ゲスト
(ka0000)
【王戦】碧天の少年
マスター:赤山優牙
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/05/02 09:00
- 完成日
- 2019/05/09 18:30
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「……えと、要約すると、つまり、僕がリーさんの代わりに、王国へ行くと言う事ですか?」
利発そうな少年――星加 孝純 (kz0276)――の言葉に、軍服姿のハンターの男が頷いた。
「迷惑だというのは分かっている! だが、頼む!」
男は頭を深く下げた。
強化人間から覚醒者へ上書きし、ハンターとして活動を続けていたリーだが、諸々な都合で軍属に戻る事になったのだ。
しかし、受けた依頼を反故にする訳にもいかず……『CAMでの戦闘経験』と『リアルブルーの教育システムを受けた者』という条件に適合している人を探し続け、断られ続け、最後に……孝純に辿り着いた。
「でも、僕は駆け出しのハンターですし、行ってもいいのですか?」
「それなんだが、よく考えれば、CAM操縦は孝純君の方が上手いし、戦闘シミュレーターの改変や管理していたなら……むしろ、俺より適任じゃないのかなって」
孝純の父はCAMのエースパイロットであり、自宅には父が自作したシミュレーターが置いてあった。
そのデータを受け継ぎ、孝純は今もシミュレーターを使い続けている。
そして、一度きりとはいえ、CAMでの実戦も経験しているのだ。腕前も悪くない。
「……分かりました。一応、紹介状を貰っていいですか」
「勿論。依頼主はグラズヘイム王国青の隊騎士ノセヤ。フライングシスティーナ号という転移門が搭載されている軍艦に乗っているから、リゼリオからでも飛べるはずだ」
「はい。それでは、準備してきます」
といっても私物がそこまで多い訳ではないが……。
一先ず、ハンターとしての登録が済み、最初の仕事が見つかったのは、きっと、良い出だしなのだろうと、孝純は思う事にしたのであった。
●
フライングシスティーナ号に到着した孝純は、その船体の大きさに驚いていた。リアルブルーで言う所の航空母艦。
おまけに、あらゆる所に魔法陣が描かれ、補助回転翼の艤装がされている。なんでも、飛行実験も良好だそうだ。
特徴的な全通式の甲板に立った少年は潮風を受けつつ、爽やかな空を見上げた。
「ようこそ、星加孝純君」
声がして振り返ると、一人の痩せた騎士がいた。
孝純は騎士がノセヤだと感じ、丁寧に深々と礼をする。
「はじめまして。ハンターの星加孝純です」
「連絡は届いている。色々と大変かもしれないが、よろしくお願いするよ」
差し出されたノセヤの手を孝純は握る。
若すぎるから嫌な顔されるのではないかと思っていただけに、ノセヤの反応は孝純にとっては意外だった。
ハンターの中には、孝純と変わらない歳の子もいて、活躍しているというのもあるだろうか。
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
「期待しているよ」
「ご期待に沿えるように頑張ります」
その時、細かな振動と共にエレベーターが動いた。
慌ただしく水兵達が走り回っていた。どうやら、格納庫から機体を甲板に出すようだ。
「ちょうどハンター達を呼んでいる所だからね」
興味津々にその様子を見つめる孝純にノセヤが答える。
格納庫の入れ替えを行う為だ。甲板に上がってきた機体を見て、孝純は再び驚いた。
「これは……CAMではないのですね」
「その通り。王国が誇る最新鋭ゴーレム“ルクシュヴァリエ”です」
コクピットに搭乗し、内部のコアにマテリアルを流す事で自己を機体とする、所謂、“精神没入型”の搭乗兵器だ。
孝純は話に聞いていたが、実物を目にするのは初めてだった。先行生産された少数機を苦労して得たハンター達もいるというが……。
「これを独自に運用できるようにするのが、僕の役目ですか?」
「そういう事です。CAM運用ノウハウを組み入れたいのです……その為に、この“ルクシュヴァリエ”は孝純さん用に調整してあります」
「え……」
ノセヤの唐突な台詞に孝純は目を丸くした。
駆け出しハンターには待遇が破格過ぎるが――こういった思い切った事をやるのが、騎士ノセヤという人間かもしれない。
●
騎士と少年の出逢いは、しかし、穏やかにはいかなかった。
突如として、警報が鳴り響いた。
「敵襲!?」
「やはり、来ましたね……」
周囲は港が広がっているだけで、敵の姿は確認できない。
キョロキョロとする孝純にノセヤは肩を叩くと、大空を指さした。
「あれです。数日前に付近の村を壊滅させた飛行型の雑魔です」
「……鳥? いや、あれは……」
孝純は青空を我が物顔で飛んでいる雑魔を見て思った。
まるで、リアルブルーの大型爆撃機のような姿に似ていたからだ。
「あの雑魔は負のマテリアルの塊を連続で投下してきます。ここを狙った意図は分かりませんが……このままにしておく事もできません」
「だったら、僕が行きます!」
「孝純君のCAMはまだ到着していないが……まさか、“ルクシュヴァリエ”で出撃するのですか?」
ノセヤの疑問に少年は深く頷いた。
幸いな事に、目の前の“ルクシュヴァリエ”は孝純用に調整されているのだ。
ハンター達も間もなく到着する予定であり、それまでの間、時間稼ぎをすればいい。
「分かりました……ですが、無理は禁物ですよ」
「はい、大事な最新鋭機ですから!」
そう言って孝純は“ルクシュヴァリエ”に向かって走り出した。
大人しそうに見えるが血気盛んな所もある少年なのだと、ノセヤは思った。
「……大事なのは機体ではなく、孝純君、貴方自身の事なんですけどね……」
苦笑しながらノセヤは呟くのであった。
「……えと、要約すると、つまり、僕がリーさんの代わりに、王国へ行くと言う事ですか?」
利発そうな少年――星加 孝純 (kz0276)――の言葉に、軍服姿のハンターの男が頷いた。
「迷惑だというのは分かっている! だが、頼む!」
男は頭を深く下げた。
強化人間から覚醒者へ上書きし、ハンターとして活動を続けていたリーだが、諸々な都合で軍属に戻る事になったのだ。
しかし、受けた依頼を反故にする訳にもいかず……『CAMでの戦闘経験』と『リアルブルーの教育システムを受けた者』という条件に適合している人を探し続け、断られ続け、最後に……孝純に辿り着いた。
「でも、僕は駆け出しのハンターですし、行ってもいいのですか?」
「それなんだが、よく考えれば、CAM操縦は孝純君の方が上手いし、戦闘シミュレーターの改変や管理していたなら……むしろ、俺より適任じゃないのかなって」
孝純の父はCAMのエースパイロットであり、自宅には父が自作したシミュレーターが置いてあった。
そのデータを受け継ぎ、孝純は今もシミュレーターを使い続けている。
そして、一度きりとはいえ、CAMでの実戦も経験しているのだ。腕前も悪くない。
