• 東幕

【東幕】野に咲く花と生きるすべ

マスター:紺堂 カヤ

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/04/27 07:30
完成日
2019/04/30 01:22

みんなの思い出

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オープニング

 自然とは残酷だと、史郎(kz0242)は思った。エトファリカ連邦国・詩天。史郎は今、主にこの地を拠点として動いていた。各地を飛び回っているのは相変わらずだが、定期的に詩天へ帰ってきている。
「白木蓮が見事に咲いてる……、人の生死は花には関係ないもんな」
 だからこそ残酷だと、そう思ったわけだが。
 白い花を見上げながら、史郎はしばらく考えを巡らせた。「友」と先日交わしたやり取りを思い出していたのである。



「史郎、お前さ……、俺様の専属になってくれねえか?」
 神妙な顔をして、スメラギがそう切り出したとき、史郎は正直なところ「ついに来たか」と思った。
「……専属マネージャー?」
「ま、まねーじゃー?」
「あー、ごめん、スーさんには通じない冗談だったね」
 とりあえず一度は茶化しておこうかと思って返したセリフには、見事に怪訝な顔をされ、史郎は苦笑した。
「じゃあ、まあ、冗談は抜きで尋ねるけど。それは月白という忍の方の俺か、史郎という商人としての俺か、どっちに向かって言ってるんだい?」
「え……、それは、まあ、両方、かな……」
「両方? 欲張りだなあ」
 まあそんな気はしていたけれど、と内心で呟きつつ、史郎は笑って見せた。だが、スメラギにもわかっているはずだ。笑顔を作って見せてはいても、史郎の眼は笑っていない……、真剣そのものだということに。
「つまり俺に、スーさんの友だちをやめて部下になれと言ってるわけだね」
「そういうわけじゃ……、って、そんな甘いことは言えないよな……。そういうことに、なるんだよな」
 スメラギと史郎は以前にも、同じようなやりとりをしたことがある。そのときに比べたらスメラギは随分と覚悟のある顔立ちになった、と史郎はこっそり思った。
 今のスメラギになら、仕えてもいいかもしれない。
 だけれど。
「うん、スーさんに覚悟があるのはわかった。でも、少し考えさせてほしい。仕事には意外と慎重なんだ、俺」
「わかった。……意外と、じゃないぜ。お前はいつも慎重だ。慎重でありながら、大胆だ。その慎重さと大胆さに、俺は何度も助けられた」
 真っ直ぐな目でそう告げるスメラギは、やはり一回りも二回りも大きくなっているようだった。



 スメラギとのこのやりとりから、数日。
 史郎はずっと悩んでいた……、と言うと実は嘘になる。悩む暇もないほど、忙しく働いていたからである。物流が麻痺する中でも、なんとかして物の売り買いを続ける……、それが商人の仕事であるし、なにより人々の助けになると史郎は信じていた。
 それに。
「あ、史郎兄ちゃんだ!!」
 後ろから声をかけられ、史郎は振りむいた。数名の子どもたちが、史郎に手を振っている。
 史郎は、もともと身寄りのない子や今回のゴタゴタで親兄弟たちと離れざるを得なくなってしまった子たちを、詩天に連れてきて世話をしていた。とはいえ、完全に「食わせてやっている」わけではない。
 彼らはこれから自分たちでこの世を生き抜いて行かなければならないのだ。ひとりでも生活できるよう、史郎はあくまで手助けをするだけに留めていた。世の中は甘くない。
 そのため、家を用意はしてやったものの、史郎は彼らと一緒に暮らしているわけではなかった。こうして、定期的に様子を見に来るようにしているのだ。以前、有難くも親交を結ぶことのできた三条真美も、ときおり様子を見に来てくれているようだ。
「おかえり! ねえ、ちょっと帳簿を見ておくれよ、わからないところがあるんだ」
「私が織った布の仕上がりも見てほしいの!」
「あっ、私も私も!」
 次々に駆け寄ってくる子どもたちに、史郎は笑顔を向けた。
「あー、はいはい、順番な」
 皆、必死に頑張っている。遊びたい盛りに、それを我慢して。
「……たまには、花見でもするか」
 ふと、史郎の口からそんな言葉が漏れ出た。
「え!? お花見!?」
 子どもたちの顔がパッと輝く。日々を懸命に生きているこの子たちに、たまには何か息抜きがあったっていい。
「でも、桜はもう終わっちゃったよ?」
「別に桜だけが花ってわけじゃないだろ? 木だけじゃなく、地面にだって花は咲いてるしな。ほら、そろそろ、たんぽぽも咲くころだ。……弁当でも持って、ちょっと出かけるか」
 史郎の言葉に、子どもたちの歓声が上がった。史郎はそれを聞きながら、スメラギにしなければならない返事について、また考えていた。もう、答えは、出ているような気がした。

