【AP】レフト・ナイトメア

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • duplication
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~4人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2019/04/04 15:00
完成日
2019/04/10 23:48

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●悪夢講座
「あら、目を覚ましたのね」
 あなたたちが目を開けると、少女の声がしました。あなたたちは椅子に座っており、居眠りの様な状態でいたようです。簡単な教室の様に、ぐるりと半円状に椅子が並べられており、教師の位置に少女が座っていました。長い茶髪に金色の瞳、黄土色のワンピース、八歳くらいの少女です。
「あなたたちは今、悪夢の中にいるわ。あなたたちの悪夢じゃない。別の人たちの悪夢よ。その夢の中で、あなたたちが怪物になるの」
 少女は楽しげに、しかし淡々と語ります。
「さあ、誰か選んで、その人を恐怖のどん底に突き落としなさい」
「あ、あの……」
 その時、一人の男性が手を挙げました。少々目から正気が減っているような感じです。
「何かしら?」
「そそそそそそのですね……へへ……CJたんの悪夢に登場して、きっききき君はボキのハニーなんだよ……として幸せに暮らすのはありでしょうか? CJたんと悪夢のラブラブ逃避行を……」
 そこまで言った瞬間でした。上から、クレーンの様に蜘蛛が降りてきて、その男の頭を掴んで吊り上げます。
「ギッ! ギャア! たたたたたたすけて!!!!」
 そのまま、悲鳴は遠のいて行きました。少女は鼻を鳴らします。
「くだらないわ。悪夢の怪物だと言ったでしょう。あなたたちはその人とどんな関係であろうと、恐怖のどん底に突き落とすの」
 少女はそう言い放つと、立ち上がります。するとどうでしょう。その後ろには、先ほどまでなかったいくつかの扉があるではないですか。あなたたちは、その扉の向こうに、自分が恐怖のどん底に突き落としたい人がいるのだと確信しました。
「人によってはただ逃げるだけじゃなくて、抵抗してくるかもしれない。でも、悪夢の主導権はこちらにあるから、あなたたちを傷つけるなんてできないわ。じわじわといたぶっても良いし、初手から追い込んでも良い。センスのある恐怖を創り出して頂戴ね」
 それから彼女はくすりと笑いました。
「まあ、優しくしたところで、それを向こうが理解するかは別だわね。怯えられても泣いたら駄目よ?」

●悪夢のラブラブ逃避行(単騎)
 C.J.(kz273)は廃病院の中を走っている。後ろから、知った顔の、けれど知らない人が追ってくる。
「おい! ストップ! 止まれ! それ以上寄るんじゃない!」
 彼の顔には怯えの表情が浮かんでいる。追っ手は確かに自分の知っている人に見えるが、C.J.の知っている表情をしていない。お前は誰だ、と言う言葉が喉まで出かかったが、それを言ってしまうと、終わりのない悪夢に囚われそうで。
 やがて、追っ手の指が彼の襟首を掴んだ。振り切れずに廊下に倒れ込む。
「や……やだ……助けて……たすけて……」
 彼は這って逃げようとするが、それは適わない。
「たすけて」

●呼ぶ声
 ナンシーは廊下の曲がり角で息を潜めている。
(絶対におかしい。あれはあの人の皮を被った何者か……VOIDか?)
 彼女はライフルの弾丸を装填した。そっと覗き込むと、その人は暗い廊下で、自分の名前を呼んで歩いている。スコープを覗き、頭に向けて一発撃った。確かな手応え。
(やった!)
 しかし、頭が破裂した様子はなかった。そのまま、何事もなかったかのように、また自分の名前を呼んで歩き出す。
 理解が追いつかなくなった彼女は暴挙に出た。廊下に飛び出すと、全ての弾丸を相手に叩き込んだのだ。
「ナンシー」
 全て命中したはずなのに、相手はまだ生きている。それどころか微動だにしない。ナンシーが信じられない思いで銃口を下げると、強い力で吹き飛ばされた。そのまま、廊下の行き止まりにぶち当たる。背中を打って、一瞬、呼吸が止まった。
「う……」
 やがて相手は追いついた。じっと、自分を見下ろしている。
「……誰?」