「……分かりました。一応、紹介状を貰っていいですか」
「勿論。依頼主はグラズヘイム王国青の隊騎士ノセヤ。フライングシスティーナ号という転移門が搭載されている軍艦に乗っているから、リゼリオからでも飛べるはずだ」
「はい。それでは、準備してきます」
といっても私物がそこまで多い訳ではないが……。
一先ず、ハンターとしての登録が済み、最初の仕事が見つかったのは、きっと、良い出だしなのだろうと、孝純は思う事にしたのであった。
●
フライングシスティーナ号に到着した孝純は、その船体の大きさに驚いていた。リアルブルーで言う所の航空母艦。
おまけに、あらゆる所に魔法陣が描かれ、補助回転翼の艤装がされている。なんでも、飛行実験も良好だそうだ。
特徴的な全通式の甲板に立った少年は潮風を受けつつ、爽やかな空を見上げた。
「ようこそ、星加孝純君」
声がして振り返ると、一人の痩せた騎士がいた。
孝純は騎士がノセヤだと感じ、丁寧に深々と礼をする。
「はじめまして。ハンターの星加孝純です」
「連絡は届いている。色々と大変かもしれないが、よろしくお願いするよ」
差し出されたノセヤの手を孝純は握る。
若すぎるから嫌な顔されるのではないかと思っていただけに、ノセヤの反応は孝純にとっては意外だった。
ハンターの中には、孝純と変わらない歳の子もいて、活躍しているというのもあるだろうか。
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
「期待しているよ」
「ご期待に沿えるように頑張ります」
その時、細かな振動と共にエレベーターが動いた。
慌ただしく水兵達が走り回っていた。どうやら、格納庫から機体を甲板に出すようだ。
「ちょうどハンター達を呼んでいる所だからね」
興味津々にその様子を見つめる孝純にノセヤが答える。
格納庫の入れ替えを行う為だ。甲板に上がってきた機体を見て、孝純は再び驚いた。
「これは……CAMではないのですね」
「その通り。王国が誇る最新鋭ゴーレム“ルクシュヴァリエ”です」
コクピットに搭乗し、内部のコアにマテリアルを流す事で自己を機体とする、所謂、“精神没入型”の搭乗兵器だ。
孝純は話に聞いていたが、実物を目にするのは初めてだった。先行生産された少数機を苦労して得たハンター達もいるというが……。
「これを独自に運用できるようにするのが、僕の役目ですか?」
「そういう事です。CAM運用ノウハウを組み入れたいのです……その為に、この“ルクシュヴァリエ”は孝純さん用に調整してあります」
「え……」
ノセヤの唐突な台詞に孝純は目を丸くした。
駆け出しハンターには待遇が破格過ぎるが――こういった思い切った事をやるのが、騎士ノセヤという人間かもしれない。
●
騎士と少年の出逢いは、しかし、穏やかにはいかなかった。
突如として、警報が鳴り響いた。
「敵襲!?」
「やはり、来ましたね……」
周囲は港が広がっているだけで、敵の姿は確認できない。
キョロキョロとする孝純にノセヤは肩を叩くと、大空を指さした。
「あれです。数日前に付近の村を壊滅させた飛行型の雑魔です」
「……鳥? いや、あれは……」
孝純は青空を我が物顔で飛んでいる雑魔を見て思った。
まるで、リアルブルーの大型爆撃機のような姿に似ていたからだ。
「あの雑魔は負のマテリアルの塊を連続で投下してきます。ここを狙った意図は分かりませんが……このままにしておく事もできません」
「だったら、僕が行きます!」
「孝純君のCAMはまだ到着していないが……まさか、“ルクシュヴァリエ”で出撃するのですか?」
ノセヤの疑問に少年は深く頷いた。
幸いな事に、目の前の“ルクシュヴァリエ”は孝純用に調整されているのだ。
ハンター達も間もなく到着する予定であり、それまでの間、時間稼ぎをすればいい。
「分かりました……ですが、無理は禁物ですよ」
「はい、大事な最新鋭機ですから!」
そう言って孝純は“ルクシュヴァリエ”に向かって走り出した。
大人しそうに見えるが血気盛んな所もある少年なのだと、ノセヤは思った。
「……大事なのは機体ではなく、孝純君、貴方自身の事なんですけどね……」
苦笑しながらノセヤは呟くのであった。
リプレイ本文
●
巨大な鳥のようにも見える雑魔が我が物顔で飛行している。
無差別に負のマテリアルの塊を投下し、無差別に村や町を爆撃しているという。
王国には帝国のようなグリフォン部隊は無い。ましてや、今は傲慢歪虚との激戦中だ。よほど、大きな損害にならない限りは、優先順位は低いだろう。
そういう意味では、今回、逃がさずに討伐したい所だ。
「まさか、あんなのが飛び回ってるなんて……って、誰か先行してるみたいね」
ブリッツ(ワイバーン)(ka0239unit004)の背に跨って、ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が手をかざして言った。
爆撃機型雑魔に向かって、飛翔している存在に気が付いたからだ。
「依頼主からは、先に別にハンターが先行しているって、確か……孝純君っていったかな」
アーシャ(ka6456)がR7エクスシア(ka6456unit001)のコックピット内でコントロールパネルを操作しつつ、ユーリの台詞に応える。
望遠レンズを拡大すると、そこには、星加 孝純(kz0276)が乗っているルクシュヴァリエがマテリアルを放出しながら飛んでいた。
「流石に一人では分が悪すぎるわよ……これより援護に向かう。絶対に私の目の前で……もう、誰も死なせはしないわよっ!」
「乗ったばかりの機体で無茶するね。でも、嫌いじゃないよ。はやく救援にいってあげないとね!」
二人の会話を聞きながら、ヘルヴェル(ka4784)はネベル(ワイバーン)(ka4784unit003)をゆっくりと離陸させた。
脳裏に浮かぶのは、ハンターになるという決意を見せた少年の姿だった。
沢山の出逢いと別れの先に、あの少年が選んだ道が、ここに至ったという事であれば――。
「さて、ハンターになって初の戦。先達としては、後輩に白星を進呈したいところですよね。ネベル行きますよ」
飛びあがった仲間に合わすように、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は意識を集中させと、ウイングフレームの機構を作動させた。
「ルンルン忍法と忍者合体『DXダイニンジャー』ちゃんの力を駆使して、孝純くん達と一緒に迫る飛行雑魔軍団をやっつけちゃいます!」
あの少年は大事なゲーム仲間なのだ。
楽しいひと時を過ごす為にも、あの雑魔をさっさと退治しなければならない。
「新たなる力は孝純くんだけじゃありません、刻騎ニンジャと一体になった私は無敵なんだからっ!!」
気持ちは充分。ルンルンは忍者合体『DXダイニンジャー』(刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」)(ka5784unit005)を大空へと飛び上がらせた。
