ゲスト
(ka0000)
思い出の羊を求めることで
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/04/30 15:00
- 完成日
- 2019/05/06 11:56
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
♪夢 希望 朝にくる度やってくる もう昨日までの悪夢から覚めたのだから
自分の主人を待つため、指定された丘にある木陰で座っていたテミスが持つオルゴールからそんな曲が流れてくる。温かい春の日差しのようなそんな音色が流れると、テミスの心は風のように揺れた。
曲が流れるたびに思い出す。自分の過去を。暗殺者として育てられたこと。それから。それを知って助けてくれた人たちのこと。
本当に天使が舞い降りてくれたのではないかと、今でも思うのだ。心を亡くした自分はいつ死んでもいいと思っていた。せめて心を亡くしても天国にいる父母に会えるように、そんな願いが叶えてくれたように。華麗なハンター達が彼女の前に集まり、そして救い出してくれたのはもう何年前だろうか。
それでもこのオルゴールを開けば、それは昨日の事のように色鮮やかに色づいて、蘇ってくる。
生きていることは嬉しい。
毎日、メイドとして仕事もあり、主人を守るという目標もあり、不自由など感じることもない。満ち足りた生活といえば、自分にはもったいないくらいだった。
だけど、時々思うのだ。
「お父さん、お母さん……」
私はどうして生きているんだろう。どうして父と母はゾンビに襲われて死ななければならなかったんだろう。
頭ではわかる。でも心が追いつかない。仕事をすれば一時、忘れることはできても、ベッドで横になったり、こうしてオルゴールを開くごとに幸せについて考えてしまうのだ。
視界が、にじむ。胸が圧迫されるくらいに辛くて、テミスは顔を伏せた。
その頬に冷たく湿ったものが撫でた。
「!!」
「あは、テミスが驚いた顔、久々に見たわ。やっぱりあなたは喜怒哀楽をしっかり表した方が美人よ」
頬を振れたものより、鈴を鳴らしたような声にテミスは驚いて顔を上げると、まず見えたのは羊の大きな顔と、それからその後ろで明るい笑顔を振りまくのは元主人であるタチアナだった。
「た、タチアナ様」
「大好きな友達の顔を見にきたのよ。結局あなたの笑顔、私はまだ見てないんだからね」
狼狽するテミスに、タチアナはくすくすと笑いかけると、後ろから来る人物の為に、その場所を譲った。
自分の今の主人クリームヒルトと、それから彼女が懇意にしている商人の少女ミネアだった。
「テミス。その羊……わかる?」
「え……」
クリームヒルトの言葉にきょとんとして、テミスは自分の頬を舐めたであろう羊に今一度目を移した。
強そうな角、毛並みは白と言うより灰色に近く、少しやせ型ではあるががっしりとした体形。その羊を覚えているかと言われて、テミスは忘れることができるものかと、心の中で叫んだ。
故郷の山間で歩いていた羊。父親が毎日のようなブラシをかけていた羊。姫様に名前をつけてもらったんだと胸を張っていた羊。
「ヒルトシープ……!」
ぎゅっと抱きしめれば父親と同じ臭いがして、亡くした色んなものが一瞬にして蘇ってくる。
お前は自慢の子だよ、お前は生きるんだよ。そんな声すら蘇ってくる。
「ああ、良かった。想いをつなげたわ」
慟哭するテミスの背を優しく撫でるクリームヒルトは、静かにそう言った。
「ミネアがね。これから商売を再建するの。その為にはヒルトシープが必要なんだって。生命力にあふれて、生きる力を忘れない強さを持つ家畜は少なくて、世界的に不安が満ち満ちている今、需要が再確認されているの。でも気性の荒さを上手く扱える人間は少なくて」
クリームヒルトはこぼれ落としたオルゴールを拾い上げると、テミスに渡した。
そんなの口実なのはわかっている。クリームヒルトは、ミネアは、タチアナは。考えてくれていたのだ。テミスが幸せに笑ってくれる方法を。
「この羊たちね、気性が荒いわりに音楽を聴くとおとなしくなるのよ」
毎日を退屈して音楽会を希望したことのあるタチアナはくすくすと笑ってそう言った。
「テミス。あなたの仕事は私を護ることじゃないわ。自分で幸せな人生を歩むこと。その為に重要な事はご両親の遺志を継ぐことよ。お願いできるかしら」
