• 幻想

【幻想】輪郭の無い幻想へ、乞う

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/03/23 19:00
完成日
2019/03/31 06:42

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 遊牧民族ズヴォー族は基本的に「来るもの拒まず、去る者追わず」だ。
 迷い彼らの者へたどり着いたものが望むならば受け入れ、生まれ育ったものであろうがここを出て別の暮らしがしたいと言われば見送る。
 来訪は、新しき風を生むだろう。去る者もまた、新たな風に吹かれたのだ。
 そう、彼らにとって別れとは惜しむものでは無く祝福すべき門出だ。貴方を動かす大きな風に出会えたことに、はなむけを。
 チィ=ズヴォーもそうして、幾度も部族の者が別の世界へと去るのを見送ってきた。自身も見送られて本格的にハンターとなった。一抹の寂しさはあった。だけど彼らの、己の語る展望に胸を躍らせ、笑って別れを迎えてきた。
 だから。
 いずれ帰ることになるのだから、といって距離を保とうとする戦友の態度をチィは理解できなかった。いずれ離れるならばなおの事、可能な限り共に居るべきだとしか思わなかった。
 いつしかそうして、互いの間に距離を感じることは無くなって。
 ──そうして、どうして、相手の言葉の意味を今更思い知ることになるのだろう。
 部族としての生き方、誇りが無意識に押さえつけていた考え方をニガヨモギによって暴かれて。
 厄介なのは、自覚したところで望む形が定まらないことだった。
 だって。望めるわけが無いのだ。彼が、ずっと戦い続けなければならなければいいのに、とか。ましてや、リアルブルーに帰れなくなったら、など。そんなことになって、喜べるはずがない。想いを自覚してしまった今、むしろそうなれば一層の後味の悪さしかないだろう。
 だから、そう。
 どうなればいいかは、分かってるのだ。ただまた、今を。今だけでも。何事もなかったかのように共に在れれば。
 そのために。自然に笑うために自然に在るために、この心の隙をどうすればいいのかが分からない。

 自分は今、ここに何を願い、満たせばいいのか。



「くそっ……数が多い……!」
「凌ぎきれ! 敵をこれ以上遺跡に突入させるな!」
 ベスタハ遺跡の周辺では、辺境部族たちと、動きを察知した歪虚の軍が交戦を開始していた。
 今、チィ=ズヴォーと、今回の依頼を受けたハンターたちの前に居るのは、数にものを言わせた雑魔の兵だった。
 怠惰の歪虚の力で巨大化した蟻やカマキリ、バッタと言った昆虫の群れ。
 ……いや、ただ数だけでもない、のか。
「わあああぁ!?」
 部族戦士の一人が悲鳴を上げる。見れば周辺を完全に蟻に囲まれ身動きが取れなくなっている。戦士を取り囲む蟻は眼前のそれだけではなく、周辺の蟻たちも身を寄せ合い近寄るものを牽制し、意識して一人の戦士を孤立させているようだった。そうした敵の密集を、カマキリやバッタはというとものともせずに自在に跳ね回って移動し、鋭い鎌で、背に負った砲台で一撃離脱を仕掛け戦士を追い詰めていく。
「っ……! 今、援護するでさあ!」
 チィが地を踏みしめて前に出る。強い踏み込みで力づくで蟻がふさぐ道をこじ開け戦士の元へたどり着くと、そのまま援護しつつ、味方の支援を受けてどうにか敵の包囲からともに脱出する。……もはや戦士は深手を負って後退を余儀なくされていたが。
「突出するな! 孤立させられるぞ! 付近の者とカバーし合え!」
 戦士を指揮する一人が声を上げる。チィも全く同感で……それでも一瞬言い遅れたのは。
 誰かと、カバーし合う。
 そんなことは彼においてこれまで大体、意識するまでも無いことだった。
 本来だったら、大群相手。まず真っ先に己が、範囲攻撃で斬り込んでいこうかと考えて、実行していただろうか。……何も言わずともその後をフォローしてくれるだろう相手が、そこに居れば。
 考えずともどう動くか何となく分かる相手がそばに居れば、自分がどう動くべきかも立てやすい。
(……別に今までだって、常にずっと一緒だったわけでもねえだろうに……)
 共に行動しないことくらいこれまでにも割とあった。そもそも、彼と会う前から己はずっと戦士だったのだ。知己の者が居なくてもどう戦えばいいかくらい、知っている。分かっている。
 ……ただ今はちょっと居ないことが余計に染みるだけ。
 けど、そんなのは錯覚だ。感傷だ。普通にできる。普通に戦える。ここに居る者たちは実力で言えば、彼より頼りになるもの立っているだろう。
 ──ああそうだ、それに。
 つまりもうすぐ、それが当たり前になるという事なのだから。
 これもまた、己が望むべきことなのかもしれない。思い出せばいい。一人で戦っていた頃のことを。
 それが普通にできるのだと、当たり前のことだと認められれば。
 ……そうしたら?

