ゲスト
(ka0000)
【血断】黒いマスティマ、出現
マスター:大林さゆる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~5人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/04/11 07:30
- 完成日
- 2019/04/18 01:36
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●分岐点
グラウンド・ゼロ。
両軍が出撃する最中、黒いマスティマが出現……ソサエティが集結して作った自動兵器軍団を次々と破壊していく姿は、まるで鬼神の如く。
遮断物さえも擦り抜けて、黒いマスティマは自動兵器を薙ぎ倒し、無残に散っていく残骸だけが残っていた。ほぼ消滅していく自動兵器も数多くあった。
地上に降り立つ黒いマスティマ。その機体に搭乗していたのは、クドウ・マコトであった。
『……あらかた、片付いたか』
誰に言う訳でもなく、呟くクドウ。黒いマスティマのコックピットからは、モニター越しでグラウンド・ゼロを見渡すことができた。
その先には、黙示騎士やサタン、ルシファーに突撃していくハンターたちの姿が見えた。
『……さて、どうするか』
このまま黙示騎士と合流するのも良いだろう。
悪くない選択だ。
クドウがそう思った刹那、立ちはだかるハンターたちがいた。
その中には、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)もおり、大弓を構えていた。
「クドウ・マコト、こんな場所で再会するとはな」
マクシミリアンが矢を放ち、黒いマスティマに命中。
さらにハンターたちが攻撃を仕掛けるが、軽々と回避する黒いマスティマ。操縦席にいるクドウが冷やかに口元を小さく歪めた。
感情と言えるものなのか。
彼の脳裏に記憶されたモノは……残像に過ぎないのか。
(俺は、あんたらのようにはなれなかった。だからこそ、俺は……。今でも、夢を見る。今まで出会った者たちのことを。だから、忘れられない……)
怒りと憎悪が入り混じる。
『どうやら、俺に用がありそうだな。あんたらが来たのは、想像がつくが……まあ、いいだろう。少しの間、相手になってやる。俺の相手ができれば、の話だが』
ハンターたちに対して向き直る黒いマスティマ。
見れば、援軍のハンターたちもいた。
クドウが搭乗する黒いマスティマを、できるだけ足止めする必要があった。
そのためには、少しでも時間稼ぎをしなければならない。
もし、黒いマスティマが黙示騎士と合流すれば、戦況は一気に変わる可能性があった。
最悪の事態だけは避けねばならない。
「クドウ・マコト、お前はもう、戻らないのか?」
どことなく哀しげな瞳をしていたのは、マクシミリアンだった。
グラウンド・ゼロ。
両軍が出撃する最中、黒いマスティマが出現……ソサエティが集結して作った自動兵器軍団を次々と破壊していく姿は、まるで鬼神の如く。
遮断物さえも擦り抜けて、黒いマスティマは自動兵器を薙ぎ倒し、無残に散っていく残骸だけが残っていた。ほぼ消滅していく自動兵器も数多くあった。
地上に降り立つ黒いマスティマ。その機体に搭乗していたのは、クドウ・マコトであった。
『……あらかた、片付いたか』
誰に言う訳でもなく、呟くクドウ。黒いマスティマのコックピットからは、モニター越しでグラウンド・ゼロを見渡すことができた。
その先には、黙示騎士やサタン、ルシファーに突撃していくハンターたちの姿が見えた。
『……さて、どうするか』
このまま黙示騎士と合流するのも良いだろう。
悪くない選択だ。
クドウがそう思った刹那、立ちはだかるハンターたちがいた。
その中には、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)もおり、大弓を構えていた。
「クドウ・マコト、こんな場所で再会するとはな」
マクシミリアンが矢を放ち、黒いマスティマに命中。
さらにハンターたちが攻撃を仕掛けるが、軽々と回避する黒いマスティマ。操縦席にいるクドウが冷やかに口元を小さく歪めた。
感情と言えるものなのか。
彼の脳裏に記憶されたモノは……残像に過ぎないのか。
(俺は、あんたらのようにはなれなかった。だからこそ、俺は……。今でも、夢を見る。今まで出会った者たちのことを。だから、忘れられない……)
怒りと憎悪が入り混じる。
『どうやら、俺に用がありそうだな。あんたらが来たのは、想像がつくが……まあ、いいだろう。少しの間、相手になってやる。俺の相手ができれば、の話だが』