クリームヒルトの言葉に、テミスは立ち上がり深く頭を垂れたのだった。
自分の主人を待つため、指定された丘にある木陰で座っていたテミスが持つオルゴールからそんな曲が流れてくる。温かい春の日差しのようなそんな音色が流れると、テミスの心は風のように揺れた。
曲が流れるたびに思い出す。自分の過去を。暗殺者として育てられたこと。それから。それを知って助けてくれた人たちのこと。
本当に天使が舞い降りてくれたのではないかと、今でも思うのだ。心を亡くした自分はいつ死んでもいいと思っていた。せめて心を亡くしても天国にいる父母に会えるように、そんな願いが叶えてくれたように。華麗なハンター達が彼女の前に集まり、そして救い出してくれたのはもう何年前だろうか。
それでもこのオルゴールを開けば、それは昨日の事のように色鮮やかに色づいて、蘇ってくる。
生きていることは嬉しい。
毎日、メイドとして仕事もあり、主人を守るという目標もあり、不自由など感じることもない。満ち足りた生活といえば、自分にはもったいないくらいだった。
だけど、時々思うのだ。
「お父さん、お母さん……」
私はどうして生きているんだろう。どうして父と母はゾンビに襲われて死ななければならなかったんだろう。
頭ではわかる。でも心が追いつかない。仕事をすれば一時、忘れることはできても、ベッドで横になったり、こうしてオルゴールを開くごとに幸せについて考えてしまうのだ。
視界が、にじむ。胸が圧迫されるくらいに辛くて、テミスは顔を伏せた。
その頬に冷たく湿ったものが撫でた。
「!!」
「あは、テミスが驚いた顔、久々に見たわ。やっぱりあなたは喜怒哀楽をしっかり表した方が美人よ」
頬を振れたものより、鈴を鳴らしたような声にテミスは驚いて顔を上げると、まず見えたのは羊の大きな顔と、それからその後ろで明るい笑顔を振りまくのは元主人であるタチアナだった。
「た、タチアナ様」
「大好きな友達の顔を見にきたのよ。結局あなたの笑顔、私はまだ見てないんだからね」
狼狽するテミスに、タチアナはくすくすと笑いかけると、後ろから来る人物の為に、その場所を譲った。
自分の今の主人クリームヒルトと、それから彼女が懇意にしている商人の少女ミネアだった。
「テミス。その羊……わかる?」
「え……」
クリームヒルトの言葉にきょとんとして、テミスは自分の頬を舐めたであろう羊に今一度目を移した。
強そうな角、毛並みは白と言うより灰色に近く、少しやせ型ではあるががっしりとした体形。その羊を覚えているかと言われて、テミスは忘れることができるものかと、心の中で叫んだ。
故郷の山間で歩いていた羊。父親が毎日のようなブラシをかけていた羊。姫様に名前をつけてもらったんだと胸を張っていた羊。
「ヒルトシープ……!」
ぎゅっと抱きしめれば父親と同じ臭いがして、亡くした色んなものが一瞬にして蘇ってくる。
お前は自慢の子だよ、お前は生きるんだよ。そんな声すら蘇ってくる。
「ああ、良かった。想いをつなげたわ」
慟哭するテミスの背を優しく撫でるクリームヒルトは、静かにそう言った。
「ミネアがね。これから商売を再建するの。その為にはヒルトシープが必要なんだって。生命力にあふれて、生きる力を忘れない強さを持つ家畜は少なくて、世界的に不安が満ち満ちている今、需要が再確認されているの。でも気性の荒さを上手く扱える人間は少なくて」
クリームヒルトはこぼれ落としたオルゴールを拾い上げると、テミスに渡した。
そんなの口実なのはわかっている。クリームヒルトは、ミネアは、タチアナは。考えてくれていたのだ。テミスが幸せに笑ってくれる方法を。
「この羊たちね、気性が荒いわりに音楽を聴くとおとなしくなるのよ」
毎日を退屈して音楽会を希望したことのあるタチアナはくすくすと笑ってそう言った。
「テミス。あなたの仕事は私を護ることじゃないわ。自分で幸せな人生を歩むこと。その為に重要な事はご両親の遺志を継ぐことよ。お願いできるかしら」
クリームヒルトの言葉に、テミスは立ち上がり深く頭を垂れたのだった。
リプレイ本文
「そーれ、行ってこーい、ですよ~♪」
青空の下、星野 ハナ(ka5852)の号令が響くと牧羊犬が一斉に走り出した。帝国特有の岩肌の多い山岳でのんびり草を食べていたヒルトシープたちはその犬たちの吼え声と移動に顔を上げると、少しずつ寄り集まりながら移動を開始する。
さあ、羊たちとの旅の始まりだ!