リプレイ本文

 空は、うすぼんやりとした雰囲気を醸し出しつつも、まぶしく光を放っていた。春らしい陽気だ、と史郎 ( kz0242 )は目を細める。小川のほとりまで歩く子どもたちの、はしゃいだ笑い声が春の空気に一層の華やぎを添える。
「おーい、あんまり走るなよー」
 史郎が声をかけると、皆、はーい、と返事だけは立派だ。
「良いお天気になってきました、うきうきしますね。でも、到着してからたっぷり遊ぶ元気を残しておかなければ」
 エステル・ソル(ka3983)が子どもたちと並んで歩きながらそう話すと、史郎に対して返した返事よりも何倍も素直にはーい、と言うことをきく。まったく、と史郎は苦笑した。その隣に鞍馬 真(ka5819)が並び、微笑む。
「……頑張ってる子達なんだね」
「ええ」
 史郎は、頷いた。この子たちは、日々本当に頑張っている。
「頑張っていますよね、史郎さんも含めて。……この前は、道案内お疲れ様でした」
 志鷹 都(ka1140)が子どもたちにも史郎にも、慈愛に満ちたまなざしを向ける。
「今日は一緒に楽しみましょう」
 史郎は都に微笑み返しながら、心の底から思った。誰もが楽しめる、よい一日になればいい、と。



