変わらない。私は子どもの頃から狩猟で生計を立ててきたんでね、退かないさ」
攻撃を仕掛けた。
二つの戦場において数で優位だった妖怪と雑魔。
到着したハンターたちの連携の取れた攻撃により討伐された。
●先達の心
智里は紅葉を他の者に任せ、機動力を生かし戻ることにする。
「状況はわからないのです。人に被害を出さないことが重要ですから」
紅葉が「ありがとうございます」と述べる。
智里は微笑み首を横に振り「片は付いていると思うんです」と残し出発した。
それを見送った後、紅葉を魔導ママチャリの椅子に座らせ、アルスレーテが押す形で戻る。
「二人乗りも危険だからね……仕方がないわよね……」
高さを鑑みると馬よりママチャリが座りやすかったにすぎない。しゃんと座って見える紅葉だが本調子からは程遠い。気を付けて乗っても危険は高くなる。
「こうなると釣りも危険ですね。交易をするとしても、戦力になる船が必要でしょうか?」
ミオレスカの言葉に紅葉が溜息をもらした。
「陸地からタコつぼか投網をすれば、何か獲れるかもしれませんね……。タコが得意と言うわけではないですが、獲れれば何とかなるでしょう」
ミオレスカがまじめにいうので紅葉は微笑んだ。
「あれだけのカニ、食料になれば言うことがないのにねぇ。安定した収入があるなら、手を貸してやりたいもんだけどね」
アレイダは大きく息を吐く。どこもかしこも戦いが多く、なかなか安定は難しそうだ。一つずつ片付けるしかない。
先行して戻った智里は途中で、紅葉救出に向かおうとした家臣たちが遭遇した。すでに助けた旨を告げると、急いで迎えに走った。智里は都側の妖怪たちも討伐されたことを見てとった。
カーミンは戻ってきた他のハンターと紅葉の姿を見てほっとする。紅葉を頼りないとは思っていないが、危なっかしいところがあると感じていた。ハンターたちもいるから心配することはなったが。
前に出てきていた光頼にぽつり、声をかける。
「運が良かったのかしらね。それとも悪かったのかしら? 初めてなついた愛馬、生き残ったら名前つけるなんて言っていたら、ユグディラを喪った……誰かと引き換えの生。今でも、あの子たちを殺したのは私、という自責が強い……。ねえ、クレハや里人の姿を見て、あなたの悩みどうなのかしら?」
光頼は顔を伏せ、膝を折る。何か、気づいたのだ。
「光頼さん、お怪我ですか!? 大丈夫ですの!?」
ステラが慌てて駆け寄る。彼女もけがを多少なりともしているが、ひどい痛みがあるわけではない。
「いや……すまない」
光頼は困ったような顔をして、立ち上がる。
ルカはそれを見て、ほっとする。紅葉が戻ってきているし、負傷者がいるならば、手当ても必要だと考えた。
「死にそうな顔ではありません……。むしろ、紅葉さんがよれよれすぎて……」
ルカはそちらに走った。
この様子を見ていたツィスカは光頼が立ち直りつつあると読み取る。
「なすべきことが見つかったということでしょうか」
この地域は里として急激に姿を変えているのは見ればわかる。そこにいるならば、光頼にも必要なものはあるのだ。
灯世は一行を見つめ胸をなでおろす。
民は光頼が守ろうとしてくれたことを見ていた。今後を考えると必要なことである。ハンターがいなければその光頼は悩みにはまり続ける可能性があった。
「やれやれ……世話が焼ける後進ども……と言っても十違うかどうかだぞ」
なんとなく自己嫌悪に陥ったが、ハンターたちを見て表情がゆるんだ。
翌日から紅葉が熱を出して寝込んだ。家臣たちは大騒ぎとなり、里でも今後一人歩きは難しくなる。
光頼は憑き物が落ちたように行動を開始した。まず、この里で暮らすために何が必要かのすり合わせもあるのだ。
この地にいたハンターは八人、二手に分かれる
「時間は惜しいですわ!」
ステラ・フォーク(ka0808)は吉備 灯世の話を聞くとすぐさま、松永 光頼が向かったほうに馬を走らせる。敵が見えたところで【野生の瞳】を用いる。
ルカ(ka0962)はちらりと見た光頼の姿に苛立ちを覚えていた。背景も聞けば、逃がした人も逃がされ生かされた立場の気持ちはわかる。しかし、彼の顔を見てそれで戦場に出るのは非常に迷惑だと感じた。
「それだけではなく邪魔です」
それを正すために魔導バイクで急いだ。
カーミン・S・フィールズ(ka1559)はエクウスに乗ると真っ直ぐ進む。ルカ同様、光頼の様子が気になっていた。そのため、光頼に対して第一声は「ひっどい顔をしているわよ」と投げかけた。
「東方の殿方は、鏡を使わないのかしら?」
むっとする光頼を見た後、カーミンは戦場に目を向けた。
「行くわよ!」
柵の近くで敵の情報を確認し、仲間や師岬の者が動きやすいようにするつもりだった。
ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)はゴースロンで駆け付け、先行したステラとカーミンの背を追う前に、光頼に一言告げておく。