リプレイ本文

「いや…やりたいことはわからなくもないけれど……何も虫でなくてもいいじゃんグロイじゃんアゼルバイジャン」
 交戦開始の少し前。
 遠目に、迫りくる敵影を確認した瞬間、キヅカ・リク(ka0038)は呟く。
 そうして、傍で身構えるチィ、彼の、どこかぎこちなさに気がついたのか……──
「独りで歩いていくこと。ほかの事を知らなければ、大したことじゃないって言い聞かせられる。けれど、誰かの温もりを知ってしまった後だとそうは行かなくて」
 まるで詩でも吟じるように、風に乗せるようにそう呟いた。
 チィがピクリと肩を反応させリクの方を向くと、リクもチィと顔を合わせて続ける。
「戻れないよ、昔のようには。変わってしまったんだ、知ってしまったんだ。どんなに装っても」
「……」
「だからどうしろ、っていうつもりはない。ただ、ひとつ確かなのは、この世界は、結果しか残らない。……やらなければ残らない、伝わらない」
 リクの言葉に、チィは苦笑した。
「伝えたく、ねえんですよ」
 負担にしかならない望みを、平気と言ってきたはずなのに掌を返してしまった心根を。
 それにもリクはふぅん? と言った態度だ。
「相手の為? 勇気がないだけ? それは君にしかわからない。ただ、僕は今も後悔するときがある。3年たった今も、ね」
 リクはそう言って、ま、いいや、と敵に向き直った。
「仕事……しますかね」
 そうやって視線を逸らし捨て置かれたことに。チィは何も言えずまだ佇んでいる。
「1人で戦おうとするな、抱え込むな、仲間を頼れ……などとは言いません」
 次に彼に話しかけたのは、ツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)だった。
「ですが、自分なりに思い悩むのも、己の行動を認められたいと思うのも、他ならぬ自分以外の何かが、誰かが在るからでしょう? ましてや貴方の民族は、来るもの拒まず去るもの追わず、を標榜としている……だからこそ、様々な考え方や重さを秘めた人々が行き交ったのだから」
 彼女の言葉にチィはただ、困ったように、消沈した様子のまま僅かに首を傾げた。
「その願いが、何処の誰かの、遠い未来の何者かの糧であらん事を……」
 祈るような言葉にも、やはりチィから返せる言葉は無い。ツィスカの言葉は、今のチィには、それで結局自分はどうすればいいのか、という答えが見出せるものではなかった。その悩みも、願いも、出会いあってのもの。そこから生まれるものというのがどういうことなのか──彼女のこの言葉が彼の中で意味を成すのは、もう少し先である。
(チィさん、悩みすぎて視野が狭くなっているようですね……)
 神代 誠一(ka2086)は、そんな様子をただ見ていた。
 彼にはこっちに来てから偶然依頼で出会った人と交流を重ね、信頼関係を築いて今相棒関係にあるものが居る。
 とはいえ常時ともに動けるわけでは無く、常時の依存関係は互いに望んでいない。
 そんな彼は、ほぼ面識がない自分に出来ること、言えることは正直無いと思っている。
 だから直接何か声をかけることは無かった。……直接、は。
 そうして、敵はいよいよ迫りくる。押しつぶしに来るような虫の行軍の圧力。それに相対して、ハンターたちは身構えた。