●諦める勇気
「僕は、あなたは話せばわかる方だと思っています」
 アルトゥーロはメイスを握りしめたまま相手に訴えかけた。
「話せばわかります。なんでそんなに歪虚みたいな雰囲気を出しているのかはわかりません。悩みがおありなら、僕も一緒に考えましょう。ですから、まずは落ち着いてください」
 そんな言葉で止まるような相手でないことを、本能で察している。全身から汗が噴き出している。どうあっても、自分が助からないことをわかっている。下手に戦えることは残酷である。何も諦められない。
 神よ、僕にこの事実を受け入れる勇気をお与えください。

●黄泉戸喫
「やだー!!!!」
 平坂みことは、叩き続けられる個室のドアに向かって叫んだ。知っているようで知らない人をまいたと思ったが、どう見付けたものか、彼女がこの個室に隠れていることを突き止めたらしい。最初は小さなノックだった。息を呑んだのが聞こえてしまったのだろうか。確信するようにドアはノックされ続け、段々強くなっていく。恐怖が臨界点に達して、彼女は泣き叫んだ。
「あっち行って! どっか行ってよ!!!」
 喉を痛めながら叫び続ける。ドアが破られたら、とても恐ろしいことが起こるとわかっているのに、ドアから目を離すことができない。
(リアルブルーに帰りたい)
「やだぁ……」
(やっぱり、ヨモツヘグイとか言わないで覚醒者になっておけば良かった)
 後悔先に立たず。

リプレイ本文

●開演
 誰かの悪夢に旅立った客人たちを見送ると、少女はソファに座って伸びをした。
「うーん、皆脅かしたい人がいるのね。何よりだわ。じゃ、私は見物させてもらおうっと」
 そうして、いつのまにやら現れていた映写機がカタカタと音を立ててスクリーンに夢を映し始めた。

●廃病院で遭いましょう
 放置されていた椅子を背後に放り出して、教師・ジェレミアは走った。しんと静まり帰った廊下には、彼の靴底がリノリウムを叩く音、荒い呼吸音、ブリキががちゃがちゃと鳴る音がしている。
 それだけだ。
 棄てられた病院の廊下は自ら音を発することなく、その様を見守っている。ジェレミアが、ブリキの蜘蛛に追われる様を。
「うわっ! 来るな!」
 倒れているストレッチャーを飛び越えて、後ろに蹴り飛ばす。下敷きになった蜘蛛は潰れて消えた。
「ジェレミア! こっちだ!」
 自分以外に人間の気配を感じない廊下の中で、聞き覚えのある女性の声がジェレミアに耳に飛び込んだ。
「レイアさん!」
 レイア・アローネ(ka4082)。彼もよく知るハンターの一人だ。病室の一つから彼を手招きしている。こちらに来いと言う意味だろう。ジェレミアは個室に飛び込んだ。ドアはきちんと閉まらないが、蜘蛛くらいはごまかせるだろう。
「た、助かったよ! いつの間にか僕一人で、誰もいなくて、こんな病院で……ところでここはどこだろう? 知ってるかな? アウグスタの根城?」
 レイアは答えない。おかしいなと思いつつ、ジェレミアが話している間にも、蜘蛛たちはジェレミアを探して廊下を這い回り……二人が隠れている個室に入り込む。一匹がドアを押し開ければ、後から後からぞろぞろとやってくる。
「ひっ!」
「ああ、心配しなくて良い、ジェレミア」
 レイアは慈愛に満ちた声音で告げる。ジェレミアはそれを聞いて落ち着き……また心臓がひっくり返りそうなものを見た。レイアは蜘蛛を攻撃しない。蜘蛛はレイアに群がっていく。
「レイアさん?」
 何かがおかしい。今すぐ逃げないとまずい気がする。けれど、今目の前にいる彼女は間違いなくレイア・アローネの筈で……いや、しかし、蜘蛛はレイアを刺したり噛んだりする様子はない。まるで飼い犬が主人に甘えるかのごとくだ。
「レイア、さん……?」
 病室の窓から月明かりが差した。ジェレミアはそれまで気付かなかったことに気付いた。