「本日はお招きありがとうなの、子供達と一緒にお弁当食べつくすの」
 目的地に着くやいなや、ディーナ・フェルミ(ka5843)が、ふんすふんすと鼻息も荒くそう宣言したので、史郎は思わず手放しで笑ってしまった。真や鳳城 錬介(ka6053)と共にレジャーシートを広げて座る場所を準備しながら、どうぞどうぞ、と返事をする。弁当は、史郎が持参したもののほかにも、ふんだんに用意があった。ハンターたちが思い思いに工夫した弁当や菓子を持ち込んでくれたからだ。
 星野 ハナ(ka5852)などは事前に史郎の弁当の中身をリサーチしておくという気合の入れようであった。
「お花見ですからぁ、太巻きとかお稲荷とか持って行きたいですけどぉ、被ったら哀しいじゃないですかぁ。どうせなら違う物を準備したいですぅ」
 とのことだった。その結果、彼女が用意してきたのは。
「鮭と胡麻と塩昆布の入った稲荷寿司、肉炒飯お結び、味付けをしっかりしてタレが要らない一口ハンバーグ、煮卵、東坡肉、伊達巻卵、赤身の刺身のバター醤油焼き、枇杷を袋いっぱい……子供って卵が好きかなぁって思いましてぇ。あと野菜がない分果物でぇ……えへ」
 実に豪華な弁当だった。ダッチオーブンまで用意して、外であたたかな汁物を食べられるように、という心遣いもしてきている。子どもたちが歓声を上げた。
 事前にリサーチしていたのはハナだけではない。ハンス・ラインフェルト(ka6750)は子どもたちに「食べたいお菓子や食べ物」を聞いておいたようだ。
「こんにちは。この前教えて貰った物を来る途中で買って来ました。皆さんに喜んで貰えると良いのですが」
 子どもたちの頭を撫でながら挨拶するハンスの笑顔は優しく、子どもたちも笑顔で応えていた。そのままの笑顔で、ハンスは史郎の方を向く。
「貴方はいずれスメラギ帝の麾下になられるのでしょう? 私がそのうち水野様の配下になるように。可能ならば、末永いお付き合いをお願いしたいところですね」
 笑顔の、ままだった。しかし、その目はまったく笑っておらず、にこやかってこういうことじゃないはずなんだが、と史郎は苦笑してしまった。言うだけ言って、酒の用意をしに行ってしまったハンスを、史郎は少し眉を下げて見やる。
「うーん、なんか、誤解がありそうだな」
「大丈夫ですか?」
 錬介が気遣わしげに史郎の顔を覗き込んだ。
「うん、まあ、あとで少し話をさせてもらおうと思いますよ。……俺からすれば、錬介兄さんの方が大丈夫ですか、ってところですけどね」
「まあ、確かに」
 史郎が苦笑すると、錬介も笑った。先の依頼により、錬介は重体の状態になっているのだ。
「この催しで、ゆっくりさせていただくことにします」
「うん、そうしてください」
「史郎さんも、ゆっくりしてくださいね。新しいお仕事でも始めるのかもしれませんが……、まあ史郎さんなら大丈夫でしょうけど。困った事があればいつでも呼んでくださいね」
「ありがとうございます」
 史郎と錬介が和やかに語り合っている間に、ハンスが皆に酒を配っていた。
「季節に合った酒、というのを見つけられませんでしたので。白酒は3月に女性が厄払いに飲む酒ですが……今回花見とのことですから、その程度は目を瞑っていただけると思いまして」
 清酒は成人以上に、白酒は成人女性に、甘酒は子供達に、と配ってまわり、全員が手に取ったところでハナが言った。
「折角ですから、乾杯しましょーぅ!」
「いいね。よし……、晴れやかな春の日に、カンパーイ!」
 史郎がすかさず号令をかけ、全員の明るい「かんぱーい!」が響いた。
 そして、広げられた色とりどりの弁当に、皆がわっと手をつけた。どれから食べようか迷ってしまうほど、バラエティーに富んだ食べ物が並ぶ。
「見て、史郎兄ちゃん! このパン、ねこさんの形なの!」
 子どもたちの中でも一段と年下の少女が嬉しそうに見せてくれたのは、都が持ってきていたパンだった。良かったな、と頭を撫でてやると、少女は嬉しそうに頷いて、兄弟たちの方へ駆けてゆく。
 弁当を食べながら、本来の目的通り花を楽しんでいる子どももいた。あの花はなんというんだろう、と首をかしげる子らに、丁寧に教えてくれているのは、ユメリア(ka7010)だ。
「あれはサツキ、あれは藤、アヤメ。あの木の花は、ハナミズキ」
 ひとつひとつ指をさして、淀みなく花の名前をそらんじてゆくユメリアを、子どもたちは憧れの眼差しで見上げた。
「花言葉や伝承などもお話しましょうか。例えば芍薬は、こんなに大きく美しいのに、はにかむとか、恥じらうなどの言葉がつくんですよ」
「へええ!」
 声を上げて感心している子どもたちに、ユメリアは微笑みかけた。その子どもたちのむこうにいる史郎とも目が合って、少し笑みを深くする。
「大輪の花でもうまく伝えられないという。それが想い。皆さんはどんな想いがあるでしょうか。ちゃんと伝えられる?」
 ユメリアは、子どもたちと、史郎に語りかけた。史郎が少し困ったように眉を下げているのにもう一度微笑みかけ、ユメリアは、私はねー、と話し始めた少女にニコニコと笑顔を向け、話を聞いた。
「お花をお菓子にするのもいいですよ、あとでやってみましょう」
 ユメリアの提案に、子どもたちからわあっと歓声が上がった。
「ねえねえ史郎さーん」
 ユメリアから視線を外した史郎は、待ちかねていたというような笑顔のハナにぎゅっと手を握りしめられた。
「史郎さん、男の人にモテるためにはやっぱり合コンとか参加して女を磨いた方が良いですぅ?」
「またそれですか、ハナさんは」
 史郎が苦笑しているのに気がついているのかいないのか、ハナは熱をこめて語り続ける。
「……媚薬だとちょっと倫理的に何か引っかかっちゃいそうな気がしますけどぉ、そうじゃないけどそれっぽくこう男性からの好意を爆上げするような方法ぉ、何か思いつきませんかぁ!? 情報売ってるなら是非ぃ、是非ぃ」
「そんな情報売ってませんよ。……ま、媚薬を売れってことなら、値段次第で考えなくはないですけどね」
 史郎はハナをもたじろがせるほどの余裕さで、ニヤリとした。