「すごいわね」
群れの移動に、大きな混乱もなく進み始めるのをハイテンションな掛け声で進めていくハナに対して、穏やかな口調でリアリュール(ka2003)が感想を漏らす。
「こういうのは準備が一番大切なんですよぅ。ちゃーんと羊と牧羊犬を先にお見合いさせて、仲良くなっててもらったんですぅ」
私も縁を先にたくさん繋いで準備してぇ。
準備が一番大切。とても明るいハナの性分の奥に、彼女の直向きさと数多の物語を感じ、そこから始まるハナの色恋大計画をリアリュールはにこにこと笑顔で受け止めていた。
「そうね。この出会いが次の縁につながる。手をかけた分、想いを懸けた分だけ……」
リアリュールは目を細めて、連れてきた羊のFinnの背を撫でた。
「これ、お父さんの……」
羊追いの基本を ルナ・レンフィールド(ka1565)と話していたテミスが驚いて駆け寄ってきた。
「そう、ヘルトシープ。ヒルトシープと聞いてすぐわかったわ。改良種ね」
リアリュールの言葉にテミスは何度も何度も頷き、Finnを抱きしめた。
家族の名残をそこに感じているようで。
「……ご両親の想いは優しくも寂しくもあるのね」
移動が始まっていることはわかっているのに、それでもFinnを抱きしめ続けて離れることができないテミスの姿に、高瀬 未悠(ka3199)は切ない顔をした。そんな未悠にユメリア(ka7010)が傍に立つ。
「未悠さんもご両親を思い出しますか?」
「ちょっとだけね。でも大丈夫」
大丈夫は、自分の言葉でもあり、テミスにかける言葉でもあるようだった。
ルナがテミスに寄り添い、優しく声をかけている。
「テミスさんは独りじゃない。こんなにいっぱいの縁がつながっているから」
リラ(ka5679)も駆け寄ってきて、彼女特有の明るく温かい笑顔でルナとテミスをその上から抱きしめる。
「今日は一杯楽しい時間にしましょう♪ いっぱいの笑顔が咲きますように!」
「そんな思い出も、大切な人たちと一緒に時間をかければ、生きる強さになる」
未悠の言葉に、ユメリアは傍で小さく頷いた。
●
「すごい、色んなものが違って見えるわ!」
まず最初の問題が起こったのはタチアナが早速疲れたと言い出したことだったが、それにはイルム=ローレ・エーレ(ka5113)がすぐさま解決してくれた。
白馬の王子様の異名を取ったこともあるイルムに「さあ、お嬢様、お手を」などと言われたら、恋に恋するお年頃のタチアナが舞い上がるのも無理はなく、馬上に引き上げられてイルムの前に落ち着いた途端疲れは吹っ飛んでしまい、イルムと共にキラキラの笑顔を振りまいていた。
「それにしてもお父様がよく許してくれたねぇ」
「お父様は怖がりなのよ」
彼女の言葉にイルムは苦笑した。
そうだ、みんな怖がりだ。命が惜しい、地位を失いたくない、今の生活が途切れることが怖い。それは時に歪みをももたらす。イルムはそのことをよく知っていたし、そしてあっけらかんと真理を言い放って、父親の元を抜け出してきたタチアナが眩しかった。
タチアナが立ち上がったからテミスは今自由になっていて、タチアナが呼びかけたからイルムがそこにいて。
「スーパー! 君の勇気は太陽よりも輝いているね。その勇気を称賛して何か歌おう。何か希望する歌はないかな?」
「じゃあ、恋の歌!」
ちょうど牧羊犬たちも移動と取りまとめ小さな綻びが見え隠れし始めた頃だ。
イルムは馬上でバイオリンを用意すると、その弦を太陽に掲げた。それはタチアナへの敬意と同時に、仲間たちへの合図でもあった。
「あ、そろそろ準備ですね」
どんな曲になるだろう。ルナは少し胸を躍らせながら、リュートを構えた。
それと同時に羊をぐるりと取り巻く一同も、それぞれに楽器を準備する。
♪あなたが笑ったら、どんな雨粒も宝石のようだよ
「ふふ、素敵な音色」
ユメリアは斜め後方からその様子を見て、くすりと笑った。イルムの歌詞選びに微笑みを浮かべると、後方でテミスと共に進むルナに振り返って、指先でベースのメロディラインを軌跡を指で描いた。軌跡だけで伝わるメッセージは楽人達だけの暗号のようで。
「わあ、ユメリアさんも素敵です」
ルナの頭の中に、無数の音楽が浮かび、自然と覚醒の瞬間のような音符が溢れだす。その無数のメロディに目を閉じて想いを馳せていたルナはその中から一本の五線譜を選び取り、クレセントリュート「Suite」に込める。
♪~♪~
その音色が響きだすとともに、ルナの周囲の草原が光り輝き、繁茂するような幻想が生まれ、テミスを驚かせた。
「これが、歌の力……」
「コミュニティがあり、そこに貫く想いがあればこそだろう。ハッハッハ。強すぎるのも困りものだが……」
