乱戦下に問う

マスター:植田誠

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/03/16 09:00
完成日
2019/03/31 20:28

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 それを人はなんと例えるだろうか。
 蛮勇、暴挙、狂乱……
「ハンター達に手間取らせるわけにはいかない! 俺たちも戦うぞ!!」
『おおおおっっっ!!!!』
 まぁなんでもいい。面倒なことに変わりはないのだ。


 世界の情勢がどうなろうとも、変わらないことというものがある。
 それは……
「俺たちは日々飯を食わないと生きていけないということだ」
 数人の男たちを前に、ナイフを持ったリーダー格の男が言った。
 彼らは盗賊。山賊でも野盗でもなんでもいいが、とにかく人を害することで利益を得ようとする集団だ。
「手筈はどうなってる?」
「ヘイ、とっ捕まえたコボルドはもうすっかり増えたみたいです」
 彼らの作戦はこうだ。コボルドを捕まえ、狙いの村近くに離す。コボルドの繁殖力ならすぐに数が増え、手近な村を襲うようになるだろう。
「そして、コボルドが村を襲い始めたところでこっちも村に潜入して、金目の物をいただいてしまおうという寸法なのだ。
 この手のいいところは、万が一見つかっても救援に来ただのなんだの言えば一時的にごまかすことができる点だ。
「混乱している間にトラックに乗ってトンズラすればいいわけだしな。楽な仕事だ」
「……始まったみたいですぜ」
 見張り役の男が戻ってきた。コボルドたちと村の入り口付近で戦闘が始まったらしい。現在村の戦力はそれなりの男手。加えてコボルドたちの駆除のためにやとわれたハンター達。
「ハンターが来たのは想定外でしたね」
「あぁ。だが、コボルドも思ってたより増えてくれた。それに、村の男どもが案外勇敢でな」
 勇敢な男たちは村を守るために武器を取る。彼らもまた日々を生きていくために必死に戦おうとしているのだ。もっとも、戦闘のプロたるハンター達にとっては守るべき人間が増えてさぞ戦いづらいだろうが。
「それじゃ、仕事に取り掛かるとしよう」
 リーダーはそう言って魔導トラックを出発させたのだった。

リプレイ本文


「思っていたよりは早い登場ですわね……まぁ、いいですわ。対処しなければいけないのは変わりないのですし」
 未だ鞘に納められた刀の柄に手をかけ、二ノ宮 アザミ(ka6443)が呟く。その視界には迫るコボルドたちの姿があった。
 一方、村人たちは異様な士気をもってそれに相対する。
「なんていうか、元気だなぁ……あの熱気だけで南條さんやられちゃいそう」
 ため息混じりに呟く南條 真水(ka2377)。とはいえ、あのままではやられてしまうのは村人の方であることはわかり切っている。
「……ま、聞いてくれるかは別として……」
 そういって真水は魔導拡声機を起動する。
「あーあー、てすてす……ぴんぽんぱんぽーん。まもなく、魔法による支援を実施いたします。勇敢なる村の皆さまはお集りのうえ、振るってご活用ください」
 拡声機を通して村人たちに声を届け、なんとか制御しようと試みている。コボルドの叫び声やらで端の方までは届かないだろうが、そこは他の者がフォローすればいい。
「出来る事をやればいいにせよ……付け焼刃の上に勇気と蛮勇を履き違えるようではまだまだ……」
 半ばは呆れ、半ばは意気込みへの賛辞といった心情のツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)は左方へ向かい、村へと入り込もうとするコボルドとその付近にいた村人のフォローへ。アザミはその逆へと向かったようだ。
「敵対行動を取った以上、このコボルドは殲滅対象ですねぇ……それじゃ、行ってきますねぇ」
 柔和な印象ながら、鋭い目つきでコボルドを見据える星野 ハナ(ka5852)。またがるのはママチャリ……いや、ママチャリではあるが非常に高性能だ。
 このママチャリでコボルドたちに突っ込んでいった。
「私も自転車を……いや、このままでいいか。しかし、人の領域にまで出てこなければ見逃してもよかったんだがな」
 アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)はそう言いながら周囲を見渡す。このまま村人とコボルドがぶつかれば少なからず犠牲が出ることは目に見えている。
(一人ずつ説得する時間はないな……)
 なればこそ、ハナは敵中に突っ込んでいったのだ。その意図はアルトが考えていたこと同じ。
「……とにかく数を減らすしかないか。そうすればその分村人一人当たりにぶつかるコボルドも減る、と……1体複数で確実に倒すんだ! いいな!!」
 せめてものアドバイスを叫ぶとともに、アルトは焔舞を使用。炎のようなオーラをまとい走り出した。
「コボルド倒しにきといて、先手打たれるとはな……ん?」
 天翔けるものを使用しつつ呟く岩井崎 旭(ka0234)。想定外の襲撃であったこともあり、他方からの奇襲に備えるための索敵を空から行おうというつもりだ。そんな旭が視界の端にあるものを捉えた。旭はすぐさま魔導短伝話を取り出した。
 一方、村の方では戦えない村人たちが中央の集会所に匿われており、それらを守るために2人のハンターが控えていた。
「……了解。ざくろ、ちょっと……」
 短伝話で連絡を受けたリュー・グランフェスト(ka2419)は時音 ざくろ(ka1250)を呼ぶ。
「大丈夫。絶対に守るから、安心してね」
 そう村人に笑いかけるざくろ。そのまま手を振りながらリューの方に向かう。その表情はすでに戦士のそれへと変わっていた。
「どうしたの、リュー」
「……見知らぬトラックが近づいてきてるらしい。どうする?」
「トラック?」
 コボルドとハンター及び村人との戦いの裏で、2人もまた問題への対処を迫られることになったのだった。