ハンターたちに対して向き直る黒いマスティマ。
見れば、援軍のハンターたちもいた。
クドウが搭乗する黒いマスティマを、できるだけ足止めする必要があった。
そのためには、少しでも時間稼ぎをしなければならない。
もし、黒いマスティマが黙示騎士と合流すれば、戦況は一気に変わる可能性があった。
最悪の事態だけは避けねばならない。
「クドウ・マコト、お前はもう、戻らないのか?」
どことなく哀しげな瞳をしていたのは、マクシミリアンだった。
リプレイ本文
緊張感が漂う。
黒いマスティマは、先程から動く気配がない。
「こちらの様子を窺っているようね」
マスティマのmorte anjoに搭乗しているマリィア・バルデス(ka5848)が、魔導パイロットインカムを使い、仲間と通信を取る。
マリィアにとって、クドウ・マコトは面識がなく、噂で聞いた程度しか知らなかったが、会話をしたい者がいるならば、その想いを尊重したいと思っていた。
マスティマに搭乗するロニ・カルディス(ka0551)が、魔導スマートフォンで応答した。
「黒いマスティマに乗っているクドウ・マコトという青年……何が目的なのか。気になるところだ」
久我・御言(ka4137)が搭乗しているのは、コンフェッサーだ。
CAMに備え付けられている簡易スピーカーで、マスティマとの通信を試みる。
『クドウくん……久しぶりだね、我が戦友よ』
相手からは反応はなかったが、黒いマスティマはコンフェッサーの動きを気にしているようにも見えた。
キヅカ・リク(ka0038)は、マスティマのエストレリア・フーガに搭乗していたが、まずはクドウとの会話を望み、CAMの簡易スピーカーを使い、呼びかけた。
『マコト、随分前に宇宙で、喰うに困った子供たちが騒動起こした時に、あの子達の事、心配してたじゃないか。なのに、なんでお前はそこにいるんだよ。帰る場所がなくなる辛さを一番知ってるお前が……なんで。どうして奪う側に回ってるんだよ。お前が欲しかったのは、本当にそんな力なのか』
リクが呼びかけても、黒いマスティマは、ただ様子を窺っているだけであった。
それでも、リクは想いの丈を発した。
『英雄っていうけれど、これだってそんなにいいもんじゃない。手を伸ばす為に戦って届かなくて傷ついて。けど、此れだけは言える。自分に嘘をつかずに、俺は…今を生きてる…って』
『マスティマが3機か。トマーゾも、随分と奮発したもんだな』
クドウの声が、黒いマスティマの簡易スピーカーから響く。
ロニは、マスティマに装備した魔導拡声機「ナーハリヒト」を使い、冷静に呼びかけた。
『クドウ・マコト、おまえの目的はなんだ?』
その問いに、意外にもクドウは返答する。
『黙示騎士と合流する予定だったが、トマーゾが組み立てたマスティマが3機も揃うとは……な』
黒いマスティマがワープ移動で、一瞬にしてエストレリア・フーガに接近。
『負けられない……コイツにだけは!!』
こうなることは、分かっていた。それでも、クドウと話がしたかった。
『リクか。世界の守護者様って奴か?』
マテリアルネイルで攻撃をしかけてきた黒いマスティマに対して、エストレリア・フーガは聖機盾「オラシオン」で受け止める。
妙な感覚だった。黒いマスティマは、特にパラドックスを発動していない。
どういうことだ?
否、疑問など、どうでもいいことだ。
「クドウくん、それが君の選んだ道ならば、私も君の覚悟に恥じないように、応えよう」
御言のコンフェッサーが『アクティブスラスター』を駆使して駆り、『マテリアルバルーン』を発動させ、疑似機体を2体、出現させた。
「関係ねぇよ。裏切り者と話すことなんぞ無ぇしな」
アニス・テスタロッサ(ka0141)が搭乗するオファニムのレラージュ・ベナンディが、プラズマライフル「ラッド・フィエル01」を構え、黒いマスティマを狙い撃つが、回避されてしまう。
「ふん、余裕じゃねぇか。だがな、あんたの目的なんざ、どうでもいいんだよ」
アニスにとって、クドウは裏切り者でしかない。故に、躊躇う必要もなかった。
マリィアのマスティマmorte anjoが後退移動し、スキルトレース:LV30による『ハウンドバレット』の弾丸を発射……変則的な弾道を描き、黒いマスティマが回避したようにも見えたが、『パラドックス』によって弾丸が命中し、黒いマスティマの胴部にダメージを与えていた。
「人は死ぬけど歪虚だって消滅するわ。その時に悔いなく死ねる、消滅できる行動を探せば良いだけよ。そっちで戦うのが嫌になったら戻ってらっしゃい。話したくなったら、生身で散策にいらっしゃい。貴方が考えてるより、世界はずっとシンプルなのよ」