次々と仲間が飛翔していく中、ディアーナ(R7エクスシア)(ka0410unit003)を駆るジュード・エアハート(ka0410)もフライトシステムを起動させた。
轟轟と大型のブースターが音を立てる。
「爆撃機型を早めに片付けないと被害が大きくなりそうだね。でも、小型を片付けないと爆撃機型を倒しにくそう」
ジュードがモニターを凝視する。
そこには爆撃機型雑魔の周りを飛び回る小型機型雑魔の姿が確認できた。
直掩のつもりなのだろうか。あれを無視する訳にもいかないはずだ。
「よーし、それなら俺は主に小型の相手をするよー!」
青空に向かって飛び上がるハンター達の後ろ姿に、マリナ アルフェウス(ka6934)は既視感を抱いていた。
「どこかで見たシチュエーションではあるが。制空権は渡さない……最適の健闘を」
そう告げると、ティロ(ワイバーン)(ka6934unit001)に指示を出す。
空戦の経験はあまりないので練習も兼ねての出撃だが――上手く立ち回れるかは、やってみなければ分からないだろう。
「マリナ、テイクオフ」
「皆さんの勝利を祈ります」
フライングシスティーナ号から依頼主であるノセヤはハンター達の無事を祈りつつ、船の緊急浮上の準備に取り掛かった。
万が一、ハンター達が止められなかったら、この船を盾にして港町を守るつもりなのだ。
●
先行したのはマリナだった。ワイバーン用の特殊訓練を受けており、空中戦に特化してある。
マリナの接近に気が付いた小型機型雑魔が翼代わりの両腕を払って向かってきた。
「装備換装Type-B。方位XX、高度YYに敵影。速やかに撃墜せよ」
機械的な動きで純白のカオスセラミック製の弓を構え、幾何学模様が刻まれた魔法の矢を番えた。
まだ、かなりの距離があるが、それでも狙えないという訳ではない。
「アルフェウス、エンゲージ!」
通信機に告げると、矢を放った。
空を一直線に飛翔し、小型機型雑魔を貫く。
それだけで、小型機型雑魔は墜落しながら消滅していった。小さいのは倒しやすいのかもしれない。
だが、数だけは多い。幾体か新手が向かってくるのをマリナは正面からすれ違うとティロを上昇させた。
可能な限り、高い場所から、相手の後ろから攻撃する為だ。
「機動力ではこちらが上、ドッグファイトも良好」
絶好な位置取りにつくと、次の矢を番えた。
まずは直掩機を落とし、先行している孝純を援護するからだ。
マリナの次に続いたのは、ヘルヴェルとユーリの二人だった。
「孝純君、聞こえる? これから、爆撃機型までの道を作るから、後続機と一緒に行動を」
「この声はヘルヴェルさん!? 分かりました。お願いします!」
敵の攻撃を避ける為、複雑な回避行動をしていた孝純機が最低限の動きで止まる。
「今です! ユーリさん!」
「一気に突破します。ブリッツ!」
二人が駆るワイバーンがマテリアルを纏うと、空を飛ぶ小型機型雑魔の群れに突っ込んだ。
それだけで弾き飛ばす事は出来ないが、直掩の壁を抜ける。
慌てたのは小型機型雑魔の方だ。強引な突破によって、母艦に迫られたのだから。
突破したワイバーンを背後から攻撃するか、正面から迫るハンター達に対応するか、統率が一瞬で崩れる。
その隙をジュードが見逃すはずがない。
「この距離なら」
黄金色の瞳がモニターに映る幾体もの小型機型雑魔を捉える。
機体が持つ長大なライフルからマテリアルが込められた弾丸が放たれると、まるで流星群のような弾幕と化した。
「援護、感謝します」
行動が止まった雑魔を孝純機が吹き飛ばしながら一直線に移動した。
「おー、やるじゃんやるじゃん! 頼りにしてるよー!」
「後ろを託していいですか?」
「もちろんだよ。だからといって、突出し過ぎないようにね」
幾体か倒しても小型機型雑魔の数はまだ多い。
包囲されてしまうと袋叩きになる可能性がある以上、連携は必須だろう。
孝純機の背を守れる位置を維持して銃撃での支援を続けるジュード。孝純がそれなりに戦える事もあるが、彼の真横に立てる仲間の機体がいるというのもある。
「貫けニンジャランス! 孝純くん手伝いに来ました!」
機甲槍を構え、不退の駆を使って小型機型雑魔を文字通り弾き飛ばしながら、ダイニンジャーに乗ったルンルンが到着した。
二機はお互いの背を庇うように立つと回りながら移動する。
爆撃機型雑魔から砲塔のようなものが開くと、二機を狙った。強力な負のマテリアルのビームを放つようだ。
だが、その前に、紫色のビームが砲塔に直撃する。
「これは……マテリアルライフル!?」
「ハンターのアーシャだよ。よろしくね!」
後方から追いついたアーシャの機体が放ったものであった。
スキルトレースを駆使し、有利な状況で戦えるように機先を制していた。
「攻撃は簡単には通さないんだよ」
雑魔から放たれたミサイル攻撃を、アーシャはマテリアルカーテンを作動させて防ぐ。
機体の防御力も合わさって、ほとんどダメージは受けていない。
逆に、ハンター達の小型機型雑魔への攻撃は有効打が続いていた。
「心眼センサーオープン……ダイニンジャーちゃんが、私の進むべき道を示してくれます!」
ルンルンが乗るゴーレムに備え付けられたメモリーカードから符が飛んだ。
マリナを追い掛ける無数のミサイル状の攻撃。
敵の動きに統制は見られない。見られないが故に、全方向から無差別な攻撃が容赦なく飛んでくるのだ。
「後方は取らせない。空戦の大原則である」
手綱と脚で合図を出す。
ワイバーンは主の意図をよく理解して、敵の攻撃を旋回しつつ急上昇した。
翼の向きが、羽ばたく回数が、体幹を捩る動きが――戦闘機ではあり得ない機動を描いて宙で四半回転すると、ミサイル群を悉く避けきった。
「小型機の発射口を発見した」
視線を巡らせて、マリナは爆撃機型雑魔の背後ろから、小型機型雑魔が射出される様子を確認した。
倒しても次から次に敵が出現していてはキリがない。
「発射口を塞いでみますか?」
孝純の声が聞こえてきた。
爆撃機型雑魔は巨大なだけあって耐久力が高そうであった。簡単に落とせないのであれば、発射口を破壊して数的有利に崩したい所だ。
「敵の構造が分からないけど、試みる価値はあると思う」
機体の兵装状態を変更しながら、ジュードが答える。
空中で軽やかなステップを踏むように雑魔のレーザー攻撃を避けつつ、ジュード機から特殊兵装による攻撃が放たれた。
プラズマグレネードの爆発に巻き込まれた小型機型雑魔が独楽のように回転して墜落していく。
「やるなら、背を援護するよ」
「行ってみます!」
上空へと駆け上がった孝純機の後ろをカバーする為、ジュードは機体を続かせる。
その真横にヘルヴェルのワイバーンが抜けていった。横入りする敵を牽制するつもりのようだ。
「敵も動いています。複数人で続けて攻撃した方が良いでしょう」
一撃で発射口を壊す事が出来るという保証はない。
「列を組んでの波状攻撃を進言します。先導は任せて下さい」
小型機雑魔を撃ち払いながらマリナが再上昇する。
