ゲスト
(ka0000)
【血断】眠れるオートソルジャー
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/03/18 09:00
- 完成日
- 2019/03/19 18:02
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●眠り続ける者たち
人の手によって作られた彼らに、明確な意思というものがあるかどうかは分からない。
しかしエバーグリーンを守るために作られた彼らには、何かを守るためにあるという存在意義があった。
エバーグリーンは既に滅びた。
しかし、滅びの運命に瀕しつつも、まだ抗い続ける世界の住人がいることを、休眠中の彼らは悟っていた。
最近、工場の周りが騒がしいのだ。
休眠中の同胞を目覚めさせ、召喚マーカーを設置していく者たちがいる。
長い時を経てもプログラムを正常に保つことができた者は、彼らの来訪を喜び、世界を守るという己が作られた目的を果たすため、必要とされる時を待った。
だが、長い時の中で己のプログラムに変化が生じ、その行動様式を狂わせてしまった者もいた。
彼らは目覚めさせられることを望まない。
ただ、眠り続けることを望む。
もし無理やり目覚めさせるようなことがあれば、その者を敵と認識して襲い掛かるだろう。
もう、彼らは世界を守るという己が作られた理由すら忘却してしまっている。
残る者たちは語らない。
当然だ。彼らのプログラムはもう、起動できないほどに崩れてしまっている。
そしてそれ以前の問題で、身体自体が劣化に耐え切れず、崩壊しかけている者たちもいるのだ。
●ハンターズソサエティ
ジェーンが居並ぶハンターたちの前で、新しい依頼を掲示板に貼り出した。
何人かが依頼書をはがし、受けようと受付へ持っていった。
にこやかな営業スマイルで、ジェーンが依頼の説明を始める。
「最近はエバーグリーンでの依頼が増えていますが、今回もその関連の依頼となります。エバーグリーンの工場に赴き、オートソルジャーを起動してこの召喚マーカーを設置してきてください」
カウンターの中からジェーンが木箱を取り出し、召喚マーカーを大量に並べる。
「何しろろくにメンテナンスもされていないものですから、中には壊れていて動かないもの、動いても暴走を始めるものもあるでしょう。召喚マーカーは正常に起動できたもののみに設置するようにしてください」
続けてジェーンは書類を取り出し、ハンターたちに見えるようカウンターに置く。
「こちらは該当オートソルジャーの武装一覧です。遠距離中距離近距離、バランス良く備えているようですね。それではよろしくお願いいたします」
最後にジェーンはハンターたちに対し深く頭を下げた。
人の手によって作られた彼らに、明確な意思というものがあるかどうかは分からない。
しかしエバーグリーンを守るために作られた彼らには、何かを守るためにあるという存在意義があった。
エバーグリーンは既に滅びた。
しかし、滅びの運命に瀕しつつも、まだ抗い続ける世界の住人がいることを、休眠中の彼らは悟っていた。
最近、工場の周りが騒がしいのだ。
休眠中の同胞を目覚めさせ、召喚マーカーを設置していく者たちがいる。
長い時を経てもプログラムを正常に保つことができた者は、彼らの来訪を喜び、世界を守るという己が作られた目的を果たすため、必要とされる時を待った。
だが、長い時の中で己のプログラムに変化が生じ、その行動様式を狂わせてしまった者もいた。
彼らは目覚めさせられることを望まない。
ただ、眠り続けることを望む。
もし無理やり目覚めさせるようなことがあれば、その者を敵と認識して襲い掛かるだろう。
もう、彼らは世界を守るという己が作られた理由すら忘却してしまっている。
残る者たちは語らない。
当然だ。彼らのプログラムはもう、起動できないほどに崩れてしまっている。