 短伝話を切ると、旭は眼下の状況を確認する。
「さて、真水がうまく制御してくれてるみたいだけど……」
 真水の誘導はある程度効果があったが、同時に副作用も見られた。声に誘われるようにコボルドも寄ってきていたのだ。
「あらら、これは想定してなかった……ただいまより南條さんの周囲に防御結界を展開します。お集まりください」
 村人とともに集まってくるコボルドに対処すべく、真水はヒカリを発動。まずは守りを固める。その術の強度は全身鎧を纏う程度には高い。ただし、自身を中心とし手発動する都合上、矢面に立つのは村人だ。
「……多少の怪我は覚悟してもらわないといけませんかね」
 ぼそりと呟いた真水だったが、そこに空から旭が突っ込んできた。
 旭は村人たちの先頭、今まさに接敵しようというコボルドたちに向け空中から突撃。踊り狂う乱気流、烈風の如き二連撃でその出鼻を挫く。
「おお、さすがハンターだ! 俺たちも続こう!!」
 村人の士気があがるのを感じる。ここぞとばかりに真水が声を出す。
「今こそチャンスです。岩井崎さんに続き我こそは村を守らんとする勇者の方、この理不尽を覆すための力が欲しい方は、燃え滾る魂のまま天に吼えてください」
 先を行くハンターたちの背を見て士気を上げていた村人は真水の言葉に呼応するかのように声を上げる。それに合わせ、多重性強化を使用。
「……なるほど。どーしても戦いたいみたいだな」
 その様子を見ていた旭は、やれやれと言った様子で槍を掲げながら、大嵐の加護を使用する。
「それなら、一緒に戦ってもらおう。ただし、指示は聞いてもらうぜ! そのままひと塊で突っ込むぞ!!」
 先頭をいく旭に続くように村人たちが動き出した。