マリィアが語りかけた、その刹那。
黒いマスティマが掌の中に光弾を作り出し、morte anjoに狙いを定めてマテリアルショットを発射した。1ラウンドで、パラドックスは一回しか使えない。その隙をつき、マテリアルショットがmorte anjoの右腕に命中し、周囲5スクエアを巻き込む光弾によってmorte anjoがダメージを受けた。
「くっ、完全に隙をつかれたわ」
操縦席にいるマリィアの身体にも、衝撃が走った。
「だが、奇しくも同型機、足止めには役者不足は無いだろう」
マスティマに搭乗したロニは、依頼目的を遂行するため、『オールマイティ』を発動させ、ショートジャンプで障害物を擦り抜け、『アクティブスラスター』を駆使して接近、黒いマスティマの前に立ちはだかる。
『……相手にとって、不足はない』
黒いマスティマが、マテリアルネイルで襲い掛かってきたが、ロニのマスティマは回避……すかさず先手を取り、『ブレイズウィング』を解き放った。黒いマスティマに命中し、多大なダメージを与えていたが……。
やはり妙な感覚だ。黒いマステイマは、相手の出方を見計らっているのか、パラドックスを使用する様子がない。クドウは、パラドックスの使用タイミングを推し測っているのだろう。
黒いマスティマは、ロニのマスティマをターゲットに捉え、マテリアルショットを放った。受けも回避もできず、ロニのマスティマは光弾に巻き込まれてダメージを喰らっていたが、『ダメージコントロール』が発動して、機体の回路が回復した。
「手加減無用ということか」
「リク、俺を奴の正面にシフトさせろ!」
アニスのレラージュ・ベナンディが、エストレリア・フーガの発動した『プライマルシフト』によって、黒いマスティマの前方に現れた。
「せいぜい使われてろよ。その機体にも、歪虚共にもよ!」
レラージュ・ベナンディは『MODE:Indra』によって赤く発光したかのように見えると、黒いマスティマに押し付けるように接近し、プラズマライフル「ラッド・フィエル01」の銃口を敵のコックピット付近に狙い定め、弾丸を放った。MODE:Indraと同じタイミングのクローズコンバットは発動しなかったが、スキルリンカー:Lv20による『高加速射撃』は発動し、マテリアルを使って弾丸を加速させ、受け低下を付与することができた。だが、黒いマスティマは回避し、一瞬でワープ移動すると、50メートル離れた位置に出現した。
「たくっ、マジで逃げる気か? 弱腰になりやがって」
冷たく言い放つアニス。
前方を見れば、黒いマスティマの機体も赤く輝いていた。と、次の瞬間、後方にワープ移動したかと思うと、エストレリア・フーガの射程外の距離から、黒いマスティマのテールブレードがバラバラに分解し、無数の剣として射出……エストレリア・フーガはインジェクションによる『パラドックス』を発動させ、テールブレードを回避。
ロニのマスティマには、テールブレードが命中……インジェクションが間に合わずパラドックスを発動させることができなかったが、『ダメージコントロール』が発動したことにより、機体の回路を回復させることができた。
疑似機体2体にもテールブレードが突き刺さり、消滅。御言のコンフェッサーとアニスのレラージュ・ベナンディの胴部にテールブレードが命中し、多大なダメージを喰らってしまう。
マリィアのマスティマmorte anjoは『パラドックス』が発動したことにより回避し、ダメージを受けることはなかった。
「あんな距離からでも、攻撃できるの?」
マリィアの見立てでは、少なくとも黒いマスティマは射程140前後からでも攻撃ができると直感した。
御言は以前、宇宙空間でも黒いマスティマと戦った経験から、テールブレードは一度に複数の相手に攻撃できることを再確認した。
「気を付けてくれ。クドウ君の黒いマスティマは、超遠距離の攻撃ができるようだ」
その事実を、御言が仲間たちにトランシーバーで伝える。
「だったら、距離を詰めれば!」
リクのエストレリア・フーガが『オールマイティ』を起動させ、ショートジャンプを駆使して、黒いマスティマに接近すると、射程を捕えて『ブレイズウィング』を解き放った。
リクの想いに応えるかのように、カーミン・S・フィールズの言葉が脳裏に過った。
(だからー、CAMならリクのが詳しいでしょーが。攻撃が当たらない? そこにマリィアとアニスがいるでしょ? ダメージが通らない? マクシミリアンがいるじゃないの。何とかなるわよ、いってらっしゃい!)