そしてそれ以前の問題で、身体自体が劣化に耐え切れず、崩壊しかけている者たちもいるのだ。
●ハンターズソサエティ
ジェーンが居並ぶハンターたちの前で、新しい依頼を掲示板に貼り出した。
何人かが依頼書をはがし、受けようと受付へ持っていった。
にこやかな営業スマイルで、ジェーンが依頼の説明を始める。
「最近はエバーグリーンでの依頼が増えていますが、今回もその関連の依頼となります。エバーグリーンの工場に赴き、オートソルジャーを起動してこの召喚マーカーを設置してきてください」
カウンターの中からジェーンが木箱を取り出し、召喚マーカーを大量に並べる。
「何しろろくにメンテナンスもされていないものですから、中には壊れていて動かないもの、動いても暴走を始めるものもあるでしょう。召喚マーカーは正常に起動できたもののみに設置するようにしてください」
続けてジェーンは書類を取り出し、ハンターたちに見えるようカウンターに置く。
「こちらは該当オートソルジャーの武装一覧です。遠距離中距離近距離、バランス良く備えているようですね。それではよろしくお願いいたします」
最後にジェーンはハンターたちに対し深く頭を下げた。
リプレイ本文
●依頼開始
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が予想した通り、この任務にはエバーグリーンに残っている兵器類を少しでも確保して戦力を強化し、邪神との決戦に備えようという狙いがあった。
出発前に教えてもらった起動手順をしっかりとメモし、アルトは出発した。
機械知識と暗記はセットしてきていないが、メモをしたので何とかなるだろう。
「俺はリュー。リュー・グランフェストだ。よろしくな」
同行する味方に自己紹介を済ませたリュー・グランフェスト(ka2419)は、アルトに続いて出発する。
(エバーグリーンの依頼、か。共に戦う奴は多い方が心強いしな)
夢路 まよい(ka1328)の目的は、正常なオートソルジャーを護りつつ、暴走するオートソルジャーがいれば倒していくことだ。
「オートソルジャーも最近、相棒として連れてる人も増えたよね。エバーグリーンから心強い味方が増えるのは歓迎だし、頑張ってお迎えしないとね」
「眠っているオートソルジャーを起こす……! つまり今日の私は白雪姫でいう王子様ですね!」
百鬼 一夏(ka7308)は賑やかだ。
「ちゅーじゃなくてもお姫様は起きるのですけど! いや、むしろちゅーで起こすのは困りますけどね! ファーストキスは思い人に取っておきたいのが乙女心です!」
生産工場に佇むオートソルジャーたちの調査が始まる。
さあ、戦いの始まりだ!
●オートソルジャーの目覚め
「一体ずつ確実にやるぞ。念のため私が起こす」
起動役にアルトが立候補したのは、起こしたオートソルジャーがいきなり襲ってくる危険性を危惧したからだ。
(私なら回避で対応ができるからな)
本来オートソルジャーは人間を襲うようにはできていないが、それはすなわち襲ってきたイコール暴走という方程式が成り立つことを意味する。
「悪いな、頼むわ」
右下からアルトがオートソルジャーを起動させていくのを、リューは残る二人とともに見守る。
その結果、負傷などの理由でアルトの状態が万全でなくなれば、リューが代行すればいい。
炎のようなオーラを纏うと、アルトは味方の準備が完了しているのをしっかりと確認し、一体一体起動するか確かめていく。
起動したオートソルジャーは、ビームダガーを抜き放ってアルトに攻撃を仕掛けてきた。
「気をつけろ! 暴走しているぞ!」
攻撃を予測し、それより早く試作法術刀「華焔」の痛烈な斬撃をオートソルジャーの急所部分に叩き込み、鮮やかに自分への攻撃を避けたアルトは味方に警戒を促す。
総攻撃を受け、暴走したオートソルジャーは沈黙した。
