• 東幕

【東幕】誠心誠意

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2019/04/03 12:00
完成日
2019/04/06 08:09

みんなの思い出

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オープニング

 狐卯猾の討伐が為された後、東方の民を待っていたのは街の復興であった。
 だが、それは容易な事ではなかった。
 天ノ都の家屋が破壊されただけではない。多くの人材が失われ、幕府や朝廷という政治的枠組みが壊れたのだ。幸いにも帝は健在しているが、政治的混乱が無いと言えば嘘になる。
 復興と政治的平穏。
 人々は一日も早く、それらを渇望していた。

「水野様、確かにお預かり致しました」
 若峰の黒狗城を訪れた泰山龍鳴寺の許文冠は、三条家軍師の水野 武徳()からの文を預かっていた。
 天ノ都崩壊は非常に大きな事件として地方でも知られている。
 狐卯猾討伐に支援した後も、家屋が破壊された後に各地へ逃れた難民の受け入れなどで大忙しであった。保守的で独自の文化を守ってきた泰山であっても、難民達の受け入れを行っていた。
「ふむ」
「……水野様、如何されましたか?」
 やや不満そうな武徳に文冠は問いかけた。
 煙管を咥えて煙を吐き出したかと思えば、渋い顔で文冠を見つめていたからだ。
「おぬし、詩天へ顔を出すようになってどのくらいだ?」
「そうですね。もう半年近くになりますか」
「言っておくが、僧正はおぬしを手紙を預かってくる丁稚として送り込んでいる訳ではないぞ」
「え?」
 思わず聞き返す文冠。
 大僧正の使いで手紙を預かっている文冠は、武徳が指摘するまで疑いもしなかった。
「気付かぬか。まあ、あんな山の中に引き籠もっていては分かるまい。
 良いか。僧正はおぬしに世界を、人を知って欲しいのじゃ」
 武徳が説明するには、いくら保守的な泰山であっても盟約を結んでいた幕府が事実上無力化したなら無視はできない。だが、同時にもう群雄割拠の世ではない。帝を中心とした共和体制への移行は泰山であっても注視したい話題だ。
 今後を考えるならば、文冠のような若者が世界へ目を向ける事も必要だ。
「そうでありましたか。僧正様がそのようなお考えを」
「言ってしまえばな。この手紙の内容は、東方の未来を話し合う為に詩天へ招くものよ。幕府がなくなった今、暴れても討伐する存在がないと知れば……」
「再び戦乱の世が訪れるかもしれません」
「そう。だからこそ、周辺の国に呼び掛けて今こそ同盟を結ぶのじゃ」
 復興が進む裏で、武徳は周辺諸国へ釘を刺すために動き出していた。
 詩天は先日、幕府が歪虚討伐に手一杯と知れた途端に他国からの侵攻を受けていた。
 武徳はその侵攻をはね除ける事に成功したが、再びこのような輩が現れないとも限らない。早めに同盟を結ぶ事で復興や流通の安全を確約しようという算段だ。
「なるほど。国が乱される前に同盟を結べば安全です」
「あくまでも約束事じゃが、多数の国で同盟を結べば下手に一国だけでは裏切れまい。
 ……これも人を知るという事じゃ」
「ご高説、ありがとうございます。では早速僧正様にこの手紙を届けに参ります」
 頭を下げた文冠は、早々に泰山へ向けて走り出した。
 歪虚が去った後で、着実に平和が近づいている。
 その実感を胸にしながら。


「よろしいのですか? あのような説明で」
「何も嘘を言った訳ではあるまい」
 家臣の言葉に武徳はそう答えた。
 そう、未来ある正直な文冠と老練で闊達な武徳では、経験も思考もまったく違う。
「この同盟は地盤作り。来る共和制議会発足に向けて多数の国と同盟を結びながら主導権を奪う。派閥を形成すれば議会でも意見は通し放題になります。そうすれば……」
「そう簡単にうまくはいかんだろうがな。復興を加速させる意味でもこの同盟は結ばねばならん。ハンターを呼べ。彼らに狐卯猾が暴れた都の惨状を話させた上で、同盟の必要性を説かせるのじゃ。わしよりも彼らの方が中立故に聞く耳を持つじゃろう」
 武徳は再び煙管を手に取ると火を灯し始めた。

