ゲスト
(ka0000)
【東幕】野に咲く花と生きるすべ
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/04/27 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/05/06 07:30
オープニング
自然とは残酷だと、史郎(kz0242)は思った。エトファリカ連邦国・詩天。史郎は今、主にこの地を拠点として動いていた。各地を飛び回っているのは相変わらずだが、定期的に詩天へ帰ってきている。
「白木蓮が見事に咲いてる……、人の生死は花には関係ないもんな」
だからこそ残酷だと、そう思ったわけだが。
白い花を見上げながら、史郎はしばらく考えを巡らせた。「友」と先日交わしたやり取りを思い出していたのである。
「史郎、お前さ……、俺様の専属になってくれねえか?」
神妙な顔をして、スメラギがそう切り出したとき、史郎は正直なところ「ついに来たか」と思った。
「……専属マネージャー?」
「ま、まねーじゃー?」
「あー、ごめん、スーさんには通じない冗談だったね」
とりあえず一度は茶化しておこうかと思って返したセリフには、見事に怪訝な顔をされ、史郎は苦笑した。
「じゃあ、まあ、冗談は抜きで尋ねるけど。それは月白という忍の方の俺か、史郎という商人としての俺か、どっちに向かって言ってるんだい?」
「え……、それは、まあ、両方、かな……」
「両方? 欲張りだなあ」
まあそんな気はしていたけれど、と内心で呟きつつ、史郎は笑って見せた。だが、スメラギにもわかっているはずだ。笑顔を作って見せてはいても、史郎の眼は笑っていない……、真剣そのものだということに。
「つまり俺に、スーさんの友だちをやめて部下になれと言ってるわけだね」
「そういうわけじゃ……、って、そんな甘いことは言えないよな……。そういうことに、なるんだよな」
スメラギと史郎は以前にも、同じようなやりとりをしたことがある。そのときに比べたらスメラギは随分と覚悟のある顔立ちになった、と史郎はこっそり思った。
今のスメラギになら、仕えてもいいかもしれない。
だけれど。
「うん、スーさんに覚悟があるのはわかった。でも、少し考えさせてほしい。仕事には意外と慎重なんだ、俺」
「わかった。……意外と、じゃないぜ。お前はいつも慎重だ。慎重でありながら、大胆だ。その慎重さと大胆さに、俺は何度も助けられた」
真っ直ぐな目でそう告げるスメラギは、やはり一回りも二回りも大きくなっているようだった。
スメラギとのこのやりとりから、数日。
史郎はずっと悩んでいた……、と言うと実は嘘になる。悩む暇もないほど、忙しく働いていたからである。物流が麻痺する中でも、なんとかして物の売り買いを続ける……、それが商人の仕事であるし、なにより人々の助けになると史郎は信じていた。
それに。
「あ、史郎兄ちゃんだ!!」
後ろから声をかけられ、史郎は振りむいた。数名の子どもたちが、史郎に手を振っている。
史郎は、もともと身寄りのない子や今回のゴタゴタで親兄弟たちと離れざるを得なくなってしまった子たちを、詩天に連れてきて世話をしていた。とはいえ、完全に「食わせてやっている」わけではない。
彼らはこれから自分たちでこの世を生き抜いて行かなければならないのだ。ひとりでも生活できるよう、史郎はあくまで手助けをするだけに留めていた。世の中は甘くない。
そのため、家を用意はしてやったものの、史郎は彼らと一緒に暮らしているわけではなかった。こうして、定期的に様子を見に来るようにしているのだ。以前、有難くも親交を結ぶことのできた三条真美も、ときおり様子を見に来てくれているようだ。
「おかえり! ねえ、ちょっと帳簿を見ておくれよ、わからないところがあるんだ」
「私が織った布の仕上がりも見てほしいの!」
「あっ、私も私も!」
次々に駆け寄ってくる子どもたちに、史郎は笑顔を向けた。
「あー、はいはい、順番な」
皆、必死に頑張っている。遊びたい盛りに、それを我慢して。
「……たまには、花見でもするか」
ふと、史郎の口からそんな言葉が漏れ出た。
「え!? お花見!?」
子どもたちの顔がパッと輝く。日々を懸命に生きているこの子たちに、たまには何か息抜きがあったっていい。
「でも、桜はもう終わっちゃったよ?」
「別に桜だけが花ってわけじゃないだろ? 木だけじゃなく、地面にだって花は咲いてるしな。ほら、そろそろ、たんぽぽも咲くころだ。……弁当でも持って、ちょっと出かけるか」
史郎の言葉に、子どもたちの歓声が上がった。史郎はそれを聞きながら、スメラギにしなければならない返事について、また考えていた。もう、答えは、出ているような気がした。
「白木蓮が見事に咲いてる……、人の生死は花には関係ないもんな」
だからこそ残酷だと、そう思ったわけだが。
白い花を見上げながら、史郎はしばらく考えを巡らせた。「友」と先日交わしたやり取りを思い出していたのである。
「史郎、お前さ……、俺様の専属になってくれねえか?」
神妙な顔をして、スメラギがそう切り出したとき、史郎は正直なところ「ついに来たか」と思った。
「……専属マネージャー?」
「ま、まねーじゃー?」
「あー、ごめん、スーさんには通じない冗談だったね」
とりあえず一度は茶化しておこうかと思って返したセリフには、見事に怪訝な顔をされ、史郎は苦笑した。