壊れたオートソルジャーを三体破壊したところで、右下に大きな空間ができた。
「この辺りとか、避難所に良さそうだね」
正常な起動が確認できたオートソルジャーへの召喚マーカー設置を手伝った後、まよいは見るからに故障していると分かるオートソルジャーを遮蔽物として使えるよう、起動済みのオートソルジャーを避難させようとした。
オートソルジャーたちはまよいの意を酌み、壊れたオートソルジャーを運んで自ら壁を作っていったので、まよいの手間は省けた。
リューは新たにアルトが起動したオートソルジャーの挙動を注意深く窺った。
いきなり暴走し出した先例があるので油断はできない。
「……大丈夫そうだな。悪いがこっちに寄ってくれ」
そのオートソルジャーは、リューの命令に素直に従い、しずしずと移動し再び待機状態に入る。
力仕事になることを予想し、運ぶのは自分がやろうと思っていたリューだが、正常なオートソルジャーたちは思ったより行儀がいいようだった。
まよいはとにかく戦闘の流れ弾で正常なオートソルジャーが壊れることを防ごうと動く。
マテリアルを調節し、次に使用する魔法の射程を延長させると、正常なオートソルジャーへ向かう方面に土でできた壁を作り出した。
暴走するオートソルジャーから遮蔽させ、守る作戦だ。
「設置位置にはある程度の自由度があるからね」
的確に魔法を発動させ、まよいは正常なオートソルジャーを守る壁を次々張り巡らせていった。
生産工場の南東付近に壊れたオートソルジャーを壁とした避難空間を確保し、起動成功したオートソルジャーをそこへ避難させていく。
起動と暴走オートソルジャーの撃破は全員で行うが、一夏にとっては避難空間作りも活躍の場だ。
体内のマテリアルを練り上げ、筋力を爆発的に増加させて壊れたオートソルジャーを持ち上げると、一夏の真似をしたのか起動成功した正常なオートソルジャーが壊れたオートソルジャーを同じように持ち上げて運び始める。
「先に行って待機していてもいいんですよ?」
首を傾げたオートソルジャーは、まるで「いいの?」と確認しているかのように、一夏に振り返る。
壊れたオートソルジャーを優しくその場に下ろすと、避難場所へ歩き出した。
時々振り返るオートソルジャーの後ろを、両手で二つの壊れたオートソルジャーを抱え上げ、一夏はついていく。
●正常なオートソルジャーを守れ
オートソルジャーの起動は順調に進んでいく。
起動させたオートソルジャーの暴走を確認するたび、鈎爪「飛蛇」を手にアルトはマテリアルを放出させ戦闘態勢に入る。
「自由にさせて正常なものを壊されたらたまったもんじゃないからな。無理やりこちらの事情で起こしたのに破壊するっていうのは申し訳がないんだが。……私たちもそれほど余裕があるわけじゃないんでな、すまない」
鋼の閃光が一瞬の華を織り成し、超高速の連撃がオートソルジャーに叩き込まれる。
これが生身の肉体を持つ敵ならば、血の華が咲き狂っていただろう。
鉤爪に連動した縄がオートソルジャーの動きを縛り、回避を困難にさせる。
寄せて避難させたオートソルジャーを背にし、リューは暴走したオートソルジャーを通さない構えを取る。
守りの型を取り、マテリアルをその身に纏い、強化維持する。
体内で極限まで高まったマテリアルが解放され、身体からオーラとして噴き出していった。
「まずは動きを封じるぞ!」
仲間を巻き込まないよう気を付け、体内のマテリアルを爆発的に放出させた。
両手で星神器「エクスカリバー」を掲げ、大量のマテリアルとともに前方に突き出す。
マテリアルの奔流が輝きとともに刃が伸びたかのように飛んでいき、暴走オートソルジャーの胴体を貫く。
壊れかけた暴走オートソルジャーがビームライフルを一夏目掛けて発射したが、リューはマテリアルによって空間に結界を展開し、攻撃のベクトルを捻じ曲げて強制的に自分に向かって引き寄せた。
傷一つつけられずに終わった暴走オートソルジャーは動きを停止させる。