リプレイ本文

「まったく、やってくれよって」
 三条家軍師、水野 武徳(kz0196)は屋敷の廊下で愚痴を溢していた。
 原因は先日公表された立花院 紫草()の書状である。
 ――東方大復興。
 それは朝廷や幕府を頂点に置いた政ではなく、『本来あるべき姿』へと復帰させる事。
 エトファリカ連邦成立以前の状況に戻す。
 この事を武徳は強く憂慮していた。
「再び群雄割拠の時代が到来する。そういう事でしょうか」
 ハンス・ラインフェルト(ka6750)は武徳の後から板張りの廊下を静かに歩く。
 詩天は千石原の乱にて親族同士で家督争いをした経緯がある。戦国の習いとして見かける光景であるが、当事国としてはこのような事件を二度と引き起こしたくはない。
 しかし、幕府も朝廷も失われるとなればそうした事件が再来するとも限らない。
「群雄割拠なんて、ちょっと楽しそうじゃん。死地がいっぱいじゃん」
 水野家の食客として入り浸っているゾファル・G・初火(ka4407)は、ハンスの口にした群雄割拠という言葉に胸を躍らせる。
 死地を好むゾファルであるが、幕府や朝廷といった権力が失われる事は重しが無くなる事。それは先日詩天が侵攻を受けた事件を想い起こさせる。
「観音坂智則さん、ですね」
 エルバッハ・リオン(ka2434)の脳裏には一人の青年が浮かぶ。
 今回同盟を結ぶ予定の松江津は幕府が歪虚に手を取られている隙に詩天への侵攻を画策。国衆を扇動するものの、武徳の根回しで失敗。当主の観音坂公康は先陣を切らせた息子の智則にすべての責任を押しつけて手を引いた。その結果、ハンターの手により智則が討ち取られたのだが、父親に梯子を外された憐れな若き武将の存在をエルバッハは思い出していた。
「智則ちゃん……」
 ゾファルの脳裏にも同じ光景が浮かんでいた。
 実際、戦場で討ち取ったのはゾファル自身。戦場を好むゾファルもこの青年については思うところがあるようだ。
「変な気は起こすなよ、ゾファル。政治の場も別の戦場と知れ」
「分かってるじゃん」
 釘を刺す武徳にゾファルは、はっきりと答える。
 ここで下手を打てば国家間の戦争になる。それは復興を志す民に負担となってのし掛かる事になる。
「その為の同盟だ。幕府や朝廷が無くなるってんなら、国同士の結びつきは今後大きな意味を持つはずだからな」
 ボルディア・コンフラムス(ka0796)も報告書の情報で松江津の存在を知っている。
 いざこざを起こした詩天と松江津が同盟を結んだとなれば、周辺諸国にも良い影響が出るはずだ。
「そうじゃな。その為にも同盟を必ず成功させねばならん」
「水野様。提案通り、各国の皆様は部屋を分けてお待たせしております」
 ハンスは事前に武徳へ各国の君主と一堂に交渉するのはリスクがあると考えた。
 そこで調印の前に各国と個別で交渉。そこで話をまとめてから同盟へ持ち込んだ方が成功率が高い。既にハンスとゾファルは各国で情報収集も行い、準備を整えていた。
「うむ。して、最初は誰と交渉する予定じゃ?」
「確か、立駒だったよな?」
「……!」
 ボルディアの言葉を聞いた武徳は思わず目を見開いた。
 明らかな驚き。
 しかし、すぐに持ち直す武徳。
「なるほど。おぬし達もこれを機会に知ると良い。群雄割拠の時代で生きる意味をな」