音楽に専念するルナに代わって、ルベーノ・バルバライン(ka6752)が話す中、彼のシープドッグが鋭く吼える。
「あっ、行く方向はそっちじゃないですよぅ」
音楽に惹かれる性質が災いしたか、それともルナの音楽が良すぎたのか。群れはぴたりと止まって、すべてがルナの方へと振り返っていた。
「あ、あれ?」
「ハッハッハ。主役のいる方は誰もが見たくなるものだ。よし、俺の歌声で痺れさせてやろう」
ルベーノは群れの中を突っ切るようにして、ルナとテミスに道を拓けながら、その低音の声を響かせた。
♪笑え 笑え どんなものも輝かせて見せよう
「ルベーノさんが歌うと、全然違う曲っぽい」
同じメロディなのに。驚くテミスに今度こそルナが微笑んで頷く。
「それが音楽の良いところなんです」
みんなそれぞれ良いところを活かせる。互いに補い合える。
「さらに一緒に歌うと効果倍増ですよ」
♪春の光は幸せの色 終わらない夜はどこにもないから
♪春の光は温かな色 曙光があなたを照らしてくれているわ
リラがテミスに歌いかけると、未悠が音を重ねて一体感を作っていく。
そんな音楽を聴きながらテミスはなんだか恥ずかし気に、それでいて音楽を心から楽しんでいるようではあったが、口はまだ動かせないでいた。
「大丈夫。心のままに好きに歌えばいいのよ」
リアリュールが寄り添い、静かに微笑む。
「でも、音楽は……才能が有って、心が光り輝いている人だからこそ輝いて……」
テミスのその一言が彼女が今まで笑えなかった全てなのだろうと直感した。
「とても辛い体験をしたのね。だから自分は見放されたのだと思わなければ、心を奮い立たせて歩くこともできなかった。そうして自分に烙印を押したから……笑うことすら辛いのね」
リアリュールの言葉にテミスは唇を噛み、涙をにじませた。
「テミスさんは笑顔をもらえると嬉しいと思いますぅ?」
ルベーノが無理やり群れを突っ切るものだから、一部で混乱したりする羊を地縛符で足止めしていたハナが、途切れかけた幸せの音色の間にそう差し込む。
「はい……」
「じゃあ、笑わないとですよぉ。自分からまず笑ってあげることでぇ、相手の人を笑顔にできるんですよぉ? そうしたら自分も相手もハッピーですぅ」
そうしてハナは作って見せた飛び切りの笑顔に、経験者の重みを感じたのだろうか、テミスは頷いた。
「はい!」
●
夜になり羊たちも草原で各々眠りについたのを確認した頃合いに、一同も焚き火を囲んで遅い夕食を始めた。
「それじゃ、明日も元気でいられるように!」
「じゃーん、お料理ですぅ」
未悠とハナが自信たっぷりに大きな皿を差し出した。
干し肉を炙り、野草のスープ。そしてパンにラクトチーズのとろりと垂れてくるのはハナの作。さすがの女子力。
そしてあんこにヨモギが同量で黒と緑に染まった土台に、栄養ドリンク入りのゼリーと生クリームでデコり、生えていたフェンネルを差し込んだ怪作が未悠の料理だ。
「大丈夫よ、リゼリオで買ってきたお菓子をベースにしているから、味は保証するわ。ユメリアやルナに協力してもらった経験が生きてると思うの。明日も疲れなく歩けるように、楽しく過ごせるように、とびきりの一品よ」
自信たっぷりの未悠の声だが、雰囲気は沈痛だった。
「美味しい料理に感謝を」
リアリュールのいただきますの合図で、みんな手に取ったのはもちろんハナの料理であった。
いや、一名。ユメリアだけが未悠の料理を手にした。
「ユメリア……お前、やるな」
「元気がでるお料理ですもの」
ルベーノですら躊躇したそれを笑顔で口にしたユメリアであったが、やはり一口でひっくり返った。
「ユメリアさん! 雑草を食べてたっていつも豪語しているクリームヒルト様でも寝込んだんですよ……?」
慌てて駆け寄るテミスに、ユメリアはうすらと目を開けると蒼白な顔で微笑んだ。
「誰かの為になると信じればテミス様は諦めなかったではありませんか。あなたの勇気は、私に知らぬふりをさせないと教えてくれました」
一瞬言葉に詰まるテミスは、はっとした。
そしてユメリアは自分で淹れておいたお茶ですっと流し込むと、蒼白だった顔も自然な顔色に戻ってくる。
「あなたは勇気を与えてくれました。立派な良き羊飼いです」
今度は、私たちの笑顔を受け取って花咲いてほしい。
そんな言葉を言外に込めたユメリアの想いは、確かにテミスに伝わっているようであった。
「でも、でも……」
「テミス君。これからは一杯我が侭を言っていいんだ。甘えてくれても」
戸惑うテミスにイルムが優しく声をかけ、そしてその手を差し出す。
「いいんだよ。君はもう、そんな風に生きてもね」
