ゲスト
(ka0000)
思い出の羊を求めることで
マスター:DoLLer

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/04/30 15:00
- リプレイ完成予定
- 2019/05/14 15:00
オープニング
♪夢 希望 朝にくる度やってくる もう昨日までの悪夢から覚めたのだから
自分の主人を待つため、指定された丘にある木陰で座っていたテミスが持つオルゴールからそんな曲が流れてくる。温かい春の日差しのようなそんな音色が流れると、テミスの心は風のように揺れた。
曲が流れるたびに思い出す。自分の過去を。暗殺者として育てられたこと。それから。それを知って助けてくれた人たちのこと。
本当に天使が舞い降りてくれたのではないかと、今でも思うのだ。心を亡くした自分はいつ死んでもいいと思っていた。せめて心を亡くしても天国にいる父母に会えるように、そんな願いが叶えてくれたように。華麗なハンター達が彼女の前に集まり、そして救い出してくれたのはもう何年前だろうか。
それでもこのオルゴールを開けば、それは昨日の事のように色鮮やかに色づいて、蘇ってくる。
生きていることは嬉しい。
毎日、メイドとして仕事もあり、主人を守るという目標もあり、不自由など感じることもない。満ち足りた生活といえば、自分にはもったいないくらいだった。
だけど、時々思うのだ。
「お父さん、お母さん……」
私はどうして生きているんだろう。どうして父と母はゾンビに襲われて死ななければならなかったんだろう。
頭ではわかる。でも心が追いつかない。仕事をすれば一時、忘れることはできても、ベッドで横になったり、こうしてオルゴールを開くごとに幸せについて考えてしまうのだ。
視界が、にじむ。胸が圧迫されるくらいに辛くて、テミスは顔を伏せた。
その頬に冷たく湿ったものが撫でた。
「!!」
「あは、テミスが驚いた顔、久々に見たわ。やっぱりあなたは喜怒哀楽をしっかり表した方が美人よ」
頬を振れたものより、鈴を鳴らしたような声にテミスは驚いて顔を上げると、まず見えたのは羊の大きな顔と、それからその後ろで明るい笑顔を振りまくのは元主人であるタチアナだった。
「た、タチアナ様」
「大好きな友達の顔を見にきたのよ。結局あなたの笑顔、私はまだ見てないんだからね」
狼狽するテミスに、タチアナはくすくすと笑いかけると、後ろから来る人物の為に、その場所を譲った。
自分の今の主人クリームヒルトと、それから彼女が懇意にしている商人の少女ミネアだった。
「テミス。その羊……わかる?」
「え……」
クリームヒルトの言葉にきょとんとして、テミスは自分の頬を舐めたであろう羊に今一度目を移した。
強そうな角、毛並みは白と言うより灰色に近く、少しやせ型ではあるががっしりとした体形。その羊を覚えているかと言われて、テミスは忘れることができるものかと、心の中で叫んだ。
故郷の山間で歩いていた羊。父親が毎日のようなブラシをかけていた羊。姫様に名前をつけてもらったんだと胸を張っていた羊。
「ヒルトシープ……!」
ぎゅっと抱きしめれば父親と同じ臭いがして、亡くした色んなものが一瞬にして蘇ってくる。
お前は自慢の子だよ、お前は生きるんだよ。そんな声すら蘇ってくる。
「ああ、良かった。想いをつなげたわ」
慟哭するテミスの背を優しく撫でるクリームヒルトは、静かにそう言った。
「ミネアがね。これから商売を再建するの。その為にはヒルトシープが必要なんだって。生命力にあふれて、生きる力を忘れない強さを持つ家畜は少なくて、世界的に不安が満ち満ちている今、需要が再確認されているの。でも気性の荒さを上手く扱える人間は少なくて」
クリームヒルトはこぼれ落としたオルゴールを拾い上げると、テミスに渡した。
そんなの口実なのはわかっている。クリームヒルトは、ミネアは、タチアナは。考えてくれていたのだ。テミスが幸せに笑ってくれる方法を。