「有栖川さんは、西方に興味がおありと伺いました」
「おじゃ? よく知っておじゃるな。麿は西方に興味があるでおじゃるよ」
 リオンの問いかけに立駒の有栖川昴は気分良く答えた。
 『日和見の有栖川』と揶揄される有栖川。西方の貴族に憧れ、自身も西方から衣装を手に入れ身につけての交渉である。襟元にジャボと呼ばれるヒダの付いた飾り付きの衣装に身を包み、和室に椅子を準備させて腰掛けていた。
 しかし、徹底しきれないのか中途半端に東方らしさを覗かせる。
「気になるの。気になるの。麿に西方の事を教えてたもれ?」
「水野さんからお話は伺っております。既に詩天が手に入れた収集品の一部をお持ちしました」
 リオンはそう言いながら一つの小箱を前に出した。
 宝石をあしらった鮮やかな箱で、西方では化粧箱として用いられている。
 東方にも宝石はあるが、西方らしいデザインは有栖川の心を強く惹き付ける。
「おお、これは見事でおじゃる! これは姪も喜ぶでおじゃるよ」
「姪?」
「そうじゃ。今年で10になる姪じゃ。水野殿の親族に娶らせようとしておったのじゃが……」
 え、と声を詰まらせるリオンは、思わず武徳の方に視線を送る。
「有栖川殿。その話はお断りしたはずでござる。某の甥は死別したとはいえ、嫁に義理立てしている故」
「そうでおじゃるか。残念でおじゃるな」
(なるほど、そういう事でしたか)
 このやり取りでリオンは有栖川は察した。
 武徳に聞いた話だが、立駒は資源が豊富な国とは言えなかった。しかし周辺諸国に対する影響力は決して無視できないという。その理由が相手国の要人と自身の親族に婚姻関係を結ばせる事であった。
 政略結婚による国家継続。
 それは規模が大きくなっていけば決して無視できない相手である。
「有栖川さん。西方と交易が盛んになれば、西方の品々を入手する事は容易になります。ですが、東方が安定している必要があります」
「安定でおじゃるか」
 そう言ったリオンに対して有栖川は一呼吸を置いた。
 雰囲気が変わった事がリオンにはすぐに分かった。
「水野殿。聞けば将軍は東方大復興を掲げたそうでおじゃるな」
「そのようで」
「そして、なんでも『はんたぁ』なる傭兵に土地を与えると聞いたでおじゃる」
 二人のやり取りを目にしていたリオン。
 部屋の空気に不穏な何かが混じる。
「仮にその『はんたぁ』が他国へ侵攻する可能性はあるでおじゃるか?」
「ありません」
 リオンは即座に否定した。
 ここで否定しなければ危険と感じたからだ。
「何故そう言い切れるでおじゃる? 『はんたぁ』を止める幕府はおらぬでおじゃるよ? それとも暴れる『はんたぁ』を止める依頼を『はんたぁ』に依頼するでおじゃるか?」
 ここでリオンは有栖川がただの西方好きでないと気付いた。
 群雄割拠の時代で日和見を決め込むには事態対処や風向きを読み取る力が必要。今回の同盟も東方大復興を見据えて話に乗ってきたのであろう。
「私の知る限り、そのようなハンターはおりません」
「有栖川殿。この同盟は四国の安寧を目指すものでござる。その障害となる存在を共に対処する事が肝要かと」
 リオンと武徳の言葉に有栖川は小さく頷いた。
「そうでおじゃるか」
 その反応の裏で有栖川が何を考えるか。
 リオンにはまだ分からなかった。