同一箇所を同時に狙う場合、それぞれが別方向から攻撃すると離脱時に衝突する可能性もあるからだ。
一列に隊列を組んでの攻撃ならば、攻撃後に散るだけなので、仲間同士の衝突という危険性は少ない。
ただし、敵の対空砲火に後続機が狙われやすいという弱点もあるのだが……。
「それなら、あたしも行くよ」
「私も行きますよ。こういう時こそ、ニンジャの力です!」
アーシャとルンルン、孝純が空中で一列に並ぶと、マリナの先導に続いて急降下を開始した。
タイミングを合わせるように、爆撃機型雑魔の腹側にユーリが蒼姫刀を構えて迫る。
「この空は、この世界は、お前達のものじゃない……」
敵の注意を向けさせるのを兼ねての事だ。
案の定、敵から雨のような反撃が撃たれるが、ブリッツが左右に身体を捩じって避ける。
「凶鳥を落とすは蒼白の雷と刃を以て焼き祓ってあげるわよっ」
マテリアルが込められた愛刀が爆撃機型雑魔の腹を切り裂いた。
そのまま敵の真横を上昇。追撃してくる対空砲火を一身に受け持つと大回りで旋回する。
敵の意識がユーリに向けられている中、3機が突入した。
「空間を開けますので、続いて下さい!」
先頭のアーシャ機がCAMブレードを突き刺すと、舞刀士としての技で速やかに移動する。
発射口に対して、ルンルンはDXダイニンジャーをマテリアルで包む。
機体ごと弾丸にさせるような攻撃であり、刻騎ゴーレム特有の攻撃方法だ。
「行くよ、孝純くん!」
二機のルクシュヴァリエがマテリアルの輝きを発しながら、爆撃機型雑魔を貫き、発射口を粉砕した。
●
港町がだんだんと近くなってきた。残された時間的猶予は少ないが、全ての発射口を破壊したので、小型機型雑魔を落としきってしまえば、丸裸も同然だ。
「もう、町があんなに近くに……早く倒さないと」
実戦経験が少ない孝純は焦りだした。
こればっかりは経験を積むしかない。彼我の戦力差を把握していれば、まだ焦る段階ではないのだ。
「大丈夫、慌てないでください」
少年の焦燥を肌で感じたヘルヴェルが傍へと寄る。
孝純の戦闘技術はこの場に集ったハンター達と比べても遜色ないものだが、気持ちの上で挫けると思わぬ一撃を受ける場合があるものだ。
「無理に動かしたり、突出しないように。そして、皆の動きを見て合わせて技や動き盗みましょう」
「は、はいっ!」
先輩ハンターからのアドバイスに、孝純は呼吸を整える。
CAMとは全く別の操作方法という事もあり、気付かないうちに疲労も溜まっていたようだ。
一呼吸置いてから、気持ちを切り替えると少年は機体を急降下させた。
それを援護するように、ブラストハイロウで敵の射線を塞いでいたジュードは戦況の行方にいよいよかと直感した。
「残った小型機型は俺に任せて」
パネルを操作して、機動用スラスターを起動。
雑魔の攻撃をくぐり抜け、大空を駆けると機体を二度、三度、回転させる。
「ここからなら!」
機体が逆さになりながらも、ジェネレーターと接続したライフルの銃口から紫色の光線が迸った。
マテリアルライフルの一撃は幾体もの小型機を巻き込むと、爆撃機型雑魔を直撃する。
ぐらりと傾いた爆撃機型雑魔の背にルンルンの機体が文字通り立った。
「人々が暮らす町や村を、これ以上雑魔の牙で荒らさせはしないもの……」
ぐるんぐるんと機甲槍を回ると、マテリアルを集束させながら、穂先を真下に向ける。
雷鳴が轟いたかのような一撃を叩き込む。
「全てを飲み込め光の渦、DXダイニンジャー必殺ニンジャシュトローム……散!!」
その一撃で爆撃機型雑魔が真っ二つに割れる。
崩れて消滅していく雑魔を足場代わりにルンルンは次の標的を定めて飛び上がった。
爆撃機型雑魔が落ちた事で対空砲火の網も弱くなっていく。
弾幕の間を飛んだマリナは長大なバリスタを構えると、マテリアルを込めて発射した。
「AVBA装填、ファイア!」
嵐のようなマテリアルの矢が標的を包み込んだ。
それまでのダメージも積み重なっていた事もあり、その強力な射撃で、爆撃機型雑魔が四散する。
消滅する雑魔の中を猛スピードで抜けながら、マリナはバリスタから拳銃に持ち替えると残っている敵に照準を合わせた。
「あまり使いたくはないんだが。墜ちろ!」
放った弾丸が不可思議な機動を描いて雑魔に直撃した。
敵の意識が自身に向いたのを確認し、対空砲火に備えて回避行動に入る。
追い縋るように伸びてきた砲火を置いてくるように避けきる間に、ジュードとヘルヴェルの援護受けた孝純とルンルンが、別の爆撃機型雑魔を撃墜させた。
残り半分……ここに来て、決着をつけるべく、ユーリはマテリアルを込めた星神器を掲げながら、敵へと肉迫する。
「星神器の力を無闇に使うのはどうかというのは自覚してる。けどね、目の前の脅威に立ち向かう者を見放す程、私は薄情者じゃないのよ……」
あの少年がここに至るまでの詳しい経過にユーリは立ち会っていない。
ただ、ハンターとして歪虚と戦う決意をし、守る為に一人、先に立ち向かった勇気に、星神器の力を使うのは、決して無闇ではないはずだ。
「さぁ行くわよ、勇気ある戦士達へ王権の権能……惨劇に終止符を打つ星の力をっ!」
解放された王権の理と共に、星神器を叩きつけるように雑魔へ振り下ろした。
続いて、アーシャの機体も追撃を掛ける。
「この効果が続いているうちに!」
強力な理を付与された長大なCAMブレードを突き出した。
爆撃機型雑魔を串刺しにすると、押し斬るように機体のスラスターを吹かした。
泥の中を掻き切るような感触と共に、雑魔が真っ二つになった。
「残り、二つです!」
雑魔を足場にして飛び上がる。
港町は目の前だ。これ以上の接近を許すわけにはいかない。
「ここで止めます」
CAMブレードを雑魔の頭に突き刺しつつ、強引に機体で行く手を抑える。
その隙を、ユーリが上空から垂直に近い形で急降下した。
散発的な対空砲火を諸共せずに鋭い視線と共に星神器を突き出した。
「トドメをっ!」
「ルンルン忍法行きます!!」
槍と一体化したかのような突貫でルンルン機が爆撃機型雑魔を貫いた。
強力無比な衝撃で雑魔が大爆発を起こして消滅する。それをモニターの隅で確認しつつ、ジュードの機体が孝純機へと腕を伸ばした。
「孝純君! 掴まって!」
「はいっ!」
二機は空中で繋がると、スラスターを操作させて機体を回転させながら、遠心力を付けて少年の機体を爆撃機型雑魔に向かって投げ放つ。
そうはさせじと残っていた小型機型雑魔が邪魔するが、それらをヘルヴェルを乗せたワイバーンがマテリアルを纏った突撃で吹き飛ばす。
「ッ!!」
言葉は無用とばかりに、ヘルヴェルは最後に残った爆撃機型雑魔を指差した。
もう、行く手を阻む存在は何もない。
少年の叫び声がどこまでも続く青空に響き渡ると共に、ルクシュヴァリエが飛翔した――。
「攻撃目標の全機、撃墜を確認」
ワイバーンをゆっくりと旋回させながら戦闘区域を確認するマリナ。
あれだけの数がいたのにも関わらず、一匹たりとも港町上空へ侵入させなかったのは大成功だろう。