アルトが着実にオートソルジャーの起動を進めていく。
高い集中力と大量のマテリアルを用いて、まよいは二つ同時に魔法を詠唱する。
暴走オートソルジャーを一度に相手をするのは一体だ。
そして本来オートソルジャーのサイズは人間よりやや大きめなのだが、今回のオートソルジャーは小さめで、フォースリングのスキルアシストを使っても複数ヒットしない。
代わりに有り余るマテリアルを矢にありったけつぎ込んだ。
魔法の矢が二本空中に滞空し、マテリアルを纏って巨大化していった。
太陽の如く煌々と輝く、槍のように大きな光の矢が、滞空してまよいの発射命令を待っている。
「それじゃ、お願いね」
まよいの意思に呼応し飛翔した矢は、暴走を始めたオートソルジャーを二回連続で射抜いた。
壊れたオートソルジャーを壁にしてあるし、まよいが土壁も展開しているので正常なオートソルジャーは手厚く守られている。
新たに暴走を確認したオートソルジャーに対し、一夏は攻撃を仕掛けた。
武神到来拳「富貴花」を装着した拳で、マテリアルを込めて抉るような正拳突きを叩き込む。
「我儘なお姫様はぶん殴っていいと聞きました! 粉々にしちゃいましょう!」
暴走オートソルジャーの反撃を味方がいなしている隙に、一夏は第二撃として再び拳にマテリアルを集中させた。
両手を暴走オートソルジャーに押し当て、接触面を媒介に体内のマテリアルを一気に送り込む。
防御効果を無視した打撃の衝撃を、暴走オートソルジャーの内部機構に直接浸透させダメージを与えた。
適宜土の精霊の力を借りて土壁を補強し、最後まで巻き込みを防いだ。
●依頼完了
その後も戦いを続け、暴走オートソルジャーの全機破壊を皆で確認する。
アルトの火力、リューの守り、まよいの知恵、一夏の怪力、全ての要素が上手く働いた。
オートソルジャーは言語を発する機能を持たないが、しっかりと視線を向けてくる彼らの沈黙は、雄弁に意思をアルトに伝える。
世界を守るため、自分たちも戦うというかのように。
リューは戦った暴走オートソルジャーたちに対して黙祷する。
「壊れたとはいえ、守ろうとする意思はきっとあったのだと思う。そいつは、俺が受け取った」
しっかりと召喚マーカーを設置されているのをアルトが確認し、一行はその場を離れた。
正常なオートソルジャーたちは、静寂を取り戻した生産工場で召喚の時を待ち続ける。
こうして、今回の依頼は大成功に終わったのだった。
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が予想した通り、この任務にはエバーグリーンに残っている兵器類を少しでも確保して戦力を強化し、邪神との決戦に備えようという狙いがあった。
出発前に教えてもらった起動手順をしっかりとメモし、アルトは出発した。
機械知識と暗記はセットしてきていないが、メモをしたので何とかなるだろう。
「俺はリュー。リュー・グランフェストだ。よろしくな」
同行する味方に自己紹介を済ませたリュー・グランフェスト(ka2419)は、アルトに続いて出発する。
(エバーグリーンの依頼、か。共に戦う奴は多い方が心強いしな)
夢路 まよい(ka1328)の目的は、正常なオートソルジャーを護りつつ、暴走するオートソルジャーがいれば倒していくことだ。
「オートソルジャーも最近、相棒として連れてる人も増えたよね。エバーグリーンから心強い味方が増えるのは歓迎だし、頑張ってお迎えしないとね」
「眠っているオートソルジャーを起こす……! つまり今日の私は白雪姫でいう王子様ですね!」
百鬼 一夏(ka7308)は賑やかだ。
「ちゅーじゃなくてもお姫様は起きるのですけど! いや、むしろちゅーで起こすのは困りますけどね! ファーストキスは思い人に取っておきたいのが乙女心です!」
生産工場に佇むオートソルジャーたちの調査が始まる。
さあ、戦いの始まりだ!