「光頼殿、あなたのことはよく存じません。ですが、今生きているうちに、できることを出来る範囲でやっていただかねば。それに最後にいつもあなただけ生き残るのであれば、今回は私たちも生き残ることになるのでしょう。私とてなすべきことのために紡ぐことを願いますから」
早口で思いを述べた。
直後、ルカが光頼の横を通る際「ごめんなさい」と微笑み、本気に近い形で彼の股間を蹴った。互いに鎧もあるため、どうなったかは押して測られる。
「私は、紅葉さんに悲しい知らせをするつもりはありませんので!」
きっぱりと言うと、戦場に向かう。
「え、紅葉さんが? すぐに行きますっ!」
穂積 智里(ka6819)は大江 紅葉(kz0163)の危機に魔導バイクを全力で走らせる。
「いやぁ、一応、宗主だってのに一人でふらふらは自覚たりないんじゃないかしらね?」
アルスレーテ・フュラー(ka6148)は辛口でつぶやくが、行動は早く、魔導ママチャリにまたがり全力移動する。ダイエット兼小遣い稼ぎのために頑張るのが本心だとしても、依頼人としては頼りになる気迫だ。
ミオレスカ(ka3496)は愛馬を急がせた。
「食料調達も生きていればこそ、です」
紅葉が食料や建物やら気にしているのは知っているから。
アレイダ・リイン(ka6437)は自らの足で急ぐため、スペルブーツのスキルを解放する。
「食料難か……この界隈は戦いが続いていることだし仕方がないか。おまけにあの憤怒王のとの戦のせいで雑魔も活発ことになっていることだし、一次産業はどこまで持つのやら」
内心溜息も出るが、狩猟ならば得意分野と自負するため、手をかすことはやぶさかではないためここに来ていたのだった。
しばらくするとアルスレーテが到着し、紅葉と大型の妖怪の間に割って入る。
「無事?」
紅葉をちらりと見れば、動けるが傷はそれなりに深い様子だ。アルスレーテは鉄扇を持ち【マジックアロー】を放つ手順を進める。
「紅葉さん、大丈夫ですか!」
智里が到着し、紅葉に【ヒール】を掛ける。
ミオレスカの放った矢がアルスレーテの行動を援護する。
双方、戦端は開かれた。
●多数
カーミンは馬で戦場を駆け抜け、師岬の者たちの布陣を助けるとともに、敵の位置等の把握につなげる。
獣系の雑魔は脚力を生かし迫り、大型の妖怪はそれに続く形だ。さらにその後ろにスライム状の敵がいる。
「固まって戦うにはあの馬頭は厄介ね」
カーミンはドールリングに込められたスキルを解放し、【千日紅】を用いる。肉体の強化をするとともに【オレアンダー】で武器に毒を持たせる。その直後、【楓】で二度素早く攻撃をする。敵と交雑することを避け、一旦離れた。
ルカは戦場に出る前に光頼らに提案をする。
「光頼さんたちは柵より後方、もしくは私たちより後ろで抜けた敵の足止め等をお願いします。とどめを刺すのが難しい場合は、敵の足をつぶすよう頼みます」
ルカは前に出るそして、盾を構え、向かってくる敵に対し【プルガトリオ】を放った。足止めすると同時に、ここに敵がいるという宣言である。雑魔によっては回避を失敗すると塵と化すものもあった。
「足が速い者たちを倒していく……」
カーミンの大型妖怪を誘導するように動かしたことで、雑魔たちの動きも複雑になる。ただ、複雑になると敵や餌という認識の方にやってくる。
「むしろ、好都合です」
ルカは獣系は足止めを意識し【ブルカトリオ】でも強度が低めの方を選ぶ。獣型の雑魔の方は、攻撃に対する耐性を考えると足止めさえすれば討伐はしやすい。あとから来るスライムの方が攻撃は通常の攻撃は通りづらい上に、再生や分裂といった特殊な行動が考えられる溜め、強度の高い魔法は温存する。
ツィスカは雑魔の数が不明と聞き、一刻でも早く、一体でも多く倒すことを考える。そのことは仲間も同様であると行動から考えられる。雑魔がそれなりにまとまった状態が作られていた。
「スライムもいますね……そちらは分裂や防御を無視した攻撃もあります。……とはいえ、まずは獣型が来ますね……」
敵がまとまっているが味方がいないのを確認後、【ファイアスローワー】を放つ。
一網打尽とはいかずとも、相当な数は葬られる。
「意外と早く片付くかもしれませんが……」
獣型は足が速く、回避もしているのがいる。敵の行動を見つめつつ、使う魔法は臨機応変に選ばねばならないだろう。
ステラは弾を変えて戦うことを試みる。後方にいるスライム状の敵に対し特殊冷却弾を用いた。
「あら?」
思った以上に氷つくような作用はない。水属性のついた攻撃がよりよいというような反応もうかがえない。
「効果は芳しくはないようですわね」
効いていないわけではないが、ここの敵に使い続けるメリットは薄いかもしれない。
銃剣で【霊魔撃】を用いた。こちらの方が攻撃が効いている。ステラにとってはここのスライム状の雑魔は属性を付けた銃弾よりもマテリアルをまとわせた攻撃の方が確実性が高いことはわかる。
「無理に今相手する必要はありませんわね」
スライムはすぐに影響はない速度であるため、獣型雑魔たちに向けて【制圧射撃】を使った。
雑魔たちがハンターたちの戦線を抜けたとしても、数は少なかった。それを、光頼が切り捨てていく。
(結局……私は、何をしているのだろうか?)