「ミッションコンプリート。帰還許可を申請する」
「こちら、フライングシスティーナ号。依頼の達成を確認した。着艦を許可する」
マリナの台詞にノセヤからの通信が入った。空戦の様子をずっと見ていたのだろうか、ノセヤの声に熱を感じる。
港の端で巨大な船が浮上している事が分かった。激戦を終えたハンター達を迎えるつもりなのだろう。
太陽の光が海に反射して映る美しい光景が、帰還する空の勇士達を一足先に出迎えるのであった。
●
「凄い、浮いてる。本当に浮いてるよ、孝純くん!」
興奮冷めやらぬ様子でルンルンが少年の名を呼んだ。
フライングシスティーナ号は確かに空中に浮いていた……いや、もっと正確に言うと、飛んでいた。
「浮いている船にどうやって着艦するのかと思いましたが、普通に降り立つだけでした」
「確かに、飛行機じゃないし。これなら、空中ニンジャ隊が作れそう?」
「……本当に、ルンルンさんはブレませんね」
可愛らしく首を傾げるゲーム友達に孝純は苦笑を浮かべた。
そこにポニーテールの少女が微笑を浮かべてやって来た。
「さっきは機体に乗ってたから、初めましてかな。あたしはアーシャ。よろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。星加孝純です」
差し出された手を孝純は確りと握る。
さっきまで空で共に戦った間柄と思うと不思議な感じがした。
「お友達になれたら嬉しいな」
「え? あ、は、はい。勿論です」
唐突な申し出に慌てる少年。
茶化すようにルンルンが肘で突く。
「顔が真っ赤だよ、孝純くん!」
「か、揶揄わないで下さいよ」
照れる孝純の様子を微笑ましく見つめながら、ヘルヴェルもやって来た。
(後輩君にちょっとは先輩風吹かせられる結果になったでしょうかね)
戦闘自体、制限時間まで際どかったものの、終始、ハンター達に有利進んだと思う。
誰も大きな怪我が無かった事も喜ばしい事だ。
「ヘルヴェルさん……僕は、ちゃんと戦えたでしょうか?」
少年の問いにゆっくりと頷くヘルヴェル。
ちゃんと戦えていると思う。籃奈や牡丹の分まで、あの小さい背中に背負って。
「無理無茶しつつ冷静に、そして、よく周りを見るですよ? 孝純君」
「はい。すごく、難しい事言われている気がしますけど」
「後ろから見ている事が多かったけど、よく戦えていたよ」
心配する孝純にジュードが声を掛けた。
一歩引いた所から仲間を援護していたので、少年の戦いぶりはよく見えた。
あれで駆け出しなら、この先、どんな風に成長するのか、楽しみになるぐらいに。
「だとしたら、良かったです」
「あれこれ心配されるより、ちゃんと実力認めてあげた方が伸びるかなって」
「皆さんに追いつけるように頑張ります!」
グッと拳を握る孝純の様子にジュードは頷いた。
そこへ、船の仕組みを確りと観察していたマリナと案内していたノセヤが戻って来た。
「良い船。飛行能力だけではなく転移門も有している」
「一応、王国内であればどこでも移動して、ハンターを展開できますからね」
「他の国は?」
マリナの質問にノセヤは頭を掻いた。
物理的には他の国の上空に行く事は出来るだろう。だが、そんな事すれば国際問題だ。
「私の一存ではなんとも」
基本的には船であるので、無理して空を飛ぶ必要もないという事か。
「そうだ。皆さんにはまだハンガーデッキをお見せしていませんでした。案内しますよ」
「それは興味深い」
ノセヤに案内されて全員が移動する。
一歩踏み出した孝純の横に、ユーリが並んだ。
「ユーリさんも、ありがとうございました」
「一人で大軍相手にするのは無謀だったけど、時間を稼いでくれて、ありがとう」
「少し、自信が持てました」
小生意気そうな顔を見せた孝純の頭をユーリは優しく撫でる。
「子ども扱いするのは嫌かもしれないけど」
「というか、ユーリさんも同じぐらいですよね?」
「……そう、ね……」
実年齢は違うが――今、教えるようなタイミングでもなさそうだった。
二人して歩みが遅れたようで、先に進むルンルンが振り返って両手を豪快に振る。
「孝純くん、遅いよ! というか、また、真っ赤だよ!」
「だ、だって、ハンターである、皆さん、その……美人というか、綺麗な人というか……女性の中に一人、僕がいるのは、緊張するんですっ!」
「ん?」
照れる少年の宣言にジュードが微笑を浮かべながら、遅れている二人に手招きをするのであった。
ハンター達の迅速な行動により、孝純との速やかな合流。
空中戦闘においても各自が素晴らしい動きを見せて敵を殲滅。港町への被害は免れた。
孝純と共に戦闘した事で、彼自身、多くのものを得られた依頼となったのであった。
おしまい
●
フライングシスティーナ号が空中を航行する。
爆撃の盾にならずに済んだので、船の状態は万全だ。
「ノセヤさん、これからどこに行くのですか?」
孝純の問いにノセヤは遠く北東の空を指差した。
その方角にあるものは――王都だ。
「浮遊大陸……傲慢の王の城がある、敵の本拠地です」
「直接、乗り込むつもりなのですか?」
「まさか。王国軍と足並みは揃えますよ……ただ、この船が作戦の土台になるのは確実なのです」
沢山の想いを繋いだ航海は、いよいよ、目指すべき場所へと至ろうとしていた。
巨大な鳥のようにも見える雑魔が我が物顔で飛行している。
無差別に負のマテリアルの塊を投下し、無差別に村や町を爆撃しているという。
王国には帝国のようなグリフォン部隊は無い。ましてや、今は傲慢歪虚との激戦中だ。よほど、大きな損害にならない限りは、優先順位は低いだろう。
そういう意味では、今回、逃がさずに討伐したい所だ。
「まさか、あんなのが飛び回ってるなんて……って、誰か先行してるみたいね」
ブリッツ(ワイバーン)(ka0239unit004)の背に跨って、ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が手をかざして言った。
爆撃機型雑魔に向かって、飛翔している存在に気が付いたからだ。
「依頼主からは、先に別にハンターが先行しているって、確か……孝純君っていったかな」
アーシャ(ka6456)がR7エクスシア(ka6456unit001)のコックピット内でコントロールパネルを操作しつつ、ユーリの台詞に応える。
望遠レンズを拡大すると、そこには、星加 孝純(kz0276)が乗っているルクシュヴァリエがマテリアルを放出しながら飛んでいた。
「流石に一人では分が悪すぎるわよ……これより援護に向かう。絶対に私の目の前で……もう、誰も死なせはしないわよっ!」
「乗ったばかりの機体で無茶するね。でも、嫌いじゃないよ。はやく救援にいってあげないとね!」
二人の会話を聞きながら、ヘルヴェル(ka4784)はネベル(ワイバーン)(ka4784unit003)をゆっくりと離陸させた。
脳裏に浮かぶのは、ハンターになるという決意を見せた少年の姿だった。
沢山の出逢いと別れの先に、あの少年が選んだ道が、ここに至ったという事であれば――。