「龍鳴寺の坊さん達は元気そうだったじゃん」
 泰山との交渉に臨んだゾファルは龍鳴寺であった武僧の事を思い出していた。
 交渉と言ってもゾファルの態度は変わらない。寝そべりながら暢気に煎餅を口にしている。
「ゾファルさん、僧正様の前でそのような……」
「良い良い。この東方を救った功労者であろう。それに若い武僧達と交流してくれた事は悪い事ではない」
 泰山龍鳴寺よりやってきた大僧正と武僧の許文冠。
 幕府の密約を結び、幕府の庇護下に入る事で泰山の文化を守り通してきた。
 ――しかし。
「僧正様。時代は変わります。
 スメラギ帝は共和制を目指すと言いながら、エトファリカボードに基づき古の武家の領土を復活させるとも仰ったようです。今はお心が千々に乱れているせいかもしれませんが……あの方は思いつきだけで行動なさろうとする事が多すぎる。そのしわ寄せを受けるのは全て民です。川に竿差し留まろうとするなら、川の様子は常に把握せねばなりません」
 ハンスは今の泰山に対して真摯な説得を試みる。
 今や幕府も朝廷もない。帝に頼ろうとすればどうなるか。
 ならば、自らの身は自らの頭で考えて守り抜かなければならない。
「自領の為にも、この同盟に参加して他領を訪れやすくしませんか。他領の民や領主の考えを知る事で、泰山が時代にただ飲み込まれ、流され、民を徒に疲弊させる事だけは防げるのではないかと思うのです」
「そうかもしれぬ」
「僧正様」
 ハンスの説得に対して大僧正は前向きな姿勢を見せる。
 文冠の問いかけに僧正は頷いた。
「守るべき物は守らねばならぬ。しかし、それだけでは泰山に先はなかろう」
「そうだぜ、僧正ちゃん。若い坊さん達をもっと広く学ばせるじゃん。龍鳴寺の坊さんなら、それができると思うじゃん」
 泰山を訪れたゾファルの率直な意見だ。
 若い武僧が得た知識や経験は、必ず泰山の為になる。
 この同盟はその足掛かりとして機能するはずだ。
「前向きに善処すると約束しよう。泰山の未来の為にな」


 交渉をまとめていくハンター達であるが、実は一番警戒していた相手は松江津であった。
 それは先に発生した詩天と松江津の軋轢が原因だ。
「今日はよくお越しいただいた」
「うむ。詩天殿は息災か?」
「はい。今は帝にお力添えをする為、都へ赴かれているでござる」
 武徳は公康を前に、礼を尽くす。
 こちらが呼び出した事もあるが相手は一国の君主。軍師の立場である武徳が傅くのは当たり前である。
「して、その方の傍らに控える者達は?」
「この者等は東方で長く戦ってきたハンターでござる」
 ハンター。
 その言葉を聞いた瞬間、公康の眉が一瞬上がった。
(なるほどな。まったく知らねぇって訳じゃないか)
 公康の顔色をボルディアは素早く察した。
 ボルディア自身、公康の事は好きではない。むしろ嫌いだ。
 だが、個人の感情と仕事は分ける。外交儀礼を尽くすべきだと考えていた。
「俺は智則って奴の事は知らねぇ。どんな事情があったかもな。
 だが、どんな息子であろうとも親子の縁はそう簡単に切れるもんじゃねぇよな?」
「そうだな。不肖の息子ではあったが、息子も侍らしく散ったわ」
「でもよ。あんたの息子だけじゃねぇ。憤怒との戦いでもっと多くの将が無くなったんだ」
 ボルディアは、公康を前に自身が知り得た東方での戦いについて語り始めた。
 確かに狐卯猾を討ち果たした。しかし、それまでにあまりにも大きな犠牲を払った。もっと自分に力があれば、死ぬ事のなったかもしれない有能な将。本来であれば東方の発展に寄与したであろう彼らは、もう戻る事はない。
「その事はワシも知っておる。同盟については前向きに考えたい。だが……」
 公康は傍らにあった茶に手を伸ばす。
 その溜めた間が、ボルディアの顔を一瞬曇らせる。
「その同盟の仕切りは誰だ。詩天殿も大変であろう。良ければワシが成り代わってやっても良いぞ?」
 公康の言い分を端的に言えば『この同盟のリーダー役を寄越せ』である。
 主導権を握れば他国に大きなアピールになる。その上同盟内容を拡大解釈する事で如何様にも変えられる。その権限を渡せと言っているのだ。
(予想通りだな)
 ここでボルティアは敢えて先日の一件を持ち出す
「一応聞いておくけどよ。智則って奴は、単独で詩天侵攻を企てたんだよな?」
「なっ!? 貴様、無礼であるぞ!」
「あくまでも噂を聞いちまったんだよ。『智則以外の観音坂家が流言飛ばして内乱を助長させた』って噂をよ」
「!」
 実際、この流言工作は観音坂家の間者が行っていた。智則以外の存在が工作した証拠がある訳ではないが、重しとしては十分だ。
「脅す気か?」
「いや。武徳達も根も葉もない噂なんか信じてねぇ。『詩天攻略は智則の独断だった』、それが真実……だろ?」
 ボルディアは否定してみせたが、公康もそのまま通り言葉を受け取らないだろう。
 そこへゾファルが姿を見せる。
「失礼仕る」
 ゾファルは武徳から借り受けた裃に袖を通し、習った礼儀作法を辿々しいながらも実践していく。
 先程の泰山との交渉ではまったく異なる姿。
 交渉が面倒としていたゾファルであるが、この松江津の交渉だけは礼儀を重んじて臨みたかった。
「む?」
 公康もゾファルの登場に一瞬目を奪われる。
 裾を引き摺り、公康の前で手を付くゾファル。
 頭を下げ目の前にする公康を前に、ゾファルは堂々と語り出す。
 それが、智則を討った自身の義務として――。
「某、松江津観音寺家の将、観音寺智則殿を討った者」
「!」
「智則殿からの最後の言葉を預かっているでござる」
「……あいつは、何と?」
 ゾファルを凝視する公康。
 警戒?
 憎悪?
 いや、公康にそのような気配はない。
 むしろ、我が子の最期を知ろうとする父親に近いのだろうか。
「最期まで勇敢に戦われた智則殿は……『願わくば、侍なき世を……』と」
「……そうか。そのような事を」
 ゾファルの言葉に公康は一言そう答えた。
 その瞬間、その背中からは何かが抜け落ちた。
 戦の習いに従った智則が、最期に残した言葉。
 それが公康の心にどう届いたのか。
「智則殿は……」
「もう良い。もう良いのだ」
 公康はそこまで言うと沈黙する。
 去来する言葉。
 そこへハンスとリオンが部屋へ入る。
「失礼致します。同盟締結の為に皆様をお連れ致しました」
 リオンの後に従う形で有栖川と大僧正が姿を見せる。
 その様子を公康はただ黙って見つめていた。