大精霊が大きな翼を広げたようなブレイズウィングが噴射され、黒いマスティマに3回命中し、多大なダメージを与えていく。
だが、黒いマスティマは予想以上に硬く、ダメージを喰らっても破壊することまではできなかった。
すかさずワープ移動をする黒いマスティマが、エストレリア・フーガに接近し、マテリアルネイルで攻撃をしかけてくるが、インジェクションの『パラドックス』によってエストレリア・フーガが回避。
「来る!」
リクは無意識にそう思った。
高瀬 未悠の想いが伝わってくる。
(リクなら大丈夫。そう信じているけれど……自分を大切にして。いつ戦いの中で果てるかわからない危うさがあるのよ。自覚はないと思うけれど……必ず生きて帰ってくるのよ。守る為に、生きて……)
さらに、アリア・セリウスの想いも伝わってきた。
(マスティマ同士というより、蒼の世界出身同士の対決。勝ちなさい。私の知るキヅカ・リクという存在は、クドウ・マコトのような絶望に墜ちた者を打ち倒すもの。矛盾でも、全てを拾う為に、勝って貴方の夢を示す。そう信じている)
黒いマスティマは、パラドックスの隙をつき、マテリアルショットを発射……エストレリア・フーガは聖機盾「オラシオン」を構えるが、敵の光弾はエストレリア・フーガの足元に命中し、周囲5スクエアを巻き込む。だが、エストレリア・フーガは奇跡的にダメージが少なかった。
「マコト! お前は誰かのために心の底からうれしいと笑えたことがあったのか!」
リクが叫ぶ。
御言のコンフェッサーが『マテリアルライン』を発動させ、黒いマスティマとの通信を結ぶ。
『クドウくん、私は月面基地の病院へ行ったことがある。1人の強化人間を見舞いにね。彼はイクシードアプリを使ったのだそうだ。家族を守る為に。彼は感謝していたよ。自分を捕まえた赤いエクスシアに乗った者にね。私はすぐに分かった。彼を救ったのは、クドウくんだということを。君は私達の様にはなれない、と言った。だが君は、君の力で他者からの感謝を得ている。それは私達と一体何が違うというのだろうか? 問おう、戦友。君は何が望みだ』
『……俺は……救えたのか? 強化人間を?』
クドウの声が震えていた。御言が応える。
『そうだ。彼の名は、畑本 勇作だ。覚えているかね?』
『……。……俺が救えたのは、その人間だけだ』
クドウが、少しずつ怒りを募らせていく。
『そうだ。君は、強化人間を救ったのだよ』
穏やかな声で御言が応答した時、黒いマスティマはコンフェッサーに体当たりしてきた。
『1人だけじゃ意味がないんだよ! 俺は、そんなことは望んでいなかった!』
憤りを隠せないクドウ。まるで、子供のようであった。
『久我、やっぱり俺は、あんたらのようにはなれなかった。だから……!』
『ハンターに憧れ、君は何を願った? 今、圧倒的な力を手にして、君は何を思う? 君の望みは! どうしたら果たされるのかね!!』
御言は諭すように、懸命に告げた。
クドウがマテリアルラインを通して、応えた。
『俺はもう、元には戻れない……あんたらとは、違う存在だからな。異質な者は排除させる。それが『ヒトの世界』だろう? そんな世界ならば……』
黒いマスティマの胸部に光が集中し、マテリアルライフルが放たれた。
御言のコンフェッサーは至近距離にいたため、マテリアルライフルの光弾に巻き込まれ、機体はダメージを受けていた。
このままでは……。
エストレリア・フーガが『プライマルシフト』を発動させ、コンフェッサーとオファニムのレラージュ・ベナンディを別の場所へと転移させた。
ロニのマスティマは味方を庇うため、『プライマルシフト』で自身の機体とマリィアのマスティマmorte anjoを黒いマスティマの前方へと転移。
「クドウ・マコト。今、その立場になって満足しているのか」
ロニが搭乗するマスティマには魔導拡声機「ナーハリヒト」が装備されていたこともあり、クドウにも聴こえていた。
『……さあな。自分でも、よく分かっていない』
黒いマスティマが繰り出すマテリアルネイルによって、ロニのマスティマは切り裂かれたかのように思えたが、ロニ機のマスティマはインジェクションによる『パラドックス』を発動させ、マテリアルネイルを回避した。
ロニは、クドウと会話するだけでなく、できる限りの手段を使って、黒いマスティマを黙示騎士と合流させないように時間稼ぎと足止めを優先していた。
「この位置ならば、これね」
マリィアが搭乗するmorte anjoがバズーカ「ロウシュヴァウスト」を構え、『パラドックス』を発動させた砲弾を放った。黒いマスティマは回避も受けもできず、攻撃を喰らうが、攻撃に転じると、マテリアルショットでmorte anjoを狙い撃つ。
黒いマスティマのパラドックスは発動しなかったが、マテリアルショットの光弾はmorte anjoの胴部に命中し、ダメージを与えていた。
「今のところ、五分五分という感じだけど……」
少なくとも、現在、戦っている黒いマスティマとは、対等に渡り合えるようにも思えた。
やはり、クドウはパラドックスの使用タイミングを見計らっている……morte anjo機が攻撃時にパラドックスを使用すると、黒いマスティマは防御時にはパラドックスは使用しない。
「だとしたら?」
マリィアがそう呟いた時、黒いマスティマは、やはりパラドックスの隙をついて、マテリアルショットを発射し、morte anjo機の胴部に光弾が命中して、ダメージを与えていた。
「マコト! 僕には、お前が満足しているようには思えない!」