「さて、ハンターになって初の戦。先達としては、後輩に白星を進呈したいところですよね。ネベル行きますよ」
飛びあがった仲間に合わすように、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は意識を集中させと、ウイングフレームの機構を作動させた。
「ルンルン忍法と忍者合体『DXダイニンジャー』ちゃんの力を駆使して、孝純くん達と一緒に迫る飛行雑魔軍団をやっつけちゃいます!」
あの少年は大事なゲーム仲間なのだ。
楽しいひと時を過ごす為にも、あの雑魔をさっさと退治しなければならない。
「新たなる力は孝純くんだけじゃありません、刻騎ニンジャと一体になった私は無敵なんだからっ!!」
気持ちは充分。ルンルンは忍者合体『DXダイニンジャー』(刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」)(ka5784unit005)を大空へと飛び上がらせた。
次々と仲間が飛翔していく中、ディアーナ(R7エクスシア)(ka0410unit003)を駆るジュード・エアハート(ka0410)もフライトシステムを起動させた。
轟轟と大型のブースターが音を立てる。
「爆撃機型を早めに片付けないと被害が大きくなりそうだね。でも、小型を片付けないと爆撃機型を倒しにくそう」
ジュードがモニターを凝視する。
そこには爆撃機型雑魔の周りを飛び回る小型機型雑魔の姿が確認できた。
直掩のつもりなのだろうか。あれを無視する訳にもいかないはずだ。
「よーし、それなら俺は主に小型の相手をするよー!」
青空に向かって飛び上がるハンター達の後ろ姿に、マリナ アルフェウス(ka6934)は既視感を抱いていた。
「どこかで見たシチュエーションではあるが。制空権は渡さない……最適の健闘を」
そう告げると、ティロ(ワイバーン)(ka6934unit001)に指示を出す。
空戦の経験はあまりないので練習も兼ねての出撃だが――上手く立ち回れるかは、やってみなければ分からないだろう。
「マリナ、テイクオフ」
「皆さんの勝利を祈ります」
フライングシスティーナ号から依頼主であるノセヤはハンター達の無事を祈りつつ、船の緊急浮上の準備に取り掛かった。
万が一、ハンター達が止められなかったら、この船を盾にして港町を守るつもりなのだ。
●
先行したのはマリナだった。ワイバーン用の特殊訓練を受けており、空中戦に特化してある。
マリナの接近に気が付いた小型機型雑魔が翼代わりの両腕を払って向かってきた。
「装備換装Type-B。方位XX、高度YYに敵影。速やかに撃墜せよ」
機械的な動きで純白のカオスセラミック製の弓を構え、幾何学模様が刻まれた魔法の矢を番えた。
まだ、かなりの距離があるが、それでも狙えないという訳ではない。
「アルフェウス、エンゲージ!」
通信機に告げると、矢を放った。
空を一直線に飛翔し、小型機型雑魔を貫く。
それだけで、小型機型雑魔は墜落しながら消滅していった。小さいのは倒しやすいのかもしれない。
だが、数だけは多い。幾体か新手が向かってくるのをマリナは正面からすれ違うとティロを上昇させた。
可能な限り、高い場所から、相手の後ろから攻撃する為だ。
「機動力ではこちらが上、ドッグファイトも良好」
絶好な位置取りにつくと、次の矢を番えた。
まずは直掩機を落とし、先行している孝純を援護するからだ。
マリナの次に続いたのは、ヘルヴェルとユーリの二人だった。
「孝純君、聞こえる? これから、爆撃機型までの道を作るから、後続機と一緒に行動を」
「この声はヘルヴェルさん!? 分かりました。お願いします!」
敵の攻撃を避ける為、複雑な回避行動をしていた孝純機が最低限の動きで止まる。
「今です! ユーリさん!」
「一気に突破します。ブリッツ!」
二人が駆るワイバーンがマテリアルを纏うと、空を飛ぶ小型機型雑魔の群れに突っ込んだ。
それだけで弾き飛ばす事は出来ないが、直掩の壁を抜ける。
慌てたのは小型機型雑魔の方だ。強引な突破によって、母艦に迫られたのだから。
突破したワイバーンを背後から攻撃するか、正面から迫るハンター達に対応するか、統率が一瞬で崩れる。
その隙をジュードが見逃すはずがない。
「この距離なら」
黄金色の瞳がモニターに映る幾体もの小型機型雑魔を捉える。
機体が持つ長大なライフルからマテリアルが込められた弾丸が放たれると、まるで流星群のような弾幕と化した。
「援護、感謝します」
行動が止まった雑魔を孝純機が吹き飛ばしながら一直線に移動した。
「おー、やるじゃんやるじゃん! 頼りにしてるよー!」
「後ろを託していいですか?」
「もちろんだよ。だからといって、突出し過ぎないようにね」
幾体か倒しても小型機型雑魔の数はまだ多い。
包囲されてしまうと袋叩きになる可能性がある以上、連携は必須だろう。
孝純機の背を守れる位置を維持して銃撃での支援を続けるジュード。孝純がそれなりに戦える事もあるが、彼の真横に立てる仲間の機体がいるというのもある。
「貫けニンジャランス! 孝純くん手伝いに来ました!」
機甲槍を構え、不退の駆を使って小型機型雑魔を文字通り弾き飛ばしながら、ダイニンジャーに乗ったルンルンが到着した。
二機はお互いの背を庇うように立つと回りながら移動する。
爆撃機型雑魔から砲塔のようなものが開くと、二機を狙った。強力な負のマテリアルのビームを放つようだ。
だが、その前に、紫色のビームが砲塔に直撃する。
「これは……マテリアルライフル!?」
「ハンターのアーシャだよ。よろしくね!」
後方から追いついたアーシャの機体が放ったものであった。
スキルトレースを駆使し、有利な状況で戦えるように機先を制していた。
「攻撃は簡単には通さないんだよ」
雑魔から放たれたミサイル攻撃を、アーシャはマテリアルカーテンを作動させて防ぐ。
機体の防御力も合わさって、ほとんどダメージは受けていない。
逆に、ハンター達の小型機型雑魔への攻撃は有効打が続いていた。
「心眼センサーオープン……ダイニンジャーちゃんが、私の進むべき道を示してくれます!」
ルンルンが乗るゴーレムに備え付けられたメモリーカードから符が飛んだ。
マリナを追い掛ける無数のミサイル状の攻撃。
敵の動きに統制は見られない。見られないが故に、全方向から無差別な攻撃が容赦なく飛んでくるのだ。
「後方は取らせない。空戦の大原則である」
手綱と脚で合図を出す。
ワイバーンは主の意図をよく理解して、敵の攻撃を旋回しつつ急上昇した。
翼の向きが、羽ばたく回数が、体幹を捩る動きが――戦闘機ではあり得ない機動を描いて宙で四半回転すると、ミサイル群を悉く避けきった。
「小型機の発射口を発見した」
視線を巡らせて、マリナは爆撃機型雑魔の背後ろから、小型機型雑魔が射出される様子を確認した。
倒しても次から次に敵が出現していてはキリがない。
「発射口を塞いでみますか?」
孝純の声が聞こえてきた。