 レイアの肌が、釉薬でも塗ったかのように艶めいている。その肌をジェレミアは見たことがある。

「アウグスタ……?」
「いいや、違うさ、ジェレミア。私は私だとも」
 レイアの眼球が上転した。眼窩を白目が満たす。口を大きく開けた。その中から……唾液と消化管粘液で濡れた丸いものが、てらてらと光りながら転がり落ちた。
 わずかに湿っぽさの混じった重たい音がする。それはすぐに自ら動き始めた。
「あ……あああ……」
 八本の脚を次々と展開していく。
 もう一つ。
 もう一つ。
 もう一つ。
 レイアが蜘蛛を吐き出し続ける姿が信じられなくて、どうしても信じられなくて、けれども紛れもなく「恐怖」を覚えていた彼は……。
「うわああああああああああああああああ!!!!!」
 逃げ出した。個室の扉を開けて、廊下に飛び出す。
「逃げ切れるかなジェレミア」
 レイアは微笑んだ。
 悪夢が始まった。

●プロモーション:魔王
「エドさん、エドさん。どうして逃げるんですか? 僕ですよー。アルマですっ」
「嘘吐くんじゃねぇ!」
 アルマ・A・エインズワース(ka4901)は廃病院の中を靴音高く歩いて行く。その前を走るエドは病院の玄関まで必死になって走った。疾影士で良かった。ランアウトが使える。
 追い掛けてきているのはアルマの姿をしているけど絶対に違うとエドは確信している。あんなのがアルマなものか。あんなおぞましいものが。優しい大型犬のような面差しはなく、アレは……。
「正真正銘、魔王様ってわけか? ちょっと成るのが早すぎると思うぜ。プロモーションはタイミング見ないと悪手だよな」
「プロモーションじゃキングには成れないですよ?」
 卵だと自称していた彼は確かに卵だったのだと思い知る。歪んで「孵らされた」者。時は来る前に、生々しい邪悪さを残したまま。昇華しなかった邪気は、エドに命の危険を覚えさせるには充分すぎた。背中の白い翼、その先の赤が、禍々しさを煽る。エドが綺麗だなと思っていた、いつもの銀詩梅は青い部分と白い部分が反転していた。高貴なる者の出で立ちだとでも言うつもりだろうか。
 アルマは走って追い掛けない。どうせ逃げられないとでも言わんばかりに歩いて追って来る。それともできるだけ楽しみを伸ばしたいのだろうか。
 やがて玄関扉が見えた。ドアノブに飛びついて、外に飛び出した、筈だった。
「……あれ?」
「わうっ! 僕のお城にようこそですー!」
「城?」
 外ではなかった。その先に続いているのは、豪華な屋敷の内装だった。それこそ幽霊でも出そうな──この世ならざる貴い血の者が住まうような。
 呆然としていると、背後のリノリウムをアルマの靴が叩く音が迫る。仕方ねぇ。エドは駆け出した。絨毯が足音を消した。好都合だ。手近な部屋に転がり込む。
「あれ。お姿が見えませんね? ……あぁ、分かりました! 隠れんぼですね!」
 それを聞くや、鳥肌が立った。探される? あの手が迫ってくる? 歯の根が合わない。快適な湿度、気温の筈なのに、氷漬けにでもされたかのように寒い。
「もう仲良くしてくれないです? お茶もお菓子も用意してますし、一緒に食べましょうよー」
 もういいかい。
 ──厭だ。
「そうだ。君を連れて、ジョンさんやハンクさんも迎えに行きましょう」
 もういいかい。
 ──厭だ。
「折角ですし、司祭さんたちも連れて来ましょうか。ひとりぼっちは、怖いですもんね?」
「厭だ!」
 叫ぶと同時にドアが開いた。ずっと気付いていたのだ。エドがどこに隠れているか。気付いて呼びかけていた。エドの恐怖を煽るために。何故か頭が冴えて、その事実に気付いてしまったエドは、息が詰まる。呼吸ができない。
「あ、あああああ……」
 くすくす、くすくす。
「――みぃつけた」
「さぁ、一緒に行きましょう?」
 声が出ない。息ができない。それでも恐怖だけでエドは暴挙に出た。差し伸べられた腕を短刀で斬りつけたのだ。
「おやおや、悪い子。さすがに僕でも痛いですよ?」
 血の一つも出ないのに、眉を下げて、まるで自分はか弱いのだとでもいわんばかりに告げる。瘧に掛かったかのように、震えが止まらない。どんどん体温が下がっているような気がする。
 ここは悪い気で満ちている。
 短刀が落ちた。まだ震え続けるエドの腕を、アルマの手がそっと握る。
「がっ……かはっ……」
 恐怖で息ができない。気道が詰まったかのよう。いや違う。気道も震えているのだ。震えていてまともな呼吸が妨げられている。
「こんなに震えて。大丈夫ですよ。あたたかい所、行きましょー?」
 ──厭だ!!!!