苦しい思い出に自分の中を閉じ込めて、誰かの為だけに生きる必要はない。もう十分すぎるほどに君は無辜なる贖罪を果たしたのだから。
その手を取ってテミスが震えるのを見て、ルナはリュートをつま弾いた。
彼女の想いはぐるぐる回る。助けの御手を差し伸べられても、素敵な言葉で癒されても、自分で自分を封じ込め続けている。いつぞやの私のように。
その輪廻を断ち切りたい。
あの時、ガルカヌンクで彼女が奮い立った時のように。
♪夢 希望 朝にくる度やってくる もう昨日までの悪夢から覚めたのだから
何度でも、朝を呼ぼう。
ルナは爪弾き、しっとりと歌い出す。その気持ちに呼応するようにしてリラが立ち上がり、ハンドベルを一度鳴らす。踊ろう、あった筈の願いを昇華するように。ベルの音は舞い踊りながらもゆるやかに響き、彼女に蓋する想いを一つずつ浄化していく。
♪笑いましょう 素敵な笑顔は幸せの種 向けたぶんだけ芽吹くから
ルベーノの悩みを吹き飛ばす音量のあるボイスとそのどっしりとした面持ちは、テミスの心に蓋する重しを吹き飛ばしていく。
ハナも一緒になって歌い、それから泣きそうになっているテミスのほっぺをきゅっとつまみ上げた。いつまでも泣いてちゃいけない。
♪愛 正義 いつも心に湧いてくる もうじっと待ち続ける時間は終わるでしょう
未悠の言葉に引き上げられるように、心の奥底で閉じこもっていたテミスが顔を上げた。
そしてイルムがそれを迎え入れ、タチアナが喜びをめいっぱい示して祝福する。
♪それは綺麗な花を咲かせ、やがて種をつけ風に乗せ より多くの華を貴女に向けて咲かせるでしょう
リアリュールが野の花をテミスに捧げて、優しく語り掛けるように歌う。
そしてユメリアが目と目を合わせて、その口元に歌詞を浮かべる。胸につかえたその言葉を「さあ」と語り掛けるようにして。
「朝が、来るたび や って くる」
詰まるような音。絞り出すような声。
上ずりながらも、テミスは歌を紡ぎ出す。
大切な歌を自分でも歌えるように。ここにいるみんなの力を借りて。
「もう昨日までの悪夢から さめたのだか ら!!」
その1フレーズだけで十分だった。
ルナがテミスを抱きしめた。
その一言を歌うのに、どれだけの勇気と自分との決別が必要なのか、ルナは一番よく知っていた。
「よく……よく頑張ったね」
ルナの声は嬉し涙でにじんでいた。
「ありがとう」
テミスは初めて笑顔でその抱擁を返した。
●
「あの村……そっくりね」
日が上り、そして暮れる頃。目的地に到着したリアリュールは目を細めた。それはテミスの故郷とよく似ていて。そういうところをきっと選んでくれたのだろう。
「ありがとうございます!」
溌剌として礼を述べるのは、テミスだ。この短い旅を始めた昨日とはもう別人のようだった。その顔を見て、リアリュールはにこりと笑うと、Finnの毛から少し刈った毛並みから紡いだ1mほどの糸をテミスに預けた。
「羊の毛は紡がれ糸となる。そこにどんな糸を加えるのか。楽しみにしてるわね」
「ハッハッハ。この羊の毛なら夏場でも使えそうだ。ここではない場所でも大活躍してくれそうだな。生活が軌道に乗ったら買いに来るとしようか」
ルベーノが笑うのを、テミスもまたくしゃりと顔を笑わせて、それに答えた。
ああ、その何と穏やかな事だろうか。未悠は心底嬉しく、愛おしくなって、別れ際にテミスを抱きしめた。
「いつまでも、離れていても心は一緒よ。一緒ならどんな運命にも立ち向かっていける。乗り越えられる。幸せになれる」
だから教えて。
未悠はそっと尋ねた。
「貴女の叶えたい夢は、何?」
その想いは絶対に守って見せるから。もうこの笑顔が無くならないようにしてみせるから。
そんな未悠の問いかけに、テミスは迷う事なく元気いっぱいの声で答えた。
「変わらない明日を過ごすことです。いえ、今日は……本当に特別な日なんですけど。それが明日も明後日も、ずっとずっと続きますように!」
その言葉にふと目を見開いた未悠だったが、しばらくしてにっこりと笑った。
「わかったわ。一緒にその夢、叶えていきましょう」
テミスと羊の物語はこれから幕開けする。
この新たなステージへと導いてくれた一同が見えなくなるまで、テミスはずっと手を振り続けて見送ってくれた。
思い出の羊と共に、飛び切りの笑顔と共に。
青空の下、星野 ハナ(ka5852)の号令が響くと牧羊犬が一斉に走り出した。帝国特有の岩肌の多い山岳でのんびり草を食べていたヒルトシープたちはその犬たちの吼え声と移動に顔を上げると、少しずつ寄り集まりながら移動を開始する。
さあ、羊たちとの旅の始まりだ!