リクのエストレリア・フーガが『ブレイズウィング』を解き放ち、黒いマスティマに連続で3回命中し、ダメージを与えていく。それでも、黒いマスティマは攻撃に耐え、多少の破損はあったものの、破壊することまではできなかった。
ロニのマスティマが『人機一体』のオーラを纏い、『ブレイズウィング』は放った。黒いマスティマに3回命中し、多大なダメージを与えていた。
と、束の間。黒いマスティマはワープ移動して、アニスのレラージュ・ベナンディに接近。
「おいでなすったな。こっちは逃げも隠れもしねぇよ」
レラージュ・ベナンディは、ゲシュペンストを発動させていたこともあり、黒いマスティマの攻撃を回避することができたが、紙一重だった。
「撃ち合いしか出来ねぇと思ったか? なめんじゃねぇぞ!」
レラージュ・ベナンディは可変機銃「ポレモスSGS」を剣に変形させ、至近距離から攻撃をしかけるが、黒いマスティマは回避し、次の瞬間にはワープ移動で、50メートル離れた場所に現れた。
「出たわね」
マリィアのmorte anjo機がロングレンジライフル「ルギートゥスD5」を構え、『パラドックス』を発動させた弾丸を放った。黒いマスティマは回避も受けもできず、弾丸によって右脚を貫かれた。
御言のコンフェッサーは、マテリアルラインの効果が続いていたこともあり、黒いマスティマに乗るクドウと通信を取ることができた。
『クドウくん、今は強化人間達もハンターとして契約した者もいる。問題はあっても、それは解決していくし、諦めない者もいる。それが君に出来ないとは、私は思わない。君は何がしたいのかね。聞かせてくれたまえ。それを叶える事ができるなら、帰ってくる事を考えてみないかね?』
それは命を絶つより大変な選択肢となり得るだろうことは、御言にも理解できた。
『……もう、俺の帰る場所はない。裏切り者と呼ぶ者もいるが、それも事実だ。否定はしない。実際、そうだからな』
『それでも、私は提案し、乗るのであればどこまでも付き合おうと思う。そして、その手を伸ばし続けるぞ。我が戦友よ!!』
御言の想いもまた、まぎれもない真実だった。
『悪いが……俺は、この場から離れる。久我とこのまま会話を続けていると、怒りが抑えられなくなるからな』
クドウはそう告げた後、黒いマスティマは、ワープ移動して、その場から離脱した。
●
怒りのまま、攻撃すれば良いだけなのに。
何故か、できなかった。
「久我とリクが、余計なことを言うから……俺は……」
心の奥が、ざわつく。
忘れたいのに、忘れられない。
大切な家族……。
手を取った温もりが、忘れられない。
黒いマスティマは、クドウの想いを振り払うように、転移していた。
どこへ向かうのかは、自分でも分からなかった。
黒いマスティマは、先程から動く気配がない。
「こちらの様子を窺っているようね」
マスティマのmorte anjoに搭乗しているマリィア・バルデス(ka5848)が、魔導パイロットインカムを使い、仲間と通信を取る。
マリィアにとって、クドウ・マコトは面識がなく、噂で聞いた程度しか知らなかったが、会話をしたい者がいるならば、その想いを尊重したいと思っていた。
マスティマに搭乗するロニ・カルディス(ka0551)が、魔導スマートフォンで応答した。
「黒いマスティマに乗っているクドウ・マコトという青年……何が目的なのか。気になるところだ」
久我・御言(ka4137)が搭乗しているのは、コンフェッサーだ。
CAMに備え付けられている簡易スピーカーで、マスティマとの通信を試みる。
『クドウくん……久しぶりだね、我が戦友よ』
相手からは反応はなかったが、黒いマスティマはコンフェッサーの動きを気にしているようにも見えた。
キヅカ・リク(ka0038)は、マスティマのエストレリア・フーガに搭乗していたが、まずはクドウとの会話を望み、CAMの簡易スピーカーを使い、呼びかけた。
『マコト、随分前に宇宙で、喰うに困った子供たちが騒動起こした時に、あの子達の事、心配してたじゃないか。なのに、なんでお前はそこにいるんだよ。帰る場所がなくなる辛さを一番知ってるお前が……なんで。どうして奪う側に回ってるんだよ。お前が欲しかったのは、本当にそんな力なのか』
リクが呼びかけても、黒いマスティマは、ただ様子を窺っているだけであった。
それでも、リクは想いの丈を発した。
『英雄っていうけれど、これだってそんなにいいもんじゃない。手を伸ばす為に戦って届かなくて傷ついて。けど、此れだけは言える。自分に嘘をつかずに、俺は…今を生きてる…って』
『マスティマが3機か。トマーゾも、随分と奮発したもんだな』
クドウの声が、黒いマスティマの簡易スピーカーから響く。
ロニは、マスティマに装備した魔導拡声機「ナーハリヒト」を使い、冷静に呼びかけた。
『クドウ・マコト、おまえの目的はなんだ?』
その問いに、意外にもクドウは返答する。
『黙示騎士と合流する予定だったが、トマーゾが組み立てたマスティマが3機も揃うとは……な』
黒いマスティマがワープ移動で、一瞬にしてエストレリア・フーガに接近。
『負けられない……コイツにだけは!!』
こうなることは、分かっていた。それでも、クドウと話がしたかった。
『リクか。世界の守護者様って奴か?』
マテリアルネイルで攻撃をしかけてきた黒いマスティマに対して、エストレリア・フーガは聖機盾「オラシオン」で受け止める。
妙な感覚だった。黒いマスティマは、特にパラドックスを発動していない。
どういうことだ?