 そんな黒い会話がなされているすぐ近くでは、都やエステル、錬介が実に穏やかにくつろいでいた。都が紅茶に入れた蜂蜜の香りが、豊かに漂っている。
 エステルは小ぶりのサイズの筍の炊き込みご飯のおにぎりと、菜の花のおひたしを巡礼者の弁当箱に入れてきていた。春をたっぷりと感じさせる弁当だ。
「皆さんの持ち寄りのお弁当もどきどきわくわくなのです!」
 自分の弁当を振る舞いつつ、他の面々が持ち寄った弁当にも興味津々で、エステルは順繰りに食べていった。
「辛いのはちょっぴり苦手なのですが……、どれも美味しいです。錬介さんのおにぎりは可愛いですし、都さんのお菓子はオシャレですし」
 頬を押さえて笑顔になるエステルに、錬介も都も嬉しそうに微笑む。
「せっかくの機会なので簡単なものですが作ってみたんです」
 少しはにかんでそう言う錬介が用意してきたのは、色とりどりのまん丸おにぎりに、海苔や具で顔を描いたものの詰め合わせだ。
「ひよこにパンダに……猫は流石に型を使いました。リアルブルーは便利な道具がいっぱいです」
「なるほど! このキラキラしたクッキーは……?」
「光に透かすとキレイよ、おねえちゃん!」
「本当です!」
 エステルは子どもたちと都が持ってきたクッキーを頭の上に持ち上げ、その輝きに目を見張った。都が上品に微笑む。
「それはステンドグラスクッキーというの」
「むむむ、レシピを教えて貰えるでしょうか?」
「もちろん。溶けた飴の上にエディブルフラワーとドライフルーツをのせて……、あ、でもエステルさんもデザートを用意してるんでしょ?」
「はい! 桜のシフォンケーキです! 菫の砂糖漬けをトッピングして、生クリームを食べる直前にのせるのです!」
 エステルは祝福の水筒を取り出し、中から泡立てられた生クリームを出した。
「幸せの味がするのです~♪」
 エステルは子どもたちと共にとろけた表情でデザートを堪能した。



 しばらくの間史郎に絡んでいたハナだが、一通り泣きつくといくぶんスッキリしたのか、弁当を食べ終えた子どもたちと駆け回り始めた。そういう無邪気な様子でいれば、別にモテるための策なんて巡らせなくてもよさそうなものなのにな、と史郎はこっそり思う。と、史郎の隣に、今度はハンスが腰をおろした。酒を飲みつつ弁当をつまみつつ、にこやかな調子で話しかける。
「史郎さんの拠点はずっと天ノ都だと思い込んでいたのですよ。まさか詩天に拠点があって、子供達にこんな支援をなさっているとは思いませんでした。真美様もお人が悪い。水野様に仰れば、詩天全体で同じような支援を出来るかもしれないでしょうに」
「普段の拠点が天ノ都なのは間違いないですよ。詩天にも営業所を持っているだけの話です。商売の都合上、今は詩天を中心に動いているんです」
 にこやかな調子ではありつつもどこか含みのある言い方だったが、史郎は気にしたふうもなくさらりと返した。
「支援についても、そう大袈裟な話にしないでほしいと俺から真美様にお願いしたんですよ。あくまでも個人的にやっていることだから、と。詩天全体での支援は、きっと真美様や水野様が何か別にきちんとお考えのはずです。俺みたいな一介の商人は詳しく存じ上げませんが」
 微塵の毒気も含まぬ史郎の物言いを、ハンスは見極めるかのような眼差しで聞いていたが、すぐになるほど、と頷いた。本当に納得したのかどうかは、史郎にはわからないが。
「ああ、それから」
 史郎は、これだけは言っておかねばならない、とハンスに正面から語りかけた。
「いずれスメラギ様の配下になるのでしょう、と、先ほど俺に仰いましたが、俺は、そのつもりはありませんよ」
「……配下になるつもりは、ない?」
「ええ」
 史郎はきっぱりと言い放った。迷いない、真っ直ぐな視線だった。その視線でハンスを見てから、明るい空の下を駆け回る子どもたちに眼差しを移す。
「あいつらと同じ目線でい続けることが、俺のすべきことだと思うんですよ」
「同じ目線」
 ハンスは呟いて、史郎と同じく子どもたちの方を向いた。子どもたちは、ハナと駆け回ったり、都と歌ったり、ユメリアと踊ったりしている。そのうち、ハナと駆け回っていた少年が、ハンスの視線に気がつき、大きく手を振って来た。
「ねえねえー! おにーさんも一緒に遊ぼうよー!」
「……そうですね。では、遊びましょう。三味線でも弾いてみましょうか」
 ハンスは少年に笑い返して、立ち上がった。立ち上がりざま、史郎に向けたにこやかな顔は、今度こそきちんと笑っているように見えた。