●オートソルジャーの目覚め
「一体ずつ確実にやるぞ。念のため私が起こす」
起動役にアルトが立候補したのは、起こしたオートソルジャーがいきなり襲ってくる危険性を危惧したからだ。
(私なら回避で対応ができるからな)
本来オートソルジャーは人間を襲うようにはできていないが、それはすなわち襲ってきたイコール暴走という方程式が成り立つことを意味する。
「悪いな、頼むわ」
右下からアルトがオートソルジャーを起動させていくのを、リューは残る二人とともに見守る。
その結果、負傷などの理由でアルトの状態が万全でなくなれば、リューが代行すればいい。
炎のようなオーラを纏うと、アルトは味方の準備が完了しているのをしっかりと確認し、一体一体起動するか確かめていく。
起動したオートソルジャーは、ビームダガーを抜き放ってアルトに攻撃を仕掛けてきた。
「気をつけろ! 暴走しているぞ!」
攻撃を予測し、それより早く試作法術刀「華焔」の痛烈な斬撃をオートソルジャーの急所部分に叩き込み、鮮やかに自分への攻撃を避けたアルトは味方に警戒を促す。
総攻撃を受け、暴走したオートソルジャーは沈黙した。
壊れたオートソルジャーを三体破壊したところで、右下に大きな空間ができた。
「この辺りとか、避難所に良さそうだね」
正常な起動が確認できたオートソルジャーへの召喚マーカー設置を手伝った後、まよいは見るからに故障していると分かるオートソルジャーを遮蔽物として使えるよう、起動済みのオートソルジャーを避難させようとした。
オートソルジャーたちはまよいの意を酌み、壊れたオートソルジャーを運んで自ら壁を作っていったので、まよいの手間は省けた。
リューは新たにアルトが起動したオートソルジャーの挙動を注意深く窺った。
いきなり暴走し出した先例があるので油断はできない。
「……大丈夫そうだな。悪いがこっちに寄ってくれ」
そのオートソルジャーは、リューの命令に素直に従い、しずしずと移動し再び待機状態に入る。
力仕事になることを予想し、運ぶのは自分がやろうと思っていたリューだが、正常なオートソルジャーたちは思ったより行儀がいいようだった。
まよいはとにかく戦闘の流れ弾で正常なオートソルジャーが壊れることを防ごうと動く。
マテリアルを調節し、次に使用する魔法の射程を延長させると、正常なオートソルジャーへ向かう方面に土でできた壁を作り出した。
暴走するオートソルジャーから遮蔽させ、守る作戦だ。
「設置位置にはある程度の自由度があるからね」
的確に魔法を発動させ、まよいは正常なオートソルジャーを守る壁を次々張り巡らせていった。
生産工場の南東付近に壊れたオートソルジャーを壁とした避難空間を確保し、起動成功したオートソルジャーをそこへ避難させていく。
起動と暴走オートソルジャーの撃破は全員で行うが、一夏にとっては避難空間作りも活躍の場だ。
体内のマテリアルを練り上げ、筋力を爆発的に増加させて壊れたオートソルジャーを持ち上げると、一夏の真似をしたのか起動成功した正常なオートソルジャーが壊れたオートソルジャーを同じように持ち上げて運び始める。
「先に行って待機していてもいいんですよ?」
首を傾げたオートソルジャーは、まるで「いいの?」と確認しているかのように、一夏に振り返る。
壊れたオートソルジャーを優しくその場に下ろすと、避難場所へ歩き出した。
時々振り返るオートソルジャーの後ろを、両手で二つの壊れたオートソルジャーを抱え上げ、一夏はついていく。
●正常なオートソルジャーを守れ
オートソルジャーの起動は順調に進んでいく。
起動させたオートソルジャーの暴走を確認するたび、鈎爪「飛蛇」を手にアルトはマテリアルを放出させ戦闘態勢に入る。
「自由にさせて正常なものを壊されたらたまったもんじゃないからな。無理やりこちらの事情で起こしたのに破壊するっていうのは申し訳がないんだが。……私たちもそれほど余裕があるわけじゃないんでな、すまない」