否、疑問など、どうでもいいことだ。
「クドウくん、それが君の選んだ道ならば、私も君の覚悟に恥じないように、応えよう」
御言のコンフェッサーが『アクティブスラスター』を駆使して駆り、『マテリアルバルーン』を発動させ、疑似機体を2体、出現させた。
「関係ねぇよ。裏切り者と話すことなんぞ無ぇしな」
アニス・テスタロッサ(ka0141)が搭乗するオファニムのレラージュ・ベナンディが、プラズマライフル「ラッド・フィエル01」を構え、黒いマスティマを狙い撃つが、回避されてしまう。
「ふん、余裕じゃねぇか。だがな、あんたの目的なんざ、どうでもいいんだよ」
アニスにとって、クドウは裏切り者でしかない。故に、躊躇う必要もなかった。
マリィアのマスティマmorte anjoが後退移動し、スキルトレース:LV30による『ハウンドバレット』の弾丸を発射……変則的な弾道を描き、黒いマスティマが回避したようにも見えたが、『パラドックス』によって弾丸が命中し、黒いマスティマの胴部にダメージを与えていた。
「人は死ぬけど歪虚だって消滅するわ。その時に悔いなく死ねる、消滅できる行動を探せば良いだけよ。そっちで戦うのが嫌になったら戻ってらっしゃい。話したくなったら、生身で散策にいらっしゃい。貴方が考えてるより、世界はずっとシンプルなのよ」
マリィアが語りかけた、その刹那。
黒いマスティマが掌の中に光弾を作り出し、morte anjoに狙いを定めてマテリアルショットを発射した。1ラウンドで、パラドックスは一回しか使えない。その隙をつき、マテリアルショットがmorte anjoの右腕に命中し、周囲5スクエアを巻き込む光弾によってmorte anjoがダメージを受けた。
「くっ、完全に隙をつかれたわ」
操縦席にいるマリィアの身体にも、衝撃が走った。
「だが、奇しくも同型機、足止めには役者不足は無いだろう」
マスティマに搭乗したロニは、依頼目的を遂行するため、『オールマイティ』を発動させ、ショートジャンプで障害物を擦り抜け、『アクティブスラスター』を駆使して接近、黒いマスティマの前に立ちはだかる。
『……相手にとって、不足はない』
黒いマスティマが、マテリアルネイルで襲い掛かってきたが、ロニのマスティマは回避……すかさず先手を取り、『ブレイズウィング』を解き放った。黒いマスティマに命中し、多大なダメージを与えていたが……。
やはり妙な感覚だ。黒いマステイマは、相手の出方を見計らっているのか、パラドックスを使用する様子がない。クドウは、パラドックスの使用タイミングを推し測っているのだろう。
黒いマスティマは、ロニのマスティマをターゲットに捉え、マテリアルショットを放った。受けも回避もできず、ロニのマスティマは光弾に巻き込まれてダメージを喰らっていたが、『ダメージコントロール』が発動して、機体の回路が回復した。
「手加減無用ということか」
「リク、俺を奴の正面にシフトさせろ!」
アニスのレラージュ・ベナンディが、エストレリア・フーガの発動した『プライマルシフト』によって、黒いマスティマの前方に現れた。
「せいぜい使われてろよ。その機体にも、歪虚共にもよ!」
レラージュ・ベナンディは『MODE:Indra』によって赤く発光したかのように見えると、黒いマスティマに押し付けるように接近し、プラズマライフル「ラッド・フィエル01」の銃口を敵のコックピット付近に狙い定め、弾丸を放った。MODE:Indraと同じタイミングのクローズコンバットは発動しなかったが、スキルリンカー:Lv20による『高加速射撃』は発動し、マテリアルを使って弾丸を加速させ、受け低下を付与することができた。だが、黒いマスティマは回避し、一瞬でワープ移動すると、50メートル離れた位置に出現した。
「たくっ、マジで逃げる気か? 弱腰になりやがって」
冷たく言い放つアニス。
前方を見れば、黒いマスティマの機体も赤く輝いていた。と、次の瞬間、後方にワープ移動したかと思うと、エストレリア・フーガの射程外の距離から、黒いマスティマのテールブレードがバラバラに分解し、無数の剣として射出……エストレリア・フーガはインジェクションによる『パラドックス』を発動させ、テールブレードを回避。
ロニのマスティマには、テールブレードが命中……インジェクションが間に合わずパラドックスを発動させることができなかったが、『ダメージコントロール』が発動したことにより、機体の回路を回復させることができた。
疑似機体2体にもテールブレードが突き刺さり、消滅。御言のコンフェッサーとアニスのレラージュ・ベナンディの胴部にテールブレードが命中し、多大なダメージを喰らってしまう。
マリィアのマスティマmorte anjoは『パラドックス』が発動したことにより回避し、ダメージを受けることはなかった。
「あんな距離からでも、攻撃できるの?」
マリィアの見立てでは、少なくとも黒いマスティマは射程140前後からでも攻撃ができると直感した。
御言は以前、宇宙空間でも黒いマスティマと戦った経験から、テールブレードは一度に複数の相手に攻撃できることを再確認した。
「気を付けてくれ。クドウ君の黒いマスティマは、超遠距離の攻撃ができるようだ」
その事実を、御言が仲間たちにトランシーバーで伝える。
「だったら、距離を詰めれば!」
リクのエストレリア・フーガが『オールマイティ』を起動させ、ショートジャンプを駆使して、黒いマスティマに接近すると、射程を捕えて『ブレイズウィング』を解き放った。
リクの想いに応えるかのように、カーミン・S・フィールズの言葉が脳裏に過った。
(だからー、CAMならリクのが詳しいでしょーが。攻撃が当たらない? そこにマリィアとアニスがいるでしょ? ダメージが通らない? マクシミリアンがいるじゃないの。何とかなるわよ、いってらっしゃい!)