●四足歩行
 ヴィクターは振り返るとストレッチャーを思いっきり押した。廊下を高速で這い回りながら迫ってくる四つ足のソレは……キャリコ・ビューイ(ka5044)に見える何かはそれを壁に飛びつくことで回避した。
「掛かりやがったな」
 飛びつく瞬間なら避けられまい。ヴィクターはそこを狙って魔導銃を発砲した。しかし……。
「どんな反射神経してやがんだテメェ!」
 もはや瞬間移動に近い。距離を詰められて掛けて、ヴィクターは車椅子を倒した。キャリコの動きが一瞬だけ阻まれたが、片腕で軽く跳ね飛ばす。
「マジかよ!」
 こちらに飛んできた車椅子をもろに受けながら、ヴィクターはひっくり返った。そこにキャリコが飛びかかる。
「ちっ!」
 降ってきたところを銃把で殴りかかった。キャリコは後ろに飛び退る。当然空振りだ。
「……これが気持ち悪い化け物なら遠慮無く殴るんだがなぁ! こうなかなかのイケメンで来られると迂闊に殴れねぇから考え物だな! ハンサムに産んだ親に感謝しろ!」
 喚きながら、魔導銃を連射する。弾丸が尽きた。その隙を突いて、キャリコは再び接近する。ヴィクターは符術師だ。ドローアクションは使えても、クイックリロードは使えない。舌打ちをしながら装填する。
「ヘイヘイヘイ! せっつきすぎだぜ! 若い奴は堪え性がねぇな! 逃げしかしねぇから安心しな!」
 装填完了。しかしキャリコは壁を上り始める。それを見て、ヴィクターは踵を返して走り出した。
 後ろから、人の手が冷たい壁を叩くぺたぺたと言う音が聞こえる。ずっと聞き続けている内に……それが人の肌を叩くような音に聞こえてしまって、ヴィクターは身震いした。
 不意に音が止んだ。まさか諦めた? いやそんな筈はない。一体何が……。
 振り返ったヴィクターは、今まさにこちらに飛びかかってくるキャリコと目が合った。叫ぶ間もなく床に倒されて、頭を打つや目の前が真っ暗になった。

●天地の在処
 くすくす。
 くすくす。
 少女の声が多重に響く。彼を囲んで回っている。声はすれども姿は見えず。
 声に囲まれた赤毛の男はひとまず声のする一角に向けてファイアーボールを撃ち放った。灯りのない病院の廊下が、一瞬だけ真昼のように明るくなる。吹き飛ばされた車椅子の足置きが彼の頭上を飛んで行った。
 床の赤さが目に付く。どうやら……酸鼻を極めるような事態が起こっていたらしい。動物の匂いが混じる鉄錆臭が鼻を突いた。
 くすくす。
 くすくす。
「やだぁ、ヴィルジーリオさんたらぁ。そんなことも分かんないんですぅ?」
 星野 ハナ(ka5852)の声がした。ヴィルジーリオは目を閉じる。詰んだ。ハナが敵に回って、生きて帰れるとは思えない。
「随分と悪趣味ですね」
 気丈を装って言い返すが、声はどうしようもなく震えている。
「あなたはもっと、竹を割ったようなさっぱりした方だと思ってました」
「わざわざ怯えた声音で話して下さるからぁ、構い倒して仲間にしたくなるんじゃないですかぁ、ねぇ?」
 赤い床から、音もなく白いおんなの手が伸びる。魔術師の足首を捕まえようと手を伸ばす。波のように、柔らかい指先がなびいている。海底に咲く百合のよう。
 ブーツ越しに触れられているのに、その手の冷たさは直接肌に……否血管に触れるようだった。血が冷やされる。心臓が冷えていく。呼吸が震えた。
 ここはとても寒い。
 不意に、上階の床を誰かが殴ったような大きな音がした。思わず身を竦める。壁、床……彼を囲むありとあらゆる場所から断続的に音が鳴る。間隔が短くなり……空気の振動が肺と心臓を侵食するようであった。もはや自分の心臓が動いているかもわからない。

 いや、もしかしたら止まっているのではないだろうか?