「この羊たちね、気性が荒いわりに音楽を聴くとおとなしくなるのよ」
毎日を退屈して音楽会を希望したことのあるタチアナはくすくすと笑ってそう言った。
「テミス。あなたの仕事は私を護ることじゃないわ。自分で幸せな人生を歩むこと。その為に重要な事はご両親の遺志を継ぐことよ。お願いできるかしら」
クリームヒルトの言葉に、テミスは立ち上がり深く頭を垂れたのだった。
自分の主人を待つため、指定された丘にある木陰で座っていたテミスが持つオルゴールからそんな曲が流れてくる。温かい春の日差しのようなそんな音色が流れると、テミスの心は風のように揺れた。
曲が流れるたびに思い出す。自分の過去を。暗殺者として育てられたこと。それから。それを知って助けてくれた人たちのこと。
本当に天使が舞い降りてくれたのではないかと、今でも思うのだ。心を亡くした自分はいつ死んでもいいと思っていた。せめて心を亡くしても天国にいる父母に会えるように、そんな願いが叶えてくれたように。華麗なハンター達が彼女の前に集まり、そして救い出してくれたのはもう何年前だろうか。
それでもこのオルゴールを開けば、それは昨日の事のように色鮮やかに色づいて、蘇ってくる。
生きていることは嬉しい。
毎日、メイドとして仕事もあり、主人を守るという目標もあり、不自由など感じることもない。満ち足りた生活といえば、自分にはもったいないくらいだった。
だけど、時々思うのだ。
「お父さん、お母さん……」
私はどうして生きているんだろう。どうして父と母はゾンビに襲われて死ななければならなかったんだろう。
頭ではわかる。でも心が追いつかない。仕事をすれば一時、忘れることはできても、ベッドで横になったり、こうしてオルゴールを開くごとに幸せについて考えてしまうのだ。
視界が、にじむ。胸が圧迫されるくらいに辛くて、テミスは顔を伏せた。
その頬に冷たく湿ったものが撫でた。
「!!」
「あは、テミスが驚いた顔、久々に見たわ。やっぱりあなたは喜怒哀楽をしっかり表した方が美人よ」
頬を振れたものより、鈴を鳴らしたような声にテミスは驚いて顔を上げると、まず見えたのは羊の大きな顔と、それからその後ろで明るい笑顔を振りまくのは元主人であるタチアナだった。
「た、タチアナ様」
「大好きな友達の顔を見にきたのよ。結局あなたの笑顔、私はまだ見てないんだからね」
狼狽するテミスに、タチアナはくすくすと笑いかけると、後ろから来る人物の為に、その場所を譲った。
自分の今の主人クリームヒルトと、それから彼女が懇意にしている商人の少女ミネアだった。
「テミス。その羊……わかる?」
「え……」
クリームヒルトの言葉にきょとんとして、テミスは自分の頬を舐めたであろう羊に今一度目を移した。
強そうな角、毛並みは白と言うより灰色に近く、少しやせ型ではあるががっしりとした体形。その羊を覚えているかと言われて、テミスは忘れることができるものかと、心の中で叫んだ。
故郷の山間で歩いていた羊。父親が毎日のようなブラシをかけていた羊。姫様に名前をつけてもらったんだと胸を張っていた羊。
「ヒルトシープ……!」
ぎゅっと抱きしめれば父親と同じ臭いがして、亡くした色んなものが一瞬にして蘇ってくる。
お前は自慢の子だよ、お前は生きるんだよ。そんな声すら蘇ってくる。
「ああ、良かった。想いをつなげたわ」
慟哭するテミスの背を優しく撫でるクリームヒルトは、静かにそう言った。
「ミネアがね。これから商売を再建するの。その為にはヒルトシープが必要なんだって。生命力にあふれて、生きる力を忘れない強さを持つ家畜は少なくて、世界的に不安が満ち満ちている今、需要が再確認されているの。でも気性の荒さを上手く扱える人間は少なくて」
クリームヒルトはこぼれ落としたオルゴールを拾い上げると、テミスに渡した。
そんなの口実なのはわかっている。クリームヒルトは、ミネアは、タチアナは。考えてくれていたのだ。テミスが幸せに笑ってくれる方法を。