● 
「Lo+、今ざくろ達の絆は結ばれた!!」
 集会所を出たざくろはファミリアズアイを使用。旭の言うトラックの様子をLo+に確認させる。
「……どうにもきな臭い。あまり目立たないようには注意してくれ」
「うん、わかってる」
 ざくろはLo+が効果範囲から出ないように注意しつつ、物陰から遠目でそのトラックを確認する。
「トラックは1台だけだね。4人ぐらい出ていったみたいだけど……」
「まぁ援軍じゃあないよな。まだ連絡もいってないだろうし……旭は行商かもと言ってたが……」
「違う」
 リューの言葉を否定するざくろ。その表情は険しい。4人のうち1人が家のドアをこじ開け、中に入っていったのをみたからだ。
「盗賊……みたいだね。警戒してたのとは別の問題だけど、許せない」
 怒りをあらわにするざくろ。それはリューも同じだった。だが、だからといってどうすればいいのか。
(誰かに戻ってもらうか? ……いや、向こうの戦力が減ったら、場合によってはコボルドに侵入されて村に被害が出る。かといって、この場を離れるのはどうなんだ……?)
 1対1で負けるとは思わないが、問題は村人たちの安全だ。下手に捕えようとして何人かに逃げられるならまだまし。リューとざくろが離れた隙に盗賊の1人が集会所に侵入したりしたら大変なことだ。
「……ちょっと手間かもしれないけど」
「ん? なんだ?」
 考え込むリューに、ざくろが言った。
「しばらく放っておこうか」
 少しの間があき、作戦がツィスカ経由でコボルドと戦っているハンターに伝達された。


「……了解しました。ではそのように」
 集会所のリューから連絡を受けたツィスカはすぐさま意識を敵へと移す。
「下がりなさい」
 数度の銃撃、そこから武器をもう1丁の魔導銃に持ち替えながら走る。そのまま、村人にせまるコボルドに対し、ツィスカはデルタレイを使用して迎撃する。
「た、助かった……」
「意気込みは大変結構ですが、少しばかり地に足をつけるべきです」
 そう言いつつ、ツィスカは腰を抜かした村人の前に立ち、次いでファイアスローワーを使用。扇状の火線がコボルドを焼く。
「さぁ、立てますか? 他の方々も、ひとまず柵の内側まで下がりましょう」
 ツィスカは村人を誘導しつつ魔導銃の弾倉を回す。
(連結通話で話は大体通ったはずですが……念のためタイミングを見て声をかけた方がいいかもしれませんね)
 接近してきたコボルド。その脳天にマテリアルで形成された弾丸を撃ち込みながらツィスカは心中で呟いていた。
「さぁ、あちらに。ここは私が受け持ちますわ」
「す、すみません……」
 逆サイド。勇敢にコボルドに立ち向かった村人だったが、あっけなく武器を叩き落され万事休すといった状態。そこにアザミが割って入り、受け流しでその攻撃から村人を庇っていた。
「さぁ、相手をいたしますわ」
 アザミは刀を構えると、縦横無尽を使用。まるで舞うかの如く優雅に刀を振るい、コボルドを一瞬で切り刻んだ。
「次はどなたですか? いくらでもかかってきて構いませんわよ」
 刀を納めながら、挑発するかのように言い放つアザミ。それに乗せられたコボルドたちは、勝ち目が無いとしってかしらずか、アザミに立ち向かっていった。


「乱戦真っただ中で術乱打するときはこの方が効率良いんですよねぇ」
 アルトと同じく敵中に突っ込んだハナは五色光符陣を使用した。そして、五色光符陣を使用し、さらに五色光符陣を使用した。
 連続して放たれる符。それらが周囲を光で焼きまくる。威力も高いが何より派手だ。敵の目を良く引いている。
「声掛け……は、必要ないですかねぇ」
 周囲を焼き尽くしたハナは、わずかな時間で符を再装填しつつ村人の様子を見る。今のところ旭と真水がうまくやってくれているようだ。
「これなら、次ですね次! どんどん行きますよぉ」
 再度ママチャリを走らせ、新たなコボルドへと向かっていった。
(動きは大して速くもない。ただのコボルドだ)
 同じく敵中に飛び込んでいたアルト。踏鳴を使用することで爆発的に加速。背の低い敵に合わせ散華を使用。地を這うかのように駆け抜け、敵を切り裂いていく。
 このように、移動しながら多数の敵を瞬時に倒し、数を減らしていく策だ。立体攻撃を活かした戦法も考えてはいたが、この戦闘力ならアルトが不覚を取る心配は万に一つもない。
「さぁ、私の方に来い! 来なくてもこちらから行くがな!!」
 そう声を張り上げる。切り込み、自身に注意を向ければ、村人に被害が及ぶ可能性を減らすことができる。焔舞を再度使用し、アルトは敵中に飛び込んでいく。
 ハナの五色光符陣が敵を吹き飛ばし、アルトの散華により周囲には血しぶきが舞う。極めて殲滅力の高い2人により、コボルドは想定されるよりかなり早く敵の数を減らしていく。
『これなら後は私たちでなんとかできます。あなた達は村の方へ向かってください』
 エアグライディングでの飛行で状況を確認していたツィスカから連絡が入った。
 そう、戦いはここだけでは終わらない。
「了解した。後は頼むぞ」
「分かりましたぁ」
 アルトとハナは急ぎ村の方へ向かった。