爆撃機型雑魔は巨大なだけあって耐久力が高そうであった。簡単に落とせないのであれば、発射口を破壊して数的有利に崩したい所だ。
「敵の構造が分からないけど、試みる価値はあると思う」
機体の兵装状態を変更しながら、ジュードが答える。
空中で軽やかなステップを踏むように雑魔のレーザー攻撃を避けつつ、ジュード機から特殊兵装による攻撃が放たれた。
プラズマグレネードの爆発に巻き込まれた小型機型雑魔が独楽のように回転して墜落していく。
「やるなら、背を援護するよ」
「行ってみます!」
上空へと駆け上がった孝純機の後ろをカバーする為、ジュードは機体を続かせる。
その真横にヘルヴェルのワイバーンが抜けていった。横入りする敵を牽制するつもりのようだ。
「敵も動いています。複数人で続けて攻撃した方が良いでしょう」
一撃で発射口を壊す事が出来るという保証はない。
「列を組んでの波状攻撃を進言します。先導は任せて下さい」
小型機雑魔を撃ち払いながらマリナが再上昇する。
同一箇所を同時に狙う場合、それぞれが別方向から攻撃すると離脱時に衝突する可能性もあるからだ。
一列に隊列を組んでの攻撃ならば、攻撃後に散るだけなので、仲間同士の衝突という危険性は少ない。
ただし、敵の対空砲火に後続機が狙われやすいという弱点もあるのだが……。
「それなら、あたしも行くよ」
「私も行きますよ。こういう時こそ、ニンジャの力です!」
アーシャとルンルン、孝純が空中で一列に並ぶと、マリナの先導に続いて急降下を開始した。
タイミングを合わせるように、爆撃機型雑魔の腹側にユーリが蒼姫刀を構えて迫る。
「この空は、この世界は、お前達のものじゃない……」
敵の注意を向けさせるのを兼ねての事だ。
案の定、敵から雨のような反撃が撃たれるが、ブリッツが左右に身体を捩じって避ける。
「凶鳥を落とすは蒼白の雷と刃を以て焼き祓ってあげるわよっ」
マテリアルが込められた愛刀が爆撃機型雑魔の腹を切り裂いた。
そのまま敵の真横を上昇。追撃してくる対空砲火を一身に受け持つと大回りで旋回する。
敵の意識がユーリに向けられている中、3機が突入した。
「空間を開けますので、続いて下さい!」
先頭のアーシャ機がCAMブレードを突き刺すと、舞刀士としての技で速やかに移動する。
発射口に対して、ルンルンはDXダイニンジャーをマテリアルで包む。
機体ごと弾丸にさせるような攻撃であり、刻騎ゴーレム特有の攻撃方法だ。
「行くよ、孝純くん!」
二機のルクシュヴァリエがマテリアルの輝きを発しながら、爆撃機型雑魔を貫き、発射口を粉砕した。
●
港町がだんだんと近くなってきた。残された時間的猶予は少ないが、全ての発射口を破壊したので、小型機型雑魔を落としきってしまえば、丸裸も同然だ。
「もう、町があんなに近くに……早く倒さないと」
実戦経験が少ない孝純は焦りだした。
こればっかりは経験を積むしかない。彼我の戦力差を把握していれば、まだ焦る段階ではないのだ。
「大丈夫、慌てないでください」
少年の焦燥を肌で感じたヘルヴェルが傍へと寄る。
孝純の戦闘技術はこの場に集ったハンター達と比べても遜色ないものだが、気持ちの上で挫けると思わぬ一撃を受ける場合があるものだ。
「無理に動かしたり、突出しないように。そして、皆の動きを見て合わせて技や動き盗みましょう」
「は、はいっ!」
先輩ハンターからのアドバイスに、孝純は呼吸を整える。
CAMとは全く別の操作方法という事もあり、気付かないうちに疲労も溜まっていたようだ。
一呼吸置いてから、気持ちを切り替えると少年は機体を急降下させた。
それを援護するように、ブラストハイロウで敵の射線を塞いでいたジュードは戦況の行方にいよいよかと直感した。
「残った小型機型は俺に任せて」
パネルを操作して、機動用スラスターを起動。
雑魔の攻撃をくぐり抜け、大空を駆けると機体を二度、三度、回転させる。
「ここからなら!」
機体が逆さになりながらも、ジェネレーターと接続したライフルの銃口から紫色の光線が迸った。
マテリアルライフルの一撃は幾体もの小型機を巻き込むと、爆撃機型雑魔を直撃する。
ぐらりと傾いた爆撃機型雑魔の背にルンルンの機体が文字通り立った。
「人々が暮らす町や村を、これ以上雑魔の牙で荒らさせはしないもの……」
ぐるんぐるんと機甲槍を回ると、マテリアルを集束させながら、穂先を真下に向ける。
雷鳴が轟いたかのような一撃を叩き込む。
「全てを飲み込め光の渦、DXダイニンジャー必殺ニンジャシュトローム……散!!」
その一撃で爆撃機型雑魔が真っ二つに割れる。
崩れて消滅していく雑魔を足場代わりにルンルンは次の標的を定めて飛び上がった。
爆撃機型雑魔が落ちた事で対空砲火の網も弱くなっていく。
弾幕の間を飛んだマリナは長大なバリスタを構えると、マテリアルを込めて発射した。
「AVBA装填、ファイア!」
嵐のようなマテリアルの矢が標的を包み込んだ。
それまでのダメージも積み重なっていた事もあり、その強力な射撃で、爆撃機型雑魔が四散する。
消滅する雑魔の中を猛スピードで抜けながら、マリナはバリスタから拳銃に持ち替えると残っている敵に照準を合わせた。
「あまり使いたくはないんだが。墜ちろ!」
放った弾丸が不可思議な機動を描いて雑魔に直撃した。
敵の意識が自身に向いたのを確認し、対空砲火に備えて回避行動に入る。
追い縋るように伸びてきた砲火を置いてくるように避けきる間に、ジュードとヘルヴェルの援護受けた孝純とルンルンが、別の爆撃機型雑魔を撃墜させた。
残り半分……ここに来て、決着をつけるべく、ユーリはマテリアルを込めた星神器を掲げながら、敵へと肉迫する。
「星神器の力を無闇に使うのはどうかというのは自覚してる。けどね、目の前の脅威に立ち向かう者を見放す程、私は薄情者じゃないのよ……」
あの少年がここに至るまでの詳しい経過にユーリは立ち会っていない。
ただ、ハンターとして歪虚と戦う決意をし、守る為に一人、先に立ち向かった勇気に、星神器の力を使うのは、決して無闇ではないはずだ。
「さぁ行くわよ、勇気ある戦士達へ王権の権能……惨劇に終止符を打つ星の力をっ!」
解放された王権の理と共に、星神器を叩きつけるように雑魔へ振り下ろした。
続いて、アーシャの機体も追撃を掛ける。
「この効果が続いているうちに!」
強力な理を付与された長大なCAMブレードを突き出した。
爆撃機型雑魔を串刺しにすると、押し斬るように機体のスラスターを吹かした。
泥の中を掻き切るような感触と共に、雑魔が真っ二つになった。
「残り、二つです!」
雑魔を足場にして飛び上がる。
港町は目の前だ。これ以上の接近を許すわけにはいかない。
「ここで止めます」
CAMブレードを雑魔の頭に突き刺しつつ、強引に機体で行く手を抑える。
その隙を、ユーリが上空から垂直に近い形で急降下した。
散発的な対空砲火を諸共せずに鋭い視線と共に星神器を突き出した。
「トドメをっ!」
「ルンルン忍法行きます!!」
槍と一体化したかのような突貫でルンルン機が爆撃機型雑魔を貫いた。