鋼の閃光が一瞬の華を織り成し、超高速の連撃がオートソルジャーに叩き込まれる。
これが生身の肉体を持つ敵ならば、血の華が咲き狂っていただろう。
鉤爪に連動した縄がオートソルジャーの動きを縛り、回避を困難にさせる。
寄せて避難させたオートソルジャーを背にし、リューは暴走したオートソルジャーを通さない構えを取る。
守りの型を取り、マテリアルをその身に纏い、強化維持する。
体内で極限まで高まったマテリアルが解放され、身体からオーラとして噴き出していった。
「まずは動きを封じるぞ!」
仲間を巻き込まないよう気を付け、体内のマテリアルを爆発的に放出させた。
両手で星神器「エクスカリバー」を掲げ、大量のマテリアルとともに前方に突き出す。
マテリアルの奔流が輝きとともに刃が伸びたかのように飛んでいき、暴走オートソルジャーの胴体を貫く。
壊れかけた暴走オートソルジャーがビームライフルを一夏目掛けて発射したが、リューはマテリアルによって空間に結界を展開し、攻撃のベクトルを捻じ曲げて強制的に自分に向かって引き寄せた。
傷一つつけられずに終わった暴走オートソルジャーは動きを停止させる。
アルトが着実にオートソルジャーの起動を進めていく。
高い集中力と大量のマテリアルを用いて、まよいは二つ同時に魔法を詠唱する。
暴走オートソルジャーを一度に相手をするのは一体だ。
そして本来オートソルジャーのサイズは人間よりやや大きめなのだが、今回のオートソルジャーは小さめで、フォースリングのスキルアシストを使っても複数ヒットしない。
代わりに有り余るマテリアルを矢にありったけつぎ込んだ。
魔法の矢が二本空中に滞空し、マテリアルを纏って巨大化していった。
太陽の如く煌々と輝く、槍のように大きな光の矢が、滞空してまよいの発射命令を待っている。
「それじゃ、お願いね」
まよいの意思に呼応し飛翔した矢は、暴走を始めたオートソルジャーを二回連続で射抜いた。
壊れたオートソルジャーを壁にしてあるし、まよいが土壁も展開しているので正常なオートソルジャーは手厚く守られている。
新たに暴走を確認したオートソルジャーに対し、一夏は攻撃を仕掛けた。
武神到来拳「富貴花」を装着した拳で、マテリアルを込めて抉るような正拳突きを叩き込む。
「我儘なお姫様はぶん殴っていいと聞きました! 粉々にしちゃいましょう!」
暴走オートソルジャーの反撃を味方がいなしている隙に、一夏は第二撃として再び拳にマテリアルを集中させた。
両手を暴走オートソルジャーに押し当て、接触面を媒介に体内のマテリアルを一気に送り込む。
防御効果を無視した打撃の衝撃を、暴走オートソルジャーの内部機構に直接浸透させダメージを与えた。
適宜土の精霊の力を借りて土壁を補強し、最後まで巻き込みを防いだ。
●依頼完了
その後も戦いを続け、暴走オートソルジャーの全機破壊を皆で確認する。
アルトの火力、リューの守り、まよいの知恵、一夏の怪力、全ての要素が上手く働いた。
オートソルジャーは言語を発する機能を持たないが、しっかりと視線を向けてくる彼らの沈黙は、雄弁に意思をアルトに伝える。
世界を守るため、自分たちも戦うというかのように。
リューは戦った暴走オートソルジャーたちに対して黙祷する。
「壊れたとはいえ、守ろうとする意思はきっとあったのだと思う。そいつは、俺が受け取った」
しっかりと召喚マーカーを設置されているのをアルトが確認し、一行はその場を離れた。
正常なオートソルジャーたちは、静寂を取り戻した生産工場で召喚の時を待ち続ける。
こうして、今回の依頼は大成功に終わったのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/03/18 01:14:14 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/13 23:50:21 |