「すごいわね」
群れの移動に、大きな混乱もなく進み始めるのをハイテンションな掛け声で進めていくハナに対して、穏やかな口調でリアリュール(ka2003)が感想を漏らす。
「こういうのは準備が一番大切なんですよぅ。ちゃーんと羊と牧羊犬を先にお見合いさせて、仲良くなっててもらったんですぅ」
私も縁を先にたくさん繋いで準備してぇ。
準備が一番大切。とても明るいハナの性分の奥に、彼女の直向きさと数多の物語を感じ、そこから始まるハナの色恋大計画をリアリュールはにこにこと笑顔で受け止めていた。
「そうね。この出会いが次の縁につながる。手をかけた分、想いを懸けた分だけ……」
リアリュールは目を細めて、連れてきた羊のFinnの背を撫でた。
「これ、お父さんの……」
羊追いの基本を ルナ・レンフィールド(ka1565)と話していたテミスが驚いて駆け寄ってきた。
「そう、ヘルトシープ。ヒルトシープと聞いてすぐわかったわ。改良種ね」
リアリュールの言葉にテミスは何度も何度も頷き、Finnを抱きしめた。
家族の名残をそこに感じているようで。
「……ご両親の想いは優しくも寂しくもあるのね」
移動が始まっていることはわかっているのに、それでもFinnを抱きしめ続けて離れることができないテミスの姿に、高瀬 未悠(ka3199)は切ない顔をした。そんな未悠にユメリア(ka7010)が傍に立つ。
「未悠さんもご両親を思い出しますか?」
「ちょっとだけね。でも大丈夫」
大丈夫は、自分の言葉でもあり、テミスにかける言葉でもあるようだった。
ルナがテミスに寄り添い、優しく声をかけている。
「テミスさんは独りじゃない。こんなにいっぱいの縁がつながっているから」
リラ(ka5679)も駆け寄ってきて、彼女特有の明るく温かい笑顔でルナとテミスをその上から抱きしめる。
「今日は一杯楽しい時間にしましょう♪ いっぱいの笑顔が咲きますように!」
「そんな思い出も、大切な人たちと一緒に時間をかければ、生きる強さになる」
未悠の言葉に、ユメリアは傍で小さく頷いた。
●
「すごい、色んなものが違って見えるわ!」
まず最初の問題が起こったのはタチアナが早速疲れたと言い出したことだったが、それにはイルム=ローレ・エーレ(ka5113)がすぐさま解決してくれた。
白馬の王子様の異名を取ったこともあるイルムに「さあ、お嬢様、お手を」などと言われたら、恋に恋するお年頃のタチアナが舞い上がるのも無理はなく、馬上に引き上げられてイルムの前に落ち着いた途端疲れは吹っ飛んでしまい、イルムと共にキラキラの笑顔を振りまいていた。
「それにしてもお父様がよく許してくれたねぇ」
「お父様は怖がりなのよ」
彼女の言葉にイルムは苦笑した。
そうだ、みんな怖がりだ。命が惜しい、地位を失いたくない、今の生活が途切れることが怖い。それは時に歪みをももたらす。イルムはそのことをよく知っていたし、そしてあっけらかんと真理を言い放って、父親の元を抜け出してきたタチアナが眩しかった。
タチアナが立ち上がったからテミスは今自由になっていて、タチアナが呼びかけたからイルムがそこにいて。
「スーパー! 君の勇気は太陽よりも輝いているね。その勇気を称賛して何か歌おう。何か希望する歌はないかな?」
「じゃあ、恋の歌!」
ちょうど牧羊犬たちも移動と取りまとめ小さな綻びが見え隠れし始めた頃だ。
イルムは馬上でバイオリンを用意すると、その弦を太陽に掲げた。それはタチアナへの敬意と同時に、仲間たちへの合図でもあった。
「あ、そろそろ準備ですね」
どんな曲になるだろう。ルナは少し胸を躍らせながら、リュートを構えた。
それと同時に羊をぐるりと取り巻く一同も、それぞれに楽器を準備する。
♪あなたが笑ったら、どんな雨粒も宝石のようだよ
「ふふ、素敵な音色」
ユメリアは斜め後方からその様子を見て、くすりと笑った。イルムの歌詞選びに微笑みを浮かべると、後方でテミスと共に進むルナに振り返って、指先でベースのメロディラインを軌跡を指で描いた。軌跡だけで伝わるメッセージは楽人達だけの暗号のようで。
「わあ、ユメリアさんも素敵です」
ルナの頭の中に、無数の音楽が浮かび、自然と覚醒の瞬間のような音符が溢れだす。その無数のメロディに目を閉じて想いを馳せていたルナはその中から一本の五線譜を選び取り、クレセントリュート「Suite」に込める。
♪~♪~
その音色が響きだすとともに、ルナの周囲の草原が光り輝き、繁茂するような幻想が生まれ、テミスを驚かせた。
「これが、歌の力……」
「コミュニティがあり、そこに貫く想いがあればこそだろう。ハッハッハ。強すぎるのも困りものだが……」