 ハンスが史郎のもとを離れたのを見計らったように、真がふー、と息をつきながらやってきた。
「なかなかいい写真が撮れたと思うよ」
 にこにこ笑いながら、真はカメラを指し示す。子どもたちの様子を撮影してまわっていたらしい。
「そうですか、それはよかった」
「史郎君も遊べばいいのに……、と言ってはみるけど、まあ、君はそういうタイプじゃないだろうね。せめて、くつろげていたらと思うけど……」
「おかげさまで、のんびりさせていただいてますよ」
「そう? 先日スメラギ帝に会ったんだけれど、彼も子どもながらに無理をしていたからさ。君も、こういう時だけでも気を抜けていれば良いなって」
「スーさんも子ども扱いされちゃうんですか」
 笑いを含んだ声で史郎が返すと、真はコミカルに肩をすくめた。
「三十歳手前のおじさんから見たら、君を含めて皆、若者だよ」
「まあ、そうかもしれませんけど、真兄さんはとてもおじさんとは呼べませんよ」
「そうかい? それは嬉しいな」
 史郎と真は顔を見合わせて笑った。真が先ほどのハンスとの会話をどこまで聞いていたのかはわからないが、史郎は妙に「わかってもらえている」と感じられた。
「スメラギ君もそうだけど、若者が自分を押さえつけてまで無理をするものじゃないよ」
 諭すというよりはもっと爽やかに、真はそう言った。史郎も、素直に頷いた。再び、子どもたちの方へ目を向けると、ディーナと共に地面を睨むように見ている子らがいることに気がついた。
「あ、この葉っぱと花はお浸しにするとおいしいの」
「へー!」
「そろそろカエルと蛇も食べ頃なの、むふふ」
「えっ、カエル!? 蛇!?」
「季節の食材を知れば空腹なしなの」
「ま、まあ確かに……」
 子どもたちが目を白黒させながらディーナの教えを聞いているのを見て、史郎と真は思わず笑ってしまった。どんなことも、知っておくに損はない。生きぬくすべは、なおのこと。史郎は、いきいきと遊び回りつつも明日をたくましく生き抜こうとする子どもたちの輝きに、目を細めた。その史郎の想いを汲み取ったかのように、真が呟く。
「子どもが輝いている国は、きっと未来も安泰だろうね」
 それを聞いて、史郎はこの国の未来に思いを馳せた。

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重体一覧

参加者一覧

  • 母のように
    都(ka1140
    人間(紅)|24才|女性|聖導士
  • 部族なき部族
    エステル・ソル(ka3983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 重なる道に輝きを
    ユメリア(ka7010
    エルフ|20才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談】ピクニックに行こう
エステル・ソル(ka3983
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/04/26 16:05:27
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/04/26 07:41:55