「この羊たちね、気性が荒いわりに音楽を聴くとおとなしくなるのよ」
毎日を退屈して音楽会を希望したことのあるタチアナはくすくすと笑ってそう言った。
「テミス。あなたの仕事は私を護ることじゃないわ。自分で幸せな人生を歩むこと。その為に重要な事はご両親の遺志を継ぐことよ。お願いできるかしら」
クリームヒルトの言葉に、テミスは立ち上がり深く頭を垂れたのだった。
解説
目的
羊の誘導、護衛し、再興途中の村へ移動完了させること。
約1000頭
移動距離
2日ほど歩けばつきます。
羊の特性
名称はヒルトシープ
普通の羊に比べると戦闘的で、恐慌してしまうことは少ないです。
ただし、あまり人や牧羊犬の言う事も聞きません。
音楽に興味を持ちやすい性質です。
危険性
特にありませんが、何かの拍子でうまく統率できないことがあります。
最低1泊はします。
同行者
テミス
一般人。ヒルトシープの扱い方をそれとはなしに体得しています。
暗殺者に仕立てられた過去があり、今でも表情は乏しいようですが、かなり変わってきました。
タチアナ
一般人。富豪のお嬢様。野外生活の経験も0ですがテミスに会いに遊びに来ました。
多少ワガママなところがありますが、指示には従います。
クリームヒルトとミネアは別の仕事があるので、今回の登場はOPのみです。
ちなみに質問も受け付けられないのでご了承ください。
羊の誘導、護衛し、再興途中の村へ移動完了させること。
約1000頭
移動距離
2日ほど歩けばつきます。
羊の特性
名称はヒルトシープ
普通の羊に比べると戦闘的で、恐慌してしまうことは少ないです。
ただし、あまり人や牧羊犬の言う事も聞きません。
音楽に興味を持ちやすい性質です。
危険性
特にありませんが、何かの拍子でうまく統率できないことがあります。
最低1泊はします。
同行者
テミス
一般人。ヒルトシープの扱い方をそれとはなしに体得しています。
暗殺者に仕立てられた過去があり、今でも表情は乏しいようですが、かなり変わってきました。
タチアナ
一般人。富豪のお嬢様。野外生活の経験も0ですがテミスに会いに遊びに来ました。
多少ワガママなところがありますが、指示には従います。
クリームヒルトとミネアは別の仕事があるので、今回の登場はOPのみです。
ちなみに質問も受け付けられないのでご了承ください。
マスターより
エピローグシリーズ1です。
テミスちゃんは無表情が売りだったはずなのに、彼女を書く度に泣いてる気がします。テミスも執筆者も。
彼女に関わる人達みんないい人すぎるんだ!
危険性は少ないものの1000頭の面倒を見るって大変だと思いますので、ご注意ください。
でも懸念と対策ばっかり書かれるとそちらに重点を置かざるを得なくなるので、自分がやりたいイメージを中心に書いてもらえると嬉しいです。
テミスちゃんは無表情が売りだったはずなのに、彼女を書く度に泣いてる気がします。テミスも執筆者も。
彼女に関わる人達みんないい人すぎるんだ!
危険性は少ないものの1000頭の面倒を見るって大変だと思いますので、ご注意ください。
でも懸念と対策ばっかり書かれるとそちらに重点を置かざるを得なくなるので、自分がやりたいイメージを中心に書いてもらえると嬉しいです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/05/06 11:56
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/28 21:20:14 |
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少女とヒツジと音楽と(相談卓) イルム=ローレ・エーレ(ka5113) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2019/04/30 10:56:28 |