強力無比な衝撃で雑魔が大爆発を起こして消滅する。それをモニターの隅で確認しつつ、ジュードの機体が孝純機へと腕を伸ばした。
「孝純君! 掴まって!」
「はいっ!」
二機は空中で繋がると、スラスターを操作させて機体を回転させながら、遠心力を付けて少年の機体を爆撃機型雑魔に向かって投げ放つ。
そうはさせじと残っていた小型機型雑魔が邪魔するが、それらをヘルヴェルを乗せたワイバーンがマテリアルを纏った突撃で吹き飛ばす。
「ッ!!」
言葉は無用とばかりに、ヘルヴェルは最後に残った爆撃機型雑魔を指差した。
もう、行く手を阻む存在は何もない。
少年の叫び声がどこまでも続く青空に響き渡ると共に、ルクシュヴァリエが飛翔した――。
「攻撃目標の全機、撃墜を確認」
ワイバーンをゆっくりと旋回させながら戦闘区域を確認するマリナ。
あれだけの数がいたのにも関わらず、一匹たりとも港町上空へ侵入させなかったのは大成功だろう。
「ミッションコンプリート。帰還許可を申請する」
「こちら、フライングシスティーナ号。依頼の達成を確認した。着艦を許可する」
マリナの台詞にノセヤからの通信が入った。空戦の様子をずっと見ていたのだろうか、ノセヤの声に熱を感じる。
港の端で巨大な船が浮上している事が分かった。激戦を終えたハンター達を迎えるつもりなのだろう。
太陽の光が海に反射して映る美しい光景が、帰還する空の勇士達を一足先に出迎えるのであった。
●
「凄い、浮いてる。本当に浮いてるよ、孝純くん!」
興奮冷めやらぬ様子でルンルンが少年の名を呼んだ。
フライングシスティーナ号は確かに空中に浮いていた……いや、もっと正確に言うと、飛んでいた。
「浮いている船にどうやって着艦するのかと思いましたが、普通に降り立つだけでした」
「確かに、飛行機じゃないし。これなら、空中ニンジャ隊が作れそう?」
「……本当に、ルンルンさんはブレませんね」
可愛らしく首を傾げるゲーム友達に孝純は苦笑を浮かべた。
そこにポニーテールの少女が微笑を浮かべてやって来た。
「さっきは機体に乗ってたから、初めましてかな。あたしはアーシャ。よろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。星加孝純です」
差し出された手を孝純は確りと握る。
さっきまで空で共に戦った間柄と思うと不思議な感じがした。
「お友達になれたら嬉しいな」
「え? あ、は、はい。勿論です」
唐突な申し出に慌てる少年。
茶化すようにルンルンが肘で突く。
「顔が真っ赤だよ、孝純くん!」
「か、揶揄わないで下さいよ」
照れる孝純の様子を微笑ましく見つめながら、ヘルヴェルもやって来た。
(後輩君にちょっとは先輩風吹かせられる結果になったでしょうかね)
戦闘自体、制限時間まで際どかったものの、終始、ハンター達に有利進んだと思う。
誰も大きな怪我が無かった事も喜ばしい事だ。
「ヘルヴェルさん……僕は、ちゃんと戦えたでしょうか?」
少年の問いにゆっくりと頷くヘルヴェル。
ちゃんと戦えていると思う。籃奈や牡丹の分まで、あの小さい背中に背負って。
「無理無茶しつつ冷静に、そして、よく周りを見るですよ? 孝純君」
「はい。すごく、難しい事言われている気がしますけど」
「後ろから見ている事が多かったけど、よく戦えていたよ」
心配する孝純にジュードが声を掛けた。
一歩引いた所から仲間を援護していたので、少年の戦いぶりはよく見えた。
あれで駆け出しなら、この先、どんな風に成長するのか、楽しみになるぐらいに。
「だとしたら、良かったです」
「あれこれ心配されるより、ちゃんと実力認めてあげた方が伸びるかなって」
「皆さんに追いつけるように頑張ります!」
グッと拳を握る孝純の様子にジュードは頷いた。
そこへ、船の仕組みを確りと観察していたマリナと案内していたノセヤが戻って来た。
「良い船。飛行能力だけではなく転移門も有している」
「一応、王国内であればどこでも移動して、ハンターを展開できますからね」
「他の国は?」
マリナの質問にノセヤは頭を掻いた。
物理的には他の国の上空に行く事は出来るだろう。だが、そんな事すれば国際問題だ。
「私の一存ではなんとも」
基本的には船であるので、無理して空を飛ぶ必要もないという事か。
「そうだ。皆さんにはまだハンガーデッキをお見せしていませんでした。案内しますよ」
「それは興味深い」
ノセヤに案内されて全員が移動する。
一歩踏み出した孝純の横に、ユーリが並んだ。
「ユーリさんも、ありがとうございました」
「一人で大軍相手にするのは無謀だったけど、時間を稼いでくれて、ありがとう」
「少し、自信が持てました」
小生意気そうな顔を見せた孝純の頭をユーリは優しく撫でる。
「子ども扱いするのは嫌かもしれないけど」
「というか、ユーリさんも同じぐらいですよね?」
「……そう、ね……」
実年齢は違うが――今、教えるようなタイミングでもなさそうだった。
二人して歩みが遅れたようで、先に進むルンルンが振り返って両手を豪快に振る。
「孝純くん、遅いよ! というか、また、真っ赤だよ!」
「だ、だって、ハンターである、皆さん、その……美人というか、綺麗な人というか……女性の中に一人、僕がいるのは、緊張するんですっ!」
「ん?」
照れる少年の宣言にジュードが微笑を浮かべながら、遅れている二人に手招きをするのであった。
ハンター達の迅速な行動により、孝純との速やかな合流。
空中戦闘においても各自が素晴らしい動きを見せて敵を殲滅。港町への被害は免れた。
孝純と共に戦闘した事で、彼自身、多くのものを得られた依頼となったのであった。
おしまい
●
フライングシスティーナ号が空中を航行する。
爆撃の盾にならずに済んだので、船の状態は万全だ。
「ノセヤさん、これからどこに行くのですか?」
孝純の問いにノセヤは遠く北東の空を指差した。
その方角にあるものは――王都だ。
「浮遊大陸……傲慢の王の城がある、敵の本拠地です」
「直接、乗り込むつもりなのですか?」
「まさか。王国軍と足並みは揃えますよ……ただ、この船が作戦の土台になるのは確実なのです」
沢山の想いを繋いだ航海は、いよいよ、目指すべき場所へと至ろうとしていた。
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質問卓 ジュード・エアハート(ka0410) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2019/04/27 19:48:56 |
||
相談卓 ジュード・エアハート(ka0410) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2019/05/01 23:47:43 |
||
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/26 22:16:08 |