大精霊が大きな翼を広げたようなブレイズウィングが噴射され、黒いマスティマに3回命中し、多大なダメージを与えていく。
だが、黒いマスティマは予想以上に硬く、ダメージを喰らっても破壊することまではできなかった。
すかさずワープ移動をする黒いマスティマが、エストレリア・フーガに接近し、マテリアルネイルで攻撃をしかけてくるが、インジェクションの『パラドックス』によってエストレリア・フーガが回避。
「来る!」
リクは無意識にそう思った。
高瀬 未悠の想いが伝わってくる。
(リクなら大丈夫。そう信じているけれど……自分を大切にして。いつ戦いの中で果てるかわからない危うさがあるのよ。自覚はないと思うけれど……必ず生きて帰ってくるのよ。守る為に、生きて……)
さらに、アリア・セリウスの想いも伝わってきた。
(マスティマ同士というより、蒼の世界出身同士の対決。勝ちなさい。私の知るキヅカ・リクという存在は、クドウ・マコトのような絶望に墜ちた者を打ち倒すもの。矛盾でも、全てを拾う為に、勝って貴方の夢を示す。そう信じている)
黒いマスティマは、パラドックスの隙をつき、マテリアルショットを発射……エストレリア・フーガは聖機盾「オラシオン」を構えるが、敵の光弾はエストレリア・フーガの足元に命中し、周囲5スクエアを巻き込む。だが、エストレリア・フーガは奇跡的にダメージが少なかった。
「マコト! お前は誰かのために心の底からうれしいと笑えたことがあったのか!」
リクが叫ぶ。
御言のコンフェッサーが『マテリアルライン』を発動させ、黒いマスティマとの通信を結ぶ。
『クドウくん、私は月面基地の病院へ行ったことがある。1人の強化人間を見舞いにね。彼はイクシードアプリを使ったのだそうだ。家族を守る為に。彼は感謝していたよ。自分を捕まえた赤いエクスシアに乗った者にね。私はすぐに分かった。彼を救ったのは、クドウくんだということを。君は私達の様にはなれない、と言った。だが君は、君の力で他者からの感謝を得ている。それは私達と一体何が違うというのだろうか? 問おう、戦友。君は何が望みだ』
『……俺は……救えたのか? 強化人間を?』
クドウの声が震えていた。御言が応える。
『そうだ。彼の名は、畑本 勇作だ。覚えているかね?』
『……。……俺が救えたのは、その人間だけだ』
クドウが、少しずつ怒りを募らせていく。
『そうだ。君は、強化人間を救ったのだよ』
穏やかな声で御言が応答した時、黒いマスティマはコンフェッサーに体当たりしてきた。
『1人だけじゃ意味がないんだよ! 俺は、そんなことは望んでいなかった!』
憤りを隠せないクドウ。まるで、子供のようであった。
『久我、やっぱり俺は、あんたらのようにはなれなかった。だから……!』
『ハンターに憧れ、君は何を願った? 今、圧倒的な力を手にして、君は何を思う? 君の望みは! どうしたら果たされるのかね!!』
御言は諭すように、懸命に告げた。
クドウがマテリアルラインを通して、応えた。
『俺はもう、元には戻れない……あんたらとは、違う存在だからな。異質な者は排除させる。それが『ヒトの世界』だろう? そんな世界ならば……』
黒いマスティマの胸部に光が集中し、マテリアルライフルが放たれた。
御言のコンフェッサーは至近距離にいたため、マテリアルライフルの光弾に巻き込まれ、機体はダメージを受けていた。
このままでは……。
エストレリア・フーガが『プライマルシフト』を発動させ、コンフェッサーとオファニムのレラージュ・ベナンディを別の場所へと転移させた。
ロニのマスティマは味方を庇うため、『プライマルシフト』で自身の機体とマリィアのマスティマmorte anjoを黒いマスティマの前方へと転移。
「クドウ・マコト。今、その立場になって満足しているのか」
ロニが搭乗するマスティマには魔導拡声機「ナーハリヒト」が装備されていたこともあり、クドウにも聴こえていた。
『……さあな。自分でも、よく分かっていない』
黒いマスティマが繰り出すマテリアルネイルによって、ロニのマスティマは切り裂かれたかのように思えたが、ロニ機のマスティマはインジェクションによる『パラドックス』を発動させ、マテリアルネイルを回避した。
ロニは、クドウと会話するだけでなく、できる限りの手段を使って、黒いマスティマを黙示騎士と合流させないように時間稼ぎと足止めを優先していた。