 一行と敵軍が接触する……その前に、生まれた氷柱が前進する蟻を飲み込んでいく。
 多くの蟻が凍傷のダメージに身を悶えさせるのを確認して、リクは前進した。
 敵と前衛が接触する。鞍馬 真(ka5819)の歌声が響いた。憂いを吹き飛ばすような勇壮な旋律が、防御を固める敵を怯ませる。
 誠一がマテリアルで覆われると、加速した身体を撃ちだすように敵を斬り払っていく。残像を引くように空間に残る剣の軌跡は紫の光を放っていた──マテリアルで生み出した毒。蟻の密集をものともせず斬り込んでいく誠一だが、敵陣に深入りしないようには十分気を使っている。
 ツィスカの眼鏡がきらりと輝きを放った。眼鏡「キュクロープス」。左右のツルに魔導機械が組まれたそのグラスが赤く染まると、マテリアルを変換したエネルギーが一条の光となり、届く範囲の直線状に居る敵全てを貫いていく。
 星野 ハナ(ka5852)が上空に符を放つ。密集した位置を狙って──とはいうが、実際どこも密集している──五色の光が蟻たちへと降り注ぐ。
 密集する敵に対し、ハンターたちも互いをカバーすることを意識して身を寄せ合っていた。
 誠一が思い出していたのはかつての王国の大戦だった。占有形成で囲まれる怖さは身をもって知ってる。
 歴戦の猛者すら命を落とすのがそれだ。敵の防御力に対抗し、多くの敵に毒をばら撒きながらも、場の把握は怠らなかった。
 ……が。カバーする、連携する、とは、結局どういう事なのか。
 他者の行動や状態に対する条件付けや役割分担。連携とはそういう事で、孤立はしないという意識は共通していたものの、彼ら一人一人の行動に、他者の行動を活用したり、あるいは隙を埋めようとしたりといった動きは見られないように思えた。
 ……少なくとも。今回においては、明確に役割をもって、単純故に愚直にそれに邁進した敵の方が、その数の暴力もあって連携という意味では上回っていた。
 蟻たちはどれほど傷つこうがお構いなしに前進を続け、連帯して攻撃を仕掛け圧力をかけてくる。数をもってしかけられるその攻撃から死角や行動の隙を埋めきるには、『全員が全員を何となく意識する』やりかたでは難しいものがあった──ただこれは、誠一が視野を広げて全況を把握し、指示出しをしていたことで何とかしのげはしたが。
 バッタの方は、近接砲撃時に気を付けて斬り込みに行くか範囲攻撃を放つ、それで良かった。
 問題はカマキリである。機動力の高い敵が、味方の壁という状況を存分に利用して一撃離脱をしてくるのだ。射撃や投擲は蟻がその身をもって止めてくる。踏み込んで斬り込むにも、ただ占有を突破する力があれば解決とはいかなかった。追い詰め、捉えるにはその速さと、利用する蟻の動きを鑑みてもう一工夫が必要だった。
 結果として。カマキリの自在な蹂躙を許す形になった。そして誠一が睨んだ通り、回復を兼ねるその鎌が主に狙うのは硬すぎない相手……真、誠一、チィである。攻性防壁での連携崩しを目論んでいたリクの試みはこの意味ですかされることになる──もっとも、そんなに器用に狙いすました位置に弾き飛ばせる技でもないが。
 結果論的ではあるが。この状況に置いて功を奏した行動は、殲滅までの時間効率を考え全体にダメージをばら撒くよりも、兎に角目前の数を減らすことに注視した真とツィスカの物だった。頭数さえ減ればそれだけ連携の効果も落ちる。
 ツィスカはアシストアイテムを使用した機導砲の他、デルタレイやファイアスローワーなど各種手段を用意、一匹でも多くの敵を倒す事を最優先賭する意識に合わせ的確に状況に対して使い分ける。
 真は唄の範囲を常に意識して、味方の攻撃が最大の効果を発揮するよう意識していた。そうして、弱った敵から二刀流で潰していく。チィの範囲攻撃も。前衛で一気に多くの敵を狙えばリスクは当然高まる。彼が討ち漏らした敵を狙って弱らせていく、というのが、今回最もはっきり見えた形の『連携』ではあった。
 最終的な結果で言えば。彼らが倒すべき敵はすべて討伐された。戦況が致命的に崩壊するという事も無く、カマキリの蹂躙を受けた三名がそれなりの傷を負う事にはなったが、重体という程の者は居ない。ただ、その一番の要因が何であったかと言えば。作戦で勝利したというより、桁外れの攻撃力──リクに至っては文字通りの桁違い──を持つ者が居たから、という事になるだろう。行動だけでは覆しきれない単純な強さというのはある。敵にも味方にも。
 とまれ、彼らも部族戦士も、そして遺跡も無事だった。それが最終的な結果である。