「上手く気付かれずことを運べたようだな」
「そうですね。後は逃げるだけです」
 トラックに乗り込んだ4人の盗賊はそんなことを話していた。だが4人は知らない。ハンター達の活躍により、彼らの予想より早くコボルドによる侵攻が終息に向かっていたことに。そして、彼らの行動がLo+の瞳により監視されていたことを。
「いいや、絶対逃がさないよ。現行犯だ!」
 物陰からジェットブーツを使い跳びこんできたざくろ。超重練成で巨大化させた剣に解放錬成による強化も加えての一撃は強力無比であり、横殴りにされたトラックは2度、3度と横転し、止まった。
 中から2人の盗賊が這い出てくる。残り2人はトラック内で気を失ったらしい。
 その這い出た2人の目の前に衝撃波が奔る。
「ざくろの作戦で正解だったな。あぁ、逃げても無駄だからな? 次は当てる」
 作戦というのは割と単純で、盗賊たちが再度全員トラックに乗り込んで一網打尽の機会を待つこと。
 加えてツィスカに仲立ちしてもらい、コボルドとの戦況を確認。おおよそのケリがついたところでざくろとリューが盗賊の確保に向かい、他の者が集会所の警備を入れ替わると言ったもの。今はそのツィスカにアザミが守っているはずだ。
「く、くそ……!」
 1人はすでに戦意を失っていたが、最後の1人……おそらくはリーダーであろうその1人は逃げ出した。疾影士だからだろう、足の速さには自信があったようだ。だが……
「おっと、そこまでだ。自転車に乗った私から逃げれると思うな?」
「魔導ママチャリは世界最速ですぅ!」
 ママチャリにのって回り込んできたアルトとハナがその行く手をふさいだ。
「さぁどうしますかぁ?」
「先に言っておくが、私はお前らみたいなのを殺すことに躊躇はない」
「俺としては捕まえてしかるべき法的機関に突き出してやるのが妥当だと思うけどな」
「どちらにしても逃がすことは絶対にありえないけどね」
 後ろにはリューとざくろ。4人に囲まれた以上、もう逃げる術はない。こうして最後の1人も観念したのだった。
『あーあー、聞こえますか。そちらの状況はどうですか?』
『コボルドたちは殲滅できたみたいだ。後は巣を潰すだけだぜ』
 真水、旭から連絡が入ってきたのも同じタイミングだった。
 その後、盗賊たちは捕らえられ軍の監視下に置かれることになった。恐らくはアネリブーベに送られることになるだろう。
 コボルドの方もハンター主導で巣を潰すことができたので、しばらくは問題ないだろう。もちろん、村人たちに無謀なことをしないようにハンターから説教があったのを忘れてはいけない。大きな怪我を負った村人が出なかったのもハンターの力があったればこそだったのだから。
 とにかくこうして、ハンター達はコボルド退治と突発的な盗賊退治の二つを成功させたのだった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • アウレールの太陽
    ツィスカ・V・A=ブラオラント(ka5835
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

  • 二ノ宮 アザミ(ka6443
    人間(蒼)|23才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談
ツィスカ・V・A=ブラオラント(ka5835
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2019/03/15 12:23:15
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/03/15 12:08:38