疑問に次ぐ疑問。十は年下の娘らに、蹴られ、怒られた。
ここを守ることは重要であり、今すべきことだ。ハンターたちの行動を見て、光頼は考えた。
「スライムは回復や分裂をしますね……」
ツィスカは敵を見てつぶやく。幸い、分裂はまだしていないようだが、あくまで広がっているものを見ての感覚だ。
「そうそう、だから、うまく誘導した分、ツィスカがばーんとやってちょうだい」
「魔法の方がききますしね」
カーミンはツィスカに場を譲りながら、自身は獣型の雑魔にワイヤーウィップのスキル【マテリアルブレード】を放った。
「来てくれてありがと。待ちぼうけするかと思ったわー」
攻撃を避けきれなかったものは霧散する。
雑魔たちは徐々に消えていく。
毒で弱りつつある馬頭はルカに向かう。それに対し、ステラが援護として入る。【ターゲティング】を用いて、できる限り敵の移動を止めようとする。
「遮蔽物がないということはお互い様ですわ。草むらは獣が潜むにふさわしいとしても、油断はありません。味方に近づく前に銃撃でつぶしますわ」
場を広く見て敵を狙う。雑魔は隙間を縫って攻撃はしてくる。
「この程度では怪我とは言いません」
ルカはツィスカが多く持つ範囲魔法のための足止めの一つとして意識して、行動していた。馬頭に狙われたことは好都合であり、そのまま足止めのため【プルガトリオ】を放ち、攻撃を盾で受け止める。
●カニ!
「紅葉さん、天ノ都側も雑魔がたくさん来ているんです」
智里は紅葉の傷を癒やしながら告げる。
「あちらは光頼さんたちが対応に出ました。こちらを片付けたら、私たちもすぐにあちらに向かわないと」
智里の言葉を聞いた後、紅葉はうなずく。
「紅葉、符術使えるなら、雑魔を減らすのを優先してくれかしら?」
アルスレーテは紅葉を守りながら、フォースリングの力を用いながら【マジックアロー】を放つ。カニのような妖怪を中心に攻撃をしていく。
紅葉は「できます」と答えると、符を準備した。
智里はその判断を尊重する。ハンターが二から三人いれば足止めは可能だと考えるし、討伐しうると考える。一方で、紅葉がここに残り、助力してくれるならば、早く片づけて向かうことも可能だ。
ミオレスカは足止めの攻撃をする。目視し、射程に問題がないところで紅葉に敵を近づけないための射撃を行う。足が速かった仲間が到着した後、態勢が整うまで援護を続ける。
「敵を近づかせはしません」
符術らしい光があり、紅葉の無事がわかる。ミオレスカは一旦攻撃を止め、愛馬に全力で移動してもらうのだった。
アレイダは急ぐ、スペルブーツのスキルとそれが切れたところでは全力で移動する。
到着した後、カニのような妖怪と対峙する。二体いるがどちらも同じくらい体力は削られているようだった。
「ほー、いきのいいかにじゃないか!」
カニの妖怪の前に立つと【ノックバック】で海の方に動かしつつ、【ワイルドスラッシュ】で殻を砕こうと試みた。
「紅葉さん、符の補充時間かかってますよね、下がってください」
ミオレスカは紅葉の前に立ちながら【ハウンドバレット】を放つ。
「動けないなら動けないでミオの後ろにいて」
アルスレーテは攻撃を直接の攻撃に切り替える。カニに攻撃を受けたからであり、【練気「龍鱗甲」】から【九想乱麻】【災いの娘】と攻撃をつないでいく。
鉄扇を広げ、一瞬「舞を意識する」ことがよぎるが、そんな余裕をかますと危険だと理解した。まだ敵は残っているのだから。
「磯臭いです」
智里は思わずつぶやいた。雑魔たちが海から来ていることを示すような臭いが浜辺で漂う。【ファイア―スローワー】や紅葉の【五色光符陣】で、ほぼいなくなる。乱戦とまで行かないが、味方の位置を考えるとスキルは選ぶ。
「食料にならないのが本当にもったいない」
アレイダはカニの攻撃をかわしながら武器を振るう。
「カニじゃないなら、大型の獣と変わらない。私は子どもの頃から狩猟で生計を立ててきたんでね、退かないさ」
攻撃を仕掛けた。
二つの戦場において数で優位だった妖怪と雑魔。