「水野様、うまく行きました」
 ハンスは武徳にそう声をかけた。
 結局、三国は同盟に応じた。これで周辺国に対する憂いが無くなる上、四カ国は折をみて交流を深めていく事になるだろう。
「そうじゃな」
「ですが、油断されぬよう。特にあの……」
「立駒の有栖川さん。最後まで何を考えているか分かりませんでした」
 ハンスの言葉に続けるようにリオンがその名前を口にした。
 リオンが何か問いかけようとしてもあの妙な公家口調で煙に巻いてくるのだ。
「日和見をするだけでも才能は必要よ。機を逃せば、身を滅ぼすのは自分だと分かっているのでな」
「ところでよ」
 話している傍らからボルディアは武徳へ問いかける。
「ある程度東方が復興すれば、侵攻を企てた公康は用済み……ってこっちが考える事くあら、あっちも分かるだろ。
 で? お前はアイツをどうするんだ? 生かすのか、殺すのか、飼い殺すのか」
「さあの。じゃあ、おぬしらの交渉で公康殿は牙を抜かれたやもしれぬ。しばらくは様子を見る。じゃが、不穏な動きを見せれば……」
「消すしかない。ですね」
 今度は武徳の言葉を遮ってハンスが言葉を続けた。
 この同盟は周辺国の安定と復興の為にしばらくは続ける他無い。
 下手な動きをすれば他の三国でその国を叩く事になる。もっとも、それをせずとも公康は大人しくしているだろう。
「あー、やっぱり交渉ってぇのは疲れるじゃん。早く帰って一眠りするじゃん」
 義理を果たしたゾファルは、堅苦しい衣装を脱ぎ捨てていつもの姿へと戻っていた。

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MVP一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルトka6750

重体一覧

参加者一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/04/02 00:01:26
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/03/30 11:03:19