「じゃあ、まあ、冗談は抜きで尋ねるけど。それは月白という忍の方の俺か、史郎という商人としての俺か、どっちに向かって言ってるんだい?」
「え……、それは、まあ、両方、かな……」
「両方? 欲張りだなあ」
まあそんな気はしていたけれど、と内心で呟きつつ、史郎は笑って見せた。だが、スメラギにもわかっているはずだ。笑顔を作って見せてはいても、史郎の眼は笑っていない……、真剣そのものだということに。
「つまり俺に、スーさんの友だちをやめて部下になれと言ってるわけだね」
「そういうわけじゃ……、って、そんな甘いことは言えないよな……。そういうことに、なるんだよな」
スメラギと史郎は以前にも、同じようなやりとりをしたことがある。そのときに比べたらスメラギは随分と覚悟のある顔立ちになった、と史郎はこっそり思った。
今のスメラギになら、仕えてもいいかもしれない。
だけれど。
「うん、スーさんに覚悟があるのはわかった。でも、少し考えさせてほしい。仕事には意外と慎重なんだ、俺」
「わかった。……意外と、じゃないぜ。お前はいつも慎重だ。慎重でありながら、大胆だ。その慎重さと大胆さに、俺は何度も助けられた」
真っ直ぐな目でそう告げるスメラギは、やはり一回りも二回りも大きくなっているようだった。
スメラギとのこのやりとりから、数日。
史郎はずっと悩んでいた……、と言うと実は嘘になる。悩む暇もないほど、忙しく働いていたからである。物流が麻痺する中でも、なんとかして物の売り買いを続ける……、それが商人の仕事であるし、なにより人々の助けになると史郎は信じていた。
それに。
「あ、史郎兄ちゃんだ!!」
後ろから声をかけられ、史郎は振りむいた。数名の子どもたちが、史郎に手を振っている。
史郎は、もともと身寄りのない子や今回のゴタゴタで親兄弟たちと離れざるを得なくなってしまった子たちを、詩天に連れてきて世話をしていた。とはいえ、完全に「食わせてやっている」わけではない。
彼らはこれから自分たちでこの世を生き抜いて行かなければならないのだ。ひとりでも生活できるよう、史郎はあくまで手助けをするだけに留めていた。世の中は甘くない。
そのため、家を用意はしてやったものの、史郎は彼らと一緒に暮らしているわけではなかった。こうして、定期的に様子を見に来るようにしているのだ。以前、有難くも親交を結ぶことのできた三条真美も、ときおり様子を見に来てくれているようだ。
「おかえり! ねえ、ちょっと帳簿を見ておくれよ、わからないところがあるんだ」
「私が織った布の仕上がりも見てほしいの!」
「あっ、私も私も!」
次々に駆け寄ってくる子どもたちに、史郎は笑顔を向けた。
「あー、はいはい、順番な」
皆、必死に頑張っている。遊びたい盛りに、それを我慢して。
「……たまには、花見でもするか」
ふと、史郎の口からそんな言葉が漏れ出た。
「え!? お花見!?」
子どもたちの顔がパッと輝く。日々を懸命に生きているこの子たちに、たまには何か息抜きがあったっていい。
「でも、桜はもう終わっちゃったよ?」
「別に桜だけが花ってわけじゃないだろ? 木だけじゃなく、地面にだって花は咲いてるしな。ほら、そろそろ、たんぽぽも咲くころだ。……弁当でも持って、ちょっと出かけるか」
史郎の言葉に、子どもたちの歓声が上がった。史郎はそれを聞きながら、スメラギにしなければならない返事について、また考えていた。もう、答えは、出ているような気がした。
解説
■成功条件
子どもたちと楽しくお花見する
■子どもたち
五歳~十歳頃までの子どもが十名ほど
■お花見会場
詩天の片隅を流れる小川のほとり。
木々は少なく、穏やかな原っぱが広がっている。
花見と呼んでいるが、「ピクニック」と考えてよい。
弁当は史郎が用意をするつもりでいるようだが、追加で持ち込むことに制限を課さないため、自由にしてよい。
子どもたちと楽しくお花見する
■子どもたち
五歳~十歳頃までの子どもが十名ほど
■お花見会場
詩天の片隅を流れる小川のほとり。
木々は少なく、穏やかな原っぱが広がっている。
花見と呼んでいるが、「ピクニック」と考えてよい。
弁当は史郎が用意をするつもりでいるようだが、追加で持ち込むことに制限を課さないため、自由にしてよい。
マスターより
皆さまごきげんいかがでしょうか。紺堂でございます。
……ちょっとくらい穏やかな日が、あってもいいよねそろそろ……。
そんな気持ちで出させていただいた依頼でございます。
是非、子どもたちと楽しくピクニックしていただけたらと思います。よろしくお願い致します。
……ちょっとくらい穏やかな日が、あってもいいよねそろそろ……。
そんな気持ちで出させていただいた依頼でございます。
是非、子どもたちと楽しくピクニックしていただけたらと思います。よろしくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/04/30 01:22
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【相談】ピクニックに行こう エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/04/26 16:05:27 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/26 07:41:55 |