到着したハンターたちの連携の取れた攻撃により討伐された。
●先達の心
智里は紅葉を他の者に任せ、機動力を生かし戻ることにする。
「状況はわからないのです。人に被害を出さないことが重要ですから」
紅葉が「ありがとうございます」と述べる。
智里は微笑み首を横に振り「片は付いていると思うんです」と残し出発した。
それを見送った後、紅葉を魔導ママチャリの椅子に座らせ、アルスレーテが押す形で戻る。
「二人乗りも危険だからね……仕方がないわよね……」
高さを鑑みると馬よりママチャリが座りやすかったにすぎない。しゃんと座って見える紅葉だが本調子からは程遠い。気を付けて乗っても危険は高くなる。
「こうなると釣りも危険ですね。交易をするとしても、戦力になる船が必要でしょうか?」
ミオレスカの言葉に紅葉が溜息をもらした。
「陸地からタコつぼか投網をすれば、何か獲れるかもしれませんね……。タコが得意と言うわけではないですが、獲れれば何とかなるでしょう」
ミオレスカがまじめにいうので紅葉は微笑んだ。
「あれだけのカニ、食料になれば言うことがないのにねぇ。安定した収入があるなら、手を貸してやりたいもんだけどね」
アレイダは大きく息を吐く。どこもかしこも戦いが多く、なかなか安定は難しそうだ。一つずつ片付けるしかない。
先行して戻った智里は途中で、紅葉救出に向かおうとした家臣たちが遭遇した。すでに助けた旨を告げると、急いで迎えに走った。智里は都側の妖怪たちも討伐されたことを見てとった。
カーミンは戻ってきた他のハンターと紅葉の姿を見てほっとする。紅葉を頼りないとは思っていないが、危なっかしいところがあると感じていた。ハンターたちもいるから心配することはなったが。
前に出てきていた光頼にぽつり、声をかける。
「運が良かったのかしらね。それとも悪かったのかしら? 初めてなついた愛馬、生き残ったら名前つけるなんて言っていたら、ユグディラを喪った……誰かと引き換えの生。今でも、あの子たちを殺したのは私、という自責が強い……。ねえ、クレハや里人の姿を見て、あなたの悩みどうなのかしら?」
光頼は顔を伏せ、膝を折る。何か、気づいたのだ。
「光頼さん、お怪我ですか!? 大丈夫ですの!?」
ステラが慌てて駆け寄る。彼女もけがを多少なりともしているが、ひどい痛みがあるわけではない。
「いや……すまない」
光頼は困ったような顔をして、立ち上がる。
ルカはそれを見て、ほっとする。紅葉が戻ってきているし、負傷者がいるならば、手当ても必要だと考えた。
「死にそうな顔ではありません……。むしろ、紅葉さんがよれよれすぎて……」
ルカはそちらに走った。
この様子を見ていたツィスカは光頼が立ち直りつつあると読み取る。
「なすべきことが見つかったということでしょうか」
この地域は里として急激に姿を変えているのは見ればわかる。そこにいるならば、光頼にも必要なものはあるのだ。
灯世は一行を見つめ胸をなでおろす。
民は光頼が守ろうとしてくれたことを見ていた。今後を考えると必要なことである。ハンターがいなければその光頼は悩みにはまり続ける可能性があった。
「やれやれ……世話が焼ける後進ども……と言っても十違うかどうかだぞ」
なんとなく自己嫌悪に陥ったが、ハンターたちを見て表情がゆるんだ。
翌日から紅葉が熱を出して寝込んだ。家臣たちは大騒ぎとなり、里でも今後一人歩きは難しくなる。
光頼は憑き物が落ちたように行動を開始した。まず、この里で暮らすために何が必要かのすり合わせもあるのだ。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/12 12:09:22 |
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相談卓 アルスレーテ・フュラー(ka6148) エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2019/03/15 06:30:28 |