 戦闘が収束すると、ハナがチィの腕を引いて皆から離れていく。
「ハナ殿?」
「チィさんには私がどうしようもなかった時に1度助けていただいてるのでぇ、そのお返しに来ましたぁ」
 立ち止まり、話が始まっても彼女はその手を離さなかった。
「私はあの人が生きてさえいりゃ後はどうでもいい人ですけどぉ、チィさんはずっと伊佐美さんの傍で伊佐美さんが何するか目を輝かせて見てたい人だと思ってましたけど違いますぅ?」
「……」
 ハナのその言葉を、チィはとっさに否定も肯定もしなかった。……出来なかった、ともいえる。答えるには何かが引っ掛かって、確かめるように、考え始める。
「ねぇチィさん。貴方が居なくなってもクリムゾンウェストは滅びませんよぅ? 貴方が居なくなるだけでズヴォー族が離散滅亡することもないですよぅ? だからチィさん、貴方もリアルブルーに、伊佐美さんと一緒に行けばいいじゃないですかぁ」
 その間に続く言葉にも。
「あの月が数万の人を連れて戻るんですぅ。貴方だって行けますよぅ。あっちにも狂気は居る、探せば貴方が出来ることはリアルブルーでも山ほどありますぅ」
 彼女が語る間、チィに次第に浮かんでいく表情は……違和感、の、ように思えた。
「ねぇチィさん、貴方の大事な人は貴方の真摯な願いを笑いも虚仮にもしませんよぅ? だから邪神戦争終了までに大精霊の目に留まって一緒に行く願いが叶えられるよう、縁と功績を積む努力をしたらいかがですぅ?」
 そうして、彼は確かに、彼女の言葉から何かを見つけ出しているようではあった。
 暫し考えた後、やがて得心するように頷く。
「ハナ殿。手前どもは……透殿の相棒で、いてえんでさぁ」
 そうして、ゆっくりと首を振った。
「残念ながら向こうの世界で本来のあの人がやるべきことに、手前どもの入る余地は一切ねえですよ。……んな状態で手前どもが何も考えずにリアルブルーに行ったところでどうなりやす?」
 チィが透に憧れ、透がチィに頼っているから二人の関係はこれまで釣り合ってきたのだ。ただリアルブルーに行っただけでは互いの中の互いの存在感は大きくバランスを崩すだろう。そんな関係の行く末は……明るい物とは、思えない。
「……そんでも、先にそっちが手前どもで思いついてりゃあ、まだよかったんでしょうけどねえ」
 そうしてチィは、ぽつりと言う。
「でも手前どもは間違いなく思いやした。本当は帰ってほしくねえ、手前どもの隣で戦ってて欲しい……自由を認めるズヴォー族の戦士として! 初めて他人の意志を変えてえと思いやした! それが……よりによって大事な人の夢を邪魔する形で! その堕落が手前どもが許せねえんでさあ!」
 ただ一緒に居られる居られないの問題では無いのだ。自分はもう一緒に居る資格が無い。そのことを認めてチィは声を張り上げて……肩を落とす。
「すまねえでさあ。ハナ殿に怒鳴りてえわけじゃねえ。厚意で提言してくれてるこたぁ分かりやすよ? 実際ハナ殿のお陰でよりはっきりしやしたよ。……ああ、そういう事じゃねえんだなって」
 ここから立て直すには。必要なのは、ただ透と共に居続ける方法ではない。透が透本来の輝きを取り戻した後の世界で尚、チィを依って立たせる何かを探さなければならなかったのだ。それを朧気ながら彼が掴み始めたのは、ハナの言葉だけではない。誠一が戦いの中でチィに見せようとしたものを、確かに感じても居たからだろう。
 彼の背を押す通りすがりの風となりたいという彼の気持ちは僅かに伝わっていた。
 ただ結局、大きな個の戦力によって勝ち取る形になったこの戦いの中で、チィが掴めた物は小さい結果になってしまった──ついでにここで言っておくと、正直今回の誠一については多くの点において、目の付け所は良かったのに悉く状況に生かされなかったというのはある。
 そうしてチィは、ずっと握られていたままのハナの手をゆっくりと解く。
「ありがとうごぜえやした。あとはもうちょい……手前どもで考えてみまさあ……」
 力なく離れていくチィに、ハナが今これ以上用意していた言葉は……なかった。