音楽に専念するルナに代わって、ルベーノ・バルバライン(ka6752)が話す中、彼のシープドッグが鋭く吼える。
「あっ、行く方向はそっちじゃないですよぅ」
音楽に惹かれる性質が災いしたか、それともルナの音楽が良すぎたのか。群れはぴたりと止まって、すべてがルナの方へと振り返っていた。
「あ、あれ?」
「ハッハッハ。主役のいる方は誰もが見たくなるものだ。よし、俺の歌声で痺れさせてやろう」
ルベーノは群れの中を突っ切るようにして、ルナとテミスに道を拓けながら、その低音の声を響かせた。
♪笑え 笑え どんなものも輝かせて見せよう
「ルベーノさんが歌うと、全然違う曲っぽい」
同じメロディなのに。驚くテミスに今度こそルナが微笑んで頷く。
「それが音楽の良いところなんです」
みんなそれぞれ良いところを活かせる。互いに補い合える。
「さらに一緒に歌うと効果倍増ですよ」
♪春の光は幸せの色 終わらない夜はどこにもないから
♪春の光は温かな色 曙光があなたを照らしてくれているわ
リラがテミスに歌いかけると、未悠が音を重ねて一体感を作っていく。
そんな音楽を聴きながらテミスはなんだか恥ずかし気に、それでいて音楽を心から楽しんでいるようではあったが、口はまだ動かせないでいた。
「大丈夫。心のままに好きに歌えばいいのよ」
リアリュールが寄り添い、静かに微笑む。
「でも、音楽は……才能が有って、心が光り輝いている人だからこそ輝いて……」
テミスのその一言が彼女が今まで笑えなかった全てなのだろうと直感した。
「とても辛い体験をしたのね。だから自分は見放されたのだと思わなければ、心を奮い立たせて歩くこともできなかった。そうして自分に烙印を押したから……笑うことすら辛いのね」
リアリュールの言葉にテミスは唇を噛み、涙をにじませた。
「テミスさんは笑顔をもらえると嬉しいと思いますぅ?」
ルベーノが無理やり群れを突っ切るものだから、一部で混乱したりする羊を地縛符で足止めしていたハナが、途切れかけた幸せの音色の間にそう差し込む。
「はい……」
「じゃあ、笑わないとですよぉ。自分からまず笑ってあげることでぇ、相手の人を笑顔にできるんですよぉ? そうしたら自分も相手もハッピーですぅ」
そうしてハナは作って見せた飛び切りの笑顔に、経験者の重みを感じたのだろうか、テミスは頷いた。
「はい!」
●
夜になり羊たちも草原で各々眠りについたのを確認した頃合いに、一同も焚き火を囲んで遅い夕食を始めた。
「それじゃ、明日も元気でいられるように!」
「じゃーん、お料理ですぅ」
未悠とハナが自信たっぷりに大きな皿を差し出した。
干し肉を炙り、野草のスープ。そしてパンにラクトチーズのとろりと垂れてくるのはハナの作。さすがの女子力。
そしてあんこにヨモギが同量で黒と緑に染まった土台に、栄養ドリンク入りのゼリーと生クリームでデコり、生えていたフェンネルを差し込んだ怪作が未悠の料理だ。
「大丈夫よ、リゼリオで買ってきたお菓子をベースにしているから、味は保証するわ。ユメリアやルナに協力してもらった経験が生きてると思うの。明日も疲れなく歩けるように、楽しく過ごせるように、とびきりの一品よ」
自信たっぷりの未悠の声だが、雰囲気は沈痛だった。
「美味しい料理に感謝を」
リアリュールのいただきますの合図で、みんな手に取ったのはもちろんハナの料理であった。
いや、一名。ユメリアだけが未悠の料理を手にした。
「ユメリア……お前、やるな」
「元気がでるお料理ですもの」
ルベーノですら躊躇したそれを笑顔で口にしたユメリアであったが、やはり一口でひっくり返った。
「ユメリアさん! 雑草を食べてたっていつも豪語しているクリームヒルト様でも寝込んだんですよ……?」
慌てて駆け寄るテミスに、ユメリアはうすらと目を開けると蒼白な顔で微笑んだ。
「誰かの為になると信じればテミス様は諦めなかったではありませんか。あなたの勇気は、私に知らぬふりをさせないと教えてくれました」
一瞬言葉に詰まるテミスは、はっとした。
そしてユメリアは自分で淹れておいたお茶ですっと流し込むと、蒼白だった顔も自然な顔色に戻ってくる。
「あなたは勇気を与えてくれました。立派な良き羊飼いです」
今度は、私たちの笑顔を受け取って花咲いてほしい。
そんな言葉を言外に込めたユメリアの想いは、確かにテミスに伝わっているようであった。
「でも、でも……」
「テミス君。これからは一杯我が侭を言っていいんだ。甘えてくれても」
戸惑うテミスにイルムが優しく声をかけ、そしてその手を差し出す。
「いいんだよ。君はもう、そんな風に生きてもね」
苦しい思い出に自分の中を閉じ込めて、誰かの為だけに生きる必要はない。もう十分すぎるほどに君は無辜なる贖罪を果たしたのだから。