「集合住宅向きの趣味じゃなさそうですね……!」
 絞り出すように嫌みを言うも、震えてかすれた声では強がりでしかない。そして、言い返したその瞬間。

 落雷かと思うような轟音がすぐ傍で響いた。

「ぐあっ!?」

 倒れ込む。鼓膜が破れたかと思った。それほどまでに静まりかえる。しかし、自分が立ち上がるときの衣擦れの音は確かに聞こえて、あれだけの音を受けても自分の聴覚が健在であることを知る。
「うう……」
 別に何か予感を覚えた訳ではなかった。ただ本当に、「不意に」天井を見て……。
「ねぇ……まだですぅ?」
 天井にしゃがみ込んでこちらを「見上げる」ハナと目が合った。
「……は?」
 三半規管が悲鳴を上げた。どちらが天地かわからなくなる。ハナのいる方が床で、自分が天井からぶら下がっているのではないか。目眩と吐き気を覚えて、うずくまりそうになる……だが、どちらが下なのだ? うずくまると言うことは、体を低い位置にするのか、体を縮こまらせることなのか……自分はどうしたいのだ? 考えが及ばなくなって、ただ呆然と立っていることしかできない。

「ヴィルジーリオさんがぁ、こんな怖がりだって知りませんでしたぁ」
 ハナの声が真横からする。
「貴方が聖導士だったらぁ、もう少し何とかできたかもって思いませんでしたかぁ」
 思わない。自分が何であれ、この悪夢を自力で打破することは不可能。
「……ねぇ……まだですぅ?」
 見えない手が頬を撫でる。恋人のように手を取る。苦しめるように喉をさする。
 心臓の拍動が乱れて、自分ではどうしようもなく……終わりが近いことを彼は悟った。

●スケアリー・イクシード・ナイトメア
「と、言う夢を見たんだ」
 翌朝、ハンターオフィスでレイアはC.J.にこぼしている。他にアルマ、キャリコ、ハナも依頼の受注のためにオフィスを訪れていた。
「私、蜘蛛を吐くところ、顎外れてたよな……? 超グロいんだが。というか化け物になるなら怯えて逃げ惑う方がマシだわイメージ的に!」
「気にするところ、そこなの? いやしかし夢で良かったよ。歪虚化したレイアとか一個小隊あっても勝てそうにないもんね」
「おはよー」
「おはようさん」
「おはようございます」
 エド、ヴィクター、ヴィルジーリオも受注の為に来た。彼らは皆一様に眠そうな顔をしている。
「どうしたの?」
「夢見が悪くてね」
 ヴィルジーリオが目を細めながら言った。彼はハナに気付くと、
「おはようございます星野さん」
「おはようございますぅ」
「……つかぬ事をお伺いしますが……」
「はいぃ。何でも聞いてくださぁい」
「あなたの方針は肉を切らせて骨を断つで間違いないですよね?」
「何ですかぁ、藪から棒にぃ。そうですよぉ」
「いえ、ただの本人確認です。安心しました」
「どんな本人確認だよ」
 ヴィクターはキャリコの顔を見るや、
「……初対面で不躾なことを聞くようだが、あんた普通に二足歩行だよな?」
「本当に不躾だが、そうだ」
「だよな」
「何その質問」
 C.J.が苦笑していると、
「アルマだ!!!!」
 エドがアルマの腰に飛びついた。
「わうっ! エドさんおはようございますです! どうしましたー?」
「本物のアルマに会いたかった……」
「泣くほど!? って言うか本物ってどう言うこと!? まさかハンターの姿をした歪虚が……?」
「わう! 放っておけないです! じゅっとするです!」
「いやそう言うんじゃねぇから……」
「僕もさぁ、変なおっさんに『君はボキのハニーなんだよ……デュフフフフ』って言われる夢見ちゃったよ。皆今日は夢見が悪かったのかな」
 さりげなく個性的な悪夢を披露しながら、C.J.は首を傾げるのであった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 自在の弾丸
    キャリコ・ビューイ(ka5044
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/04/02 18:59:50