「大丈夫……じゃ、ないよね……」
 まだ明らかに晴れない顔のチィに、真はかなり迷いつつも……声をかけた。
 真は唯一、双方からの悩みを打ち明けられた身だ。そうして、何が出来るかをずっと考えていた。
 ……結局、価値観も生き方も違う己から言えることなどあまりないという結論にはなったが。
「今の私に言えることがあるなら。二人で向き合って、想いをぶつけ合って欲しい。……偽りでも誤魔化しでもない、本当の想いを」
「本当の想い……ですかい」
「人にはそれぞれの生き方が、考えがある。曲げられないものがある。でも……例え想いが交わらなくても、伝えなかった後悔だけはしないで欲しいんだ」
 真のその言葉は、今一番、チィの状態に沿ったものではある。結局、拗れるには拗れるだけの背景があるのだ。そこにしっかりと目を向けずに理想だけを突き付けられても余計に追い込まれてしまう。
「手前どものこれが……想いって呼べるものなのか……分からねえんでさあ」
 ぽつりと、チィは打ち明ける。
「思い浮かんだことなんでもかんでも、ただぶつけりゃあいいってもんじゃねえことは、真殿の方がよく分かってるんじゃねえですかい?」
 そうしてチィは、意外と鋭い目線で真を見据え返してきた。
「言っても迷惑にしかならねえ。重荷にさせちまうこたぁ……言えねえじゃねえですか。そいつぁ想いじゃなくて、『我儘』じゃねえですか?」
 言われて真はぎくりとする。実際真の言葉は……透には弱いところは見せたくないという彼の行動を思うと少々微妙なものがある。
 そうして態度を濁しつつも、チィは真の言う事を否定したいという風でもなかった。これまで言われたこと、見せられてきたことの意味が、真の言葉で集約し始める。大事なのは、伝えろ、ではない──向き合え。
「分かって、まさぁ。どのみち、すでにおかしな態度は見せちまってるんです。このまま消えたって、そんで透殿は納得はしねえでしょうし……手前どもが納得できる形ってのは結局、透殿にちゃんと言える答えでなきゃならねえって」
 少しずつ、近づいてはいる。答えに向けて、少しずつ──でもまだ、届かない。
「手前どもが伝えるべき言葉……手前どもが欲しい言葉って、何なんでさぁ……?」

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MVP一覧


  • 鞍馬 真ka5819
  • アウレールの太陽
    ツィスカ・V・A=ブラオラントka5835

重体一覧

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • アウレールの太陽
    ツィスカ・V・A=ブラオラント(ka5835
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2019/03/22 22:56:04
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/03/18 22:36:05