その手を取ってテミスが震えるのを見て、ルナはリュートをつま弾いた。
彼女の想いはぐるぐる回る。助けの御手を差し伸べられても、素敵な言葉で癒されても、自分で自分を封じ込め続けている。いつぞやの私のように。
その輪廻を断ち切りたい。
あの時、ガルカヌンクで彼女が奮い立った時のように。
♪夢 希望 朝にくる度やってくる もう昨日までの悪夢から覚めたのだから
何度でも、朝を呼ぼう。
ルナは爪弾き、しっとりと歌い出す。その気持ちに呼応するようにしてリラが立ち上がり、ハンドベルを一度鳴らす。踊ろう、あった筈の願いを昇華するように。ベルの音は舞い踊りながらもゆるやかに響き、彼女に蓋する想いを一つずつ浄化していく。
♪笑いましょう 素敵な笑顔は幸せの種 向けたぶんだけ芽吹くから
ルベーノの悩みを吹き飛ばす音量のあるボイスとそのどっしりとした面持ちは、テミスの心に蓋する重しを吹き飛ばしていく。
ハナも一緒になって歌い、それから泣きそうになっているテミスのほっぺをきゅっとつまみ上げた。いつまでも泣いてちゃいけない。
♪愛 正義 いつも心に湧いてくる もうじっと待ち続ける時間は終わるでしょう
未悠の言葉に引き上げられるように、心の奥底で閉じこもっていたテミスが顔を上げた。
そしてイルムがそれを迎え入れ、タチアナが喜びをめいっぱい示して祝福する。
♪それは綺麗な花を咲かせ、やがて種をつけ風に乗せ より多くの華を貴女に向けて咲かせるでしょう
リアリュールが野の花をテミスに捧げて、優しく語り掛けるように歌う。
そしてユメリアが目と目を合わせて、その口元に歌詞を浮かべる。胸につかえたその言葉を「さあ」と語り掛けるようにして。
「朝が、来るたび や って くる」
詰まるような音。絞り出すような声。
上ずりながらも、テミスは歌を紡ぎ出す。
大切な歌を自分でも歌えるように。ここにいるみんなの力を借りて。
「もう昨日までの悪夢から さめたのだか ら!!」
その1フレーズだけで十分だった。
ルナがテミスを抱きしめた。
その一言を歌うのに、どれだけの勇気と自分との決別が必要なのか、ルナは一番よく知っていた。
「よく……よく頑張ったね」
ルナの声は嬉し涙でにじんでいた。
「ありがとう」
テミスは初めて笑顔でその抱擁を返した。
●
「あの村……そっくりね」
日が上り、そして暮れる頃。目的地に到着したリアリュールは目を細めた。それはテミスの故郷とよく似ていて。そういうところをきっと選んでくれたのだろう。
「ありがとうございます!」
溌剌として礼を述べるのは、テミスだ。この短い旅を始めた昨日とはもう別人のようだった。その顔を見て、リアリュールはにこりと笑うと、Finnの毛から少し刈った毛並みから紡いだ1mほどの糸をテミスに預けた。
「羊の毛は紡がれ糸となる。そこにどんな糸を加えるのか。楽しみにしてるわね」
「ハッハッハ。この羊の毛なら夏場でも使えそうだ。ここではない場所でも大活躍してくれそうだな。生活が軌道に乗ったら買いに来るとしようか」
ルベーノが笑うのを、テミスもまたくしゃりと顔を笑わせて、それに答えた。
ああ、その何と穏やかな事だろうか。未悠は心底嬉しく、愛おしくなって、別れ際にテミスを抱きしめた。
「いつまでも、離れていても心は一緒よ。一緒ならどんな運命にも立ち向かっていける。乗り越えられる。幸せになれる」
だから教えて。
未悠はそっと尋ねた。
「貴女の叶えたい夢は、何?」
その想いは絶対に守って見せるから。もうこの笑顔が無くならないようにしてみせるから。
そんな未悠の問いかけに、テミスは迷う事なく元気いっぱいの声で答えた。
「変わらない明日を過ごすことです。いえ、今日は……本当に特別な日なんですけど。それが明日も明後日も、ずっとずっと続きますように!」
その言葉にふと目を見開いた未悠だったが、しばらくしてにっこりと笑った。
「わかったわ。一緒にその夢、叶えていきましょう」
テミスと羊の物語はこれから幕開けする。
この新たなステージへと導いてくれた一同が見えなくなるまで、テミスはずっと手を振り続けて見送ってくれた。
思い出の羊と共に、飛び切りの笑顔と共に。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/28 21:20:14 |
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少女とヒツジと音楽と(相談卓) イルム=ローレ・エーレ(ka5113) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2019/04/30 10:56:28 |