「この位置ならば、これね」
マリィアが搭乗するmorte anjoがバズーカ「ロウシュヴァウスト」を構え、『パラドックス』を発動させた砲弾を放った。黒いマスティマは回避も受けもできず、攻撃を喰らうが、攻撃に転じると、マテリアルショットでmorte anjoを狙い撃つ。
黒いマスティマのパラドックスは発動しなかったが、マテリアルショットの光弾はmorte anjoの胴部に命中し、ダメージを与えていた。
「今のところ、五分五分という感じだけど……」
少なくとも、現在、戦っている黒いマスティマとは、対等に渡り合えるようにも思えた。
やはり、クドウはパラドックスの使用タイミングを見計らっている……morte anjo機が攻撃時にパラドックスを使用すると、黒いマスティマは防御時にはパラドックスは使用しない。
「だとしたら?」
マリィアがそう呟いた時、黒いマスティマは、やはりパラドックスの隙をついて、マテリアルショットを発射し、morte anjo機の胴部に光弾が命中して、ダメージを与えていた。
「マコト! 僕には、お前が満足しているようには思えない!」
リクのエストレリア・フーガが『ブレイズウィング』を解き放ち、黒いマスティマに連続で3回命中し、ダメージを与えていく。それでも、黒いマスティマは攻撃に耐え、多少の破損はあったものの、破壊することまではできなかった。
ロニのマスティマが『人機一体』のオーラを纏い、『ブレイズウィング』は放った。黒いマスティマに3回命中し、多大なダメージを与えていた。
と、束の間。黒いマスティマはワープ移動して、アニスのレラージュ・ベナンディに接近。
「おいでなすったな。こっちは逃げも隠れもしねぇよ」
レラージュ・ベナンディは、ゲシュペンストを発動させていたこともあり、黒いマスティマの攻撃を回避することができたが、紙一重だった。
「撃ち合いしか出来ねぇと思ったか? なめんじゃねぇぞ!」
レラージュ・ベナンディは可変機銃「ポレモスSGS」を剣に変形させ、至近距離から攻撃をしかけるが、黒いマスティマは回避し、次の瞬間にはワープ移動で、50メートル離れた場所に現れた。
「出たわね」
マリィアのmorte anjo機がロングレンジライフル「ルギートゥスD5」を構え、『パラドックス』を発動させた弾丸を放った。黒いマスティマは回避も受けもできず、弾丸によって右脚を貫かれた。
御言のコンフェッサーは、マテリアルラインの効果が続いていたこともあり、黒いマスティマに乗るクドウと通信を取ることができた。
『クドウくん、今は強化人間達もハンターとして契約した者もいる。問題はあっても、それは解決していくし、諦めない者もいる。それが君に出来ないとは、私は思わない。君は何がしたいのかね。聞かせてくれたまえ。それを叶える事ができるなら、帰ってくる事を考えてみないかね?』
それは命を絶つより大変な選択肢となり得るだろうことは、御言にも理解できた。
『……もう、俺の帰る場所はない。裏切り者と呼ぶ者もいるが、それも事実だ。否定はしない。実際、そうだからな』
『それでも、私は提案し、乗るのであればどこまでも付き合おうと思う。そして、その手を伸ばし続けるぞ。我が戦友よ!!』
御言の想いもまた、まぎれもない真実だった。
『悪いが……俺は、この場から離れる。久我とこのまま会話を続けていると、怒りが抑えられなくなるからな』
クドウはそう告げた後、黒いマスティマは、ワープ移動して、その場から離脱した。
●
怒りのまま、攻撃すれば良いだけなのに。
何故か、できなかった。
「久我とリクが、余計なことを言うから……俺は……」
心の奥が、ざわつく。
忘れたいのに、忘れられない。
大切な家族……。
手を取った温もりが、忘れられない。
黒いマスティマは、クドウの想いを振り払うように、転移していた。
どこへ向かうのかは、自分でも分からなかった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 アニス・テスタロッサ(ka0141) 人間(リアルブルー)|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2019/04/10 19:02:53 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/07 11:51:36 |